(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067276
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】搬送システム及び判定方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/24 20060101AFI20240510BHJP
B23Q 7/00 20060101ALI20240510BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B23Q17/24 Z
B23Q7/00 M
B23Q11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177227
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】小室 英夫
(72)【発明者】
【氏名】長江 正行
(72)【発明者】
【氏名】勝山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】保木 哲也
【テーマコード(参考)】
3C011
3C029
3C033
【Fターム(参考)】
3C011AA00
3C029EE01
3C029EE20
3C033AA30
(57)【要約】
【課題】搬出装置の欠損、脱落、損傷又は歪みを容易に確認することが可能な搬送システム及び判定方法を提供する。
【解決手段】加工機1によって加工された被加工物を搬送するために用いられる搬出装置と、前記搬出装置を含む領域を撮像する撮像部31と、前記撮像部31が撮像した撮像画像に基づいて、前記搬出装置の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定する判定部41と、を備える、搬送システムHSである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工機によって加工された被加工物を搬送するために用いられる搬出装置と、
前記搬出装置を含む領域を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した撮像画像に基づいて、前記搬出装置の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定する判定部と、
を備える、搬送システム。
【請求項2】
前記加工機によって加工された被加工物が載置されるパレットと、
前記パレット上の前記被加工物を取り出すローダ装置と、
を備え、
前記搬出装置は、前記パレットと前記ローダ装置との少なくともいずれかである、
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記撮像部の画角は、前記パレットの上面全体を含む範囲に設定されており、
前記判定部は、すべての前記被加工物が取り出された後の前記撮像画像に基づいて、前記パレットの欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定する、
請求項2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記撮像部の画角は、前記パレットの上面全体を含む範囲に設定され、
前記判定部は、前記ローダ装置が前記画角内に存在する際の前記撮像画像に基づいて、前記ローダ装置の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定する、
請求項2に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記加工機によって加工された被加工物が載置されるパレットと、
前記パレットに載置されている前記被加工物を、前記パレットの上方で支持する支持部を有するフォーク装置と、
前記支持部によって支持された、前記パレット上の前記被加工物を取り出すローダ装置と、
を備え、
前記撮像部の画角は、前記パレットの上面の上方を含む範囲に設定され、
前記搬出装置は、前記フォーク装置であり、
前記判定部は、前記支持部が前記画角内に存在する際の前記撮像画像に基づいて、前記支持部の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定する、
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記判定部は、前記撮像画像上の前記搬送装置の状態と、前記搬送装置の本来あるべき状態とを比較することで、前記搬送装置の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項7】
加工機によって加工された被加工物を搬送するために用いられる搬出装置を含む領域を撮像部で撮像することと、
前記撮像部が撮像した撮像画像に基づいて、前記搬出装置の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定することと、
を含む、判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システム及び判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加工機で加工された被加工物を搬送する搬送システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。この搬送システムは、被加工物をパレットに載置した状態で加工機から所定の領域まで搬送し、その後、所定の領域にあるパレット上から被加工物である製品を取り出して、予め設定された載置棚へ搬出する。また、搬送システムは、製品以外の残渣である枠部等についてもパレット上から残材回収部等に搬出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、搬送システムは、ローダ装置、パレット、フォーク装置などの搬出装置を含んで構成される。この構成のうち、パレットは、ワークを載置した状態で加工機内に搬入されるため、ワークの加工による熱影響を受けて欠損、脱落、損傷又は歪みが発生する場合がある。また、パレットから被加工物を持ち上げるフォーク装置、及び製品をパレット上(フォーク上)から取り出すローダ装置についても経年使用などにより欠損、脱落、損傷又は歪みが発生する場合がある。そのため、ユーザは、欠損、脱落、損傷又は歪みが発生しているかを定期的に確認する必要があり、この定期的な確認作業がユーザにとって負担が大きく、また効率が悪い。特許文献1では、パレットへの金属溶融物の付着を検出することに関しては記載があるが、搬出装置の欠損、脱落、損傷又は歪みを検出することに関して記載されておらず、上記の定期的な確認作業が必要になる。
【0005】
