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特開2024-67308電着板評価装置、電着板評価システム、電着板評価プログラムおよび電着板評価方法
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  • 特開-電着板評価装置、電着板評価システム、電着板評価プログラムおよび電着板評価方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067308
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】電着板評価装置、電着板評価システム、電着板評価プログラムおよび電着板評価方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240510BHJP
   C25C 7/06 20060101ALI20240510BHJP
   G06V 10/70 20220101ALI20240510BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20240510BHJP
   C25C 1/16 20060101ALN20240510BHJP
【FI】
G06T7/00 350B
C25C7/06 301Z
G06V10/70
G06N20/00
C25C1/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177279
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】306039131
【氏名又は名称】DOWAメタルマイン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507027162
【氏名又は名称】DOWAテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161034
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 知洋
(72)【発明者】
【氏名】飯島 健太
(72)【発明者】
【氏名】出南 真吾
【テーマコード(参考)】
4K058
5L096
【Fターム(参考)】
4K058BA25
4K058BB04
4K058FA03
4K058FA17
4K058FA30
4K058FB04
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA03
5L096CA05
5L096DA02
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】電解採取により非鉄金属が電着する電着板について、その電着領域の表面状態の良否判定を容易かつ適切に行うことを実現可能にする。
【解決手段】非鉄金属の湿式電解法で得られる電着板について、電解液から取り出された前記電着板の電着領域の表面画像を取得する画像取得部31a,31bと、前記電着板の電着領域の表面状態に関するサンプル画像を教師データとして保持するデータ保持部33a,33bと、前記データ保持部33a,33bが保持する前記教師データを用いて前記電着板の電着領域の表面状態の良否判定を行う際の判定基準を学習する学習機能部34a,34bと、前記画像取得部31a,31bが取得した表面画像を前記データ保持部33a,33bが保持する前記教師データと対比させつつ、前記学習機能部34a,34bにより学習した前記判定基準に基づき、当該表面画像に係る前記電着板の電着領域の表面状態の良否判定を行う良否判定部35a,35bと、を備えた電着板評価装置30a,30bを構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非鉄金属の湿式電解法で得られる電着板について、電解液から取り出された前記電着板の電着領域の表面画像を取得する画像取得部と、
前記電着板の電着領域の表面状態に関するサンプル画像を教師データとして保持するデータ保持部と、
前記データ保持部が保持する前記教師データを用いて前記電着板の電着領域の表面状態の良否判定を行う際の判定基準を学習する学習機能部と、
前記画像取得部が取得した表面画像を前記データ保持部が保持する前記教師データと対比させつつ、前記学習機能部により学習した前記判定基準に基づき、当該表面画像に係る前記電着板の電着領域の表面状態の良否判定を行う良否判定部と、
を備える電着板評価装置。
【請求項2】
前記画像取得部は、前記電着板の電着領域のうちの代表領域の表面状態を撮像する狭角カメラによって構成され、
前記教師データおよび前記判定基準は、前記狭角カメラによる撮像結果に対応するように設定されている
請求項1に記載の電着板評価装置。
【請求項3】
前記狭角カメラに対応する前記教師データは、前記電着板の表面の平滑さが異なる複数のサンプル画像によって構成されている
請求項2に記載の電着板評価装置。
【請求項4】
前記画像取得部は、前記電着板の電着領域の全域の表面状態を撮像する広角カメラによって構成され、
前記教師データおよび前記判定基準は、前記広角カメラによる撮像結果に対応するように設定されている
請求項1に記載の電着板評価装置。
【請求項5】
前記広角カメラに対応する前記教師データは、前記電着板に生じ得る表面不良の具体的態様のサンプル画像を少なくとも一つ含んで構成されている
請求項4に記載の電着板評価装置。
【請求項6】
前記学習機能部は、前記良否判定部による良否判定の精度に関する情報に応じた前記判定基準の更新に対応するように構成されている
請求項1に記載の電着板評価装置。
【請求項7】
請求項1に記載の電着板評価装置と、
前記電着板を浸漬可能な状態で前記電解液を収容する電解槽と、
前記電解槽から取り出した前記電着板を少なくとも前記電着板評価装置の前記画像取得部による画像取得箇所まで搬送する搬送機構と、
前記画像取得箇所に搬送されて画像取得が行われた前記電着板についての前記電着板評価装置の前記良否判定部による良否判定の結果に関する情報を出力する情報出力部と、
を備える電着板評価システム。
【請求項8】
前記電着板評価装置の前記画像取得部は、前記電着板の電着領域のうちの代表領域の表面状態を撮像する狭角カメラと、前記電着板の電着領域の全域の表面状態を撮像する広角カメラと、を有して構成され、
前記教師データおよび前記判定基準は、前記狭角カメラによる撮像結果および前記広角カメラによる撮像結果のそれぞれに対応するように設定されている
請求項7に記載の電着板評価システム。
【請求項9】
前記電解槽は、複数の前記電着板を浸漬可能に構成されており、
前記画像取得部は、前記電解槽から搬送される複数の前記電着板について順に表面画像を取得するように構成されており、
前記良否判定部は、前記画像取得部で表面画像を取得した各電着板の識別情報と対応付けて、当該各電着板の電着領域の表面状態の良否判定を行うように構成されている
請求項7または8に記載の電着板評価システム。
【請求項10】
前記識別情報は、前記電解槽における前記各電着板の浸漬位置に関する情報である
請求項9に記載の電着板評価システム。
【請求項11】
前記情報出力部は、前記電解槽における前記各電着板の浸漬位置を視認可能な態様で、前記良否判定部による良否判定の結果に関する情報を出力するように構成されている
請求項10に記載の電着板評価システム。
【請求項12】
前記良否判定部は、前記各電着板の電着領域の表面状態の良否を複数段階または複数項目で判定するように構成されており、
