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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067346
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 15/04 20060101AFI20240510BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20240510BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20240510BHJP
   B41J 35/28 20060101ALI20240510BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B41J15/04
B41J29/13
B41J3/36 T
B41J35/28
B41J2/325 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177348
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】徳田 裕亮
【テーマコード(参考)】
2C055
2C060
2C061
2C065
2C068
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC01
2C060BA09
2C061AP05
2C061AQ04
2C061AS06
2C061BB35
2C065AA01
2C065AD02
2C065DA16
2C065DA34
2C068AA02
2C068AA06
2C068AA15
2C068MM03
2C068MM23
(57)【要約】
【課題】複数の異なる形状又は種類のテープカセットを安定して装着することができる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置は、被印刷媒体を収容し、第1の係合部110を有する第1のテープカセット100を収納可能なテープカセット収納部と、第1のテープカセット100が当接しながら移動することで、第1の位置から第2の位置へ移動可能な移動部材521と、第1の係合部110に係合する係合位置と、第1の係合部110との係合が解除される係合解除位置と、の間で、テープカセット収納部に沿って移動可能な被係合部703bを有する第1のロック部703を有するロック部材700と、を備える。テープカセット収納部に収納された第1のテープカセット100が、係合位置に移動した被係合部703bと、第2の位置に移動した移動部材521と、によって固定されている。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷媒体を収容し、第1の係合部を有する第1のテープカセットを収納可能なテープカセット収納部と、
前記第1のテープカセットが当接しながら移動することで、第1の位置から第2の位置へ移動可能な移動部材と、
前記第1の係合部に係合する係合位置と、前記第1の係合部との係合が解除される係合解除位置と、の間で、前記テープカセット収納部に沿って移動可能な被係合部を有する第1のロック部を有するロック部材と、を備え、
前記テープカセット収納部に収納された前記第1のテープカセットが、前記係合位置に移動した前記被係合部と、前記第2の位置に移動した前記移動部材と、によって固定されている、
印刷装置。
【請求項2】
前記テープカセット収納部は前記第1のテープカセットとは形状の異なる第2のテープカセットを収納可能であり、
前記第2のテープカセットを前記テープカセット収納部に収納する場合には、
前記移動部材は、前記第1の位置で前記第2のテープカセットと当接することにより前記第2のテープカセットを支持する、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記ロック部材は、前記第1の位置にある前記移動部材に当接することで、前記移動部材の移動を制限する第2のロック部を備え、
前記第1のテープカセットを前記テープカセット収納部に収納する場合に、前記第1のロック部が前記第1の係合部に押されることで、前記ロック部材は初期位置である第3の位置から、テープカセットを固定する第4の位置に向けて移動し、
前記ロック部材が前記第3の位置にあるとき、前記第1のロック部は前記係合解除位置にあり、
前記ロック部材が前記第4の位置にあるとき、前記第1のロック部は前記係合位置にあり、
前記ロック部材が前記第4の位置へ向けて移動することに伴い、前記第2のロック部は、前記移動部材の移動を妨げない位置に移動する、
請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記移動部材には、第2の係合部が形成されており、
前記ロック部材が前記第3の位置にある場合、前記第2の係合部が前記第2のロック部に当接することにより、前記移動部材の移動が制限される、
請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第1のロック部には、前記第1のテープカセットが移動する方向である収納方向に対して斜めに傾いた面であり、前記第1のテープカセットを収納する場合に前記第1の係合部が接触して摺動することで、前記ロック部材を押しのけて前記第4の位置に向けて移動させるための摺動面が設けられている、
請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第1のロック部には、前記被係合部として、前記摺動面を摺動して前記ロック部材を押しのけた前記第1の係合部と係合可能な複数の溝部が形成されている、
請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記第3の位置から移動した前記ロック部材を、前記第3の位置へ戻そうとする復元力を作用させる弾性部材を備え、
前記復元力により、前記溝部に係合した前記第1の係合部が前記第1のロック部に押圧されることで、前記第1のテープカセットが固定されている、
請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記第1の係合部の外形の少なくとも一部は、前記溝部に合わせた形状に形成されている、
請求項6に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記第1のテープカセットは、前記被印刷媒体に印刷を行うためのインクリボンを収容していないテープカセットであり、前記第2のテープカセットは、前記被印刷媒体に印刷を行うためのインクリボンを収容するテープカセットである、
請求項4から8のいずれか1項に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、先端面から第1フックが突出した周壁部を有し、複数種のテープカートリッジ(テープカセット)間で、周壁部の外周面において第1フックの基端部よりも基端側の部位である第1基端側部位の凹入深さが異なる第1ケース、及び第1フックが係合する第1フック受け部を有する第2ケースを備えたテープカートリッジが装着されるカートリッジ装着部と、テープカートリッジがカートリッジ装着部に装着された状態で、第1基端側部位の凹入深さに応じて、出力が変化する第1基端側部位検出センサーとを備えるテープ印刷装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-144250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のテープ印刷装置のように、テープを格納するカートリッジ又はカセットを装着して印刷を行う印刷装置(ラベルプリンタ)について、形状が異なる複数の種類のカセットを装着しようとしても、ある一種類のカセットの装着に用いられる部品が他の種類のカセットに干渉して装着できず、干渉を回避させる印刷装置本体に適合する一種類の形状のカセットしか装着させることができないという課題があった。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、複数の異なる形状又は種類のテープカセットを安定して装着することができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷装置は、被印刷媒体を収容し、第1の係合部を有する第1のテープカセットを収納可能なテープカセット収納部と、前記第1のテープカセットが当接しながら移動することで、第1の位置から第2の位置へ移動可能な移動部材と、前記第1の係合部に係合する係合位置と、前記第1の係合部との係合が解除される係合解除位置と、の間で、前記テープカセット収納部に沿って移動可能な被係合部を有する第1のロック部を有するロック部材と、を備え、前記テープカセット収納部に収納された前記第1のテープカセットが、前記係合位置に移動した前記被係合部と、前記第2の位置に移動した前記移動部材と、によって固定されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の異なる形状又は種類のテープカセットを安定して装着することができる印刷装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る印刷装置の構成を示す斜視図。
