(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067295
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】スラッジ回収装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20240510BHJP
C02F 11/00 20060101ALI20240510BHJP
C02F 11/121 20190101ALI20240510BHJP
C02F 11/15 20190101ALI20240510BHJP
B03C 1/00 20060101ALI20240510BHJP
B03C 1/247 20060101ALI20240510BHJP
B01D 29/11 20060101ALI20240510BHJP
C22B 7/00 20060101ALI20240510BHJP
C22B 3/22 20060101ALI20240510BHJP
B23Q 11/10 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B23Q11/00 U
C02F11/00 J
C02F11/121
C02F11/15
B03C1/00 A
B03C1/247
B01D29/10 510D
B01D29/10 510F
B01D29/10 530D
C22B7/00 H
C22B3/22
B23Q11/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177254
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】519364071
【氏名又は名称】和泉産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】513188309
【氏名又は名称】産機テクノス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112140
【弁理士】
【氏名又は名称】塩島 利之
(74)【代理人】
【識別番号】100119297
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 正男
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 直章
(72)【発明者】
【氏名】武田 英俊
(72)【発明者】
【氏名】大泉 東
【テーマコード(参考)】
3C011
4D059
4D116
4K001
【Fターム(参考)】
3C011BB31
3C011BB33
3C011EE09
4D059AA11
4D059BE02
4D059BE41
4D059BK25
4D059CB27
4D059CC07
4D116BB01
4D116BC27
4D116BC28
4D116BC45
4D116BC47
4D116BC71
4D116DD05
4D116EE01
4D116EE02
4D116EE04
4D116EE06
4D116FF12B
4D116GG02
4D116KK06
4D116QA06C
4D116QA06D
4D116QA06E
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4D116QA28C
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4D116QA53D
4D116QA53G
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4D116QA55D
4D116QA55F
4D116QB02
4D116QB17
4D116QB22
4D116RR02
4D116SS01
4D116SS07
4D116VV12
4D116VV30
4K001BA24
4K001CA02
4K001CA04
4K001DB16
(57)【要約】
【課題】多種多様なスラッジを回収できるスラッジ回収装置を提供する。
