(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067292
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20240510BHJP
H05K 7/14 20060101ALI20240510BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20240510BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
H05K5/02 L
H05K7/14 F
H05K5/03 B
B60R11/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177247
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】大瀧 孟
【テーマコード(参考)】
3D020
4E360
5E348
【Fターム(参考)】
3D020BA09
3D020BC24
3D020BD03
3D020BD05
4E360AB12
4E360BA08
4E360BA11
4E360BB22
4E360BC05
4E360BD10
4E360EA24
4E360ED02
4E360GA29
4E360GB99
4E360GC02
5E348AA03
5E348AA21
5E348AA32
5E348AA40
(57)【要約】
【課題】電子機器の隙間から浸入した水滴が回路基板に付着することを防止する。
【解決手段】電子機器は、底面と、当該底面の周囲に配置された第1立壁部、第2立壁部、第3立壁部、及び第4立壁部と、を少なくとも備える筐体と、電子部品が実装され、筐体に収容された回路基板と、第1立壁部の第1頂部、第2立壁部の第2頂部、第3立壁部の第3頂部、及び第4立壁部の第4頂部の少なくとも一部に対応するように配置され、回路基板を覆い、底面に対向する内面と、内面と反対の外面を有する蓋部とを備え、蓋部は、内面の一部に設けられ回路基板に接触する接触部を有し、蓋部は、内面に沿って所定の長さを有して連続し、底面に向かって突出する連続突出部を有し、電子機器を、第1立壁部を下にして配置した場合に、内面の連続突出部の少なとも一つの長辺は、接触部より上であって、接触部を覆うように配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面と、前記底面の周囲に配置された第1立壁部、第2立壁部、第3立壁部、及び第4立壁部と、を少なくとも備える筐体と、
電子部品が実装され、前記筐体に収容された回路基板と、
前記第1立壁部の第1頂部、前記第2立壁部の第2頂部、前記第3立壁部の第3頂部、及び前記第4立壁部の第4頂部の少なくとも一部に対応するように配置され、前記回路基板を覆い、前記底面に対向する内面と、前記内面と反対の外面を有する蓋部と、を備えた電子機器であって、
前記蓋部は、前記内面の一部に設けられ前記回路基板に接触する接触部を有し、
前記蓋部は、前記内面に沿って所定の長さを有して連続し、前記底面に向かって突出する連続突出部を有し、
前記電子機器を、前記第1立壁部を下にして配置した場合に、前記内面の前記連続突出部の少なとも一つの長辺は、前記接触部より上であって、前記接触部を覆うように配置された、
電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記蓋部と前記回路基板は、前記接触部において締結された、
電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器であって、
前記蓋部は、前記接触部に対応した突出部を備える、
電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器であって、
前記蓋部と前記回路基板は、前記接触部においてネジで締結された、
電子機器。
【請求項5】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記電子機器を、前記第1立壁部を下にして配置した場合に、前記内面の前記連続突出部の少なとも一つの前記長辺は、前記接触部より上であって、前記接触部を覆い、斜めに配置された、
電子機器。
