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特開2024-6735粉体の供給添加装置、及び、粉体の供給添加方法
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  • 特開-粉体の供給添加装置、及び、粉体の供給添加方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006735
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】粉体の供給添加装置、及び、粉体の供給添加方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 4/00 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
B01J4/00 105B
B01J4/00 105D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107910
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000154727
【氏名又は名称】株式会社片山化学工業研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 寛
【テーマコード(参考)】
4G068
【Fターム(参考)】
4G068AA01
4G068AB22
4G068AC11
4G068AD29
4G068AD33
4G068AD36
4G068AF31
(57)【要約】
【課題】粉体を貯蔵した容器等から添加装置に輸送して被添加物に供給する際に、ホース等の供給部材に破損や閉塞が生じ難く、また、供給及び添加時の粉体飛散を効果的に防止でき、更に装置の設置場所の選択が自由な粉体の供給添加装置を提供する。
【解決手段】粉体を貯留する容器と、添加対象物に対して上記粉体を添加する添加装置と、上記容器と上記添加装置とを繋ぐ粉体供給部材とを備えた粉体の供給添加装置であって、上記粉体供給部材に吸引手段が接続されており、上記粉体は、上記吸引手段により上記容器から吸引され上記粉体供給部材を通って上記添加装置に供給され、上記添加装置は、連続かつ無圧力で上記添加対象物に上記粉体の添加ができる粉体添加手段を備えることを特徴とする粉体の供給添加装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を貯留する容器と、添加対象物に対して前記粉体を添加する添加装置と、前記容器と前記添加装置とを繋ぐ粉体輸送部材とを備えた粉体の供給添加装置であって、
前記粉体輸送部材に吸引手段が接続されており、
前記粉体は、前記吸引手段により前記容器から吸引され前記粉体輸送部材を通って前記添加装置に供給され、
前記添加装置は、連続かつ無圧力で前記添加対象物に前記粉体の添加ができる粉体添加手段を備える
ことを特徴とする粉体の供給添加装置。
【請求項2】
前記粉体の供給量に応じて前記粉体供給手段の添加速度を制御する制御部を有する請求項1記載の粉体の供給添加装置。
【請求項3】
前記添加装置は、前記添加対象物の上部に配置されている請求項1又は2に記載の粉体の供給添加装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の粉体の供給添加装置を用いた粉体の供給添加方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉体の供給添加装置、及び、該粉体の供給添加装置を用いた粉体の供給添加方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体製品を輸送対象となる添加設備(ベルトコンベアやホッパー等)に添加する場合、従来、ポンプ(モーノポンプ)や空気圧送、バケットコンベア、ディスクコンベア等により移送していた。
しかしながら、ポンプや空気圧送により粉体を輸送する方法では、粉体輸送時に高流速粉体によってホース内面が摩耗(著しい場合はホースが破損)したり、該ホースの破損個所から粉体飛散などが起こったりすることがあり、適切な粉体製品の添加設備への添加が困難となることがあった。また、バケットコンベアは装置が大きいために設置スペースの確保が難しい場合が多く、ディスクコンベアでは高い位置に粉体を輸送することに適さないという問題があった。
【0003】
このような問題に対し、例えば、特許文献1には定量した添加粉末を、母材粉末に貫入されたスクリューフィーダーを通じて供給することで添加粉末の飛散を防ぐ技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、母材粉末が間欠添加であり連続的な母材粉末の添加ができず、また、母材粉末を中間貯蔵部からホッパーまで移送する手段が開示されていない。
また、例えば、特許文献2には粉体の高所(又は離れた場所)への気流輸送の手段として圧送によるものと真空吸引によるものとがある旨が開示されている。
しかしながら、特許文献2に開示の技術は、ベルトコンベアやホッパー等に対して粉体を添加する手段は具体的に開示しておらず、また、真空吸引で粉体を輸送することの効果については何ら開示されていない。
【0004】
また、例えば、モーノポンプを使用して粉体製品を移送する方法や、コンベアを利用して粉体製品を移送する方法等も従来から検討されている。