【解決手段】スラッジ回収装置18は、液中スラッジ5aを吸引する第1ノズル系統31と液面又は液面近傍スラッジ5bを吸引する第2ノズル系統32が接続され、スラッジ液をろ過するフィルタ装置7と、フィルタ装置7によってろ過されたスラッジ液を吸引するポンプ9と、ポンプ9から吐出されたスラッジ液が投入され、分離後の液を自然流下によってタンク1に戻すマグネットセパレータ12と、を備える。フィルタ装置7、ポンプ9、マグネットセパレータ12が同一の可搬台車6に搭載される。ポンプ9から吐出されたスラッジ液をタンク1へ戻す系統11とマグネットセパレータ12に投入する系統10とを切り替え可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液中スラッジを吸引する第1ノズル系統と液面又は液面近傍スラッジを吸引する第2ノズル系統が接続され、スラッジ液をろ過するフィルタ装置と、
前記フィルタ装置によってろ過されたスラッジ液を吸引するポンプと、
前記ポンプから吐出されたスラッジ液が投入され、分離後の液を自然流下によってタンクに戻すマグネットセパレータと、を備え、
前記フィルタ装置、前記ポンプ、前記マグネットセパレータが同一の可搬台車に搭載され、
前記ポンプから吐出されたスラッジ液をタンクへ戻す系統と前記マグネットセパレータに投入する系統とに切り替え可能であるスラッジ回収装置。
【請求項2】
液中スラッジを吸引する第1ノズル系統と液面又は液面近傍浮上油を吸引する第2ノズル系統が接続され、スラッジ液をろ過するフィルタ装置と、
前記フィルタ装置によってろ過されたスラッジ液を吸引するポンプと、
前記ポンプから吐出されたスラッジ液が投入され、分離後の液を自然流下によってタンクに戻す油水分離槽と、を備え、
前記フィルタ装置、前記ポンプ、前記油水分離槽が同一の可搬台車に搭載され、
前記ポンプから吐出されたスラッジ液をタンクへ戻す系統と前記油水分離槽に投入する系統とに切り替え可能であるスラッジ回収装置。
【請求項3】
前記第1ノズル系統と前記第2ノズル系統とを切り替え可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスラッジ回収装置。
【請求項4】
前記フィルタ装置は、筒部を有するフィルタを備え、
前記筒部の上部の網目が前記筒部の下部の網目よりも粗いことを特徴とする請求項1又は2に記載のスラッジ回収装置。
【請求項5】
前記フィルタ装置は、インナーフィルタとアウターフィルタを備え、
前記インナーフィルタの筒部と前記アウターフィルタの筒部との間に隙間が設けられ、
前記インナーフィルタを前記アウターフィルタから引き抜き可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスラッジ回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工機、工作機械等のタンク内の加工液、クーラント液、洗浄液等に混在するスラッジをタンク外から回収分離ができるスラッジ回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加工機の加工液循環タンク内や工作機械のクーラントタンク内には、被加工材の加工屑からなるスラッジが溜まり、やがては加工液やクーラント液の詰まり等のトラブルを誘発する。スラッジの回収除去のため、通常タンク内に掻き出しコンベヤを設けたり、液循環系にフィルタやサイクロンからなるインライン濾過機を設けたりしている。
【0003】
しかし、上記だけではスラッジの回収除去が十分ではなく、タンク内にスラッジが徐々に沈降堆積する。このため、定期的にタンク内をバキューム吸引し、新液に交換することが行われている。当然、旧液の産廃処理費用、新液費用がコストにかかる。
【0004】
また、スラッジとは別に、被加工材表面の防錆油あるいは加工機本体摺動面からの潤滑油などの油分が、同じくタンク内に流入し液面に浮上油として浮遊する。この浮上油は悪臭の原因となるだけでなく、液の劣化を招く。通常ベルトスキマーなどの浮上油回収装置がタンクに設けられているものの、回収が不十分なことが多く、新液交換につながっている事例は多い。
【0005】
近年、複数台をまとめた集中クーラント方式から、多品種生産のニーズから個々の工作機械ごとにクーラントが異なる個別クーラント管理が行われるようになってきている。対象の工作機械1台毎に移動してスラッジや浮上油を回収除去できるような回収装置が例えば特許文献1に示されている。
【0006】
