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特開2024-67335原稿読取システム及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067335
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】原稿読取システム及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
H04N1/00 350
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177323
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸藤 好恭
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC61
(57)【要約】
【課題】白紙判定結果をユーザに確認させるための改善された仕組みを提供すること。
【解決手段】複数頁にわたる原稿を読取って、複数の読取画像を生成する読取手段と、前記複数の読取画像の各々が白紙であるかを判定する判定手段と、表示手段における前記複数の読取画像の表示を制御する表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記表示手段の画面上の第1表示領域に、前記複数の読取画像のうち前記判定手段により白紙であると判定された1つ以上の白紙候補画像のみを表示させる、原稿読取システムが提供される。対応するコンピュータプログラムもまた提供される。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数頁にわたる原稿を読取って、複数の読取画像を生成する読取手段と、
前記複数の読取画像の各々が白紙であるかを判定する判定手段と、
表示手段における前記複数の読取画像の表示を制御する表示制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記表示手段の画面上の第1表示領域に、前記複数の読取画像のうち前記判定手段により白紙であると判定された1つ以上の白紙候補画像のみを表示させる、
原稿読取システム。
【請求項2】
前記表示制御手段は、
ユーザにより第1表示モードが選択された場合に、前記1つ以上の白紙候補画像のみを表示するための前記第1表示領域を前記画面上に表示させ、
前記ユーザにより前記第1表示モードと異なる第2表示モードが選択された場合に、前記複数の読取画像のうち前記判定手段により白紙であると判定されなかった1つ以上の非白紙候補画像を表示するための第2表示領域を前記画面上に表示させる、
請求項1に記載の原稿読取システム。
【請求項3】
前記表示制御手段は、
前記第1表示領域に前記1つ以上の白紙候補画像のみを表示させ、
前記画面上で前記第1表示領域と並列的に配置される第2表示領域に、前記複数の読取画像のうち前記判定手段により白紙であると判定されなかった1つ以上の非白紙候補画像を表示させる、
請求項1に記載の原稿読取システム。
【請求項4】
前記判定手段は、各読取画像の全体又は部分領域に含まれる非背景画素の個数を閾値と比較することにより、各読取画像が白紙であるかを判定し、
前記表示制御手段は、前記第1表示領域に表示された白紙候補画像内の非背景画素を含む部分を拡大して表示させる、
請求項1に記載の原稿読取システム。
【請求項5】
前記第1表示領域において、前記1つ以上の白紙候補画像は、所定の順序で配置され、
前記表示制御手段は、前記第1表示領域における前記1つ以上の白紙候補画像の表示を時間の経過と共に自動的に遷移させる、
請求項1に記載の原稿読取システム。
【請求項6】
前記判定手段は、前記第1表示領域に表示された白紙候補画像の非白紙候補画像への変更を指示するユーザ入力が前記画面上で検出された場合に、当該変更を指示された白紙候補画像は白紙ではないと再判定する、請求項1に記載の原稿読取システム。
【請求項7】
前記判定手段は、
前記第1表示領域に表示された白紙候補画像を前記第2表示領域へ移動させるように操作する第1ユーザ入力が前記画面上で検出された場合に、操作された当該白紙候補画像は白紙ではないと再判定し、
前記第2表示領域に表示された非白紙候補画像を前記第1表示領域へ移動させるように操作する第2ユーザ入力が前記画面上で検出された場合に、操作された当該非白紙候補画像は白紙であると再判定する、
請求項3に記載の原稿読取システム。
【請求項8】
前記原稿読取システムは、
前記複数の読取画像のうち前記判定手段により白紙ではないと判定され又は再判定された画像のみを含む読取画像データを出力するデータ出力手段、
をさらに含む、請求項1に記載の原稿読取システム。
【請求項9】
前記原稿読取システムは、
前記読取手段を備える原稿読取装置と、
前記表示手段を備える情報処理装置と、
を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の原稿読取システム。
【請求項10】
前記原稿読取システムは、
前記読取手段、前記判定手段、前記表示手段及び前記表示制御手段を備える原稿読取装置、
を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の原稿読取システム。
【請求項11】
ディスプレイにおける画像の表示を制御する制御装置の処理回路に、
複数頁にわたる原稿を読取って複数の読取画像を生成した読取装置から、前記複数の読取画像を取得することと、
前記複数の読取画像の各々が白紙であるかについての判定の結果を取得することと、
前記ディスプレイの画面上の第1表示領域に、前記複数の読取画像のうち白紙であると判定された1つ以上の白紙候補画像のみを表示させることと、
を行わせるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、原稿読取システム及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数頁にわたる文書は、文章又はその他の内容の配置を調整するために、白紙頁を含んでいることがある。白紙頁は、完全に空白であるとは限らず、頁番号又は章見出しのような、文書の内容を構成しない文字又は記号を有するかもしれない。こうした文書をデジタルスキャナで読取ると、一連の読取画像の中に、白紙頁の画像である白紙画像が含まれることになる。従来、読取画像データのサイズの削減、又は読取画像を印刷する場合のシート消費量の削減といった目的で、読取画像データに白紙画像が含まれるかを自動的に判定して白紙画像を除去する技術が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1は、読取画像を部分領域ごとに解析して輝度の平均値及び分散、並びにエッジ数といった統計情報を導出し、その統計情報に基づいて読取画像が白紙であるかを判定する技術を開示している。特許文献2は、複数頁にわたる文書の読取画像に対する白紙判定の結果のプレビューを表示する際に、白紙であると判定された読取画像の表示位置を他の読取画像の表示位置からずらした形で、一連の読取画像を順に表示する技術を開示している。特許文献2は、白紙判定結果のプレビュー表示において、誤った判定がなされた読取画像の表示位置を動かす操作が行われた場合に、白紙判定結果を訂正することも開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-215775号公報
【特許文献2】特開2015-5958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2により提案されたプレビュー表示では、一連の読取画像が読取られた順に並べられる。そのため、ユーザは、白紙であると判定された全ての読取画像を確認しようとすると、プレビュー表示をスクロールさせる操作を繰り返し行わなければならない。とりわけ、文書を構成する頁数が多い場合には、ユーザに掛かる操作の負担は無視できないものとなり、白紙判定結果の妥当性を判断しようとするユーザの注意力を低下させることにもつながる。
【0006】