本発明は、ユーザによる定期的な確認作業を行うことなく、搬出装置の欠損、脱落、損傷又は歪みを容易に確認することが可能な搬送システム及び判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る搬送システムは、加工機によって加工された被加工物を搬送するために用いられる搬出装置と、搬出装置を含む領域を撮像する撮像部と、撮像部が撮像した撮像画像に基づいて、搬出装置の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定する判定部と、を備える。
【0007】
本発明の態様に係る判定方法は、加工機によって加工された被加工物を搬送するために用いられる搬出装置を含む領域を撮像部で撮像することと、撮像部が撮像した撮像画像に基づいて、搬出装置の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定することと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
上記態様に係る搬送システム及び判定方法によれば、加工機によって加工された被加工物を搬送するために用いられる搬出装置を含む領域を撮像し、撮像した撮像画像に基づいて、搬出装置の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定するため、定期的な確認作業を行うことなく、搬出装置の欠損、脱落、損傷又は歪みを容易に確認することができる。
【0009】
また、上記態様の搬送システムにおいて、加工機によって加工された被加工物が載置されるパレットと、パレット上の被加工物を取り出すローダ装置と、を備え、搬出装置は、パレットとローダ装置との少なくともいずれかであってもよい。この構成によれば、少なくともパレット又はローダ装置の欠損、脱落、損傷又は歪みを容易に確認することができる。
【0010】
また、上記態様の搬送システムにおいて、撮像部の画角は、パレットの上面全体を含む範囲に設定されており、判定部は、すべての被加工物が取り出された後の撮像画像に基づいて、パレットの欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定してもよい。この構成によれば、実運用中において、パレットの欠損、脱落、損傷又は歪みを容易に確認することができる。
【0011】
また、上記態様の搬送システムにおいて、撮像部の画角は、パレットの上面全体を含む範囲に設定され、判定部は、ローダ装置が画角内に存在する際の撮像画像に基づいて、ローダ装置の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定してもよい。この構成によれば、実運用中において、ローダ装置の欠損、脱落、損傷又は歪みを容易に確認することができる。
【0012】
また、上記態様の搬送システムにおいて、加工機によって加工された被加工物が載置されるパレットと、パレットに載置されている被加工物を、パレットの上方で支持する支持部を有するフォーク装置と、支持部によって支持された、パレット上の被加工物を取り出すローダ装置と、を備え、撮像部の画角は、パレットの上面の上方を含む範囲に設定され、搬出装置は、フォーク装置であり、判定部は、支持部が画角内に存在する際の撮像画像に基づいて、支持部の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定してもよい。この構成によれば、定期的な確認作業を行うことなく、フォーク装置の欠損、脱落、損傷又は歪みを容易に確認することができる。
【0013】
また、上記態様の搬送システムにおいて、判定部は、撮像画像上の搬送装置の状態と、搬送装置の本来あるべき状態とを比較することで、搬送装置の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定してもよい。この構成によれば、定期的な確認作業を行うことなく、搬出装置の欠損、脱落、損傷又は歪みを容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る搬送システムの一例を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る搬送システムの一例を示す平面図である。
【
図3】本実施形態に係る加工パレットを示す斜視図である。
【
図4】本実施形態に係るフォーク装置を示す斜視図である
【
図5】本実施形態に係るフォーク装置の動作を示す斜視図である。
【
図6】本実施形態に係る撮像部が撮像する画角の一例を模式的に示した図である。
【
図7】本実施形態に係る処理部の概略構成図である。
【
図8】本実施形態に係る加工パレットの異常判定方法を説明する図である。
【
図9】本実施形態に係るフォーク装置の異常判定方法を説明する図である。
【
図10】本実施形態に係るローダ装置の異常判定方法を説明する図である。
【
図11】本実施形態に係る搬送装置の異常判定方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定されない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。また、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されるなど、実際の製品とは、形状、寸法が異なる場合がある。
【0016】
図面において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する場合がある。XYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面における一方向をX方向と表記し、X方向に直交する方向をY方向と表記する。また、XY平面に垂直な方向はZ方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の指す方向が+方向であり、矢印の指す方向とは反対の方向が-方向であるとして説明する。
【0017】
図1は、実施形態に係る搬送システムHSの一例を示す斜視図である。
図2は、実施形態に係る搬送システムHSの一例を示す平面図である。本実施形態において、搬送システムHSは、加工システムPSに適用されている。
図1及び
図2に示すように、加工システムPSは、例えば、加工機1と、ストッカ2と、搬送システムHSとを備える。搬送システムHSは、加工機1によって加工された被加工物を搬送するために用いられる搬出装置を備える。搬送システムHSは、例えば、ローダ装置3と、グリッパ装置4と、加工パレット5と、パレットチェンジャ6と、フォーク装置7と、制御部8と、照明部30と、1つ以上の撮像部31と、処理部32とを備える。なお、ローダ装置3と、グリッパ装置4と、加工パレット5と、パレットチェンジャ6と、フォーク装置7とのそれぞれは、搬送装置の一例である。なお、本実施形態では、搬送システムHSは、2つの撮像部31A、31Bを備える。なお、撮像部31Aと撮像部31Bとのそれぞれを区別しない場合には、単に「撮像部31」と称する場合がある。
