(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067288
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】加工装置および電池部材の加工方法
(51)【国際特許分類】
B26D 7/04 20060101AFI20240510BHJP
B26D 1/04 20060101ALI20240510BHJP
B26D 7/08 20060101ALI20240510BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20240510BHJP
B26D 7/02 20060101ALI20240510BHJP
B23D 19/00 20060101ALI20240510BHJP
B23B 1/00 20060101ALI20240510BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20240510BHJP
H01M 4/02 20060101ALI20240510BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20240510BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20240510BHJP
【FI】
B26D7/04
B26D1/04 Z
B26D7/08 A
B26D3/00 601Z
B26D7/02 D
B23D19/00 Z
B23B1/00 B
H01M4/04 Z
H01M4/02 Z
H01M4/139
H01M4/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177242
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(72)【発明者】
【氏名】川崎 洋
(72)【発明者】
【氏名】衣川 達哉
【テーマコード(参考)】
3C021
3C027
3C039
3C045
5H050
【Fターム(参考)】
3C021CB04
3C021CB07
3C027GG04
3C027GG08
3C039CA01
3C045AA03
5H050AA19
5H050BA17
5H050FA03
5H050GA04
5H050GA29
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ワーク制約の影響を受けにくい加工装置を提供する。
【解決手段】加工装置100は、電池部材を厚さ方向に切断する加工ユニット10と、加工ユニットと一体的に構成されたクランプユニット20と、を備え、クランプユニット20は、電池部材に厚さ方向の拘束圧を付与する回転部材21と、加工装置100の移動時における拘束圧の厚さ方向の変動を抑制するように調整する拘束圧調整部材22と、を有し、回転部材21は、互いに回転軸方向が平行である、第1回転部材21aおよび第2回転部材21bを有し、回転軸方向において、第1回転部材21aおよび第2回転部材21bの間に、加工ユニット10が配置されている、加工装置100を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と、前記集電体上に配置された活物質層と、を少なくとも有する電池部材を切断加工するために用いられる、加工装置であって、
前記加工装置は、
前記電池部材を厚さ方向に切断する加工ユニットと、
前記加工ユニットと一体的に構成されたクランプユニットと、
を備え、
前記クランプユニットは、前記電池部材に前記厚さ方向の拘束圧を付与する回転部材と、前記加工装置の移動時における前記拘束圧の前記厚さ方向の変動を抑制するように調整する拘束圧調整部材と、を有し、
前記回転部材は、互いに回転軸方向が平行である、第1回転部材および第2回転部材を有し、
前記回転軸方向において、前記第1回転部材および前記第2回転部材の間に、前記加工ユニットが配置されている、加工装置。
【請求項2】
前記電池部材は、前記厚さ方向から観察した場合に前記活物質層が形成されていない領域Xを有し、前記加工装置は、前記領域Xを切断加工するために用いられる、請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
前記加工ユニットは、刃部と、前記刃部を超音波により前記厚さ方向に振動させる超音波振動発生部と、を有する超音波カッターである、請求項1に記載の加工装置。
【請求項4】
前記第1回転部材および前記第2回転部材は、それぞれ、前記回転軸方向に直交する方向に配置された、複数のローラーから構成されている、請求項1に記載の加工装置。
【請求項5】
集電体と、前記集電体上に配置された活物質層と、を少なくとも有する電池部材を切断加工する、電池部材の加工方法であって、
前記電池部材を作業台上に配置する配置工程と、