特許文献1には、超硬合金を含むスラッジ液を可搬台車上の処理装置に流入させ、この処理装置内に設けた棒状の磁性吸着材に磁性スラッジを吸着させるスラッジ回収装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、加工機、工作機械の種類によっては、タンクの液中に多種多様なスラッジが混在する。従来のスラッジ回収装置においては、多種多様なスラッジを回収できないという課題がある。特に、研削盤等のグラインダー加工時の微細スラッジや、鋳物加工時のヘドロ状スラッジは、回収しにくい。
【0009】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、多種多様なスラッジを回収できるスラッジ回収装置を提供することを第1の目的とする。
【0010】
他方、加工機、工作機械のタンクの液面には、スラッジが浮遊するだけでなく、浮上油が浮遊していることも多く、スラッジと浮上油の両方を回収分離できるスラッジ回収装置が求められる。
【0011】
本発明の第2の目的は、スラッジと浮上油の両方を回収できるスラッジ回収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記第1の課題を解決するために、本発明の第1の態様は、液中スラッジを吸引する第1ノズル系統と液面又は液面近傍スラッジを吸引する第2ノズル系統が接続され、スラッジ液をろ過するフィルタ装置と、前記フィルタ装置によってろ過されたスラッジ液を吸引するポンプと、前記ポンプから吐出されたスラッジ液が投入され、分離後の液を自然流下によってタンクに戻すマグネットセパレータと、を備え、前記フィルタ装置、前記ポンプ、前記マグネットセパレータが同一の可搬台車に搭載され、前記ポンプから吐出されたスラッジ液をタンクへ戻す系統と前記マグネットセパレータに投入する系統とに切り替え可能であるスラッジ回収装置である。
【0013】
上記第2の課題を解決するために、本発明の第2の態様は、液中スラッジを吸引する第1ノズル系統と液面又は液面近傍浮上油を吸引する第2ノズル系統が接続され、スラッジ液をろ過するフィルタ装置と、前記フィルタ装置によってろ過されたスラッジ液を吸引するポンプと、前記ポンプから吐出されたスラッジ液が投入され、分離後の液を自然流下によってタンクに戻す油水分離槽と、を備え、前記フィルタ装置、前記ポンプ、前記油水分離槽が同一の可搬台車に搭載され、前記ポンプから吐出されたスラッジ液をタンクへ戻す系統と前記油水分離槽に投入する系統とに切り替え可能であるスラッジ回収装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の態様によれば、前段のフィルタ装置によって液中スラッジと液面スラッジを回収し、後段のマグネットセパレータによって、フィルタ装置では回収できない微細スラッジを回収するので、多種多様なスラッジを回収できる。また、ポンプから吐出されたスラッジ液をタンクへ戻す系統とマグネットセパレータに投入する系統とに切り替え可能であるで、微細スラッジの有無に応じてスラッジ回収装置を効率的に運転できる。さらに、スラッジ回収装置が可搬であるので、多数のタンクの清掃を行える。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、前段のフィルタ装置によって液中スラッジと液面スラッジを回収し、後段の油水分離槽によって浮上油を回収するので、スラッジと浮上油の両方を回収できる。また、ポンプから吐出されたスラッジ液をタンクへ戻す系統と油水分離槽に投入する系統とに切り替え可能であるで、浮上油の有無に応じてスラッジ回収装置を効率的に運転できる。さらに、スラッジ回収装置が可搬であるので、多数のタンクの清掃を行える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施形態のスラッジ回収装置の模式図である。
【
図2】
図2(a)はフィルタ装置の縦断面図であり、
図2(b)はフィルタの斜視図である。
【
図3】
図3(a)は他の例のフィルタ装置の縦断面図であり、
図3(b)はインナーフィルタの斜視図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態のスラッジ回収装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態のスラッジ回収装置を説明する。ただし、本発明のスラッジ回収装置は種々の形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものではない。本実施形態は、明細書の開示を十分にすることによって、当業者が発明を十分に理解できるようにする意図をもって提供されるものである。
