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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067268
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】ミラー付き車両用サンバイザ
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/02 20060101AFI20240510BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B60J3/02 F
B60N3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177202
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】599041329
【氏名又は名称】共和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩村 圭亮
【テーマコード(参考)】
3B088
【Fターム(参考)】
3B088CA11
(57)【要約】
【課題】ミラー蓋の摺動荷重が過度に大きくなることを避けることが可能なミラー付き車両用サンバイザを提供する。
【解決手段】ミラー付き車両用サンバイザ1は、バイザ本体2を表皮3が覆い、かつ表皮3の端末3aがミラー収容部2cに設置される。ミラー収容部2cにはミラー枠5が収容されかつ表皮3の端末3aをバイザ本体2とともに挟む。ミラー枠5にはミラー6が取り付けられる。ミラー枠5には、ミラー蓋7が上レール5cと下レール5dによって移動可能に取り付けられてミラー6を露出可能に覆う。上レール5cが形成されたミラー枠5の上壁5aからミラー6の上端面6aに向けて、または下レール5dが形成されたミラー枠5の下壁5bからミラー6の下端面6bに向けて当接部5e,5fが突出する。当接部5e,5fは、ミラー枠5がミラー収容部2cに収容される前の状態においてミラー6の上端面6aまたは下端面6bを押している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラー付き車両用サンバイザであって、
ミラー収容部が凹設されたバイザ本体と、
前記バイザ本体を覆いかつ端末が前記ミラー収容部に設置される表皮と、
前記ミラー収容部に収容されかつ前記表皮の前記端末を前記バイザ本体とともに挟むミラー枠と、
前記ミラー枠に取り付けられるミラーと、
前記ミラー枠に形成された上レールと下レールによって移動可能に取り付けられて前記ミラーを露出可能に覆うミラー蓋と、
前記上レールが形成された前記ミラー枠の上壁から前記ミラーの上端面に向けて突出、または前記下レールが形成された前記ミラー枠の下壁から前記ミラーの下端面に向けて突出する当接部を有し、
前記当接部は、前記ミラー枠の前記上壁と前記下壁の枠材料と同じ材料または前記枠材料よりも強度の強い材料から形成され、
前記当接部は、前記ミラー枠が前記ミラー収容部に収容される前の状態において前記ミラーの前記上端面または前記下端面を押している、ミラー付き車両用サンバイザ。
【請求項2】
請求項1に記載されたミラー付き車両用サンバイザであって、
前記当接部は、前記ミラー枠の前記上壁に形成された上当接部と、前記下壁に形成された下当接部を含み、
前記上当接部と前記下当接部は、前記上レールの長手方向に直交する線上に位置する、ミラー付き車両用サンバイザ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のミラー付き車両用サンバイザであって、
前記ミラー枠は、前記上壁または前記下壁から前記ミラー蓋の反対側の前記ミラーの裏面に張出す爪を有し、
前記爪は、前記ミラーの前記裏面と前記上端面間の上角部または前記裏面と前記下端面間の下角部に当接する傾斜面を有し、前記傾斜面の角度は、前記ミラーの前記上端面と前記下端面に対する角度よりも前記ミラーの前記裏面に対する角度の方が小さい、ミラー付き車両用サンバイザ。