前記情報出力部は、前記複数段階または前記複数項目の違いを視認可能な態様で、前記良否判定部による良否判定の結果に関する情報を出力するように構成されている
請求項11に記載の電着板評価システム。
【請求項13】
コンピュータを、
非鉄金属の湿式電解法で得られる電着板について、電解液から取り出された前記電着板の電着領域の表面画像を取得する画像取得部と、
前記電着板の電着領域の表面状態に関するサンプル画像を教師データとして保持するデータ保持部と、
前記データ保持部が保持する前記教師データを用いて前記電着板の電着領域の表面状態の良否判定を行う際の判定基準を学習する学習機能部と、
前記画像取得部が取得した表面画像を前記データ保持部が保持する前記教師データと対比させつつ、前記学習機能部により学習した前記判定基準に基づき、当該表面画像に係る前記電着板の電着領域の表面状態の良否判定を行う良否判定部と、
として機能させる電着板評価プログラム。
【請求項14】
非鉄金属の湿式電解法で得られる電着板について、電解液から取り出された前記電着板の電着領域の表面画像を取得する画像取得手順と、
前記電着板の電着領域の表面状態に関するサンプル画像を教師データとして保持するデータ保持手順と、
前記データ保持手順で保持する前記教師データを用いて前記電着板の電着領域の表面状態の良否判定を行う際の判定基準を学習する学習手順と、
前記画像取得手順で取得した表面画像を前記データ保持手順で保持する前記教師データと対比させつつ、前記学習手順により学習した前記判定基準に基づき、当該表面画像に係る前記電着板の電着領域の表面状態の良否判定を行う良否判定手順と、
を備える電着板評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電着板評価装置、電着板評価システム、電着板評価プログラムおよび電着板評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
亜鉛や銅等の非鉄金属については、いわゆる湿式電解法として電解採取の手法を適用して回収することがある(例えば、特許文献1参照)。電解採取は、回収すべき非鉄金属を含む電解液にアノード(陽極)およびカソード(陰極)として機能する各電極板を浸漬させ、電気遊離によりカソードの電極板に非鉄金属を電着させて回収する手法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-143385公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電解採取による非鉄金属の回収に際しては、電着状態が不良となる不良電着板を選別することが好ましい。しかしながら、不良電着板の選別は、人の目視によって行う場合、熟練さ(高度な技術)を必要とし、また見落としや判定ミス等の懸念がある。一方、何らかの手段で電着板の表面状態を検出し、その検出結果を基に不良電着板を選別することも考えられるが、検出表面の凹凸バラツキ(大きさ、大きさ分布、形状等)、板厚変化、光散乱の具合等を考慮すると、単純な不良モデル基準の作成が困難である。つまり、単に表面状態の検出結果を基にしただけでは、必ずしも不良電着板の選別を適切に行うことができない。
【0005】
本発明は、電解採取により非鉄金属が電着する電着板について、その電着領域の表面状態の良否判定を容易かつ適切に行うことを実現可能にする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、
非鉄金属の湿式電解法で得られる電着板について、電解液から取り出された前記電着板の電着領域の表面画像を取得する画像取得部と、
前記電着板の電着領域の表面状態に関するサンプル画像を教師データとして保持するデータ保持部と、
前記データ保持部が保持する前記教師データを用いて前記電着板の電着領域の表面状態の良否判定を行う際の判定基準を学習する学習機能部と、
前記画像取得部が取得した表面画像を前記データ保持部が保持する前記教師データと対比させつつ、前記学習機能部により学習した前記判定基準に基づき、当該表面画像に係る前記電着板の電着領域の表面状態の良否判定を行う良否判定部と、
を備える電着板評価装置である。
【0007】
本発明の第2の態様は、
前記画像取得部は、前記電着板の電着領域のうちの代表領域の表面状態を撮像する狭角カメラによって構成され、
前記教師データおよび前記判定基準は、前記狭角カメラによる撮像結果に対応するように設定されている
第1の態様に記載の電着板評価装置である。
【0008】
本発明の第3の態様は、
前記狭角カメラに対応する前記教師データは、前記電着板の表面の平滑さが異なる複数のサンプル画像によって構成されている
第2の態様に記載の電着板評価装置である。
【0009】
本発明の第4の態様は、
前記画像取得部は、前記電着板の電着領域の全域の表面状態を撮像する広角カメラによって構成され、
前記教師データおよび前記判定基準は、前記広角カメラによる撮像結果に対応するように設定されている
第1の態様に記載の電着板評価装置である。
【0010】
本発明の第5の態様は、
前記広角カメラに対応する前記教師データは、前記電着板に生じ得る表面不良の具体的態様のサンプル画像を少なくとも一つ含んで構成されている
第2の態様に記載の電着板評価装置である。
【0011】
本発明の第6の態様は、
前記学習機能部は、前記良否判定部による良否判定の精度に関する情報に応じた前記判定基準の更新に対応するように構成されている
第1の態様に記載の電着板評価装置である。
【0012】
本発明の第7の態様は、
第1の態様に記載の電着板評価装置と、
前記電着板を浸漬可能な状態で前記電解液を収容する電解槽と、
前記電解槽から取り出した前記電着板を少なくとも前記電着板評価装置の前記画像取得部による画像取得箇所まで搬送する搬送機構と、
前記画像取得箇所に搬送されて画像取得が行われた前記電着板についての前記電着板評価装置の前記良否判定部による良否判定の結果に関する情報を出力する情報出力部と、
を備える電着板評価システムである。
【0013】
本発明の第8の態様は、
前記電着板評価装置の前記画像取得部は、前記電着板の電着領域のうちの代表領域の表面状態を撮像する狭角カメラと、前記電着板の電着領域の全域の表面状態を撮像する広角カメラと、を有して構成され、
前記教師データおよび前記判定基準は、前記狭角カメラによる撮像結果および前記広角カメラによる撮像結果のそれぞれに対応するように設定されている
第7の態様に記載の電着板評価システムである。
【0014】
本発明の第9の態様は、
前記電解槽は、複数の前記電着板を浸漬可能に構成されており、
前記画像取得部は、前記電解槽から搬送される複数の前記電着板について順に表面画像を取得するように構成されており、
前記良否判定部は、前記画像取得部で表面画像を取得した各電着板の識別情報と対応付けて、当該各電着板の電着領域の表面状態の良否判定を行うように構成されている
第7または第8の態様に記載の電着板評価システムである。
【0015】
本発明の第10の態様は、
前記識別情報は、前記電解槽における前記各電着板の浸漬位置に関する情報である
第9の態様に記載の電着板評価システムである。
【0016】
本発明の第11の態様は、
前記情報出力部は、前記電解槽における前記各電着板の浸漬位置を視認可能な態様で、前記良否判定部による良否判定の結果に関する情報を出力するように構成されている
第10の態様に記載の電着板評価システムである。
【0017】
本発明の第12の態様は、
前記良否判定部は、前記各電着板の電着領域の表面状態の良否を複数段階または複数項目で判定するように構成されており、
前記情報出力部は、前記複数段階または前記複数項目の違いを視認可能な態様で、前記良否判定部による良否判定の結果に関する情報を出力するように構成されている
