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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067318
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】レジスタ、及びレジスタ装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20240510BHJP
   F24F 13/15 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B60H1/34 611B
F24F13/15 B
F24F13/15 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177290
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】308016242
【氏名又は名称】豊和化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛裕
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081AB01
3L081FA04
3L081HA01
3L081HB01
3L081HB02
3L081HB04
3L211BA01
3L211DA14
3L211DA15
(57)【要約】
【課題】複数のフィンについて、任意のフィンを個別に回転させることが可能なレジスタ、及びレジスタ装置を提供すること。
【解決手段】第1~第3ギア21A~21Cには、カム溝47A~47Cが設けられている。第1~第3スライド部材22A~22Cは、第2連結部60A~60Cをカム溝47A~47Cに挿入し、第1連結部59A~59Cを第1~第3リンク部材23A~23Cに挿入している。第1~第3リンク部材23A~23Cは、第1~第3フィン25A~25Cに連結されている。第1~第3ギア21A~21Cは、回転にともなって任意の第1~第3スライド部材22A~22Cを前後方向へ移動させ、第1~第3リンク部材23A~23Cを介して任意の第1~第3フィン25A~25Cを回転させる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフィンと、
複数の前記フィンの各々を、フィン軸を中心に回転可能に支持するリテーナと、
前記リテーナに対してスライド可能に設けられる複数のスライド部材と、
複数の前記フィンの前記フィン軸と、複数の前記スライド部材の各々が有する第1連結部を連結する複数のリンク部材と、
カム溝が設けられた複数のギアと、
を備え、
複数の前記スライド部材の各々は、
スライド方向において前記第1連結部とは異なる位置に第2連結部を有し、前記第2連結部を複数の前記ギアの各々の前記カム溝に挿入され、
複数の前記ギアの各々は、
任意の前記ギアが回転するのに伴って、他の前記ギアも回転し、複数の前記ギアの各々が有する前記カム溝に沿って前記第2連結部を移動させ、前記第2連結部の移動に伴って前記スライド方向に前記スライド部材を移動させ、移動する前記スライド部材と前記リンク部材を介して連結された前記フィンを回転させる、レジスタ。
【請求項2】
複数の前記ギアの各々の前記カム溝は、
互いに異なる溝形状で形成され、
複数の前記スライド部材の各々は、
複数の前記ギアの所定の回転範囲において、任意の前記スライド部材だけを前記スライド方向へ移動させ、且つ、他の前記スライド部材の前記スライド方向における位置を保持し、任意の前記スライド部材に前記リンク部材を介して連結された前記フィンだけを回転させ、他の前記スライド部材に前記リンク部材を介して連結された前記フィンの回転位置を維持する、請求項1に記載のレジスタ。
【請求項3】
複数の前記フィンは、
複数の前記ギアの回転に伴って、全ての前記フィンが同じ方向を向く状態と、複数の前記フィンのうち少なくとも1つの前記フィンが他の前記フィンと異なる方向を向く状態とに切り替わる、請求項1又は請求項2に記載のレジスタ。
【請求項4】
前記ギアの回転軸であるギア軸に沿った方向、及び前記スライド方向の両方に直交する方向を直交方向とした場合、
複数の前記リンク部材は、
棒状の部材であり、前記第1連結部と連結される部分を起点として、前記スライド方向と平行な方向に対して前記直交方向の一方側へ傾斜した状態で配置され、
全ての前記リンク部材が、
前記スライド方向と平行な方向に対して前記直交方向の同じ側へ傾斜した状態で配置される、請求項1又は請求項2に記載のレジスタ。
【請求項5】
複数の前記フィンの各々は、
前記フィン軸に接続され、前記リンク部材と連結されるロッドを有し、
複数の前記フィンの各々に設けられる前記ロッドは、
棒状の部材であり、前記フィン軸と接続される部分を起点として、前記スライド方向と平行な方向に対して前記直交方向の一方側へ傾斜した状態で配置され、
全ての前記ロッドが、
前記スライド方向と平行な方向に対して前記直交方向の同じ側へ傾斜した状態で配置され、且つ、前記リンク部材と同じ側へ傾斜した状態で配置される、請求項4に記載のレジスタ。
【請求項6】
前記フィンの前記フィン軸の各々は、
前記直交方向において、前記リンク部材と前記ロッドの連結部分と、前記スライド部材と前記リンク部材の連結部分との間に配置される、請求項5に記載のレジスタ。
【請求項7】
前記リテーナは、
一対のガイド部を複数組と、
複数の凸部と、
を有し、
一対の前記ガイド部は、
前記スライド部材の幅に合わせた位置に配置され、前記スライド方向と平行な方向に延び、互いの間に前記スライド部材を挿入され、
前記凸部は、
一対の前記ガイド部の間に設けられ、
複数の前記スライド部材の各々は、
前記凸部を挿入するスリットを有し、前記凸部を前記スリットに挿入した状態で前記スライド方向へスライドする、請求項1又は請求項2に記載のレジスタ。
【請求項8】
複数の前記ギアは、
第1ギア、第2ギア、第3ギアを含み、
前記第2ギア及び前記第3ギアの各々は、
前記スライド方向において、前記第1ギアよりも前記フィン軸側に配置され、前記第1ギアと歯合し、
前記第1ギアに連結された第1スライド部材の前記スライド方向に沿った長さは、
前記第2ギアに連結された第2スライド部材、及び前記第3ギアに連結された第3スライド部材の前記スライド方向に沿った長さに比べて長く、
前記第1スライド部材は、
複数の前記フィンが並ぶ方向において、前記第2ギアと前記第3ギアとの間となる位置に配置される、請求項1又は請求項2に記載のレジスタ。
【請求項9】
前記リテーナに取り付けられるベゼルを、さらに備え、
前記リテーナは、
空調空気を吹き出す、開口を有し、
複数の前記フィン及び前記ベゼルは、
前記開口に取り付けられ、
前記ベゼルは、
複数の前記フィンが並ぶ方向において互いに対向する位置に配置される一対の傾斜面を有し、
一対の前記傾斜面の各々は、
前記リテーナ内を前記空調空気が流れる送風方向の上流側から下流側に向かうに従って外側に傾斜しており、
一対の前記傾斜面の各々における上流側の端部は、
複数の前記フィンの前記フィン軸の位置よりも上流側に配置される、請求項1又は請求項2に記載のレジスタ。
【請求項10】
複数の前記フィンの各々は、
第1最大回転角度状態からニュートラル状態を介して第2最大回転角度状態まで回転し、
前記ニュートラル状態は、
前記リテーナ内を空調空気が流れる送風方向と平行な方向に沿って複数の前記フィンを配置した状態であり、
前記第1最大回転角度状態は、
前記送風方向と平行な方向と前記フィンがなす角度を最大にした状態であり、
前記第2最大回転角度状態は、
前記送風方向と平行な方向と前記フィンがなす角度を最大にした状態であり、且つ、前記フィンの回転方向において前記第1最大回転角度状態とは反対側に前記フィンを回転させた状態であり、
複数の前記フィンの各々は、
前記ニュートラル状態、前記第1最大回転角度状態、前記第2最大回転角度状態の何れかの状態を組み合わせた複数の送風パターンの中から、複数の前記ギアの回転位置に応じて異なる前記送風パターンの向きとなり、且つ、前記ギアが1回転することで元の前記送風パターンの向きに戻る、請求項1又は請求項2に記載のレジスタ。
【請求項11】
複数の前記フィンの各々は、
複数の前記ギアが所定の回転角度だけ回転するごとに、異なる前記送風パターンの向きとなる、請求項10に記載のレジスタ。
【請求項12】
請求項1又は請求項2に記載のレジスタと、
複数の前記ギアのうち、任意の前記ギアを回転させるモータと、
を備え、
前記モータは、
制御装置により回転を制御され、
前記制御装置は、
複数の前記フィンの向きを組み合わせた複数の送風パターンの中から、任意の前記送風パターンを取得し、取得した前記送風パターンに応じて前記モータの回転を制御し、取得した前記送風パターンの向きに複数の前記フィンの向きを変更する、レジスタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数のフィンを備えるレジスタ、及びレジスタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のフィンを備えるレジスタについて種々提案されている。例えば、下記特許文献1には、上下方向へスライド可能なスライドリンクで複数のフィンを連結し、スライドリンクを移動させることで複数のフィンの向きを変更する風向調整装置について記載されている。スライドリンクは、揺動手段を介して回転部材に連結されている。回転部材は、モータである回転駆動源に駆動ギアを介して接続され、回転駆動源の回転に伴って回転駆動する。複数のフィンは、回転駆動源の回転駆動力を、回転部材、スライドリンクを介して伝達されることで回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-161511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1のスライドリンクは、上下方向に延びる板状の部材である。スライドリンクには、前後方向に延びる複数のガイド孔が形成されている。複数のフィンの各々は、スライドリンクのガイド孔に連結ピンを挿入することで互いに連結され、ガイド孔の形状に応じて向きを変更する。しかしながら、特許文献1の風向調整装置は、1つのスライドリンクにより複数のフィンを互いに連結しており、任意のフィンを回転させようとすると、他のフィンもスライドリンクのスライドに合わせて回転する。従って、複数のフィンについて、個々のフィンを個別に回転させることが困難であった。
