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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067344
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/60 20180101AFI20240510BHJP
   F21S 43/20 20180101ALI20240510BHJP
   H05B 3/20 20060101ALI20240510BHJP
   F21W 103/40 20180101ALN20240510BHJP
【FI】
F21S45/60
F21S43/20
H05B3/20 327Z
F21W103:40
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177344
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110004060
【氏名又は名称】弁理士法人あお葉国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077986
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100139745
【弁理士】
【氏名又は名称】丹波 真也
(74)【代理人】
【識別番号】100168088
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100187182
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 由希
(74)【代理人】
【識別番号】100207642
【弁理士】
【氏名又は名称】簾内 里子
(72)【発明者】
【氏名】山本 大悟
【テーマコード(参考)】
3K034
【Fターム(参考)】
3K034AA02
3K034AA15
3K034AA22
3K034DA05
3K034HA09
(57)【要約】
【課題】サーミスタの設置構造が簡素で融雪機能の高いフィルムヒータを有する車両用灯具に関する。
【解決手段】ランプボディ9と共に内側に灯室を形成するアウターレンズ8と、温度検出用のサーミスタ22、通電に基づいて発熱する発熱回路25を有する融雪用のフィルムヒータ17及びサーミスタ22の温度検出結果に基づいて発熱回路25への通電制御を行う制御基板を有する融雪機構7と、を備えた車両用灯具1において、サーミスタ22は、フィルムヒータ17の発熱回路25に実装され、サーミスタ22を実装したフィルムヒータ17が、灯室S内でアウターレンズ8の内側8aに貼り付けられるようにした。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプボディと共に内側に灯室を形成するアウターレンズと、
温度検出用のサーミスタ、通電に基づいて発熱する発熱回路を有する融雪用のフィルムヒータ及び前記サーミスタの温度検出結果に基づいて発熱回路への通電制御を行う制御基板を有する融雪機構と、
を備えた車両用灯具において、
前記サーミスタは、前記フィルムヒータの発熱回路に実装され、
前記サーミスタを実装した前記フィルムヒータが、前記灯室内で前記アウターレンズの内側に貼り付けられたことを特徴とする、車両用灯具。
【請求項2】
前記発熱回路は、
前記アウターレンズの意匠領域に設けられた発熱銅箔と、
前記発熱銅箔よりも大きな断面積を有し、発熱銅箔に電気的に接続され、前記アウターレンズの非意匠領域に設けられた給電銅箔と、
発熱銅箔と同一の断面積を有し、前記アウターレンズの非意匠領域に設けられ、前記給電銅箔を介して前記発熱銅箔に電気的に接続された発熱検査用銅箔と、を有し、
前記サーミスタは、
前記アウターレンズの非意匠領域において、前記発熱検査用銅箔の近傍に設けられたことを特徴とする、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記制御基板が、
サーミスタによって検出された灯室外温度に基づいて発熱銅箔への給電を開始し、
