(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067349
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】車載部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
F01N 13/18 20100101AFI20240510BHJP
【FI】
F01N13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177353
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】柴田 京一
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004DA01
3G004DA07
3G004FA04
3G004GA06
(57)【要約】
【課題】センサボスが接合された流路部材を備える車載部品において、溶接品質を向上するための技術を提供する。
【解決手段】車両に搭載される車載部品は、流路部材と、センサボスと、を備える。流路部材は、流路を形成する。流路部材には、外部から流路内にセンサを挿入するための挿入孔が形成されている。センサボスは、挿入孔に挿入されたセンサを保持するように構成されている。流路部材における挿入孔を形成する縁部には、流路部材の外側へ突出する突部が設けられている。センサボスには、センサを挿通可能な連通路が形成されている。センサボスは、連通路が挿入孔に連通し且つ連通路を形成する内面の少なくとも一部が突部に接触している状態において、流路部材の外面に接合されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載部品であって、
流路を形成する流路部材であって、外部から前記流路内にセンサを挿入するための挿入孔が形成された前記流路部材と、
前記挿入孔に挿入された前記センサを保持するように構成されたセンサボスと、
を備え、
前記流路部材における前記挿入孔を形成する縁部には、前記流路部材の外側へ突出する突部が設けられ、
前記センサボスには、前記センサを挿通可能な連通路が形成され、
前記センサボスは、前記連通路が前記挿入孔に連通し且つ前記連通路を形成する内面の少なくとも一部が前記突部に接触している状態において、前記流路部材の外面に接合されている、車載部品。
【請求項2】
請求項1に記載の車載部品であって、
前記連通路の中心軸は、前記流路部材の外面に対して傾いている、車載部品。
【請求項3】
請求項2に記載の車載部品であって、
前記センサボスは、前記連通路を形成する内面における、前記連通路の中心軸に沿って前記流路部材側へ荷重が加えられた場合の前記流路部材の外面に沿った分力の作用方向における少なくとも手前側の部分が、前記突部に接触している状態において、前記流路部材の外面に接合されている、車載部品。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の車載部品であって、
前記突部は、前記挿入孔の全周を囲むように設けられている、車載部品。
【請求項5】
車両に搭載される車載部品の製造方法であって、
流路を形成する流路部材であって、外部から前記流路内にセンサを挿入するための挿入孔が形成された前記流路部材の外面に、前記センサを挿通可能な連通路が形成されたセンサボスを当接させることと、
前記流路部材の外面に当接している状態の前記センサボスを、前記流路部材の外面に溶接により接合することと、
を備え、
前記流路部材における前記挿入孔を形成する縁部には、前記流路部材の外側へ突出する突部が設けられ、
前記センサボスは、
前記連通路の一方の開口側の端面である当接面を有し、
前記連通路が前記挿入孔に連通し且つ前記連通路を形成する内面の少なくとも一部が前記突部に接触するように、前記当接面が前記流路部材の外面に当接される、車載部品の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の車載部品の製造方法であって、
前記連通路の中心軸は、前記当接面に対して傾いている、車載部品の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の車載部品の製造方法であって、