前記配置工程後に、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の加工装置を用い、前記クランプユニットにより前記電池部材に拘束圧を付与しつつ、前記加工装置を前記回転軸方向に直交する方向に移動させ、前記加工ユニットにより前記電池部材を前記厚さ方向に切断する切断工程と、
を有する、電池部材の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加工装置および電池部材の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、二次電池等に用いられる電池部材の製造工程において、電池部材の一部を、厚さ方向に切断加工する場合がある。具体的には、電池部材をクランプで固定し、その状態で、加工ユニットにより、電池部材の一部を厚さ方向に切断する場合がある。
【0003】
一方、電池部材の製造工程に関する技術ではないものの、特許文献1には、全固体電池の実際の内部構造を忠実に再現した観察断面を形成するために、2分割構造のクランプ治具を用いて、電池構造体を、プレス装置によるプレス圧とほぼ等しい圧力を作用させた状態で固定し、その後、電池構造体を切断する、断面形成方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
集電体および活物質層を有する電池部材に対して切断加工する場合、電池部材(ワーク)をクランプで固定する必要がある。例えば、電池部材においてクランプを配置可能な領域が狭いと、加工ユニットによる電池部材の切断が適切に行えない場合がある。そのため、ワークに起因する制約(ワーク制約)の影響を受けにくい加工装置が望まれる。
【0006】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ワーク制約の影響を受けにくい加工装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]
集電体と、上記集電体上に配置された活物質層と、を少なくとも有する電池部材を切断加工するために用いられる、加工装置であって、上記加工装置は、上記電池部材を上記厚さ方向に切断する加工ユニットと、上記加工ユニットと一体的に構成されたクランプユニットと、を備え、上記クランプユニットは、上記電池部材に厚さ方向の拘束圧を付与する回転部材と、上記加工装置の移動時における上記拘束圧の上記厚さ方向の変動を抑制するように調整する拘束圧調整部材と、を有し、上記回転部材は、互いに回転軸方向が平行である、第1回転部材および第2回転部材を有し、上記回転軸方向において、上記第1回転部材および上記第2回転部材の間に、上記加工ユニットが配置されている、加工装置。
【0008】
[2]
上記電池部材は、上記厚さ方向から観察した場合に上記活物質層が形成されていない領域Xを有し、上記加工装置は、上記領域Xを切断加工するために用いられる、[1]に記載の加工装置。
【0009】
[3]
上記加工ユニットは、刃部と、上記刃部を超音波により上記厚さ方向に振動させる超音波振動発生部と、を有する超音波カッターである、[1]または[2]に記載の加工装置。
【0010】
[4]
上記第1回転部材および上記第2回転部材は、それぞれ、上記回転軸方向に直交する方向に配置された、複数のローラーから構成されている、[1]から[3]までのいずれかに記載の加工装置。
【0011】
[5]
集電体と、上記集電体上に配置された活物質層と、を少なくとも有する電池部材を切断加工する、電池部材の加工方法であって、上記電池部材を作業台上に配置する配置工程と、上記配置工程後に、[1]から[4]までのいずれかに記載の加工装置を用い、上記クランプユニットにより上記電池部材に拘束圧を付与しつつ、上記加工装置を上記回転軸方向に直交する方向に移動させ、上記加工ユニットにより上記電池部材を上記厚さ方向に切断する切断工程と、を有する、電池部材の加工方法。
【発明の効果】
【0012】
本開示においては、ワーク制約の影響を受けにくい加工装置を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示における電池部材を例示する概略斜視図である。
【
図2】本開示における加工装置を例示する概略斜視図である。
【
図3】本開示における効果を説明する概略斜視図である。
【
図4】本開示における回転部材を例示する概略側面図である。
【
図5】本開示における電池部材を例示する概略平面図および概略断面図である。
【