図2】本発明の実施の形態に係る印刷装置の主要部の構成を示す斜視図。
図3】本発明の実施の形態に係る印刷装置の主要部の構成を示す平面図。
図4】本発明の実施の形態に係る印刷装置に細幅テープカセット又は太幅テープカセットを収納した後における主要部を示す平面図。
図5】本発明の実施の形態に係る印刷装置にインクリボン付太幅テープカセットを収納した後における主要部を示す平面図。
図6】本発明の実施の形態に係る印刷装置の収納機構の構成を示す斜視図。
図7】(a)は、図6中の拡大図において破線で図示していたカセット保持部12を実線で図示した場合の拡大図、(b)は図(a)中の矢視B-Bbからみた断面図。
図8】(a)は細幅テープカセットの斜視図、(b)は太幅テープカセットの斜視図、(c)はインクリボン付太幅テープカセットの斜視図。
図9】本発明の実施の形態に係る印刷装置に、細幅テープカセットを収納している様子を工程順((a)~(c))に示しており、収納機構のうちカセットベース及びカセットベースボタンとその近傍に着目した側面図。
図10】本発明の実施の形態に係る印刷装置に、細幅テープカセットを収納しているときのロック部材の動作を、図4中の矢印Aからみた側面図を用いて工程順((a)~(b))に示した図。
図11図10から続き、本発明の実施の形態に係る印刷装置に、細幅テープカセットを収納しているときのロック部材の動作を、図4中の矢印Aからみた側面図を用いて工程順((a)~(b))に示した図。
図12】本発明の実施の形態に係る印刷装置に、太幅テープカセットを収納している様子を工程順((a)~(c))に示しており、収納機構のうちカセットベース及びカセットベースボタンとその近傍に着目した側面図。
図13】本発明の実施の形態に係る印刷装置に、太幅テープカセットを収納しているときのロック部材の動作を、図4中の矢印Aからみた側面図を用いて工程順((a)~(b))に示した図。
図14図13から続き、本発明の実施の形態に係る印刷装置に、太幅テープカセットを収納しているときのロック部材の動作を、図4中の矢印Aからみた側面図を用いて工程順((a)~(b))に示した図。
図15】本発明の実施の形態に係る印刷装置に、インクリボン付太幅テープカセットを収納している様子を工程順((a)~(b))に示しており、収納機構のうちカセットベース及びカセットベースボタンとその近傍に着目した側面図。
図16】本発明の実施の形態に係る印刷装置に、インクリボン付太幅テープカセットを収納しているときのロック部材の動作を、図5中の矢印Aからみた側面図を用いて工程順((a)~(b))に示した図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る印刷装置1について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付し、さらに各図面に付された互いに直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)は、矢印が向く方向を正の向き(+の向き)、正の向きとは逆の方向を負の向き(-の向き)と定義する。本発明の実施の形態に係る印刷装置1は、搬送部によって搬送されたラベル(テープ)状の被印刷媒体(テープ部材M)に文字、記号、模様又は画像を印刷するラベルプリンタである。
【0010】
印刷装置1の筐体2は、図1に示すように、オーバル形状の底面を有する柱体状を有している。筐体2の表面のうち、柱体の側面に該当する部分は、底面と直交した2つの平面2aと、この2つの平面2aを接続する2つの曲面2bと、を有している。さらに、2つの曲面2bの一方には、凹部2cが形成されている。
【0011】
凹部2cには、排出口2dが形成されている。印刷装置1内で印刷が行われたテープ部材Mは、排出口2dから装置外へ排出される。排出口2dは、底面に平行な方向に延びるスリット状の開口である。筐体2は、図示しないパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等を含む情報処理装置(外部機器)と接続する接続端子と、メモリカードを含む記憶媒体が挿入される挿入口と、電源コードが接続される電源端子と、を含み得るが、これらの図示は省略する。また、印刷装置1は上記のように、図示しないパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等の情報処理装置との、有線ケーブル等を用いた有線接続によって受信した印刷データに基づいて印刷を行うとしても良いし、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の近距離無線通信規格に基づく無線接続をすることにより受信した印刷データに基づいて印刷を行うとしても良い。
【0012】
図2は、本実施の形態における印刷装置1の筐体2に収容された内部構造の主要部8の斜視図である。筐体2の内部には、図2に示すように、各種の部品から構成された内部構造の主要部8が収容されている。この主要部8は、各種部品が取り付けられた平板部11aを有するベース部11と、ベース部11に設けられたカセット保持部12とを有している。
【0013】
カセット保持部12は、後述するテープカセットを保持(収納)可能な保持部本体12aと、平板部11aに立設され平板部11aと保持部本体12aとの間隔をあける複数の脚部12bとを有している。脚部12bは例えば4本であり、図2においては、そのうちの1本を図示している。保持部本体12aには、テープカセットを収納するための収納空間を区画するカセット収納部12c(テープカセット収納部12c)が形成され、テープカセットはカセット収納部12cに着脱自在に収納される。
【0014】
本実施の形態において、カセット収納部12cは、細幅テープカセット100(図4)、太幅テープカセット200(図4)、インクリボン付太幅テープカセット300(図5)のうちいずれか一つを選択的に収納可能にし、各々のテープカセットから繰り出されたテープ状の被印刷媒体(テープ部材M(図4図5))への印刷を可能にする。なお、細幅、太幅等は便宜的な表現であり、実際にはテープ幅(テープ部材Mの幅)6mm、9mm、12mm、18mm、24mm、36mm、46mm等、様々な幅のテープ部材Mに応じた、様々な幅のテープカセットが収納可能である。本実施の形態では、細幅テープカセット100(図4)、太幅テープカセット200(図4)、インクリボン付太幅テープカセット300(図5)(以下、これらを単にテープカセットと記載する場合がある)に収容(収納)されるテープ幅はそれぞれ、12mm、46mm、24mmとして説明する。なお、カセット収納部12cへの、インクリボン付細幅テープカセットの収納については、インクリボン付太幅テープカセット300(図5)の収納と同様であるため、本実施の形態では説明を省略している。
【0015】
また、図8(a)に示す細幅テープカセット100と、図8(b)に示す太幅テープカセット200は、収容されるテープ部材Mの幅に応じて、互いにY軸方向の厚みが異なる。また、押圧突起部1008,2008の長さ、及び係合部の一例である係合突起部110、210の位置は互いに異なっているが、それ以外の構成は同様である。一方、インクリボン付太幅テープカセット300には、図5に示すように、内部にテープ部材Mだけでなく、テープ部材Mに印刷(熱転写)を行うためのインクリボンR及び印刷を行った後の使用済みインクリボンR’を回収するリボン巻取りコア3005が少なくとも収容されるため、図4に示す細幅テープカセット100及び太幅テープカセット200とは形状が異なる。
