(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006727
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電動工具システム、診断方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20240110BHJP
B25B 23/14 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B25F5/00 C
B25B23/14 610B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107897
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 景太
(72)【発明者】
【氏名】池田 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩一
【テーマコード(参考)】
3C038
3C064
【Fターム(参考)】
3C038AA01
3C038BC04
3C038CA02
3C038CA06
3C038CC08
3C038EA03
3C064AA02
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA12
3C064BA22
3C064BA31
3C064BB90
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA28
3C064CA43
3C064CA44
3C064CA53
3C064CA74
3C064CA75
3C064CA80
3C064CB08
3C064CB17
3C064CB62
3C064CB71
3C064CB93
3C064DA08
3C064DA28
3C064DA32
3C064DA33
3C064DA59
3C064DA60
3C064DA61
3C064EA03
(57)【要約】
【課題】本開示は、ユーザ等が電動工具部を用いた作業の効率の悪化を判断しやすくすることを目的とする。
【解決手段】電動工具システム100は、電動工具部1と、計測部4と、記憶部62と、判定部63と、を備える。計測部4は、電動工具部1に関する物理量を計測する。記憶部62は、計測部4で計測された物理量を記憶する。判定部63は、記憶部62に記憶された物理量に基づいて、先端工具が交換を必要とするか否かに関する交換情報を求める。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能な電動工具部と、
計測部と、
記憶部と、
判定部と、を備え、
前記電動工具部は、
動力源から動力の供給を受け、トルクを発生する駆動部位と、
先端工具を装着可能な装着部位と、
前記駆動部位からの前記トルクを前記装着部位に伝達し前記装着部位を駆動する伝達部位と、を有し、
前記計測部は、前記電動工具部に関する物理量を計測し、
前記記憶部は、前記計測部で計測された前記物理量を記憶し、
前記判定部は、前記記憶部に記憶された前記物理量に基づいて、前記先端工具が交換を必要とするか否かに関する交換情報を求める、
電動工具システム。
【請求項2】
前記判定部で求められた前記交換情報に基づいて、前記先端工具の交換を促す通知を行う通知部を更に備える、
請求項1に記載の電動工具システム。
【請求項3】
前記装着部位が駆動されているときには前記通知部が前記通知を行うことを制限する制限部を更に備える、
請求項2に記載の電動工具システム。
【請求項4】
前記計測部は、
前記先端工具にかかるトルクを前記物理量として計測するトルク計測部と、
前記先端工具の回転数を前記物理量として計測する回転数計測部と、のうち少なくとも一方を有する、
請求項1に記載の電動工具システム。
【請求項5】
前記計測部は、前記トルク計測部と、前記回転数計測部と、前記先端工具にかかるスラスト荷重を前記物理量として計測するスラスト荷重計測部と、を有し、
前記判定部は、前記記憶部に記憶された前記トルクと前記回転数と前記スラスト荷重とに基づいて、前記交換情報を求める、
請求項4に記載の電動工具システム。
【請求項6】
前記先端工具の種類に関する種類情報と、前記先端工具の材質に関する材質情報と、のうち少なくとも一方を取得する取得部を更に備え、
前記判定部は、前記記憶部に記憶された前記物理量と、前記取得部で取得された前記種類情報と前記材質情報とのうち前記少なくとも一方と、に基づいて、前記交換情報を求める、
請求項1に記載の電動工具システム。
【請求項7】
前記判定部は、前記物理量から抽出された特徴量に関する特徴量空間における、前記記憶部に記憶された前記物理量の位置に基づいて、前記交換情報を求める、
請求項1に記載の電動工具システム。
【請求項8】
動力源から動力の供給を受け、トルクを発生する駆動部位と、
先端工具を装着可能な装着部位と、
前記駆動部位からの前記トルクを前記装着部位に伝達し前記装着部位を駆動する伝達部位と、を有する携帯可能な電動工具部に関する診断を行う診断方法であって、
計測部で計測された前記電動工具部に関する物理量を記憶部に記憶させる記憶ステップと、
前記記憶部に記憶された前記物理量に基づいて、前記先端工具が交換を必要とするか否かに関する交換情報を求める判定ステップと、を有する、
診断方法。
【請求項9】
請求項8に記載の診断方法を、コンピュータシステムの1以上のプロセッサに実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に電動工具システム、診断方法及びプログラムに関し、より詳細には、電動工具部に装着される先端工具に関する情報を求める電動工具システム、診断方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電動工具は、モータと、取得部と、記憶部と、送信部と、を備える。取得部は、モータの回転中に検出された物理量データを取得する。記憶部は、物理量データと、物理量データを取得したときの時刻に関する時間情報とを対応付けて記憶する。送信部は、物理量データと時間情報とを、サーバシステムに送信する。サーバシステムは、物理量データと時間情報とを用いて、電動工具の状態の程度を評価する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、ユーザ等が電動工具部を用いた作業の効率の悪化を判断しやすい電動工具システム、診断方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る電動工具システムは、電動工具部と、計測部と、記憶部と、判定部と、を備える。前記電動工具部は、携帯可能である。前記電動工具部は、駆動部位と、装着部位と、伝達部位と、を有する。前記駆動部位は、動力源から動力の供給を受け、トルクを発生する。前記装着部位は、先端工具を装着可能である。前記伝達部位は、前記駆動部位からの前記トルクを前記装着部位に伝達し前記装着部位を駆動する。前記計測部は、前記電動工具部に関する物理量を計測する。前記記憶部は、前記計測部で計測された前記物理量を記憶する。前記判定部は、前記記憶部に記憶された前記物理量に基づいて、前記先端工具が交換を必要とするか否かに関する交換情報を求める。
【0006】