図6】本開示における電池部材を例示する概略平面図および概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示における実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。以下に示す各図は、模式的に示したものであり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。また、本明細書において、ある部材に対して他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」または「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上または直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方または下方に、別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含む。
【0015】
A.加工装置
本開示における加工装置は、電池部材を加工するために用いられる。
図1は、本開示における電池部材を例示する概略斜視図である。
図1に示す電池部材200は、集電体201と、集電体201上に配置された活物質層202と、を有する。
【0016】
図2(a)は、本開示における加工装置を例示する概略斜視図であり、
図2(b)は、
図2(a)の一部を拡大した拡大図である。
図2(a)、(b)に示すように、加工装置100は、加工ユニット10と、加工ユニット10と一体的に構成されたクランプユニット20と、を有する。また、加工ユニット10は、電池部材を厚さ方向(z軸方向)に切断するためのユニットである。
図2(b)に示すように、加工ユニット10は、刃部11と、刃部11を超音波により厚さ方向(z軸方向)に振動させる超音波振動発生部12と、を有する超音波カッターであってもよい。
【0017】
図2(a)、(b)に示すように、クランプユニット20は、電池部材に厚さ方向(z軸方向)の拘束圧を付与する回転部材21と、加工装置100の移動時における拘束圧の厚さ方向(z軸方向)の変動を抑制するように調整する拘束圧調整部材22と、を有する。回転部材21は、第1回転部材21aおよび第2回転部材21bを有する。第1回転部材21aおよび第2回転部材21bを、電池部材に押し付けることにより、電池部材に厚さ方向(z軸方向)の拘束圧が付与される。また、
図2(b)に示すように、第1回転部材21aの回転軸方向D
Aと、第2回転部材21bを回転軸方向D
Bとは、平行である。回転軸方向(y軸方向)において、第1回転部材21aおよび第2回転部材21bの間に、加工ユニット10が配置される。
【0018】
本開示によれば、加工ユニットおよびクランプユニットが一体的に構成されているため、ワーク制約の影響を受けにくい加工装置となる。上述したように、集電体および活物質層を有する電池部材に対して切断加工する場合、電池部材をクランプで固定する必要がある。ここで、
図1に示すように、集電体201と、集電体201上に配置された活物質層202と、を有する電池部材200を準備し、集電体201を破線に沿って切断する場合を想定する。活物質層202上にクランプ(図示せず)を配置して、電池部材200を固定すると、活物質層202の破壊が生じる場合がある。この場合、活物質層202が形成されていない領域(領域X)にクランプを配置する必要がある。そのため、
図3(a)に示すように、クランプ300を配置可能な領域に制約が生じる。さらに、領域Xにクランプ300を配置すると、クランプ300と、加工ユニット10との距離が近くなることで、両者が干渉しやすくなり、加工ユニット10による電池部材200の切断が適切に行えない場合がある。
【0019】
これに対して、
図3(b)に示すように、本開示における加工装置100では、加工ユニット10およびクランプユニット20が一体的に構成されている。そのため、加工ユニット10の移動に追従して、クランプユニット20による電池部材の局所的な拘束が可能となる。そのため、
図3(a)に示すように、加工ユニット10とは別体であるクランプ300を用いる必要がない。さらに、クランプユニット20は、回転部材21を介して、電池部材に拘束圧を付与する。回転部材21は、従来のクランプ(例えば
図3(a)に示すクランプ300)に比べて小型化できる。そのため、例えば、クランプを配置可能な領域が狭い電池部材に対しても、加工ユニットによる切断が可能となる。さらに、加工ユニット10およびクランプユニット20が一体的に構成されていることで、加工ユニット10による加工点と、クランプユニット20によるクランプ点とが、常に一定の距離となる。その結果、クランプ面圧が安定し、品質面でのロバスト性が向上する。さらに、加工ユニット10およびクランプユニット20が一体的に構成されていることで、加工位置のアライメントが容易になる。また、加工ユニット10およびクランプユニット20が一体的に構成されていると、加工装置100の移動時に、電池部材200の表面凹凸に起因して、厚さ方向(z軸方向)において拘束圧が変動しやすくなる。これに対して、
図3(b)に示すように、本開示におけるクランプユニット20は、拘束圧調整部材22を有するため、加工装置100の移動時に、電池部材200の表面凹凸に起因して、厚さ方向(z軸方向)において拘束圧が変動することを抑制できる。
【0020】
1.加工ユニット
本開示における加工ユニットは、電池部材を厚さ方向に切断するユニットである。