【請求項6】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記内面の前記連続突出部の前記長辺を第1長辺とし、
前記内面の前記連続突出部は、更に前記第1長辺に沿った第2長辺を備える、
電子機器。
【請求項7】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記電子機器を、前記第1立壁部を下にして配置した場合に、前記内面の前記連続突出部の少なとも一つの長辺は、第1の方向に斜め配置された第1傾斜辺と、前記第1の方向と異なる第2の方向に斜めに配置された第2傾斜辺を有する、
電子機器。
【請求項8】
請求項7に記載の電子機器であって、
前記第1傾斜辺と前記第2傾斜辺は角部を介して連続的に配置された、
電子機器。
【請求項9】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記蓋部は、金属製である、
電子機器。
【請求項10】
請求項9に記載の電子機器であって、
前記連続突出部は、前記金属製の前記蓋部にプレス加工によって形成された、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、電子制御ユニット(ECU(Electronic Control Unit))が搭載される。ECUの回路基板に水滴が付着すると、ECUの動作に支障が生じることが懸念される。特許文献1は、水滴が開口部から離れた筐体の上面に滴下した場合で、走行時の車両の振動により水滴が上面上でコネクタ配置面側に移動しようとした場合、あるいは、車両の加速時、水滴が上面上でコネクタ配置面側に移動しようとした場合、水滴は、段差部により上面上で開口の両側方に導かれ、次いで、筐体の左右の側面に沿って下方に導かれ、開口部から離れた筐体の下面の箇所から滴下するように構成されたECU収容用の筐体を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている構成は、コネクタ配置面側に移動しようとする水滴の開口部からの浸入を防止することはできるものの、筐体の隙間から浸入した水滴が回路基板に付着することを防止することはできない。
【0005】
本開示の目的は、電子機器の隙間から浸入した水滴が回路基板に付着することを防止する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電子機器は、底面と、前記底面の周囲に配置された第1立壁部、第2立壁部、第3立壁部、及び第4立壁部と、を少なくとも備える筐体と、電子部品が実装され、前記筐体に収容された回路基板と、前記第1立壁部の第1頂部、前記第2立壁部の第2頂部、前記第3立壁部の第3頂部、及び前記第4立壁部の第4頂部の少なくとも一部に対応するように配置され、前記回路基板を覆い、前記底面に対向する内面と、前記内面と反対の外面を有する蓋部と、を備えた電子機器であって、前記蓋部は、前記内面の一部に設けられ前記回路基板に接触する接触部を有し、前記蓋部は、前記内面に沿って所定の長さを有して連続し、前記底面に向かって突出する連続突出部を有し、前記電子機器を、前記第1立壁部を下にして配置した場合に、前記内面の前記連続突出部の少なとも一つの長辺は、前記接触部より上であって、前記接触部を覆うように配置される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電子機器の隙間から浸入した水滴が回路基板に付着することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態に係る電子機器が車両に搭載される一例を示す図
【
図2】本実施の形態に係る筐体側から見た電子機器の一例を示す斜視図
【
図3】本実施の形態に係る筐体を外して回路基板側から見た電子機器の一例を示す斜視図
【
図4】本実施の形態に係る蓋部側から見た電子機器の一例を示す斜視図
【
図5】本実施の形態に係る第1立壁部を下にして蓋部の内面を見た場合の一例を示す斜視図
【
図6】本実施の形態に係る第3立壁部を下にして蓋部の内面を見た場合の一例を示す斜視図
【
図7】本実施の形態に係る第4立壁部を下にして蓋部の内面を見た場合の一例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0010】