第11の態様に記載の電着板評価システムである。
【0018】
本発明の第13の態様は、
コンピュータを、
非鉄金属の湿式電解法で得られる電着板について、電解液から取り出された前記電着板の電着領域の表面画像を取得する画像取得部と、
前記電着板の電着領域の表面状態に関するサンプル画像を教師データとして保持するデータ保持部と、
前記データ保持部が保持する前記教師データを用いて前記電着板の電着領域の表面状態の良否判定を行う際の判定基準を学習する学習機能部と、
前記画像取得部が取得した表面画像を前記データ保持部が保持する前記教師データと対比させつつ、前記学習機能部により学習した前記判定基準に基づき、当該表面画像に係る前記電着板の電着領域の表面状態の良否判定を行う良否判定部と、
として機能させる電着板評価プログラムである。
【0019】
本発明の第14の態様は、
非鉄金属の湿式電解法で得られる電着板について、電解液から取り出された前記電着板の電着領域の表面画像を取得する画像取得手順と、
前記電着板の電着領域の表面状態に関するサンプル画像を教師データとして保持するデータ保持手順と、
前記データ保持手順で保持する前記教師データを用いて前記電着板の電着領域の表面状態の良否判定を行う際の判定基準を学習する学習手順と、
前記画像取得手順で取得した表面画像を前記データ保持手順で保持する前記教師データと対比させつつ、前記学習手順により学習した前記判定基準に基づき、当該表面画像に係る前記電着板の電着領域の表面状態の良否判定を行う良否判定手順と、
を備える電着板評価方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電解採取により非鉄金属が電着する電着板について、その電着領域の表面状態の良否判定を容易かつ適切に行うことが実現可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る電着板評価システムの構成例を模式的に示す説明図である。
図2】本発明の一実施形態に係る電着板評価装置における教師データの一具体例を示す説明図である。
図3】本発明の一実施形態に係る電着板評価装置における教師データの他の具体例を示す説明図である。
図4】本発明の一実施形態に係る電着板評価システムにおける情報出力例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づき、本発明の一実施形態に係る電着板評価装置、電着板評価システム、電着板評価プログラムおよび電着板評価方法について説明する。
【0023】
(1)システム構成例
まず、本実施形態に係る電着板評価システムの構成例について説明する。
【0024】
本実施形態に係る電着板評価システムは、亜鉛や銅等の非鉄金属を湿式電解法の電解採取によって回収するように構成されたものであり、さらには、回収すべき非鉄金属を電着させた電極板について、その電着領域の表面状態の良否判定を行う機能を備えて構成されたものである。
【0025】
以下の説明では、非鉄金属(電着金属)が亜鉛である場合を例に挙げる。亜鉛が電着する電極板のことを「亜鉛電着板」、または単に「電着板」と称することもある。
【0026】
図1は、本実施形態に係る電着板評価システムの構成例を模式的に示す説明図である。
【0027】
図例の電着板評価システム1は、亜鉛および硫酸溶液を含む電解液を収容する電解槽10を備えている。電解槽10の電解液には、アノードおよびカソードとして各電極板が浸漬されるようになっている。このうち、カソードとしての電極板に金属亜鉛が電着することになる。つまり、電解槽10は、少なくとも亜鉛が電着する亜鉛電着板2を浸漬可能な状態で、電解液を収容するように構成されている。また、電解槽10は、複数の亜鉛電着板2が、所定の配置で整列させた状態で、槽内に収容する電解液に浸漬可能となるように構成されている。なお、カソードの材質はアルミニウムであり、板状で表面は平滑面である。
【0028】
また、電着板評価システム1は、電着板2を搬送する搬送機構および洗浄、乾燥機構としての搬送コンベア20を備えている。搬送コンベア20には、搬送コンベア20から電解槽10へ電着板2を搬入する搬入装置21と、電解槽10の電解液から電着板2を取り出して搬送コンベア20に搬送させる搬出装置22と、搬出装置22が取り出した電着板2の乾燥や洗浄等を行う前処理装置23と、が付設されている。さらに、搬送コンベア20には、電着板2に電着している亜鉛を引き剥がす剥取装置24と、引き剥がし後の亜鉛を回収する亜鉛回収部25と、亜鉛の引き剥がしに失敗した不良板を摘出する不良板摘出部26と、良品の電着板2を搬送コンベア20に供給する良板供給部27と、が付設されている。
【0029】
このような構成の電着板評価システム1では、電解槽10の電解液に浸漬されているアノードおよびカソードに通電して、カソードに亜鉛を電着させる。そして、亜鉛が電着した亜鉛電着板2を電解液から搬出装置22で引き上げ、前処理装置23で乾燥や洗浄等を行った後に、搬送コンベア20で剥取装置24まで搬送し、剥取装置24で電着板2から電着物である亜鉛を剥ぎ取る。剥ぎ取られた亜鉛は、亜鉛回収部25によって搬送・回収される。また、亜鉛が剥ぎ取られた後の電着板2は、不良板摘出部26で摘出される不良板を除き、搬送コンベア20で搬入装置21まで搬送されて、再度、電解槽10の電解液に浸漬される。
【0030】
なお、電解槽10には、複数の電着板2が浸漬されて、それぞれに対する亜鉛の電着が並行して行われる。そして、各電着板2は、搬出装置22によって電解槽10から順次引き上げられて、搬送コンベア20でそれぞれが順に搬送される。このときの搬送速度は、例えば、5~10秒/枚程度である。
【0031】
電解槽10から順次引き上げられる各電着板2には、その引き上げに際して、それぞれを識別するための識別情報が付与されるものとする。識別情報としては、例えば、電解槽10における各電着板2の浸漬位置に関する情報(具体的には、搬出装置22が各電着板2を電解槽10内のどの位置から引き上げたかを特定する情報)が挙げられる。ただし、各電着板2を識別可能であれば、識別情報がこれに限定されるものではない。
【0032】
ところで、電解槽10から引き上げられる電着板2については、亜鉛の電着状態が不良となるものが生じる可能性がある。このような不良電着板は、選別して排除することが好ましい。
しかしながら、不良電着板の選別は、その発生頻度が極めて低い一方で、電着板2における電着領域の面積が大きく(例えば1000×1500mm程度)、また引き上げ後の搬送速度も速いため、人の目視によって行う場合、熟練さ(高度な技術)を必要とし、また見落としや判定ミス等の懸念がある。
この点については、人の目視によって行うのではなく、何らかの手段で電着板2の表面状態を検出し、その検出結果を基に不良電着板を選別することも考えられる。しかしながら、不良電着板における電着状態の不良には多種類の態様があり、検出表面の凹凸バラツキ、板厚変化、光散乱の具合等を考慮すると、単純な不良モデル基準の作成が困難である。つまり、単に表面状態の検出結果を基にしただけでは、必ずしも不良電着板の選別を適切に行うことができない。
また、不良電着板を選別するための判定環境についても、クリーンルーム等の特別な環境を要することなく、通常の作業領域で行えることが好ましい。
【0033】
以上のことを踏まえ、本実施形態に係る電着板評価システム1は、電解採取により亜鉛が電着する電着板2について、その電着領域の表面状態の良否判定を容易かつ適切に行うことを実現可能にすべく、電着板評価装置30a,30bと、これらと通信可能に接続される情報処理装置40と、を備えている。電着板評価装置30a,30bは、いずれも、搬送コンベア20による電着板2の搬送経路のうち、前処理装置23から剥取装置24までの間の搬送経路に対応して配置されている。