【0021】
加工ユニットは、電池部材を厚さ方向に切断可能なものであれば、特に限定されない。加工ユニットは、電池部材を厚さ方向に切断する刃部を有するカッターであることが好ましい。刃部を有するカッターとしては、例えば、超音波カッター、ロータリーカッターが挙げられる。
図2(b)に示す加工ユニット10は、刃部11と、刃部11を超音波により厚さ方向(z軸方向)に振動させる超音波振動発生部12と、を有する超音波カッターである。超音波振動発生部12によって厚さ方向(z軸方向)に振動した刃部11が、電池部材を厚さ方向(z軸方向)に切断する。一方、加工ユニットは、電池部材を厚さ方向に切断する刃部を有しないカッターであってもよい。刃部を有しないカッターとしては、例えば、レーザーカッターが挙げられる。
【0022】
本開示における加工装置は、高さ方向(z軸方向)において、加工ユニットの位置を、後述するクランプユニットの位置に対して、相対的に移動させることが可能な第1高さ調整ユニットを有していてもよい。例えば、加工ユニットの先端(例えば刃部の先端)の位置を、電池部材の厚さを考慮して調整することで、加工ユニットによる電池部材の切断不良が生じることを抑制できる。また、例えば切断終了後に、加工ユニットの先端(例えば刃部の先端)を、クランプユニットの先端(第1回転部材および第2回転部材における電池部材側の端部)よりも突出しない位置に収納することで、加工ユニットによる意図せぬ切断が生じることを抑制できる。
【0023】
本開示における加工装置は、高さ方向(z軸方向)を回転軸として、加工ユニットを、後述するクランプユニットに対して、相対的に回転させることが可能な回転ユニットを有していてもよい。加工ユニットを、クランプユニットに対して、回転自由にすることで、例えば、電池部材を曲線状に切断する場合に、加工ユニットによる電池部材の切断不良が生じることを抑制できる。
【0024】
2.クランプユニット
本開示におけるクランプユニットは、上記加工ユニットと一体的に構成され、上記電池部材に上記厚さ方向の拘束圧を付与する回転部材と、上記加工装置の移動時における上記拘束圧の上記厚さ方向の変動を抑制するように調整する拘束圧調整部材と、を有する。
【0025】
(1)回転部材
本開示における回転部材は、電池部材に厚さ方向の拘束圧(面圧)を付与する。また、回転部材は、互いに回転軸方向が平行である、第1回転部材および第2回転部材を有する。
図2(b)に示すように、第1回転部材21aの回転軸方向D
Aと、第2回転部材21bの回転軸方向D
Bとは、平行である。本開示において、「平行」とは、2つの方向のなす角度が10°以下であることをいう。第1回転部材および第2回転部材は、典型的には、ローラーである。
【0026】
図2(b)に示すように、回転軸方向(y軸方向)において、第1回転部材21aの内側の面(加工ユニット10に対向する面)と、第2回転部材21bの内側の面(加工ユニット10に対向する面)との間に、加工ユニット10が配置されている。すなわち、回転軸方向(y軸方向)から見た場合に、第1回転部材21aの少なくとも一部と、第2回転部材21bの少なくとも一部と、加工ユニット10の少なくとも一部とが、重複している。特に、加工ユニットが刃部11を有する場合、
図4(a)に示すように、回転軸方向(y軸方向)から見た場合に、第1回転部材21aの少なくとも一部と、第2回転部材21bの少なくとも一部と、刃部11の少なくとも一部とが、重複していることが好ましい。
【0027】
図2(b)および
図4(a)に示すように、回転軸方向(y軸方向)から見た場合に、第1回転部材21aの全体と、第2回転部材21bの全体と、が重複していることが好ましい。電池部材に対して、均一な拘束圧を付与することができるからである。なお、
図4(a)では、便宜上、第1回転部材21aの径を、第2回転部材21bの径より大きく記載しているが、これらは同じであることが好ましい。
【0028】
図4(a)に示すように、第1回転部材21aおよび第2回転部材21bは、それぞれ、回転軸方向(y軸方向)に直交する方向(x軸方向)に配置された、複数のローラーから構成されていることが好ましい。電池部材に対して、均一な拘束圧を付与することができるからである。また、
図4(b)に示すように、回転部材21は、複数の回転体26と、複数の回転体26を覆うベルト27とを有するキャタピラであってもよい。ベルト27を用いることで、クランプユニット20と、電池部材(図示せず)との接触面積が大きくなり、電池部材に圧痕が生じることを抑制できる。
【0029】
回転部材の材料は、特に限定されないが、例えば、ナイロン等の樹脂が挙げられる。樹脂を用いることで、例えば金属を用いた場合に比べて、導電性異物の発生を防止できる。また、回転部材の幅(
図2(b)におけるy軸方向の長さ)は、特に限定されないが、許容可能な範囲で幅を大きくすることで、電池部材に圧痕が生じることを抑制できる。
【0030】
(2)拘束圧調整部材