【請求項4】
請求項1または2に記載のミラー付き車両用サンバイザであって、
前記ミラー枠は、前記上壁から前記ミラー蓋の反対側の前記ミラーの裏面に張出す左右の上爪と、前記下壁から前記ミラーの前記裏面に張出す左右の下爪を有し、
前記当接部は、前記左右の上爪の間の前記上壁から突出する上当接部と、前記左右の下爪の間の前記下壁から突出する下当接部を有する、ミラー付き車両用サンバイザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラー付き車両用サンバイザに関する。
【背景技術】
【0002】
ミラー付き車両用サンバイザは、バイザ本体に組み込まれたミラーユニットを有している。例えば特許文献1に開示されたミラーユニットは、ミラー枠と、ミラー枠に取り付けられたミラーを備えている。ミラー枠の上下縁にレールが形成され、レールにミラー蓋がスライド可能に取付けられる。バイザ本体を表皮で覆う場合は、ミラーユニットを組み込む前にバイザ本体を表皮で覆う。表皮の端末をバイザ本体のミラー収容部に設置する。ミラー収容部にミラーユニットを設置することで、バイザ本体とミラー枠の間に表皮の端末が挟み込まれる。この時、ミラー枠が表皮によって内側に押され、ミラー枠の上下のレール間の寸法も狭くなる傾向にあった。そのため、ミラー蓋をレールに沿ってスライドさせるときの摺動荷重が大きくなる懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-101623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがってミラー蓋の摺動荷重が過度に大きくなることを避けることが可能なミラー付き車両用サンバイザが従来必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの特徴によると、ミラー付き車両用サンバイザは、ミラー収容部が凹設されたバイザ本体を有する。バイザ本体を表皮が覆い、かつ表皮の端末がミラー収容部に設置される。ミラー収容部にはミラー枠が収容されかつ表皮の端末をバイザ本体とともに挟む。ミラー枠にはミラーが取り付けられる。ミラー枠には、上レールと下レールが形成され、ミラー蓋が上レールと下レールによって移動可能に取り付けられてミラーを露出可能に覆う。上レールが形成されたミラー枠の上壁からミラーの上端面に向けて、または下レールが形成されたミラー枠の下壁からミラーの下端面に向けて当接部が突出する。当接部は、ミラー枠の上壁と下壁の枠材料と同じ材料または枠材料よりも強度の強い材料から形成される。当接部は、ミラー枠がミラー収容部に収容される前の状態においてミラーの上端面または下端面を押している。
【0006】
したがってバイザ本体のミラー収容部にミラー枠を取付ける際、ミラー収容部とミラー枠の間に表皮の端末が挟まれる。この際、ミラー枠は、表皮によって内側に押される。しかしミラー枠の当接部が既に剛体であるミラーの上端面または下端面を押した状態になっている。そのためミラー枠は、表皮によって内側に押されても、ミラーに保持されているためにミラー枠自身の変形が低減される。さらに当接部は、ミラー枠の上壁と下壁と同じ強度またはミラー枠の上壁と下壁より強い強度を有している。そのため当接部は、剛体であるミラーと協働してミラー枠の変形を確実に低減できる。これにより、ミラー枠の上レールと下レールの間の寸法が狭くなることを抑制できる。その結果、上レールと下レールがミラー蓋を押す力が増加することを抑制でき、ミラー蓋のスライド時の摺動荷重が大きくなることを抑制できる。
【0007】
本開示の他の1つの特徴によると、ミラー枠の当接部は、ミラー枠の上壁に形成された上当接部と、下壁に形成された下当接部を含む。上当接部と下当接部は、上レールの長手方向に直交する線上に位置する。したがってミラー枠の上当接部と下当接部は、剛体であるミラーを間にして通常最短距離で対向する。そのためミラー枠が表皮から内側に押された際の力を上当接部と下当接部が相互に協力して受け止めることができる。その結果、上レールと下レールの間の寸法が狭くなることをより効果的に抑制できる。
【0008】