前記サーミスタによって検出された発熱検査用銅箔の温度に基づいて発熱銅箔への給電を停止することを特徴とする、請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
車両用灯具が、リヤコンビネーションランプであり、
前記フィルムヒータが、前記リヤコンビネーションランプを一体に構成する複数のランプユニットのうち、リヤフォグランプに設けられたことを特徴とする、請求項1から3のうちいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記制御基板は、前記ランプボディに設けられ、汎用コネクタを有し、前記汎用コネクタに接続された汎用コネクタケーブルを介して複数の前記ランプユニットのいずれかに接続されることを特徴とする、請求項4に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
融雪機能が高く簡素なフィルムヒータを設けた車両用灯具に関する技術。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の[0022]及び図1から図3には、車両のフロントグリル内に設けたサーミスタによって検出された車室内温度に基づき、車両用灯具のカバーを暖めるフィルムヒータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-104594号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のフィルムヒータは、[0025]及び図3に示すようにサーミスタを車両のフロントグリルの内側に設けているために、コンデンサ及びラジエーターの発熱によって正確な外気温の測定に支障をきたさないための遮熱部材が必要になる。また、特許文献1のサーミスタは、図1に示すようにフィルムヒータのヒータ駆動回路から独立した専用の比較回路を必要とする。特許文献1のフィルムヒータは、サーミスタの設置構造の複雑化及び部品点数の増加、即ちフロントグリルへの設置構造及び遮熱構造が必要になることと、専用の比較回路が必要になることにより、製造コストが増加する点で問題となる。
【0005】
本願は、上記課題に鑑みて、サーミスタの設置構造が簡素で融雪機能の高いフィルムヒータを有する車両用灯具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ランプボディと共に内側に灯室を形成するアウターレンズと、温度検出用のサーミスタ、通電に基づいて発熱する発熱回路を有する融雪用のフィルムヒータ及び前記サーミスタの温度検出結果に基づいて発熱回路への通電制御を行う制御基板を有する融雪機構と、を備えた車両用灯具において、前記サーミスタは、前記フィルムヒータの発熱回路に実装され、前記サーミスタを実装した前記フィルムヒータが、前記灯室内で前記アウターレンズの内側に貼り付けられた。
【0007】
(作用)サーミスタが、灯室内に設けられることによってラジエーターの熱から遮熱される。また、サーミスタは、フィルムヒータを密着させたアウターレンズを介して灯室外温度を検出する。発熱回路は、サーミスタの通電回路として機能する。
【0008】
また、車両用灯具において、前記発熱回路は、前記アウターレンズの意匠領域に設けられた発熱銅箔と、前記発熱銅箔よりも大きな断面積を有し、発熱銅箔に電気的に接続され、前記アウターレンズの非意匠領域に設けられた給電銅箔と、
発熱銅箔と同一の断面積を有し、前記アウターレンズの非意匠領域に設けられ、前記給電銅箔を介して前記発熱銅箔に電気的に接続された発熱検査用銅箔と、を有し、前記サーミスタは、前記アウターレンズの非意匠領域において、前記発熱検査用銅箔の近傍に設けられたことが望ましい。
【0009】
(作用)発熱検査用銅箔は、給電銅箔を介して発熱銅箔から離間したアウターレンズの非意匠領域に設置され、かつ発熱銅箔と同一温度の熱を発生する。サーミスタは、非意匠領域に設置され、発熱検査用銅箔の温度を検出する。
【0010】
また、車両用灯具において、前記制御基板が、サーミスタによって検出された灯室外温度に基づいて発熱銅箔への給電を開始し、前記サーミスタによって検出された発熱検査用銅箔の温度に基づいて発熱銅箔への給電を停止することを特徴とすることが望ましい。