【0005】
本開示は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、複数のフィンについて、任意のフィンを個別に回転させることが可能なレジスタ、及びレジスタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、複数のフィンと、複数の前記フィンの各々を、フィン軸を中心に回転可能に支持するリテーナと、前記リテーナに対してスライド可能に設けられる複数のスライド部材と、複数の前記フィンの前記フィン軸と、複数の前記スライド部材の各々が有する第1連結部を連結する複数のリンク部材と、カム溝が設けられた複数のギアと、を備え、複数の前記スライド部材の各々は、スライド方向において前記第1連結部とは異なる位置に第2連結部を有し、前記第2連結部を複数の前記ギアの各々の前記カム溝に挿入され、複数の前記ギアの各々は、任意の前記ギアが回転するのに伴って、他の前記ギアも回転し、複数の前記ギアの各々が有する前記カム溝に沿って前記第2連結部を移動させ、前記第2連結部の移動に伴って前記スライド方向に前記スライド部材を移動させ、移動する前記スライド部材と前記リンク部材を介して連結された前記フィンを回転させる、レジスタを開示する。
【発明の効果】
【0007】
本願のレジスタ、及びレジスタ装置によれば、任意のフィンを個別に回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施例のレジスタ装置を左前方から見た斜視図。
図2】第1実施例のレジスタを左後方から見た斜視図。
図3図4とともにレジスタの分解斜視図を示し、リテーナ20とベゼル26を示す図。
図4図3とともにレジスタの分解斜視図を示し、図3の部材以外を示す図。
図5】第1~第3ギア21A~21C、第1~第3スライド部材22A~22C、第1~第3リンク部材23A~23Cを上方から見た平面図。
図6】第1~第3ギア21A~21C、第1~第3スライド部材22A~22C、第1~第3リンク部材23A~23Cをリテーナ20に組み付けた状態を前方から見た正面図。
図7】第1~第3ギア21A~21C、第1~第3スライド部材22A~22C、第1~第3リンク部材23A~23Cを右後方から見た斜視図。
図8】第1~第3ギア21A~21C、第1~第3スライド部材22A~22C、第1~第3リンク部材23A~23Cを右側から見た側面図。
図9】第1スライド部材を左から見た側面図。
図10】第1スライド部材を上から見た平面図。
図11】第1リンク部材を左から見た側面図。
図12】レジスタの左側面図であって、一部の部材を透過的に示す図。
図13】第1フィンを上方から見た平面図。
図14】第1フィンを前方から見た正面図。
図15】第1フィンを左後方から見た斜視図。
図16】第1フィンを左前方から見た斜視図。
図17】第1フィンを左から見た側面図。
図18】ベゼルを前方から見た正面図。
図19】ベゼルを左後方から見た斜視図。
図20】第1~第3フィンのカム曲線と、各送風パターンを示す図。
図21】送風パターンPT1~PT3の状態と、その送風パターンの検証における空調空気の状態、風速分布、圧損、最大風速を示す図。
図22】送風パターンPT4~PT6の状態と、その送風パターンの検証における空調空気の状態、風速分布、圧損、最大風速を示す図。
図23】送風パターンPT7の状態と、送風パターンPT7の検証における空調空気の状態、風速分布、圧損、最大風速、及び比較例を示す図。
図24】送風パターンPT7のレジスタの左側面図であって、一部の部材を透過的に示す図。
図25】別実施例のレジスタを左前方から見た斜視図。
図26】第2実施例のレジスタの左側面図であって、一部の部材を透過的に示す図。
図27】第3実施例のレジスタの左側面図であって、一部断面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施例)
以下、本願のレジスタ装置を、自動車等の車室前方に配置されるインストルメントパネルに配設され、空調装置で調節された空調空気を車室内に吹き出すレジスタ装置に具体化した一実施例である第1実施例のレジスタ装置10について、図面を参照しつつ説明する。尚、以下の説明では、図1に示すように、本実施例のレジスタ装置10のレジスタ11における送風方向の下流側(即ち、車室側)を前方とし、送風方向の上流側(即ち、空調装置側)を後方として説明する。また、以下の説明では、レジスタ11の前方においてレジスタ11と正対した使用者の視点を用いて、上下方向及び左右方向を定義し説明する。また、図1は、第1~第3フィン25A~25Cのフィン本体71A,71B,71C(図4参照)を前後方向及び左右方向と平行な状態にし、空調空気の吹出方向を変更しない状態(以下、ニュートラル状態という場合がある)を示している。
【0010】
(レジスタ装置10の構成)
図1は、本実施例のレジスタ装置10を左前方から見た斜視図である。図2は、レジスタ11を左後方から見た斜視図である。図3及び図4は、レジスタ11の分解斜視図である。尚、図2図3及び図4は、図1に示すレジスタ装置10のモータ12、出力ギア12B等の図示を省略している。図1図4に示すように、レジスタ装置10は、レジスタ11と、モータ12とを備えている。モータ12は、例えば、三相交流で駆動するサーボモータであり、レジスタ11を駆動する駆動源として機能する。モータ12は、制御装置13によって制御される。モータ12の出力軸12Aには、出力ギア12Bが取り付けられている。モータ12は、車両のバッテリ等から電力を供給され、出力軸12Aを回転させることで出力ギア12Bを回転させる。尚、モータ12は、サーボモータに限らず、ステッピングモータなどの他の種類のモータでも良い。
【0011】
制御装置13は、例えば、カーナビゲーションの制御装置であり、モータ12と接続されている。制御装置13は、例えば、モータ12に三相交流を供給するアンプ回路14を介してモータ12と接続されている。モータ12に取り付けられたエンコーダ15は、モータ12の回転位置等のエンコーダ情報をアンプ回路14に出力する。例えば、アンプ回路14は、制御装置13から入力した目標速度や目標トルク等と、エンコーダ15から取得したエンコーダ情報に基づいてモータ12をフィードバック制御する。アンプ回路14は、モータ12に供給する三相交流の周波数等を制御することで、モータ12の回転位置、回転方向、回転速度等を制御する。これにより、制御装置13は、アンプ回路14を介してモータ12の動作を制御できる。その結果、後述する第1~第3フィン25A~25Cを任意の回転位置に回転させ空調空気の吹出方向を変更できる。尚、制御装置13は、カーナビゲーションの制御装置に限らず、レジスタ装置10専用の制御装置でも良く、車両に搭載される他の制御装置でも良い。従って、レジスタ装置10は、カーナビゲーションの制御装置とは別に、レジスタ装置10の制御に用いる専用の制御装置13を備える構成でも良い。
【0012】
制御装置13は、カーナビゲーションのタッチパネル17に接続されている。制御装置13は、タッチパネル17を介して乗員から受け付けた操作入力に応じてモータ12を制御する。また、制御装置13には、カーナビゲーションの記憶装置18が接続されている。記憶装置18は、例えば、ROM、フラッシュメモリ、HDD、SDD等である。記憶装置18には、例えば、第1~第3フィン25A~25Cの各々を異なる向きにして組み合わせた複数の送風パターンPT1~PT7(図20参照)と、その送風パターンPT1~PT7の向きに第1~第3フィン25A~25Cを回転させた場合のモータ12の回転位置の情報とを対応付けたパターンデータ19が記憶されている。後述するように、制御装置13は、タッチパネル17により送風パターンPT1~PT7の選択を受け付けると、選択された送風パターンPT1~PT7に対応する回転位置の情報をパターンデータ19から検出し、検出した回転位置となるようにモータ12を制御する(図20参照)。これにより、乗員の選択した送風パターンPT1~PT7の向きに第1~第3フィン25A~25Cを自動で回転させることができる。
【0013】
図1図4に示すように、レジスタ11は、リテーナ20、第1~第3ギア21A,21B,21C、第1~第3スライド部材22A,22B,22C、第1~第3リンク部材23A,23B,23C、第1~第3フィン25A,25B,25C、ベゼル26を備えている。リテーナ20は、前後方向に延びる筒状をなしている。リテーナ20の内部には、通風路31(図2参照)が形成されている。リテーナ20(通風路31)を前後方向と垂直な平面で切断した断面形状は、上下方向に長い長方形状をなしている(図6参照)。リテーナ20の後端部は、通風路31を介して空調装置(図示省略)に接続され、空調装置から空調空気を供給される。リテーナ20は、前後方向と平行な送風方向32(図3参照)に、空調装置から供給された空調空気を送風する。