本開示は、こうした事情に鑑み、白紙判定結果をユーザに確認させるための改善された仕組みを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある観点によれば、複数頁にわたる原稿を読取って、複数の読取画像を生成する読取手段と、前記複数の読取画像の各々が白紙であるかを判定する判定手段と、表示手段における前記複数の読取画像の表示を制御する表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記表示手段の画面上の第1表示領域に、前記複数の読取画像のうち前記判定手段により白紙であると判定された1つ以上の白紙候補画像のみを表示させる、原稿読取システムが提供される。対応するコンピュータプログラムもまた提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る技術によれば、白紙判定結果をユーザに確認させるための改善された仕組みが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る原稿読取システムの概略的な構成の一例を示す模式図。
図2】一実施形態に係る原稿読取装置のハードウェア構成の一例を示す概略断面図。
図3】一実施形態に係る原稿読取装置の機能面の構成の一例を示すブロック図。
図4】一実施形態に係る原稿読取装置のユーザインタフェースの構成の一例を示す正面図。
図5】一実施形態に係るユーザ端末の構成の一例を示すブロック図。
図6】一実施形態に係るスキャン設定画面の構成の一例を示す模式図。
図7】一実施形態に係る読取制御処理の流れの一例を示すフローチャート。
図8】一実施形態に係る白紙判定処理の詳細な流れの一例を示すフローチャート。
図9】プレビュー画面の構成の一例について説明するための第1の説明図。
図10】プレビュー画面の構成の一例について説明するための第2の説明図。
図11】プレビュー画面の構成の一例について説明するための第3の説明図。
図12】プレビュー画面の構成の一例について説明するための第4の説明図。
図13】書字方向と白紙判定との関係について説明するための第1の説明図。
図14】書字方向と白紙判定との関係について説明するための第2の説明図。
図15】一変形例に係る白紙判定処理の詳細な流れの一例を示すフローチャート。
図16】一変形例に係る白紙検証処理の詳細な流れの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<1.システムの概要>
図1は、一実施形態に係る原稿読取システム1の概略的な構成の一例を示す模式図である。図1を参照すると、原稿読取システム1は、原稿読取装置100及びユーザ端末200を含む。原稿読取装置100は、原稿を読取って読取画像を生成する機能を有する装置である。本実施形態では、原稿読取装置100がデジタルスキャナである例を主に説明する。但し、本開示に係る技術は、デジタルスキャナだけでなく、コピー機、ファクシミリ及びデジタル複合機といった任意の種類の原稿読取装置を含むシステムに広く適用可能である。
【0012】
原稿読取装置100は、任意の原稿を読取可能であってよいが、本実施形態では、とりわけ、原稿が複数頁にわたるケースに焦点を当てる。典型的には、複数頁にわたる原稿は、複数のシートからなる。複数のシートは、例えば、雑誌若しくは辞典といった製本された書物をバラしたものであってもよく、電子的な文書を印刷したものであってもよい。なお、本開示に係る技術は、1枚のシートの両面の2頁のみが読取られるケースにも適用可能である。
【0013】
ユーザ端末200は、例えばPC(Personal Computer)又はスマートフォンといった汎用的な情報処理装置であってよい。ユーザ端末200は、通信リンクを介して原稿読取装置100へ接続される。原稿読取装置100とユーザ端末200との間の通信リンクは、例えばUSB(Universal Serial Bus)又はSCSI(Small Computer System Interface)といった有線接続用の規格に準拠する有線リンクであってもよい。代替的に、原稿読取装置100とユーザ端末200との間の通信リンクは、例えばWi-Fi又はBluetooth(登録商標)といった無線接続用の規格に準拠する無線リンクであってもよい。
【0014】
<2.原稿読取装置の構成>
<2-1.ハードウェア構成例>
図2は、原稿読取装置100のハードウェア構成の一例を示す概略断面図である。原稿読取装置100の載置台2には、原稿を構成するシートの束が載置される。載置台2に配設されるシートセンサ60は、載置台2に少なくとも1枚のシートSが載置されていることを検知する。以下の説明において、載置台2に面する(図中で下側へ向けられる)シートSの面を表(おもて)面、表面とは反対側の面を裏面という。
【0015】
原稿読取装置100は、シートSを搬送する搬送手段として、搬送路RTの上流から下流への順に、第1搬送部10、第2搬送部20及び第3搬送部30を備える。第1搬送部10は、搬送路RTを挟んで対向して配設される送りローラ11及び分離ローラ12のペアを含む。送りローラ11は、伝達部5を介して駆動部3へ接続される。駆動部3は、例えばモータであってよく、送りローラ11及び分離ローラ12を回転駆動させるための駆動力を発生させる。伝達部5は、例えば電磁クラッチであってよく、駆動部3からの駆動力を送りローラ11へ伝達し又は駆動力の伝達を遮断する。送りローラ11は、駆動部3からの駆動力を受けて、図中で反時計回り(実線矢印で示した方向)に回転する。分離ローラ12は、揺動可能に構成され、一定の圧力で送りローラ11へ向けて付勢される。分離ローラ12は、駆動部3からの駆動力を分離ローラ12へ伝達するトルクリミッタ12aを有する。駆動部3からの駆動力は、分離ローラ12に、図中で反時計回り(実線矢印で示した方向)に回転するためのトルクを与える。但し、トルクリミッタ12aは、分離ローラ12のトルクをある上限値を超えないように規制する。
【0016】
分離ローラ12は、搬送中のシートSが存在せず送りローラ11に当接している場合には、トルクが規制されているために送りローラ11の回転に連動して図中で時計回り(破線矢印で示した方向)に回転する。シートSの搬送が開始されると、伝達部5が駆動力を送りローラ11へ伝達することで、送りローラ11が回転して、シートSを載置台2から搬送路RTへ向けて(順方向D1へ)給送する。すると、分離ローラ12は、シートSを介して間接的に送りローラ11に圧接することになり、反時計回りに回転することで、残りのシートを下流へ搬送しないようにせき止める。それにより、シートSがシート束から1枚ずつ分離され、シートSが搬送路RTに沿って搬送されることになる。
【0017】
シートSの搬送中に異常が発生した場合には、伝達部5が駆動力を遮断することで、送りローラ11は自由回転可能な状態となる。すると、分離ローラ12が逆回転して、途中まで搬送されたシートSが逆方向へ戻されて載置台2へ排出される。
【0018】
このように、本実施形態において、第1搬送部10は、シートSを搬送する搬送手段のみならず、シートSを搬送路RTへ給送する給送手段、あるいはシート束からシートSを分離する分離手段としても機能する。なお、シートSを逆方向へ戻す機能が必要ではない場合には、原稿読取装置100の構成から伝達部5が省略されてもよい。また、シート束からシートSを分離するために、分離ローラ12の代わりに、回転することなく送りローラ11へ向けて付勢される分離パッドが採用されてもよい。
【0019】
第2搬送部20は、第1搬送部10の下流で、搬送路RTを挟んで対向して配設される駆動ローラ21及び従動ローラ22のペアを含む。駆動ローラ21は、駆動部4へ接続される。駆動部4は、例えばモータであってよく、駆動ローラ21(及び後述する駆動ローラ31)を回転駆動させるための駆動力を発生させる。駆動ローラ21は、駆動部4からの駆動力を受けて、図中で反時計回り(実線矢印で示した方向)に回転し、第1搬送部10から搬送されて来るシートSをさらに下流へ搬送する。従動ローラ22は、一定の圧力で駆動ローラ21へ向けて付勢され、駆動ローラ21の回転に連動して図中で時計回りに回転する。
【0020】
第3搬送部30は、第2搬送部20の下流で、搬送路RTを挟んで対向して配設される駆動ローラ31及び従動ローラ32のペアを含む。駆動ローラ31は、駆動部4からの駆動力を受けて、図中で反時計回り(実線矢印で示した方向)に回転し、第2搬送部20から搬送されて来るシートSをさらに搬送して、排出トレイ9へ排出する。従動ローラ32は、一定の圧力で駆動ローラ31へ向けて付勢され、駆動ローラ31の回転に連動して図中で時計回りに回転する。即ち、本実施形態において、第3搬送部30は、シートSを搬送する搬送手段のみならず、シートSを排出する排出手段としても機能する。
【0021】
本実施形態において、第1搬送部10、第2搬送部20及び第3搬送部30がシートSを搬送する搬送速度(及び対応するローラの回転速度)は、互いに等しくてよい。代替的に、第2搬送部20及び第3搬送部30の搬送速度は、第1搬送部10の搬送速度よりも速くてもよい、それにより、先行するシートSに後続するシートSが追いついてしまう事態を回避することができる。