【0011】
(作用)制御基板が、融雪を必要と想定される灯室外温度の検出に基づいて発熱銅箔に給電し、発熱用銅箔の温度が上限に達した場合に給電を停止する。
【0012】
また、車両用灯具は、リヤコンビネーションランプであり、前記フィルムヒータが、前記リヤコンビネーションランプを一体に構成する複数のランプユニットのうち、リヤフォグランプに設けられたことが望ましい。
【0013】
(作用)他のランプユニットよりも専有面積が狭く、輝度の高いリヤフォグランプを少ない消費電力で融雪する。
【0014】
また、車両用灯具において、前記制御基板は、ランプボディに設けられ、汎用コネクタを有し、前記汎用コネクタに接続された汎用コネクタケーブルを介して複数の前記ランプユニットのいずれかに接続されることが望ましい。
【0015】
(作用)複数のランプユニットのうち任意のいずれかに接続されることで、接続された車両用灯具のON/OFFに連動した電力供給がなされる。
【発明の効果】
【0016】
車両用灯具によれば、フィルムヒータとアウターレンズの密着により、サーミスタは、灯室外温度を正確に検出出来る。また、サーミスタをアウターレンズの内側に設置することで、遮熱構造が不要となることと、サーミスタ専用の通電回路が必要無くなることで、サーミスタの設置構造が簡素で融雪機能の高いフィルムヒータを備えることが出来る。
【0017】
また、車両用灯具によれば、非意匠領域に設置されたサーミスタは、灯室外温度に加え、外部から視認されること無く発熱銅箔の温度も検出することが出来る。
【0018】
また、車両用灯具によれば、フィルムヒータによる融雪時の発熱が自動的に開始され、発熱がアウターレンズに悪影響を与える温度に達する前に発熱を停止出来る。
【0019】
また、車両用灯具によれば、輝度の高いリヤフォグランプを融雪することで、消費電力を節約しつつ見栄えの良さを実現出来る。
【0020】
また、車両用灯具によれば、融雪制御を任意のランプユニットに連動出来ることで、融雪制御の自在性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本願発明の好適な実施形態に係る車両用灯具を含む車両後部の正面図。
図2図1のリヤフォグランプの水平断面図。
図3図2のフィルムヒータを矢視A方向に見た図
図4】(a)図3のI-I断面図。(b)図3のII-II断面図。
図5】車両用灯具の融雪機構を含むブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の車両用灯具の好適な実施形態を図1から図5に基づいて説明する。各図においては、車両用灯具の各方向を(前方:後方:左方向:右方向:上方向:下方向=Fr:Re:Le:Ri:Up:Lo)として説明する。
【0023】
図1は、後述する融雪機構を含む車両用灯具を搭載した車両100の右後部を表したものである。図1は、車両100に左右一対で設けられる右後方のリヤコンビネーションランプ1(以降は、単にRCLとして説明する。左のRCLは図示せず)を示す。リヤコンビネーションランプ1は、多数のランプユニットを一体化したランプユニット群であって、リヤウインドウ101の右下方に設置されている。リヤコンビネーションランプ1は、リヤフォグランプ2,テール&ストップランプ3、ターンシグナルランプ4及びバックランプ5の4つのランプユニットを含む。本実施形態においては、一例としてリヤフォグランプ2に融雪機構7を設ける。
【0024】
図2は、ランプユニットの1つであるリヤフォグランプ2の水平断面図である。リヤフォグランプ2は、アウターレンズ8と、ランプボディ9を備える。アウターレンズ8とランプボディ9は、リヤコンビネーションランプ1の他のランプユニットであるテール&ストップランプ3、ターンシグナルランプ4及びバックランプ5にも共用され、内側に共通する灯室Sを形成する。灯室S内は、灯具毎に仕切られることで上記4つのランプユニットが構成される。図1に示すアウターレンズ8は、透明または半透明の樹脂等で形成されたリヤフォグランプ2の意匠領域2a及び透光性を持たない非意匠領域2bを備え、透明または半透明の樹脂等で形成されたテール&ストップランプ3の意匠領域3a及び透光性を持たない非意匠領域3bを備える。また、アウターレンズ8は、透明または半透明の樹脂等で形成されたターンシグナルランプの意匠領域4a及びバックランプ5の意匠領域5aをそれぞれ備える。透光性を有する意匠領域4a、5aは、透光性を持たない非意匠領域6によって仕切られている。また、アウターレンズのその他の領域は、透光性を持たない非意匠部10によって形成される。