【0014】
第1~第3ギア21A~21C、第1~第3スライド部材22A~22C、第1~第3リンク部材23A~23C(以下、第1~第3ギア21A~21C等という場合がある)は、リテーナ20の左側壁33の外側に取り付けられている。第1~第3ギア21A~21C等と、後述する第1~第3フィン25A,25B,25Cのロッド74A~74Cは、カバー部材35によって左側から覆われている。カバー部材35は、例えば、左側壁33の大きさに合わせて形成され、第1~第3ギア21A~21C等の左側からレジスタ11に取り付けられている。例えば、カバー部材35は、リテーナ20に設けられた爪(図示略)に係合されることで、第1~第3ギア21A~21C等を覆う状態で左側壁33の左側に取り付けられる。
【0015】
第1ギア21A、第1スライド部材22A、及び第1リンク部材23Aは、第1フィン25Aを駆動する部材である。第2ギア21B、第2スライド部材22B、及び第2リンク部材23Bは、第2フィン25Bを駆動する部材である。第3ギア21C、第3スライド部材22C、及び第3リンク部材23Cは、第3フィン25Cを駆動する部材である。各組み合わせは、上から順番に、第2ギア21Bを含む組み合わせ、第1ギア21Aを含む組み合わせ、第3ギア21Cを含む組み合わせの順に配置されている。また、各組み合わせは、第1~第3リンク部材23A~23Cの長さ、後述するカム溝47A,47B,47Cの形状(図7参照)、部材を配置する位置等が異なるが、概ね同様の構成となっている。このため、以下の説明では、第1ギア21A、第1スライド部材22A、第1リンク部材23A、及び第1フィン25Aの組み合わせについて主に説明し、他の組み合わせの説明を適宜省略する。また、以下の説明では、第1~第3ギア21A~21C等をニュートラル状態に配置した方向を基準に説明する。また、各部材の符号は、概ね、第1ギア21Aにより駆動される部材の符号に「A」の文字を付し、第2ギア21Bにより駆動される部材の符号に「B」の文字を付し、第3ギア21Cにより駆動される部材の符号に「C」の文字を付している。
【0016】
第1ギア21Aは、略円板形状の部材であり、外周部分に複数の歯41が形成されている。複数の歯41は、第1ギア21Aの周方向に沿って等間隔に形成されている。第1ギア21Aの中心には、厚さ方向に第1ギア21Aを貫通する貫通孔43が形成されている。貫通孔43の断面形状は、円形となっている。また、リテーナ20の左側壁33には、第1~第3ギア21A~21Cの各々を取り付ける位置に合わせて第1軸部36A、第2軸部36B、第3軸部36Cがそれぞれ形成されている。第1~第3軸部36A~36Cの各々は、左右方向と平行な方向に延びる円柱形状をなしている。第1~第3ギア21A~21Cの各々の貫通孔43は、第1~第3軸部36A~36Cの太さに合わせて形成されている。第1~第3ギア21A~21Cの各々は、この順番に第1~第3軸部36A~36Cの各々を貫通孔43に挿入され、リテーナ20に対して回転可能に取り付けられている。第1~第3ギア21A~21Cは、第1~第3軸部36A~36Cの先端側の一部を左側に突出させた状態でリテーナ20に取り付けられ、カバー部材35(図1参照)によって左側から覆われている。尚、上記した第1~第3ギア21A~21Cの取り付け構造は、一例である。例えば、第1~第3軸部36A~36Cの各々を第1~第3ギア21A~21Cの各々に設け、3つの貫通孔43を左側壁33に形成しても良い。
【0017】
第1ギア21Aは、モータ12の出力ギア12Bと噛み合っている。従って、第1ギア21Aは、モータ12の回転に伴って回転する。第1ギア21Aと出力ギア12Bのギア比(減速比)は同一でも良く、異なっていても良い。例えば、第1~第3フィン25A~25Cの回転に必要なトルクなどに応じてギア比(ギアの大きさや歯41の数等)を適宜変更しても良い。図1の構成では、一例として、第1ギア21Aとして、出力ギア12Bと同一の大きさのギアを採用している。
【0018】
第1軸部36Aは、前後方向において、第2及び第3軸部36B,36Cよりも後方(上流側)で、且つ、上下方向において第2及び第3軸部36B,36Cの中間となる位置に設けられている。また、第2及び第3軸部36B,36Cは、前後方向において同一位置に設けられ、上下方向と平行な方向に沿って配置されている。従って、図5図8に示すように、第1ギア21Aは、第2及び第3ギア21B,21Cよりも後方で、且つ上下方向において第2及び第3ギア21B,21Cの間となる位置に配置されている。第2ギア21Bは、第1ギア21Aの前方且つ上方に配置され、第1ギア21Aと歯41を噛み合わせている。第3ギア21Cは、第1ギア21Aの前方且つ下方に配置され、第1ギア21Aと歯41を噛み合わせている。第2ギア21B及び第3ギア21Cは、例えば、第1ギア21Aと同一の外径で、同一ピッチで同数の歯41が外周に形成されている。このため、第2及び第3ギア21B,21Cは、第1ギア21Aの回転に伴って、第1ギア21Aと同一回転速度で、第1ギア21Aと逆方向に回転する。第2及び第3ギア21B,21Cは、第1ギア21Aが時計回り方向に回転すれば、反時計回りに回転する。第2及び第3ギア21B,21Cは、歯41を噛み合わせておらず、上下方向で離間した位置に配置されている。尚、上記した出力ギア12B、第1~第3ギア21A~21Cの噛み合わせの構成は、一例である。例えば、出力ギア12Bを、第2ギア21Bと噛み合わせても良い。また、第1ギア21Aを、第2及び第3ギア21B,21Cの前方に配置しても良い。また、後方から順番に、第2ギア21B、第1ギア21A、第3ギア21Cの順番に斜めに配置しても良い。また、第2ギア21Bに、第1ギア21Aと第3ギア21Cのそれぞれを噛み合わせ、第1ギア21Aと第3ギア21Cを離間させても良い。また、第1~第3ギア21A~21Cの外径、歯41の数、歯41のピッチは、互いに異なっていても良い。
【0019】
また、図5図8に示すように、第1~第3ギア21A~21Cの右側面には、軸受部45が形成されている。軸受部45は、貫通孔43の位置に合わせて形成され、貫通孔43と同じ内径の円筒形状に形成されている。従って、貫通孔43は、軸受部45によって右側に延長されている。第1ギア21Aは、軸受部45を第1軸部36Aに挿入され、左右方向において軸受部45の長さ(厚さ)に応じた隙間を左側壁33(図3参照)との間に確保できる。これにより、第1ギア21Aの右側面と左側壁33の面接触を避け、第1ギア21Aを第1軸部36Aで支持して円滑に回転させることができる。
【0020】
また、第1ギア21Aの右側面にはカム溝47Aが形成され、第2ギア21Bの右側面にはカム溝47Bが形成され、第3ギア21Cの右側面にはカム溝47Cが形成されている。カム溝47Aは、第1ギア21Aの右側面を左側へ凹設した溝であり、軸受部45(貫通孔43)を囲むように環状に形成されている。カム溝47A~47Cの幅は、後述する第1~第3スライド部材22A~22Cの第2連結部60A~60C(図4参照)の直径の幅、又は第2連結部60A~60Cの直径よりも若干だけ大きい幅で形成されている。カム溝47Aは、第2連結部60Aを挿入し、第1ギア21Aの回転に伴って第2連結部60Aをカム溝47Aに沿って案内し、第1スライド部材22Aを前後方向に移動させる。
【0021】
カム溝47A~47Cは、互いに異なる溝形状で形成されている。例えば、図5図8に示すニュートラル状態において、第1ギア21Aのカム溝47Aの後方且つ下方の部分は、軸受部45の後方且つ下方の外周面に接触する位置に形成されている。カム溝47Aは、この軸受部45に接触する位置から上方と下方の両側に延びつつ、軸受部45を囲むように、全体として上方側へ広がった形状をなしている。カム溝47Aは、上方や、上方且つ前方において、第1ギア21Aの外周に沿って形成されている。また、第2ギア21Bのカム溝47Bは、上方側の中央で軸受部45の上方側の外周面に接触する位置に形成されている。カム溝47Bは、この軸受部45に接触する位置から前方と後方の両側に延びつつ、軸受部45を囲むように、全体として下方側へ広がった形状をなしている。カム溝47Bは、下側部分で第2ギア21Bの外周に沿って形成されている。また、第3ギア21Cのカム溝47Cは、後方側の中央で軸受部45の後方側の外周面に接触する位置に形成されている。カム溝47Cは、この軸受部45に接触する位置から上方と下方の両側に延び、軸受部45よりも前方で、第3ギア21Cの外周付近まで延びた後、上下方向の中央側に折り返し環状に繋がっている。カム溝47Cは、上下方向における軸受部45と同じ高さの位置で、若干だけ後方側に屈曲した形状をなしている。
【0022】
第1~第3スライド部材22A~22Cは、左右方向に所定の厚みを有し、前後方向に長い略長方形の板状の部材である。図3図4図7図8図9図10に示すように、第1スライド部材22Aは、裏面(右側面)において、肉抜き加工された凹部51が形成されている。凹部51は、第1スライド部材22Aの裏面の全体に形成され、左側に向かって第1スライド部材22Aを凹設して形成されている。前後方向に沿った第1スライド部材22Aの長さ61(図9参照)は、前後方向に沿った第2及び第3スライド部材22B,22Cの長さ61(図12参照)に比べて長くなっている。前後方向に沿った第2及び第3スライド部材22B,22Cの長さ61は、互いに同一長さとなっている。
【0023】