【0022】
重送センサ40は、第1搬送部10と第2搬送部20との間に配設されるエラー検知手段である。重送センサ40は、静電気等が原因となって2枚以上のシートが重なって搬送されるエラー(即ち、重送)を検知する。本実施形態において、重送センサ40は、搬送路RTへ向けて一定の強度で超音波を発信する発信部41、及び発信部41に対向して配設される受信部42を含む。超音波はシートを通過する際に減衰することから、受信部42により受信される超音波の強度を測定することで、搬送路RTに沿って搬送されているシートの枚数を判定することができる。
【0023】
シートセンサ50は、重送センサ40と第2搬送部20との間に配設されるシート検知手段である。シートセンサ50は、第1搬送部10を通過したシートSの先端及び後端を検知する。本実施形態において、シートセンサ50は、光学センサ(例えば、フォトインタラプタ)であり、搬送路RTへ向けて光を射出する発光部51、及び発光部51に対向して配設される受光部52を含む。シートSがシートセンサ50の検知位置を通過している間、発光部51と受光部52との間の光路がシートSにより遮蔽される。そのため、受光部52による光の受光状態の変化に基づいて、シートセンサ50の検知位置にシートSの先端及び後端が到達したタイミングをそれぞれ検知することができる。
【0024】
シートセンサ50の配設位置は、重送センサ40の下流側の近傍である。したがって、シートセンサ50がシートSの先端を検知したタイミングで重送センサ40に超音波の強度(又は減衰率)を測定させることで、同時に搬送されているシートの枚数を重送センサ40を用いて判定することが可能である。
【0025】
シートセンサ55は、第2搬送部20と読取ユニット70との間に配設されるシート検知手段である。シートセンサ55は、第2搬送部20を通過したシートSの先端及び後端を検知する。本実施形態において、シートセンサ55は、光学センサであり、搬送路RTへ向けて光を射出する発光部56、及び発光部56に対向して配設される受光部57を含む。なお、シートセンサ50及び55の各々は、光学センサには限定されず、例えばイメージセンサ、又は搬送路RTに突出したレバーへのシートSの接触を検知する機械式のセンサであってもよい。
【0026】
読取ユニット70は、シートセンサ55の下流側に配設される読取手段である。本実施形態において、読取ユニット70は、第1読取部71及び第2読取部72を含む。第1読取部71は、搬送路RT上の読取位置を通過するシートSの表面に光を照射する光源、表面からの反射光を電気信号へ変換するイメージセンサ、及び光を誘導するレンズアレイを含み得る。第1読取部71は、イメージセンサにより生成されるシートSの表面の読取画像データを、コントローラ8へ出力する。第2読取部72は、搬送路RT上の読取位置を通過するシートSの裏面に光を照射する光源、裏面からの反射光を電気信号へ変換するイメージセンサ、及び光を誘導するレンズアレイを含み得る。第2読取部72は、イメージセンサにより生成されるシートSの裏面の読取画像データを、コントローラ8へ出力する。搬送路RT上の第1読取部71の(表面用の)読取位置及び第2読取部72の(裏面用の)読取位置は一致していてもズレていてもよい。コントローラ8は、原稿読取装置100の動作の全般を制御する。コントローラ8の詳細な構成について後に説明する。
【0027】
原稿読取装置100の筐体は、開閉可能な保護部材としてのカバー90を備える。例えば、原稿読取装置100においてシートのジャムが発生した場合には、ユーザは、カバー90を開け、ジャムを引き起こしたシートを取り除くことができる。カバーセンサ95は、カバー90の開閉状態を監視するカバー検知手段である。カバーセンサ95は、例えば光学センサ又は機械式のセンサなど、任意の種類のセンサであってよい。
【0028】
<2-2.機能面の構成例>
図3は、原稿読取装置100の機能面の構成の一例を示すブロック図である。図3を参照すると、原稿読取装置100は、コントローラ8、接続インタフェース83、センサ群84、アクチュエータ群85、通信インタフェース86、操作インタフェース92、及びディスプレイ93を備える。
【0029】
コントローラ8は、処理回路81及び記憶部82を含む。処理回路81は、例えば、1つ以上のCPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ、又はマイクロコントローラを含んでよい。記憶部82は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)及びその他の不揮発性メモリを含んでよい。記憶部82は、原稿読取装置100の各部を制御するためのコンピュータプログラム、及び関連するデータを記憶する。処理回路81は、記憶部82に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、原稿読取装置100における原稿の読取りを制御し、読取画像についての後述する様々な処理を遂行する。とりわけ、本実施形態において、処理回路81は、読取制御部110、白紙判定部120及びデータ出力部130として機能する。これら機能モジュールの詳細について後に説明する。
【0030】
接続インタフェース83は、コントローラ8とセンサ群84及びアクチュエータ群85との間の接続を仲介するインタフェースである。センサ群84は、上述した重送センサ40、シートセンサ50、55、60、読取ユニット70のイメージセンサ、カバーセンサ95、及びその他のセンサを含み得る。アクチュエータ群85は、上述した駆動部3、4のモータ、伝達部5の電磁クラッチ、及びその他のアクチュエータを含み得る。センサ群84の各センサは、接続インタフェース83を介してセンサ信号をコントローラ8の処理回路81へ出力する。処理回路81は、接続インタフェース83を介してアクチュエータ群85の各アクチュエータへ制御信号を出力する。
【0031】
通信インタフェース86は、原稿読取装置100が他の装置と通信するための通信手段である。通信インタフェース86は、有線インタフェースであってもよく又は無線インタフェースであってもよい。例えば、通信インタフェース86は、ユーザ端末200との上述した通信リンクを確立し、ユーザ端末200との間で通信信号を送受信する。通信インタフェース86は、例えばインターネット又はLAN(Local Area Network)のような外部ネットワークへ接続してもよい。操作インタフェース92は、ユーザからの指示又は情報入力を受け付けるための入力手段である。操作インタフェース92は、例えば、タッチセンサ、キーパッド、ボタン、スイッチ及びマイクロフォンのうちの1つ以上を含んでよい。ディスプレイ93は、画像及び情報を表示可能な表示手段である。操作インタフェース92のタッチセンサとディスプレイ93は、タッチパネルとして一体的に提供されてもよい。
【0032】
図3には示していないものの、原稿読取装置100は、各部に電力を供給するための電力供給回路をも備える。原稿読取装置100は、外部電源(例えば、商用電源)から電力の供給を受けてもよい。また、原稿読取装置100は、充電可能なバッテリを備えていてもよい。
【0033】
図4は、原稿読取装置100の概略的な正面図であり、原稿読取装置100のユーザインタフェースの構成の一例を示している。図4に示したように、カバー90の上面に操作パネル91が配設される。操作パネル91は、ボタン92a、92b、92c及びディスプレイ93を有する。ボタン92a、92b、92cは、操作インタフェース92の一部である。例えば、ボタン92a及び92bは、それぞれスタートキー及びストップキーであってよい。ボタン92cは、電源ボタンであってよい。ディスプレイ93は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)又はOLED(Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイであってよい。
【0034】
<3.ユーザ端末の構成>
図5は、ユーザ端末200の構成の一例を示すブロック図である。図5を参照すると、ユーザ端末200は、CPU210、メモリ220、ストレージ230、通信インタフェース250、操作インタフェース260、及びディスプレイ270を備える。
【0035】
