(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067310
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】転てつ機の監視装置、及び監視システム
(51)【国際特許分類】
B61L 7/06 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
B61L7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177281
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上島 清正
(57)【要約】
【課題】転てつ機の機外へ電源線を配線することなく、転てつ機に関する事象を感知して転てつ機を監視する。
【解決手段】転てつ機を監視する監視装置10は、発電機110、第1センサ120、記憶装置140、及び無線通信装置160を有する。発電機110は、列車の通過によりレールに生じる振動を受けて発電する。第1センサ120は、発電機110から給電され、転てつ機に関する事象を感知する。記憶装置140は、第1センサ120が感知した事象を示すデータを記憶する。無線通信装置160は、発電機110から給電され、記憶装置140に記憶されているデータを外部へ送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動を受けて発電する発電機と、前記発電機から給電され転てつ機に関する事象を感知するセンサと、前記センサが感知した前記事象を示すデータを記憶する記憶部と、を有する転てつ機の監視装置。
【請求項2】
前記発電機から給電され前記記憶部が記憶したデータを外部へ送信する送信機、を有する請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
請求項2に記載の監視装置から受信した前記データに応じて前記転てつ機の状態を判定する監視システム。
【請求項4】
前記事象は前記転てつ機の振動であり、前記データが示す前記転てつ機の振動波形を周波数解析して前記状態を判定する請求項3に記載の監視システム。
【請求項5】
前記転てつ機の運用状況を示す運用情報を取得し、該運用情報、及び受信した前記データの組合せに基づいて前記状態を判定する請求項3又は4に記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転てつ機の監視装置、及び監視システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道における地上設備の保守点検に関する先行技術として特許文献1~5の各文献に開示の技術が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-183146号公報
【特許文献2】特開2019-174355号公報
【特許文献3】特開2010-818号公報
【特許文献4】特開2020-8365号公報
【特許文献5】特許5582063号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄道における地上設備には、転てつ機が含まれる。転てつ機は、レールの分岐点において列車の進路を切り替える際に、トングレールを基本レールに密着させる。転てつ機は、鉄道運行の安全確保上重要であるため、転てつ機に関する異常の有無の検査は一定期間が経過する毎に定期的に行われる。転てつ機の検査は作業員が専用の検査装置を用いて手動で行うことが一般的であった。しかし、転てつ機の検査を含む地上設備の保守点検は、夜間に行われるので、夜間作業により作業員にかかる負荷が問題となっていた。また、近年では、作業員の人手不足により、保守点検に支障が生じる惧れがある。
【0005】
これらの問題に対処するために、トングレールを基本レールに密着させる際の密着力等を、センサを用いて遠隔監視することが考えられる。転てつ機の内部には、密着力等に関するデータを計測するセンサの配置に十分な広さの空間がないことが多く、転てつ機の内部に十分な広さの空間がない場合には当該センサは転てつ機の機外に配置される。監視対象の転てつ機が、電動機により動作かんを駆動する電気転てつ機である場合、センサの電源として当該転てつ機の電源を流用することが考えられるが、転てつ機の機外へ電源線を配線することが不可欠になり、手間がかかる。
【0006】