(第1の実施形態)
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態のスラッジ回収装置18の模式図を示す。
図1において、7はフィルタ装置、9はポンプ、12はマグネットセパレータである。フィルタ装置7、ポンプ9、マグネットセパレータ12は、同一の可搬台車6に搭載される。
【0019】
可搬台車6は、フレーム6aと、フレーム6aに取り付けられる押しハンドル6cと、フレーム6aの下部に取り付けられる複数個のキャスター6bと、を備える。フィルタ装置7、ポンプ9、マグネットセパレータ12は、可搬台車6のフレーム6aに取り付けられる。
【0020】
1はタンク、4は加工液、クーラント液等の液、31は第1ノズル系統、32は第2ノズル系統、2は第1ノズル系統31の液中スラッジ吸引ノズル、3は第2ノズル系統32の液面又は液面近傍スラッジ(以下、単に液面スラッジという)吸引ノズルである。
【0021】
液中スラッジ吸引ノズル2は、ポンプ9の吸引負圧により、タンク1の液下部の沈殿スラッジ、液中浮遊スラッジ等の液中スラッジ5aを吸引する。吸引した液中スラッジ5aは、第1ノズル系統31を介してフィルタ装置7に流入する。
【0022】
液面スラッジ吸引ノズル3は、ポンプ9の吸引負圧により、タンク1内に浮上する液面スラッジ5bを吸引する。吸引した液面スラッジ5bは、第2ノズル系統32を介してフィルタ装置7に流入する。液面スラッジ吸引ノズル3は、タンク1内の液面スラッジ5bを吸引可能なように、複数個のフロート3aと、フロート3aによって液面近傍に浮上するノズル本体3bと、を備える。
【0023】
第1ノズル系統31には、バルブ31aが設けられる。第2ノズル系統32には、バルブ32aが設けられる。これらのバルブ31a,32aによって、第1ノズル系統31と第2ノズル系統32とを切り替え可能である。すなわち、第1ノズル系統31のみをフィルタ装置7に接続した状態、第2ノズル系統32のみをフィルタ装置7に接続した状態、第1ノズル系統31と第2ノズル系統32の両方をフィルタ装置7に接続した状態を切り替え可能である。
【0024】
図2(a)に示すように、フィルタ装置7は、可搬台車6のフレーム6aに固定される有底略円筒状のハウジング7aと、ハウジング7aに脱着可能な上蓋7bと、ハウジング7a内にぶらさがった状態で保持されるフィルタ8と、を備える。フィルタ8の上端のリング状の外フランジ8aをハウジング7aのリング状の内フランジ7a1に預け載せることによって、ハウジング7a内にフィルタ8をぶらさがった状態で保持する。
【0025】
ハウジング7aの底部には、スムーズな液流を形成するように鉛直下方向にあく排出口7a2が設けられる。排出口7a2は、ホース等を介してポンプ9の吸込み側に接続される。ポンプ9の吸引負圧がフィルタ8に作用するので、フィルタ8が流入したスラッジ液をろ過する。スラッジ液のろ過に伴い、フィルタ8にはスラッジ16が堆積する。17はスラッジ16の上面に溜まる液である。
【0026】
図2(b)に示すように、フィルタ8は、有底略円筒状の金属メッシュフィルタである。筒部8bの上部8b2の網目は下部8b1の網目よりも粗い。なお、筒部8bを上部、中部、下部の3段階に分け、上にいくほど網目を粗くしてもよいし、筒部8bを4段階以上に分け、上にいくほど網目を粗くしてもよい。
【0027】
フィルタ8の底板8cの中央部には、スラッジ液が通過可能なメッシュ部8c1が設けられる。なお、底板8cの全体をメッシュ部にしてもよい。
【0028】
再び
図1に示すように、ポンプ9は、フィルタ装置7によってろ過されたスラッジ液を吸引する。ポンプ9は、エアー駆動式又は電動式のダイヤフラムポンプ等である。
【0029】
ポンプ9の吐出側には、ポンプ9から吐出されたスラッジ液をタンク1に戻す系統11が接続される。この系統11からは、スラッジ液をマグネットセパレータ12に投入するための系統10が分岐する。系統11には、バルブ11aが設けられる。系統10には、バルブ10aが設けられる。これらのバルブ11a,10aによって、ポンプ9から吐出されたスラッジ液をタンク1へ戻す系統11とマグネットセパレータ12に投入する系統10とを切り替えられる。
【0030】