【0018】
加工機1は、加工パレット5に載置された加工前のワークWに対して切断などの加工を行い、当該ワークWを製品Waと残材Wbとに切り分ける。この加工とは、製品Waと残材Wbとの接続部分がない、いわゆるジョイントレス加工であってもよいし、ジョイントレス加工以外の加工であってもよい。例えば、加工機1は、加工パレット5に載置された加工前のワークWに対してレーザ光を照射することで、加工パレット5上のワークWを製品Waと残材Wbとに切り分ける。ワークWは、例えば、板状の素材である。残材Wbは、加工機1によってワークWから製品Waが切り出された後に残った板状の素材であって、スケルトンと称される場合がある。例えば、残材Wbは、ワークWの周縁部を含み、互いに繋がった板状の素材である。製品Waと残材Wbとのぞれぞれは、被加工物の一例である。なお、加工機1は、レーザ加工に限定されず、レーザ加工以外の加工方法であってもよい。
【0019】
ここで、加工システムPSには、保管エリアAR1及び搬入出エリアAR2が設けられる。保管エリアAR1には、例えば、加工前のワークWが保管される。また、保管エリアAR1には、加工後のワークW、すなわち製品Waが保管される。搬入出エリアAR2は、加工機1の+X側に配置される。搬入出エリアAR2は、加工機1と保管エリアAR1との間に配置される。例えば、搬入出エリアAR2には、加工前のワークWが保管エリアAR1から搬送される。そして、加工前のワークWは、搬入出エリアAR2から加工機1へ搬入され、加工機1によって製品Waと残材Wbとに切り分けられる。
【0020】
ストッカ2は、保管エリアAR1に配置される。ストッカ2は、加工前のワークW及び加工後の製品Waを保管する。ストッカ2は、例えば、複数の保管棚11と、エレベータ12とを備える。複数の保管棚11は、例えば、鉛直方向(Z方向)に配列されている。保管棚11は、例えば、複数の加工前のワークWが載置された素材パレット(不図示)を保管する。エレベータ12は、素材パレットを保管棚11から取り出し、この素材パレットを昇降させることができる。
【0021】
保管エリアAR1には、仮置エリアAR3が設けられている。仮置エリアAR3は、例えば、ストッカ2に対して+Y側に隣接して設けられている。ストッカ2は、エレベータ12を用いて、複数の加工前のワークWが載置された素材パレットを仮置エリアAR3に配置する。また、保管棚11は、製品Waが集積される製品パレット13を保管する。エレベータ12は、製品パレット13を保管棚11から取り出し、製品パレット13を昇降させることができる。ストッカ2は、製品パレット13を仮置エリアAR3に配置する。仮置エリアAR3に配置された製品パレット13には、ローダ装置3によって製品Waが載置される。ストッカ2は、製品Waが載置された製品パレット13を、仮置エリアAR3から保管棚11へ移載する。
【0022】
ローダ装置3は、加工前のワークW又は製品Waを搬送する。例えば、ローダ装置3は、加工前のワークWを、仮置エリアAR3から搬入出エリアAR2へ搬送し、搬入出エリアAR2に置かれている加工パレット5に載置する。また、ローダ装置3は、レーザ加工後において、加工パレット5からの製品Waの製品搬出処理を行う。例えば、ローダ装置3は、製品搬出処理として、搬入出エリアAR2に置かれている加工パレット5から製品Waを取り出し、取り出した製品Waを仮置エリアAR3の製品パレット13に移載する。ローダ装置3は、例えば、Yレール15と、Yレール15上を走行可能な走行台車16と、走行台車16に設けられる移載装置17とを備える。
【0023】
Yレール15は、加工パレット5の移動方向(X方向)に対する交差方向(Y方向)に延在している。走行台車16の上部には、X方向に延在するXレール18が設けられる。移載装置17は、Xレール18に取り付けられる。
【0024】
移載装置17は、Xレール18に沿って移動可能なX移動体19と、X移動体19に設けられたZ移動体20と、Z移動体20の下端に設けられるローダヘッド21とを備える。Xレール18は、仮置エリアAR3の上方と搬入出エリアAR2の上方とにわたって設けられている。X移動体19は、仮置エリアAR3と搬入出エリアAR2との間で移動可能である。Z移動体20は、鉛直方向(上下方向)に移動可能である。ローダヘッド21には、吸着パッド21pが設けられている。ローダヘッド21は、走行台車16によりY方向に移動し、X移動体19によりX方向に移動し、Z移動体20により鉛直方向に移動する。吸着パッド21pは、例えば、真空又は減圧によって製品Waを吸着可能である。
【0025】
ローダ装置3は、製品Waの製品搬出処理として、加工パレット5から複数の製品Waを一括して取り出してもよいし、製品Waごとに取り出してもよい。また、ローダ装置3は、製品Waの製品搬出処理として、加工パレット5から取り出した複数の製品Waを一括して製品パレット13上へ移載してもよいし、製品ごとに製品パレット13上への移載を行ってもよい。また、1枚のワークWの加工により2種類以上の製品Waが形成される場合、ローダ装置3は、製品Waを種類ごとに仕分けし、製品Waの種類ごとに製品パレット13へ移載してもよい。
【0026】
グリッパ装置4は、加工機1の+X側において加工パレット5の上方に配置される。また、グリッパ装置4は、Y方向に移動可能であり、加工パレット5の上方から退避可能である。なお、
図1及び
図2では、グリッパ装置4が加工パレット5の+Y側に退避した形態を示しているが、グリッパ装置4が加工パレット5の-Y側に退避する形態であってもよい。
【0027】
グリッパ装置4は、加工パレット5に載置された残材Wbを、加工パレット5から取り除く。グリッパ装置4は、残材Wbの+Y側及び-Y側を把持する複数の把持部4aを備える。複数の把持部4aは、X方向に並んでおり、昇降可能に設けられる。グリッパ装置4は、フォーク装置7に持ち上げられた被加工物から、把持部4aにより残材Wbを保持して取り出す。
【0028】
例えば、グリッパ装置4は、加工パレット5から残材Wbを取り除き、その残材Wbを残材回収部10に排出する残材排出処理を実行する。この残材排出処理は、ローダ装置3によって製品Waが加工パレット5から取り出される製品搬出処理の前に実行されてもよいし、製品搬出処理の後に実行されてもよい。
【0029】
グリッパ装置4は、例えば、残材Wbを加工パレット5から取り除く場合には、複数の把持部4aが加工後のワークWの外周近傍の上方へ配置されるように位置決めされる。この状態で、複数の把持部4aは、下降して残材Wbを把持した後、上昇してワークWから残材Wbを持ち上げる。グリッパ装置4は、残材Wbを把持部4aにより把持した状態で、残材回収部10(