(本実施の形態)
<車両の構成>
図1は、本実施の形態に係る電子機器10が車両に搭載される一例を示す図である。
【0011】
車両には、ECUに代表される様々な電子機器が搭載される。例えば、電子機器は、エンジンルーム等の車室外に搭載されたり、
図1に示すように、車室内のインストルメントパネル2(インパネ)又はコンソールボックス等の中に搭載されたりする。
【0012】
車室外に搭載される電子機器は完全な防水構造を有するが、車室内に搭載される電子機器は、一般的に、部品点数削減又はコスト低減等のため、完全な防水構造を有しない。しかし、車室内であっても、例えばフロントガラスを内側から水で洗浄したり、誤って飲料水がこぼされたり、エアコンのダクトに結露が発生したりなど、水滴が発生する場合がある。このような水滴が車室内に搭載された電子機器内の回路基板に到達すると、電子機器の動作に支障をきたすことが懸念される。
【0013】
そこで、本実施の形態では、車室内にて発生して滴下する水滴が電子機器内の回路基板に到達することを防止する(つまり防滴性能を有する)電子機器10の構造について説明する。ただし、本実施の形態に係る電子機器10の構造は、車両に搭載される電子機器への適用に限定されない。例えば、本実施の形態に係る電子機器10の構造は、鉄道車両、航空機、農機具、建設機械、パソコン、プリンタ、スマートフォンなどに搭載される電子機器10にも適用可能である。
【0014】
<電子機器の構造>
図2は、本実施の形態に係る筐体20側から見た電子機器10の一例を示す斜視図である。
図3は、本実施の形態に係る筐体20を外して回路基板31側から見た電子機器10の一例を示す斜視図である。
図4は、本実施の形態に係る蓋部60側から見た電子機器10の一例を示す斜視図である。
図5は、本実施の形態に係る第1立壁部22Aを下にして蓋部60の内面61を見た場合の一例を示す斜視図である。
図6は、本実施の形態に係る第3立壁部22Cを下にして蓋部60の内面61を見た場合の一例を示す斜視図である。
図7は、本実施の形態に係る第4立壁部22Dを下にして蓋部60の内面61を見た場合の一例を示す斜視図である。
【0015】
なお、説明の便宜上、
図2から
図7に示すように、第1立壁部22Aから第3立壁部22Cに延びる軸をX軸とする。第4立壁部22Dから第2立壁部22Bに延び、X軸に垂直な軸をY軸とする。蓋部60から筐体20の底面21に延び、X軸及びY軸に垂直な軸をZ軸とする。なお、当該軸の定義は、説明の便宜上用いられるものであって、当該構造の実使用時における姿勢を限定する意図ではない。
【0016】
電子機器10は、筐体20と、回路基板31と、蓋部60とを備える。電子機器10は、
図2及び
図4に示すように、略直方体の形状であってよい。
【0017】
筐体20は、底面21と、当該底面21の周囲に配置された第1立壁部22A、第2立壁部22B、第3立壁部22C、及び、第4立壁部22Dと、を少なくとも備える。底面21は、略長方形の形状であってよい。第1立壁部22A、第2立壁部22B、第3立壁部22C、第4立壁部22Dは、底面21の4辺にそれぞれ位置し、底面21に対して垂直かつ蓋部60に向かって(つまりZ軸方向に)延出する壁面であってよい。本実施の形態では、第1立壁部22Aと第3立壁部22Cとが対向配置され、第2立壁部22Bと第4立壁部22Dとが対向配置されている。
【0018】
図3に示すように、回路基板31は、電子部品32が実装され、筐体20に収容される。電子部品32の例として、LSI(Large Scale Integrated Circuit)、CPU(Central Processing Unit)、コントローラ、メモリ等が挙げられる。
【0019】
図3に示すように、回路基板31の第4立壁部22D側には、回路基板31を外部機器又は電源等に接続するためのコネクタ33が配置されてよい。
【0020】
蓋部60は、第1立壁部22Aの第1頂部23A、第2立壁部22Bの第2頂部23B、第3立壁部22Cの第2頂部23B、及び、第4立壁部22Dの第4頂部23Dの少なくとも一部に対応するように配置され、回路基板31を覆う。例えば、蓋部60は、長方形の形状であってよい。第1頂部23A、第2頂部23B、第3頂部23C、第4頂部23Dは、それぞれ、第1立壁部22A、第2立壁部22B、第3立壁部22C、第4立壁部22Dの頂端面であってもよいし、頂端面に限らず頂端面付近の側面も含んでもよい。また、蓋部60は、第1頂部23A、第2頂部23B、第3頂部23C、第4頂部23Dの少なくとも一部から少し離れて配置されてもよい。