図3及び図4に示すように、左側壁33には、一対のガイド部52A,52B,52Cが合計3組形成されている。一対のガイド部52Aは、第1軸部36Aの前方に設けられ、互いに平行で且つ前後方向と平行な方向に沿って形成されている。一対のガイド部52Aは、例えば、前後方向に長い直方体形状をなしている。一対のガイド部52Aは、上下方向において所定の幅53を有する溝を、前後方向に沿って形成している。一対のガイド部52Aの間の幅53は、上下方向に沿った第1スライド部材22Aの長さと略同一となっている(図6参照)。また、左右方向に沿ったガイド部52Aの幅54は、左右方向に沿った第1スライド部材22Aの幅、即ち、第1スライド部材22Aの厚みと同一となっている(図6参照)。また、第1~第3スライド部材22A~22Cの長さ61と同様に、前後方向に沿ったガイド部52Aの長さは、前後方向に沿ったガイド部52B,52Cの長さに比べて長くなっている。また、前後方向に沿ったガイド部52B,52Cの長さは、互いに同一長さとなっている。
【0024】
図12に示すように、第1スライド部材22Aは、上下方向において一対のガイド部52Aの間に挿入され、前後方向と平行な方向にスライド可能に保持される。第1スライド部材22Aは、一対のガイド部52Aにより形成される溝内に、全体を挿入した状態で取り付けられる。同様に、第2スライド部材22Bは、一対のガイド部52Bの間に挿入され、第1スライド部材22Aの上方において、前後方向と平行な方向にスライド可能に保持される。同様に、第3スライド部材22Cは、一対のガイド部52Cの間に挿入され、第1スライド部材22Aの下方において前後方向と平行な方向にスライド可能に保持される。
【0025】
図3及び図4に示すように、左側壁33には、一対のガイド部52A,52B,52Cのそれぞれの間に、凸部57A,57B,57Cが形成されている。第1~第3スライド部材22A~22Cの各々には、凸部57A,57B,57Cを挿入するスリット58A,58B,58Cがそれぞれ形成されている。凸部57Aは、例えば、上下方向において一対のガイド部52Aの間の中央となる位置に形成され、前後方向に延びる細い直方体形状をなしている。図12に示すように、第1スライド部材22Aは、スリット58Aに凸部57Aを挿入した状態で、一対のガイド部52Aの間に挿入されている。図3及び図4に示すように、凸部57B,57Cは、凸部57Aに比べて前後方向の幅が短い突起である。第2スライド部材22Bは、スリット58Bに凸部57Bを挿入した状態で、一対のガイド部52Bの間に挿入されている。第3スライド部材22Cは、スリット58Cに凸部57Cを挿入した状態で、一対のガイド部52Cの間に挿入されている。
【0026】
図3及び図4に示すように、第1~第3スライド部材22A~22Cには、第1連結部59A,59B,59C、第2連結部60A,60B,60Cがそれぞれ設けられている。図4図9図10に示すように、第1及び第2連結部59A,60Aは、第1スライド部材22Aの左側面から左側に向かって突出した円柱形状をなしている。左右方向に沿った第1連結部59Aの長さは、左右方向に沿った第2連結部60Aの長さに比べて長くなっている。
【0027】
第1連結部59Aは、第1スライド部材22Aの前端部分に形成され、前後方向において第1スライド部材22Aの前端から若干だけ後方となる位置に形成されている。これにより、後述する第1リンク部材23Aを軸支するのに十分な剛性を第1連結部59Aに確保できる。一方、第2連結部60Aは、第1スライド部材22Aの後端に接する位置に形成されている。第2連結部60Aは、右側からカム溝47Aに挿入される。図3に示すように、第1軸部36Aは、上下方向において一対のガイド部52Aの間の中央となる位置であって、一対のガイド部52Aよりも後方となる位置に配置されている。図12に示すように、第2連結部60Aを第1スライド部材22Aの後端と接する位置に設けることで、第2連結部60Aをカム溝47Aに沿って移動させた場合に、第1スライド部材22Aを第1ギア21Aの軸受部45に可能な限り近づけることができる。換言すれば、カム溝47Aを軸受部45と接する位置に形成することができる。軸受部45に接する位置を基準としてカム溝47Aを設計でき、カム溝47Aの設計変更が容易となる。その結果、第1フィン25Aを所望のタイミングで所望の回転位置に回転させることが容易となる。尚、図9図10に示す第1スライド部材22Aの構成は、一例である。第1連結部59Aを、第1スライド部材22Aの前端に接する位置に設けても良い。また、第2連結部60Aを、第1スライド部材22Aの後端から前方に離れた位置に設けても良い。
【0028】
また、図12に示すように、第2及び第3ギア21B,21Cは、第1ギア21Aと噛み合った状態で、第1ギア21Aの前方において、上下方向に対向する位置に配置されている。第2及び第3ギア21B,21Cは、上下方向において所定の隙間を間に設けて配置されている。第1スライド部材22Aは、上下方向において、第2ギア21Bと第3ギア21Cとの間となる位置に配置される。本実施例では、第2及び第3ギア21B,21Cは、上下方向において近接した位置に配置されている。このため、第2ギア21Bの歯41の一部と、第3ギア21Cの歯41の一部とが、左右方向において、第1スライド部材22Aと重なる位置に配置される。
【0029】
図4図11に示すように、第1~第3リンク部材23A,23B,23Cは、左右方向において所定の厚みを有する板状の部材である。第1~第3リンク部材23A,23B,23Cは、ニュートラル状態において、後方且つ上方から前方且つ下方に向かって略45度傾いた状態で配置されている。第1リンク部材23Aは、この傾斜方向(前方の下方へ45度の方向)に直交する方向(前方の上方へ45度の方向)の幅を一定とし、傾斜方向に長い板状をなしている。傾斜方向に沿った、即ち、長手方向に沿った第1~第3リンク部材23A,23B,23Cの長さ65(図11参照)は、互いに同一の長さとなっている。第1~第3リンク部材23A~23Cの各々は、傾斜方向の両端に、第1連結孔63A,63B,63Cと、第2連結孔64A,64B,64Cがそれぞれ形成されている。第1連結孔63A,63B,63Cは、第1~第3リンク部材23A~23Cの各々の前方側の端部に形成されている。第2連結孔64A,64B,64Cは、第1~第3リンク部材23A~23Cの各々の後方側の端部に形成されている。第1連結孔63A,63B,63C、及び第2連結孔64A,64B,64Cは、第1~第3リンク部材23A~23Cの各々を左右方向と平行な方向に貫通する断面円形の穴である。
【0030】
第1スライド部材22Aは、第2連結孔64Aの右側から第1連結部59Aを挿入し、第1リンク部材23Aと連結されている。第1リンク部材23Aは、第1スライド部材22Aが前後方向にスライド移動するのに伴って、前後方向へ移動し、傾斜角度が変更される。同様に、第2リンク部材23Bは、第2連結孔64Bに第1連結部59Bを挿入して、第2スライド部材22Bと連結されている。第3リンク部材23Cは、第2連結孔64Cに第1連結部59Cを挿入して、第3スライド部材22Cと連結されている。尚、第1~第3スライド部材22A~22Cと第1~第3リンク部材23A~23Cを連結する構造は、上記した構造に限らない。例えば、第2連結孔64Aを第1スライド部材22Aに設け、第1連結部59Aを第1リンク部材23Aに設けて、第1スライド部材22Aに第1リンク部材23Aを挿入して連結しても良い。
【0031】
また、図1図4に示すように、第1~第3フィン25A~25Cは、フィン本体71A,71B,71C、右フィン軸72A,72B,72C、左フィン軸73A,73B,73C、ロッド74A,74B,74C、連結軸75A,75B,75Cをそれぞれ備えている。第1~第3フィン25A~25Cは、例えば、同一の構成となっている。フィン本体71Aは、ニュートラル状態において、例えば、上下方向に薄く、前後方向の幅を略同一とし、左右方向に長い長方形の板状をなしている。フィン本体71A,71B,71Cは、ニュートラル状態において、互いに平行に配置され、上下方向において所定の間隔を間に設けて互いの平面を対向させて配置され、上下方向に並んで配置されている。従って、上下方向は、本開示の複数のフィンが並ぶ方向の一例である。第2フィン25B、第1フィン25A、第3フィン25Cは、この順番で上から下に並んでいる。尚、フィン本体71A,71B,71Cは、異なる数の溝79が形成されている。これにより、第1~第3フィン25A~25Cを溝79によって識別可能とし、誤った組み付けの発生を抑制できる。
【0032】
図13図17に示すように、右フィン軸72Aは、フィン本体71Aの右側面における前端に形成されている。右フィン軸72Aは、フィン本体71Aの右側面から右側(外側)に突出した円柱形状をなしている。図3に示すように、リテーナ20の左側壁33及び右側壁34は、板状に形成され、左右方向において通風路31を間に挟んで対向する位置に配置されている。左側壁33及び右側壁34の前端部分は、上側縁部及び下側縁部の両方を上下方向の中央側に傾斜させ、後方(上流)側から前方(下流)側に向かうに従って上下方向の幅が徐々に短くなっている。左右方向から見た左側壁33及び右側壁34の前端部分の形状は、前方に突出する台形形状をなしている。右側壁34の台形形状の前端には、貫通孔77A,77B,77Cが形成されている。貫通孔77A,77B,77Cは、右フィン軸72A,72B,72Cのそれぞれの位置に合わせて形成されている。前後方向において、貫通孔77Aは、貫通孔77B,77Cよりも前方側に形成されている。前後方向において、貫通孔77B,77Cは、同一の位置に形成されている。右フィン軸72Aは、右側壁34の内側から貫通孔77Aに挿入され、フィン本体71Aを回転可能に保持する。
【0033】