本開示における拘束圧調整部材は、加工装置の移動時における拘束圧の厚さ方向の変動を抑制するように調整する部材である。拘束圧調整部材を設けることで、加工装置の移動時に、電池部材の表面凹凸に起因して、厚さ方向において拘束圧が変動することを抑制できる。
【0031】
図2(a)に示すように、クランプユニット20は、回転部材21と連結された連結部材23を有することが好ましい。
図2(a)において、連結部材23aは、第1回転部材21aと対向するように配置され、第1回転部材21aを回転自由に連結している。同様に、連結部材23bは、第2回転部材21bと対向するように配置され、第2回転部材21bを回転自由に連結している。また、特に図示しないが、1つの回転部材が、第1回転部材21aおよび第2回転部材21bの両方と連結されていてもよい。その場合、回転部材は、加工ユニットを挿入するための貫通孔を有することが好ましい。
【0032】
図2(a)に示すように、クランプユニット20は、天面部材24を有することが好ましい。天面部材24は、加工ユニット10を挿入するための貫通孔Hを有していてもよい。
図2(a)において、天面部材24の貫通孔Hに加工ユニット10が挿入されている。貫通孔Hの平面視サイズ(z軸方向から見たサイズ)は、例えば、加工ユニット10の平面視サイズより大きくてもよい。これにより、加工ユニット10は、天面部材24に対して、z軸方向に移動が可能になったり、z軸方向を回転軸方向とする回転が可能になったりする。また、特に図示しないが、加工装置は、クランプユニットに対する加工ユニットの相対位置を固定したり、上記相対位置を可変にしたりする位置調整ユニットを有していてもよい。位置調整ユニットとして、上記機能を有する公知のユニットを採用できる。
【0033】
図2(a)に示すように、クランプユニット20は、高さ方向(z軸方向)において、連結部材23および天面部材24の間に、拘束圧調整部材22を有することが好ましい。
図2(a)では、連結部材23および天面部材24の間に中間部材25が配置され、連結部材23および中間部材25の間、ならびに、中間部材25および天面部材24の間に、それぞれ、複数の拘束圧調整部材22が配置されている。拘束圧調整部材22としては、例えば、バネ等の弾性体が挙げられる。また、拘束圧調整部材22は、電池部材に付与する拘束圧を一定に制御するフローティング機構を備える部材であってもよい。フローティング機構は、圧縮エアを用いた機構であってもよく、バネ等の弾性体を用いた機構であってもよい。
【0034】
図2(a)に示すように、中間部材25は、加工ユニット10を挿入するための貫通孔H´を有していてもよい。
図2(a)において、中間部材25の貫通孔H´に加工ユニット10が挿入されている。また、特に図示しないが、加工装置100は、中間部材25を有しなくてもよい。
【0035】
3.加工装置
本開示における加工装置は、上述した、加工ユニットおよびクランプユニットを有する。
図2に示すように、加工ユニット10およびクランプユニット20は、一体的に構成されている。すなわち、加工装置100の移動の際に、加工ユニット10およびクランプユニット20は、一体的に移動する。
【0036】
本開示における加工装置は、加工装置を第1方向に移動させる移動装置に連結されて用いられることが好ましい。加工装置は、通常、第1方向と、第1回転部材および第2回転部材の回転軸方向に直交する方向とが平行になるように、移動装置に連結される。移動装置は、加工装置を第1方向に移動させることができる装置であれば、特に限定されず、公知の装置を採用できる。これにより、加工装置は、第1回転部材および第2回転部材の回転軸方向に直交する方向に移動可能となる。また、移動装置は、高さ方向(z軸方向)において、加工装置の位置を、電池部材の位置に対して、相対的に移動させることが可能な第2高さ調整ユニットを有していてもよい。加工装置の高さを調整し、その高さで固定することで、加工装置におけるクランプユニットを介して、電池部材に拘束圧が付与される。第2高さ調整ユニットは、電池部材に付与する拘束圧を一定に制御するフローティング機構を備えていてもよい。
【0037】
本開示における加工装置は、集電体と、上記集電体上に配置された活物質層と、を少なくとも有する電池部材を切断加工するために用いられる。電池部材は、厚さ方向から観察した場合に、活物質層が形成されていない領域Xを有し、加工装置は、領域Xを切断加工するために用いられることが好ましい。
【0038】
図1に示すように、電池部材200は、集電体201と、集電体201上に配置された活物質層202と、を少なくとも有する。
図1において、活物質層202から露出した集電体201の領域が、領域Xに該当する。加工装置は、領域X(活物質層202から露出した集電体201の領域)を厚さ方向(z軸方向)に切断するための装置であってもよい。また、特に図示しないが、集電体の両面に、それぞれ、活物質層が配置されていてもよい。
【0039】
図5(a)は本開示における電池部材を例示する概略平面図であり、
図5(b)は