【0021】
例えば、
図3に示すように、回路基板31は、筐体20の底面21に沿って配置され、筐体20の底面21、第1立壁部22A、第2立壁部22B、第3立壁部22C及び第4立壁部22Dと、蓋部60とによって形成される空間内に収容される。
【0022】
蓋部60は、筐体20の底面21に対向する内面61と、内面61と反対の外面62とを有する。蓋部60は、内面61の一部に設けられ、回路基板31に接触する接触部63を有する。
【0023】
蓋部60は、接触部63に対応した突出部64を備える。突出部64は、筐体20の底面21に向かって突出してよい。蓋部60と回路基板31とは、接触部63において例えばネジ81で締結される。突出部64を設けることにより、回路基板31と蓋部60の内面61との間に、所定の隙間が形成される。蓋部60と回路基板31と筐体20とは、四隅において例えばネジ82で締結されてよい。
【0024】
蓋部60は、内面61に沿って所定の長さを有して連続し、底面21に向かって突出する連続突出部70を有する。上述した通り、回路基板31と蓋部60の内面61との間には隙間が形成されており、連続突出部70は回路基板31に接しないように突出している。
【0025】
蓋部60は、金属製(例えば板金又はアルミダイキャスト)であってよい。突出部64及び連続突出部70は、金属製の蓋部60にプレス加工によって形成されてよい。これにより、任意の形状の連続突出部70を容易に形成することができる。
【0026】
<<第1立壁部22Aを下にして電子機器10を配置した場合>>
図5に示すように、第1立壁部22Aを下にして車室内に電子機器10を配置した場合において、蓋部60の内面61の連続突出部70の少なくとも1つの長辺71である第1長辺72Aは、接触部63より上であって、接触部63を覆うように配置される。
【0027】
また、連続突出部70の少なくとも1つの長辺71である第2長辺72Bは、第1長辺72Aに沿って配置されてよい。例えば、
図5に示すように、第2長辺72Bは、第1長辺72Aよりも下、かつ、接触部63よりも上の位置に、第1長辺72Aに沿って配置される。
図5に示すように、第1長辺72A及び/又は第2長辺72Bは、斜めに配置されてよい。
【0028】
これにより、例えば、
図5に示すように、第1立壁部22Aを下にして電子機器10を配置した場合において、第1長辺72A及び第2長辺72Bは、それぞれ、接触部63より上であって、接触部63を覆い、傾斜するように配置される。第1長辺72Aと第2長辺72Bの傾斜の角度は、同じであってもよいし(図示しない)、異なってもよい(
図5参照)。例えば、
図5に示すように、第2長辺72Bの傾斜角度は、第1長辺72Aの傾斜角度よりも大きくてよい。また、第1長辺72A及び/又は第2長辺72Bは、直線的に傾斜してもよいし(
図5参照)、曲線的に傾斜してもよい(図示しない)。また、第2長辺72Bが第1長辺72Aよりも下に位置する場合、第2長辺72Bは第1長辺72Aよりも長くてよい。
【0029】
なお、
図5には、蓋部60が第1長辺72A及び第2長辺72Bの2つの長辺71を有する例を示したが、当該長辺71の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0030】
次に、
図5に示すように、第1立壁部22Aを下にして電子機器10を配置した場合における、第1長辺72A及び第2長辺72Bの作用効果について説明する。
【0031】
例えば、第3立壁部22Cと蓋部60との隙間である第3隙間91Cから水滴が浸入した場合、その水滴は蓋部60の内面61を伝って下方に移動する。しかし、その水滴は、第1長辺72Aに当たり、第1長辺72Aの傾斜に沿って移動する(水滴経路101Aを参照)。もし、第1長辺72Aに当たった水滴の一部が第1長辺72Aの傾斜に沿わずに下方に移動したとしても、その水滴は第2長辺72Bに当たり、第2長辺72Bの傾斜に沿って移動する(水滴経路101Bを参照)。
【0032】
このように、
