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特開2024-67360超音波画像生成システムおよび超音波画像生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067360
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】超音波画像生成システムおよび超音波画像生成方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/06 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
G01N29/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177368
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 栞太
(72)【発明者】
【氏名】星 岳志
(72)【発明者】
【氏名】千星 淳
(72)【発明者】
【氏名】大塚 優
(72)【発明者】
【氏名】土橋 健太郎
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA06
2G047AB07
2G047BA03
2G047BC03
2G047BC07
2G047DA01
2G047DA02
2G047DA03
2G047DB02
2G047GB02
2G047GG20
2G047GG33
2G047GG35
2G047GH06
(57)【要約】
【課題】対象物の内部の状態を示す画像を鮮明に生成することができる超音波画像生成技術を提供する。
【解決手段】超音波画像生成システム1は、検査の対象となる対象物Mに含まれる検出対象Kの探傷を行う超音波探触子10により得られる超音波データから、対象物Mの内部の状態を示す画像を生成する、1つ以上のコンピュータを備え、コンピュータは、複数の学習用データと、それぞれの学習用データ中に存在する検出対象の特定の領域を示す特定共通領域39を検出対象Kの位置として設定した教師ラベル40と、を用いて機械学習済みの判定モデルに、判定の対象となる複数の判定用データを入力し、それぞれの判定用データ中の位置を示す単位ごとに検出対象Kが存在するか否かを判定可能な判定値を出力させ、複数の判定値を用いて画像を生成する、ように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査の対象となる対象物に含まれる検出対象の探傷を行う超音波探触子により得られる超音波データから、前記対象物の内部の状態を示す画像を生成する、1つ以上のコンピュータを備え、
前記コンピュータは、
前記超音波データまたはこれを模したデータの少なくとも一方である、複数の学習用データと、それぞれの前記学習用データ中に存在する前記検出対象の特定の領域を示す特定共通領域を前記検出対象の位置として設定した教師ラベルと、を用いて機械学習済みの判定モデルに、
前記超音波データである、判定の対象となる複数の判定用データを入力し、それぞれの前記判定用データ中の位置を示す単位ごとに前記検出対象が存在するか否かを判定可能な判定値を出力させ、
複数の前記判定値を用いて前記画像を生成する、
ように構成されている、
超音波画像生成システム。
【請求項2】
前記特定共通領域の最大長は、前記超音波探触子が用いた超音波の周波数の波長の4分の1以上である、
請求項1に記載の超音波画像生成システム。
【請求項3】
前記特定共通領域は、前記検出対象の端部である、
請求項1または請求項2に記載の超音波画像生成システム。
【請求項4】
前記コンピュータは、前記判定値に基づいて生成された判定済データから前記検出対象の位置を抽出する、
請求項1または請求項2に記載の超音波画像生成システム。
【請求項5】
前記超音波データは、超音波画像であり、
前記単位は、画素であり、
前記判定モデルは、セグメンテーションで機械学習がされたものである、
請求項1または請求項2に記載の超音波画像生成システム。
【請求項6】
前記判定値は、前記検出対象が存在する度合いを示す連続値である、
請求項1または請求項2に記載の超音波画像生成システム。
【請求項7】
前記判定用データは、前記対象物の断面を示す断面画像であり、
複数の前記判定値を用いて生成される前記画像は、前記断面画像とは異なる方向から前記対象物の見た状態のものである、
請求項1または請求項2に記載の超音波画像生成システム。
【請求項8】
複数の前記判定値を用いて生成される前記画像は、前記対象物を上面から見た状態を示す上面画像である、
請求項7に記載の超音波画像生成システム。
【請求項9】
検査の対象となる対象物に含まれる検出対象の探傷を行う超音波探触子により得られる超音波データから、前記対象物の内部の状態を示す画像を生成する、1つ以上のコンピュータを用いて行う方法であり、
前記超音波データまたはこれを模したデータの少なくとも一方である、複数の学習用データと、それぞれの前記学習用データ中に存在する前記検出対象の特定の領域を示す特定共通領域を前記検出対象の位置として設定した教師ラベルと、を用いて機械学習済みの判定モデルに、
前記超音波データである、判定の対象となる複数の判定用データを入力し、それぞれの前記判定用データ中の位置を示す単位ごとに前記検出対象が存在するか否かを判定可能な判定値を出力させ、
複数の前記判定値を用いて前記画像を生成する、
処理を前記コンピュータが実行する、
超音波画像生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波画像生成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波検査は、構造物の検査を行う手段として広く使われている。検査員は、超音波検査によって得られる断面画像から、その構造物内部の欠陥の有無を検出し、その位置および深さの測定を行う。ここで、欠陥を判定するために用いられる超音波波形の表示方法として、超音波の波形(A-Scope)、断面画像(B-Scope)、上面画像(C-Scope)などがある。