【0025】
図2に示す、リヤフォグランプ2の灯室Sの内側には、複数の支持部11を解してランプボディ9に固定された階段形状の光源ブラケット12が設けられている。光源ブラケット12の格段の後面12aには、5つの発光素子光源(LED等)13が、意匠領域2aに対向するようにそれぞれ設けられている。尚、本実施形態の発光素子光源の数は、一例であるため単数で複数でも良く、5つに限られない。アウターレンズ8において、リヤフォグランプ2の意匠領域2aの内面2c及び非意匠領域2bの内面2dには、フィルムヒータ17が設けられる。また、ランプボディ9の内面9aには、非意匠領域2bの内側において、フィルムヒータ17と後述するサーミスタ22を制御する制御基板16が設けられている。
【0026】
図3によって、フィルムヒータ17を説明する。図3は、フィルムヒータ17を図2の矢視A方向に見た図である。フィルムヒータ17は、発熱領域18と、給電領域19によって構成される。発熱領域18には、発熱銅箔20が設けられ、給電領域19には、給電銅箔21、サーミスタ22,ランド23,24が設けられる。発熱銅箔20は、太さ数十ミクロンの細い銅線であって、発熱用の銅箔パターンを発熱領域18に形成する。給電銅箔21は、発熱銅箔20の両端に電気的に接続される第1銅箔パターン21aと、サーミスタ22に両端を電気的に接続される第2銅箔パターン21bによって構成される。第1銅箔パターン21aは、太さ外径百数十ミクロンを有する銅線であって、発熱銅箔20よりも太く大きな断面積を有し、ランド23のプラス端子23a、23bにそれぞれ電気的に接続される。第2銅箔パターン21bは、第1銅箔パターン21aと同じ太さと断面積を有する銅線であって、ランド24のプラス端子24a、24bにそれぞれ電気的に接続される。
【0027】
尚、図3に示すように、サーミスタ22の周囲には、サーミスタを取り囲むように発熱検査用銅箔26を設けることが望ましい。発熱検査用銅箔26は、発熱銅箔20と同一の太さ及び断面積を有し、かつ給電銅箔21の第1銅箔パターン21aに電気的に接続される。
【0028】
図4(a)及び図4(b)により、フィルムヒータ17の積層構造を説明する。図4(a)は、発熱領域18におけるI-I断面図であり、図4(b)は、給電領域19におけるII-II断面図である。発熱領域18及び給電領域19を有するフィルムヒータ17は、銅箔層17a、接着層17b、可撓性を有するPET(POLY ETHYLENE TEREPHTHALATE:登録商標)等で形成された高分子フィルム層17c、絶縁素材であるポリイミド等で形成された表面保護層17d及びOCA(Optical Clear Adhesive=光学透明粘着)シート等で形成された光学透明粘着シート層17eによって構成される。銅箔層17aは、発熱領域18において発熱銅箔20によって構成され、また給電領域19において給電銅箔21及び発熱検査用銅箔26によって構成される。接着層17b、高分子フィルム層17c、表面保護層17d及び光学透明粘着シート層17eは、いずれも透光性を有する。また、給電銅箔21は、車両100の後方から見て人が極めて視認しにくい細さに形成されるため、他の層の透光性を阻害しない。
【0029】
図4(a)及び(b)に示すように銅箔層17aは、接着層17bを解して高分子フィルム層17cの表面17c1に搭載される。銅箔層17aの表面は、表面保護層17dによって覆われ外部から絶縁される。高分子フィルム層17cは、裏面に設けられた光学透明粘着シート17eを解し、リヤフォグランプ2におけるアウターレンズ8の一部である意匠領域2aの裏面1c及び非意匠領域2bの内面2dに貼り付けられる。
【0030】