図5に示すように蓋部60の内面61に第1長辺72A及び第2長辺72Bを設けることにより、第3隙間91Cから浸入した水滴が接触部63に到達することを防止できる。すなわち、第3隙間91Cから浸入した水滴が接触部63を介して、回路基板31にまで到達してしまうことを防止できる。
【0033】
<<第3立壁部22Cを下にして電子機器10を配置した場合>>
図6に示すように、第3立壁部22Cを下にして車室内に電子機器10を配置した場合において、蓋部60の内面61の連続突出部70の少なくとも1つの長辺71である第3長辺72Cは、接触部63より上であって、接触部63を覆うように配置される。
【0034】
また、連続突出部70の少なくとも1つの長辺71である第4長辺72Dは、第3長辺72Cに沿って配置されてよい。例えば、
図6に示すように、第4長辺72Dは、第3長辺72Cよりも下、かつ、接触部63よりも上の位置に、第3長辺72Cに沿って配置される。
図6に示すように、第3長辺72C及び/又は第4長辺72Dは、斜めに配置されてよい。
【0035】
これにより、例えば、
図6に示すように、第3立壁部22Cを下にして電子機器10を配置した場合において、第3長辺72C及び第4長辺72Dは、それぞれ、接触部63より上であって、接触部63を覆い、傾斜するように配置される。第3長辺72Cと第4長辺72Dの傾斜の角度は、同じであってもよいし(図示しない)、異なってもよい(
図6参照)。例えば、
図6に示すように、第4長辺72Dの傾斜角度は、第3長辺72Cの傾斜角度よりも大きくてよい。また、第3長辺72C及び/又は第4長辺72Dは、直線的に傾斜してもよいし(
図6参照)、曲線的に傾斜してもよい(図示しない)。また、第4長辺72Dが第3長辺72Cよりも下に位置する場合、第4長辺72Dは第3長辺72Cよりも長くてよい。
【0036】
なお、
図6には、蓋部60が第3長辺72C及び第4長辺72Dの2つの長辺71を有する例を示したが、当該長辺71の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0037】
次に、
図6に示すように、第3立壁部22Cを下にして電子機器10を配置した場合における、第3長辺72C及び第4長辺72Dの作用効果について説明する。
【0038】
例えば、第1立壁部22Aと蓋部60との隙間である第1隙間91Aから水滴が浸入した場合、その水滴は蓋部60の内面61を伝って下方に移動する。しかし、その水滴は、第3長辺72Cに当たり、第3長辺72Cの傾斜に沿って移動する(水滴経路102Aを参照)。もし、第3長辺72Cに当たった水滴の一部が第3長辺72Cの傾斜に沿わずに下方に移動したとしても、その水滴は第4長辺72Dに当たり、第4長辺72Dの傾斜に沿って移動する(水滴経路102Bを参照)。
【0039】
このように、
図6に示すように蓋部60の内面61に第3長辺72C及び第4長辺72Dを設けることにより、第1隙間91Aから浸入した水滴が接触部63に到達することを防止できる。すなわち、第3隙間91Cから浸入した水滴が接触部63を介して回路基板31にまで到達してしまうことを防止できる。
【0040】
<<第4立壁部22Dを下にして電子機器10を配置した場合>>
図7に示すように、第4立壁部22Dを下にして車室内に電子機器10を配置した場合において、蓋部60の内面61の連続突出部70の少なくとも1つの長辺71は、第1の方向に斜めに配置された第1傾斜辺73Aと、第1の方向と異なる第2の方向に斜めに配置された第2傾斜辺73Bとを有してよい。第1傾斜辺73Aと第2傾斜辺73Bは角部74Aを介して連続的に配置されてよい。第1傾斜辺73A及び第2傾斜辺73Bは、角部74Aから離れるにしたがって第4立壁部22Dに近づく方向に傾斜してよい。
【0041】
例えば、
図7に示すように、第4立壁部22Dを下にして電子機器10を配置した場合において、第1傾斜辺73A及び第2傾斜辺73Bは、接触部63より上であって、接触部63を覆うように配置される。
【0042】
また、
図7に示すように、連続突出部70の少なくとも1つ長辺71は、第3の方向に斜めに配置された第3傾斜辺73Cと、第3の方向と異なる第4の方向に斜めに配置された第4傾斜辺73Dとを有してよい。第3傾斜辺73Cと第4傾斜辺73Dは角部74Bを介して連続的に配置されてよい。第3傾斜辺73C及び第4傾斜辺73Dは、角部74Bから離れるにしたがって第4立壁部22Dに近く方向に傾斜してよい。