本開示の一態様に係る診断方法は、携帯可能な電動工具部に関する診断を行う診断方法である。前記電動工具部は、駆動部位と、装着部位と、伝達部位と、を有する。前記駆動部位は、動力源から動力の供給を受け、トルクを発生する。前記装着部位は、先端工具を装着可能である。前記伝達部位は、前記駆動部位からの前記トルクを前記装着部位に伝達し前記装着部位を駆動する。前記診断方法は、記憶ステップと、判定ステップと、を有する。前記記憶ステップでは、計測部で計測された前記電動工具部に関する物理量を記憶部に記憶させる。前記判定ステップでは、前記記憶部に記憶された前記物理量に基づいて、前記先端工具が交換を必要とするか否かに関する交換情報を求める。
【0007】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記診断方法を、コンピュータシステムの1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、ユーザ等が電動工具部を用いた作業の効率の悪化を判断しやすいという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電動工具システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の電動工具システムの電動工具部の斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の電動工具システムの電動工具部の概略図である。
【
図4】
図4は、同上の電動工具システムにおける判定範囲の概念を二次元で示す概略図である。
【
図5】
図5は、同上の電動工具システムの電動工具部の動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、同上の電動工具システムの連携装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
以下、実施形態に係る電動工具システム100、診断方法及びプログラムについて、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
(概要)
図1に示すように、本実施形態の電動工具システム100は、電動工具部1と、計測部4と、記憶部62と、判定部63と、を備える。電動工具部1は、携帯可能である。電動工具部1は、駆動部位31と、装着部位33と、伝達部位32と、を有する。駆動部位31は、動力源P11から動力の供給を受け、トルクを発生する。装着部位33は、先端工具を装着可能である。伝達部位32は、駆動部位31からのトルクを装着部位33に伝達し装着部位33を駆動する。計測部4は、電動工具部1に関する物理量を計測する。記憶部62は、計測部4で計測された物理量を記憶する。判定部63は、記憶部62に記憶された物理量に基づいて、先端工具が交換を必要とするか否かに関する交換情報を求める。
【0012】
本実施形態によれば、ユーザ等は、電動工具部1を用いた作業の効率が、先端工具の消耗等によって悪化しているか否かを、交換情報から判断できる。これにより、作業効率が悪化する可能性を低減させることができる。
【0013】
また、電動工具システム100と同様の機能は、診断方法にて具現化可能である。本実施形態の診断方法は、携帯可能な電動工具部1に関する診断を行う診断方法である。電動工具部1は、駆動部位31と、装着部位33と、伝達部位32と、を有する。駆動部位31は、動力源P11から動力の供給を受け、トルクを発生する。装着部位33は、先端工具を装着可能である。伝達部位32は、駆動部位31からのトルクを装着部位33に伝達し装着部位33を駆動する。診断方法は、記憶ステップと、判定ステップと、を有する。記憶ステップでは、計測部4で計測された電動工具部1に関する物理量を記憶部62に記憶させる。判定ステップでは、記憶部62に記憶された物理量に基づいて、先端工具が交換を必要とするか否かに関する交換情報を求める。
【0014】
また、診断方法は、プログラムにて具現化可能である。本実施形態のプログラムは、診断方法を、コンピュータシステムの1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。プログラムは、コンピュータシステムで読み取り可能な非一時的記録媒体に記録されていてもよい。
【0015】
(詳細)
(1)全体構成
以下、電動工具システム100についてより詳細に説明する。
【0016】
図1に示すように、電動工具システム100は、電動工具部1と、連携装置6と、を備える。
【0017】
電動工具部1は、先端工具を装着可能な機器である。先端工具は、例えば、ドリルビット又はドライバビット等である。ユーザ(作業者)は、穴あけ又はねじ締め等の作業を行うために電動工具部1を使用する。また、電動工具部1は、可搬型の機器(手持ちで使用される機器)である。
【0018】
また、電動工具部1は、駆動部位31からのトルクを用いて装着部位33に衝撃(インパクト)を加えるインパクト機構322(
図3参照)を備える。つまり、電動工具部1は、インパクト工具である。
【0019】
連携装置6は、コンピュータシステムを含んでいる。連携装置6は、例えば、産業用コンピュータ、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、又は、スマートフォン等の携帯電話である。連携装置6は、電動工具部1と通信する。連携装置6は、電動工具部1から取得した情報を処理して、交換情報を求める。
【0020】
特に、本実施形態では、電動工具システム100が、複数のユーザが複数のワークの組立作業を行う組立ラインに用いられる場合を想定して説明する。電動工具システム100は、電動工具部1を複数(
図1では2つ)備え、2つの電動工具部1のうち一方の電動工具部1Aは第1ユーザに使用され、他方の電動工具部1Bは第1ユーザとは別の第2ユーザに使用される。2つの電動工具部1A、1Bの構成は同じなので、以下では、特に断りの無い限り、一方の電動工具部1に着目して説明する。
【0021】
(2)電動工具部
図1に示すように、電動工具部1は、稼動部3、電池パックP1、計測部4、通信部51、記憶部52、処理部53、通知部211及び提示部231を有する。稼動部3は、装着部位33、伝達部位32及び駆動部位31を含む。また、
図2、
図3に示すように、電動工具部1は、ハウジング2、トリガスイッチ221及びボックス50を更に有する。
【0022】
(3)ハウジング
ハウジング2は、伝達部位32、駆動部位31、計測部4及び処理部53等を収容している。ハウジング2は、収容部21と、グリップ部22と、装着部23と、を有する。
【0023】
収容部21の形状は、筒状である。収容部21は、伝達部位32、駆動部位31及び計測部4等を収容している。
【0024】
収容部21の表面には、通知部211が保持されている。通知部211は、例えば、LED(Light Emitting Diode)を含む。ユーザが作業中に通知部211を目視しやすいように、通知部211は、収容部21における装着部位33側とは反対側の端部に設けられている(
図2参照)。通知部211は、処理部53の制御に基づいて、例えば点灯又は点滅等により、先端工具の交換を促す通知をする。
【0025】
グリップ部22は、収容部21の外周面から収容部21の一径方向に沿った一方向に突出している。グリップ部22は、上記一方向に長い中空の筒形状に形成されている。グリップ部22は、ユーザがねじ締め等の作業を行う際に握る部分である。また、グリップ部22には、トリガスイッチ221が保持されている。トリガスイッチ221は、駆動部位31の動作のオン/オフを制御するためのスイッチである。