【0016】
図4に示す細幅テープカセット100及び太幅テープカセット200に収容されるテープ部材と、図5に示すインクリボン付太幅テープカセット300に収容されるテープ部材と、では印刷の方式が異なる。図4に示す細幅テープカセット100及び太幅テープカセット200では、被印刷媒体として加熱により変色する感熱テープを使用し、サーマルヘッド10への通電によって感熱テープを加熱することで印刷を行う。一方、図5に示すインクリボン付太幅テープカセット300では、サーマルヘッドへの通電によってインクリボンRをテープ部材に熱転写することで印刷を行う。本実施の形態では簡単のため、両方の印刷方式でのテープ部材をテープ部材Mとして表現する。
【0017】
各々のテープカセットには、図4及び図5に示すように、サーマルヘッド10(印刷部10)が挿入される凹部であるサーマルヘッド被挿入部1006(サーマルヘッド被挿入部2006)、及びサーマルヘッド被挿入部3006がそれぞれ形成されている。細幅テープカセット100(太幅テープカセット200)は、少なくともテープ部材Mを収容(収納)するカセットケース1001(カセットケース2001)を有する。カセットケース1001(カセットケース2001)には、テープコア1002(テープコア2002)が設けられている。また、インクリボン付太幅テープカセット300は、少なくともテープ部材M及びインクリボンR(使用済みインクリボンR’)を収容(収納)するカセットケース3001を有する。カセットケース3001には、テープコア3002、リボン供給コア3004、リボン巻取りコア3005が設けられている。
【0018】
テープ部材Mは、カセットケース1001(カセットケース2001)、カセットケース3001内部の、それぞれのテープコア1002(テープコア2002)、テープコア3002にロール状に巻かれている。テープ部材Mは、例えば、接着層を有する基材と、接着層を覆うように剥離可能に基材に貼付された剥離紙と、を有するテープである。印刷(熱転写)用のインクリボンRは、その先端がリボン巻取りコア3005に巻きつけられた状態で、カセットケース3001内部のリボン供給コア3004にロール状に巻かれている。テープ部材M及びインクリボンRは、重なり合って凹形状のサーマルヘッド被挿入部3006を跨ぐように設けられている。
【0019】
主要部8には、図2及び図3に示すように、複数の発熱素子を有しテープ部材M(図4図5)に印刷を行うサーマルヘッド10と、テープ部材M及びインクリボンR(図5)を搬送する搬送部としてのプラテンローラ21と、使用済みインクリボンR’を巻き取るリボン巻取り駆動軸23と、が設けられている。サーマルヘッド10及びプラテンローラ21は、図4に示すサーマルヘッド被挿入部1006(サーマルヘッド被挿入部2006)を跨ぐテープ部材Mを挟み込む位置、又は図5に示すサーマルヘッド被挿入部3006を跨ぐテープ部材M及びインクリボンRを挟み込む位置に設けられている。リボン巻取り駆動軸23は、保持部本体12aをY軸方向に貫通(挿通)し、カセット収納部12c内に突出した状態で設けられている。
【0020】
主要部8には、図2に示すように、カセット保持部12にスライド可能に取り付けられたロック部材700が設けられている。ロック部材700は、保持部本体12aの外周面に接するように設けられている。その詳細については後述するが、ロック部材700は、後述するように、カセット収納部12cに収納された図4に示す細幅テープカセット100及び太幅テープカセット200を固定しがたつきを防止する。また、ロック部材700は、図5に示すインクリボン付太幅テープカセット300を収納する際に、リリースガイド521を初期位置で固定して動かないようにする。
【0021】
主要部8はさらに、図示は省略するが、排出口2d(図1に示す)の近傍に、フルカッター及びハーフカッターを備えている。フルカッターは、(印刷済みの)テープ部材Mを切断してテープ片(ラベル片)を作成するカッターである。一方、ハーフカッターは、テープ部材Mの先端部分等に切り込みを入れ、接着層を有する基材から剥離層を剥がしやすくするためのカッターである。
【0022】
保持部本体12aには、図4及び図5に示すように、細幅テープカセット100(太幅テープカセット200)のカセットケース1001(カセットケース2001)、及びインクリボン付太幅テープカセット300のカセットケース3001のそれぞれに設けられる支持用切欠部1001a(支持用切欠部2001a)、支持用切欠部3001aを配置させるための台座12eが設けられる。台座12eは、保持部本体12aからY軸方向の正の向きに突出し、上部に平面部を有する形状をしており、この上部の平面部は後述するカセットベース固定部5111とほぼ同じ高さ(Y軸方向の位置が同じ)になるよう設けられている。この台座12eは、カセット収納部12cに収納された細幅テープカセット100(太幅テープカセット200)及びインクリボン付太幅テープカセット300に当接し支持する。
【0023】
テープカセットがカセット収納部12cに収納される際、図4及び図5に示すように、サーマルヘッド10がカセットケース1001(カセットケース2001)、カセットケース3001にそれぞれ形成されたサーマルヘッド被挿入部1006(サーマルヘッド被挿入部2006)、サーマルヘッド被挿入部3006に挿入される。また、図5に示すように、リボン巻取り駆動軸23には、リボン巻取りコア3005が係合する。なお、図4に示すように、カセットケース1001(カセットケース2001)には、リボン巻取り駆動軸23が係合せずに貫通(挿通)するリボン巻取り駆動軸貫通孔1005(2005)が設けられている。
【0024】
プラテンローラ21は、図3に示すように、Y軸方向に沿って延びる円柱状の形状を有し、プラテンローラ軸21aを中心に回転(回動)する。プラテンローラ21は、図4及び図5に示すように、テープ部材M、又はテープ部材M及びインクリボンRをサーマルヘッド10に押圧しながら反時計回りに回転することにより、テープ部材M、又はテープ部材M及びインクリボンRを正搬送する。このように正搬送しているときを正搬送時といい、このときテープ部材MはX軸方向の正の向き(排出口2dへ排出する向き)に搬送される。一方、プラテンローラ21が時計回りに回転することにより、テープ部材M、又はテープ部材M及びインクリボンRは逆搬送される。このように逆搬送しているときを逆搬送時といい、このときテープ部材MはX軸方向の負の向き(排出口2dへ排出する向きとは反対の向き)に搬送される。
【0025】
リボン巻取り駆動軸23は、図5に示す軸部25を中心に時計回り又は反時計回りに回転(回動)可能である。リボン巻取り駆動軸23は、正搬送時には時計回りに回転する。これにより、プラテンローラ21によって正搬送されたインクリボンRは、リボン巻取りコア3005に巻き取られていく。一方、逆搬送時にはプラテンローラ21によって逆搬送されるインクリボンR(使用済みインクリボンR’)がリボン巻取りコア3005から引き出されることで、リボン巻取り駆動軸23は反時計回りに回転する。
【0026】
筐体2(図1)の内部には、図2に示す搬送部(プラテンローラ21)及び印刷部(サーマルヘッド10)を制御する制御部がさらに設けられる。制御部は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含んで構成される。また、搬送部は図示しないステッピングモータ等によって駆動する。
【0027】
図4に示す細幅テープカセット100及び太幅テープカセット200は、後述するように、図2に示すカセットベース511及びリリースガイド521を移動させて、カセット収納部12cへ収納される。図4に示す細幅テープカセット100及び太幅テープカセット200をまとめて第1のテープカセットともいう。第1のテープカセットは少なくとも被印刷媒体(テープ部材M)を収容(収納)する。一方、図5に示すインクリボン付太幅テープカセット300は、カセット収納部12cへの収納の際に、図2に示すカセットベース511及びリリースガイド521を移動させない。インクリボン付太幅テープカセット300を第2のテープカセットともいう。第2のテープカセットは、図5に示すように、少なくとも被印刷媒体(テープ部材M)を収容(収納)し第1のテープカセットとは種類が異なるテープカセットであり、本実施の形態ではテープ部材MとインクリボンRとを収容(収納)する。