CPU210は、ユーザ端末200の動作の全般を制御するプロセッサである。メモリ220は、RAM及びROMを含んでよく、CPU210により実行される制御プログラムを記憶する。ストレージ230は、例えばHDD(Hard Disk Drive)であってよい。ストレージ230は、ユーザ端末200が原稿読取装置100の機能を利用するために必要とされるいくつかのコンピュータプログラムを記憶する。本実施形態において、ストレージ230に記憶されるプログラムは、オペレーティングシステム(OS)231、スキャナドライバ232、ジョブアプリケーション(AP)233、及び汎用AP234のためのプログラムを含み得る。OS231は、ユーザ端末200のハードウェアの管理及びファイルシステムの管理といった、ユーザ端末200の動作のための基本的な機能を提供する。スキャナドライバ232は、ユーザ端末200と原稿読取装置100との間の通信(例えば、読取ジョブの送信及び読取結果の受信)を制御する。ジョブAP233は、スキャナドライバ232と連携し、原稿読取装置100により実行される読取ジョブに関連するユーザインタフェースをユーザに提供する。例えば、本実施形態において、CPU210は、ジョブAP233を実行することにより、読取画像の表示を制御する表示制御部211として機能する。この機能モジュールの詳細について後に説明する。汎用AP234は、ユーザ端末200において利用される任意のアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ、イメージビューワ又は文書エディタなど)であってよい。
【0036】
通信インタフェース250は、ユーザ端末200が他の装置と通信するための通信手段である。通信インタフェース250は、有線インタフェースであってもよく又は無線インタフェースであってもよい。操作インタフェース260は、ユーザからの指示又は情報入力を受け付けるための入力手段である。操作インタフェース260は、例えば、タッチセンサ、キーボード、ポインティングデバイス、ボタン、スイッチ及びマイクロフォンのうちの1つ以上を含んでよい。ディスプレイ270は、画像及び情報を表示可能な表示手段である。操作インタフェース260のタッチセンサとディスプレイ270は、タッチパネルとして一体的に提供されてもよい。
【0037】
<4.各機能の詳細>
<4-1.読取ジョブの実行制御>
ユーザは、原稿の読取りを開始する際に、1つ以上のシートからなる原稿を原稿読取装置100の載置台2に載置し、ボタン92cを操作して原稿読取装置100の電源を投入する。また、ユーザは、例えばユーザ端末200において、ジョブAP233を呼び出す。すると、ユーザ端末200のディスプレイ270に、図6に例示したような設定画面300が表示され得る。
【0038】
図6を参照すると、設定画面300は、カラーモード設定欄301、サイズ設定欄302、面設定欄303、白紙除去設定欄304、及び実行ボタン305を含む。カラーモード設定欄301において、ユーザは、カラーモードとして、例えばカラー、グレースケール又はモノクロを選択する。サイズ設定欄302において、ユーザは、載置台2に載置した原稿に適合するサイズを選択する。面設定欄303において、ユーザは、片面の読取り又は両面の読取りを選択する。白紙除去設定欄304において、ユーザは、白紙除去機能を有効化するか又は無効化するかを選択する。ユーザは、これら設定欄において読取ジョブを適切に設定した後、実行ボタン305を操作する。すると、ジョブAP233からスキャナドライバ232を介して原稿読取装置100へ、選択されたジョブパラメータの値を含む読取ジョブが送信される。
【0039】
読取ジョブが受付けられると、原稿読取装置100の各アクチュエータは、読取制御部110による制御の下で、載置台2に載置された原稿を構成する各シートを搬送路RTに沿って搬送する。読取ユニット70は、ユーザにより設定されたジョブパラメータに従って、各シートの片面又は両面を読取って読取画像を生成する。読取制御部110は、各シートの搬送及び読取りのタイミングを、センサ群84から入力されるセンサ信号に基づいて制御する。読取りの終了したシートは、順に排出トレイ9へ排出される。白紙除去機能が有効化された読取ジョブについては、白紙判定部120により、読取画像の各々が白紙であるかを判定するための白紙判定処理が実行され得る。この白紙判定処理について、後に詳しく説明する。
【0040】
なお、設定画面300は、ユーザからの呼び出しに応じて表示される代わりに、原稿読取装置100とユーザ端末200との間の通信リンクの確立に応じて自動的に表示されてもよい。また、設定画面300のようなグラフィカルユーザインタフェースの代わりに、コマンドラインインタフェースを介して読取ジョブの設定値が選択され、読取ジョブが発行されてもよい。また、ユーザ端末200のディスプレイ270ではなく原稿読取装置100のディスプレイ93に設定画面300に類似する画面が表示されてもよい。
【0041】
図7は、本実施形態において原稿読取装置100により実行され得る読取制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下の説明において、処理ステップを'S'と略記する。
【0042】
まず、S101で、原稿読取装置100の読取制御部110は、ユーザ端末200から通信インタフェース86を介して(又は操作インタフェース92を介して)、読取ジョブを受付ける。次いで、S102で、読取制御部110は、シートセンサ60からのセンサ信号に基づいて、載置台2に原稿(1枚以上のシートの束)が載置されているかを判定する。載置台2に原稿が載置されていないと判定される場合には、処理はS103へ進む。一方、載置台2に原稿が載置されていると判定される場合には、処理はS104へ進む。
【0043】
S103で、読取制御部110は、載置台2に原稿が載置されていないことを、例えばユーザ端末200のディスプレイ270(又は原稿読取装置100のディスプレイ93)にエラーメッセージを表示させることにより、ユーザに通知する。そして、図7の読取制御処理は終了する。
【0044】
S104で、読取制御部110は、原稿を構成するシートを1枚ずつ搬送するように第1搬送部10、第2搬送部20及び第3搬送部30を駆動させると共に、読取ユニット70に読取りを実行させ、読取画像を生成させる。S105で、生成された読取画像は、記憶部82に保存される。ここで保存される読取画像のファイル名には、読取られた順番を表す文字列(例えば、各ジョブにおける連続番号、複数のジョブにわたる連続番号、又は読取時刻など)が付与され得る。次いで、S106で、読取制御部110は、シートセンサ60からのセンサ信号に基づいて、未処理のシートが載置台2に残されているかを判定する。未処理のシートが残されている場合、処理はS104へ戻り、次のシートについて上述したS104~S106が繰り返される。未処理のシートが残されていない場合、処理はS107へ進む。
【0045】
その後の処理は、S104~S106の繰り返しを通じて生成された読取画像について白紙除去を行うか否かに依存して、S107で分岐する。例えば、複数頁の原稿に対応する複数の読取画像が生成され、且つ当該ジョブについて白紙除去機能が有効化されている場合には、白紙除去を行うと判定され、処理はS110へ進む。一方、白紙除去を行わないと判定される場合には、処理はS133へ進む。
【0046】
S110で、白紙判定部120は、後述する白紙判定処理を実行して、読取画像の各々が白紙であるかを判定する。次いで、S131で、白紙判定部120は、白紙判定結果をユーザ端末200へ送信して、白紙判定結果を確認することをユーザに求める。白紙判定結果は、例えば、複数の読取画像の各々のプレビュー画像(又はサムネイル)と、各読取画像が白紙候補画像及び非白紙候補画像のうちのいずれであるかを示す判定結果情報とを含み得る。ここでの白紙候補画像は、S110で白紙であると判定された読取画像であり、非白紙候補画像は、S110で非白紙であると判定された読取画像である。ユーザ端末200において白紙判定結果をユーザに確認させるためのユーザインタフェースのいくつかの例について、後に詳しく説明する。次いで、S132で、白紙判定部120は、白紙判定結果に対するユーザによる確認の結果を受信する。例えば、白紙判定部120は、S110で白紙であると判定した白紙候補画像が実際には非白紙であるとユーザにより判断された場合には、当該白紙候補画像は非白紙画像であると再判定する。同様に、白紙判定部120は、S110で非白紙であると判定した非白紙候補画像が実際には白紙であるとユーザにより判断された場合には、当該非白紙候補画像は白紙画像であると再判定する。ユーザにより判定結果の変更が指示されなかった白紙候補画像及び非白紙候補画像は、それぞれ、そのまま白紙画像及び非白紙画像として確定する。