前記センサボスは、前記連通路を形成する内面における、前記連通路の中心軸に沿って前記当接面側へ荷重が加えられた場合の前記当接面に沿った分力の作用方向における少なくとも手前側の部分が、前記突部に接触するように、前記当接面が前記流路部材の外面に当接される、車載部品の製造方法。
【請求項8】
請求項5から請求項7までのいずれか1項に記載の車載部品の製造方法であって、
前記突部は、前記挿入孔の全周を囲むように設けられている、車載部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサボスが接合された流路部材を備える車載部品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、車両の内燃機関からの排ガスの流路を形成する配管を備えた吸排気系部品が記載されている。特許文献1に記載の吸排気系部品では、配管の外周上面にセンサボスが接合されている。センサボスに貫通形成された雌ネジ穴を通って配管内までセンサが挿通された場合、当該センサはセンサボスにより保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の吸排気系部品のような、センサボスが接合された流路部材を備える車載部品の製造にあたっては、例えば、溶接により流路部材にセンサボスが接合される。しかしながら、センサボスの溶接にあたっては、流路部材におけるあらかじめ設定された位置にセンサボスが当接されるところ、溶接時にセンサボスが当該位置からずれてしまう場合があった。流路部材に対するセンサボスの位置がずれた状態で溶接が行われた場合、溶接品質が低下してしまう可能性がある。
【0005】
なお、このような課題は、流路部材が特許文献1に記載の配管のような排ガスの流路を形成する部材である場合に加え、流路部材が排ガス以外の流路を形成する部材である場合にも同様に生じ得る。
【0006】
本開示の一局面は、センサボスが接合された流路部材を備える車載部品において、溶接品質を向上するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、車両に搭載される車載部品である。車載部品は、流路部材と、センサボスと、を備える。流路部材は、流路を形成する。流路部材には、外部から流路内にセンサを挿入するための挿入孔が形成されている。センサボスは、挿入孔に挿入されたセンサを保持するように構成されている。流路部材における挿入孔を形成する縁部には、流路部材の外側へ突出する突部が設けられている。センサボスには、センサを挿通可能な連通路が形成されている。また、センサボスは、連通路が挿入孔に連通し且つ連通路を形成する内面の少なくとも一部が突部に接触している状態において、流路部材の外面に接合されている。
【0008】
このような構成によれば、車載部品の製造過程においては、次のようにしてセンサボスを流路部材に接合することができる。すなわち、センサボスにおける連通路を形成する内面の少なくとも一部が突部に接触するようにセンサボスを流路部材の外面に当接させ、その状態においてセンサボスを溶接により流路部材の外面に接合することができる。したがって、センサボスの溶接時に、突部により流路部材に対するセンサボスの移動を規制することができるため、完成品の車載部品において、溶接品質を向上させることができる。
【0009】
本開示の一態様では、連通路の中心軸は、流路部材の外面に対して傾いていてもよい。
このような構成によれば、センサボスの溶接時に流路部材に対するセンサボスの位置が比較的ずれやすいところ、前述したようにしてセンサボスを流路部材の外面に当接させた状態でセンサボスの溶接を行うことにより、一層効果的に完成品の車載部品の溶接品質を向上させることができる。
【0010】
本開示の一態様では、センサボスは、連通路を形成する内面における、連通路の中心軸に沿って流路部材側へ荷重が加えられた場合の流路部材の外面に沿った分力の作用方向における少なくとも手前側の部分が、突部に接触している状態において、流路部材の外面に接合されていてもよい。
【0011】
このような構成によれば、車載部品の製造過程において、前述したようにしてセンサボスを流路部材の外面に当接させた状態で、連通路の中心軸に沿ってセンサボスを流路部材側へ押圧しながらセンサボスの溶接を行う場合であっても、突部により上記分力の作用方向へのセンサボスの移動を規制することができる。したがって、完成品の車載部品において、溶接品質を一層向上することができる。
【0012】
本開示の一態様では、突部は、挿入孔の全周を囲むように設けられていてもよい。