本発明の目的の一つは、転てつ機の機外へ電源線を配線することなく、転てつ機に関する事象を感知して転てつ機を監視することを可能にする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、振動を受けて発電する発電機と、前記発電機から給電され転てつ機に関する事象を感知するセンサと、前記センサが感知した前記事象を示すデータを記憶する記憶部と、を有する転てつ機の監視装置、を第1の態様として提供する。第1の態様の監視装置によれば、転てつ機に関する事象を感知するセンサには、振動を受けて発電する発電機から動作電力が給電されるので、センサに電力を供給するための電源線を転てつ機の機外へ配線することなく、転てつ機に関する事象を感知して転てつ機を監視することが可能になる。
【0008】
第1の態様の監視装置において、前記発電機から給電され前記記憶部が記憶したデータを外部へ送信する送信機、を有する、という構成が第2の態様として採用されてもよい。第2の態様の監視装置によれば、センサに電力を供給するための電源線を転てつ機の機外へ配線することなく、転てつ機に関する事象を感知して転てつ機を監視することに加えて、記憶部に記憶されたデータを監視装置の外部へ送信することが可能になる。
【0009】
本発明は、第2の態様の監視装置から受信した前記データに応じて前記転てつ機の状態を判定する監視システム、を第3の態様として提供する。第3の態様の監視システムによれば、センサに電力を供給するための電源線を転てつ機の機外へ配線することなく、転てつ機の状態を判定することが可能になる。
【0010】
第3の態様の監視システムにおいて、前記事象は前記転てつ機の振動であり、前記データが示す前記転てつ機の振動波形を周波数解析して前記状態を判定する、という構成が第4の態様として採用されてもよい。第4の態様の監視システムによれば、センサに電力を供給するための電源線を転てつ機の機外へ配線することなく、転てつ機の振動の波形を周波数解析して転てつ機の状態を判定することが可能になる。
【0011】
第3又は第4の態様の監視システムにおいて、前記転てつ機の運用状況を示す運用情報を取得し、該運用情報、及び受信した前記データの組合せに基づいて前記状態を判定する、という構成が第5の態様として採用されてもよい。第5の態様の監視システムによれば、センサに電力を供給するための電源線を転てつ機の機外へ配線することなく、運用情報及び転てつ機に関する事象を表すデータの組み合わせに基づいて、転てつ機の状態を判定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施形態による監視システム1の構成例を示す図である。
【
図2】監視システム1による監視対象の転てつ機2に対する、監視システム1の構成要素の配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
図1は、本開示の一実施形態による監視システム1の構成例を示す図である。監視システム1は、転てつ機に関する事象を監視し、監視結果に基づいて当該転てつ機の状態を判定するシステムである。本実施形態において、転てつ機に関する事象とは、トングレールを基本レールに密着させている転換時及び列車の通過時において転てつ機の動作かんに生じる振動、即ち列車通過時に動作かんに生じる振動のことをいう。動作かんとは、基本レールに密着させるためにトングレールを動かす部材であり、動作かんはロッドを介してトングレールに接続される。
【0014】
転換時の密着力が低下するほど、列車の通過時に動作かんに生じる振動の振幅は大きくなる。なお、転てつ機に関する事象には、動作かん振動のほかに、動作かんに生じる3軸又は1軸の加速度、転てつ機の周辺の温度、及び動作かんの歪みが含まれてもよい。また、転てつ機の状態には、故障のほか、故障には至っていないものの、「異常の予兆あり」という状態が含まれる。
【0015】
図1に示されるように、監視システム1は、監視装置10、中継装置20、及び端末装置30、を含む。監視装置10は、監視対象の転てつ機に関する事象を表すデータを取得する。中継装置20は、監視装置10と端末装置30との間の通信を中継する。端末装置30は、監視装置10により取得されたデータと運用情報との組合せに基づいて転てつ機の状態を判定する。実施形態では、監視装置10と中継装置20とは無線通信によりデータの授受を行い、中継装置20と端末装置30も無線通信によりデータの授受を行う。
【0016】
運用情報とは、転てつ機の運用状況を示す情報である。運用情報の具体例としては、監視対象の転てつ機によりポイント切り替えが行われる分岐点に関する一日当たりの列車の通過頻度が挙げられる。端末装置30は、例えば、転てつ機2を制御する、図示しない管理装置等からこの運用情報を取得してもよい。また、監視装置10が転てつ機2の運用状況を把握している場合、端末装置30は、監視装置10から運用情報を取得してもよい。