しかしながら、モーノポンプを使用する方法は、粉体製品を高い位置にまで移送することができないため、添加装置を設置可能な場所の制約が多く、また、モーノポンプ停止時に粉体製品が移送される管内に残留して閉塞が生じやすいという問題もあった。
また、コンベアを利用する方法では、粉体製品を高い位置にまで移送することが難しく、また、設備が大型となり、添加装置を設置可能な場所の制約がより多くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09-253475号公報
【特許文献2】特開昭54-27185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、粉体を貯蔵した容器等から添加装置に輸送して被添加物に供給する際に、ホース等の供給部材に破損や閉塞が生じ難く、また、供給及び添加時の粉体飛散を効果的に防止でき、更に装置の設置場所の選択が自由な粉体の供給添加装置、及び、該粉体の供給添加装置を用いた粉体供給添加方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、粉体を貯蔵する容器から供給対象物に粉体を供給する添加装置までは吸引手段を用いて粉体の供給を行い、添加装置から供給対象物へ連続かつ無圧力で粉体を添加することで、ホース等の供給部材の破損を防止し、かつ、供給及び添加時に粉体飛散を効果的に防止でき、更に装置の設置場所の選択が自由になることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
(1)本発明は、粉体を貯留する容器と、添加対象物に対して上記粉体を添加する添加装置と、上記容器と上記添加装置とを繋ぐ粉体輸送部材とを備えた粉体の供給添加装置であって、上記粉体輸送部材に吸引手段が接続されており、上記粉体は、上記吸引手段により上記容器から吸引され上記粉体輸送部材を通って上記添加装置に供給され、上記添加装置は、連続かつ無圧力で上記添加対象物に上記粉体の添加ができる粉体添加手段を備えることを特徴とする粉体の供給添加装置である。
(2)また、本発明は、上記粉体の供給量に応じて上記粉体供給手段の添加速度を制御する制御部を有する(1)に記載の粉体の供給装置であることが好ましい。
(3)また、上記添加装置は、上記供給対象物の上部に配置されている(1)又は(2)に記載の粉体の供給装置であることが好ましい。
(4)また、本発明は、(1)~(3)のいずれかに記載の粉体の供給添加装置を用いた粉体の供給添加方法でもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明に係る粉体の供給添加装置の一例を示す模式図である。
図1に示したように、本発明の粉体の供給添加装置10は、粉体6を貯留する容器1と、添加対象物5に対して粉体6を添加する添加装置3と、容器1と添加装置3とを繋ぐ粉体輸送部材2とを備えている。
【0010】
本発明に係る粉体の供給添加装置10は、粉体輸送部材2に吸引手段4が接続されており、粉体6は、吸引手段4により容器1から吸引され粉体輸送部材2を通って添加装置3に供給される。
粉体6が吸引により容器1から添加装置3に供給されることで、微粉が舞い難く周辺設備に悪影響を与え難くなる。
【0011】
吸引手段4としては特に限定されず、例えば、真空ポンプ、真空搬送装置、吸引式空気輸送装置、バキュームコンベア、吸引搬送システム等が挙げられる。
また、吸引手段4による粉体6の吸引の条件は、粉体6の種類、容器1と添加装置3との距離や粉体輸送部材2の材質及び耐久性等を考慮して適宜決定される。
【0012】
容器1は、その内部に粉体6を貯蔵できるコンテナ等従来公知のものが挙げられるが、内部に貯蔵した粉体6の排出時の飛散を抑制でき、かつ、後述する粉体輸送部材2を接続できる部材を備えることが好ましい。
このような容器1としては、例えば、図1に示したように容器1は底が漏斗状で、該漏斗状の底の頂点に粉体6の排出口が設けられ、該排出口に取り付け治具が接続された構造が挙げられる。容器1の底が漏斗状であることで容器1内に供給した粉体6が自重で排出口から排出されるため容器1内での粉体6の飛散を抑制でき、かつ、無駄なく粉体6を容器1から排出させることができる。また、排出口に取り付け治具が接続されることで、粉体輸送部材2への接続が容易となる。
【0013】
粉体輸送部材2は、容器1と添加装置3とを接続して粉体6を容器1から添加装置3に供給するための部材である。このような粉体輸送部材2としては、内部に粉体6を流通させることができる部材であれば特に限定されないが、配管等に用いられる剛直なパイプや、可撓性を有するホース等が挙げられる。
【0014】
上記パイプとしては剛直な材料からなる物が挙げられ、例えば、銅パイプ、ステンレススチールパイプ、合成樹脂パイプ等公知の材料からなるパイプが挙げられる。
また、上記ホースとしては可撓性を有するものであればよく、例えば、ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂等が挙げられる。
このような粉体輸送部材2は、内部を流通する粉体の種類や粉体が通過する際にかかる負荷等を考慮して適宜決定される。
なかでも、上記可撓性を有するホースであることが好ましい。粉体輸送部材2が可撓性を有することで、容器1と添加装置3との間に障害となる物が存在していても、該障害となる物を避けて粉体輸送部材2を配置できるため、既存の工場に容易に本発明に係る粉体の供給添加装置10を容易に設置することができる。また、可撓性を有することで内部を流通する粉体による破損を受けにくくすることもできる。
【0015】