このような構成によれば、車載部品の製造過程において、前述したようにしてセンサボスを流路部材の外面に当接させた状態でセンサボスの溶接を行うことにより、挿入孔におけるいずれの径方向についても、突部によりセンサボスの移動を規制することができる。したがって、完成品の車載部品において、溶接品質を一層向上することができる。
【0013】
本開示の別の一態様は、車両に搭載される車載部品の製造方法である。車載部品の製造方法は、流路を形成する流路部材の外面にセンサボスを当接させることと、流路部材の外面に当接している状態のセンサボスを、流路部材の外面に溶接により接合することと、を備える。流路部材には、外部から流路内にセンサを挿入するための挿入孔が形成されている。流路部材における挿入孔を形成する縁部には、流路部材の外側へ突出する突部が設けられている。センサボスには、センサを挿通可能な連通路が形成されている。センサボスは、連通路の一方の開口側の端面である当接面を有する。また、センサボスは、連通路が挿入孔に連通し且つ連通路を形成する内面の少なくとも一部が突部に接触するように、当接面が流路部材の外面に当接される。
【0014】
このような構成によれば、センサボスの溶接時に、突部により流路部材に対するセンサボスの移動を規制することができる。このため、完成品の車載部品において、溶接品質を向上させることができる。
【0015】
本開示の別の一態様では、連通路の中心軸は、当接面に対して傾いていてもよい。
連通路の中心軸が当接面に対して傾いている場合には、センサボスの溶接時に流路部材に対するセンサボスの位置が比較的ずれやすいところ、上記のような構成によれば、一層効果的に完成品の車載部品の溶接品質を向上させることができる。
【0016】
本開示の別の一態様では、センサボスは、連通路を形成する内面における、連通路の中心軸に沿って当接面側へ荷重が加えられた場合の当接面に沿った分力の作用方向における少なくとも手前側の部分が、突部に接触するように、当接面が流路部材の外面に当接されてもよい。
【0017】
このような構成によれば、連通路の中心軸に沿ってセンサボスを流路部材側へ押圧しながらセンサボスの溶接を行う場合であっても、突部により上記分力の作用方向へのセンサボスの移動を規制することができる。したがって、完成品の車載部品において、溶接品質を一層向上することができる。
【0018】
本開示の別の一態様では、突部は、挿入孔の全周を囲むように設けられていてもよい。
このような構成によれば、センサボスの溶接時に、挿入孔におけるいずれの径方向についても、突部によりセンサボスの移動を規制することができる。したがって、完成品の車載部品において、溶接品質を一層向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】車載部品の一部を示す模式的な斜視図である。
【
図2】車載部品の一部を示す模式的な分解斜視図である。
【
図3】車載部品の一部を示す模式的な側面図である。
【
図4】当接工程を説明するための模式的な断面図である。
【
図5】溶接工程を説明するための模式的な断面図である。
【
図6】突部の変形例を示す模式的な分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.車載部品の構成]
図1~
図5は、車載部品1における流路部材2へのセンサボス3の接合構造を示すための模式図である。車載部品1は、車両に搭載されて用いられる。本実施形態の車載部品1は、排気系部品である。排気系部品は、車両の内燃機関の排気系の少なくとも一部を構成する部品である。排気系部品としては、例えば、エキゾーストマニホールド、排気管、触媒コンバータ、マフラ等が挙げられる。
【0021】
図1に示すように、車載部品1は、流路部材2と、センサボス3と、を備える。なお、図面において、流路部材2は、一部のみが模式的に示されている。
【0022】
流路部材2は、流路を形成する部材である。本実施形態では、流路部材2は、車両の内燃機関からの排ガスの流路を形成する。流路部材2は、板材により構成されている。流路部材2は、金属製である。図面における流路部材2の上面が、流路部材2の外面20に該当する。
図2に示すように、本実施形態では、流路部材2の外面20における少なくとも接合領域Hは、平面状である。接合領域Hは、流路部材2の外面20におけるセンサボス3が接合される領域である。
【0023】
図5に示される車載部品1の断面図は、