図5(a)のA-A断面図である。
図5(a)、(b)に示すように、電池部材200は、集電体1および活物質層(正極活物質層2および負極活物質層3)を有する電極Eと、電極Eの側面を覆うように配置されたシール構成部材6aと、を有していてもよい。厚さ方向(z軸方向)の断面視において、シール構成部材6aは、電極Eの側面の全体と、電極Eの一方の主面の一部と、電極Eの他方の主面の一部とを覆っている。
図5(a)、(b)において、シール構成部材6aは領域Xに含まれる。加工装置は、厚さ方向(z軸方向)に直交する方向において電極Eから突出したシール構成部材6aを、厚さ方向(z軸方向)に切断するための装置であってもよい。
【0040】
図5(a)、(b)に示すように、電極Eは、集電体1と、集電体1の一方の表面上に配置された正極活物質層2と、集電体1の他方の表面上に配置された負極活物質層3と、を有するバイポーラ電極であってもよい。また、電池部材200を厚さ方向(z軸方向)から見た場合に、シール構成部材6aは、集電体1の外縁全周に配置されている。また、
図5(a)に示すように、シール構成部材6aの平面視形状(厚さ方向から見た形状)は、例えば、枠状である。
【0041】
集電体の材料としては、例えば金属が挙げられる。また、集電体の形状としては、例えば、箔状、板状が挙げられる。また、正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含有し、導電材およびバインダの少なくとも一方をさらに含有していてもよい。負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含有し、導電材およびバインダの少なくとも一方をさらに含有していてもよい。正極活物質、負極活物質、導電材およびバインダについては、公知の材料を採用することができる。また、シール構成部材6aは、例えば樹脂部材である。樹脂部材を構成する樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0042】
図6(a)は本開示における電池部材を例示する概略平面図であり、
図6(b)は
図6(a)のA-A断面図である。
図6(a)、(b)に示すように、電池部材200は、集電体1および活物質層(正極活物質層2および負極活物質層3)を有する電極積層体5と、電極積層体5の側面を覆うように配置されたシール部材6と、を有していてもよい。厚さ方向(z軸方向)の断面視において、シール部材6は、電極積層体5の側面の全体と、電極積層体5の一方の主面の一部と、電極積層体5の他方の主面の一部とを覆っている。
図6(a)、(b)において、シール部材6は領域Xに含まれる。加工装置は、厚さ方向(z軸方向)に直交する方向において電極積層体5から突出したシール部材6を、厚さ方向(z軸方向)に切断するための装置であってもよい。
【0043】
図6(b)に示すように、電極積層体5は、発電単位U
1を有する。発電単位U
1は、正極活物質層2と、負極活物質層3と、正極活物質層2および負極活物質層3の間に配置されたセパレータ4とを有する。また、発電単位U
1における正極活物質層2および負極活物質層3は、それぞれ、隣接する集電体1によって集電されている。また、正極活物質層2、負極活物質層3およびセパレータ4には、例えば切断工程より後の工程において、電解液が供給される。その結果、正極活物質層2、負極活物質層3およびセパレータ4には、それぞれ、電解液が含浸される。
【0044】
図6(b)に示すように、電極積層体5は、厚さ方向(z軸方向)に積層された、複数の発電単位(U
1、U
2およびU
3)を備えていてもよい。また、
図6(b)における複数の発電単位(U
1~U
3)は、互いに、直接接続されているが、これに限定されない。すなわち、複数の発電単位は、互いに、並列接続されていてもよい。
【0045】
図6(b)における複数の発電単位(U
1~U
3)は、互いに電解液が流通しないように、それぞれ独立している。例えば、発電単位U
1および発電単位U
2は、集電体1およびシール部材6によって区画され、互いに独立している。
【0046】
図6(b)に示すように、1つの発電単位は、2つのバイポーラ電極を用いて構成されていてもよい。
図6(b)において、電極積層体5は、厚さ方向(z軸方向)において、バイポーラ電極BP
1およびバイポーラ電極BP
2を有する。隣り合うバイポーラ電極BP
1およびバイポーラ電極BP
2の間に、セパレータ4が配置されている。発電単位U
2は、バイポーラ電極BP
2における正極活物質層2bと、バイポーラ電極BP
1における負極活物質層3aと、正極活物質層2bおよび負極活物質層3aの間に配置されたセパレータ4と、から構成されている。
【0047】
図6(a)、(b)に示すように、電池部材200は、電極積層体5と、電極積層体5の側面を覆うように配置され、かつ、厚さ方向(z軸方向)に積層された複数のシール構成部材6aと、を有していてもよい。電池部材200を厚さ方向(z軸方向)から見た場合に、シール構成部材6aは、電極積層体5の外縁全周に配置されている。また、