【0043】
例えば、
図7に示すように、第4立壁部22Dを下にして電子機器10を配置した場合において、第3傾斜辺73C及び第4傾斜辺73Dは、接触部63より上であって、接触部63を覆うように配置される。第3傾斜辺73C及び第4傾斜辺73Dは、第1傾斜辺73A及び第2傾斜辺73Bの下、かつ、接触部63よりも上の位置に配置されてよい。
【0044】
第1傾斜辺73Aと第3傾斜辺73Cの傾斜角度は、同じであってもよいし(図示しない)、異なってもよい(
図7参照)。第3傾斜辺73Cの傾斜角度は、第1傾斜辺73Aの傾斜角度よりも大きくてよい。
【0045】
第2傾斜辺73Bと第4傾斜辺73Dの傾斜の角度は、同じであってもよいし(図示しない)、異なってもよい(
図7参照)。第4傾斜辺73Dの傾斜角度は、第2傾斜辺73Bの傾斜角度よりも大きくてよい。
【0046】
第1傾斜辺73A、第2傾斜辺73B、第3傾斜辺73C、及び、第4傾斜辺73Dの少なくとも1つは、直接的に傾斜してもよいし(
図7参照)、曲線的に傾斜してもよい(図示しない)。
【0047】
なお、
図7には、蓋部60が第1傾斜辺73A及び第2傾斜辺73Bのセットと第3傾斜辺73C及び第4傾斜辺73Dのセットとの2つの長辺71を有する例を示したが、当該長辺71の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0048】
次に、
図7に示すように、第4立壁部22Dを下にして電子機器10を配置した場合における、第1傾斜辺73A及び第2傾斜辺73B並びに第3傾斜辺73C及び第4傾斜辺73Dの作用効果について説明する。
【0049】
例えば、第2立壁部22Bと蓋部60との第2隙間91Bから水滴が浸入した場合、その水滴は蓋部60の内面61を伝って下方に移動する。しかし、その水滴は、第1傾斜辺73A又は第2傾斜辺73Bに当たり、第1傾斜辺73A又は第2傾斜辺73Bの傾斜に沿って移動する(水滴経路103Aを参照)。また、第1傾斜辺73A又は第2傾斜辺73Bに当たった水滴の一部が、第1傾斜辺73A又は第2傾斜辺73Bの傾斜に沿わずに下方に移動したとしても、その水滴は第3傾斜辺73C又は第4傾斜辺73Dに当たり、第3傾斜辺73C又は第4傾斜辺73Dの傾斜に沿って移動する(水滴経路103Bを参照)。
【0050】
このように、
図7に示すように第1傾斜辺73A及び第2傾斜辺73B(並びに第3傾斜辺73C及び第4傾斜辺73D)を設けることにより、第2隙間91Bから浸入した水滴が接触部63に到達することを防止できる。すなわち、第2隙間91Bから浸入した水滴が接触部63を介して回路基板31にまで到達してしまうことを防止できる。
【0051】
なお、
図7に示す第1傾斜辺73A及び第2傾斜辺73B(並びに第3傾斜辺73C及び第4傾斜辺73D)は、第1立壁部22A(又は第3立壁部22C)を下にして電子機器10を配置した場合の接触部63の上の位置に、当該接触部63を覆うように配置されてもよい。
【0052】
また、本実施の形態では、蓋部60に、連続突出部70として、第1長辺72A、第2長辺72B、第3長辺72C、第4長辺72D、第1傾斜辺73A、第2傾斜辺73B、第3傾斜辺73C、及び、第4傾斜辺73Dを設ける例を示したが、車室内における電子機器10の設置の向き(つまりどちらを下にして配置するか)が予め決まっている場合、蓋部60の接触部63の上にのみ連続突出部70が設けられてもよい。
【0053】
また、
図4、
図5、
図6及び
図7に示すように、蓋部60と回路基板31と筐体20とは、四隅においてネジ82で締結されてよい。そして、蓋部60は、ネジ82の周辺において、内面61の一部に設けられ、回路基板31に接触する接触部83と、接触部83に対応した突出部84とを備えてよい。突出部84は、筐体20の底面21に向かって突出してよい。この場合、上述した連続突出部70と同様に、蓋部60は、当該蓋部60の隙間から浸入した水滴が突出部84及び接触部83を介して回路基板31に到達することを防止するように配置された連続突出部(図示しない)を有してもよい。例えば、当該連続突出部は、接触部83及び突出部84を囲むように配置されてよい。これにより、上述した連続突出部70と同様、蓋部60の隙間から浸入した水滴を当該連続突出部の傾斜に沿って移動させることができ、浸入した水滴が突出部84及び接触部83を介して回路基板31に到達することを防止できる。