図3のV-V断面図である。
図4は、
図5に対応する車載部品1の分解断面図である。
図4及び
図5に示すように、流路部材2には、挿入孔21が形成されている。挿入孔21は、流路部材2の外部から流路内にセンサ(不図示)を挿入するための貫通孔である。具体的には、センサの先端部が、挿入孔21を介して流路内に挿入される。本実施形態の挿入孔21は、丸孔である。以下では、流路部材2における挿入孔21を形成する部分を、縁部22という。
【0024】
縁部22には、流路部材2の外側へ突出する突部23が設けられている。すなわち、突部23は、縁部22において流路部材2の外面20から突出する部分である。
図2に示すように、突部23は、挿入孔21の全周を囲むように形成されている。突部23は、バーリング加工により形成されている。
【0025】
図1に戻り、センサボス3は、流路部材2の外面20に接合されている。センサボス3は、挿入孔21に挿入されたセンサを保持するように構成された部材である。センサボス3は、金属製である。
図2及び
図4に示すように、センサボス3は、筒状である。センサボス3には、センサの先端部を挿通可能な連通路31が形成されている。連通路31の中心軸Xは、直線状である。以下では、センサボス3における連通路31の一方の開口側の端面、具体的には流路部材2側の端面を、当接面30aという。また、センサボス3における連通路31の他方の開口側の端面、つまり当接面30aと反対側の端面を、座面30bという。本実施形態では、当接面30a及び座面30bは、いずれも平面状である。
【0026】
図5に示すように、当接面30aにより形成される開口は、流路部材2における挿入孔21及び突部23をひとまとめに包含可能な大きさに構成されている。本実施形態では、当接面30aにより形成される開口は、当接面30a側から連通路31内に突部23が嵌まり込む大きさに構成されている。
【0027】
また、座面30bにより形成される開口は、センサの先端部を挿通可能な大きさであって、センサの拡径部を挿通不可能な大きさに構成されている。センサの先端部が座面30b側から連通路31内へ挿入された場合、センサの拡径部が座面30bに着座することによって、センサボス3によりセンサが保持される。
【0028】
図4に示すように、連通路31の中心軸Xは、当接面30aに対して傾いている。連通路31の中心軸Xが当接面30aに対して傾いていることとは、より詳細には、連通路31の中心軸Xと交点Pにおける当接面30aの法線Yとが角度を成していることをいう。交点Pは、連通路31の中心軸Xと当接面30aを含む仮想面M1との交点である。本実施形態では、前述したように、当接面30a及び座面30bがいずれも平面状である。このため、本実施形態では、連通路31の中心軸Xが当接面30aに対して傾いていることは、当接面30aを含む仮想面M1と座面30bを含む仮想面M2とが互いに交差することとも言い換えられる。
【0029】
前述したように、センサボス3は、流路部材2の外面20に接合されている。より詳細には、
図5に示すように、連通路31が挿入孔21に連通し、且つ、連通路31を形成する内面30cの少なくとも一部が突部23に接触している状態において、センサボス3は流路部材2の外面20に接合されている。本実施形態では、当接面30a側から連通路31内に突部23が嵌まり込んでいるため、センサボス3の内面30cは、当接面30a側の端部において、概ね全周にわたって突部23に接触している。センサボス3の内面30cは、後述する分力Faの作用方向における少なくとも手前側の部分が、突部23に接触している。また、当接面30aは、流路部材2の外面20における、挿入孔21及び突部23をひとまとめに囲む領域に当接している。流路部材2の外面20における、挿入孔21及び突部23をひとまとめに囲む領域は、前述した接合領域Hに該当する。
【0030】
このように、センサボス3は、流路部材2の外面20に当接面30aが当接している状態において、当該外面20に接合されている。したがって、車載部品1では、連通路31の中心軸Xは、流路部材2の外面20に対して傾いている。具体的には、連通路31の中心軸Xは、流路部材2の外面20における接合領域Hに対して傾いている。
【0031】
[2.車載部品の製造方法]
次に、車載部品1の製造方法について説明する。より詳細には、車載部品1の製造方法に含まれるセンサボス3の接合方法について説明する。車載部品1の製造方法は、
図4に示す当接工程と、
図5に示す溶接工程と、を備える。