【0034】
(2)電着板評価装置の構成例
次に、本実施形態に係る電着板評価装置30a,30bの構成例について説明する。
ここでは、まず、一方の電着板評価装置30aの構成例を説明し、次いで、他方の電着板評価装置30bの構成例を説明する。
【0035】
電着板評価装置30aは、画像取得部31aと、これに接続する制御部32aと、を備える。画像取得部31aと制御部32aとは、一体の装置として構成されたものであっても良いし、それぞれが別体で構成されたものであっても良い。制御部32aは、CPU(Central Processing Unit)に代表される各種ハードウエア資源を有する小型のコンピュータ装置によって構成されたもので、所定プログラム(ソフトウエア)の実行により、データ保持部33a、学習機能部34aおよび良否判定部35aとして機能するようになっている。以下、これらの各部について順に説明する。
【0036】
画像取得部31aは、電解槽10内の電解液から取り出されて搬送コンベア20に搬送される電着板2について、前処理装置23から剥取装置24までの間で、その電着板2の電着領域の表面画像を取得するものである。具体的には、画像取得部31aは、電着板2の電着領域のうちの代表領域の表面状態を撮像する狭角カメラによって構成されている。狭角カメラが撮像する代表領域としては、例えば、電着板2の電着領域(例えば1000×1500mm程度の大きさ)の全域のうちで、代表的な表面状態が出現すると考えられる中央付近における所定サイズ(例えば150×150mm程度の大きさ)の領域が挙げられる。ただし、これに限定されることはなく、電着領域のうちの一部領域であれば、他の領域を代表領域としても良い。また、画像取得部31aによる取得画像については、後述する表面状態の良否判定に用いることが可能なものであれば、静止画または動画の別を問わず、そのデータ形式が限定されるものでもない。
【0037】
データ保持部33aは、電着板2の電着領域の表面状態に関するサンプル画像を教師データとして保持するものである。教師データは、画像取得部31aが画像を取得した電着板2について、その電着領域の表面状態の良否判定のために用いられる。したがって、データ保持部33aは、画像取得部31aが狭角カメラによって構成されていることから、狭角カメラによる撮像結果に対応するように、電着板2の電着領域のうちの代表領域についてのサンプル画像を、教師データとして保持するようになっている。なお、データ保持部33aが保持する教師データは、複数のサンプル画像によって構成されているが、各サンプル画像の具体例については詳細を後述する。
【0038】
学習機能部34aは、データ保持部33aが保持する教師データを用いて電着板2の電着領域の表面状態の良否判定を行う際の判定基準を学習するものである。ここでいう「学習」とは、良否判定のための判定基準を設定すること、または、設定した判定基準を新たな判定基準に更新すること、を意味する。判定基準の学習は、例えば、電着板評価装置30aの利用者による情報入力等、外部から電着板評価装置30aへの情報入力に応じて行うようにすればよい。このように学習する判定基準は、画像取得部31aが狭角カメラによって構成されていることから、狭角カメラによる撮像結果に対応した基準であるものとする。なお、判定基準の具体例については詳細を後述する。
【0039】
良否判定部35aは、画像取得部31aが画像を取得した電着板2について、その電着領域の表面状態の良否判定を行うものである。良否判定は、画像取得部31aが取得した電着板2の表面画像をデータ保持部33aが保持する教師データと対比させつつ、学習機能部34aにより学習した判定基準に基づいて行うものとする。なお、良否判定の具体例については詳細を後述する。
【0040】
電着板評価装置30bについても、上述した電着板評価装置30aと同様に、画像取得部31bと制御部32bとを備えており、さらに制御部32bがデータ保持部33b、学習機能部34bおよび良否判定部35bとして機能するようになっている。つまり、電着板評価装置30bは、以下に述べる点を除き、電着板評価装置30aと同様に構成されている。
【0041】
電着板評価装置30bにおいて、画像取得部31bは、電着板評価装置30aにおける画像取得部31aとは異なり、電着板2の電着領域の全域の表面状態を撮像する広角カメラによって構成されている。
画像取得部31bが広角カメラによって構成されていることから、データ保持部33bは、広角カメラによる撮像結果に対応するように、電着板2の電着領域の全域についてのサンプル画像を、教師データとして保持するようになっている。なお、データ保持部33bが保持する教師データは、少なくとも一つ、好ましくは複数のサンプル画像を含んで構成されているが、当該サンプル画像の具体例については詳細を後述する。
また、画像取得部31bが広角カメラによって構成されていることから、学習機能部34bは、広角カメラによる撮像結果に対応した基準を、良否判定のための判定基準として学習するようになっている。なお、判定基準の具体例については詳細を後述する。
【0042】
以上のような構成の電着板評価装置30a,30bにおいて、上述した各部31a~35a,31b~35bとしての機能を実現するプログラム(ソフトウエア)は、本実施形態に係る電着板評価プログラムの一例に相当する。その場合に、かかる電着板評価プログラムは、電着板評価装置30a,30bの制御部32a,32bにインストール可能なものであれば、当該制御部32a,32bで読み取り可能な記録媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等)に格納されて提供されるものであってもよいし、インターネットや専用回線等のネットワークを通じて外部から提供されるものであってもよい。
【0043】
(3)情報処理装置の構成例
次に、上述した電着板評価装置30a,30bに接続される情報処理装置40の構成例について説明する。
【0044】
情報処理装置40は、CPUに代表される各種ハードウエア資源を組み合わせたコンピュータ装置によって構成されたもので、所定プログラム(ソフトウエア)の実行により、ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されるようになっている。これにより、情報処理装置40は、情報管理部41、情報出力部42および画像処理部43として機能するようになっている。以下、これらの各部について順に説明する。
【0045】
情報管理部41は、電着板評価装置30a,30bからの取得情報を管理するものである。電着板評価装置30a,30bからの取得情報には、少なくとも、良否判定部35a,35bによる良否判定の結果に関する情報と、良否判定がされた電着板2を識別するための識別情報と、が含まれる。また、取得情報には、良否判定の基になった画像取得部31a,31bでの取得画像に関する画像データ(いわゆる生データ)が含まれていても良い。このような取得情報について、情報管理部41は、情報処理装置40のメモリ機能を利用して保持蓄積(例えばデータベース化)することで、当該取得情報の管理を行うようになっている。
【0046】
情報出力部42は、情報管理部41が管理する各種情報について、必要に応じて外部への出力を行うものである。情報出力部42が出力する情報には、少なくとも、良否判定部35a,35bによる良否判定の結果に関する情報と、良否判定がされた電着板2を識別するための識別情報と、が含まれる。これらの情報出力は、例えば、情報処理装置40のディスプレイパネルを利用した表示出力によって行うようになっている。ただし、これに限定されることはなく、図示せぬ外部装置への出力によって行うようにしてもよい。