【0047】
S133で、データ出力部130は、1つ以上の読取画像を含む読取画像データを、所定の出力先へ出力する。例えば、読取画像データは、通信インタフェース86を介してユーザ端末200へ送信されてもよい。また、読取画像データは、原稿読取装置100の記憶部82の所定のフォルダに保存されてもよい。ここで出力される読取画像データは、白紙除去機能が有効化されていない場合には、S104で生成された全ての読取画像を含む。白紙除去機能が有効化されている場合、出力される読取画像データは、白紙画像であると確定した読取画像を含まない。
【0048】
<4-2.白紙判定>
本項では、白紙判定部120により実行される白紙判定処理について説明する。本実施形態において、白紙判定部120は、各読取画像の全体又は部分領域に含まれる非背景画素の個数をカウントし、カウントした個数を閾値と比較することにより各読取画像が白紙であるかを判定する。ここでの非背景画素は、例えば、原稿の背景色が白色である場合には、所定の基準値を下回る輝度値を有する画素であってよい。原稿の背景色が有色である場合には、非背景画素は、色空間における背景色からの距離(例えば、色差)が所定の基準値を上回る色を示す画素であってもよい。非背景画素の個数と比較される閾値は、予め決定されていてもよく、又は読取画像のサイズに依存して可変的に設定されてもよい。白紙判定部120は、各読取画像の余白に相当する部分を、非背景画素の個数をカウントする領域から除外してもよい。白紙判定部120は、カウントした非背景画素の個数が閾値以下である読取画像は白紙であると判定して、当該読取画像を白紙候補画像に分類する。また、白紙判定部120は、それ以外の読取画像を非白紙候補画像に分類する。
【0049】
図8は、本実施形態において白紙判定部120により実行され得る白紙判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。ここでは、原稿の読取りの結果として、M個(Mは2以上の整数)の読取画像が生成され、記憶部82に記憶されているものとする。また、それら読取画像の背景色は白色であるものとする。
【0050】
まず、S111で、白紙判定部120は、各読取画像を識別するためのインデックスiを1に初期化する。次いで、S112で、白紙判定部120は、記憶部82に記憶されているM個の読取画像のうちでファイル名の順にi番目の読取画像を読出し、i番目の読取画像において輝度が基準値よりも低い画素の個数Nbをカウントする。
【0051】
次いで、S113で、白紙判定部120は、S112でカウントした個数Nbが、白紙判定用の閾値Nthよりも大きいかを判定する。NbがNthよりも大きい場合には、S114で、白紙判定部120は、i番目の読取画像は非白紙であると判定する。一方、NbがNth以下である場合には、S115で、白紙判定部120は、i番目の読取画像は白紙であると判定する。
【0052】
次いで、S116で、白紙判定部120は、白紙判定を行うべき読取画像が残されているかを判定する。例えば、インデックスiが読取画像の個数Mに達していない場合(i<M)には、白紙判定部120は、S117でiをインクリメント(1を加算)し、S112へ戻って次の読取画像について上述した白紙判定を繰り返す。インデックスiが読取画像の個数Mに達した場合(i=M)には、図8の白紙判定処理は終了する。
【0053】
なお、読取画像が二値画像である場合には、非背景画素の個数Nbは、単純に黒色(又は非背景色)を示す画素の個数としてカウントされてよい。また、読取画像がカラー画像又はグレースケール画像である場合に、読取画像を二値画像へ変換した後に非背景色を示す画素の個数がカウントされてもよい。
【0054】
白紙判定部120は、非白紙であると判定した非白紙候補画像を記憶部82の非白紙用のフォルダへ移動し、白紙であると判定した白紙候補画像を記憶部82の白紙用のフォルダへ移動してもよい。
【0055】
なお、ここでは原稿読取装置100の処理回路81が白紙判定を行うものとして説明したが、原稿読取装置100から一連の読取画像を受信したユーザ端末200のCPU210が(例えば、ジョブAP233の一機能として)白紙判定を行ってもよい。
【0056】
<4-3.白紙判定結果の確認>
前項で説明した白紙判定処理において、非背景画素の個数と比較される閾値を適切に設定すれば、原稿の読取りの際にノイズの混入した読取画像、又は文書の内容を構成しない文字のみを含む読取画像を、完全に空白でなくとも白紙であると判定できる。しかし、あらゆるケースで読取画像を適切に白紙又は非白紙へ分類する閾値を設定することは現実的には困難であり、判定の誤りが生じる可能性をゼロにすることはできない。そこで、誤って白紙であると判定された読取画像がデータから除去されることを防ぐために、本実施形態では、白紙判定結果をユーザに提示して、その確認をユーザに求める仕組みを取入れる。
【0057】
具体的には、白紙判定部120は、上述した白紙判定処理の結果を、通信インタフェース250を介してユーザ端末200へ送信する。例えば、白紙判定部120は、各読取画像のプレビュー画像(又はサムネイル)と、各読取画像が白紙候補画像及び非白紙候補画像のうちのいずれであるかを示す判定結果情報とをユーザ端末200へ送信する。ユーザ端末200が白紙判定を行う場合には、この白紙判定結果の送信は省略されてよい。
【0058】
ユーザ端末200の表示制御部211は、ユーザが白紙判定結果を確認することを可能にするプレビュー画面を、ディスプレイ270に表示させる。とりわけ、本実施形態において、表示制御部211は、白紙候補画像について判定の誤りが無いかをユーザが確認する際のユーザ操作の負担を軽減するために、プレビュー画面上の第1表示領域に、一連の読取画像のうちの白紙候補画像のみを表示させる。
【0059】
ある実施例において、表示制御部211は、ユーザにより選択される表示モードに応じて異なる態様で、プレビュー画面に読取画像を表示させてもよい。例えば、第1表示モードは白紙候補のみを表示させるモードであり、第2表示モードは、非白紙候補のみを表示させるモードである。即ち、この場合、表示制御部211は、ユーザにより第1表示モードが選択された場合に、プレビュー画面上の第1表示領域に1つ以上の白紙候補画像のみを表示させる。また、表示制御部211は、ユーザにより第1表示モードと異なる第2表示モードが選択された場合に、プレビュー画面の表示を切替えて、第2表示領域に1つ以上の非白紙候補画像を表示させる。
【0060】
他の実施例において、表示制御部211は、プレビュー画面上の第1表示領域に1つ以上の白紙候補画像のみを表示させ、第1表示領域と並列的に配置される第2表示領域に1つ以上の非白紙候補画像を表示させてもよい。この場合、同じプレビュー画面上で、白紙候補画像及び非白紙候補画像が並列的に表示される。こうした並列表示を、上述した表示モードの切替えと組合せることも可能である。即ち、表示制御部211は、ユーザにより第3表示モードが選択された場合に、プレビュー画面上の第1及び第2表示領域に、それぞれ白紙候補画像のみ及び非白紙候補画像のみを表示させる。
【0061】
図9図12は、プレビュー画面の構成の一例について説明するための説明図である。図9を参照すると、ディスプレイ270に表示され得る一例としてのプレビュー画面400が示されている。プレビュー画面400は、第1表示領域410、第2表示領域420、モード選択欄431、出力設定欄432、OKボタン433及びキャンセルボタン434を含む。
【0062】
図9の例では、モード選択欄431において、並列表示(即ち、第3表示モード)がユーザにより選択されている。したがって、表示制御部211は、第1表示領域410に白紙候補画像(のプレビュー画像)を表示させると共に、第2表示領域420に非白紙候補画像(のプレビュー画像)を表示させている。非白紙候補画像の個数は多いことから、第2表示領域420はスクロール可能である。ユーザは、第1表示領域410に表示された白紙候補画像をそれぞれ目視することにより、白紙候補画像の中に本来非白紙へ分類されるべき画像が存在していないかを確認することができる。
【0063】