【0032】
[2-1.当接工程]
図4に示すように、当接工程では、連通路31が挿入孔21に連通し、且つ、センサボス3の内面30cの少なくとも一部が突部33に接触するように、センサボス3の当接面30aが流路部材2の外面20に当接される。
【0033】
本実施形態では、突部23が当接面30a側から連通路31内に嵌まり込むように、当接面30aが流路部材2の外面20に当接される。このとき、センサボス3の内面30cは、当接面30a側の端部において概ね全周にわたって突部23に接触し得るが、特に、当該内面30cにおける後述する分力Faの作用方向における手前側の部分が突部23に接触するように、当接面30aが流路部材2の外面20に当接される。
【0034】
また、本実施形態では、当接面30aは、流路部材2の外面20(具体的には接合領域H)の形状に対応して、平面状に形成されている。このため、前述したようにして当接面30aが流路部材2の外面20に当接されることにより、当接面30aは、流路部材2の外面20と実質的に隙間なく接触する。
【0035】
[2-2.溶接工程]
図5に示すように、続く溶接工程では、当接面30aが流路部材2の外面20に当接している状態のセンサボス3における座面30bを覆うように、押圧部材100が配置される。押圧部材100は、センサボス3を流路部材2側へ押圧するための部材である。本実施形態の押圧部材100は、クランプである。
図5では、押圧部材100が模式的に示されている。なお、押圧部材100は、クランプに限定されず、例えば、センサボス3を流路部材2側へ押圧するためのブロック状の治具等であってもよい。
【0036】
そして、センサボス3は、押圧部材100により連通路31の中心軸Xに沿って流路部材2側へ押圧されている状態において、流路部材2の外面20に溶接により接合される。これにより、車載部品1が得られる。
【0037】
[3.作用]
車載部品1の製造にあたり、センサボス3は、当接面30aが流路部材2の外面20に当接され、その後に溶接により流路部材2の外面20に接合される。この溶接時に、流路部材2に対するセンサボス3の位置がずれてしまうことが考えられる。
【0038】
しかし、センサボス3は、流路部材2への溶接にあたり、その内面30cの少なくとも一部が流路部材2の突部23に接触するように、当接面30aが流路部材2の外面20に当接される。このため、突部23により、流路部材2の外面20に沿った方向へのセンサボス3の移動が規制される。つまり、センサボス3は、流路部材2の外面20に沿った方向へ移動しにくくなる。
【0039】
本実施形態では、センサボス3は、連通路31の中心軸Xが当接面30aに対して傾いている。このため、連通路31の中心軸Xが当接面30aに対して傾いていない構成、つまり連通路31の中心軸Xが当接面30aに対して垂直である構成と比較すると、流路部材2の外面20上でセンサボス3の姿勢が安定しにくい。このように流路部材2に対してセンサボス3の位置が比較的ずれやすい構成であっても、センサボス3の溶接にあたり、その内面30cの少なくとも一部が突部23に接触していることにより、流路部材2の外面20に沿った方向へのセンサボス3の移動が規制される。
【0040】
特に本実施形態では、センサボス3の溶接にあたり、押圧部材100がセンサボス3の座面30bを覆うように配置され、この押圧部材100によりセンサボス3が連通路31の中心軸Xに沿って流路部材2側へ押圧される。押圧部材100により座面30bが覆われることにより、溶接で発生するスパッタが座面30bに付着してしまうことが抑制される。
【0041】
その一方で、連通路31の中心軸Xが当接面30aに対して傾いているために、センサボス3に加えられる連通路31の中心軸Xに沿った荷重Fのうち、流路部材2の外面20に沿った分力Faは、当該外面20に沿ってセンサボス3を移動させる方向へ働いてしまう。このような場合であっても、センサボス3の内面30cにおける、連通路31の中心軸Xに沿って当接面30a側へ荷重Fが加えられた場合の上記分力Faの作用方向における少なくとも手前側の部分が、突部23に接触するように、センサボス3が流路部材2の外面20に当接されることにより、上記分力Faの作用方向へのセンサボス3の移動が規制される。なお、
図5には、理解を容易にするため、流路部材2の外面20に沿った分力Faに加えて、流路部材2の外面20に垂直な分力Fbも示されている。
【0042】