【0017】
図2は、監視対象の転てつ機2に対する、監視システム1の構成要素の配置例を示す図である。転てつ機2は、動作かん202を電動機により駆動する電気転てつ機である。
図2に示されるように、監視装置10は、転てつ機2に取り付けられ、中継装置20は転てつ機2の周囲に設置される。
【0018】
より詳細には、中継装置20は、
図2に示されるように、転てつ機2の周辺の沿線設備(本実施形態では、器具箱B1)に設けられる。端末装置30は、転てつ機2の状態を遠隔監視するための情報端末装置である。端末装置30は、転てつ機2の設置場所から遠く離れた遠隔地の保守拠点B2に設けられる。
【0019】
図1に示されるように、監視装置10は、発電機110、第1センサ120、第2センサ130、記憶装置140、処理装置150、及び無線通信装置160、を含む。発電機110、第1センサ120、第2センサ130、記憶装置140、及び無線通信装置160の各々と処理装置150とは、図示せぬバスを介して相互に接続され、当該バスを介してデータの授受を行う。
【0020】
発電機110は、振動を受けて発電する振動発電機である。発電機110は、監視装置10の他の構成要素に動作電力を供給する電源の役割を果たす。発電機110は、発電効率の観点から、振動源の近くに配置されることが好ましい。振動源から遠ざかるほど、振動は減衰するからである。
図2に示されるように、本実施形態では、発電機110は、転てつ機2の動作かん202に設置されるが、転てつ機2の鎖錠かん206に設置されてもよい。鎖錠かん206は、列車が通過している間に転てつ機2が転換しないように鎖錠するための部材である。なお、監視装置10は複数の発電機110を含んでもよく、この場合、転てつ機2の動作かん202と鎖錠かん206との両方に発電機110が設置されてもよい。
【0021】
発電機110の具体例としては、圧電素子を用いた振動発電機、電磁誘導又は逆磁歪効果を利用した振動発電機等が挙げられる。発電機110は、圧電素子を用いた振動発電機、電磁誘導又は逆磁歪効果を利用した振動発電機の何れであってもよい。逆磁歪効果を利用した振動発電機は構造が単純で振動に対する耐久性が高く、また、内部損失が小さく大きな電力の取り出しが可能であるため、逆磁歪効果を利用した振動発電機は発電機110として好適である。発電機110として振動発電機を用いる理由は次の通りである。太陽光発電ではレール近傍の鉄粉に晒されるので発電効率が低下する虞があり、また、振動により破損する虞もあるからである。
【0022】
転てつ機2により進行方向が切り替えられる列車の通過によりレールRに生じた振動は動作かん202を介して発電機110に伝わり、発電機110は当該振動を受けて発電する。第1センサ120及び第2センサ130は、一回の列車の通過により発電機110が発電した電力を用いて転てつ機2に関する事象を計測する。
【0023】
なお、一回の列車の通過により発電機110が発電する電力の少なくとも一部が、第1センサ120及び第2センサ130に供給され、残りの電力はキャパシタ(
図1では図示略)に蓄電されてもよい。この場合、記憶装置140、処理装置150、及び無線通信装置160には当該キャパシタから動作電力が供給されてもよい。特に、無線通信装置160は、第1センサ120及び第2センサ130に比較して消費電力が大きく、一回の列車の通過により発電機110が発電した電力では無線通信装置160の動作電力が不足する虞があるからである。
【0024】
第1センサ120は、3軸加速度センサである。本実施形態における第1センサ120は、水晶ピエゾ素子等の圧電素子による圧電効果を用いたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)である。水晶ピエゾ素子のインピーダンスは非常に小さく、水晶ピエゾ素子における電力の内部損失は小さいため、水晶ピエゾ素子の消費電力が低い。第1センサ120は、S/N比を上げるため、事象の発生源の近くに配置されることが好ましい。このため、本実施形態では、
図2に示されるように、第1センサ120は、転てつ機2の動作かん202に設置されるが、動作かん202とトングレール(
図2では図示略)とを接続するロッド204に設置されてもよい。
【0025】
第1センサ120は、転てつ機2の動作かん202に生じる各軸方向の振動を計測し、各軸方向の振動の波形を表す波形データを出力する。第1センサ120は、本開示におけるセンサ、即ち発電機から給電され転てつ機に関する事象を感知するセンサの一例である。動作かん202のうち転てつ機2の筐体内の部分に第1センサ120を設置すると、当該筐体おける動作かん202の出入口付近において動作かん202が支持され、第1センサ120の設置位置では動作かん202の振動が減衰している虞がある。また、第1センサ120を転てつ機2の筐体の内部へ設置すると、動作かん202を駆動する歯車等との衝突等が発生する惧れもある。このため、第1センサ120は転てつ機2の筐体の外部に設置されることが好ましい。
