(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067287
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】発汗センサ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20240510BHJP
G01N 27/04 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
A61B5/00 N
G01N27/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177241
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】518212241
【氏名又は名称】公立大学法人公立諏訪東京理科大学
(72)【発明者】
【氏名】今井翔太
(72)【発明者】
【氏名】橋元伸晃
【テーマコード(参考)】
2G060
4C117
【Fターム(参考)】
2G060AA15
2G060AD06
2G060AF08
2G060AG10
2G060AG15
2G060KA05
4C117XA01
4C117XB01
4C117XC40
4C117XD05
4C117XE03
4C117XE06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】従来の塩分濃度計測装置のセンサ部には皮膚への配置構造が明示されておらず、曲面構造の皮膚にフィットするか不明である上に、汗腺から出て時間の経過した古くなった汗がセンサ部にとどまり、本来測定したい汗腺から出たばかりの新鮮な汗の測定ができないという課題があった。本発明の発汗センサは、以上のような従来の課題に鑑み、皮膚の曲面構造に追従するように貼り付け部位に合わせて曲げられ、発汗したばかりの新鮮な汗で古くなった汗を押し出すセルフリフレッシュ構造を有する発汗センサを提供し、発汗したばかりの新鮮な汗を正確に計測ができるようにする構造とすることを目的としている。
【解決手段】本発明の発汗センサは、フレキシブルな基材と、前記基材には大気下に連通している流路が形成されており、前記流路中に汗成分計測部を有する構成と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚汗腺上に載置されたフレキシブルな基材と、
前記基材と皮膚面で形成され大気下に連通している流路と、
前記流路中に汗成分計測部と、を有する発汗センサ。
【請求項2】
前記流路中には、ギャップ保持構造が存在することを特徴とする請求項1記載の発汗センサ。
【請求項3】
前記汗成分計測部は一対の電極からなることを特徴とする、請求項1または請求項2記載の発汗センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発汗センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の塩分濃度計測装置には、基板、及び前記基板に配置される櫛歯状の一対の電極を備える塩分センサと、前記一対の電極の間の電気伝導度を計測する電気伝導度計測部と、前記電気伝導度に基づき、前記一対の電極の間にある汗の塩分濃度を算出する演算部と、を備えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の塩分濃度計測装置のセンサ部には皮膚への配置構造が明示されておらず、曲面構造の皮膚にフィットするか不明である上に、汗腺から出て時間の経過した古くなった汗がセンサ部にとどまり、本来測定したい汗腺から出たばかりの新鮮な汗の測定ができないという課題があった。
【0005】
本発明の発汗センサは、以上のような従来の課題に鑑み、皮膚の曲面構造に追従するように貼り付け部位に合わせて曲げられ、発汗したばかりの新鮮な汗で古くなった汗を押し出すセルフリフレッシュ構造を有する発汗センサを提供し、発汗したばかりの新鮮な汗を正確に計測ができるようにする構造とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明の発汗センサは、フレキシブルな基材と、前記基材には大気下に連通している流路が形成されており、前記流路中に汗成分計測部を有する構成と、を備える。フレキシブルな基材で構成されているため、センサを容易に曲げることができる。よって、貼り付け部位皮膚の曲面に合わせてセンサを適切に曲げることができ、合わせて、古くなった汗を新鮮な汗で置換することができるので、連続して安定した汗を計測することができるという効果を有する。
【0007】
[2]本発明の発汗センサは、センサと皮膚面の間にキャップ保持構造がある。この保持構造があるので、安定した新鮮な汗の流れを作り出すことができるという効果を有する。
【0008】
[3]本発明の発汗センサは、汗成分計測部は一対の電極からなる。この構造によれば、新鮮な汗の連続的な測定をすることができ、汗の塩分濃度の計測精度を向上させるという効果を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の発汗センサを用いることで、センサを貼り付ける皮膚表面に合わせて曲げることが可能で、皮膚とセンサの間のギャップ保持構造及び前記基材と皮膚面で形成され大気下に連通している流路により、発汗したばかりの新鮮な汗で汗腺から出て時間が経過した古くなった汗を押し出すセルフリフレッシュ構造を実現し、汗の塩分濃度の測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、セルフリフレッシュの概念図である。
【
図2】
図2は、実施形態の発汗センサの正面図である。
【
図3】
図3は、実施形態の発汗センサの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施するための形態(以下、実施形態という)を図に基づいて説明する。
【実施例0012】
図1に示すのが、セルフリフレッシュの概念図である。
図2から
図5に示すように、発汗センサ11は、基板12と、第1電極13と、第2電極14と、第1ランド15と、第2ランド16と、保護膜17と、スペーサ18と、スペーサに設けられた大気下に連通する流路19を備える。
【0013】
図1に示すように、皮膚21の上にスペーサ18を挟んで発汗センサ11があり、その下には無数の汗腺22と汗腺開口部221が存在している。スペーサにより皮膚21と発汗センサ11との間にギャップが確保され、そこに汗が噴出する。噴出する汗がギャップ内の空間112の体積を上回ることで、汗腺から出て時間の経過した古くなった汗を押出し、発汗したばかりの新鮮な汗が測定電極111に常に触れるため、正確な計測できる。また、スペーサ18に大気下に連通する流路19が備わっているため、汗が大気連通場所191を通って、大気下に排出がしやすくなっている。
【0014】
基板12は、絶縁体で形成された板である。基板12は、フレキシブル基板である。基板12は、例えばポリイミド(PI)で形成される。第1電極13及び第2電極14は、基板11の表面に設けられる導体である。第1電極13及び第2電極14は、例えば銅で形成される。第1電極13及び第2電極14は、基板12とは反対側の表面に被膜を備える。被膜は、金又は白金を含むことが望ましい。被膜は、例えばNi-Au(ニッケル金)で形成される。第1電極13及び第2電極14は、櫛歯状の電極である。ただし,第1電極13及び第2電極14は,
図2に示すように,必ずしも櫛歯でなくてもよい.