図2に示すようにフィルムヒータ17は、発熱領域18をリヤフォグランプ2におけるアウターレンズ8の一部である意匠領域2aの内面2cに貼り付けられ、給電領域19を意匠領域2aの内面2cから露出させないように非意匠領域2bの内面2dに貼り付けられる。5つの発光素子光源13による光は、銅箔層17a(給電銅箔21)に透光性を阻害されることなくフィルムヒータ17を透光し、更にアウターレンズ8の意匠領域2aから前方に出射する。降雪時にランド23及び第1銅箔パターン21aを介して給電されると、発熱銅箔20が発熱し、意匠領域2aに付着した雪を溶かす。図2に示す制御基板16,フィルムヒータ17及びサーミスタ22は、融雪機構7を構成し、図3に示す発熱銅箔20,給電銅箔21、ランド23,24は、発熱回路25を構成する。
【0031】
図3に示す給電銅箔21は、発熱銅箔20に比べて人に視認されやすい太さに形成されているが、透光性を有さない非意匠領域2bの内側に配置されているため、車両100の後方から視認されることもなく、発光素子光源13の出射光を阻害することもない。示すサーミスタ22は、ランド24及び第2導電パターン22aから給電されることにより、アウターレンズ8を介して外気温を検出する。尚、発熱回路25における給電銅箔21に実装されるサーミスタ22は、図4(a)の2点鎖線部分に示すように仮に発熱領域18において発熱銅箔20の近傍に実装(別途銅箔層17aに配線した第2導電パターン21bに低温半田27を介して電気的に接続させる。第2銅箔パターン21aは、2つの発熱銅箔20の間に配置する)すれば、発熱時における発熱銅箔の温度も検出することが出来る。
【0032】
しかし、フィルムヒータ17及びアウターレンズ8の意匠領域2aは、共に透光性を有するため、サーミスタ22を発熱領域18に設置すると、サーミスタ22が車両100の後方から視認されて見栄えを悪くする。それを避けるため、サーミスタ22は、図4(b)に示す本実施形態のように、非意匠領域2bの内側に配置される給電領域19に実装することがより望ましい。その場合、サーミスタ22が発熱銅箔18から離間することで発熱銅箔18の温度を直接測定することが出来なくなる。本実施形態においては、図3及び図4(b)に示すように、低温半田27を介してサーミスタ22を第2導電パターン21bに電気的に接続させ、更に裏面側から見てサーミスタ22を取り囲むように、銅箔層17aにおいて第2導電パターン21bの周囲に発熱検査用銅箔26を設けている。発熱検査用銅箔26は、通電された発熱銅箔20と同時に同様の発熱をするため、サーミスタ22は、非意匠領域2bの内側に配置された状態であっても、発熱検査用銅箔を介して発熱銅箔18の温度を検出することが出来る。
【0033】
次に、図5により、本実施形態における融雪機構7を有する車両用灯具の具体的構成を説明する。融雪機構7は、上述したとおり、制御基板16、フィルムヒータ17及びサーミスタ22を有し、制御基板16は、図3のランド23、24及び給電銅箔21を介して発熱銅箔20とサーミスタ22に独立して接続される。具体的には、制御基板16は、制御回路30及び給電基板31を有する。制御回路30は、給電基板31を介してフィルムヒータ17のランド23,24に接続される。制御回路30は、ECUや制御回路の集合等から温度検出部32、ヒータ制御部33、点灯制御部34及び給電判断部35を備えるように構成される。
【0034】
図5に示す温度検出部32は、給電基板31、ランド24及び第2銅箔パターン21bを介してサーミスタ22にへの通電制御を行い、温度変化に伴うサーミスタ22の抵抗値の変化を検出することによって、サーミスタ22の周囲の温度、即ちリヤコンビネーションランプ1の外気温や発熱検査用銅箔26の温度を検出する。図5のヒータ制御部33は、給電基板31、ランド23及び第1銅箔パターン21aを介して発熱銅箔20及び発熱検査用銅箔26への通電を制御する。
【0035】
図5に示す点灯制御部34は、灯具給電機構39及び灯具切替機構40を介し、リヤコンビネーションランプ1,前照灯41及びその他ランプ42に接続される。灯具給電機構39は、車両100の図示しないバッテリー等で構成される。灯具切替機構40は、灯具給電機構39からリヤコンビネーションランプ1のリヤフォグランプ2,テール&ストップランプ3,その他ランプ(ターンシグナルランプ4やバックランプ5等)、前照灯41及びその他ランプ42(フロントフォグランプや車幅灯等)への電気的な接続を切り換える機構であり、電子的または機械的なスイッチ、あるいは、各ランプに共通する汎用コネクタを設け、灯具給電機構39に一端を接続した汎用コネクタケーブルの他端の汎用コネクタを人為的に繋ぎ替える機構でもよい。点灯制御部34は、接続されたランプの点消灯制御及び図示しないドライバーや所定の自動制御による各ランプの点灯のON/OFFを検出する。