図1参照)の上方まで-Y側に移動する。複数の把持部4aが残材Wbの把持を解除することで、残材Wbが落下して残材回収部10に排出される。すなわち、残材回収部10は、グリッパ装置4が移動可能な範囲の下方に配置され、グリッパ装置4が排出する残材Wbを回収する。
【0030】
加工パレット5は、ワークWを載置して加工機1の内外に移動可能である。加工パレット5は、例えば、レール28に沿って移動可能な車輪を備える。レール28は、加工機1からパレットチェンジャ6まで延在している。加工パレット5は、加工前のワークWを支持する。また、加工パレット5は、加工機1によりワークWが切り分けられた製品Wa及び残材Wbを含む被加工物を支持する。加工パレット5は、搬入出エリアAR2と加工機1との間で加工前のワークW又は被加工物を搬送する。
【0031】
図3は、本実施形態に係る加工パレットを示す斜視図である。
図3(A)に示すように、加工パレット5は、例えば、鉛直方向から見て矩形状である。加工パレット5は、例えば、枠部5a及び複数の支持プレート5bを備える。複数の支持プレート5bは、それぞれ板状であり、枠部5aに対して立てた状態で設けられる。複数の支持プレート5bは、それぞれY方向に延在しており、X方向に所定の間隔で並んでいる。複数の支持プレート5bは、平面視において長手方向に延在し、互いに平行に複数配列されている。複数の支持プレート5bは、それぞれ、鋸歯状に形成された上端部5cを有する。複数の支持プレート5bは、ワークWの下面を上端部5c(鋸歯の先端)で支持する。加工パレット5は、
図3(B)に示すように、レーザ加工により切り分けられた製品Wa及び残材Wbを含む被加工物を複数の支持プレート5b上に載置して移動可能である。
【0032】
パレットチェンジャ6は、搬入出エリアAR2に設けられ、加工機1に対して+X側に配置されている。パレットチェンジャ6は、加工機1に対して搬入又は搬出する加工パレット5を入れ替える。また、パレットチェンジャ6は、加工機1に対して加工パレット5の受け渡しを行う。パレットチェンジャ6は、例えば、加工パレット5を牽引することによって、レール28に沿って加工パレット5を搬送する。例えば、加工パレット5には、ワイヤと接続されたフックが掛けられ、このワイヤが駆動部に巻き取られることで加工パレット5が牽引される。なお、加工パレット5を移動させる機構は適宜変更可能であり、例えば、加工パレット5が自走式であってもよい。
【0033】
フォーク装置7は、被加工物が載置された加工パレット5が搬入出エリアAR2に搬入されると、その加工パレット5に載置された被加工物を加工パレット5から受け取り、その被加工物を支持する。例えば、フォーク装置7は、加工機1によりワークWが切り分けられた製品Wa及び残材の両方を持ち上げる。ただし、これに限定されず、フォーク装置7は、製品Wa及び残材のいずれか一方を持ち上げてもよい。
【0034】
図4は、本実施形態に係るフォーク装置7を示す斜視図である。フォーク装置7は、例えば、基部7aと、複数の腕部7b(支持部)と備える。基部7aは、X方向に延びる板状である。複数の腕部7bは、それぞれ基部7aから+Y方向に延びる棒状の部材である。複数の腕部7bは、例えば、加工パレット5の支持プレート5bとほぼ等しいピッチ(中心間距離)でX方向に配列されている。各腕部7bの幅は、加工パレット5において隣り合う2つの支持プレート5bのギャップよりも狭く設定されている。各腕部7bは、隣り合う2つの支持プレート5bの間に挿入可能である。各腕部7bの上面7cは、ワークWが受け渡される際に、ワークWの下面と対向する。腕部7bの上面7cには複数の吸着パッド7dが設けられる。複数の吸着パッド7dは、腕部7bの長さ方向(Y方向)に並んでいる。フォーク装置7は、基部7aを駆動する駆動部(図示せず)、及びガイド7eを備える。ガイド7eは、X方向における基部7aの両側にそれぞれ配置され、Y方向に延びている。フォーク装置7の駆動部は、基部7aおよび複数の腕部7bをガイド7eに沿って、Y方向に移動させる。
【0035】
図5(A)の状態では、ワークWは、加工パレット5の複数の支持プレート5bによって支持されている。
図5(B)に示すように、複数の腕部7bがワークWの下方に配置された状態で、加工パレット5は、複数の腕部7bに対して下方に移動し、ワークWが複数の腕部7b上に渡される。複数の腕部7bは、それぞれ、加工パレット5の複数の支持プレート5bの間でワークWの下面を支持する。なお、フォーク装置7は、複数の腕部7bが上方に移動することで加工パレット5からワークWを受け取るものでもよい。このように、フォーク装置7の腕部7bと、加工パレット5とのいずれか又は両方を鉛直方向に移動させることで、フォーク装置7の腕部7bが加工パレット5からワークWを受け取る。
【0036】
フォーク装置7は、被加工物と加工パレット5とがレーザ加工により溶着を生じている場合、ワークWが複数の腕部7bに支持された状態で加工パレット5が下方に移動することで、溶着を剥がして、ワークWを加工パレット5から分離することができる。ローダ装置3は、腕部7bの吸着パッド7dに支持されている製品Waをピックアップして製品パレット13上へ移載する。また、グリッパ装置4は、腕部7bの吸着パッド7dに支持されている残材Wbを加工パレット5から取り除き、残材回収部10に排出する残材排出処理を実行する。
【0037】
制御部8は、加工機1を統括して制御する。制御部8は、加工機1、ストッカ2、ローダ装置3、グリッパ装置4、加工パレット5、パレットチェンジャ6、フォーク装置7のそれぞれの動作を制御する。制御部8は、例えば、不図示の記憶装置に記憶されている所定のプログラム及びデータを読み込んで、又は、上位の装置から送られたプログラム及びデータに基づいて各部の動作を制御する。
【0038】
照明部30は、水平方向に関して、フォーク装置7に対し一方の側に配置される。また、照明部30は、搬入出エリアAR2に配置された加工パレット5に対し一方の側に配置される。本実施形態において、フォーク装置7に対する一方の側は、フォーク装置7の+X側である。一例として、照明部30は、ストッカ2に取り付けられている。照明部30は、例えば、搬入出エリアAR2において、加工パレット5の上面全体を含む範囲に光を照射する向き(姿勢)で配置される。照明部30は、例えば、LED照明が用いられる。照明部30から照射する光は、例えば可視光である。
【0039】
なお、本実施形態では、1つの照明部30が用いられるが、2つ以上の照明部30が用いられてもよい。照明部30は、連続して光を照射する形態であってもよいし、間欠的に光を照射する形態であってもよい。また、照明部30は、フォーク装置7の上面7c全体を照らすように拡がる光を照射するが、この形態に限定されない。例えば、照明部30は、狭い範囲で広がる光を、平面視におけるフォーク装置7や加工パレット5に対する角度を変化させつつ照射する(走査する)ことで、所定の時間周期でフォーク装置7や加工パレット5の上面全体を照らすように光を照射する形態であってもよい。この場合、照明部30は、撮像部31が撮像している間に、フォーク装置7や加工パレット5の上面全体をカバーするように、光を少なくとも1周期分の時間照射する。