【0047】
画像処理部43は、情報出力部42による情報出力に必要となる画像処理を行うものである。画像処理部43が行う画像処理には、例えば、ディスプレイパネルで表示出力する画像の生成処理が含まれる。このような画像処理を画像処理部43が行うことで、情報出力部42は、良否判定部35a,35bによる良否判定の結果に関する情報を、その良否判定の結果に付随する各種情報を視認可能な態様で、表示出力することが可能となる。なお、情報出力部42による表示出力内容(付随情報の内容を含む)、すなわち画像処理部43による生成画像の具体例については、詳細を後述する。
【0048】
以上のような構成の情報処理装置40において、上述した各部41~43としての機能は、所定プログラム(ソフトウエア)の実行によって実現される。その場合に、かかる所定プログラムは、情報処理装置40にインストール可能なものであれば、当該情報処理装置40で読み取り可能な記録媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等)に格納されて提供されるものであってもよいし、インターネットや専用回線等のネットワークを通じて外部から提供されるものであってもよい。
【0049】
(4)電着板評価装置における良否判定の手順
次に、本実施形態に係る電着板評価システム1を構成する電着板評価装置30a,30bの処理動作例について説明する。
【0050】
電着板評価装置30a,30bは、いずれも、搬送コンベア20に搬送される電着板2の電着領域の表面状態の良否判定を行うために用いられる。良否判定は、予め設定された教師データに基づいて行われる。つまり、電着板評価装置30a,30bには、電着板2の電着領域の表面状態の良否判定に必要となる教師データが予め設定されてデータ保持部33a、33bに保持されている。ここで、良否判定のための教師データについて、具体例を挙げて説明する。
【0051】
まず、電着板評価装置30aにおける教師データについて説明する。
図2は、教師データの一具体例を示す説明図である。
【0052】
亜鉛が電着した状態の電着板2は、その表面を構成する粒が大きくなり、表面の平滑さの度合いが低くなると、アノードとカソードの接触確率が高くなり、電気的にショートが発生し易くなる。ショートが発生すると、電気エネルギーが熱エネルギーへと変換されてしまい、電解採取の際の電力ロスや電力コスト悪化等に繋がる。これに対しては、例えば、電解槽10の電解液の給液状態を確認するとともに、その電解液における添加剤である膠の添加量を増やすことで、ショートの発生を未然に防ぐことが考えられる。そのためには、電解液から引き出した電着板2の表面の平滑さを把握して、その把握結果を電解液の給液状態に反映させることが好ましい。
【0053】
このことから、電着板評価装置30aにおいては、図2に示すように、電着板2の表面の平滑さが異なる複数のサンプル画像によって、教師データが構成されている。そして、これらのサンプル画像が、画像取得部31aが狭角カメラである電着板評価装置30aにおける教師データとして、当該電着板評価装置30aのデータ保持部33aに保持される。
【0054】
具体的には、狭角カメラに対応する教師データとして、例えば、図2(a)に示す平均粒の大きさが0mm以下である第1サンプル画像と、図2(b)に示す平均粒の大きさが1~2mmの範囲内である第2サンプル画像と、図2(c)に示す平均粒の大きさが2~5mmの範囲内である第3サンプル画像と、図2(d)に示す平均粒の大きさが5~7mmの範囲内である第4サンプル画像と、図2(e)に示す平均粒の大きさが7~9mmの範囲内である第5サンプル画像と、図2(f)に示す平均粒の大きさが9mm以上である第6サンプル画像とが、データ保持部33aに保持される。つまり、電着板2の表面の平滑さを例えば6段階に分類し、それぞれの段階の各サンプル画像によって、狭角カメラに対応する教師データが構成されているのである。なお、ここでは、6段階のサンプル画像を例に挙げたが、分類する段階数が特定の値に限定されることはない。
【0055】
これらの各サンプル画像は、表面の平滑さが異なる複数の電着板2を用意し、それぞれの電着板2の表面状態の画像を画像取得部31aで撮像することによって取得すればよい。ただし、これに限定されることはなく、例えば、電着板評価装置30aの制御部32aを図示せぬ外部装置と通信可能に接続し、その外部装置から取得するようにしても構わない。
【0056】
また、教師データのデータ保持部33aへの保持に対応して、電着板評価装置30aでは、学習機能部34aにおいて、良否判定のための判定基準が設定される。狭角カメラによる撮像結果に対応する判定基準としては、例えば、判定対象となる画像取得部31aでの取得画像について、所定パラメータに従って抽出した画像特徴量を上述した第1~第6の各サンプル画像の画像特徴量と対比させ、どのサンプル画像の画像特徴量と一致するかを判定し、またはどのサンプル画像の画像特徴量に最も近いかを判定する、といったものが挙げられる。画像特徴量の抽出手法およびそのための所定パラメータについては、公知技術によるもので構わない。さらには、例えば、平均粒の大きさが2mm程度であればショートが発生し難い場合に、第1サンプル画像または第2サンプル画像と一致または近い取得画像を良品と判定し、他を不良品と判定する、といったものとすることも考えられる。このような判定基準の設定は、例えば、電着板評価装置30aの操作者による情報入力等、外部から電着板評価装置30aへの情報入力に応じて行うようにすればよい。
【0057】
以上のような教師データ保持および判定基準設定の後、電着板評価装置30aは、電着板2の電着領域の表面状態の良否判定を行うことが可能となる。電着板2の電着領域の表面状態の良否判定は、以下のような手順で行われる。
【0058】
判定対象となる電着板2が画像取得部31aによる画像取得箇所まで搬送コンベア20によって搬送されてくると、画像取得部31aは、その電着板2の電着領域の表面画像を取得する。このとき、画像取得部31aは、狭角カメラによって構成されていることから、例えば、電着板2の電着領域における中央付近の所定サイズ領域について表面画像を取得する。このような一部領域を撮像対象とするのは、電着領域の周縁付近に比べて、中央付近であれば代表的な表面状態が出現すると考えられるからである。また、撮像対象を一部領域に限定すれば、電着領域の全域を撮像対象とする場合に比べて、取得画像のデータ量を削減することができる。このことは、取得画像と対比されるサンプル画像についても同様である。したがって、撮像対象を一部領域に限定すれば、その取得画像についてサンプル画像と対比させる際の処理負荷を軽減させることが可能となる。なお、撮像対象となる一部領域については、電着領域の全域に対して1.0~10%、好ましくは2.0%程度の面積であれば、上述の教師データを利用した良否判定を行う上では必要十分である。
【0059】
画像取得部31aが判定対象となる電着板2の電着領域の表面画像を取得すると、続いて、良否判定部35aは、その電着領域の表面状態の良否判定を行う。このとき、良否判定部35aは、画像取得部31aによる取得画像を、データ保持部33aにて教師データを構成する各サンプル画像と対比させる。そして、良否判定部35aは、学習機能部34aにて設定された判定基準に基づいて、判定対象となる電着板2の電着領域の表面状態の良否判定を行う。具体的には、例えば、取得画像の画像特徴量が第1~第6の各サンプル画像のうちのどのサンプル画像の画像特徴量と一致するかを判定する。つまり、各電着板2の電着領域の表面状態の良否を複数段階で判定する。さらには、例えば、良品と不良品との分類基準が設定されていれば、どのサンプル画像の画像特徴量と一致するかに応じて、取得画像に係る電着板2の電着領域の表面状態が良品であるか、または不良品であるかを判定する。