また、図13図17に示すように、左フィン軸73Aは、フィン本体71Aの左側面における前端に形成され、前後方向において右フィン軸72Aと同一位置に形成されている。左フィン軸73Aは、フィン本体71Aの左側面から左側に突出した円柱形状をなしている。ロッド74Aは、左フィン軸73Aの先端(左端)に接続されている。図3に示すように、左側壁33の台形形状の前端には、切欠部78A,78B,78Cが形成されている。切欠部78A,78B,78Cは、左側壁33の前端から後方に向かって切り欠いて形成されている。上下方向における切欠部78A,78B,78Cの幅は、左フィン軸73A,73B,73Cの外径と略同一となっている。前後方向における切欠部78Aの長さは、切欠部78B,78Cに比べて短くなっている。前後方向における切欠部78B,78Cの長さは、同一となっている。左フィン軸73Aは、切欠部78Aの前端の開口から挿入され、フィン本体71Aを回転可能に保持する。フィン本体71Aは、右フィン軸72A及び左フィン軸73Aに軸支されることで、左右方向と平行な回転軸を中心に上下方向に回転する。同様に、フィン本体71Bは、左フィン軸73Bを切欠部78Bに挿入され、右フィン軸72B及び左フィン軸73Bにより回転可能に保持される。フィン本体71Cは、左フィン軸73Cを切欠部78Cに挿入され、右フィン軸72C及び左フィン軸73Cにより回転可能に保持される。
【0034】
ロッド74Aは、左フィン軸73Aの先端から所定の角度をなす方向へ延びる棒状をなしている。図4に示すように、ニュートラル状態において、ロッド74A,74B,74Cの各々は、左フィン軸73A,73B,73Cの各々の先端から後方且つ下方となる略45度の方向に傾斜した状態で設けられている。従って、ニュートラル状態において、ロッド74A,74B,74Cの各々は、第1~第3リンク部材23A~23Cの各々と、直交する関係となっている。ロッド74A~74Cの各々は、傾斜方向を長手方向として延びており、前方且つ上方の端部の内側に左フィン軸73A~73Cを接続され、後方且つ下方の端部の外側に連結軸75A,75B,75Cが接続されている。連結軸75A~75Cは、ロッド74A~74Cの端部から左側に突出する円柱形状をなしている。連結軸75A~75Cの各々は、第1~第3リンク部材23A~23Cの第1連結孔63A~63Cの各々に、右側から挿入されている。
【0035】
これにより、第1フィン25Aは、第1スライド部材22A及び第1リンク部材23Aを介して第1ギア21Aと連結され、第1ギア21Aの回転に伴って回転する。第1スライド部材22Aは、カム溝47Aの挿入位置に応じて前後方向の位置が変更される。このため、第1フィン25Aは、第1ギア21Aの回転に伴って一定の回転速度で回転せず、上方側又は下方側へと変則的に回転する。同様に、第2フィン25Bは、第2スライド部材22B及び第2リンク部材23Bを介して第2ギア21Bと連結され、第2ギア21Bの回転に伴って回転する。第3フィン25Cは、第3スライド部材22C及び第3リンク部材23Cを介して第3ギア21Cと連結され、第3ギア21Cの回転に伴って回転する。
【0036】
図3に示すように、ベゼル26は、リテーナ20の前方側の開口20Aに取り付けられている。図18及び図19に示すように、ベゼル26には、開口20Aと連通する吹出口26Aが形成されている。吹出口26Aは、前後方向と平行な方向に沿ってベゼル26を貫通して形成されている。吹出口26Aは、前方から見た場合に、上下方向に長い略長方形をなしている。ベゼル26は、吹出口26A(開口20A)の周囲を囲む枠形状をなしている。リテーナ20を流れ複数の第1~第3フィン25A~25Cによって整流された空調空気は、開口20A及び吹出口26Aを通じて車室に吹き出される。
【0037】
ベゼル26は、左右方向から見たリテーナ20の前端部分の形状(台形形状)に合わせて、前方側に屈曲した形状をなしている。従って、ベゼル26の上側部分と下側部分は、後方から前方に向かうに従って上下方向の中央部側へ傾斜している。ベゼル26における傾斜した上側部分と下側部分を繋ぐ前面26Bは、上下方向及び左右方向に沿った平面で形成されている。前面26Bは、車室のインストルメントパネルの意匠面となる。尚、意匠面となる前面26Bの形状は、インストルメントパネルの形状に応じて適宜変更される。このため、前面26Bは、例えば、上方から下方に向かうに従って、前方側へ傾斜した形状でも良く、逆に、上方から下方に向かうに従って、後方側へ傾斜した形状でも良い。
【0038】
また、ベゼル26の上側の裏面と、下側の裏面には、被係合部26Cが形成されている。被係合部26Cは、例えば、上側に2つ、下側に2つそれぞれ形成されている。4つの被係合部26Cの各々は、左右方向及び前後方向と平行な平板形状をなし、ベゼル26の裏面から後方へ突出している。4つの被係合部26Cの先端には、上下方向に貫通する係合孔26Dがそれぞれ形成されている。図3及び図6に示すように、リテーナ20の上面と下面には、係合孔26Dの位置に合わせて係合爪20Bが合計4つ形成されている。ベゼル26は、4つの被係合部26Cの係合孔26Dの各々を、4つの係合爪20Bの各々に係合させて、リテーナ20に対して取り付けられる。
【0039】
また、図19に示すように、前面26Bの左側の裏面には、左フィン軸73A~73Cの各々を保持する軸支持部材26Eが合計3つ設けられている。3つの軸支持部材26Eは、前面26Bの裏面から後方に突出した棒状をなしている。軸支持部材26Eの後端(先端)は、左フィン軸73A~73Cの外径形状に合わせて円弧状に切り欠かれている。前後方向に沿った3つの軸支持部材26Eの長さは、前後方向における左フィン軸73A~73Cの位置に合わせた長さとなっている。このため、左フィン軸73Aを支持する軸支持部材26Eの長さは、他の左フィン軸73B,73Cを支持する軸支持部材26Eの長さに比べて短くなっている。3つの軸支持部材26Eは、ベゼル26をリテーナ20に取り付ける際に、切欠部78A~78Cにそれぞれ挿入され、左フィン軸73A~73Cを前方から回転可能に支持する。これにより、回転にともなって左フィン軸73A~73Cの位置がずれることを抑制できる。
【0040】
また、図12図18、及び図19に示すように、ベゼル26の吹出口26Aには、一対の傾斜面26F,26Gが形成されている。傾斜面26Fは、吹出口26Aの上部に形成され、傾斜面26Gは、吹出口26Aの下部に形成されている。傾斜面26Fは、後方から前方に行くに従って上方へ傾斜している。傾斜面26Gは、後方から前方に行くに従って下方へ傾斜している。従って、傾斜面26F,26Gは、後方から前方に行くに従って、互いに離間する上下方向の外側に傾斜している。傾斜面26F,26Gの後方側(上流側)の端部27は、前後方向において、左フィン軸73A~73Cの位置よりも後方側の位置に配置されている(図12参照)。換言すれば、ベゼル26は、第1~第3フィン25A~25Cの回転軸(左フィン軸73A~73C)よりも上流側において、吹出口26Aを上下方向(第1~第3フィン25A~25Cの回転方向)に広げる傾斜面26F,26Gを有する。これにより、空調空気を拡散させる方向に第1~第3フィン25A~25Cを向けた場合に、第1~第3フィン25A~25Cに沿って流れる空調空気をそのまま吹出口26Aから吹き出すことができ、空調空気を適切に拡散させることができる。
【0041】
(第1~第3フィン25A~25Cの回転動作について)
次に、第1~第3フィン25A~25Cの回転動作について説明する。図20の上のグラフは、第1~第3フィン25A~25Cのカム曲線を示しており、縦軸がフィンの回転角度(ニュートラル状態をゼロ度、上方をプラスとして-30度~+30度)を、横軸がギアの回転角度(0度~360度)を示している。また、グラフ内の丸いドットは、横軸に+15度だけ回転する毎に付されている。また、実線のグラフは、第1フィン25Aを、破線のグラフは、第2フィン25Bを、一点鎖線のグラフは、第3フィン25Cを示している。また、図20の下の図は、送風パターンPT1~PT7の遷移を示している。また、送風パターンPT1~PT7の間の数字は、隣り合う送風パターンPT1~PT7を遷移させるのに必要なギアの回転角度を示している。ここで、第1~第3フィン25A~25Cは、例えば、上向きに30度(+30度)の状態からニュートラル状態を間に挟んで下向きに30度(-30度)の状態まで回転するものとする。この場合、上向き30度の状態、及び下向き30度の状態は、フィンの最大の振り幅であり、本開示の第1最大回転角度状態、第2最大回転角度状態の一例である。例えば、上向き30度の状態を第1最大回転角度状態とすれば、第1最大回転角度状態は、送風方向32と平行な方向と第1~第3フィン25A~25Cがなす角度を最大(上向きに30度)にした状態である。第2最大回転角度状態は、送風方向32と平行な方向と第1~第3フィン25A~25Cがなす角度を最大(下向きに30度)にした状態であり、且つ、フィンの回転方向において第1最大回転角度状態とは反対側(下側)に第1~第3フィン25A~25Cを回転させた状態である。第1~第3フィン25A~25Cは、上向き30度の状態(以下、上向き状態という)、ニュートラル状態、下向き30度の状態(下向き状態という)の3つの状態の何れかを組み合わせた送風パターンとして、7つ送風パターンPT1~PT7に切り替わる。送風パターンPT1は、全てのフィンがニュートラル状態(ゼロ度)となる。そして、第1~第3フィン25A~25Cは、例えば、レジスタ11の左側から第1ギア21Aを見た場合に、第1ギア21Aを時計回り方向へ1回転させると、送風パターンPT1~PT7の順番に入れ替わり、360度(1周)だけ回転すると、送風パターンPT1に戻る。
【0042】