【0026】
グリップ部22の長手方向の一端(
図2の上端)には、収容部21がつながっており、他端(
図2の下端)には、装着部23がつながっている。
【0027】
また、グリップ部22には、ボックス50(
図3参照)が収容されている。ボックス50には、例えば、通信部51(
図1参照)、記憶部52、及び処理部53が収容されている。
【0028】
装着部23には、電池パックP1が着脱可能に取り付けられる。なお、本実施形態では、電池パックP1は電動工具部1の構成要素に含まれることとするが、電池パックP1が電動工具部1の構成要素に含まれることは必須ではない。
【0029】
電池パックP1は、動力源P11として、一次電池又は二次電池を含む。電動工具部1は、動力源P11から供給される電力により動作する。すなわち、動力源P11は、駆動部位31(モータ)を駆動する電力を供給する。また、動力源P11は、通信部51及び処理部53等を動作させるための電力を供給する。
【0030】
また、装着部23には、提示部231が保持されている。提示部231は、例えば、情報を視覚的に通知するためのディスプレイ等の表示装置を含む。また、提示部231は、操作部232と一体化されている。操作部232は、例えば、複数の釦を含む。操作部232は、ユーザの操作を受け付ける。ユーザは、提示部231を用いて、電動工具部1に関する種々の状況確認等を行うことができる。ユーザは、提示部231を用いて、例えば、電動工具部1の動作モードの確認を行うことができる。また、ユーザは、操作部232を用いて、電動工具部1に関する種々の設定を行うことができる。ユーザは、提示部231を用いて、例えば、電動工具部1の動作モードの変更を行うことができる。
【0031】
(4)駆動部位
図3に示す駆動部位31は、例えばサーボモータである。駆動部位31は、動力源P11から供給される電気エネルギーをトルクに変換する。駆動部位31のトルク及び回転数は、制御部531(
図1参照)による制御に応じて変化する。制御部531は、サーボドライバである。制御部531は、例えば、駆動部位31のトルク及び回転数を目標値に近づけるように制御するフィードバック制御により駆動部位31の動作を制御する。
【0032】
制御部531(
図1参照)は、トリガスイッチ221の操作量(引込量)を検知して、操作量に応じて駆動部位31を制御する。ユーザによってトリガスイッチ221が引かれることで、駆動部位31が動力源P11から動力の供給を受けて動作し、トルクを発生する。また、トリガスイッチ221の操作量に応じて、制御部531が駆動部位31(モータ)の回転数の目標値を調整する。
【0033】
(5)伝達部位
伝達部位32は、駆動部位31のトルクを装着部位33に伝達する。これにより、装着部位33が回転する。
【0034】
伝達部位32は、例えば、遊星歯車機構321と、インパクト機構322と、を含む。遊星歯車機構321は、減速装置である。つまり、伝達部位32は、駆動部位31の回転数よりも小さい回転数で装着部位33を回転させる。
【0035】
インパクト機構322は、駆動部位31の動力によって駆動される。インパクト機構322は、
図3に示すように、例えば、駆動軸により回転可能に支持されたハンマ322aと、装着部位33の後端部につながったアンビル322bと、を含む。ハンマ322aは、駆動部位31から伝達されたトルクを用いて、アンビル322bを打撃する。
【0036】
インパクト機構322は、先端工具のトルクが所定レベルを超えると、装着部位33に対して回転方向にインパクトを与える。これにより、先端工具は、ねじ等の作業対象に対して、より大きなトルクを与えることが可能となる。
【0037】
(6)装着部位
装着部位33には、先端工具が装着される。先端工具は、例えば、ドリルビット又はドライバビット等である。装着部位33には、用途に応じて様々な種類の先端工具を着脱可能であってもよいし、特定の先端工具のみを装着可能であってもよい。
【0038】
駆動部位31から伝達部位32を介して装着部位33にトルクが伝達されると、装着部位33と共に先端工具が回転する。これにより、ユーザは、電動工具部1による穴あけ又はねじ締め等の作業を行うことができる。
【0039】
(7)計測部
計測部4は、電動工具部1に関する物理量を計測する。より詳細には、計測部4は、先端工具の動作に関する物理量を計測する。本実施形態の計測部4は、トルク計測部41と、回転数計測部42と、スラスト荷重計測部43と、を有する。
【0040】
トルク計測部41は、物理量として、先端工具にかかるトルクを計測する。より詳細には、トルク計測部41は、先端工具にかかるトルクに相当する物理量として、装着部位33にかかるトルクを計測する。
【0041】
トルク計測部41は、例えば、磁歪式歪みセンサ又は抵抗式歪みセンサを含む。
【0042】
磁歪式歪みセンサは、装着部位33にトルクが加わることにより発生する歪みに応じた透磁率の変化を、装着部位33の近傍の非回転部分に設置したコイルで検出し、歪みに比例した電圧信号を出力する。
【0043】
抵抗式歪みセンサは、装着部位33の表面に貼り付けられる。抵抗式歪みセンサは、装着部位33にトルクが加わることにより発生する歪みに応じた電気抵抗値の変化を、電圧信号に変換して出力する。
【0044】
回転数計測部42は、物理量として、先端工具の回転数を計測する。本実施形態では、先端工具の回転数は装着部位33の回転数と一致し、回転数計測部42は、装着部位33の回転数を計測する。回転数計測部42としては、例えば、光電式エンコーダ又は磁気式エンコーダを採用することができる。
【0045】
スラスト荷重計測部43は、物理量として、先端工具にかかるスラスト荷重を計測する。スラスト荷重は、装着部位33の回転軸に沿った方向の荷重である。スラスト荷重は、ユーザが先端工具を作業対象に押し付ける力の大きさ等に依存する物理量である。本実施形態では、スラスト荷重計測部43は、先端工具にかかるスラスト荷重に相当する物理量として、装着部位33にかかるスラスト荷重を計測する。スラスト荷重計測部43は、例えば、装着部位33に取り付けられる、歪みゲージ等の圧力センサを含む。
【0046】
(8)通信部
通信部51(
図1参照)は、通信インタフェース装置を含んでいる。通信部51は、通信インタフェース装置を介して、連携装置6の通信部61と通信可能である。本開示でいう「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、信号を授受できることを意味する。
【0047】
(9)記憶部
記憶部52(
図1参照)は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)又はソリッドステートドライブ(SSD)等によって構成される不揮発性の記憶装置である。記憶部52は、計測部4で計測された物理量を記憶する。
【0048】
(10)処理部
電動工具部1は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを含む。処理部53(
図1参照)は、電動工具部1の1以上のプロセッサを含む。メモリに記録されたプログラムを処理部53の1以上のプロセッサが実行することにより、処理部53の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0049】