また、本実施形態では、突部23が挿入孔21の全周を囲むように形成されている。このため、挿入孔21におけるいずれの径方向についても、センサボス3の移動が規制される。
【0043】
[4.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(4a)車載部品1の製造方法では、当接工程において、連通路31が挿入孔21に連通し、且つ、センサボス3の内面30cの少なくとも一部が突部33に接触するように、センサボス3の当接面30aが流路部材2の外面20に当接される。そして、続く溶接工程において、当接面30aが流路部材2の外面20に当接している状態のセンサボス3が、当該外面20に接合される。
【0044】
このような構成によれば、センサボス3の溶接時に、その内面30cの少なくとも一部が突部33に接触しているため、突部23により流路部材2の外面20に沿った方向へのセンサボス3の移動を規制することができる。したがって、完成品の車載部品1において、溶接品質を向上することができる。
【0045】
(4b)連通路31の中心軸Xは、当接面30aに対して傾いている。すなわち、当接面30aが流路部材2の外面20に当接している状態においては、連通路31の中心軸Xは、流路部材2の外面20に対して傾いている。このように連通路31の中心軸Xが流路部材2の外面20に対して傾いていることにより、完成品の車載部品1では、連通路31の中心軸Xが流路部材2の外面20に対して傾いていない構成と比較して、流路部材2の外面20からのセンサボス3の高さを抑えることができる。したがって、車載部品1を車両に搭載するにあたり、車載部品1の配置の自由度を高めることができる。
【0046】
その一方で、車載部品1の製造過程では、連通路31の中心軸Xが当接面30aに対して傾いていることにより、溶接工程において、流路部材2に対するセンサボス3の位置が比較的ずれやすい。このように、センサボス3の溶接時に、流路部材2に対するセンサボス3の位置が比較的ずれやすい構成についても、上記(4a)でも述べた製造方法を適用することにより、突部23により流路部材2の外面20に沿った方向へのセンサボス3の移動を規制することができる。したがって、完成品の車載部品1において、溶接品質を向上することができる。
【0047】
(4c)溶接工程では、押圧部材100によりセンサボス3が流路部材2側へ押圧されている状態において、センサボス3の溶接が行われる。具体的には、センサボス3は、押圧部材100により連通路31の中心軸Xに沿って流路部材2側へ押圧される。このとき、本実施形態では連通路31の中心軸Xが当接面30aに対して傾いているため、センサボス3に加えられる連通路31の中心軸Xに沿った荷重Fのうち、流路部材2の外面20に沿った分力Faによって、流路部材2に対するセンサボス3の位置がずれやすいことが考えられる。
【0048】
そこで、本実施形態では、当接工程において、センサボス3の内面30cにおける、連通路31の中心軸Xに沿って当接面30a側へ荷重Fが加えられた場合の上記分力Faの作用方向における少なくとも手前側の部分が、突部23に接触するように、センサボス3が流路部材2の外面20に当接される。このような構成によれば、続く溶接工程において、センサボス3が連通路31の中心軸Xに沿って流路部材2側へ押圧された場合に、突部23により上記分力Faの作用方向へのセンサボス3の移動を規制することができる。したがって、センサボス3の内面30cにおける上記少なくとも手前側の部分が突部23に接触していない状態においてセンサボス3の溶接が行われる場合と比較して、完成品の車載部品1において、溶接品質を一層向上することができる。
【0049】
(4d)突部23は、挿入孔21の全周を囲むように設けられている。このような構成によれば、当接工程において、センサボス3の内面30cの少なくとも一部が突部33に接触するように、センサボス3の当接面30aが流路部材2の外面20に当接されることにより、その後の溶接工程において、挿入孔21におけるいずれの径方向についても、突部23によりセンサボス3の移動を規制することができる。したがって、完成品の車載部品1において、溶接品質を一層向上することができる。
【0050】
(4e)本実施形態では、車載部品1は、排気系部品である。そして、センサボス3は、流路部材2の外面20に当接面30aが当接している状態において、当該外面20に接合されている。センサボス3は、その全ての部分が流路部材2の外側に配置されている。
【0051】