また、図21図23は、送風パターンPT1~PT7の各々について空調空気の状態を検証した結果を示している。検証では、ベゼル26を取り外してリテーナ20の開口20Aにノズルを取り付けて検証を行った。図21図23の各送風パターンPT1~PT7の左側の図は、第1~第3フィン25A~25Cの向きを示している。左右方向の真ん中の図は、ノズルから吹き出した空調空気の状態を、ミスト等を用いて可視化し撮影した写真を示している。右側の図は、例えば、ノズルの先端から750mmだけ下流における空調空気の風速分布を示している。H-0等の数値は、例えば、乗員の喉元を想定した位置を基準位置(H-0)とし、基準位置に対する高さを示している。例えば、H-100は、基準位置から100mmの高さを示している。また、風速分布は、分布の中心に向かうほど速度が速いことを示している。圧損は、ノズルを含むリテーナ20の圧力損失(PA:パスカル)を示している。最大風速は、ノズルにおける最大風速(m/s)を示している。尚、以下の説明では、上記した基準位置を用いた検証結果に基づく説明を行う。従って、仮に、レジスタ11を乗員の正面からずれた位置、具体的には左右方向にずれた位置や上下方向にずれた位置に取り付けた場合は、基準位置は、上記した乗員の喉元の位置とは異なってくる。
【0043】
まず、送風パターンPT1において、第1~第3フィン25A~25Cは、全て回転角度が0度となり、ニュートラル状態となる(図21の上図参照)。送風パターンPT1では、レジスタ11から吹き出した空調空気は、基準位置に向けて流れ、上下方向に拡散する範囲も+200mm~-100mmの範囲に収まっている。
【0044】
次に、第1ギア21Aを時計回り方向(前方側)に45度まで回転させると、第1~第3フィン25A~25Cは、送風パターンPT2となる。0度から45度の回転において、第1ギア21Aは、回転に伴って第1スライド部材22Aを前方へスライドさせる。また、第2及び第3ギア21B,21Cは、第1ギア21Aと同一速度、及び同一角度だけ回転し、第2及び第3スライド部材22B,22Cの各々を前方へスライドさせる。第1~第3スライド部材22A~22Cは、例えば、同じ速度で前方へ移動する。第1~第3リンク部材23A~23Cは、第1~第3スライド部材22A~22Cの前方への移動に伴って、ロッド74A~74Cを下方へと押し下げる。第1~第3フィン25A~25Cは、ロッド74A~74Cが下方へ押し下げられることで、上方へ徐々に回転する。図20に示すように、例えば、第1~第3フィン25A~25Cは、第1ギア21Aが15度だけ回転すると、10度だけ上方へ回転する、即ち、変化量が+2/3(=10/15)で回転する。そして、第1~第3スライド部材22A~22Cは、第1ギア21Aが45度だけ回転すると、前後方向のスライド範囲において最も前方に進んだ前端位置となる(図24の第3スライド部材22C参照)。第1~第3フィン25A~25Cは、全て上向き状態の送風パターンPT2となる(図21の真ん中の図参照)。送風パターンPT2では、ベゼル26の吹出口26Aから吹き出す空調空気の方向を上方に向けることができる。空調空気の風速分布は、全体として、約350mm以上の上方の位置となる。圧力損失及び最大風速はともに送風パターンPT1よりも増加する。
【0045】
次に、第1ギア21Aを45度よりさらに回転させると、第1~第3フィン25A~25Cは、第1ギア21Aの回転に伴ってそれぞれ回転する。尚、以下の説明では、各部材の動作について、上記した送風パターンPT1から送風パターンPT2への遷移と同様の内容についてはその説明を適宜省略する。第1~第3フィン25A~25Cは、第1ギア21Aが45度から60度まで回転する間、送風パターンPT2を維持する。また、第1ギア21Aが60度から105度まで回転する間、第1及び第2スライド部材22A,22Bは、送風パターンPT2の位置(前端位置)を維持する。第1及び第2フィン25A,25Bは、上向き状態を維持する。換言すれば、第1及び第2ギア21A,21Bのカム溝47A,47Bは、第1ギア21Aが60度から105度まで回転する間、第1及び第2スライド部材22A,22Bの第2連結部60A,60Bを前後方向に移動させない溝形状となっている。一方、第3スライド部材22Cは、前端位置から後方側へ移動する。第3フィン25Cは、第1ギア21Aが60度から105度まで回転するのにともなって、第3スライド部材22Cが後方へ移動し第3リンク部材23Cが引き上げられることで、上向き状態からニュートラル状態に向かって下方へ回転する。第1ギア21Aが105度まで回転すると、第1及び第2フィン25A,25Bが上向き状態、第3フィン25Cがニュートラル状態の送風パターンPT3となる(図21の下図参照)。送風パターンPT3では、図21の下図に示すように、下側の第3フィン25Cをニュートラル状態にすることで、吹出口26Aから吹き出す空調空気の速度分布を、送風パターンPT2に比べて下方に下げることができる。また、空調空気は、送風パターンPT2に比べ上下方向に広がり分散する。これにより、例えば、乗員は、頭部のみに空調空気を当てたいときは送風パターンPT2を選択し、頭部に集中的に当てつつ、喉元まで少し分散させたい場合は送風パターンPT3を選択することができる。
【0046】
次に、第1ギア21Aを105度から150度まで回転させると、第1フィン25Aは、第1スライド部材22Aが後方へ移動することで下方へ回転し、上向き状態からニュートラル状態となる。第3フィン25Cは、第1ギア21Aと平行な関係を維持しつつ下方へ回転し、ニュートラル状態から下向き状態となる。一方、第2フィン25Bは、この間も上向き状態を維持する。第1~第3フィン25A~25Cは、送風パターンPT4となる(図22の上図参照)。送風パターンPT4では、第1~第3フィン25A~25Cは、上下方向に広がった形状となる。送風パターンPT4の風速分布は、約+250mm~-250mmの範囲まで広がり、且つ、より均一となる。例えば、乗員は、車室全体を均一に冷やしたい場合など、この送風パターンPT4を選択することができる。
【0047】
次に、第1ギア21Aを、150度から195度まで回転させると、第1フィン25Aは、ニュートラル状態から下向き状態になる。第2フィン25Bは、上向き状態からニュートラル状態となる。第3フィン25Cは、下向き状態を維持する(送風パターンPT5、図22の真ん中の図)。送風パターンPT5は、送風パターンPT3とは逆に、例えば、乗員は、胸部や腹部に空調空気を集中的に当てつつ、喉元まで少し分散させたい場合は送風パターンPT5を選択することができる。
【0048】
次に、第1ギア21Aを、195度から240度まで回転させると、第1及び第3フィン25A,25Cは、下向き状態を維持する。第2フィン25Bは、ニュートラル状態から下向き状態となる(送風パターンPT6、図22の下図)。即ち、この間は、第2フィン25Bだけが回転し、第1及び第3フィン25A,25Cは回転しない。全てのフィンが下向き状態となる。送風パターンPT6では、乗員の胸元や腹部に集中的に送風することができる。
【0049】
次に、第1ギア21Aを、240度から300度まで回転させると、第1フィン25Aは、下向き状態からニュートラル状態となる。第2フィン25Bは、下向き状態を維持する。第3フィン25Cは、下向き状態から上向き状態となる(送風パターンPT7、図23)。第1及び第3フィン25A,25Cは、例えば、第1ギア21Aが30度だけ回転すると、30度だけ上方へ回転する、即ち、変化量が+1(=30/30)で回転する。従って、第1及び第3フィン25A,25Cは、上記した送風パターンPT1から送風パターンPT6まで回転する際の変化量+2/3よりも大きい変化量+1で回転する。図23に示すように、送風パターンPT7では、乗員の喉元に向けた送風をより集中して行うことができる。
【0050】
図24は、送風パターンPT7のレジスタ11を左側方から見た状態を示している。図24に示すように、送風パターンPT7では、第1スライド部材22Aは、ニュートラル状態の位置となる。第2スライド部材22Bは、前後方向のスライド範囲において最も後方に進んだ後端位置となる。第3スライド部材22Cは、前後方向のスライド範囲において最も前方に進んだ前端位置となる。第1~第3フィン25A~25Cの左フィン軸73A~73Cは、第1~第3フィン25A~25Cを上向き状態から下向き状態に回転させるどの状態でも、上下方向において、連結軸75A~75Cと第1連結部59A~59Cの間に配置されている。第2スライド部材22Bのように後端位置まで引き込んだ状態でも、左フィン軸73Bは、第1連結部59Bの下方で、且つ連結軸75Bの上方となる位置に配置される。従って、左フィン軸73A~73Cの各々は、上下方向(本開示の直交方向の一例)において、第1~第3リンク部材23A~23Cとロッド74A~74Cの連結部分と、第1~第3スライド部材22A~22Cと第1~第3リンク部材23A~23Cの連結部分との間に配置されている。
【0051】
そして、第1ギア21Aを、300度から360度まで回転させると、第1フィン25Aは状態からニュートラル状態を維持する。第2フィン25Bは、下向き状態からニュートラル状態へ回転する。第3フィン25Cは、上向き状態からニュートラル状態へ回転する。即ち、第1ギア21Aを元の回転位置まで回転させると、送風パターンPT1となる。レジスタ装置10の制御装置13は、モータ12を制御することで、上記した送風パターンPT1~PT7の中から任意の送風パターンの状態に第1~第3フィン25A~25Cの向きを偏向することができる。
【0052】