【0060】
良否判定部35aによる判定結果は、例えば、情報処理装置40に対して出力されて、その情報処理装置40における情報管理部41にて管理される。
【0061】
ところで、以上のような処理動作を行う電着板評価装置30aにおいて、学習機能部34aは、良否判定のための判定基準を設定することに加えて、設定した判定基準を新たな判定基準に更新することにも対応し得る。そのため、電着板評価装置30aでは、以下のような処理動作を行うことが可能である。
【0062】
良否判定部35aによる判定結果が出力されると、電着板評価装置30aの利用者は、その出力結果を実際の電着板2の電着領域の表面状態と照らし合わせ、それぞれの間に乖離があるか否か(すなわち、判定結果が実際の表面状態に適合しているか否か)を認識できる。これは、良否判定部35aによる良否判定の精度に関する情報が認識可能であることを意味する。
【0063】
そして、良否判定の精度に関する情報を認識すると、電着板評価装置30aの利用者は、その認識結果に応じて、良否判定のための判定基準の更新が必要か否かを判断する。例えば、適合の度合い(適合率)が所定許容範囲よりも低い場合には、適合率の改善を図るべく、設定済みの判定基準について新たな判定基準への更新が必要であると判断する。判定基準の更新は、外部から電着板評価装置30aへの情報入力によって行えばよい。
【0064】
判定基準の更新内容としては、例えば、取得画像の画像特徴量を抽出する際のパラメータの修正や、良品/不良品と各サンプル画像との対応関係の修正等が挙げられる。ただし、判定基準の更新内容がこれらに限定されることはなく、適合率の改善に寄与すれば、他の内容によるものであってもよい。
【0065】
このように、電着板評価装置30aにおいて、学習機能部34aは、良否判定の判定結果の適合率の改善を図るべく、その良否判定の精度に関する情報に応じた判定基準の更新に対応するようになっている。つまり、学習機能部34aは、必要に応じて、良否判定の判定基準を学習し得るようになっている。したがって、例えば、学習回数を重ねることで、電着板評価装置30aは、目視での表面状態チェックと同等の不良品検出率を確保できる程度に、良否判定の判定結果の適合率の改善を図ることが可能となる。
【0066】
しかも、学習機能部34aは、良否判定の判定基準を学習することで、当該良否判定の判定結果の適合率の改善を図るので、適合率改善のために教師データを構成する各サンプル画像の修正等を要することがない。したがって、例えば、適合率改善のためにサンプル画像の数を増やすといった必要がなく、良否判定のための処理の複雑化や高難易度化等を招かずに、良否判定の判定結果の適合率の改善を図ることが可能となる。
【0067】
次に、電着板評価装置30bの処理動作例を説明する。ここでも、まず、電着板評価装置30bにおける教師データについて説明する。
図3は、教師データの他の具体例を示す説明図である。
【0068】
電着板2においては、その表面における電析が均一でない状態(すなわち表面不良)が生じることがある。電着板2に生じ得る表面不良モードの具体的な態様は、大別すると、電着不良と、点ショートと、線ショートと、に分類される。
電着不良は、図3(a)に示すように、電着板2の表面における電析が不均一な状態のことをいう。電着物は、カソードの通電領域に均一に電析するのが望ましいが、何らかの理由で電流がうまく流れず、電析面積や電析量等が少ない箇所が部分的に生じることがある。また、電析の末端に凹凸が見られることもある。このような電析の不均一さが電着不良として電着板2の表面に出現することがある。
点ショートは、図3(b)に示すように、電着板2の表面の一部分に亜鉛が電析せず、穴が開いている状態のことをいう。電気的ショートは、アノードとカソードが何らかの原因で接触することで生じるが、これにより電気エネルギーが熱エネルギーに変換される。そして、発生した熱エネルギーによってアノードが溶けてしまい、その部分に亜鉛が電析せず穴が開いてしまうことがある。このようにして、点ショートが出現することがある。
線ショートは、点ショートのような穴状の露出部分ではなく、図3(c)に示すように、線状の露出部分が生じている状態のことをいう。線ショートは、例えば、長さが1000mm以上で、幅は様々であるが50mm程度であり、変色も見られ、色はアノード側での電析物(亜鉛電解だと二酸化マンガン)と同じ色となる。このような線ショートが出現することがある。
【0069】
以上のような表面不良モードに対応すべく、電着板評価装置30bにおいては、図3に示すようなサンプル画像によって、教師データが構成されている。そして、当該サンプル画像が、画像取得部31bが広角カメラである電着板評価装置30bにおける教師データとして、当該電着板評価装置30bのデータ保持部33bに保持される。
【0070】
具体的には、広角カメラに対応する教師データとして、例えば、図3(a)に示すような電着板2の表面に電着不良が生じた状態のサンプル画像と、図3(b)に示すような電着板2の表面に点ショートが生じた状態のサンプル画像と、図3(c)に示すような電着板2の表面に線ショートが生じた状態のサンプル画像とが、データ保持部33aに保持される。つまり、電着板2の表面に生じ得る電着不良、点ショートおよび線ショートのそれぞれについての各サンプル画像によって、広角カメラに対応する教師データが構成されているのである。なお、ここでは、3種のサンプル画像の全てを保持して教師データが構成されている場合を例に挙げたが、これらに限定されることはなく、これらのうちの少なくとも一つによって教師データが構成されていればよく、またこれら以外のサンプル画像を含んで教師データが構成されていてもよい。つまり、電着板評価装置30bにおける教師データは、電着板2に生じ得る表面不良の具体的態様のサンプル画像を少なくとも一つ含んで構成されていればよい。
【0071】
これらの各サンプル画像は、少なくとも電着不良、点ショートおよび線ショートが生じたそれぞれの電着板2を用意し、それぞれの電着板2の表面状態の画像を画像取得部31bで撮像することによって取得すればよい。ただし、これに限定されることはなく、例えば、電着板評価装置30bの制御部32bを図示せぬ外部装置と通信可能に接続し、その外部装置から取得するようにしても構わない。
【0072】
また、教師データのデータ保持部33bへの保持に対応して、電着板評価装置30bでは、学習機能部34bにおいて、良否判定のための判定基準が設定される。広角カメラによる撮像結果に対応する判定基準としては、例えば、判定対象となる画像取得部31bでの取得画像について、所定パラメータに従って抽出した画像特徴量を上述した電着不良、点ショートおよび線ショートの各サンプル画像の画像特徴量と対比させ、どのサンプル画像の画像特徴量と一致するかを判定し、またはどのサンプル画像の画像特徴量に最も近いかを判定する、といったものが挙げられる。さらには、例えば、画像特徴量が一致する度合いまたは近い度合いを求め、その度合いに応じて、判定対象の取得画像について、電着不良、点ショートまたは線ショートが生じているか否かを判定し、これらのいずれかが生じているものを不良品と判定する、といったものとすることも考えられる。このような判定基準の設定は、例えば、電着板評価装置30bの操作者による情報入力等、外部から電着板評価装置30bへの情報入力に応じて行うようにすればよい。
【0073】
以上のような教師データ保持および判定基準設定の後、電着板評価装置30bは、電着板2の電着領域の表面状態の良否判定を行うことが可能となる。電着板2の電着領域の表面状態の良否判定は、以下のような手順で行われる。