図1に示すように、処理部53は、制御部531と、制限部532と、を含む。なお、これらは、処理部53によって実現される機能を示しているに過ぎず、必ずしも実体のある構成を示しているわけではない。
【0050】
制御部531は、トリガスイッチ221(
図2参照)の操作量を検知して、操作量に応じて駆動部位31の回転数を制御する。
【0051】
上述の通り、通知部211は、処理部53の制御に基づいて、先端工具の交換を促す通知をする。処理部53は、判定部63で求められた交換情報に基づいて、通知部211に通知をさせるか否かを決定する。つまり、通知部211は、判定部63で求められた交換情報に基づいて、先端工具の交換を促す通知を行う。
【0052】
制限部532は、装着部位33が駆動されているときには通知部211が通知を行うことを制限(禁止)する。例えば、制限部532は、装着部位33が駆動されているときには通知部211のLEDを点灯又は点滅させないように、通知部211を制御する。
【0053】
また、処理部53は、電動工具部1の動作モードを切り替える処理を行う。電動工具部1は、動作モードとして、少なくとも作業モードと学習モードとを有する。作業モードは、ユーザが電動工具部1を用いて、ねじ締め等の作業を行う際の動作モードである。作業モードは、いわば通常作業時のモードである。学習モードは、先端工具が交換を必要とするか否かに関する交換情報を判定部63で求めるための学習済みモデルを作成する際の動作モードであり、例えば、電動工具部1を初めて使用する前、又は通常作業の前に行われることが好ましいモードである。
【0054】
処理部53は、動作モードの切り替えを、例えば操作部232に対するユーザからの操作入力に基づいて行ってもよいし、操作部232とは別の、例えばディップスイッチ等に対する操作入力に基づいて行ってもよい。
【0055】
(11)連携装置
図1に示すように、連携装置6は、通信部61と、記憶部62と、判定部63と、を備える。
【0056】
通信部61は、通信インタフェース装置を含んでいる。通信部61は、通信インタフェース装置を介して、電動工具部1の通信部51と通信可能である。
【0057】
記憶部62は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)又はソリッドステートドライブ(SSD)等によって構成される不揮発性の記憶装置である。記憶部62は、計測部4で計測された物理量を記憶する。
【0058】
連携装置6は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを含む。判定部63は、連携装置6の1以上のプロセッサを含む。メモリに記録されたプログラムを1以上のプロセッサが実行することにより、判定部63の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0059】
判定部63は、学習部64と、推論部65と、を含む。なお、学習部64及び推論部65は、判定部63によって実現される機能を示しているに過ぎず、必ずしも実体のある構成を示しているわけではない。
【0060】
判定部63は、先端工具が交換を必要とするか否かに関する交換情報を求める。より詳細には、判定部63は、機械学習を用いて交換情報を求める。
【0061】
学習部64は、交換情報を求めるための学習フェーズを担う。学習部64は、交換情報を求めるための学習済みモデルを生成する。
【0062】
推論部65は、交換情報を求めるための推論フェーズを担う。推論部65は、学習済みモデルに基づいて交換情報を求める。
【0063】
(12)交換情報の求め方
以下では、
図4を参照して、本開示の診断方法、すなわち、判定部63が交換情報を求めるための一連の処理を説明する。
【0064】
判定部63は、例えば、一定の周期で交換情報を求めてもよいし、交換情報を要求する指令信号を受信したときに交換情報を求めてもよい。
【0065】
処理部53は、電動工具部1の動作モードが作業モードであるときに計測部4で物理量が計測された場合は、物理量が作業モードで得られたことが分かるように対応付けして、通信部51を介して連携装置6に、物理量の情報を送信する。なお、以下の説明において、作業モードで得られた物理量のことを、「判定用物理量」ということがある。連携装置6の記憶部62は、判定用物理量を記憶する。
【0066】
電動工具部1の動作モードが学習モードである場合、電動工具部1を使用して作業を行ったユーザは、先端工具が交換時期に到達しているか否かを判断する。そして、処理部53は、先端工具が交換時期に到達しているか否かの入力をユーザに行わせる。例えば、ユーザは、先端工具の使用期間の長さ、先端工具の外観、先端工具を用いた作業の作業性、及び、作業が正常に行えたか否かに基づいて、先端工具が交換時期に到達しているか否かを判断する。そして、ユーザは、例えば操作部232を操作することで、判断結果の入力を行う。処理部53は、ユーザからの入力に基づき、先端工具が交換時期に到達していないと判断した場合に、物理量が学習モードで得られたこと、及び、「正常」であることが分かるように物理量と対応付けする。ここで言う「正常」とは、先端工具が交換時期に到達していない(先端工具に異常が無い)ことを意味する。そして、処理部53は、通信部51を介して連携装置6に物理量の情報を送信する。
【0067】
本実施形態では、処理部53は、ユーザからの入力に基づき、先端工具が交換時期に到達していると判断した場合、物理量の情報を連携装置6に送信しない。ただし、交換時期に到達していると判断した場合にも、物理量が学習モードで得られたこと、及び「交換時期に到達している」ことが分かるように対応付けして、物理量の情報が、連携装置6に送信されてもよい。「交換時期に到達している」ことを学習させる場合には、学習モードは、ある程度使い古された先端工具を用いて行われてもよい。また学習モードは、電動工具部1のユーザではなく、連携装置6又は電動工具部1のメーカ側で行われてもよい。メーカ側で行った学習モードでの物理量の情報が、メーカ側のサーバから、インターネット等の外部ネットワークを介して、連携装置6へ送信されてもよい。なお、以下の説明において、学習モードで得られた物理量のことを、「学習用物理量」ということがある。連携装置6の記憶部62は、学習用物理量を記憶する。
【0068】
学習モードにおいて、先端工具が交換時期に到達しているか否かの判断は、通常作業時のモードである作業モードと違って、ある程度熟練者によって行われることが好ましく、作業者に通常作業を行わせる前に、予め複数回行われることが好ましい。
【0069】
また、電動工具部1A及び電動工具部1Bを含む複数の電動工具部1のそれぞれは、自機の識別情報を記憶部52に記憶しており、処理部53は、自機の識別情報を物理量の情報に対応付けて、連携装置6に送信する。その結果、連携装置6は、どの電動工具部1から物理量の情報を受信したのかを、識別情報により特定可能である。
【0070】