【0028】
図6は、カセット収納部12cを含む本実施の形態の収納機構の構成を示す斜視図である。なお、簡単のためにサーマルヘッド10、プラテンローラ21等の構成は省略し、カセット保持部12を除いた他の収納機構の構成を実線により表している。なお、収納機構は図6に示すように、ベース部11と、カセット保持部12と、カセットベース511と、カセットベースボタン512と、第1の弾性部材としてのカセットベーススプリング513と、リリースガイド521と、第2の弾性部材としてのリリーススプリング522と、ロック部材700、を備える。
【0029】
保持部本体12aは各々のテープカセットを収納することが可能な大きさ及び形状(Y軸方向の深さ等)を備える。保持部本体12aの材料は特に限定されず、例えば樹脂や金属等によって構成される。図7(b)に示すように、ロック部材700が隣接する保持部本体12aの外周面12fは、-Y軸方向からみると円弧状であり、この円弧状の部分が同一の態様でY軸方向に延びて曲面を形成している。すなわち外周面12fは、円周方向Rに沿って曲率を有する一方でY軸方向には曲率を有しておらず、高さ方向をY軸方向に一致させた円柱体の外周面の一部のような曲面を有している。
【0030】
外周面12fには、図7(a)に示すように、保持部本体12aを貫通した第1ガイド溝31と、保持部本体12aを貫通した第2ガイド溝32と、ロック部材700を円周方向Rに沿ってスライド可能に支持する2つフック部35、36とが形成されている。
【0031】
第1ガイド溝31は、Y軸方向に沿って形成され、後述するリリースガイド521に形成された凸状部66を内側に収容する。凸状部66の長手方向の略中央に形成された移動制限突起部65は、第1ガイド溝31から保持部本体12aの外側に突出している。第1ガイド溝31は、収容する凸状部66をY軸方向に沿ってガイドする。
【0032】
第2ガイド溝32は、第1ガイド溝31に円周方向に間隔をあけて、Y軸方向に沿って形成されている。第2ガイド溝32には、図8(a)に示す細幅テープカセット100に形成された第1の係合部としての係合突起部110、あるいは図8(b)に示す太幅テープカセット200に形成された第1の係合部としての係合突起部210が挿通される。第2ガイド溝32は、挿通された係合突起部110あるいは係合突起部210をY軸方向に沿ってガイドする。
【0033】
2つのフック部35、36は、円周方向Rに間隔をあけて配置された互いに同一の構成であり、外周面12fから突出して形成されている。フック部35、36の先端には、-Y方向に突出した山形状の突起35a、36aが形成されている。後述するように、円周方向Rに沿って配置された2つのフック部35、36は、ロック部材700の-Y方向側の縁部をスライド可能に支持する。
【0034】
また、図7(a)に示すように、保持部本体12aの+Y方向側の縁部には、ロック部材700の一端が差し込まれる第3ガイド溝34が形成されている。第3ガイド溝34は、円周方向Rに沿って延び、スライドするロック部材700の+Y方向側の端部を、円周方向Rに沿ってガイドする。
【0035】
カセットベース511は、図6に示すように、カセット収納部12cに収納されたテープカセットに当接するカセットベース固定部5111と、カセットベースボタン512の側方に、Z軸方向の正の向きに突出するように設けられた被ガイド突起部512aをガイドするために、Z軸方向の正の向きへと凹むように設けられたボタンガイド部5112(ガイド部)と、テープカセット検出スイッチ5113と、を備える。ボタンガイド部5112は、図9各図に示すように、XY面に平行な方向に延びている。また、ボタンガイド部5112は少なくとも一部がY軸方向に沿って延び、一端(上端)がX軸方向負の向きへと所定の角度で折れ曲がる形状(少なくとも一部がY軸方向に対して角度をなして延びる形状)を有する。すなわち、ボタンガイド部5112は、Y軸方向に沿って延びた第1延設部5112aと、第1延設部5112aの+Y方向側の端部に接続しY軸に対して角度をなして延びる第2延設部5112bとを有する。なお、図6に示すように、カセットベース511はベース部11に、X軸方向に移動可能に取り付けられる。カセットベース511の材料は特に限定されず、例えば樹脂や金属等によって構成される。また、テープカセット検出スイッチ5113は、テープカセットにより押下されるスイッチであり、テープカセットの形状の違いにより、押下されるスイッチが異なる。これにより、例えばテープ幅を検出できる。テープカセット検出スイッチ5113の数は図示したものに限られない。
【0036】
カセットベース511は、各々のテープカセットをカセット収納部12cに収納する場合に用いられる部材であり、細幅テープカセット100又は太幅テープカセット200と収納する際には移動し、インクリボン付太幅テープカセット300と収納する際には移動しない。なお、細幅テープカセット100又は太幅テープカセット200をカセット収納部12cに収納しようとする場合、カセットベース511よりもY軸方向の正の向きに突出したカセットベースボタン512に、細幅テープカセット100又は太幅テープカセット200の一部(後述する押圧突起部)が当接する。
【0037】
カセットベースボタン512は、図6に示すように、細幅テープカセット100及び太幅テープカセット200の下方に、カセット収納部12cに収納する方向(-Y方向、以下、収納方向とも記載する)に延びるようにそれぞれ設けられた押圧突起部1008(図8(a))(押圧突起部2008(図8(b)))と当接する、Y軸方向に沿って延びる棒状の本体部分と、ボタンガイド部5112にガイドされる被ガイド突起部512aと、を備える部材(被押圧部)である。また、カセットベースボタン512の下方には、Y軸方向に沿って延びる付勢部材であるカセットベーススプリング513の一端が固定され、カセットベーススプリング513の他端はベース部11の平板部11aに固定される。これにより、カセットベースボタン512はベース部11に対して、Y軸方向に移動(付勢)可能に取り付けられる。カセットベースボタン512の材料は特に限定されず、例えば樹脂や金属等によって構成される。また、カセットベーススプリング513は例えば金属のコイルばねであるが、材料や構成はこれに限られるものではない。カセットベースボタン512の一端は、カセットベース固定部5111の端部よりも+Y方向にある。
【0038】
カセットベースボタン512は、細幅テープカセット100又は太幅テープカセット200がカセット収納部12cに収納される際に、図8(a)、図8(b)に示す細幅テープカセット100及び太幅テープカセット200の下方に設けられた押圧突起部1008(押圧突起部2008)と当接し、細幅テープカセット100又は太幅テープカセット200が押し下げられるに伴って、Y軸方向の負の向きに押し下げられる。
【0039】
リリースガイド521は、図6に示すように、カセット収納部12cの端に寄った状態で保持部本体12aに隣接して配置されている。リリースガイド521は、図6の拡大図に示すように、一端にフランジ61が形成された本体部62と、本体部62とベース部11とを接続する圧縮ばねであるリリーススプリング522を有している。
【0040】
フランジ61は、本体部62の-Y方向側の端部に形成されている。フランジ61は、+Y方向側の面で保持部本体12aの-Y方向側の面と当接することで、リリーススプリング522によって+Y方向に向けて付勢されている本体部62の位置決めを行う。
【0041】
本体部62は、+Y方向に立設した柱状部63と、柱状部63から+Z方向に突出した突出部64とを有している。本体部62は、保持部本体12aの内側に設けられ、テープカセットを収納するための収納空間の一部を画定する。
【0042】
柱状部63は、+Y方向側からみると略扇型状をなしており、円弧部を形成する外周面63bには、Y軸方向に沿って長手方向を有する凸状部66と、凸状部66の略中央に位置する移動制限突起部65とが形成されている。移動制限突起部65の突出方向は、外周面63bに直交している。移動制限突起部65及び凸状部66は、保持部本体12aに形成された第1ガイド溝31に挿通されている。移動制限突起部65は、第2の係合部として、第1ガイド溝31を貫通して、保持部本体12aの外側に突出している。
【0043】
リリーススプリング522は、リリースガイド521の本体部62とベース部11との間に介在する。リリーススプリング522は、-Y方向に移動したリリースガイド521を元の位置に戻そうとする復元力を作用させる。