【0040】
撮像部31は、例えばカメラであって、搬入出エリアAR2に配置された加工パレット5の-X側に配置される。撮像部31は、例えば、加工機1に取り付けられている。例えば、2つの撮像部31のうち、撮像部31AがY方向の+Y側に配置され、撮像部31BがY方向の-Y側に配置される。
【0041】
撮像部31は、搬出装置を撮像する。例えば、撮像部31は、搬入出エリアAR2における所定の領域を撮像することで搬出装置を撮像する。ここで、撮像部31が撮像する搬出装置は、例えば、ローダ装置3と、加工パレット5と、フォーク装置7とのうち、1つ以上である。
図6は、撮像部31が撮像する画角の一例を模式的に示した図である。
図6に例示するように、撮像部31は、例えば、搬入出エリアAR2に置かれているフォーク装置7の上面全体を撮像可能な画角(撮影画角)を有する。また、この撮影画角は、搬入出エリアAR2に置かれている加工パレット5の上面全体を含む範囲に設定されている。例えば、撮像部31の撮影画角は、加工パレット5の上面全体及び加工パレット5の上方空間(被加工物を支持したときの上面7c全体を含む範囲)を含むように設定されている。なお、撮影画角は、実運用中では固定されている。
【0042】
撮像部31は、例えば、搬入出エリアAR2に加工パレット5が搬入したタイミングや、フォーク装置7が被加工物を支持している状態において撮像することで、その加工パレット5上のすべての被加工物が映った撮像画像を取得可能である。加工パレット5上の被加工物とは、加工パレット5に載置されている状態の被加工物であってもよいし、フォーク装置7によって加工パレット5の上方で支持された状態の被加工物であってもよい。なお、撮像画像に被加工物が映っている必要はない。すなわち、撮像部31は、上述した撮影画角の撮像画像を取得すればよい。撮像部31は、撮像した撮像画像を処理部32に送信する。撮像画像とは、静止画でもよいし、動画であってもよい。
【0043】
処理部32は、撮像部31A、31Bのそれぞれと有線又は無線で接続されている。また、処理部32は、照明部30と有線又は無線で接続されている。処理部32は、制御部8と有線又は無線で接続されている。
図7は、本実施形態に係る処理部32の概略構成図である。
図7に示すように、処理部32は、例えば、判定部41と、認識部42と、出力部43とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integrated circuit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。記憶装置は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により構成される。
【0044】
判定部41は、撮像部31が撮像した撮像画像に基づいて、搬出装置の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定する。判定部41は、例えば、撮像画像上の搬送装置の状態と、搬送装置の本来あるべき状態とを比較することで、搬送装置の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定する。一例として、判定部41は、搬出装置が映っている撮像画像を撮像部31から取得する。そして、判定部41は、取得した撮像画像と、予め取得した搬送装置の基準画像とを比較することで、搬送装置の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定する。例えば、基準画像は、搬送装置の欠損、脱落、損傷及び歪みが無い状態、すなわち本来あるべき状態での搬出装置の撮像画像である。
【0045】
例えば、搬送システムにおいて、複数の撮像部31A,31Bが設けられている場合には、判定部41は、複数の撮像部31A,31Bそれぞれに対応して基準画像を予め有しており、複数の撮像部31A,31Bそれぞれにより撮像された複数の撮像画像について、これらの撮像画像と、複数の撮像部31A,31Bそれぞれに対応する基準画像とに基づいて、搬送装置の欠損、脱落、損傷又は歪みがあるか否かの判定を行ってもよい。そして、判定部41は、その判定結果を統合して、搬送装置の欠損、脱落、損傷又は歪みがあるか否かの判定を最終的に行ってもよい。例えば、判定部41は、すべての判定結果が、搬送装置の欠損、脱落、損傷又は歪みがあるである場合に、搬送装置の欠損、脱落、損傷又は歪みがあると判定してもよい。例えば、判定部41は、複数の判定結果のうち、多数決論理で、搬送装置の欠損、脱落、損傷又は歪みがあるか否かを判定してもよい。ただし、これに限定されず、判定部41は、撮像部31Aの撮像画像と、撮像部31Bの撮像画像とのいずれかを用いて、搬出装置の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定してもよい。
【0046】
判定部41は、基準画像を用いずに、搬送装置の欠損、脱落、損傷又は歪みがあるか否かを判定してもよい。例えば、判定部41は、撮像部31が撮像した撮像画像に対して、公知の画像処理を適用することで、撮像画像内の搬出装置に、欠損、脱落、損傷又は歪みがあるか否かを判定してもよい。例えば、判定部41は、欠損、脱落、損傷及び歪みが無い状態での搬送装置の形状データを予め取得しておく。そして、判定部41は、撮像部31から撮像画像を取得すると、その撮像画像に対して公知の画像処理を行って搬出装置の形状が本来あるべき状態、すなわち欠損、脱落、損傷及び歪みが無い状態での搬送装置の形状であるか否かを判定する。なお、以下において、搬出装置の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定することを、異常判定と称する場合がある。
【0047】
以下に、搬送装置の異常判定方法について説明する。まず、搬出装置の一例として、加工パレット5の異常判定方法について、
図8を用いて説明する。
図8は、加工パレット5の異常判定方法を説明する図である。
図8(A)は、加工パレット5を撮像部31で撮像する様子を模式的に表した図である。
【0048】