マグネットセパレータ12は、連続的にスラッジを分離可能な回転ドラム式マグネットセパレータである。マグネットセパレータ12は、タンク本体12aにモータにより回転駆動される回転ドラム(マグネットローラ)12bを支持し、その上にゴムローラ12cをマグネットローラ12bに圧接させて回転自在に支持してなる。そして、マグネットローラ12bの外側にマグネットローラ12bに摺接しながらマグネットローラ12bに付着した微細スラッジ14を取り除くシュート12dを設けている。シュート12dから落下した微細スラッジ14は、フレーム6aに取り付けられた受け箱13に溜まる。
【0031】
タンク本体12aの内部には、マグネットローラ12bの外形形状に合わせてマグネットローラ12bの外面と略一定間隔あけた円弧部12a1が設けられる。円弧部12a1の右側の流出口12a2は堰12a3により仕切られている。分離後のクリーンな液は、自然流下によって系統15を介してタンク1に戻る。
【0032】
次にスラッジ回収装置18の作用を説明する。まず、スラッジ回収装置18をタンク1の横に設置する。そして、スラッジ回収装置18から液中スラッジ吸引ノズル2と液面スラッジ吸引ノズル3を取り出し、液中スラッジ吸引ノズル2をタンク1の底に入れ、液面スラッジ吸引ノズル3をタンク1の液面に浮上させる。また、ポンプ9からの戻り系統11とマグネットセパレータ12からの戻り系統15をタンク1に入れる。
【0033】
ポンプ9を始動させると、ポンプ9の吸引負圧により、液中スラッジ5aと液面スラッジ5bがスラッジ液とともにフィルタ装置7に流入する。液中スラッジ5aと液面スラッジ5bはフィルタ装置7によってろ過されて、フィルタ8の内部にスラッジ16として堆積する。
【0034】
フィルタ装置7によってろ過されたスラッジ液は、ポンプ9によってマグネットセパレータ12に投入される。マグネットセパレータ12に投入されたスラッジ液は、マグネットローラ12bとタンク本体12aの円弧部12a1との間を通り抜け、堰12a3を超えて流出口12a2に至る。スラッジ液に混在している微細スラッジ14は、マグネットローラ12bの下側を通るときに吸着捕集される。このため、流出口12a2に至る液は浄化さており、この液は自然流下によって系統15を通してタンク1に戻る。
【0035】
マグネットローラ12bに吸着捕集された微細スラッジ14はゴムローラ12cにより絞られ、シュート12dによりマグネットローラ12bから取り除かれ、シュート12dを滑って受け箱13の内部に微細スラッジ14として堆積する。
【0036】
フィルタ8に堆積したスラッジ16を取り出す際は、ポンプ9を一旦停止させ、ハウジング7aから上蓋7bを取り外す。その後、ポンプ9の運転を再開させると、オープンになったフィルタ8の上面から大気が吸引され、スラッジ16の脱水が行われる。なお、ハウジング7aから上蓋7bを取り外す替わりに、上蓋7bにエアーコックを設け、エアーコックから大気を吸引してもよいし、吸引ノズル2,3を持ち上げて吸引ノズル2,3から大気を吸引してもよい。脱水後のスラッジ16はフィルタ8ごと取り出され、予め決められたスラッジ回収箱に排出される。
【0037】
次にスラッジ回収装置18の効果を説明する。前段のフィルタ装置7によって液中スラッジ5aと液面スラッジ5bを回収し、後段のマグネットセパレータ12によって、フィルタ装置7では回収できない微細スラッジ14を回収するので、多種多様なスラッジを回収できる。また、ポンプ9から吐出されたスラッジ液をタンク1へ戻す系統11とマグネットセパレータ12に投入する系統10とに切り替え可能であるで、微細スラッジ14の有無に応じてスラッジ回収装置18を効率的に運転できる。さらに、スラッジ回収装置18が可搬であるので、多数のタンク1の清掃を行える。
【0038】
液中スラッジ5aを吸引する第1ノズル系統31と液面スラッジ5bを吸引する第2ノズル系統32とを切り替え可能であるので、液中スラッジ5aと液面スラッジ5bの有無に応じてスラッジ回収装置18を効率的に運転できる。
【0039】
フィルタ8の筒部8bの上部8b2の網目が下部8b1の網目よりも粗いので、スラッジ16の上面に溜まる液17の抜けを改善することができ、脱水効率が高まる。
(フィルタ装置の他の例)
【0040】
図3(a)は他の例のフィルタ装置41を示す。フィルタ装置41のハウジング7a、上蓋7bの構成は、上記フィルタ装置7のハウジング7a、上蓋7bと同一なので、同一の符号を附してその説明を省略する。
【0041】