また、電動工具部1の動作モードが作業モードである場合に先端工具により作業が行われると、処理部53は、通信部51を介して連携装置6に判定用物理量を送信する。判定用物理量を受信した連携装置6は、先端工具が交換時期に到達しているか否かの判定を自動的に行う。そして、処理部53は、連携装置6による判定の判定結果を受け取り、判定結果に応じて、通知部211を異なる態様で点灯させる。例えば、処理部53は、判定結果が「交換時期に到達している」ことを示す結果である場合、通知部211を赤色で点滅点灯させる。一方で、処理部53は、判定結果が「交換時期に未到達(正常)である」ことを示す結果である場合、通知部211を緑色で連続点灯させる。ユーザは、通知部211の点灯状態を目視することによって、先端工具が交換時期に到達しているか否かを確認することができる。
【0071】
学習モードにおいて、連携装置6の記憶部62は、学習用物理量を記憶する。学習部64は、学習用物理量から基準相関関係(後述する)を抽出する。そして、学習部64は、抽出した基準相関関係に基づいて、基準情報を設定し、記憶部62に基準情報を記憶させる。言い換えると、学習部64は、学習用物理量に基づいて、基準情報を設定する。
【0072】
具体的には、学習部64は、学習用物理量から、種別が互いに異なる複数の特徴量であって先端工具の交換に関する判定の基準となる複数の基準特徴量の間の基準相関関係を抽出(取得)する。ここで、本開示でいう「種別が互いに異なる複数の特徴量」には、第1特徴量と、第2特徴量と、第3特徴量と、第4特徴量と、第5特徴量と、第6特徴量と、が含まれる。複数の基準特徴量は、学習用物理量から抽出される第1特徴量から第6特徴量までを含む。つまり、本実施形態では一例として、複数の特徴量の種別の数(種類数)は、6種類である。ただし、複数の特徴量の種類は、1種類以上であればよく、6種類に限定されない。
【0073】
学習部64により設定される基準情報には、複数の基準相関関係に基づく判定範囲R1(
図4参照)の情報が含まれている。判定範囲R1は、「正常」な先端工具を使用した際に計測された学習用物理量に基づいて、学習部64により設定される。推論部65は、実測相関関係が判定範囲R1内にあるか否かを判定することで、先端工具が交換を必要とするか否かを判定する。実測相関関係とは、複数の実測特徴量の相関関係である。
【0074】
学習部64は、判定範囲R1の設定に、機械学習を利用する。すなわち、学習部64は、人工知能(AI:Artificial Intelligence)による機械学習アルゴリズムによって生成される学習済みモデルを用いて、判定範囲R1を設定する。ここでいう学習済みモデルは、コンピュータシステムが、学習用データ(学習用物理量)から学習用プログラムに基づいて生成するモデルである。
【0075】
本実施形態における第1~第3特徴量はそれぞれ、計測部4で計測された物理量である。すなわち、第1~第3特徴量はそれぞれ、先端工具のトルク、回転数及びスラスト荷重である。
【0076】
本実施形態における第4~第6特徴量は、先端工具の種類に関する種類情報と、先端工具の材質に関する材質情報と、のうち少なくとも一方に基づく特徴量である。種類情報及び材質情報のうち上記少なくとも一方に基づく特徴量は、実測特徴量と基準特徴量とで共通の特徴量である。
【0077】
種類情報及び材質情報は、例えば、ユーザの操作によって電動工具部1の操作部232に入力されて、電動工具部1から連携装置6へ送信される。あるいは、種類情報及び材質情報は、ユーザの操作によって連携装置6に入力されてもよいし、電動工具部1の外部端末(携帯端末等)から連携装置6に入力されてもよい。
【0078】
本実施形態では、第1回目の作業時の複数の基準特徴量の間の基準相関関係、第2回目の作業時の複数の基準特徴量の間の基準相関関係、……、及び、第n回目の作業時の複数の基準特徴量の間の基準相関関係が、各作業の単位で紐付けされて記憶部62に格納(記憶)される。基準相関関係は、例えば[表1]に示すようなデータテーブルの形式で記憶部62に格納されてもよい。
【0079】
【0080】
[表1]の縦列が、複数の基準特徴量の間の基準相関関係に相当する。例えば、[表1]の例では、学習部64は、第1回目の作業時の物理量から、第1特徴量=A1のときに第2特徴量=B1であり、第1特徴量=A1のときに第3特徴量=C1であるという基準相関関係を抽出している。
【0081】
[表1]の例では、n組の基準相関関係を含む複数の基準特徴量群が、記憶部62に格納されている。なお、nは1以上の自然数であり、記憶部62には1組以上の基準相関関係を含む複数の基準特徴量群が格納されている。
【0082】
本実施形態の学習部64は、抽出した基準相関関係を記憶部62に格納した後、分散共分散行列を計算する。本実施形態の分散共分散行列は、記憶部62に格納されている複数の基準特徴量群における第1特徴量~第6特徴量(複数の特徴量)のそれぞれに関連付けられた分散と共分散を含む正方行列の一例である。下の[表2]は、学習部64によって計算された分散共分散行列の一例である。
【0083】
【0084】
[表2]に示すように、分散共分散行列では、n行n列の要素が第n特徴量の分散値となり、n行m列の要素とm行n列の要素とが第n特徴量及び第m特徴量の共分散値となる。なお、nとmとは1以上6以下の数であり、互いに異なる数である。例えば、[表2]における1行6列の要素と6行1列の要素とは同じ値となる。
【0085】
そして、学習部64は、計算した分散共分散行列の逆行列を計算し、式(1)のdで表されるマハラノビス距離が閾値以下となる判定範囲R1(
図4参照)を設定する。ここで、閾値は、例えばユーザによって予め設定された値である。ユーザは、例えば、操作部232に対して操作を行うことで、閾値の設定登録又は変更を行うことが可能である。なお、閾値は記憶部62に格納されている複数の基準相関関係の全てが判定範囲R1に含まれる範囲で設定されることが好ましい。言い換えると、閾値は、記憶部62に格納されている複数の基準相関関係における複数のマハラノビス距離のうち、最大値となるマハラノビス距離以上であることが好ましい。
【0086】
【0087】
ここで、式(1)中のxは判定したいデータ、つまり判定用物理量から抽出される複数の実測特徴量(実測相関関係)である。式(1)中のΣ-1は、分散共分散行列の逆行列である。また、式(1)中のμは、記憶部62に格納されている複数の基準特徴量群の平均値である。すなわち、学習部64は、記憶部62に格納されている複数の基準特徴量群の平均値と、ユーザによって予め設定される閾値と、分散共分散行列の逆行列と、に基づいて、判定範囲R1を設定する。
【0088】
そして、学習部64は、学習用物理量を取得する毎に、基準情報を設定又は更新して、設定又は更新した基準情報を記憶部62に記憶させる。基準情報には、複数の基準相関関係に基づく判定範囲R1が設定されている。本実施形態では一例として、基準情報には、学習部64によって抽出された複数の基準特徴量群の情報、学習部64によって計算された分散共分散行列の逆行列の情報、及び、判定範囲R1の情報が含まれている。
【0089】
記憶部62は、学習部64で設定された基準情報を記憶する。基準情報は、種別が互いに異なる複数の特徴量であって先端工具の交換に関する判定の基準となる複数の基準特徴量の間の基準相関関係に基づいて設定されている。
【0090】
判定部63は、記憶部62に記憶されている基準情報と、判定用物理量から抽出される複数の実測特徴量の間の実測相関関係と、に基づいて、先端工具の交換に関する判定を行う(判定ステップ)。判定部63の推論部65は、判定用物理量が入力されると、判定用物理量から、種別が互いに異なる複数の特徴量であって先端工具の交換に関する判定の対象となる複数の実測特徴量を抽出(取得)する。複数の実測特徴量の種別は複数の基準特徴量の種別と対応しており、複数の実測特徴量は、判定用物理量から抽出される第1特徴量から第6特徴量までを含む。