本開示の他の1つの特徴によると、ミラー枠は、上壁または下壁からミラー蓋の反対側のミラーの裏面に張出す爪を有する。爪は、ミラーの裏面と上端面間の上角部または裏面と下端面間の下角部に当接する傾斜面を有する。傾斜面の角度は、ミラーの上端面と下端面に対する角度よりもミラーの裏面に対する角度の方が小さい。したがってミラーの上角部と下角部は、ミラーの寸法に応じて爪の傾斜面の任意の位置でそれぞれ傾斜面に当接する。すなわちミラーの上角部と下角部は、爪との間またはミラー枠との間に隙間が生じないようにはめ込まれる。よって、ミラーの寸法にばらつきがあっても、ミラーをミラー枠に確実に固定することができ、ミラーのがたつきを抑制できる。
【0009】
本開示の他の1つの特徴によると、ミラー枠は、上壁からミラー蓋の反対側のミラーの裏面に張出す左右の上爪と、下壁からミラーの裏面に張出す左右の下爪を有する。当接部は、左右の上爪の間の上壁から突出する上当接部と、左右の下爪の間の下壁から突出する下当接部を有する。したがってミラーの上下部分は、それぞれミラー枠に形成された上爪と下爪によって保持される。これにより安定してミラーがミラー枠に保持される。ミラー枠は、上下辺の中心近傍側の変形が大きく、例えば左右の上爪と左右の下爪の間が大きく変形しやすい。これに対してミラー枠の上当接部は、左右の上爪の間に位置し、下当接部は、左右の下爪の間に位置する。そして上当接部と下当接部は、ミラーに保持される。したがってミラー枠の変形を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】車両天井に取付けられたサンバイザと車両内部の一部の斜視図である。
図2】ミラーユニットを取り付ける前のバイザ本体の一部斜視図と、ミラーユニットの背面図である。
図3図2のIII-III線断面矢視図である。
図4図2のIV-IV線断面矢視図である。
図5図2のV-V線断面矢視図であり、ミラー枠の上壁における部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一つの実施形態について図面を用いて説明する。車両用サンバイザ1は、図1に示すように車室内においてフロントガラス20の上辺に隣接する天井面21に装着される。車両用サンバイザ1は、板状のバイザ本体2と、バイザ本体2の片面に設けられたミラーユニット9を備える。バイザ本体2の表面には表皮3が被せられる。
【0012】
図1に示すようにバイザ本体2には、支軸11とサポート軸15が装着される。支軸11は、略L字状の棒であって、横軸12と縦軸13を有する。横軸12は長軸状でかつ直線状であり、バイザ本体2の上辺に回動可能に挿入される。縦軸13は、横軸12の先端から上方に、横軸12に対して略直交して延出する。縦軸13の先端がブラケット14に回動可能に装着される。ブラケット14は、車室の天井面21に取付けられる。
【0013】
図1に示すようにサポート軸15は、天井面21に固定されたフック23に取り外し可能に保持される。サポート軸15がフック23に取付けられることで、サポート軸15と横軸12を軸中心としてバイザ本体2がフロントガラス20に沿う使用位置Pと天井面21に沿う格納位置Kとの間で回動する。またサポート軸15をフック23から取り外すことで、バイザ本体2は縦軸13回りに回動可能となる。これによりバイザ本体2はフロントガラス20に沿う使用位置Pと、サイドガラス22に沿うサイド位置Sとの間で回動する。
【0014】
図2,3を参照するようにバイザ本体2は、中空板状であって、厚さ方向に重ねられた第1の芯材2aと第2の芯材2bを備える。第1の芯材2aは、図1の使用状態において乗員側に位置する。第2の芯材2bは、使用状態においてフロントガラス20側に位置する。第1の芯材2aには、ミラーユニット9が設置される開口部または凹部2dが形成される。これによりバイザ本体2は、表面を開口する矩形状のミラー収容部2cが形成される。ミラー収容部2cの内周壁には、リブ2eが形成される。リブ2eは、例えばミラー収容部2cの内周壁のうち上壁と下壁の左右中央領域にそれぞれ位置する。表皮3をバイザ本体2に装着する際、表皮3の端末3aがミラー収容部2cに設置される。表皮3の端末3aは、ミラーユニット9がはめ込まれることで外から見えなくなる。