【0026】
なお、上述した3軸加速度センサ等の加速度センサにおける加速度の検出原理は、上述した圧電効果を利用する圧電型のほか、静電容量の変化を利用する静電容量型、ピエゾ抵抗効果を利用するピエゾ抵抗型等であってもよい。また、転てつ機に関する事象が、動作かん202の歪みである場合には、第1センサ120として歪みセンサが用いられればよい。
【0027】
第2センサ130は、温度センサである。本実施形態では、第2センサ130は、
図2に示されるように、転てつ機2によりポイント切り替えが行われる分岐点のレールR(例えば、基本レール又はトングレール)の裏面に設置されるが、レールRの側面に設置されてもよい。要は、第2センサ130は、レールR上の位置であって、レールR上を走行する列車の妨げとならない位置に設置されればよい。第2センサ130は、レールRの温度を計測し、当該温度を表す温度データを出力する。レールRの温度は、転てつ機2の周辺の温度の一例である。第2センサ130も、第1センサ120と同様に、本開示におけるセンサ、即ち発電機から給電され転てつ機に関する事象を感知するセンサの一例である。
【0028】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリと、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)又はフラッシュROM(Read Only memory)等のデータの書き換えが可能な不揮発性メモリとを含む。不揮発性メモリには、処理装置150によって、第1センサ120及び第2センサ130の各々から出力されるデータが書き込まれる。また、不揮発性メモリには、処理装置150によって、発電機110の出力する電力の波形(以下、電力波形)を表すデータが書き込まれる。記憶装置140は、本開示におけるセンサが感知した事象を示すデータを記憶する記憶部の一例である。また、不揮発性メモリには、第1センサ120等から出力され当該不揮発性メモリに記憶されたデータを端末装置30へ送信する送信タイミング、及び送信時のデータフォーマット等の送信設定を処理装置150に管理させるためのソフトウェアが予め記憶されている。揮発性メモリは当該ソフトウェアを実行する際のワークエリアとして処理装置150によって利用される。
【0029】
処理装置150は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理装置150は、記憶装置140の不揮発性メモリに記憶されているソフトウェアを揮発性メモリに読み出し、当該読み出したソフトウェアに従って作動することにより、監視装置10の制御中枢として機能する。
【0030】
無線通信装置160は、処理装置150による制御の下、記憶装置140に記憶されたデータを端末装置30へ無線により送信する送信機である。すなわち、この無線通信装置160は、発電機から給電され記憶部が記憶したデータを外部へ送信する送信機の一例である。本実施形態では、無線通信装置160から無線送信されたデータは中継装置20による中継を経て端末装置30へ送信される。中継装置20は、監視装置10から送信されたデータを端末装置30へ中継するデータ中継伝送部として機能する。本実施形態では、中継装置20と端末装置30との間の通信は無線通信であるが、有線通信であってもよい。
【0031】
端末装置30の具体例としては、保守拠点に設置されるパーソナルコンピュータ、又はタブレット端末が挙げられる。
図1に示されるように、端末装置30は、データ解析部310と、液晶ディスプレイ等の表示部320とを含む。データ解析部310は、中継装置20を介して監視装置10から受信した波形データと温度データとに基づいて、転てつ機2の状態を判定する。より詳細には、データ解析部310は、振動データの表す転換時又は列車通過時の振動波形の特徴、及び発電機110の電力波形に周波数解析を施すことより得られた転換時又は列車通過時の周波数分布の特徴、を分析する。
【0032】
なお、データ解析部310は、この分析結果に基づいて列車速度及び列車重量を推定してもよい。また、データ解析部310は、加速度センサである第1センサ120が出力した波形データのみに周波数解析を施して、動作かん202に生じる各軸方向の振動の周波数成分を特定してもよい。この場合、発電機110の電力波形を表すデータは記憶・送信されなくてもよい。
【0033】