【0015】
以下の説明において、XYZ直交座標が用いられる。X軸は、基板12に対して直交する。Y軸は、歯部131の長手方向と平行である。Z軸は、複数の歯部131が並ぶ方向と平行である。X軸と平行な方向は、単にX方向と記載される。Y軸と平行な方向は、単にY方向と記載される。Z軸と平行な方向は、単にZ方向と記載される。基板12の裏面から第1電極13が配置される表面に向かう方向を、+Z方向とする。第1電極13から第2電極14に向かう方向を、+Y方向とする。+X方向を上とし且つ+Y方向を前とした場合の左方向を、+Z方向とする。
【0016】
図2に示すように、第1電極13は、複数の歯部131と基部132とを備える。複数の歯部131は一方向に向かって等間隔に並べられる。第1電極13は、歯部132の並ぶ方向がZ+方向に沿うように配置される。基部132は、すべての歯部131を連結する。
【0017】
図2に示すように、第2電極14は、複数の歯部141と基部142と、を備える。不空数の歯部141は一方向に向かって等間隔に並べられる。第2電極14は、歯部141の並ぶ方向がZ+プラス方向に沿うように配置される。1つの歯部141が、2つの歯部131の間に配置される。すなわち、歯部131及び歯部141は、交互に配置される。歯部131と歯部141との間には隙間が設けられる。基部142は、全ての歯部141を連結する。
【0018】
図2に示すように、第1ランド15は、第1電極13の-Y方向に配置される。第1ランド15は、基部132と接続される。第1ランド15は、リード線を介して電気伝導度計測部と接続される。
【0019】
図2に示すように、第2ランド16は、第2電極14の+Y方向に配置される。第2ランド16は、基部142と接続される。第2ランド16は、リード線を介して電気伝導度計測部と接続される。
【0020】
保護膜16は基部132、基部142のX+方向に重ねられる絶縁膜である。保護膜16は、例えばポリイミドで形成される。保護膜16は、第1電極13の基部132の全て、及び歯部131の一部を覆う。歯部131のうち歯部141とZ方向に対向する部分は露出している。同様に、保護膜16は、第2電極14の基部144の全て、及び歯部141の一部を覆う。歯部141のうち歯部131とZ方向に対向する部分は、露出している。
【0021】
スペーサ18は、装着者の皮膚21と第1電極13との間、及び皮膚21と第2電極14との間に隙間を設けるための部材である。スペーサ18は、例えば合成樹脂で形成される。スペーサ18は保護膜16の+X方向に配置される。スペーサ18は、歯部141よりも-Y方向(基部132側)に配置される。スペーサ18は、歯部131よりも+Y方向(基部142側)に配置される。スペーサ18のZ方向の長さは、基部132および基部142のZ方向の長さよりも大きい。すなわち、X方向においてスペーサ18は、第1電極13及び第2電極14よりも厚い。第1電極13及び第2電極14のX方向の長さは、第1電極13及び第2電極14の高さともいえる。スペーサ18は、第1電極13及び第2電極14の高さよりも厚い。装着者が発汗センサ11を装着した状態において、スペーサ18は、装着者の皮膚21に接する。
図3に示すように、スペーサ18には汗を大気下に連通する流路19が形成されている。スペーサ18のX方向における高さは、発汗したばかりの新鮮な汗が、汗腺から出て時間の経過した古くなった汗を、大気下に連通する流路19を通して排出することができる適切な高さを有しており、連続して歯部131及び歯部141に発汗したばかりの新鮮な汗に接する。