【0074】
判定対象となる電着板2が画像取得部31bによる画像取得箇所まで搬送コンベア20によって搬送されてくると、画像取得部31bは、その電着板2の電着領域の表面画像を取得する。このとき、画像取得部31bは、広角カメラによって構成されていることから、例えば、電着板2の電着領域の全域について表面画像を取得する。電着領域の全域を撮像対象とするのは、電着不良、点ショートまたは線ショートは電着領域のどの部分にも出現し得る一方で、どの部分に出現した場合でも確実に検出し得るようにすべきと考えられるからである。このことは、取得画像と対比されるサンプル画像についても同様である。つまり、上述した電着板評価装置30aの場合とは異なり、撮像対象を電着領域の全域とすることで、電着不良、点ショートまたは線ショートのいずれについても、発生していればこれを確実に検出することが可能となる。
【0075】
画像取得部31bが判定対象となる電着板2の電着領域の表面画像を取得すると、続いて、良否判定部35bは、その電着領域の表面状態の良否判定を行う。このとき、良否判定部35bは、画像取得部31bによる取得画像を、データ保持部33bにて教師データを構成する各サンプル画像と対比させる。そして、良否判定部35bは、学習機能部34bにて設定された判定基準に基づいて、判定対象となる電着板2の電着領域の表面状態の良否判定を行う。具体的には、例えば、取得画像の画像特徴量が、電着不良、点ショートまたは線ショートについての各サンプル画像のうちのどのサンプル画像の画像特徴量と一致するかを判定する。さらには、例えば、画像特徴量が一致する度合いまたは近い度合いに応じて、取得画像に係る電着板2の電着領域の表面状態について、電着不良、点ショートまたは線ショートは生じているか否かを判定し、これらのいずれかが生じているものを不良品と判定する。つまり、各電着板2の電着領域の表面状態の良否を、複数項目で判定する。
【0076】
良否判定部35bによる判定結果は、例えば、情報処理装置40に対して出力されて、その情報処理装置40における情報管理部41にて管理される。
【0077】
ところで、以上のような処理動作を行う電着板評価装置30bにおいて、学習機能部34bは、良否判定のための判定基準を設定することに加えて、設定した判定基準を新たな判定基準に更新することにも対応し得る。この点は、上述した電着板評価装置30aの場合と同様である。電着の状態は、電解条件、装置仕様によって不良特性も変わるため、電解の装置、条件に適応した良否判定が可能である。
【0078】
したがって、電着板評価装置30bにおいても、学習機能部34bは、良否判定の判定結果の適合率の改善を図るべく、その良否判定の精度に関する情報に応じた判定基準の更新に対応することが可能である。これにより、例えば、学習回数を重ねることで、電着板評価装置30bは、目視での表面状態チェックと同等の不良品検出率を確保できる程度に、良否判定の判定結果の適合率の改善を図ることが可能となる。しかも、適合率改善のために教師データを構成する各サンプル画像の修正等を要することがないので、良否判定のための処理の複雑化や高難易度化等を招かずに、良否判定の判定結果の適合率の改善を図ることが可能となる。
【0079】
(5)情報処理装置における情報処理の手順
次に、電着板評価装置30a,30bでの各判定結果が出力される情報処理装置40における処理動作例について説明する。
【0080】
搬送コンベア20が搬送する電着板2について、電着領域の表面状態の良否判定を電着板評価装置30a,30bが行うと、情報処理装置40には、その判定結果に関する情報が電着板評価装置30a,30bから出力される。そして、情報処理装置40では、電着板評価装置30a,30bからの出力情報を、情報管理部41が管理する、このとき、情報管理部41は、電着板2についての各電着板評価装置30a,30bによる良否判定の結果に関する情報を、その電着板2の識別情報と対応付けて管理する。
【0081】
情報処理装置40は、情報管理部41が管理する各種情報について、必要に応じた所定のタイミングで、情報出力部42が出力を行う。所定のタイミングとしては、例えば、情報処理装置40の利用者により情報出力を要求する操作があったとき、同時期に電解槽10に浸漬される複数の電着板2(すなわち一つのロットを構成する複数の電着板2)の全てついて電着板評価装置30a,30bによる良否判定が行われた後、等が挙げられるが、必ずしもこれらのタイミングに限定されるものではない。
【0082】
情報出力部42が情報出力を行うと、その出力内容を参照した情報処理装置40の利用者は、電解槽10の電解液から取り出した電着板2について、その電着板2の電着領域の表面状態の良否判定の結果を認識することができる。しかも、その判定結果に関する情報が電着板2の識別情報と対応付けられていれば、搬送コンベア20が複数の電着板2を連続的に搬送する場合であっても、情報出力される判定結果がどの電着板2についてのものか判別することができる。
【0083】
以上のような情報出力部42での情報出力に際しては、その情報出力に接する情報処理装置40の利用者が、情報出力内容を容易かつ適切に認識可能であることが好ましい。そこで、情報処理装置40では、情報出力に際して以下のような処理動作を行う。
【0084】
図4は、情報出力例を示す説明図である。図中において、(a)は電着板評価装置30aによる良否判定の結果についての情報出力例を、(b)は電着板評価装置30bによる良否判定の結果についての情報出力例を、それぞれ示している。
【0085】
情報処理装置40では、情報出力部42での情報出力に際して、画像処理部43が表示画像の生成処理を行う。
【0086】
画像処理部43が生成する画像は、電着板評価装置30a,30bによる良否判定が行われた各電着板2について、電解槽10における各電着板2の浸漬位置を視認可能な態様で示すものである。具体的には、図4(a)および(b)に示すように、電解槽10を上方側から見た二次元マップによって表したものであり、その二次元マップ上での表示位置によって各電着板2の浸漬位置が特定されるものである。
【0087】
また、画像処理部43が生成する画像は、各電着板2の電着領域の表面状態に関する複数段階または複数項目の良否判定結果について、その複数段階または複数項目の違いを視認可能な態様で示すものである。具体的には、図4(a)および(b)で凡例として示すように、二次元マップ上で表示する各電着板2の表示色を、複数段階の電着ランクのいずれに該当するかに応じて相違させたもの、または、複数項目の電着不具合のいずれに該当するかに応じて相違させたものである。
【0088】
画像処理部43が画像生成を行うと、その後、情報出力部42は、画像処理部43が生成した画像の表示出力を行う。これにより、情報出力部42は、電解槽10における各電着板2の浸漬位置を視認可能な態様で、かつ、複数段階または複数項目の違いを視認可能な態様で、各電着板2についての良否判定の結果に関する情報を出力することになる。
【0089】
したがって、情報出力部42による出力内容を参照した情報処理装置40の利用者は、電解槽10の電解液から取り出した各電着板2について、各電着板2の電着領域の表面状態の良否判定の結果を、容易かつ適切に認識することができるようになる。
【0090】
(6)本実施形態の効果
本実施形態で説明した電着板評価装置、電着板評価システム、電着板評価プログラムおよび電着板評価方法は、以下のような一つまたは複数の効果が得られる。
【0091】