【0015】
図1を参照するようにミラーユニット9は、矩形状のミラー枠5とミラー蓋7を有する。以下、バイザ本体2を使用位置Pに位置させて、使用者から見た状態を基準に上下、左右、表裏と方向を規定して説明する。図2では、ミラーユニット9の裏面を示し、上下反転された状態になっている。図2,3に示すようにミラー枠5は、例えば合成樹脂製である。ミラー枠5の上壁5a(図2,3では下側)にはミラー枠5の長手方向に沿って延びる上レール5cが形成され、下壁5b(図2,3では上側)にはミラー枠5の長手方向に沿って延びる下レール5dが形成されている。上レール5cと下レール5dにミラー蓋7が移動可能に装着される。ミラー蓋7の裏側に位置するように、ミラー枠5には、板状のミラー6が装着される。ミラー蓋7は、ミラー6を覆う閉じ位置とミラー6を露出する開き位置との間で左右方向に移動する。
【0016】
図2に示すようにミラー枠5の上壁5aには、上当接部5eが形成される。上当接部5eは、例えば上壁5aの左右中央領域に位置し、上壁5aから下方に突出する。ミラー枠5の下壁5bには、下当接部5fが形成される。下当接部5fは、例えば下壁5bの左右中央領域に位置し、下壁5bから上方に突出する。上当接部5eと下当接部5fは、上レール5cの長手方向に直交する線上に位置し、相互に対向する。上当接部5eと下当接部5fは、例えば合成樹脂製であり、ミラー枠5の上壁5aと下壁5bの枠材料と同じ材料または枠材料よりも強度の強い材料から形成される。上当接部5eと下当接部5fの間にミラー6が設置される。
【0017】
図2に示すようにミラー枠5の上壁5aには、ミラー6を保持する上爪5gが形成される。上爪5gは、例えば上壁5aの左右領域のそれぞれに位置し、上壁5aから下方にかつミラー6の裏面6cに張出す。ミラー枠5の下壁5bには、ミラーを保持する下爪5hが形成される。下爪5hは、例えば下壁5bの左右領域のそれぞれに位置し、下壁5bから上方にかつミラー6の裏面6cに張出す。下爪5hの張出した先端には、面取りが施されている。上爪5gは、下爪5hよりも長手方向(左右方向)に長い。上爪5gと下爪5hは、左右領域のそれぞれにおいて上レール5cの長手方向に直交する線上で対向するように位置する。これによりミラー6を左右バランス良く保持できる。
【0018】
図5に示すように上爪5gには、ミラー6の裏面6cと上端面6a間の上角部6dに当接する傾斜面5kが形成されている。傾斜面5kの角度は、ミラー6の上端面6aに対する角度θ1よりも、ミラー6の裏面6cに対する角度θ2の方が小さい。図は省略するが下爪5hにもミラー6の裏面6cと下端面6b間の下角部6eに当接する傾斜面が形成されている。下爪5hの傾斜面の角度は、ミラー6の下端面6bに対する角度よりも、ミラー6の裏面6cに対する角度の方が小さい。
【0019】
図2に示すようにミラー枠5は、外周縁に形成された外周リブ5nと、内周縁に形成された内周リブ5pを有する。外周リブ5nと内周リブ5pの間には、複数のリブ5mが所定の間隔で形成される。各リブ5mは、外周リブ5nと直交する向きに延出している。
【0020】
図2,3を参照するようにミラー6をミラー枠5に装着する場合は、先ずミラー6の上端面6aを左右の上爪5gにはめ込む。続いて、ミラー6の下端面6bを左右の下爪5hにはめ込む。これによりミラー6の上端面6aはミラー枠5の上当接部5eと当接し、ミラー6の下端面6bはミラー枠5の下当接部5fと当接する。ミラー枠5の上当接部5eは、ミラー6の上端面6aを下方に押し、ミラー枠5の下当接部5fは、ミラー6の下端面6bを上方に押す。すなわちミラー枠5の内周縁は、バイザ本体2に装着される前の状態においてミラー6によって上下方向に押されており、上下に変形することが規制されている。
【0021】