【0054】
(本開示のまとめ)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
【0055】
<技術1>
本開示に係る電子機器10は、筐体20と、回路基板31と、蓋部60とを備える。筐体20は、底面21と、当該底面21の周囲に配置された第1立壁部22A、第2立壁部22B、第3立壁部22C、及び第4立壁部22Dとを少なくとも備える。回路基板31は、電子部品32が実装され、筐体20に収容される。蓋部60は、第1立壁部22Aの第1頂部23A、第2立壁部22Bの第2頂部23B、第3立壁部22Cの第3頂部23C、及び第4立壁部22Dの第4頂部23Dの少なくとも一部に対応するように配置され、回路基板31を覆い、底面21に対向する内面61と、内面61と反対の外面62とを有する。蓋部60は、内面61の一部に設けられ回路基板31に接触する接触部63を有する。蓋部60は、内面61に沿って所定の長さを有して連続し、底面21に向かって突出する連続突出部70を有する。電子機器10を、第1立壁部22Aを下にして配置した場合に、内面61の連続突出部70の少なとも一つの長辺71は、接触部63より上であって、接触部63を覆うように配置される。
当該構成によれば、蓋部60の内面61に付着した水滴が下に移動した場合、その水滴は連続突出部70に当たり接触部63に到達しないので、水滴が接触部63を通じて回路基板31に到達してしまうことを防止できる。
【0056】
<技術2>
技術1に記載の電子機器10であって、前記蓋部60と前記回路基板31は、前記接触部63において締結される。
【0057】
<技術3>
技術1又は技術2に記載の電子機器10であって、蓋部60は、接触部63に対応した突出部64を備える。
【0058】
<技術4>
技術1から技術3のいずれか1項に記載の電子機器10であって、蓋部60と回路基板31は、接触部63においてネジ81で締結される。
【0059】
<技術5>
技術1から技術4のいずれか1項に記載の電子機器10であって、電子機器10を、第1立壁部22Aを下にして配置した場合に、内面61の連続突出部70の少なとも一つの長辺71は、接触部63より上であって、接触部63を覆い、斜めに配置される。
【0060】
<技術6>
技術1から技術5のいずれか1項に記載の電子機器10であって、内面61の連続突出部70の長辺71を第1長辺72Aとし、内面61の連続突出部70は、更に第1長辺72Aに沿った第2長辺72Bを備える。
【0061】
<技術7>
技術1から技術6のいずれか1項に記載の電子機器10であって、電子機器10を、第1立壁部22Aを下にして配置した場合に、内面61の連続突出部70の少なとも一つの長辺71は、第1の方向に斜め配置された第1傾斜辺73Aと、第1の方向と異なる第2の方向に斜めに配置された第2傾斜辺73Bを有する。
【0062】
<技術8>
技術7に記載の電子機器10であって、第1傾斜辺73Aと第2傾斜辺73Bは角部74Aを介して連続的に配置される。
【0063】
<技術9>
技術1から技術8のいずれか1項に記載の電子機器10であって、蓋部60は、金属製である。
【0064】
<技術10>
技術9に記載の電子機器10であって、連続突出部70は、金属製の蓋部60にプレス加工によって形成される。
【0065】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本開示の技術は、防滴性能が求められる電子機器に有用である。
【符号の説明】
【0067】
10 電子機器
20 筐体
21 底面
22A 第1立壁部
22B 第2立壁部
22C 第3立壁部
22D 第4立壁部
23A 第1頂部
23B 第2頂部
23C 第3頂部
23D 第4頂部
31 回路基板
32 電子部品
33 コネクタ
60 蓋部
61 内面
62 外面
63 接触部
64 突出部
70 連続突出部
71 長辺
72A 第1長辺
72B 第2長辺
72C 第3長辺
72D 第4長辺
73A 第1傾斜辺
73B 第2傾斜辺
73C 第3傾斜辺
73D 第4傾斜辺
74A、74B 角部
81、82 ネジ
83 接触部
84 突出部
101A 水滴経路
101B 水滴経路
102A 水滴経路
102B 水滴経路
103A 水滴経路
103B 水滴経路