表示制御部211は、第1表示領域410に表示された白紙候補画像内の非背景画素を含む部分を拡大して表示することが可能であってもよい。図10は、そうした拡大表示の一例を示している。図10の例では、第1表示領域410に表示された白紙候補画像411がユーザにより選択されたことに応じて、プレビュー画面400の第2表示領域420が拡大表示領域440に置き換えられている。拡大表示領域440には、白紙候補画像411の全体を拡大した拡大画像441、及び白紙候補画像411内の非背景画素を含む部分をさらに拡大した拡大部分画像442が表示されている。ユーザは、こうした補助的な画像を詳しく調べることで、白紙候補画像411に現れている内容を読取画像データに含めるべきか否かを正確に判断することができる。ユーザが拡大表示領域440のクローズボタン443を操作すると、拡大表示領域440は閉じられ、第2表示領域420が再び表示され得る。なお、白紙候補画像のどの部分を拡大部分画像として拡大表示するかは、任意の基準で決定されてよい。例えば、白紙候補画像内のある部分領域において、非白紙候補であるという判定に関連する指標が所定の条件を満たす場合に、当該部分領域の画像が拡大表示の対象とされてもよい。ここでの指標は、例えば、非背景画素の個数、割合、又は有無であってもよい。非背景画素の個数がこの指標として利用される場合、上記所定の条件は、ある部分領域内の非背景画素の個数が上述した白紙判定用の閾値よりも低い所定の基準値を上回る、という条件であってもよい。当然ながら、1つの白紙候補画像の複数の部分がそれぞれ拡大表示されてもよい。また、第2表示領域420に表示された非白紙候補画像についても、同様の拡大表示が可能であってもよい。
【0064】
図11の例では、モード選択欄431において、白紙候補のみの表示(即ち、第1表示モード)がユーザにより選択されている。したがって、表示制御部211は、プレビュー画面400から第2表示領域420を消去し、第2表示領域420が占めていた部分にまで第1表示領域410を拡大させる。第1表示領域410は、白紙候補画像のみを表示するための領域であり得る。この第1表示モードでは、ユーザは、非白紙候補画像を確認することができない代わりに、より多くの白紙候補画像又はよりサイズの大きい白紙候補画像を一度に見渡して確認することができる。
【0065】
図には示していないものの、モード選択欄431において、非白紙候補のみの表示(即ち、第2表示モード)がユーザにより選択された場合には、表示制御部211は、プレビュー画面400において第1表示領域410の代わりに第2表示領域420を表示させる。第2表示領域420は、非白紙候補画像を表示するための領域であり得る。なお、第2表示モードでは、第2表示領域420に、1つ以上の非白紙候補画像のみが表示されてもよく、非白紙候補画像及び白紙候補画像の双方を含む全ての読取画像(のプレビュー画像)が表示されてもよい。
【0066】
図9図11に例示した第1表示領域410において、白紙候補画像は、所定の順序で配置される。その順序は、典型的には、原稿から読取られた順序であってよい。例えば、読取画像のファイル名に付与された連続番号又は読取時刻から、各読取画像の順番を判定することができる。全ての白紙候補画像を表示するために第1表示領域410のサイズが不足する場合には、表示制御部211は、第1表示領域410における白紙候補画像の表示を、時間の経過と共に自動的に遷移(例えば、連続的なスクロール、又は逐次的なフォーカスの移動)させてもよい。それにより、特別な操作をユーザに課すことなく、全ての白紙候補画像をユーザに確認させることができる。また、図9の例において、白紙候補画像及び非白紙候補画像のプレビュー画像は、プレビュー画面400の上下方向における各々の表示位置が連続番号又は読取時刻の順序に従うように(例えば、上から下へ連続番号の昇順となるように)、第1表示領域410及び第2表示領域420にそれぞれ配置されてもよい。このとき、i-1番目の読取画像が白紙候補画像、i番目の読取画像が非白紙候補画像、i+1番目の読取画像が白紙候補画像であれば、第1表示領域410において、i-1番目及びi+1番目の読取画像の間にi番目の読取画像の分の空白を空けることで、第1表示領域410及び第2表示領域420の双方を通じて上下方向の表示位置を連続番号又は読取時刻の順序に従わせることができる。第2表示領域420における非白紙候補画像の表示についても同様である。このような順序付けされた配置によって、原稿の中のどの頁の画像が白紙候補画像であるのかをユーザが一目瞭然で見分けることが可能となり、白紙判定結果を確認する作業の効率を向上させることができる。
【0067】
表示制御部211は、プレビュー画面400において、白紙判定結果を変更することをユーザが指示するためのユーザインタフェース(UI)を提供してもよい。例えば、図11の例では、ユーザにより選択された白紙候補画像415に関連付けられるポップアップメニュー451が、第1表示領域410に重畳されている。ポップアップメニュー451は、選択された白紙候補画像415の非白紙候補画像への変更を指示するためのUIである。ポップアップメニュー451の操作が検出されると、白紙候補画像415は、非白紙候補画像へ変更される。第2表示領域420に表示される非白紙候補画像についても、判定結果を白紙へ変更するための同様のUIが提供されてよい。なお、白紙判定結果の変更の指示を受付けるUIは、上述したポップアップメニューには限定されず、例えばプレビュー画面400に固定的に設置されるボタンであってもよい。
【0068】
図12は、白紙判定結果の変更の指示を受付けるUIの他の例を示している。図12の例では、図9の例と同様に、並列表示のための第3表示モードが選択されている。こうした並列表示において、第1表示領域410に表示された白紙候補画像を第2表示領域420へ移動させるように操作する第1ユーザ入力(例えば、ドラッグ&ドロップ)が、当該白紙候補画像の非白紙候補画像への変更を指示するものとして定義され得る。同様に、第2表示領域420に表示された非白紙候補画像を第1表示領域410へ移動させるように操作する第2ユーザ入力が、当該非白紙候補画像の白紙候補画像への変更を指示するものとして定義され得る。図12には、第1表示領域410に表示された白紙候補画像412を第2表示領域420へドラッグする操作D2が、矢印で概念的に示されている。プレビュー画面400上で操作D2が検出された場合、白紙候補画像412は白紙ではないと再判定されることになる。
【0069】
<4-4.読取画像データの出力>
ユーザは、出力設定欄432において出力設定を切替えることで、最終的に出力される読取画像データから白紙を除去するか又は全ての読取画像を出力するかを再設定することができる。出力設定欄432において「白紙を除去」が選択された状態で、ユーザがOKボタン433を操作すると、表示制御部211は、通信インタフェース250を介して原稿読取装置100へ、白紙判定結果に対するユーザによる確認の結果を送信する。ここで送信される確認結果は、例えば、非白紙への変更を指示された白紙候補画像及び白紙への変更を指示された非白紙候補画像を識別する情報(例えば、ファイル名のリスト)を含み得る。原稿読取装置100の白紙判定部120は、こうした確認結果の受信に応じて、非白紙への変更を指示された白紙候補画像は白紙ではないと再判定する。また、白紙判定部120は、白紙への変更を指示された非白紙候補画像は白紙であると再判定する。
【0070】
原稿読取装置100のデータ出力部130は、読取ジョブの結果として生成された1つ以上の読取画像を含む読取画像データを、所定の出力先へ出力する。とりわけ、本実施形態において、データ出力部130は、白紙除去機能の有効化が設定(又は再設定)されている場合、白紙判定部120により白紙ではないと判定され又は再判定された画像のみを含む読取画像データを生成し、生成した読取画像データを出力する。読取画像データは、外部装置へ送信されてもよく、又はストレージ(例えば、原稿読取装置100の記憶部82若しくはユーザ端末200のストレージ230)の所定のフォルダに保存されてもよい。この場合の白紙画像のデータは、削除されてもよく、読取画像データが保存されるフォルダとは異なるフォルダに退避されてもよく、又は非白紙画像と区別するための特殊な文字列を付加したファイル名を付与され保存されてもよい。白紙除去機能が無効化されている場合には、データ出力部130は、白紙判定結果に関わらず、全ての読取画像を含む読取画像データを所定の出力先へ出力する。
【0071】
<5.変形例(白紙判定の精緻化)>
前節では、読取画像に対する白紙判定結果をユーザが確認し、必要に応じて変更することを可能にする改善されたUIの構成例を説明した。上述したUIを用いることで、ユーザにとって必要であるはずの内容が読取画像データから欠落してしまう事態が回避される。しかし、当初の白紙判定の精度が低い場合には、数多くの読取画像についてユーザが判定結果の変更を繰り返さなければならないことになり、ユーザの負担が十分に軽減されたとは言えない。そこで、本節では、白紙判定の誤りを一層低減するための白紙判定処理の変形例について説明する。
【0072】