【0036】
図5に示す融雪機構7は、ランプの点灯に連動し、または所定の温度に基づいてフィルムヒータ17のONとOFFとを制御されることが望ましい。本実施形態においては、1例としてリヤフォグランプ2に融雪機構7を備えているため、望ましくは、図示しないドライバーによる操作または、所定の自動ON/OFF制御に基づくリヤフォグランプ2のON/OFFに連動させ、リヤフォグランプ2のONに併せてフィルムヒータ17をONにし、リヤフォグランプ2がOFFになれば、フィルムヒータ17もOFFに切り換えることが望ましい。
【0037】
例えば、リヤフォグランプ2のONとOFFに連動させて融雪機構7を動作させる場合、図5に示す制御回路30の給電判断部35は、降雪時にリヤフォグランプ2の図示しないスイッチが操作され、またはリヤフォグランプ2が自動でONになったことを検出すると、点灯制御部34,灯具給電機構39及び灯具切替機構40を介してリヤフォグランプ2を通電制御して点灯させる。また、給電判断部35は、ヒータ制御部33及び給電基板31を介してフィルムヒータ17の発熱銅箔20への通電を開始し、発熱銅箔20を発熱させる。降雪が終了し、リヤフォグランプ2がOFFにされると、給電判断部35は、発熱銅箔20への通電を停止させて発熱を停止させる。
【0038】
また、例えば、所定の温度に基づいて融雪機構7を動作させる場合、図5に示す制御回路30の給電判断部35は、降雪時に図示しないドライバーによる温度検出スイッチ(図示せず)のONの操作を検出することで、温度検出部32及び給電基板31を介してサーミスタ22への給電を開始させ、リヤコンビネーションランプ1の外の気温を検出させる。例えばアウターレンズ8への雪の付着により、灯室Sの外の気温が0℃を下回ったことを温度検出部32が検出した場合、給電判断部35は、ヒータ制御部33を介してフィルムヒータ17への通電を開始することで発熱銅箔20を発熱させる。また、発熱銅箔20は、所定の温度を上回る温度で発熱した場合、例えば60℃を越えた場合等において、アウターレンズ8を傷める場合がある。そこで、給電判断部35は、発熱検査用銅箔26の温度が発熱銅箔20と同様に60℃を越えた場合、ヒータ制御部33を介して給電を一旦停止させ、発熱検査用銅箔26の温度が所定の温度(例えば0℃)まで下がった場合に発熱銅箔20への給電を再開することが望ましい。給電判断部35は、降雪終了に伴った図示しないドライバーによる温度検出スイッチ(図示せず)のOFFの操作を検出することにより、ヒータ制御部33を介して発熱銅箔20への給電を停止させる。
【0039】
尚、リヤフォグランプのON/OFFに連動した融雪機構のON/OFF制御と気温の変化に基づく融雪機構のON/OFF制御は、同時に行ってもよい。また、本実施形態においては、一例として融雪機構7をリヤフォグランプ2の内側に設けているが、融雪機構7は、サーミスタ22を実装したフィルムヒータ17を車両用灯具(RCLなら各ランプユニット)のアウターレンズの内側に貼り付け、ランプボディ内側に設けた制御基板16によって給電制御出来る構成であれば、リヤフォグランプ2に限られず、リヤコンビネーションランプ1のテール&ストップランプ3,その他のランプ(ターンシグナルランプ4やバックランプ5等)、リヤコンビネーションランプ以外の前照灯やその他のランプ(フロントフォグランプや、車幅灯等)多種多様な車両用灯具の内側に設けてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 リヤコンビネーションランプ(車両用灯具)
2 リヤフォグランプ(ランプユニット)
2a 意匠領域
2b 非意匠領域
7 融雪機構
8 アウターレンズ
8a 内周面(アウターレンズの内側)
9 ランプボディ
16 制御基板
17 フィルムヒータ
20 発熱銅箔
21 給電銅箔
22 サーミスタ
25 発熱回路
26 発熱検査用銅箔
S 灯室
図1
図2
図3
図4
図5