【0091】
推論部65は、判定用物理量から実測相関関係を抽出すると、基準情報を参照し、式(1)を用いてマハラノビス距離を計算する。そして、推論部65は、マハラノビス距離が閾値以下であるか否か、すなわち実測相関関係が判定範囲R1内にあるか否かを判定する。
【0092】
図4は、判定範囲R1の概念をX軸(横軸)とY軸(縦軸)の二次元で示す概略図である。より具体的には、
図4は、判定範囲R1の概念を第1特徴量(縦軸)及び第2特徴量(横軸)の二次元で示す概略図である。なお、本実施形態の判定範囲R1は、実際には第1特徴量~第6特徴量の6次元で設定され得るが、説明の便宜上、理解し易いように第1特徴量~第6特徴量のうち、ある2つの特徴量だけに着目して判定範囲R1を
図4で図示している。
【0093】
図4における複数の丸形の点F1(プロット)のそれぞれは、複数の基準特徴量の間の基準相関関係を示す点である。複数の点F1のそれぞれは、互いに別の作業時に検知された学習用物理量から抽出されている。すなわち、複数の点F1は、複数の基準特徴量群を示す点である。複数の三角形の点F2(プロット)のそれぞれは、例えば先端工具が劣化している状態での実測相関関係を示す点である。複数の点F2のそれぞれは、互いに別の作業時に検知された判定用物理量から抽出されている。判定範囲R1は、マハラノビス距離が閾値以下である範囲である。推論部65は、点F2のように実測相関関係が判定範囲R1外にあるとき、すなわち、実測相関関係のマハラノビス距離が閾値より大きいとき、先端工具が交換を必要とすると判定する。例えば、推論部65は、
図4に示すように、トルクの増加を先端工具の異常と判定し、先端工具が交換を必要とすると判定する。一方で、推論部65は、実測相関関係が判定範囲R1内にあるとき、すなわち、実測相関関係のマハラノビス距離が閾値以下のとき、先端工具が正常である(先端工具が交換を必要としない)と判定する。
【0094】
このように、判定部63は、計測部4で計測された物理量から抽出された特徴量に関する特徴量空間(
図4参照)における、計測部4で計測され記憶部62に記憶された物理量の位置(つまり、実測相関関係が判定範囲R1内にあるか否か)に基づいて、交換情報を求める。交換情報は、先端工具が交換を必要とするか否かに関する情報である。
【0095】
また、本実施形態の判定部63は、種別が互いに異なる複数の特徴量(
図4では一例として第1特徴量及び第2特徴量)の相関関係に基づいて、先端工具の交換に関する判定を行う。これにより、判定部63が1つの種別の特徴量のみに基づいて判定する場合と比べて判定精度が向上する。
【0096】
先端工具が交換を必要とするか否かを判定部63が判定した後、判定部63は、判定結果を表す交換情報を、通信部61を介して電動工具部1へ送信する。より詳細には、判定部63は、物理量の情報に対応付けられている識別情報に基づいて、識別情報に対応する電動工具部1へ判定結果を送信する。
【0097】
(13)動作
以下では、
図5を参照して、本実施形態の電動工具部1の動作について説明する。電動工具部1は、動作モードが作業モード及び学習モードのいずれのモードに設定されているのかを確認する(S21)。
【0098】
電動工具部1の動作モードが作業モードのとき(S21:作業モード)について説明する。ユーザは、電動工具部1を用いてねじ締め等の作業を行う(S22)。次に、電動工具部1の処理部53は、作業時に計測部4によって検知された物理量を取得する(S23)。処理部53は、通信部51を介して連携装置6に判定用物理量の情報を送信する(S24)。そして、通信部51が連携装置6から判定結果を受信すると(S25)、処理部53は、判定結果が正常を示す判定結果であるか否かを確認する(S26)。処理部53は、判定結果が正常を示す判定結果である場合(S26:Yes)、通知部211を緑色で点灯させて先端工具が未だ「交換時期」に到達していないことを通知し(S27)、処理を終了する。一方で、処理部53は、判定結果が「交換時期」の到達を示す判定結果である場合(S26:No)、通知部211を赤色で点灯させて先端工具が「交換時期」に到達していることを通知し(S28)、処理を終了する。
【0099】
次に、電動工具部1の動作モードが学習モードのとき(S21:学習モード)について説明する。ユーザは、電動工具部1を用いてねじ締め等の作業を行う(S29)。この作業は、先端工具が正常であるとユーザによって判断された作業であるとする。次に、電動工具部1の処理部53は、作業時に計測部4によって計測された物理量を取得する(S30)。処理部53は、通信部51を介して連携装置6に学習用物理量の情報を送信する(S31)。そして、電動工具部1は処理を終了する。
【0100】
なお、
図5に示すフローチャートは、一例に過ぎず、処理の順番が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は削除されてもよい。例えば、ステップS21の電動工具部1の動作モードを確認する処理は、電動工具部1による作業(S22;S29)の後や、処理部53による物理量の取得(S23;S30)の後に行われてもよい。
【0101】
次に、本実施形態の連携装置6の動作について
図6を参照して説明する。連携装置6は、通信部61が電動工具部1から物理量を取得したか否かを確認する(S41)。通信部61が物理量を取得していない場合(S41:No)、連携装置6は、通信部61が物理量を取得するまでステップS41の処理を繰り返す。通信部61が物理量を取得した場合(S41:Yes)、判定部63は、その物理量に対応付けされているモードが学習モードか作業モードかを判定(確認)する(S42)。
【0102】
モードの判定結果が学習モードである場合(S42:学習モード)、通信部61は学習部64に学習用物理量を出力し、学習部64は学習用物理量から複数の基準特徴量の間の基準相関関係を抽出する(S43)。そして、学習部64は、複数の基準特徴量を、例えばデータテーブルの形式で、基準情報として記憶部62に格納する(S44)。次に、学習部64は、記憶部62にある複数の基準特徴量群の分散共分散行列を計算し(S45)、さらに分散共分散行列の逆行列を計算する(S46)。そして、学習部64は、記憶部62に格納されている複数の基準特徴量群の平均値と、ユーザによって予め設定される閾値と、分散共分散行列の逆行列と、に基づいて、判定範囲R1を設定する(S47)。学習部64は、判定範囲R1を設定すると、基準情報を設定(更新)して(S48)、処理を終了する。
【0103】
ステップS43~ステップS48の処理が、学習フェーズの一例である。連携装置6は、学習フェーズにより、学習用物理量から複数の基準特徴量の間の基準相関関係を抽出し、基準情報を初期設定(又は更新)して記憶部62に記憶させる。
【0104】