白紙判定処理の変形例において、白紙判定部120は、非背景画素の個数が閾値以下であるために白紙であると判定した読取画像について、判定の誤りを訂正するために、さらなる検証処理を行う。その検証処理において、白紙判定部120は、対象の読取画像に先行する先行頁の読取画像について光学文字認識を実行し、その実行結果に基づいて先行頁の書字方向を判定する。ここでの先行頁は、読取りの順序において対象の読取画像の直前の頁であってよく、直前の頁が白紙であると判定された場合にはさらに前の頁であってもよい。また、書字方向の判定のために複数の先行頁が参照されてもよい。
【0073】
書字方向は、典型的には、横書き及び縦書きのいずれかである。光学文字認識の結果に基づく書字方向の判定は、例えば特開2009-194715号公報に記載されているような、隣接する文字同士の間隔に基づく方法で行われてよい。具体的には、ある読取画像について光学文字認識を実行した結果、横方向に隣接する文字同士の間隔の代表値(例えば、平均値又は中央値など)がLx、縦方向に隣接する文字同士の間隔の代表値がLyであると計測されたものとする。このとき、Lx>Lyである場合には書字方向は縦書きであると判定され、Lx<Lyである場合には書字方向は横書きであると判定され得る。
【0074】
白紙判定部120は、先行頁について判定した書字方向が、対象の読取画像の頁にも当てはまると推定する。さらに、白紙判定部120は、書字方向が横書きであると推定される読取画像については読取画像の左上部分領域、書字方向が縦書きであると推定される読取画像については読取画像の右上部分領域を、検証領域として設定する。そして、白紙判定部120は、読取画像の検証領域について光学文字認識を実行し、検証領域内で文字が検出された場合には、対象の読取画像の判定結果を白紙から非白紙へ訂正する。
【0075】
図13及び図14は、書字方向と白紙判定との関係について説明するための説明図である。図13では、先行頁について書字方向は横書きであると判定されたものとする。図13(A)には一例としての白紙候補画像411が示されている。書字方向は横書きであることから、白紙候補画像411には、当該画像の左上の4分の1を占める検証領域501が設定される。検証領域501について光学文字認識を実行すると、文字は検出されない。したがって、白紙判定部120は、白紙候補画像411は白紙であるという判定結果を維持する。一方、図13(B)には一例としての白紙候補画像412が示されている。書字方向は横書きであることから、白紙候補画像412には、当該画像の左上の4分の1を占める検証領域502が設定される。検証領域502について光学文字認識を実行すると、文字「ABC」が検出される。したがって、白紙判定部120は、白紙候補画像412についての判定結果を、白紙から非白紙へ訂正する。
【0076】
図14では、先行頁について書字方向は縦書きであると判定されたものとする。図14(A)には一例としての白紙候補画像511が示されている。書字方向は縦書きであることから、白紙候補画像511には、当該画像の右上の4分の1を占める検証領域503が設定される。検証領域503について光学文字認識を実行すると、文字は検出されない。したがって、白紙判定部120は、白紙候補画像511は白紙であるという判定結果を維持する。一方、図14(B)には一例としての白紙候補画像512が示されている。書字方向は縦書きであることから、白紙候補画像512には、当該画像の右上の4分の1を占める検証領域504が設定される。検証領域504について光学文字認識を実行すると、文字「です。」が検出される。したがって、白紙判定部120は、白紙候補画像512についての判定結果を、白紙から非白紙へ訂正する。
【0077】
図13及び図14では、対象の読取画像の左上又は右上の4分の1を占める部分領域を検証領域として設定する例を説明したが、検証領域を設定するやり方はかかる例には限定されない。検証領域は、対象の読取画像のより狭い面積又はより広い面積を占めてもよい。例えば、対象の読取画像を横方向に2個、縦方向に3個として計6個の部分領域へ分割し、そのうち左上の部分領域(横書きの場合)又は右上の部分領域(縦書きの場合)が検証領域として設定されてもよい。また、例えば先行頁についての文字認識結果に基づいて、文書の内容を構成しないヘッダ領域又はフッタ領域を推定できる場合には、検証領域からヘッダ領域又はフッタ領域が除外されてもよい。
【0078】
図15は、本変形例において白紙判定部120により実行され得る白紙判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。図15の白紙判定処理は、図7を用いて説明した読取制御処理の中のS110で実行され得る。ここでは、原稿の読取りの結果として、M個(Mは2以上の整数)の読取画像が生成され、記憶部82に記憶されているものとする。また、それら読取画像の背景色は白色であるものとする。
【0079】
図15のS211~S214は図8のS111~S114と同様の処理ステップであってよいため、これら処理ステップの説明を省略する。
【0080】
S215で、白紙判定部120は、S212でカウントした個数NbがNth以下であるため、i番目の読取画像は白紙であると暫定的に判定する。その後の処理は、S216で、インデックスiが1より大きい(即ち、先行頁が存在する)か否かに依存して分岐する。インデックスiが1より大きい場合、S220で、白紙判定部120は、白紙検証処理を実行して、i番目の読取画像の判定結果を非白紙へ訂正すべきかを判定する。インデックスiが初期値である1に等しい場合、S220の白紙検証処理はスキップされ、i番目の読取画像が白紙であるという判定結果が維持される。
【0081】
その後のS241及びS242は図8のS116及びS117と同様の処理ステップであってよいため、これら処理ステップの説明を省略する。
【0082】
図16は、図15のS220で実行され得る白紙検証処理の詳細な流れの一例を示すフローチャートである。
【0083】
図16を参照すると、まず、S221で、白紙判定部120は、i番目の読取画像に先行する先行頁の(例えば、i-1番目の)読取画像について、光学文字認識を実行する。次いで、S222で、白紙判定部120は、文字認識結果に基づいて(例えば、縦方向及び横方向にそれぞれ隣接する文字同士の間隔に基づいて)、i番目の読取画像の書字方向を推定する。その後の処理は、S222における推定の結果に依存して分岐する。例えば、先行頁において文字が検出されず、又は文字同士の間隔が異常値であるなどの理由で、書字方向が不明である場合(S223-YES)、i番目の読取画像について判定結果は訂正されることなく、図16の白紙検証処理は終了する。推定された書字方向が縦書きである場合(S223-NO、S224-YES)、処理はS225へ進む。一方、推定された書字方向が横書きである場合(S223-NO、S224-NO)、処理はS228へ進む。
【0084】
S225で、白紙判定部120は、書字方向が縦書きであると推定されたため、i番目の読取画像の右上部分領域について光学文字認識を実行する。次いで、S226で、白紙判定部120は、光学文字認識の結果として右上部分領域内に文字が検出されたかを判定する。右上部分領域内に文字が検出された場合、S227で、白紙判定部120は、i番目の読取画像について判定結果を白紙から非白紙へ訂正する。そして、図16の白紙検証処理は終了する。
【0085】
S228で、白紙判定部120は、書字方向が横書きであると推定されたため、i番目の読取画像の左上部分領域について光学文字認識を実行する。次いで、S229で、白紙判定部120は、光学文字認識の結果として左上部分領域内に文字が検出されたかを判定する。左上部分領域内に文字が検出された場合、S230で、白紙判定部120は、i番目の読取画像について判定結果を白紙から非白紙へ訂正する。そして、図16の白紙検証処理は終了する。
【0086】
本変形例のように、対象の読取画像について推定される書字方向に対応する部分領域における文字の有無を調べることで、白紙判定の精度を改善して、白紙判定結果を確認し及び必要に応じて変更するユーザの負担を軽減することができる。
【0087】