上記したように、図1に示す記憶装置18には、送風パターンPT1~PT7と、モータ12の回転位置の情報を対応付けたパターンデータ19が記憶されている。制御装置13は、カーナビゲーションのタッチパネル17において、乗員から送風パターンPT1~PT7の選択を受け付ける。制御装置13は、例えば、図20の下の図に示すように、送風パターンPT1~PT7を模式化した図と、送風パターンPT1~PT7の識別情報をタッチパネル17に表示し、選択を受け付ける。制御装置13は、受け付けた送風パターンPT1~PT7に対応する回転位置の情報を記憶装置18のパターンデータ19から検出する。制御装置13は、検出した回転位置となるようにモータ12を制御することで、第1~第3フィン25A~25Cの向きを、乗員の望む向きに自動で偏向できる。尚、送風パターンPT1~PT7の選択は、カーナビゲーション以外の装置・スイッチ等で受け付けても良い。
【0053】
また、レジスタ装置10は、乗員の操作に応じて送風パターンPT1~PT7を連続的に切替えても良い。例えば、レジスタ装置10は、特定のボタンが長押しされている間、第1ギア21Aを一定の回転速度で回転させても良い。これにより、乗員は、送風パターンPT1~PT7以外の向き(例えば、送風パターンの切り替え中の向きなど)に第1~第3フィン25A~25Cを偏向できる。また、レジスタ装置10は、複数の送風パターンPT1~PT7を一定時間毎に切り替える制御(自動でスウィングする制御)を実行しても良い。
【0054】
また、レジスタ装置10は、モータ12などの駆動源を備えなくとも良い。例えば、図25に示すように、ベゼル26に操作ダイヤル81を設け、操作ダイヤル81と第1ギア21Aとをリンク機構83で接続しても良い。リンク機構83は、操作ダイヤル81の回転を第1ギア21Aに伝達する機構であれば特に構成は限定されない。例えば、リンク機構83としては、特開2022-088233号公報や特開2018-076008号公報に記載されているような周知のリンク機構の回転範囲を調整等したものを採用できる。あるいは、第1~第3フィン25A~25Cの何れかを直接乗員が手で操作しても良い。
【0055】
また、図23の下図の比較例は、リテーナ20内に段差部85を形成し、通風路31を絞った構造の検証結果を示している。段差部85は、例えば、リテーナ20の開口20Aの近くまで通風路31の大きさを本実施例(上の図)に比べて小さくし、開口20Aの近くで広げている。この比較例では、段差部85をリテーナ20内に設け、通風路31を絞ることで最大風速を増加できる一方、圧損が増加している。そして、右側の速度分布に示すように、比較例では、本実施例に比べて速度分布の範囲が広がっている。指向性を高めてポイントを絞って送風したい送風パターンPT7としては、本実施例の段差部85がないリテーナ20が好ましいことがわかる。他の送風パターンPT1~PT6でも同様に、各送風パターンの目的に合った送風態様を実現する上では、段差部85を設けず、通風路31を絞らない方が好ましい結果となった。従って、本実施例のような変則的にフィンの向きを偏向し、各送風パターンPT1~PT7の目的をより適切に達成するためには、段差部85を設けないことが好ましい。具体的には、例えば、図23に示すように、下向き状態の第2フィン25Bの後端位置(上端位置)を通り前後方向と平行な直線と、上向き状態の第3フィン25Cの後端位置(下端位置)を通り前後方向と平行な直線とに沿ってリテーナ20の通風路31を形成し、且つ、通風路31を開口20Aから平行に送風方向32に形成する構成が好適である。
【0056】
因みに、上記第1実施例において、第1~第3ギア21A~21Cは、ギアの一例である。第1~第3フィン25A~25Cは、フィンの一例である。第1~第3スライド部材22A~22Cは、スライド部材の一例である。第1~第3リンク部材23A~23Cは、リンク部材の一例である。第1~第3軸部36A~36Cは、ギア軸の一例である。左フィン軸73A~73Cは、フィン軸の一例である。前後方向は、スライド方向の一例である。左右方向は、ギア軸に沿った方向の一例である。上下方向は、直交方向、複数のフィンが並ぶ方向の一例である。
【0057】
以上、上記した第1実施例によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施例のレジスタ11の第1~第3スライド部材22A~22Cは、前後方向と平行なスライド方向において第1連結部59A~59Cとは異なる位置に第2連結部60A~60Cを有する。第2連結部60A~60Cは、第1~第3ギア21A~21Cの各々のカム溝47A~47Cに挿入される。第1~第3ギア21A~21Cは、任意のギアが回転するのに伴って、他のギアも回転し、カム溝47A~47Cに沿って第2連結部60A~60Cを移動させ、第2連結部60A~60Cの移動に伴って第1~第3スライド部材22A~22Cを移動させる。第1~第3スライド部材22A~22Cの中から、任意のスライド部材をスライド移動させることで、移動させたスライド部材と第1~第3リンク部材23A~23Cを介して連結された第1~第3フィン25A~25Cを回転させる。
【0058】
これにより、カム溝47A~47Cの形状を変更することで、第1~第3スライド部材22A~22Cの各々がスライド移動するタイミングや移動方向を変更できる。その結果、第1~第3フィン25A~25Cについて、任意のフィンを個別に回転させることができる。1又は2以上のフィンを動かし、複数のフィンを多種多様な態様で回転させることができる。また、第1~第3スライド部材22A~22C及び第1~第3リンク部材23A~23Cを同じ態様とすることで、カム溝47A~47Cを調整するたけで、回転の態様を適宜変更できる。
【0059】
(2)また、カム溝47A~47Cは、互いに異なる溝形状で形成されている。第1~第3スライド部材22A~22Cは、第1~第3ギア21A~21Cの所定の回転範囲において(図20参照)、任意のスライド部材だけを前後方向へ移動させ、且つ、他のスライド部材の前後方向における位置を保持する。例えば、送風パターンPT2から送風パターンPT3への回転範囲では、第3フィン25Cだけを回転させ、他のフィンの回転位置を上向き状態で維持する。これにより、任意のフィンの向きだけを変更し、送風パターンPT1~PT7の種類を増やすことができる。空調の状態をより柔軟に変更することができる。
【0060】
(3)また、第1~第3フィン25A~25Cは、回転に伴って、全てのフィンが同じ方向を向く状態(送風パターンPT1,PT2,PT6)と、少なくとも1つのフィンが他のフィンと異なる方向を向く状態(送風パターンPT3,PT4,PT5,PT7)とに切り替わる。これにより、全てのフィンの向きを揃えて指向性を高めた送風や、少なくとも1つのフィンの向きを変更して空調空気をより分散させる送風を実行できる。第1~第3ギア21A~21Cの噛み合わせにより互いに連動させつつ、多様な送風を実現できる。
【0061】
(4)また、第1~第3リンク部材23A~23Cは、棒状の部材であり、第1連結部59A~59Cと連結される第2連結孔64A~64Cを起点として、前後方向と平行な方向に対して上下方向の一方側(実施例では、ニュートラル状態において前方且つ下方へ45度の方向)へ傾斜した状態で配置される。そして、第1~第3リンク部材23A~23Cの全てが、同じ側(下方)へ傾斜した状態で配置される。これによれば、第1連結部59A~59Cと、連結軸75A~75Cを連結する部材、即ち、第1~第3リンク部材23A~23Cを配置する領域の上下方向や前後方向の幅をより小さくすることができる。このため、同じ大きさのレジスタ11であっても、開口20Aやベゼル26の形状の自由度を高めることができる。
【0062】
(5)また、ロッド74A~74Cは、棒状の部材であり、左フィン軸73A~73Cと接続される部分を起点として、前後方向と平行な方向に対して上下方向の一方側(実施例では、ニュートラル状態において後方且つ下方)へ傾斜した状態で配置される。そして、全てのロッド74A~74Cが、同じ側(下方)へ傾斜した状態で配置され、且つ、第1~第3リンク部材23A~23Cと同じ側へ傾斜した状態で配置される。これによれば、第1~第3リンク部材23A~23Cと、左フィン軸73A~73Cを連結する部材、即ち、ロッド74A~74Cを配置する領域の上下方向や前後方向の幅をより小さくすることができる。
【0063】
(6)また、左フィン軸73A~73Cの全てが、上下方向において、第1~第3リンク部材23A~23Cとロッド74A~74Cの連結部分(連結軸75A~75C)と、第1~第3スライド部材22A~22Cと第1~第3リンク部材23A~23Cの連結部分(第1連結部59A~59C)との間に配置される(図24参照)。これにより、第1~第3リンク部材23A~23Cの可動範囲を一定の範囲内とし、レジスタ11の小型化を図ることができる。尚、本開示の構成では、例えば、連結軸75Aが、左フィン軸73Aよりも上方に回転する構成も採用でき、第1フィン25Aの回転角度を拡大することも可能である。
【0064】
(7)また、一対(各組)のガイド部52A~52Cは、第1~第3スライド部材22A~22Cの上下方向の幅に合わせた位置に配置され、前後方向に延び、互いの間にスライド部材を挿入される。凸部57A~57Cは、一対のガイド部52A~52Cの上下方向の間に設けられる。第1~第3スライド部材22A~22Cの各々は、凸部57A~57Cを挿入するスリット58A~58Cを有し、凸部57A~57Cをスリット58A~58Cに挿入した状態でスライドする。これにより、ガイド部52A~52Cを設けることで、第1~第3スライド部材22A~22Cの上下方向への位置ずれを抑制でき、スライド部材をスムーズに前後方向へ移動させることができる。また、凸部57A~57Cを設けることで、スライド移動時のスライド部材のガタツキの発生を抑制できる。