一方で、ステップS42の処理において、モードの判定結果が作業モードである場合(S42:作業モード)、通信部61は推論部65に判定用物理量を出力し、推論部65は判定用物理量から複数の実測特徴量の間の実測相関関係を抽出する(S49)。推論部65は、学習処理で求められた基準情報を参照して、記憶部62に格納されている複数の基準特徴量群の平均値と、分散共分散行列の逆行列と、複数の実測特徴量と、を用いてマハラノビス距離を計算する(S50)。そして、推論部65は、計算したマハラノビス距離が閾値以下であるか否か、すなわち、複数の実測特徴量の間の実測相関関係が判定範囲R1内か否かを確認する(S51)。実測相関関係が判定範囲R1内である場合(S51:Yes)、推論部65は、先端工具が正常である、すなわち先端工具が未だ「交換時期」に到達していないと判定し(S52)、その旨を示す判定結果を送信し(S53)、処理を終了する。一方で、実測相関関係が判定範囲R1内でない場合(S51:No)、推論部65は、先端工具が「交換時期」に到達していると判定し(S54)、その旨を示す判定結果を送信し(S53)、処理を終了する。
【0105】
ステップS49~ステップS54の処理は、推論部65による推論フェーズの一例である。また、ステップS43~S54の処理は、判定部63による判定ステップの一例である。
【0106】
なお、
図6に示すフローチャートは、一例に過ぎず、処理の順番が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は削除されてもよい。例えば、学習モードのステップS45~ステップS48は、作業モードのステップS49の後に行われてもよい。
【0107】
基準情報は、電動工具部1又は連携装置6の製造出荷の段階で予め初期設定されていてもよい。つまり、電動工具部1を利用するユーザが、実際に作業現場等で、電動工具部1を学習モードに設定して基準情報の設定を行うことは必須ではない。ただし、ユーザ側で基準情報の初期設定や更新(再学習)を行う方が、より使用環境に適した基準情報となり得る。
【0108】
本実施形態において、通信部61は、取得部610(
図1参照)として機能する。取得部610は、先端工具の種類に関する種類情報と、先端工具の材質に関する材質情報と、のうち少なくとも一方を取得する。判定部63は、記憶部62に記憶された物理量と、取得部610で取得された種類情報と材質情報とのうち上記少なくとも一方と、に基づいて、交換情報を求める。より詳細には、判定部63は、上記少なくとも一方に基づいて実測特徴量と基準特徴量とを求め、基準特徴量を、判定範囲R1を求めるために用い、実測特徴量と判定範囲R1とに基づいて交換情報を求める。種類情報及び材質情報を用いることで、例えば、種類情報及び材質情報が先端工具のトルクの大きさ等に及ぼす影響を、先端工具が交換を必要とするか否かの判定に反映することができる。
【0109】
(変形例1)
以下、実施形態の変形例1について説明する。
【0110】
実施形態では、計測部4は、トルク計測部41と、回転数計測部42と、先端工具にかかるスラスト荷重を物理量として計測するスラスト荷重計測部43と、を有する。記憶部62は、トルク計測部41で計測されたトルクと、回転数計測部42で計測された回転数と、スラスト荷重計測部43で計測されたスラスト荷重と、をそれぞれ物理量として記憶する。判定部63は、記憶部62に記憶されたトルクと回転数とスラスト荷重とに基づいて、交換情報を求める。
【0111】
これに対して、計測部4で計測される物理量は、例えば、トルク、回転数及びスラスト荷重のうち1つ又は2つであってもよい。そのため、一例として、計測部4は、先端工具にかかるトルクを物理量として計測するトルク計測部41と、先端工具の回転数を物理量として計測する回転数計測部42と、のうち少なくとも一方を有していてもよい。この場合、判定部63は、トルク計測部41で計測されて記憶部62に記憶されたトルクと、回転数計測部42で計測されて記憶部62に記憶された回転数と、のうち少なくとも一方に基づいて、交換情報を求める。
【0112】
また、計測部4で計測される物理量は、トルク、回転数及びスラスト荷重に限定されない。計測部4で計測される物理量は、例えば、先端工具又は装着部位33の振動に関する物理量(振動の大きさ等)を含んでいてもよい。
【0113】
実施形態では、計測部4で計測される物理量は、トルク、回転数及びスラスト荷重の3つであるが、計測部4で計測される物理量は、1つ、2つ又は4つ以上であってもよい。
【0114】
(実施形態のその他の変形例)
以下、実施形態のその他の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。また、以下の変形例は、上述の変形例1と適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0115】
判定部63は、計測部4で計測された物理量をそのまま特徴量として用いるのではなく、物理量を基に、異なる特徴量を抽出してもよい。
【0116】
判定範囲R1を設定する際の閾値は、ユーザが設定するのに代えて、学習部64が設定してもよい。例えば、学習部64は、記憶部62に格納されている複数の基準相関関係における複数のマハラノビス距離のうち、最大値となるマハラノビス距離を閾値として判定範囲R1を設定してもよい。あるいは、学習部64は、上記の最大値となるマハラノビス距離を基準として判定範囲R1を設定してもよい。例えば、判定範囲R1を設定する際の閾値は、上記の最大値となるマハラノビス距離に所定の係数を掛けた値であってもよい。
【0117】
基準情報は、先端工具が正常な場合に計測された物理量から求められる情報に限定されない。例えば、過去と現在とで同じ先端工具を使用している場合、現在よりも過去の方が先端工具の異常の程度が小さいと考えられるので、基準情報は、過去に計測された物理量から求められる情報であってもよい。
【0118】
上記の実施形態では、クラスター分析の手法として、すなわち正常なデータ群からの「距離」として「マハラノビス距離」を用いる場合について説明した。しかし、判定部63は、「マハラノビス距離」を用いずに、種別が互いに異なる複数の特徴量のうちの2以上の特徴量の間の相関関係に基づいて、先端工具が交換を必要とするか否かに関する判定を行ってもよい。
【0119】
実施形態では、交換情報を求める処理を、連携装置6が行う。これに対して、交換情報を求める処理を、電動工具部1の処理部53が行ってもよい。
【0120】
伝達部位32は、インパクト機構を含んでいなくてもよい。
【0121】
通知部211は、ユーザの視覚に訴えて通知する構成に限定されず、音(音声等)又は振動により通知してもよい。また、通知部211は、電動工具部1の外部端末(携帯端末等)に通知信号を送信する送信機等で実現されてもよい。
【0122】
通知部211を、連携装置6が備えていてもよい。
【0123】
交換情報に基づいた通知を行う通知部211は、電動工具システム100において必須の構成ではない。電動工具システム100は、例えば、判定部63により求められた交換情報を記憶部62に格納してもよい。また、交換情報は、例えば、先端工具の管理(発注及び交換等)についての計画をコンピュータシステムが作成するために使用されてもよい。
【0124】
本開示における電動工具システム100又は診断方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における電動工具システム100又は診断方法の実行主体としての機能の少なくとも一部が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0125】
また、連携装置6の複数の機能が、複数の装置に分散して設けられていてもよい。さらに、連携装置6の少なくとも一部の機能がサーバ又はクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0126】