【0044】
本体部62は、+Y方向側の端部である接触面62aで、細幅テープカセット100、及び太幅テープカセット200と接触し、収納位置にあるこれらのテープカセットを支持する。
【0045】
ロック部材700は、図7(a)に示すように、円周方向Rに沿って延びたベース部701と、ベース部701の一端から+Y方向に延出した第2のロック部702と、第2のロック部702から円周方向Rに間隔あけて形成された第1のロック部703とを有している。
【0046】
ベース部701には、円周方向Rに沿って延びる開口701aが形成されている。開口701aには、保持部本体12aから突出した2つのフック部35、36が通され、-Y方向に突出した山形状の突起35a、36aが縁部に引掛けられている。ベース部701は、円周方向Rに沿って配置された2つのフック部35、36により、円周方向Rに沿ってスライド可能に支持されている。なお、開口701aの円周方向Rの長さは、ロック部材700の必要移動量が確保することができる長さを有している。このように、ベース部701は、開口701aに2つのフック部35,36が挿通されていることからY軸方向に沿って移動することができない。また、ベース部701は、フック部35、36の突起35a、36aと保持部本体12aとの間に挟まれていることから径方向(XZ平面と平行であり円周方向Rに直交する方向)に移動することもできない。すなわち、ロック部材700がスライドできる方向は、円周方向Rのみである。このように、円周方向Rは、ロック部材700がスライドする方向と一致する。そのため、図10以降では、ロック部材700のスライド方向Sを示し、ロック部材700が初期位置にある状態(図10(a))から、スライド後の状態(図11(b))まで移動する方向(矢印で示す方向)をスライド方向Sの正の方向、その反対の方向をスライド方向の負の方向と定義した座標を記載している。
【0047】
第2のロック部702は、Y軸方向に沿って延び、その先端は+Y方向を向いた平坦な端面702aを有している。カセットテープが収納されていない場合、ロック部材700は初期位置(第3の位置)にあり、この端面702aには、保持部本体12aから突出した第2の係合部としての移動制限突起部65が当接している。ロック部材700はY軸方向へ移動することができないことから、移動制限突起部65を端面702aに当接させたリリースガイド521は、Y軸方向における移動が制限され固定される。
【0048】
第1のロック部703は、Y軸方向に沿って形成されている。第1のロック部703は、その長さが第2のロック部702よりも長い。第1のロック部703の上端は、保持部本体12aの+Y方向側の縁部にまで到達しており、第3ガイド溝34に差し込まれている。第1のロック部703は、第2のロック部702に向かうにつれて細くなる先細の形状を有する山形部703aを複数有している。複数の山形部703aは、同一のピッチで、Y軸に沿って互いに隣接するように配置されており、隣接する山形部703aの間には、図10(a)に示すように、被係合部としてのV字状の溝部703bが形成されている。このように、第1のロック部703の第2のロック部702側を向いた面は、同一のピッチで複数の溝部703bが形成されたギザギザした形状を有している。また、複数の山形部703aのうち、最も+Y方向側に配置された山形部703aは、最も突出量が大きい。この最も+Y方向側に配置された山形部703aから、第1のロック部703の+Y方向側の端部にかけて、スライド方向Sに対して+Y方向側に傾斜(図10(a)中において+S方向に向かうにつれて+Y方向に向かうように傾斜)した摺動面703cが形成されている。摺動面703cは、テープカセットの収納方向(-Y方向)に対して斜めの面であるともいえる。この摺動面703cは、図8(a)に示す細幅テープカセット100の係合突起部110が当接して摺動するか、あるいは図8(b)に示す太幅テープカセット200の係合突起部210が当接して摺動する。
【0049】
カセットテープが収納されていない場合にロック部材700は初期位置(第3の位置)にあり、図10(a)に示すように、第1のロック部703は、保持部本体12aに形成された第2ガイド溝32を塞いだ状態にある。
【0050】
また、図7(b)に示すように、ロック部材700と保持部本体12aとの間には、ねじりコイルばね751が介在している。これによりロック部材700は、ねじりコイルばね751の弾性力を受けて、初期位置に向けて付勢された状態、すなわち図7(b)中の反時計回りの方向に付勢された状態にある。なお、初期位置に向けて付勢されているロック部材700は、開口701aの壁面を図7(a)に示す右側にあるフック部36に当接させることで、初期位置に停止している。
【0051】
次に、図8を参照しながら、細幅テープカセット100、太幅テープカセット200、及びインクリボン付太幅テープカセット300を説明する。
【0052】
図8(a)に示すように、細幅テープカセット100は、Y軸方向に厚みを有し、カセット収納部12c(図6)の-Y方向の深い箇所にまで挿入される厚肉部100aと、厚肉部100aから側方(XY平面方向)に突出したフランジ状の突出部100bと、突出部100bの-Y方向を向いた面(下面)から突出し、収納時に図2に示すカセットベースボタン512を押圧する押圧突起部1008とを有している。また、厚肉部100aの側面には、細幅テープカセット100を収納する際、カセット保持部12に形成された第2ガイド溝32を通過する第1の係合部としての係合突起部110が形成されている。係合突起部110を長手方向からみると、図10(a)に示すように、その外周面は、円弧状の円弧状部110aと、先が尖った先細部110bとを有している。先細部110bの形状は、第1のロック部703に形成された溝部703bの形状に合わせられている。係合突起部110は、細幅テープカセット100が収納位置にあるときに、被係合部であるいずれかの溝部703bに嵌る位置に形成されている。本実施の形態では、図11(b)に示すように、+Y方向から3つ目の溝部703bに嵌る位置に形成されている。
【0053】
図8(b)に示すように、太幅テープカセット200は、Y軸方向に厚みを有し、カセット収納部12c(図6)の-Y方向の深い箇所にまで挿入される厚肉部200aと、厚肉部200aから側方(XY平面方向)に突出したフランジ状の突出部200bと、突出部200bの-Y方向を向いた面(下面)から突出し、収納時に図2に示すカセットベースボタン512を押圧する押圧突起部2008とを有している。太幅テープカセット200の押圧突起部2008は、図8(a)に示す細幅テープカセット100の押圧突起部1008よりもY軸方向に沿って長く構成されている。換言すると、太幅テープカセット200の押圧突起部2008は、細幅テープカセット100の押圧突起部1008よりもテープ部材Mの幅方向に沿って長く構成されている。また、厚肉部200aの側面には、太幅テープカセット200を収納する際、カセット保持部12に形成された第2ガイド溝32を通過する第1の係合部としての係合突起部210が形成されている。係合突起部210を長手方向からみると、図13(a)に示すように、その外周面は、円弧状の円弧状部210aと、先が尖った先細部210bとを有している。先細部210bの形状は、第1のロック部703に形成された溝部703bの形状に合わせられている。係合突起部210は、太幅テープカセット200が収納位置にあるときに、いずれかの溝部703bに嵌る位置に形成されている。本実施の形態では、図14(b)に示すように、もっとも-Y側にある溝部703bに嵌る位置に形成されている。
【0054】
図8(c)に示すように、インクリボン付太幅テープカセット300は、Y軸方向に厚みを有し、カセット収納部12c(図6)の-Y方向の深い箇所にまで挿入される厚肉部300aと、厚肉部300aから側方(XY平面方向)に突出したフランジ状の突出部300bとを有している。厚肉部300aの+Y軸方向からみた平面寸法は、厚肉部100a及び厚肉部200aの平面寸法よりも小さい。厚肉部300aの側面には、図6の拡大図に示すリリースガイド521の突出部64に摺動する切欠部3008が形成されている。
【0055】
次に、図9図16を参照しながら、細幅テープカセット100、太幅テープカセット200、インクリボン付太幅テープカセット300を、図2に示すカセット収納部12cに収納する場合の、収納機構の動作について説明する。