【0065】
(8)また、第2及び第3ギア21B,21Cは、第1ギア21Aよりも前方側(左フィン軸73A~73C側)に配置され、第1ギア21Aと歯合している。第1スライド部材22Aのスライド方向に沿った長さ61は、第2及び第3スライド部材22B,22Cの長さ61に比べて長い。第1スライド部材22Aは、上下方向において、第2ギア21Bと第3ギア21Cの間となる位置に配置されている。このような構成では、第2及び第3ギア21B,21Cを上下方向においてできるだけ近づけて、レジスタ11の小型化を図ることができる。
【0066】
(9)また、ベゼル26は、上下方向において互いに対向する位置に配置される一対の傾斜面26F,26Gを有する。一対の傾斜面26F,26Gの各々は、送風方向32の上流側から下流側に向かうに従って外側に傾斜している。一対の傾斜面26F,26Gの各々における上流側の端部27は、第1~第3フィン25A~25Cの左フィン軸73A~73Cの位置よりも上流側に配置される。これにより、空調空気を吹き出す開口20Aを、フィンの回転軸よりも上流側で広げることができる。空調空気を拡散させる方向に第1~第3フィン25A~25Cを向けた場合に、第1~第3フィン25A~25Cに沿って流れる空調空気を傾斜面26F,26Gに沿って流し拡散させることができる。
【0067】
(10)また、第1~第3フィン25A~25Cは、ニュートラル状態、上向き状態、下向き状態の何れかの状態を組み合わせた送風パターンPT1~PT7の中から、第1~第3ギア21B,21Cの回転位置に応じて異なる送風パターンPT1~PT7の向きとなる。そして、第1~第3フィン25A~25Cは、ギアが1回転することで元の送風パターンPT1の向きに戻る。このような構成では、第1ギア21Aを時計回り又は半時計回りに回転させ、任意の送風パターンPT1~PT7の向きにフィンを向けることができる。また、フィンを、特定の送風パターン、例えば、ニュートラル状態の送風パターンPT1に戻す制御が容易となる。
【0068】
(11)また、第1~第3フィン25A~25Cは、ギアが所定の回転角度(45度又は60度、図20参照)だけ回転するごとに、異なる送風パターンPT1~PT7の向きとなる。これにより、送風パターンPT1~PT7をモータ12で切り替える場合、あるいは乗員が手動で切り替える場合に、決まった角度で切り替えることができるため、送風パターンPT1~PT7の切り替えが容易となる。また、送風パターンPT1~PT7の迅速な切り替えが可能となる。
【0069】
(12)また、制御装置13は、タッチパネル17により送風パターンPT1~PT7の選択を受け付け(送風パターンを取得し)、選択された送風パターンPT1~PT7に応じてモータ12の回転を制御し、選択された送風パターンPT1の向きに第1~第3フィン25A~25Cの向きを変更する。これにより、多種多様な方向に向きを変更可能なレジスタ11に対し、送風パターンPT1~PT7を選択するだけで、第1~第3フィン25A~25Cを所望の向きに変更することができる。
【0070】
(第2実施例)
次に、図26を参照し、第2実施例のレジスタ111について説明する。上記した第1実施例では、本開示の複数のフィンとして、3つのフィン(第1~第3フィン25A~25C)を備える構成を採用したが、これに限らない。例えば、図26に示す第3実施例のレジスタ111のように、第1~第3フィン25A~25Cに加え、第4フィン25D、第5フィン25Eを設け、合計で5つのフィンを設けても良い。尚、図26は、ベゼル26の図示を省略している。また、以下の説明では、上記した第1実施例と同様の部材については同一符号を付し、その説明を適宜省略する。第4フィン25Dは、例えば、第2フィン25Bと同一構造をなしている。第2フィン25Bの連結軸75Bと、第4フィン25Dの連結軸75Dとは、フィン用リンク部材91を介して互いに連結されている。フィン用リンク部材91は、例えば、ニュートラル状態において上下方向に延びる板状の部材であり、両端の各々に連結軸75B,75Dをそれぞれ挿入する貫通孔が形成されている。フィン用リンク部材91は、例えば、左右方向において、第2リンク部材23Bとロッド74Bの間に配置されている。これにより、第4フィン25Dは、第2フィン25Bと連動して同一方向へ回転する。
【0071】
同様に、第5フィン25Eは、例えば、第3フィン25Cと同一構造をなしている。第3フィン25Cの連結軸75Cと、第5フィン25Eの連結軸75Eとは、フィン用リンク部材92を介して互いに連結されている。これにより、第5フィン25Eは、第3フィン25Cと連動して同一方向へ回転する。このような構成のレジスタ111では、第1~第3ギア21A~21Cの回転にともなって5つのフィンを多種多様な方向へ回転させることができる。例えば、送風パターンPT2であれば、第1~第5フィン25A~25Eの全てを上向き状態にできる。また、送風パターンPT3であれば、第1フィン25A、第2フィン25B、第4フィン25Dを上向き状態、第3フィン25C、第5フィン25Eをニュートラル状態にできる。
【0072】
(第3実施例)
次に、第3実施例のレジスタ211について説明する。上記実施例では、第1~第3フィン25A~25Cの前後方向に他のフィンが配置されていなかった。これに対し、図27に示す第3実施例のレジスタ211のように、例えば、第1~第3フィン25A~25Cの前方(下流側)に、複数の前フィン95を設けても良い。図27は、レジスタ211の一部断面図を示しており、複数の前フィン95のうち、1つの前フィン95のみを図示している。尚、前フィン95は、1つでも良い。
【0073】
複数の前フィン95は、上下方向と平行な回転軸96を中心に回転する。複数の前フィン95は、左右方向に延びるリンク部材97によって互いに連結されており、任意の前フィン95が回転することで他の前フィン95も連動して回転する。これにより、送風方向32を左右方向に変更することができる。このような前フィン95の後方に、第1実施例の第1~第3フィン25A~25Cを配置しても良い。あるいは、上下方向に延びる前フィン95の前に、第1~第3フィン25A~25Cを配置しても良い。
【0074】
尚、本願は、上述した各実施例に限定されるものではなく、本願の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、第1実施例のレジスタ11の構成、部材数、各部材の形状等は、一例である。例えば、ギア、スライド部材、リンク部材、フィンの組み合わせを、2組としても良く、4組以上にしても良い。
また、カム溝47A~47Cのうち、1つのカム溝だけを他のカム溝と異なる形状にしても良い。即ち、複数のフィンを設けた場合に、2以上のフィンを同じように回転させても良い。
第1~第3フィン25A~25Cのフィン軸(左フィン軸73A~73C及び右フィン軸72A~72C)を左右方向に沿って設けたが、上下方向などの他の方向に沿った方向に設けても良い。即ち、本開示のフィンは、水平フィンに限らず、垂直フィン等でも良い。
第1~第3リンク部材23A~23Cの全てが、同じ側(下方)へ傾斜した状態で配置されていたが、これに限らない。例えば、少なくとも1つリンク部材を、ニュートラル状態において、後方から前方に向かうに従って上方に45度だけ傾斜した構成としても良い。従って、ロッド74A~74Cについても、後方から前方に向かうに従って下方に45度だけ傾斜した構成としても良い。
また、ガイド部52A~52Cは、連続した棒形状でなくとも良く、前後方向において分割された複数の部材でも良い。あるいは、ガイド部52A~52Cは、左側壁33を凹設した溝でも良い。また、ガイド部52A~52Cは、上下に一対設けられる構成に限らず、第1~第3スライド部材22A~22Cの上だけや下だけに設けられる構成でも良い。
また、凸部57A~57Cを、1つのスライド部材に対して複数設けても良い。
また、リテーナ20は、ガイド部52A~52C及び凸部57A~57Cの少なくとも一方を備えなくとも良い。
第1スライド部材22Aの長さ61を、第2及び第3スライド部材22B,22Cの長さ61より短くしても良い。第1~第3スライド部材22A~22Cの長さ61を互いに異なる長さにしても良い。
【0075】
レジスタ装置10は、ベゼル26を備えなくとも良い。
ベゼル26は、傾斜面26F,26Gを有しなくとも良い。
送風パターンPT1~PT7の数は、7個に限らず、他の複数個でも良い。
レジスタ装置10は、モータ12、制御装置13、エンコーダ15等の駆動装置を備えなくとも良い。
上記実施例では、レジスタ装置10及びレジスタ11を適用するシステムとして、車両用の空調システムに採用したが、これに限らない。例えば、レジスタ装置10やレジスタ11を建物やエアコンの空調システム、他の乗り物の空調システムに適用しても良い。
【符号の説明】
【0076】
10 レジスタ装置、11,111,211 レジスタ、12 モータ、13 制御装置、20 リテーナ、20A 開口、21A~21C 第1~第3ギア、22A~22C 第1~第3スライド部材(スライド部材)、23A~23C 第1~第3リンク部材(リンク部材)、25A~25C 第1~第3フィン(フィン)、26 ベゼル、32 送風方向、36A~36C 第1~第3軸部(ギア軸)、47A~47C カム溝、52A~52C ガイド部、57A~57C 凸部、58A~58C スリット、59A~59C 第1連結部、60A~60C第2連結部、61 長さ、73A~73C 左フィン軸(フィン軸)、74A~74C ロッド、PT1~PT7 送風パターン。
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