図6(a)に示すように、シール構成部材6aの平面視形状(厚さ方向から見た形状)は、例えば、枠状である。
図6(a)、(b)に示す電池部材200は、例えば、
図5(a)、(b)に示す電池部材200を複数用意し、セパレータ4を介して積層することで、形成される。積層した後に、積層体のシール構成部材6aの端部を、上述した加工装置を用いて切断して、積層体の端面を揃える。その後、シール構成部材6aを熱溶着することで、シール部材6が形成される。
【0048】
本開示における電池部材の平面視形状は、特に限定されないが、例えば、正方形、長方形等の四角形が挙げられる。電池部材の平面視形状における1辺の長さは、例えば30cm以上であり、50cm以上であってもよく、100cm以上であってもよい。一方、上記1辺の長さは、例えば200cm以下である。特に、大型の電池部材を、従来のクランプで固定する場合、大型のクランプが必要となる。これに対して、本開示における加工装置は、従来のクランプを用いる必要が無いため、コスト面で有利である。また、電池部材の平面視形状が長方形である場合、短辺の長さが、上記範囲にあることが好ましい。また、長方形において、短辺に対する長辺の長さ(アスペクト比)は、1.0より大きく、1.2以上であってもよい。一方、上記アスペクト比は、例えば、3.0以下である。
【0049】
電池部材は、例えば二次電池に用いられる。二次電池としては、例えば、リチウムイオン二次電池が挙げられる。二次電池の用途としては、例えば、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(BEV)、ガソリン自動車、ディーゼル自動車等の車両の電源が挙げられる。特に、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)または電気自動車(BEV)の駆動用電源に用いられることが好ましい。また、二次電池は、車両以外の移動体(例えば、鉄道、船舶、航空機)の電源として用いられてもよく、情報処理装置等の電気製品の電源として用いられてもよい。
【0050】
B.電池部材の加工方法
本開示における電池部材の加工方法は、集電体と、上記集電体上に配置された活物質層と、を少なくとも有する電池部材を切断加工する、電池部材の加工方法であって、上記電池部材を作業台上に配置する配置工程と、上記配置工程後に、上述した加工装置を用い、上記クランプユニットにより上記電池部材に拘束圧を付与しつつ、上記加工装置を上記回転軸方向に直交する方向に移動させ、上記加工ユニットにより上記電池部材を上記厚さ方向に切断する切断工程と、を有する。
【0051】
図3(b)に示すように、集電体201と、集電体201上に配置された活物質層202と、を有する電池部材200を作業台(図示せず)に配置する(配置工程)。その後、電池部材200(特に領域X)を、加工装置100を用いて、切断加工する。具体的には、クランプユニット20(回転部材21)により電池部材200に対して厚さ方向(z軸方向)拘束圧を付与しつつ、加工装置100を、回転軸方向に直交する方向(x軸方向)に移動させ、加工ユニット10により電池部材200を厚さ方向(z軸方向)に切断する(切断工程)。
【0052】
本開示によれば、上述した加工装置を用いることで、ワーク制約の影響を受けることを抑制しつつ、加工ユニットによる電池部材の切断が可能となる。
【0053】
1.配置工程
本開示における配置工程は、上記電池部材を作業台上に配置する工程である。電池部材については、上記「A.加工装置」に記載した内容と同様である。また、作業台は、電池部材を保持可能な台であれば特に限定されない。また、作業台に配置された電池部材を、電池部材の厚さ方向から見た場合に、作業台は、電池部材のカットライン(切断予定線)と重複する位置に、溝構造または穴構造を有していてもよい。後述する切断工程の際に、加工ユニットにおける刃部と、作業台とが干渉することを防止できるからである。また、作業台上に配置された電池部材は、固定部材により、作業台に固定されていることが好ましい。
【0054】
2.切断工程
本開示における切断工程は、上記配置工程後に、上述した加工装置を用い、上記クランプユニットにより上記電池部材に拘束圧を付与しつつ、上記加工装置を上記回転軸方向に直交する方向に移動させ、上記加工ユニットにより上記電池部材を上記厚さ方向に切断する工程である。特に、切断工程では、電池部材における領域Xを切断することが好ましい。
【0055】
加工装置については、上記「A.加工装置」に記載した内容と同様である。また、クランプユニットにより電池部材に付与する拘束圧、および、加工装置の移動速度(送り速度)は、特に限定されない。
【0056】
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0057】
10…加工ユニット
20…クランプユニット
21…回転部材
22…拘束圧調整部材
100…加工装置
200…電池部材