加工パレット5の異常判定を行うにあたって、撮像部31は、支持プレート5bの全体が撮影画角VAの範囲に含まれている場合に撮像する。これにより、撮像部31は、加工パレット5の上面全体、すなわち支持プレート5bの全体を撮像する。例えば、搬入出エリアAR2に置かれている加工パレット5に被加工物が載置されていない場合において、撮像部31による撮像が行われることで、処理部32は、加工パレット5の上面全体の撮像画像を取得することができる。一例として、撮像部31は、実運用中において、加工パレット5上の被加工物がローダ装置3及びグリッパ装置4によってすべて取り出され、その後にフォーク装置7の腕部7bが支持プレート5bよりも下方に位置した際に、撮像部31による撮像が行われてもよい。判定部41は、撮像部31が撮像した撮像画像を取得すると、撮像画像上の加工パレット5の状態と、加工パレット5の本来あるべき状態とを比較することで、加工パレット5の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定する。
【0049】
図8(B)は、加工パレット5の異常状態の一例を示す。加工パレット5の脱落とは、例えば、一部の支持プレート5bが加工パレット5から脱落した状態である。加工パレット5の損傷とは、例えば、支持プレート5b又は上端部5cに傷が付いた状態である。加工パレット5の欠損とは、例えば、
図8(B)に例示するように、支持プレート5bの上端部5cの欠損(LS1)である。判定部41は、撮像画像上の支持プレート5bの上端部5cが欠損しているか否かを判定し、上端部5cが欠損していれば異常と判定する。例えば、判定部41は、取得した撮像画像上の支持プレート5bの上端部5cが欠損している場合には、取得した撮像画像と、予め取得した加工パレット5の基準画像とが一致しないため、加工パレット5の欠損があると判定する。
【0050】
次に、搬出装置の一例として、フォーク装置7の異常判定方法について、
図9を用いて説明する。
図9は、フォーク装置7の異常判定方法を説明する図である。
図9(A)は、フォーク装置7を撮像部31で撮像する様子を模式的に表した図である。フォーク装置7の異常判定を行うにあたって、撮像部31は、フォーク装置の腕部7bの上面7c全体が撮影画角VAの範囲に含まれている場合に撮像する。これにより、撮像部31は、フォーク装置の腕部7bの上面7c全体を撮像する。例えば、撮像部31は、フォーク装置の腕部7bの上面7cが支持プレート5bよりも上方の位置している場合に撮像する。具体例として、実運用中において、フォーク装置7によって支持されている被加工物がローダ装置3及びグリッパ装置4によってすべて取り出された直後に撮像部31による撮像が行われる。また、実運用中であるか否かに関わらず、フォーク装置7が搬入出エリアAR2に設けられ、且つ、加工パレット5が搬入出エリアAR2に搬入されていない場合に撮像部31による撮像が行われてもよい。
【0051】
判定部41は、撮像部31が撮像したフォーク装置7の撮像画像を取得すると、撮像画像上のフォーク装置7の状態と、フォーク装置7の本来あるべき状態とを比較することで、フォーク装置7の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定する。フォーク装置7の脱落とは、例えば、一部の腕部7bが脱落した状態である。フォーク装置7の損傷とは、例えば、腕部7b又は吸着パッド7dに傷が付いた状態である。
図9(B)は、フォーク装置7の欠損の一例を示す。フォーク装置7の欠損とは、例えば、
図9(B)に例示するように、腕部7bの吸着パッド7dが外れている場合である(LS2)。判定部41は、撮像部31から撮像画像を取得すると、撮像画像上の腕部7bの1つ以上の吸着パッド7dが外れているか否かを判定し、吸着パッド7dが外れていると判定した場合には異常と判定する。例えば、判定部41は、取得した撮像画像上の腕部7bの吸着パッド7dが欠損している場合には、その取得した撮像画像と、予め取得したフォーク装置7の基準画像とが一致しないため、フォーク装置7の欠損があると判定する。
【0052】
次に、搬出装置の一例として、ローダ装置3の異常判定方法について、
図10を用いて説明する。
図10は、ローダ装置3の異常判定方法を説明する図である。
図10(A)は、ローダ装置3を撮像部31で撮像する様子を模式的に表した図である。ローダ装置3の異常判定を行うにあたって、撮像部31は、ローダ装置3のローダヘッド21が撮影画角VAの範囲に含まれている場合に撮像する。これにより、撮像部31は、ローダ装置3のローダヘッド21を撮像する。具体例として、実運用中において、ローダ装置3が加工パレット5上における被加工物の取り出しが行われている際に撮像部31による撮像が行われる。
【0053】
判定部41は、撮像部31が撮像したローダ装置3の撮像画像を取得すると、撮像画像上のローダ装置3の状態と、ローダ装置3の本来あるべき状態とを比較することで、ローダ装置3の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定する。ローダ装置3の脱落とは、例えば、ローダヘッド21又はローダヘッド21に取り付けられている部品が脱落した状態である。ローダ装置3の損傷とは、例えば、ローダヘッド21又は吸着パッド21pに傷が付いた状態である。
図10(B)は、ローダ装置3の欠損の一例を示す。ローダ装置3の欠損とは、例えば、
図10(B)に例示するように、吸着パッド21pが外れている場合である(LS3)。ただし、これに限定されず、ローダ装置3の欠損とは、ローダヘッド21の欠損又は歪みであってもよい。判定部41は、撮像部31から撮像画像を取得すると、撮像画像上のローダ装置3の欠損が外れているか否かを判定し、ローダ装置3が欠損していると判定した場合には異常と判定する。例えば、判定部41は、取得した撮像画像上のローダ装置3が欠損している場合には、その取得した撮像画像と、予め取得したローダ装置3の基準画像とが一致しないため、ローダ装置3の欠損があると判定する。
【0054】
認識部42は、加工パレット5上における被加工物の撮像画像を撮像部31から取得する。認識部42は、その取得した撮像画像に基づいて、加工パレット5上の被加工物のそれぞれを認識する。例えば、認識部42は、撮像部31から取得した撮像画像に映っている各被加工物を、被加工物の設計情報に基づいて認識する。例えば、認識部42は、被加工物である製品Wa及び残材Wbの設計形状に基づいて、撮像画像からパターンマッチングにより製品Wa及び残材Wbを認識する。ただし、これに限定されず、認識部42は、製品Wa及び残材Wbの認識方法として、パターンマッチング以外の公知の技術、例えば、テンプレートマッチングなどの他の画像認識手法を用いることができる。設計情報は、加工パレット5上における各製品Wa及び残材Wbの形状情報及び位置情報を含む。設計情報は、例えば、ワークWに対して複数の製品Waが割り付けられたネスティングデータであってもよい。ネスティングデータは、例えば、ワークWから複数の製品を切断するためのレイアウトデータである。
【0055】