図2を参照するようにミラーユニット9をバイザ本体2に取り付ける前に、表皮3によってバイザ本体2を覆う。表皮3の端末3aをミラー収容部2cに設置する。ミラーユニット9をミラー収容部2cに挿入する。この時、表皮3の端末3aがミラー枠5とバイザ本体2によって挟まれる。ミラー枠5は、表皮3により内側に押される。しかしミラー枠5の上当接部5eと下当接部5fは、ミラー6の上端面6aと下端面6bによって押されている。そのためミラー6の剛性を利用してミラー枠5が内側に変形することが抑制される。そのためミラー枠5の上レール5cと下レール5dの間の寸法が狭くなることが抑制される。
【0022】
表皮3の端末3aは、図2に示すミラー枠5の複数のリブ5mによって裏側に向けて押され、リブ5mとミラー収容部2cの壁によって部分的に挟持される。これにより表皮3の端末3aがミラー収容部2cとミラーユニット9のすき間から外れることが防止され得る。また図3に示すように、表皮3の端末3aは、ミラー6によって押された上当接部5eまたは下当接部5fと、ミラー収容部2cのリブ2eとによって挟持される。このように、上当接部5eと下当接部5fをリブ2eと対向する位置に設けることで、より効果的に表皮3の端末3aが外れることを防止し得る。
【0023】
図5を参照するようにミラー枠5の上爪5gの傾斜面5kはミラー6の上角部6dと当接し、下爪5hの傾斜面5kはミラー6の下角部6eと当接する。上角部6dまたは下角部6eは、ミラー6の寸法に応じて傾斜面5kの任意の位置で傾斜面5kと当接する。上爪5gと下爪5hは、ミラー6が厚さ方向または上下方向に移動することを規制するようにミラー6を保持する。図4に示すようにミラー枠5の上壁5aにおける上爪5gまたは上当接部5eが形成されていない箇所、および下壁5bにおける下爪5hまたは下当接部5fが形成されていない箇所は、ミラー6の上端面6aまたは下端面6bとの間に隙間が形成されている。
【0024】
上述するように、図2を参照するようにミラー付き車両用サンバイザ1は、ミラー収容部2cが凹設されたバイザ本体2を有する。バイザ本体2を表皮3が覆い、かつ表皮3の端末3aがミラー収容部2cに設置される。ミラー収容部2cにはミラー枠5が収容されかつ表皮3の端末3aをバイザ本体2とともに挟む。ミラー枠5にはミラー6が取り付けられる。ミラー枠5には、上レール5cと下レール5dが形成され、ミラー蓋7が上レール5cと下レール5dによって移動可能に取り付けられてミラー6を露出可能に覆う。上レール5cが形成されたミラー枠5の上壁5aからミラー6の上端面6aに向けて、または下レール5dが形成されたミラー枠5の下壁5bからミラー6の下端面6bに向けて当接部(上当接部5eまたは下当接部5f)が突出する。当接部(上当接部5e、下当接部5f)は、ミラー枠5の上壁5aと下壁5bの枠材料と同じ材料または枠材料よりも強度の強い材料から形成される。当接部(上当接部5e、下当接部5f)は、ミラー枠5がミラー収容部2cに収容される前の状態においてミラー6の上端面6aまたは下端面6bを押している。
【0025】
したがって図3を参照するように、バイザ本体2のミラー収容部2cにミラー枠5を取付ける際、ミラー収容部2cとミラー枠5の間に表皮3の端末3aが挟まれる。この際、ミラー枠5は、表皮3によって内側に押される。しかしミラー枠5の当接部(上当接部5e、下当接部5f)が既に剛体であるミラー6の上端面6aまたは下端面6bを押した状態になっている。そのためミラー枠5は、表皮3によって内側に押されても、ミラー6に保持されているためにミラー枠5自身の変形が低減される。さらに当接部(上当接部5e、下当接部5f)は、ミラー枠5の上壁5aと下壁5bと同じ強度またはミラー枠5の上壁5aと下壁5bより強い強度を有している。そのため当接部(上当接部5e、下当接部5f)は、剛体であるミラー6と協働してミラー枠5の変形を確実に低減できる。これにより、ミラー枠5の上レール5cと下レール5dの間の寸法が狭くなることを抑制できる。その結果、上レール5cと下レール5dがミラー蓋7を押す力が増加することを抑制でき、ミラー蓋7のスライド時の摺動荷重が大きくなることを抑制できる。
【0026】