【0056】
まず、細幅テープカセット100を収納する場合について、収納機構のうちカセットベース511及びカセットベースボタン512とその近傍の各部材の動作について説明する。図9(a)に示すように、細幅テープカセット100がカセット収納部12cに向けて(Y軸方向の負の向きに向けて)押し下げられると、突出部100bの-Y方向を向いた面に設けられた押圧突起部1008がカセットベースボタン512とまず当接する。
【0057】
図9(b)に示すように、図9(a)の状態からさらに細幅テープカセット100が押し下げられると、カセットベースボタン512はY軸方向の負の向きに押し下げられる。このとき、カセットベースボタン512の被ガイド突起部512a(図6)がボタンガイド部5112の第2延設部5112bにガイドされるに伴って、カセットベース511は、厚肉部100aと干渉しないようにX軸方向の負の向きに移動する。つまり、カセットベース511は、細幅テープカセット100の収納を妨げない待避位置へと移動する。換言すれば、カセットベース511は、細幅テープカセット100の少なくとも一部(押圧突起部1008)が間接的に作用することで、初期位置から待避位置へと移動する。また、カセットベースボタン512がY軸方向の負の向きに移動することで、カセットベーススプリング513が圧縮される。
【0058】
図9(c)に示すように、図9(b)の状態からさらに細幅テープカセット100が押し下げられると、カセットベースボタン512はY軸方向の負の向きにさらに移動する。このとき、カセットベースボタン512の被ガイド突起部512a(図6)が、ボタンガイド部5112の第1延設部5112aにガイドされる。このようにして、細幅テープカセット100は押し下げられ、突出部100bが、カセットベース固定部5111及び台座12e(図2)に当接する。このようにして細幅テープカセット100は、収納位置まで移動し、これ以上、Y軸方向の負の向きに移動することがない。このように、細幅テープカセット100が収納位置まで移動することで、カセットベース511が移動し、細幅テープカセット100の収納空間が形成される。
【0059】
次に、細幅テープカセット100を収納する場合における、ロック部材700の動作について説明する。図10(a)に示す状態は、細幅テープカセット100がカセット収納部12cに向けて(Y軸方向の負の向きに向けて)押し下げられるも、未だ細幅テープカセット100の係合突起部110がロック部材700に接触していない状態である。このとき、ロック部材700は、ねじりコイルばね751(図7(b))により-S方向に付勢されており、+S側にあるフック部36が開口701aの壁面に当たることにより、初期位置(第3の位置)に停止している。初期位置にあるロック部材700は、スライド方向Sにおいて、第2のロック部702が第1ガイド溝31と一致し、第1のロック部703が第2ガイド溝32と一致する。これにより、リリースガイド521の移動制限突起部65が、第2のロック部702の端面702aに当たり、リリースガイド521の-Y方向の移動が制限されている。また、このとき、被係合部である溝部703bは、第1の係合部である係合突起部110と係合していない係合解除位置にある。
【0060】
図10(a)の状態から、細幅テープカセット100を押し下げると(Y軸方向の負の向きに向けて移動させると)、図10(b)に示すように、細幅テープカセット100の係合突起部110が、ロック部材700の摺動面703cに接触するようになる。
【0061】
図10(b)の状態から、さらに細幅テープカセット100を押し下げると、細幅テープカセット100の係合突起部110は、摺動面703cをスライドしながらロック部材700を押しのけていく。これにより、ロック部材700は、矢印A1で示す方向、すなわち+S方向にスライドしていく。このように、細幅テープカセット100を、図7(b)に示すねじりコイルばね751の付勢力に抗して押し下げることにより、図10(b)で示すロック部材700の位置と図11(a)で示すロック部材700の位置とから分かるように、ロック部材700を+S方向にスライド移動させることができる。図11(a)は、係合突起部110が山形部703aの先端と接し、ロック部材700が最も+S側にスライドした状態を示している。このように、ロック部材700が移動することにより、スライド方向Sにおいて、第2のロック部702の位置が第1ガイド溝31の位置からずれ、リリースガイド521を妨げない位置に移動する。これにより、リリースガイド521は、-Y方向に移動することが可能となる。
【0062】
図11(a)の状態から、さらに細幅テープカセット100を押し下げると、係合突起部110が溝部703bに嵌った状態と、山形部703aの先端と接した状態とを繰り返す。これにより、ロック部材700は、+S方向と-S方向とに小刻みに移動する。
【0063】
また、このように細幅テープカセット100を押し下げていくことで、細幅テープカセット100の-Z方向を向いた面(下面)がリリースガイド521に当接し、-Y方向に移動可能となったリリースガイド521は、細幅テープカセット100と共に-Y方向に移動する。つまり、リリースガイド521は、移動部材として、初期位置(第1の位置)から、細幅テープカセット100の収納を妨げない待避位置(第2の位置)へと移動する。このようにリリースガイド521がY軸方向の負の向きに移動することで、リリーススプリング522が圧縮される。
【0064】
やがて、細幅テープカセット100は、図11(b)に示すように収納位置まで移動する。その際、係合突起部110は、+Y側から数えて3つ目の溝部703b(隣接する山形部703aの間)に嵌る。なお、係合突起部110が溝部703bに嵌った状態とは、図10に示す先細部110bを溝部703bの奥まで差し込んだ状態である。このように、係合突起部110が溝部703bに嵌ることにより、収納位置にある細幅テープカセット100を固定することができる。このとき、ロック部材700は、細幅テープカセット100を固定する位置である第4の位置にある。また、このとき、被係合部である溝部703bは、第1の係合部である係合突起部110と係合する係合位置にある。以上により、細幅テープカセット100のカセット収納部12cへの収納が完了する。
【0065】
カセット収納部12cから細幅テープカセット100を取り外す場合、ロック部材700を+S方向にスライドさせて、係合突起部110が溝部703bに嵌った状態を解消させる。これにより、圧縮されていいたリリーススプリング522が伸び、リリースガイド521は細幅テープカセット100をY軸方向の正の向きに移動させる。これにより、細幅テープカセット100がカセット収納部12cから飛び出し、ロック部材700によるロックが解除された細幅テープカセット100を取り出すことができる。なお、Y軸方向の正の向きに移動したリリースガイド521は、図10(a)に示すように、凸状部66の+Y側の端部を第1ガイド溝31の壁面に当接させて、初期位置(第1の位置)で停止する。また、ロック部材700は、ねじりコイルばね751(図7(b))の弾性力を受けて、-S方向に移動し第3の位置(初期位置)に復帰する。これに伴い、被係合部である溝部703bは、第1の係合部である係合突起部110と係合していない係合解除位置に復帰する。
【0066】
次に、太幅テープカセット200を収納する場合について、収納機構のうちカセットベース511及びカセットベースボタン512とその近傍の各部材の動作について説明する。図12(a)に示すように、太幅テープカセット200がカセット収納部12cに向けて押し下げられると、突出部200bの-Y方向を向いた面に設けられた押圧突起部2008がカセットベースボタン512とまず当接する。
【0067】
太幅テープカセット200の押圧突起部2008は、細幅テープカセット100の押圧突起部1008よりもY軸方向に沿って長く構成されている。換言すると、太幅テープカセット200の押圧突起部2008は、細幅テープカセット100の押圧突起部1008よりもテープ部材Mの幅方向に沿って長く構成されている。
【0068】