また、電動工具システム100の構成が、複数の装置に分散して設けられていてもよい。例えば、少なくとも稼動部3を有する電動工具部1が、計測部4と、通信部51と、記憶部52と、通知部211と、提示部231と、処理部53と、のうち少なくとも1つに対して別体に設けられていてもよい。
【0127】
また、実施形態において、連携装置6と電動工具部1とに分散されている電動工具システム100の少なくとも一部の機能が、1つの装置に集約されていてもよい。例えば、実施形態では、連携装置6が電動工具部1とは別に設けられており、連携装置6が判定部63を備える。これに対して、電動工具部1が判定部63を備えていてもよい。この場合、連携装置6は、電動工具システム100の構成要素でなくてもよい。若しくは、電動工具部1が判定部63の一部の機能(例えば、学習部64の機能)を備えていてもよい。
【0128】
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
【0129】
第1の態様に係る電動工具システム(100)は、電動工具部(1)と、計測部(4)と、記憶部(62)と、判定部(63)と、を備える。電動工具部(1)は、携帯可能である。電動工具部(1)は、駆動部位(31)と、装着部位(33)と、伝達部位(32)と、を有する。駆動部位(31)は、動力源(P11)から動力の供給を受け、トルクを発生する。装着部位(33)は、先端工具を装着可能である。伝達部位(32)は、駆動部位(31)からのトルクを装着部位(33)に伝達し装着部位(33)を駆動する。計測部(4)は、電動工具部(1)に関する物理量を計測する。記憶部(62)は、計測部(4)で計測された物理量を記憶する。判定部(63)は、記憶部(62)に記憶された物理量に基づいて、先端工具が交換を必要とするか否かに関する交換情報を求める。
【0130】
上記の構成によれば、ユーザ等は、電動工具部(1)を用いた作業の効率が、先端工具の消耗等によって悪化しているか否かを、交換情報から判断できる。これにより、作業効率が悪化する可能性を低減させることができる。
【0131】
また、第2の態様に係る電動工具システム(100)は、第1の態様において、通知部(211)を更に備える。通知部(211)は、判定部(63)で求められた交換情報に基づいて、先端工具の交換を促す通知を行う。
【0132】
上記の構成によれば、先端工具の交換の必要性の有無をユーザ等が把握できる。
【0133】
また、第3の態様に係る電動工具システム(100)は、第2の態様において、制限部(532)を更に備える。制限部(532)は、装着部位(33)が駆動されているときには通知部(211)が通知を行うことを制限する。
【0134】
上記の構成によれば、作業者が電動工具部(1)を用いて作業をしているときに、通知部(211)による通知が作業者の注意を引いて作業の妨げとなる可能性を低減させることができる。
【0135】
また、第4の態様に係る電動工具システム(100)では、第1~3の態様のいずれか1つにおいて、計測部(4)は、トルク計測部(41)と、回転数計測部(42)と、のうち少なくとも一方を有する。トルク計測部(41)は、先端工具にかかるトルクを物理量として計測する。回転数計測部(42)は、先端工具の回転数を物理量として計測する。
【0136】
上記の構成によれば、判定部(63)は、先端工具が交換を必要とするか否かに関する交換情報をより精度良く求めることができる。
【0137】
また、第5の態様に係る電動工具システム(100)では、第4の態様において、計測部(4)は、トルク計測部(41)と、回転数計測部(42)と、スラスト荷重計測部(43)と、を有する。スラスト荷重計測部(43)は、先端工具にかかるスラスト荷重を物理量として計測する。判定部(63)は、記憶部(62)に記憶されたトルクと回転数とスラスト荷重とに基づいて、交換情報を求める。
【0138】
上記の構成によれば、判定部(63)は、先端工具が交換を必要とするか否かに関する交換情報をより精度良く求めることができる。
【0139】
また、第6の態様に係る電動工具システム(100)は、第1~5の態様のいずれか1つにおいて、取得部(610)を更に備える。取得部(610)は、先端工具の種類に関する種類情報と、先端工具の材質に関する材質情報と、のうち少なくとも一方を取得する。判定部(63)は、記憶部(62)に記憶された物理量と、取得部(610)で取得された種類情報と材質情報とのうち少なくとも一方と、に基づいて、交換情報を求める。
【0140】
上記の構成によれば、判定部(63)は、先端工具が交換を必要とするか否かに関する交換情報をより精度良く求めることができる。
【0141】
また、第7の態様に係る電動工具システム(100)では、第1~6の態様のいずれか1つにおいて、判定部(63)は、物理量から抽出された特徴量に関する特徴量空間における、記憶部(62)に記憶された物理量の位置に基づいて、交換情報を求める。
【0142】
上記の構成によれば、判定部(63)は、先端工具が交換を必要とするか否かに関する交換情報をより精度良く求めることができる。
【0143】
第1の態様以外の構成については、電動工具システム(100)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0144】
また、第8の態様に係る診断方法は、携帯可能な電動工具部(1)に関する診断を行う診断方法である。電動工具部(1)は、駆動部位(31)と、装着部位(33)と、伝達部位(32)と、を有する。駆動部位(31)は、動力源(P11)から動力の供給を受け、トルクを発生する。装着部位(33)は、先端工具を装着可能である。伝達部位(32)は、駆動部位(31)からのトルクを装着部位(33)に伝達し装着部位(33)を駆動する。診断方法は、記憶ステップと、判定ステップと、を有する。記憶ステップでは、計測部(4)で計測された電動工具部(1)に関する物理量を記憶部(62)に記憶させる。判定ステップでは、記憶部(62)に記憶された物理量に基づいて、先端工具が交換を必要とするか否かに関する交換情報を求める。
【0145】
上記の構成によれば、ユーザ等は、電動工具部(1)を用いた作業の効率が、先端工具の消耗等によって悪化しているか否かを、交換情報から判断できる。これにより、作業効率が悪化する可能性を低減させることができる。
【0146】
また、第9の態様に係るプログラムは、第8の態様に係る診断方法を、コンピュータシステムの1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0147】
上記の構成によれば、ユーザ等は、電動工具部(1)を用いた作業の効率が、先端工具の消耗等によって悪化しているか否かを、交換情報から判断できる。これにより、作業効率が悪化する可能性を低減させることができる。
【0148】
上記態様に限らず、実施形態に係る電動工具システム(100)の種々の構成(変形例を含む)は、診断方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体にて具現化可能である。
【符号の説明】
【0149】
1 電動工具部
4 計測部
31 駆動部位
32 伝達部位
33 装着部位
41 トルク計測部
42 回転数計測部
43 スラスト荷重計測部
62 記憶部
63 判定部
100 電動工具システム
211 通知部
532 制限部
610 取得部
P11 動力源