図2,3を参照するようにミラー枠5の当接部は、ミラー枠5の上壁5aに形成された上当接部5eと、下壁5bに形成された下当接部5fを含む。上当接部5eと下当接部5fは、上レール5cの長手方向に直交する線上に位置する。したがって、ミラー枠5の上当接部5eと下当接部5fは、剛体であるミラー6を間にして通常最短距離で対向する。そのためミラー枠5が表皮3から内側に押された際の力を上当接部5eと下当接部5fが相互に協力して受け止めることができる。その結果、上レール5cと下レール5dの間の寸法が狭くなることをより効果的に抑制できる。
【0027】
図2,5を参照するようにミラー枠5は、上壁5aまたは下壁5bからミラー蓋7の反対側のミラー6の裏面6cに張出す爪(上爪5g、下爪5h)を有する。爪(上爪5g、下爪5h)は、ミラー6の裏面6cと上端面6a間の上角部6dまたは裏面6cと下端面6b間の下角部6eに当接する傾斜面5kを有する。傾斜面5kの角度は、ミラー6の上端面6aと下端面6bに対する角度θ1よりもミラー6の裏面6cに対する角度θ2の方が小さい。したがって、ミラー6の上角部6dと下角部6eは、ミラー6の寸法に応じて爪(上爪5g、下爪5h)の傾斜面5kの任意の位置でそれぞれ傾斜面5kに当接する。すなわち、ミラー6の上角部6dと下角部6eは、爪(上爪5g、下爪5h)との間またはミラー枠5との間に隙間が生じないようにはめ込まれる。よって、ミラー6の寸法にばらつきがあっても、ミラー6をミラー枠5に確実に固定することができ、ミラー6のがたつきを抑制できる。
【0028】
図2,5を参照するようにミラー枠5は、上壁5aからミラー蓋7の反対側のミラー6の裏面6cに張出す左右の上爪5gと、下壁5bからミラー6の裏面6cに張出す左右の下爪5hを有する。当接部は、左右の上爪5gの間の上壁5aから突出する上当接部5eと、左右の下爪5hの間の下壁5bから突出する下当接部5fを有する。したがってミラー6の上下部分は、それぞれミラー枠5に形成された上爪5gと下爪5hによって保持される。これにより安定してミラー6がミラー枠5に保持される。ミラー枠5は、上下辺の中心近傍側の変形が大きく、例えば左右の上爪5gと左右の下爪5hの間が大きく変形しやすい。これに対してミラー枠5の上当接部5eは、左右の上爪5gの間に位置し、下当接部5fは、左右の下爪5hの間に位置する。そして上当接部5eと下当接部5fは、ミラー6に保持される。したがってミラー枠5の変形を効果的に抑制することができる。
【0029】
本開示は、上述した実施形態で説明した外観、構成に限定されず、要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
【0030】
例えば、ミラー枠5における上爪5gと下爪5hの配置の位置及び配置の数を変更してもよい。すなわち、上壁5aと下壁5bにそれぞれ上爪5gと下爪5hを1つずつ設けてもよく、3つ以上設けてもよい。
【0031】
例えば、ミラー枠5における上当接部5eと下当接部5fの配置の位置または配置の数を変更してもよい。また、上壁5aと下壁5bのいずれか一方にのみ当接部を設けてもよい。
【0032】
図2に示すミラー6の形状は、矩形状である。これに代えて、ミラー6の形状は適宜変更してもよい。また、ミラー6の形状に応じて、ミラー枠5及びミラー蓋7の形状も適宜変更してもよい。
【0033】
図2に示すバイザ本体2は、2枚の芯材を有して中空板状に構成されている。これら第1の芯材2aと第2の芯材2bとが、例えばヒンジを介して繋がっていてもよい。また、中空板状の構成に代えて、バイザ本体は、例えば格子状の構造体からなる構成としてもよい。またバイザ本体は、例えば発泡ビーズ等から一枚状に形成されてもよい。このほか、バイザ本体の形状や材質を適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 車両用サンバイザ
2 バイザ本体
2c ミラー収容部
2e リブ
3 表皮
3a 端末
5 ミラー枠
5a 上壁
5b 下壁
5c 上レール
5d 下レール
5e 上当接部(当接部)
5f 下当接部(当接部)
5g 上爪(爪)
5h 下爪(爪)
5k 傾斜面
5m リブ
6 ミラー
6a 上端面
6b 下端面
6c 裏面
6d 上角部
6e 下角部
7 ミラー蓋
9 ミラーユニット
θ1 ミラーの上端面または下端面に対する傾斜面の角度
θ2 ミラーの裏面に対する傾斜面の角度
図1
図2
図3
図4
図5