図12(b)に示すように、図12(a)の状態からさらに太幅テープカセット200が押し下げられると、カセットベースボタン512はY軸方向の負の向きに押し下げられる。このとき、カセットベースボタン512の被ガイド突起部512a(図6)がボタンガイド部5112の第2延設部5112bにガイドされるに伴って、カセットベース511は、厚肉部200aと干渉しないようにX軸方向の負の向きに移動する。つまり、カセットベース511は、太幅テープカセット200の収納を妨げない待避位置へと移動する。換言すれば、カセットベース511は、太幅テープカセット200の少なくとも一部(押圧突起部2008)が間接的に作用することで、初期位置から待避位置へと移動する。また、カセットベースボタン512がY軸方向の負の向きに移動することで、カセットベーススプリング513が圧縮される。
【0069】
図12(c)に示すように、図12(b)の状態からさらに太幅テープカセット200が押し下げられると、カセットベースボタン512はY軸方向の負の向きにさらに移動する。このとき、カセットベースボタン512の被ガイド突起部512a(図6)が、ボタンガイド部5112の第1延設部5112aにガイドされる。このようにして、太幅テープカセット200は押し下げられ、突出部200bが、カセットベース固定部5111及び台座12e(図2)に当接する。このようにして太幅テープカセット200は、収納位置まで移動し、これ以上、Y軸方向の負の向きに移動することがない。このように、太幅テープカセット200が収納位置まで移動することで、カセットベース511が移動し、太幅テープカセット200の収納空間が形成される。
【0070】
次に、太幅テープカセット200を収納する場合における、ロック部材700の動作について説明する。図13(a)に示す状態は、太幅テープカセット200がカセット収納部12cに向けて押し下げられるも、未だ太幅テープカセット200の係合突起部210がロック部材700に接触していない状態である。このとき、ロック部材700は、ねじりコイルばね751(図7(b))による付勢により、-S方向に付勢されており、+S側にあるフック部36が開口701aの壁面に当たることにより、初期位置に停止している。初期位置にあるロック部材700は、スライド方向Sにおいて、第2のロック部702が第1ガイド溝31と一致し、第1のロック部703が第2ガイド溝32と一致する。これにより、リリースガイド521の移動制限突起部65が、第2のロック部702の端面702aに当接し、リリースガイド521の-Y方向の移動が制限されている。また、このとき、被係合部である溝部703bは、第1の係合部である係合突起部210と係合していない係合解除位置にある。
【0071】
図13(a)の状態から、太幅テープカセット200を押し下げると、図13(b)に示すように、太幅テープカセット200の係合突起部210がロック部材700の摺動面703cに接触するようになる。
【0072】
図13(b)の状態から、さらに太幅テープカセット200を押し下げると、太幅テープカセット200の係合突起部210は、摺動面703cをスライドしながらロック部材700を押しのけていく。これにより、ロック部材700は、矢印A2で示す方向、すなわち+S方向にスライドしていく。このように、太幅テープカセット200を、図7(b)に示すねじりコイルばね751の付勢力に抗して押し下げることにより、図13(b)で示すロック部材700の位置と図14(a)で示すロック部材700の位置とから分かるように、ロック部材700を+S方向にスライド移動させることができる。図14(a)は、係合突起部210が山形部703aの先端と接し、ロック部材700が最も+S側にスライドした状態を示している。このように、ロック部材700が移動することにより、スライド方向Sにおいて、第2のロック部702の位置が第1ガイド溝31の位置からずれる。これにより、リリースガイド521は、-Y方向に移動することが可能となる。
【0073】
図14(a)の状態から、さらに太幅テープカセット200を押し下げると、係合突起部210が溝部703bに嵌った状態と、山形部703aの先端と接した状態とを繰り返す。これにより、ロック部材700は、+S方向と-S方向とに小刻みに移動する。
【0074】
また、このように太幅テープカセット200を押し下げていくことで、太幅テープカセット200の-Z方向を向いた面(下面)がリリースガイド521に当接し、-Y方向に移動可能となったリリースガイド521は、太幅テープカセット200と共に-Y方向に移動する。つまり、リリースガイド521は、移動部材として、初期位置(第1の位置)から、太幅テープカセット200の収納を妨げない待避位置(第2の位置)へと移動する。このようにリリースガイド521がY軸方向の負の向きに移動することで、リリーススプリング522が圧縮される。
【0075】
やがて太幅テープカセット200は、図14(b)に示すように収納位置まで移動する。その際、係合突起部210は、最も-Y側にある溝部703b(隣接する山形部703aの間)に嵌る。なお、係合突起部210が溝部703bに嵌った状態とは、図13に示す先細部210bを溝部703bの奥まで差し込んだ状態である。このように、係合突起部210が溝部703bに嵌ることにより、収納位置にある細幅テープカセット100を固定することができる。このとき、ロック部材700は、太幅テープカセット200を固定する位置である第4の位置にある。また、このとき、被係合部である溝部703bは、第1の係合部である係合突起部210と係合する係合位置にある。以上により、太幅テープカセット200のカセット収納部12cへの収納が完了する。
【0076】
カセット収納部12cから太幅テープカセット200を取り外す場合、ロック部材700を+S方向にスライドさせて、係合突起部210が溝部703bに嵌った状態を解消させる。これにより、圧縮されていいたリリーススプリング522が伸び、リリースガイド521は太幅テープカセット200をY軸方向の正の向きに移動させる。これにより、太幅テープカセット200がカセット収納部12cから飛び出し、ロック部材700によるロックが解除された太幅テープカセット200を取り出すことができる。なお、Y軸方向の正の向きに移動したリリースガイド521は、図13(a)に示すように、凸状部66の+Y側の端部を第1ガイド溝31の壁面に当接させて、初期位置で停止する。また、ロック部材700は、ねじりコイルばね751(図7(b))の弾性力を受けて、-S方向に移動し第3の位置(初期位置)に復帰する。これに伴い、被係合部である溝部703bは、第1の係合部である係合突起部210と係合していない係合解除位置に復帰する。
【0077】
以上のように、カセット収納部12cへの太幅テープカセット200の収納及び取り外しにおいて、収納機構は、細幅テープカセット100の収納及び取り外しの際と同様に動作(移動)する。ただし、太幅テープカセット200の厚肉部200aは、細幅テープカセット100の厚肉部100aよりも厚いため、カセット収納部12cの深い箇所まで挿入される。そのため、カセットベースボタン512及びリリースガイド521は、太幅テープカセット200を収納した場合、細幅テープカセット100を収納した場合よりもY軸方向の負の向きに大きく移動する。このように、細幅テープカセット100と太幅テープカセット200とでは、収納する際のY軸方向の負の向きの移動量が異なる。そのため、テープカセットが収納位置にあるときの、係合突起部110が嵌る溝部703bと、係合突起部210が嵌る溝部703bとは互いに異なっている。
【0078】
次に、カセット収納部12cにインクリボン付太幅テープカセット300を収納する場合について説明する。
【0079】
図15(a)に示すように、インクリボン付太幅テープカセット300をカセット収納部12cに向けて押し下げると、図15(b)に示すように、インクリボン付太幅テープカセット300は、カセットベース511の側面を摺動しながら下方へと移動する。インクリボン付太幅テープカセット300には、カセットベースボタン512を押圧するための押圧突起部が設けられておらず、インクリボン付太幅テープカセット300はカセットベースボタン512を押圧及び移動させることはない。インクリボン付太幅テープカセット300に設けられた突出部300bは、カセットベース固定部5111に当接する。このようにしてインクリボン付太幅テープカセット300は、収納位置まで移動し、これ以上、Y軸方向の負の向きに移動することがない。このように、カセットベース511及びカセットベースボタン512は初期位置から移動することなく、インクリボン付太幅テープカセット300のカセット収納部12cへの収納(固定)が完了する。
【0080】