出力部43は、判定部41よる判定結果を外部装置に出力する。例えば、出力部43は、判定部41が異常と判定した場合には、その判定結果を外部装置に出力する。一例として、出力部43は、判定部41において加工パレット5の欠損、脱落、損傷又は歪みがあると判定された場合には、加工パレット5の欠損、脱落、損傷又は歪みがある旨を外部装置に出力する。出力部43は、判定部41においてフォーク装置7の欠損、脱落、損傷又は歪みがあると判定された場合には、フォーク装置7の欠損、脱落、損傷又は歪みがある旨を外部装置に出力する。出力部43は、判定部41においてローダ装置3の欠損、脱落、損傷又は歪みがあると判定された場合には、ローダ装置3の欠損、脱落、損傷又は歪みがある旨を外部装置に出力する。上記の外部装置とは、例えば、ディスプレイ、コンピュータ、携帯端末又はウェアラブル端末である。すなわち、出力部43は、判定部41の判定結果を、ディスプレイに表示させたり、コンピュータ、携帯端末又はウェアラブル端末に通知したりする。出力部43による外部装置への通知とは、特に限定されないが、例えば、メールでの通知、ポップアップ通知、又はSNSを利用した通知であってもよい。
【0056】
出力部43は、認識部42の認識結果を制御部8又は外部装置に出力する。この認識結果は、例えば、設計通りに加工が行われた否かの確認のために用いられてもよいし、ローダ装置3やグリッパ装置4の制御に用いられてもよいし、その両方であってもよい。例えば、この認識結果は、制御部8に出力され、製品Wa又は残材Wbを加工パレット5上から取り出すための目標位置として使用される。
【0057】
以下に、本実施形態に係る搬送装置の異常判定方法の流れの一例を説明する。
図11は、搬送装置の異常判定方法のフロー図である。加工前のワークWが載置された加工パレット5が加工機1に搬入されると、加工機1は、加工パレット5上のワークWを加工して、ワークWを製品Wa及び残材Wbに切り分ける。加工機1によって切り分けられた製品Waと残材Wbとを含む被加工物は、加工パレット5に載置された状態で、加工機1から搬入出エリアAR2へ搬出される(ステップS101)。換言すれば、製品Waと残材Wbとを含む被加工物が載置された加工パレット5は、加工機1から搬入出エリアAR2へ搬出される。
【0058】
搬入出エリアAR2へ加工パレット5が搬出されると、制御部8は、ワークWの下方に配置された複数の腕部7bを上昇又は加工パレット5を下降させることで、被加工物を腕部7bによって支持させる(ステップS102)。制御部8は、ステップS102の処理が終了すると撮影指令を処理部32に通知する。処理部32は、撮影指令を制御部8から受信すると、照明部30を制御して、被加工物が載置された加工パレット5に対して光を照射させ、その加工パレット5上の被加工物を撮像部31に撮像させる(ステップS103)。
【0059】
処理部32は、ステップS103で撮像された撮像画像に基づいて、加工パレット5上の被加工物の形状及び位置を認識する(ステップS104)。そして、処理部32は、認識した被加工物の形状及び位置の情報を制御部8に送信する。制御部8は、処理部32から得られた被加工物の形状及び位置の情報に基づいて、ローダ装置3及びグリッパ装置4を制御することで製品Waを搬送させ、且つ、残材Wbを排出させる(ステップS105)。処理部32は、ステップS105を実施する直前又は実施中において、撮像部31によるローダヘッド21の撮像を実行させる(ステップS106)。例えば、処理部32は、ローダ装置3による製品Waのピッキングが行われている場合において、撮像部31の撮像を実行させることで、ローダヘッド21を撮像させる。一例として、制御部8は、撮影画角VAの範囲の情報を予め有しており、ローダヘッド21の位置が撮影画角VAの範囲内になった場合に、撮影指令を処理部32に送信してもよい。
【0060】
処理部32は、ステップS106で撮像された撮像画像に基づいて、ローダ装置3の異常判定を行う。具体的には、処理部32は、ステップS106で撮像された撮像画像に基づいて、ローダヘッド21の欠損、脱落、損傷又は歪みがあるか否かを判定する(ステップS107)。処理部32は、ローダヘッド21の欠損、脱落、損傷又は歪みがあると判定した場合には、ローダ装置3に異常があると判定して、加工システムPSを停止させるか否かを判定する(ステップS108)。一例として、処理部32は、異常の程度、すなわち、ローダヘッド21の欠損、脱落、損傷又は歪みの程度に基づいて、加工システムPSを停止させるか否かを判断する。具体例として、処理部32は、撮像画像に基づいて、ローダヘッド21の欠損、脱落、損傷又は歪みの大きさを検出し、検出した大きさが所定値以上である場合には、加工システムPSを停止させると判定する。
【0061】
処理部32によって加工システムPSを停止させないと判定された場合には、出力部43は、外部装置に対して、ローダ装置3の異常を通知する(ステップS109)。処理部32は、ステップS109の通知後にステップS112に移行する。一方、処理部32によって加工システムPSを停止させると判定された場合には、処理部32は、ローダ装置3の異常を示す情報と、加工システムPSを停止させることを示す情報を外部装置に通知する(ステップS110)。また、処理部32は、加工システムを停止させる旨を制御部8に通知する。制御部8は、その通知を受け取ると、加工システムを停止させる(ステップS111)。
【0062】
ステップS107において、処理部32は、ローダヘッド21の欠損、脱落、損傷又は歪みがないと判定した場合には、ステップS112に移行する。ステップS112において、処理部32は、加工パレット5上における全ての被加工物の取り出しが完了したか否かを判定する。例えば、制御部8は、残材排出処理及び製品搬出処理が完了した場合には、その旨を処理部32に通知する。処理部32は、その通知を受信した場合には、全ての被加工物の取り出しが完了したと判定する。
【0063】
処理部32は、全ての被加工物の取り出しが完了したと判定した場合には、撮像部31によって撮像させることで、フォーク装置7の腕部7b全体の撮像画像を取得する(ステップS113)。そして、処理部32は、取得した撮像画像に基づいて、フォーク装置7の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定する(ステップS114)。処理部32は、フォーク装置7の欠損、脱落、損傷又は歪みがあると判定した場合には、ステップS108と同様の方法で、加工システムPSを停止させるか否かを判定する(ステップS115)。処理部32によって加工システムPSを停止させないと判定された場合には、出力部43は、外部装置に対して、フォーク装置7の異常を通知する(ステップS116)。処理部32は、ステップS116の通知後にステップS119に移行する。
【0064】
一方、処理部32によって加工システムPSを停止させると判定された場合には、処理部32は、フォーク装置7の異常を示す情報と、加工システムPSを停止させることを示す情報を外部装置に通知する(ステップS117)。また、処理部32は、加工システムPSを停止させる旨を制御部8に通知する。制御部8は、その通知を受け取ると、加工システムPSを停止させる(ステップS118)。