このような構成によれば、流路部材2により形成される流路には高温の排ガスが流れることが想定されるところ、センサボス3が挿入孔21から内側には配置されていないため、センサボス3へ排ガスが直接当たることを抑制することができる。すなわち、センサボス3における熱害の発生を抑制することができる。
【0052】
特に本実施形態では、上記(4d)でも述べたように、突部23が挿入孔21の全周を囲むように設けられている。したがって、センサボス3へ排ガスが直接当たることを一層抑制することができる。すなわち、センサボス3における熱害の発生を一層抑制することができる。
【0053】
[5.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0054】
(5a)上記実施形態では、突部23はバーリング加工により形成されているが、突部23の形成方法は特に限定されない。例えば、突部23は、鋳造により形成されてもよい。
【0055】
(5b)上記実施形態では、突部23は、挿入孔21の全周を囲むように形成されている。しかし、縁部22における挿入孔21周りの突部23が形成される範囲は、特に限定されない。
【0056】
例えば、
図6に示すように、突部23aは、縁部22における挿入孔21周りの半周分の範囲に形成されてもよい。この場合、センサボス3の溶接にあたっては、センサボス3の内面30cにおける、連通路31の中心軸Xに沿って当接面30a側へ荷重Fが加えられた場合の前述した分力Faの作用方向における手前側の部分が、突部23aに接触するように、当接面30aが流路部材2の外面20に当接されてもよい。そして、その状態において、センサボス3が流路部材2の外面20に溶接により接合されてもよい。
【0057】
このような構成によれば、センサボス3の溶接時に、突部23aにより上記分力Faの作用方向へのセンサボス3の移動を規制することができる。したがって、完成品の車載部品において、溶接品質を向上することができる。
【0058】
(5c)また例えば、突部は、上記実施形態や
図6に示す例のように挿入孔21周りに一続きに連なる1つの部分として形成されてもよいし、挿入孔21周りに互いに離間して配置された複数の部分として形成されてもよい。
【0059】
(5d)上記実施形態の溶接工程では、押圧部材100によりセンサボス3が連通路31の中心軸Xに沿って流路部材2側へ押圧されている状態において、センサボス3の溶接が行われる。しかし、溶接工程において、センサボス3は、必ずしも押圧部材100により連通路31の中心軸Xに沿って流路部材2側へ押圧されなくてもよい。ただし、前述したように、押圧部材100により座面30bが覆われた状態でセンサボス3の溶接が行われることにより、座面30bへのスパッタの付着を抑制することができる。
【0060】
(5e)上記実施形態では、連通路31の中心軸Xは、当接面30aに対して傾いているが、必ずしも当接面30aに対して傾いていなくてもよい。例えば、連通路31の中心軸Xは、当接面30aに対して垂直であってもよい。言い換えれば、連通路31の中心軸Xは、前述した交点Pにおける当接面30aの法線Yと一致していてもよい。
【0061】
(5f)上記実施形態では、センサボス3は筒状であるが、センサボスの形状は特に限定されない。例えば、センサボスは、連通路31が形成された、筒状以外の形状であってもよい。
【0062】
(5g)流路部材の形状も特に限定されない。すなわち、流路部材の外面における接合領域は、上記実施形態のように平面状であってもよいし、平面状以外であってもよい。例えば、接合領域は、曲面状であってもよい。この場合、センサボスの当接面は、上記実施形態のような平面状ではなく、接合領域に対応する形状に構成されてもよい。なお、センサボスの座面の形状も、挿入されるセンサの形状に応じて適宜設計されてもよい。
【0063】
(5h)上記実施形態では、車載部品1は、排気系部品である。しかし、車載部品は、排気系部品に限定されず、例えば、排ガス以外の流路を形成する流路部材と、その外面に接合されたセンサボス3と、を備えた排気系部品以外の部品であってもよい。
【0064】
(5i)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…車載部品、2…流路部材、20…外面、21…挿入孔、22…縁部、23…突部、3…センサボス、30a…当接面、30b…座面、30c…内面、31…連通路、100…押圧部材、F…荷重、Fa,Fb…分力、X…中心軸。