一方、インクリボン付太幅テープカセット300は、図5に示すように、切欠部3008を、リリースガイド521の突出部64に摺動させながら下方へと移動する。なおインクリボン付太幅テープカセット300には、ロック部材700に当接する係合突起部110、210(図8(a)、図8(b))に相当する部材は形成されていない。そのため、インクリボン付太幅テープカセット300の収納時に、ロック部材700は移動することがなく、図16(a)に示すように、スライド方向Sにおいて、第2のロック部702が第1ガイド溝31に一致した状態のままである。これにより、リリースガイド521はY軸方向の負の向きに移動することはない。このことからインクリボン付太幅テープカセット300は、リリースガイド521,ロック部材700を初期位置から移動させることなく、図16(b)に示すようにカセット収納部12cへの収納(固定)が完了する。このように、インクリボン付太幅テープカセット300は、初期位置にあるリリースガイド521の突出部64(図5)と当接することにより、リリースガイド521に支持される。
【0081】
上記実施の形態によれば、カセット収納部12cに収納した細幅テープカセット100及び太幅テープカセット200を、ロック部材700を介して固定することができる。例えば、細幅テープカセット100が収納されている場合について説明すると、図11(b)に示すように、圧縮されたリリーススプリング522により、細幅テープカセット100には、待避位置(第2の位置)にあるリリースガイド521から+Y方向の力を受ける。一方、細幅テープカセット100は、係合突起部110に係合する複数の溝部703bにより、+Y方向の移動が制限されている。これにより、収納された細幅テープカセット100は、係合位置に移動した溝部703bと第2の位置にあるリリースガイド521との間で挟まれ固定される。太幅テープカセット200においても同様である。
【0082】
また、ロック部材700は、ねじりコイルばね751(図7(b))の復元力を受けて、初期位置に向けて(-S方向)に付勢されている。これにより、溝部703bと溝部703bに嵌った係合突起部110とを強く密着させることができ、細幅テープカセット100をより強固に固定することができる。
【0083】
また、図10(a)に示すように、係合突起部110に、溝部703bの形状に合わせた先細部110bを形成した。すなわち、係合突起部110の外形の少なくとも一部に、溝部703bの形状に合わせた形状部分を設けることで、溝部703bと係合突起部110とを合致させることができる。これにより、細幅テープカセット100をより強固に固定することができる。これらの効果は、太幅テープカセット200においても同様である。
【0084】
また、インクリボン付太幅テープカセット300を収納する際、図16(a)に示すように、移動制限突起部65が、第2のロック部702の端面702aに当たることで、リリースガイド521は-Y方向に移動することがない。そのため、テープカセット300の収納の際、あるいは収納後に、リリースガイド521がY軸方向に沿って動き出し、テープカセット300の姿勢が不安定になることを防ぐことができる。
【0085】
また、細幅テープカセット100及び太幅テープカセット200を収納する際には、係合突起部110、210を摺動面703cに摺動させることで、ロック部材700を+S方向にスライド移動させることができる。これにより、スライド方向Sにおいて、第2のロック部702の位置が第1ガイド溝31の位置からずれ、リリースガイド521を-Y方向に移動させることができる。このように、リリースガイド521を、収納するテープカセットに応じて、Y軸方向の移動を制限された状態と制限されていない状態との間で適宜変化させることができる。
【0086】
(変形例)
本発明の実施形態について説明したが、この実施形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、本発明の実施形態は種々の応用が可能であり、あらゆる実施形態が本発明の範囲に含まれる。
【0087】
印刷装置1はサーマルヘッドを備えるとしたが、これに限られるものではない。インクジェットプリンタ、レーザープリンタを含むあらゆる形態の印刷装置であってもよい。
【0088】
印刷装置1は各種情報を入力する入力部と、入力部により入力された各種情報を表示する表示部と、を備えるとしても良い。また、外部の入力装置又は表示装置に接続され、それらの装置を用いてユーザからの情報の入力の受け付け又はユーザへの情報の提示を行ってもよい。
【0089】
上記実施の形態において、カセットベースボタン512を押圧するための押圧突起部1008,2008を、細幅テープカセット100及び太幅テープカセット200の表面に突出させて形成していた。しかしながら、カセットベースボタン512をさらに+Y方向に延ばすことにより、このような押圧をするための突起部を省略することができる。
【0090】
また、実施の形態において第2延設部5112bのY軸に対する角度は、カセットベースボタン512の移動量に応じて任意に設定することができる。また、実施形態2において、突出部64に設けた傾斜面64aの角度と、延出部53に設けた傾斜面53aの角度も、カセットベース50の移動量に応じて任意に設定することができる。
【0091】
また、上記の実施形態では、テープカセットの収容空間の一部を画定する第1の部材(カセットベース511)と第2の部材(リリースガイド521)との移動方向は、互いに直交すると説明した。しかしながら、テープカセットの収容空間の大きさを適切に変更することができるのであれば、第1の部材と第2の部材との移動方向は互いに直交していなくてもよい。
【0092】
また、上記の実施の形態では、第1のロック部703に傾斜面である摺動面703cを設けたが、テープカセット側に摺動面を設け、第1のロック部703を水平の端面あるいは曲面として、摺動面を第1のロック部703が摺動する構成としてもよい。
【0093】
また、ロック部材700のスライド方向は、円周方向に沿ったものであると説明したが、直線方向にスライド移動する態様としてもよい。
【0094】
また、第1のロック部703に形成された溝部703bの形状は任意であり、係合突起部110、120に係合できるものであれば様々な形状のものから採用することができる。
【符号の説明】
【0095】
M…テープ部材、R…インクリボン、R’ …使用済みインクリボン、1…印刷装置、2…筐体、2a…平面、2b…曲面、2c…凹部、2d…排出口、8…主要部、10…サーマルヘッド、11…ベース部、11a…平板部、12…カセット保持部、12a…保持部本体、12b…脚部、12c…カセット収納部、12e…台座、12f…外周面、21…プラテンローラ、21a…プラテンローラ軸、23…リボン巻取り駆動軸、25…軸部、31…第1ガイド溝、32…第2ガイド溝、34…第3ガイド溝、35,36…フック部、35a,36a…突起、50…カセットベース、53…延出部、53a…傾斜面、61…フランジ、62…本体部、62a…接触面、63…柱状部、63b…外周面、64…突出部、64a…傾斜面、65…移動制限突起部、66…凸状部、100…細幅テープカセット、100a…厚肉部、110…係合突起部、100b…突出部、110a…円弧状部、110b…先細部、200…太幅テープカセット、200a…厚肉部、200b…突出部、210…係合突起部、210a…円弧状部、210b…先細部、300…インクリボン付太幅テープカセット、300a…厚肉部、300b…突出部、511…カセットベース、512…カセットベースボタン、512a…被ガイド突起部、513…カセットベーススプリング、521…リリースガイド、522…リリーススプリング、700…ロック部材、701…ベース部、701a…開口、702…第2のロック部、702a…端面、703…第1のロック部、703a…山形部、703b…溝部、703c…摺動面、751…ねじりコイルばね、1001…カセットケース、1001a…支持用切欠部、1002…テープコア、1005…リボン巻取り駆動軸貫通孔、1006…サーマルヘッド被挿入部、1008,2008…押圧突起部、3001…カセットケース、3001a…支持用切欠部、3002…テープコア、3004…リボン供給コア、3005…リボン巻取りコア、3006…サーマルヘッド被挿入部、3008…切欠部、5111…カセットベース固定部、5112…ボタンガイド部、5112a…第1延設部、5112b…第2延設部、5113…テープカセット検出スイッチ
図1
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