本実施形態では、電着板評価装置30a,30bにおいて、画像取得部31a,31bが取得した表面画像をデータ保持部33a,33bが保持する教師データと対比させつつ、学習機能部34a,34bにより学習した判定基準に基づき、良否判定部35a,35bが当該表面画像に係る電着板2の電着領域の表面状態の良否判定を行う。したがって、良否判定部35a,35bによる良否判定の結果に基づいて、不良電着板を選別して排除する、といったことが容易に実現可能となる。
しかも、電着板2の電着領域の表面状態の良否判定に際して、その良否判定を人の目視によって行う場合とは異なり、判定作業の熟練さ(高度な技術)を必要とせず、また見落としや判定ミス等の懸念もない。
また、画像取得部31a,31bが取得した表面画像を教師データと対比させつつ良否判定を行うので、その良否判定を電着板2の搬送速度や面積の大きさ等によらずに適切に行うことができる。さらには、表面画像を教師データと対比させつつ、良否判定に用いる判定基準を学習し得るようになっているので、電着状態の不良に多種類の態様があり、検出表面の凹凸バラツキ、板厚変化、光散乱等が生じ得る場合であっても、これらに柔軟かつ適切に対応することができる。つまり、電着板2の表面状態の検出結果を基にした場合であっても、不良電着板の選別を適切に行うことができる。
また、不良電着板を選別するための判定環境についても、クリーンルーム等の特別な環境を要することなく、通常の作業領域で行うことができる。
以上のように、本実施形態によれば、電解採取により非鉄金属である亜鉛が電着する電着板2について、その電着領域の表面状態の良否判定を容易かつ適切に行うことが実現可能になる。
【0092】
本実施形態で説明したように、電着板評価装置30a,30bにおいて、学習機能部34a,34bが判定基準の学習(特に、新たな判定基準への更新)に対応していれば、例えば、良否判定部35a,35bによる良否判定の精度(例えば適合率)に関する情報に応じて、学習回数を重ねることで、目視での表面状態チェックと同等の不良品検出率を確保できる程度に、良否判定の判定結果の適合率の改善を図ることが可能となる。したがって、電着板2の電着領域の表面状態の良否判定を容易かつ適切に行う上で、非常に好ましいものとなる。
しかも、学習機能部34a,34bが判定基準の学習に対応していれば、良否判定の判定結果の適合率の改善を図る場合であっても、教師データを構成する各サンプル画像の修正等を要することがない。したがって、例えば、適合率改善のためにサンプル画像の数を増やすといった必要がなく、良否判定のための処理の複雑化や高難易度化等を招かずに、良否判定の判定結果の適合率の改善を図ることが可能となる。
【0093】
本実施形態では、電着板評価装置30aにおいて、画像取得部31aが狭角カメラによって構成され、その狭角カメラが電着板2の電着領域のうちの代表領域の表面状態を撮像する。そして、データ保持部33aにおける教師データが、電着板2の表面の平滑さが異なる複数のサンプル画像によって構成されている。したがって、本実施形態によれば、例えば、電着板2の表面の平滑さの度合いが低くなり、ショートが発生し易くなる場合であっても、そのことを容易かつ適切に検出し得るようになる。つまり、例えば、電解液から引き出した電着板2の表面の平滑さを把握して、その把握結果を電解槽10の電解液の給液状態に反映させる、といったことが実現可能となる。
【0094】
本実施形態では、電着板評価装置30bにおいて、画像取得部31bが広角カメラによって構成され、その広角カメラが電着板2の電着領域の全域の表面状態を撮像する。そして、データ保持部33bにおける教師データが、電着板2に生じ得る表面不良の具体的態様のサンプル画像を少なくとも一つ、好ましくは、電着板2の表面に電着不良が生じた状態のサンプル画像と、点ショートが生じた状態のサンプル画像と、線ショートが生じた状態のサンプル画像と、を含んで構成されている。したがって、本実施形態によれば、例えば、電着板2の表面に電着不良、点ショートまたは線ショートが生じた場合であっても、そのことを容易かつ適切に検出し得るようになる。つまり、電着板2の電着領域の表面状態について、例えば、電着不良、点ショートまたは線ショートは生じているか否かを判定し、これらのいずれかが生じているものを不良品と判定する、といったことが実現可能となる。
【0095】
本実施形態では、電着板評価システム1において、電着板評価装置30a,30bの画像取得部31a,31bによる画像取得箇所まで搬送されて画像取得が行われた電着板2について、電着板評価装置30a,30bの良否判定部35a,35bによる良否判定の結果に関する情報を、情報出力部42が出力するようになっている。したがって、情報出力部42での出力内容を参照した情報処理装置40の利用者は、電解槽10の電解液から取り出した電着板2について、その電着板2の電着領域の表面状態の良否判定の結果を認識することができる。その結果、電着板2の表面状態に応じた電解槽10の電解液の給液状態の変更や、不良電着板の選別等を、容易かつ適切に行うことができる。
【0096】
本実施形態では、電着板評価システム1において、情報出力部42が情報出力を行う際に、電着板評価装置30a,30bによる良否判定の結果に関する情報を、電解槽10における各電着板2の浸漬位置を視認可能な態様で示すようになっている。また、各電着板2の電着領域の表面状態に関する複数段階または複数項目の良否判定結果について、その複数段階または複数項目の違いを視認可能な態様で示すようになっている。したがって、情報処理装置40の利用者は、情報出力部42による二次元マップ化された出力内容を参照することで、各電着板2が電解槽10のどの位置から取り出されたものであり、その良否判定の結果がどのような内容のものであるかについて、容易かつ適切に認識することができる。その結果、利用者にとっては、非常に利便性が優れたものとなる。
【0097】
本実施形態では、電着板評価システム1において、狭角カメラを有する電着板評価装置30aと、広角カメラを有する電着板評価装置30bと、の両方を備えている。つまり、電着板2の表面の平滑さを指標として用いて良否判定を行う電着板評価装置30aと、電着板2の表面不良モードを指標として用いて良否判定を行う電着板評価装置30bと、の両方を備えている。このように、互いに異なる指標を用いて良否判定を行う電着板評価装置30a,30bを併せ持つことで、いずれか一方のみを備える場合に比べて、電着板2の電着領域の表面状態の良否判定をより一層適切かつ高精度に行うことが実現可能となる。
【0098】
(7)変形例
以上に本発明の実施形態を説明したが、上述した開示内容は、本発明の例示的な実施形態を示すものである。すなわち、本発明の技術的範囲は、上述の例示的な実施形態に限定されるものではない。
【0099】
上述の実施形態では、非鉄金属(電着金属)が亜鉛である場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。すなわち、電解採取の手法を適用する場合であれば、銅等の他の非鉄金属を回収する場合であっても、全く同様に本発明を適用することが可能である。
【0100】
上述の実施形態では、電着板評価システム1において、二つの電着板評価装置30a,30bが配置されている場合を例に挙げるが、本発明がこれに限定されることはない。すなわち、電着板評価装置は、システム内に少なくとも一つが設けられていればよく、三つ以上が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1…電着板評価システム、2…電着板、10…電解槽、20…搬送コンベア、30a,30b…電着板評価装置、31a,31b…画像取得部、32a,32b…制御部、33a,33b…データ保持部、34a,34b…学習機能部、35a,35b…良否判定部、40…情報処理装置、41…情報管理部、42…情報出力部、43…画像処理部
図1
図2
図3
図4