可撓性を有する粉体輸送部材2としては、例えば、ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂等からなるホースが好適に用いられる。
本発明において、上記ホースの長さは本発明に係る粉体の供給添加装置を設置する工場のレイアウト等に応じて適宜決定すればよいが、上記ホースの長さは、例えば、5m以上であることが好ましい。上記ホースの長さが5m以上であることで、例えば、容器1を地上に設置した状態で添加装置3を添加対象物5の上部に配置することが容易となる。なお、実際に本発明に係る供給添加装置を設置する現場によっては、上記ホースの長さは5m未満であってもよい。
【0016】
添加装置3は、容器1から粉体輸送部材2を通して供給された粉体6を添加対象物5に添加するための装置であり、連続かつ無圧力で添加対象物5に粉体6の添加ができる粉体添加手段を備える。
上記粉体添加手段としては連続かつ無圧力で添加対象物5に粉体6の添加ができる手段であれば特に限定されないが、例えば、スクリューフィーダー、ベルトコンベア、サークルフィーダ(登録商標)、ディスクコンベア等が挙げられる。なかでも、粉体6の飛散抑制をより効果的に行うことができることからスクリューフィーダーが好適である。
なお、「連続かつ無圧力」とは、添加される粉体6が、問題にならない程度で脈動や飛散しない状態で連続的に添加される条件であり、具体的には特に限定されないが、例えば、上記粉体添加手段がスクリューフィーダーの場合、回転数が10~100rpm程度であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0017】
また、図示しないが、本発明に係る粉体の供給添加装置10は、添加対象物5の流量に応じて上記粉体供給手段の添加速度を制御する制御部を有することが好ましい。例えば、上記粉体供給手段がスクリューフィーダーである場合、上記制御部により添加対象物5の流量に応じてスクリューフィーダーのスクリューの回転数を制御することで、粉体6の添加量を調整することができ、連続的な粉体6の添加が可能となる。
【0018】
上記粉体供給手段を備えた添加装置3は、添加対象物5の上部に配置されていることが好ましい。既存の工場内に本発明に係る粉体の供給添加装置10を設置する場合、設置スペースの確保が難しい場合が多いが、添加装置3が添加対象物5の上部に配置されることでスペースの確保が容易となり、また、連続的かつ無圧力で添加される粉体6の自然落下を利用して添加対象物5に粉体6を添加できるので、粉体6の飛散をより効果的に抑制できる。
【0019】
本発明に係る粉体の供給添加装置10において、粉体6としては特に限定されないが、例えば、粒子径が1~1000μm程度の粉体が好適に用いられ、このような粉体としては、具体的には、凝集剤、吸水性樹脂、分散剤等の高分子粉末、炭酸カルシウム粉末、酸化カルシウム粉末、酸化マグネシウム粉末等の無機粉末等が挙げられる。なお、粉体6の粒子径はより好ましい下限は100μm、より好ましい上限は500μmである。
また、上記粉体6が添加される添加対象物5としては、例えば、石炭、コークス、鉄鉱石、バイオマス燃料等の粉体や、食品、機械、プラスチック製品等の工業製品等任意の物が挙げられる。
【0020】
このような添加対象物5は、例えば、ベルトコンベア等の移動装置7上に載置され移動し、添加装置3の下にきたときに粉体6が添加される。
図1に示したように、添加対象物5が粉体であって、移動装置7上に幅広く載置されている場合や、添加対象物5が大きな工業製品であるような場合、粉体6を均一に添加対象物5に添加させるため、添加装置3は、添加対象物5の幅方向に移動するように配置してもよく、複数の添加装置3を添加対象物5の幅方向に並べて配置してもよい。
【0021】
本発明に係る粉体の供給添加装置10は、上述した構成からなるため、ホース等の供給部材の破損を防止し、かつ、供給及び添加時に粉体飛散を効果的に防止でき、更に装置の設置場所の選択が自由にすることができる。
このような本発明に係る粉体の供給添加装置を用いた粉体の供給添加方法もまた、本発明の一つである。
【0022】
本発明の粉体の供給添加方法は、上述した粉体の供給添加装置を用いるため、移送時の粉体の飛散及びホース等の部材の破損を抑制でき、添加装置を添加対象物の上部に配置することも容易であるため、既存の工場に対しても好適に適用できる。
一方、容器から添加装置までの粉体の移送を空気圧送により行うと、粉体に圧力がかかった状態で移送されるため装置の周囲に粉体の飛散が防止できず、また、容器と添加装置とを繋ぐホース等の部材に大きな圧力がかかるため、ホースの抜けや破れが生じる危険性がある。
更に、容器から添加装置までの粉体の移送をモーノポンプにより行うと、高い位置への粉体の移送が難しく、添加装置を添加対象物の上部に設置することができないため、装置の設置場所に制限がかかり、また、モーノポンプ停止時に粉体がホース内に残りやすく閉塞が生じる危険性がある。
【発明の効果】
【0023】
本発明の粉体の供給添加装置によると、ホース等の供給部材の破損を防止し、かつ、供給及び添加時に粉体飛散を効果的に防止でき、更に装置の設置場所の選択が自由にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明に係る粉体の供給添加装置の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0025】
1 容器
2 粉体輸送部材
3 添加装置
4 吸引手段
5 添加対象物
6 粉体
7 移動装置
10 粉体の供給添加装置
図1