【0065】
ステップS119において、制御部8は、複数の腕部7bが支持プレート5bより下方に位置するように腕部7b又は支持プレート5bを移動させる。そして、処理部32は、少なくとも腕部7bが鉛直方向において支持プレート5bよりも下方に位置した場合には、撮像部31によって撮像させる(ステップS120)。一例として、制御部8は、複数の腕部7bが支持プレート5bよりも下方に位置した後の任意のタイミングにおいて、処理部32に対して撮影指令を通知する。処理部32は、その撮影指令を受信すると、撮像部31の撮像を実行させることで、支持プレート5b全体の撮像画像を取得する。
【0066】
処理部32は、ステップS120において取得した撮像画像に基づいて、加工パレット5の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定する(ステップS121)。処理部32は、加工パレット5の欠損、脱落、損傷又は歪みがあると判定した場合には、ステップS108と同様の方法で、加工システムを停止させるか否かを判定する(ステップS122)。処理部32によって加工システムを停止させないと判定された場合には、出力部43は、外部装置に対して、加工パレット5の異常を通知する(ステップS123)。処理部32は、ステップS123の通知後にステップS126に移行する。ステップS126においては、制御部8は、加工前のワークWを加工パレット5に載置して加工機1内へ搬送させる。
【0067】
一方、処理部32によって加工システムPSを停止させると判定された場合には、処理部32は、加工パレット5の異常を示す情報と、加工システムPSを停止させることを示す情報を外部装置に通知する(ステップS124)。また、処理部32は、加工システムPSを停止させる旨を制御部8に通知する。制御部8は、その通知を受け取ると、加工システムPSを停止させる(ステップS125)。
【0068】
なお、ステップS111,ステップS118,ステップS125において加工システムPSの停止とは、一時的に動作を停止させることを含む。従って、異常が解消された場合には、加工システムPSの動作を再開させてもよい。
【0069】
加工システムPSにおいて、加工機1、ストッカ2、ローダ装置3、グリッパ装置4、加工パレット5、パレットチェンジャ6、及びフォーク装置7のそれぞれの配置位置は、任意に変更可能であって、上述した配置位置には限定されない。例えば、
図1及び
図2に示す例では、加工機1に対して+X方からワークWが搬送されるが、これに限定されず、-X方向から加工機1に対してワークWが搬送されてもよい。
【0070】
また、判定部41は、異常判定を実行するにあたって、例えば、搬送装置の撮像画像に対して各種画像処理を適用する。ここで、この画像処理は、例えば、輪郭及び影の少なくともいずれかを検出する処理を含んでもよい。また、画像処理は、撮像画像内の被加工物の歪みを補正する補正処理を含んでもよい。例えば、補正処理は、撮像部31から得られる撮像画像が、斜めから被加工物を撮像した画像である場合には、被加工物を真上から撮像した画像となるように当該撮像画像を補正する処理を含んでもよい。
【0071】
上記実施形態は、以下の構成を開示する。
(構成1)
加工機1によって加工された被加工物を搬送するために用いられる搬出装置と、
搬出装置を含む領域を撮像する撮像部31と、
撮像部31が撮像した撮像画像に基づいて、搬出装置の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定する判定部41と、
を備える、搬送システム。
(構成2)
加工機1によって加工された被加工物が載置される加工パレット5と、
加工パレット5上の前記被加工物を取り出すローダ装置3と、
を備え、
搬出装置は、加工パレット5とローダ装置3との少なくともいずれかである、
構成1に記載の搬送システム。
(構成3)
撮像部31の画角は、加工パレット5の上面全体を含む範囲に設定されており、
判定部41は、すべての被加工物が取り出された後の撮像画像に基づいて、加工パレット5の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定する、
構成1又は構成2に記載の搬送システム。
(構成4)
撮像部31の撮影画角は、加工パレット5の上面全体を含む範囲に設定され、
判定部41は、ローダ装置3が撮影画角内に存在する際の撮像画像に基づいて、ローダ装置3の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定する、
構成1から構成3のいずれかに記載の搬送システム。
(構成5)
加工機1によって加工された被加工物が載置される加工パレット5と、
加工パレット5に載置されている被加工物を、加工パレット5の上方で支持する腕部7bを有するフォーク装置7と、
腕部7bによって支持された、加工パレット5上の被加工物を取り出すローダ装置3と、
を備え、
撮像部31の撮影画角は、加工パレット5の上面の上方を含む範囲に設定され、
搬出装置は、フォーク装置7であり、
判定部41は、腕部7bが撮影画角内に存在する際の撮像画像に基づいて、腕部7bの欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定する、
構成1から構成4のいずれかに記載の搬送システム。
(構成6)
判定部41は、撮像画像上の搬送装置の状態と、搬送装置の本来あるべき状態とを比較することで、搬送装置の欠損、脱落、損傷又は歪みの有無を判定する、
構成1から5のいずれか一項に記載の搬送システム。
【0072】
上述した実施形態等で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述した実施形態等で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、本実施形態において示した各手順の実行順序は、前の手順の結果を後の手順で用いない限り、任意の順序で実現可能である。また、上述した実施形態における動作に関して、便宜上「まず」、「次に」、「続いて」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須ではない。
【符号の説明】
【0073】
W・・・ワーク
Wa・・・製品
Wb・・・残材
PS・・・加工システム
HS・・・搬送システム
1・・・加工機
2・・・ストッカ
3・・・ローダ装置(搬送装置)
4・・・グリッパ装置(搬送装置)
5・・・加工パレット(搬送装置)
6・・・パレットチェンジャ
7・・・フォーク装置(搬送装置)
8・・・制御部
30・・・照明部
31・・・撮像部
32・・・処理部
41・・・判定部