この例のフィルタ44は、インナーフィルタ42とアウターフィルタ8を備える。アウターフィルタ8の構成は、上記フィルタ装置7のフィルタ8と同一であるので、同一の符号を附してその説明を省略する。
【0042】
図3(b)に示すように、インナーフィルタ42は略筒状である。筒部42aは一様な粗い網目を有する。インナーフィルタ42の底部には、底板もメッシュも設けられていない。その替わり、インナーフィルタ42の底部は、十字状等のバー42bで仕切られている。インナーフィルタ42の上部には、取手42cが設けられる。
【0043】
インナーフィルタ42は、アウターフィルタ8から引き抜き可能である。引き抜き易くするために、アウターフィルタ8の筒部8bとインナーフィルタ42の筒部42aとの間には、隙間gが設けられる。
【0044】
この例のフィルタ装置41は、スラッジの脱水機能を向上させるために使用される。特に鋳物研削粉のような水抜け性が悪いヘドロ状スラッジに有効である。
【0045】
アウターフィルタ8にインナーフィルタ42をセットした状態でスラッジ液を吸引すると、インナーフィルタ42内にスラッジと液が溜まる。ヘドロ状スラッジの場合、大気を吸引してスラッジを脱水しても、液が溜まったままになる。このとき、上蓋7bを取り外し、インナーフィルタ42を引き抜くと、スラッジがほぐされて水はけ性が改善される。特に下部の十字状等のバー42bはスラッジのほぐしに有効である。スラッジをほぐした後、同様に大気を吸引して2回目の脱水を行うことでヘドロ状スラッジでも脱水可能になる。
(第2の実施形態)
【0046】
図4は、本発明の第2の実施形態のスラッジ回収装置24の模式図を示す。
図4において、1はタンク、2は液中スラッジ吸引ノズル、3は液面スラッジ吸引ノズル、6は可搬台車、7はフィルタ装置、9はポンプである。これらの構成は、第1の実施形態のスラッジ回収装置18と同一であるので、同一の符号を附してその説明を省略する。
【0047】
第2の実施形態のスラッジ回収装置24では、スラッジと浮上油の両方を回収するために、マグネットセパレータ12の替わりに油水分離槽20が搭載される。
【0048】
ポンプ9から吐出されたスラッジ液をタンク1に戻す系統11からは、スラッジ液を油水分離槽20に投入するための系統19が分岐する。系統19には、バルブ19aが設けられる。バルブ11a,19aによって、ポンプ9から吐出されたスラッジ液をタンク1へ戻す系統11と油水分離槽20に投入する系統19とを切り替え可能である。
【0049】
油水分離槽20は、油と水の比重差を利用して油水を上下に分離する。ポンプ9から吐出されたスラッジ液は、油水分離槽20の液貯留部20aに投入される。液貯留部20aでは、時間の経過と共に比重差によって油が上にクリーンな液が下に分離される。液貯留部20aに浮上した油は堰20bを超えて油分回収部20cに回収され、可搬台車6のフレーム6aに取り付けられた油受け桝21に溜まる。油分が分離されたクリーンな液は、液貯留部20aから水分回収部20dに至り、自然流下によって系統23を介してタンク1に戻る。
【0050】
スラッジ回収装置24の効果を説明する。前段のフィルタ装置7によって液中スラッジ5aと液面スラッジ5bを回収し、後段の油水分離槽20によって浮上油5cを回収するので、スラッジと浮上油の両方を回収できる。また、ポンプ9から吐出されたスラッジ液をタンク1へ戻す系統11と油水分離槽20に投入する系統19とに切り替え可能であるで、浮上油の有無に応じてスラッジ回収装置24を効率的に運転できる。さらに、スラッジ回収装置24が可搬であるので、多数のタンク1の清掃を行える。
【0051】
液中スラッジ5aを吸引する第1ノズル系統31と液面スラッジ5bや浮上油5cを吸引する第2ノズル系統32とを切り替え可能であるので、液中スラッジ5a、液面スラッジ5b、浮上油5cの有無に応じてスラッジ回収装置24を効率的に運転できる。
【符号の説明】
【0052】
1…タンク
2…液中スラッジ吸引ノズル
3…液面スラッジ吸引ノズル
6…可搬台車
7…フィルタ装置
8…フィルタ、アウターフィルタ
8b…フィルタの筒部
8b1…筒部の下部
8b2…筒部の上部
9…ポンプ
10…スラッジ液をマグネットセパレータに投入する系統
11…スラッジ液をタンクに戻す系統
12…マグネットセパレータ
18…スラッジ回収装置
19…スラッジ液を油水分離槽に投入する系統
20…油水分離槽
24…スラッジ回収装置
31…第1ノズル系統
32…第2ノズル系統
41…フィルタ装置
42…インナーフィルタ
42a…筒部
44…フィルタ