すなわち、この監視システム1は、振動を受けて発電する発電機と、この発電機から給電され転てつ機に関する事象を感知するセンサと、このセンサが感知した事象を示すデータを記憶する記憶部と、を有する転てつ機の監視装置から受信したデータが示す転てつ機の振動波形を周波数解析して前記状態を判定する監視システムの一例である。
【0034】
そして、データ解析部310は、周波数解析の結果、温度データ、及び列車通過の頻度より表される転てつ機の運用状況に基づいて、転てつ機2の劣化状況、及び密着力の変化を予測し、予測結果を表示部320に表示する。また、予測した劣化状況が予め定められた条件を超えている場合、データ解析部310は、転てつ機2の状態を劣化していると判定し、その旨を表示部320にする。つまり、上述した監視装置10、中継装置20、及び端末装置30を含むこの監視システム1は、監視装置から受信したデータに応じて転てつ機の状態を判定する監視システムの一例である。
【0035】
また、上述した監視システム1は、転てつ機の運用状況を示す運用情報を取得し、この運用情報、及び転てつ機の監視装置から受信したデータの組合せに基づいて転てつ機の状態を判定する監視システムの一例である。ただし、監視システム1は、運用情報を用いずに、転てつ機2の監視装置10から受信したデータのみに応じて転てつ機2の状態を判定してもよい。
【0036】
保守拠点B2において保守作業に従事する作業員は、表示部320に表示される予測結果より、転てつ機2の設置場所へ出向いて実施する検査頻度を決定し、検査の効率化の指標とする。
【0037】
なお、転てつ機2に関する事象が、動作かん202に生じる3軸又は1軸の加速度である場合には、データ解析部310は、当該加速度に基づいて密着力の変化を予測してもよい。同様に、転てつ機2に関する事象が、動作かん202の歪みである場合には、データ解析部310は、当該歪みに基づいて転てつ機2の劣化状況を予測してもよい。
【0038】
本実施形態の監視装置10は発電機110を含むため、転てつ機2の電源から監視装置10へ動作電力を供給するための電源線の配線は不要である。従って、本実施形態によれば、監視対象の転てつ機の機外へ電源線を配線することなく、当該転てつ機に関する事象を感知して当該転てつ機の状態を監視することが可能になる。
【0039】
加えて、本実施形態では、発電機110として振動発電機が用いられているため、発電機110を太陽光発電機に置き換えた場合に比較して、構造が単純になり、且つ高い耐久性が得られる。
【0040】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさ及び配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って、本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【0041】
<変形例>
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例は組み合わされてもよい。
【0042】
<1>上記実施形態の監視装置10は、監視対象の転てつ機らの電力の供給は不要であるため、監視対象の転てつ機は、電源を有さない発条転てつ機であってもよい。発条転てつ機では、列車が進む力によりポイントが切り替わり、列車の通過後、しばらくすると、ばね又は油圧によりポイントが元に戻る。
【0043】
<2>中継装置20は、監視対象の転てつ機2によりポイント切り替えが行われる分岐点を通過する列車(例えば、輸送業務の従事する営業車)に搭載されてもよい。また、記憶装置140に記憶されたデータを外部へ吸い出すためのインタフェースが監視装置10に設けられてもよい。この場合、転てつ機2の検査を行う作業員は、監視装置10の設置場所に出向いて当該データの吸い出しを行えばよい。また、この場合、無線通信装置160、及び中継装置20は省略されてもよい。
【0044】
<3>上記実施形態では、監視装置10を含む監視システム1について説明したが、監視装置10が単体で製造、又は販売されてもよい。例えば、端末装置30と中継装置20とを有する既存の監視システムが構築済である場合、単体で提供される監視装置10を監視対象の転てつ機に後付け等することにより、当該既存の監視システムを本開示の監視システムに再構成することが可能になる。
【符号の説明】
【0045】
1…監視システム、2…転てつ機、202…動作かん、204…ロッド、206…鎖錠かん、10…監視装置、110…発電機、120…第1センサ、130…第2センサ、140…記憶装置、150…処理装置、160…無線通信装置、20…中継装置、30…端末装置、310…データ解析部、320…表示部、B1…器具箱、B2…保守拠点。