なお、本節では、対象の読取画像の先行頁についての文字認識結果に基づいて対象の読取画像の書字方向を推定する例を説明したが、対象の読取画像の後続頁についての文字認識結果に基づいて対象の読取画像の書字方向が推定されてもよい。また、隣接する文字同士の間隔の代わりに、文字列に付された強調線(例えば、横書きの場合の下線又は縦書きの場合の右線)の方向を判定することにより、先行頁又は後続頁の書字方向が判定されてもよい。また、推定される書字方向に対応する部分領域における文字の有無の代わりに、推定される書字方向に対応する部分領域における非背景画素の個数(又は他の指標)を閾値と比較することにより、白紙判定結果が訂正されてもよい。この場合に非背景画素の個数と比較される閾値の部分領域の総画素数に対する割合は、誤って白紙候補であると判定された画像が非白紙候補へ訂正される蓋然性を高めるために、当初の白紙判定における画像全体の総画素数に対する閾値の割合よりも低く設定されてもよい。
【0088】
<6.まとめ>
ここまで、図1図16を用いて様々な実施形態、実施例及び変形例を説明した。上述した実施形態によれば、複数頁にわたる原稿を読取ることで生成された複数の読取画像の各々が白紙であるかについての判定の結果をディスプレイに表示させる際に、白紙であると判定された1つ以上の白紙候補画像のみが画面上の第1表示領域に表示される。したがって、原稿を構成する頁数が多い場合であっても、必要な内容の欠落を防ぐために白紙判定結果を画面上で確認するユーザに掛かる操作の負担を、有意に軽減することができる。また、操作の負担の軽減によって、白紙判定結果を確認する際のユーザの注意力の低下が回避され得ることから、白紙判定の誤りをユーザが見逃すリスクが縮小する。このようにして、白紙判定結果をユーザに確認させるための改善された仕組みが提供される。
【0089】
また、ある実施例によれば、ユーザにより第1表示モードが選択された場合に、白紙候補画像のみを表示するための第1表示領域が画面上に表示され得る。また、第1表示モードと異なる第2表示モードが選択された場合に、非白紙候補画像を表示するための第2表示領域が画面上に表示され得る。このような表示モードの切替えを通じて、ユーザは、白紙画像を誤って非白紙であると判定した誤判定、及び非白紙画像を誤って白紙であると判定した誤判定を、画面上で効率よく見つけ出すことができる。
【0090】
また、ある実施例によれば、第1表示領域に1つ以上の白紙候補画像のみが表示される一方で、第1表示領域と異なる第2表示領域に並列的に非白紙候補画像が表示され得る。このような並列表示を提供することで、ユーザは、白紙候補画像の集合と非白紙候補画像の集合とを対比して、誤判定を効率よく見つけ出すことができる。この実施例において、第1表示領域に表示された白紙候補画像を第2表示領域へ移動させるように操作する第1ユーザ入力が検出された場合に、操作された当該白紙候補画像は白紙ではないと再判定され得る。また、第2表示領域に表示された非白紙候補画像を第1表示領域へ移動させるように操作する第2ユーザ入力が検出された場合に、操作された当該非白紙候補画像は白紙であると再判定され得る。白紙判定結果を変更するためのユーザ入力をこうした直感的な操作として定義することで、ユーザの操作負担を一層軽減して、白紙判定結果を訂正するユーザの作業を最適化することができる。
【0091】
なお、本明細書では、白紙判定結果を確認し及び変更するためのUIがユーザ端末200により提供される例を主に説明したが、同様のUIが原稿読取装置100の操作インタフェース92及びディスプレイ93により提供されてもよい。即ち、白紙判定結果を確認し及び変更するための上述した仕組みが、原稿読取装置100により単独で提供されてもよい。その場合、原稿読取装置100は、原稿を読取る読取手段に加えて、各読取画像が白紙であるかを判定する判定手段、表示手段、及び、当該表示手段における白紙判定結果の表示を制御する表示制御手段を備える。
【0092】
<7.その他の実施形態>
本明細書の開示は、少なくとも以下の原稿読取システム及びコンピュータプログラムを含む。
(項目1)
複数頁にわたる原稿を読取って、複数の読取画像を生成する読取手段と、
前記複数の読取画像の各々が白紙であるかを判定する判定手段と、
表示手段における前記複数の読取画像の表示を制御する表示制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記表示手段の画面上の第1表示領域に、前記複数の読取画像のうち前記判定手段により白紙であると判定された1つ以上の白紙候補画像のみを表示させる、
原稿読取システム。
(項目2)
前記表示制御手段は、
ユーザにより第1表示モードが選択された場合に、前記1つ以上の白紙候補画像のみを表示するための前記第1表示領域を前記画面上に表示させ、
前記ユーザにより前記第1表示モードと異なる第2表示モードが選択された場合に、前記複数の読取画像のうち前記判定手段により白紙であると判定されなかった1つ以上の非白紙候補画像を表示するための第2表示領域を前記画面上に表示させる、
項目1に記載の原稿読取システム。
(項目3)
前記表示制御手段は、
前記第1表示領域に前記1つ以上の白紙候補画像のみを表示させ、
前記画面上で前記第1表示領域と並列的に配置される第2表示領域に、前記複数の読取画像のうち前記判定手段により白紙であると判定されなかった1つ以上の非白紙候補画像を表示させる、
項目1に記載の原稿読取システム。
(項目4)
前記判定手段は、各読取画像の全体又は部分領域に含まれる非背景画素の個数を閾値と比較することにより、各読取画像が白紙であるかを判定し、
前記表示制御手段は、前記第1表示領域に表示された白紙候補画像内の非背景画素を含む部分を拡大して表示させる、
項目1~3のいずれか1項に記載の原稿読取システム。
(項目5)
前記第1表示領域において、前記1つ以上の白紙候補画像は、所定の順序で配置され、
前記表示制御手段は、前記第1表示領域における前記1つ以上の白紙候補画像の表示を時間の経過と共に自動的に遷移させる、
項目1~4のいずれか1項に記載の原稿読取システム。
(項目6)
前記判定手段は、前記第1表示領域に表示された白紙候補画像の非白紙候補画像への変更を指示するユーザ入力が前記画面上で検出された場合に、当該変更を指示された白紙候補画像は白紙ではないと再判定する、項目1~5のいずれか1項に記載の原稿読取システム。
(項目7)
前記判定手段は、
前記第1表示領域に表示された白紙候補画像を前記第2表示領域へ移動させるように操作する第1ユーザ入力が前記画面上で検出された場合に、操作された当該白紙候補画像は白紙ではないと再判定し、
前記第2表示領域に表示された非白紙候補画像を前記第1表示領域へ移動させるように操作する第2ユーザ入力が前記画面上で検出された場合に、操作された当該非白紙候補画像は白紙であると再判定する、
項目3に記載の原稿読取システム。
(項目8)
前記原稿読取システムは、
前記複数の読取画像のうち前記判定手段により白紙ではないと判定され又は再判定された画像のみを含む読取画像データを出力するデータ出力手段、
をさらに含む、項目1~7のいずれか1項に記載の原稿読取システム。
(項目9)
前記原稿読取システムは、
前記読取手段を備える原稿読取装置と、
前記表示手段を備える情報処理装置と、
を含む、項目1~8のいずれか1項に記載の原稿読取システム。
(項目10)
前記原稿読取システムは、
前記読取手段、前記判定手段、前記表示手段及び前記表示制御手段を備える原稿読取装置、
を含む、項目1~8のいずれか1項に記載の原稿読取システム。
(項目11)
ディスプレイにおける画像の表示を制御する制御装置の処理回路に、
複数頁にわたる原稿を読取って複数の読取画像を生成した読取装置から、前記複数の読取画像を取得することと、
前記複数の読取画像の各々が白紙であるかについての判定の結果を取得することと、
前記ディスプレイの画面上の第1表示領域に、前記複数の読取画像のうち白紙であると判定された1つ以上の白紙候補画像のみを表示させることと、
を行わせるためのコンピュータプログラム。
【0093】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0094】
1:原稿読取システム、70:読取手段(読取ユニット)、81:処理回路、82:記憶部、86:通信手段(通信インタフェース)、93:表示手段(ディスプレイ)、100:原稿読取装置、120:判定手段(白紙判定部)、130:データ出力手段(データ出力部)、200:情報処理装置(ユーザ端末)、211:表示制御手段(表示制御部)、270:表示手段(ディスプレイ)、400:プレビュー画面、410:第1表示領域、420:第2表示領域、431:モード選択欄、432:出力設定欄、411,412,415,511,512:白紙候補画像、501,502,503,504:検証領域、S:シート
図1
図2
図3
図4
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図11
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