【0003】
A-Scopeは、波形で表示されるため、波形のエコーの位置(時間)と音速を計算することで、部材の板厚および欠陥(不連続部)までの位置を推定することができる。また、超音波探触子を走査し、A-Scopeを等間隔で取得することで、波形データであるA-Scopeから2次元データの画像化を行うことができる。例えば、1次元的に超音波探触子を走査することで、B-Scopeとして断面構造を可視化することができる。また、2次元的に超音波探触子を走査することで、構造物を上から見たときの構造物の内部構造を可視化することができる。また、コ字状(四角形状)を描くように超音波探触子を2次元的に走査する方法をラスタ走査(ラスタスキャン)という。
【0004】
B-Scopeでは欠陥の深さが分かる。C-Scopeでは欠陥の範囲と分布が分かる。例えば、亀裂がどこまで延びているか、ブローホールがどのあたりに分布しているかが一目で分かる。
【0005】
図19から図21に示すように、従来の描画手法では、A-Scope(波形)または複数枚のB-Scopeの画像60(断面画像)から、1枚のC-Scopeの画像61(上面画像)を再構成して描画している。ここで、B-Scopeの画像60からC-Scopeの画像61を生成する一般的な手法を説明する。まず、検査対象となる対象物Mに対して、アレイ探触子10をX方向に走査し、対象物MのB-Scopeの画像60を複数枚取得する(図19)。それぞれのB-Scopeの画像60に対し、深さを示すZ方向の所定範囲62をZ1からZ2で表すと、C-Scopeの画像61を求めることができる(図20)。例えば、Z1からZ2の所定範囲62の最大値をプロットしてC-Scopeの画像61を生成する。しかし、欠陥からのエコー信号がノイズ強度に対して小さい場合(S/N比が小さい場合)、欠陥エコー63とノイズ64が分離できず、不明瞭なC-Scopeの画像61が生成される。その結果、欠陥の長さと分布の評価に悪影響を及ぼす。例えば、C-Scopeの画像61では、背景Bが黒色で表示され、欠陥エコー63とノイズ64がグレー色から白色の画素で表示される(図21)。この例では、右側の領域に欠陥エコー63が写っているが、左側の領域にノイズ64の像が写り込んでいる。
【0006】
C-Scopeをより鮮明にする方法がいくつか提案されている。第1の例としては、探傷ゲートと閾値を設定することで、形状エコーおよびノイズと、欠陥エコーとを判別する。そして、C-Scopeを生成することで、欠陥エコーを判別し易くしている。第2の例としては、超音波信号を、規準値で除算して信号強度比を求め、その信号強度比が所定値以上である場合にC-Scopeに反映している。
【0007】
前述の第1の例では、閾値を設定して、形状エコーおよびノイズと、欠陥エコーとを判別しているが、微小サイズの欠陥または亀裂が閉じている場合、または、欠陥エコーが微弱な場合に判別できないことがある。また、検査対象によって閾値をその都度決める必要があり、閾値の探索に時間がかかり効率的ではない。また、前述の第2の例でも、欠陥エコーが微弱な場合に、基準値で除算しても信号強度比が高くならないことが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6970425号公報
【特許文献2】特許第6026245号公報
【特許文献3】特開2021-72048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、対象物の内部の状態を示す画像を鮮明に生成することができる超音波画像生成技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態に係る超音波画像生成システムは、検査の対象となる対象物に含まれる検出対象の探傷を行う超音波探触子により得られる超音波データから、前記対象物の内部の状態を示す画像を生成する、1つ以上のコンピュータを備え、前記コンピュータは、前記超音波データまたはこれを模したデータの少なくとも一方である、複数の学習用データと、それぞれの前記学習用データ中に存在する前記検出対象の特定の領域を示す特定共通領域を前記検出対象の位置として設定した教師ラベルと、を用いて機械学習済みの判定モデルに、前記超音波データである、判定の対象となる複数の判定用データを入力し、それぞれの前記判定用データ中の位置を示す単位ごとに前記検出対象が存在するか否かを判定可能な判定値を出力させ、複数の前記判定値を用いて前記画像を生成する、ように構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態により、対象物の内部の状態を示す画像を鮮明に生成することができる超音波画像生成技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】超音波画像生成システムを示すブロック図。
図2】超音波探触子を示す構成図。
図3】超音波探触子をX方向に走査させる態様を示す上面図(平面図)。
図4】超音波探触子をX方向に走査させる態様を示す断面図(側面図)。
図5】超音波探触子をX方向に走査させて取得した超音波画像を示す画像図。
図6】学習用超音波画像を示す画像図。
図7】教師ラベルを示す画像図。
図8】学習用超音波画像からチャンネルを選定する流れ示す説明図。
図9】検出対象を検出したエコーの受信波形を示すグラフ。
図10】検出対象を検出したエコーの受信波形を絶対値化したものを示すグラフ。
図11】教師ラベルの画素を示す説明図。
図12】判定用超音波画像を示す画像図。
図13】判定済画像を示す画像図。
図14】判定用超音波画像から判定済データを生成する流れを示す説明図。
図15】判定済データから上面画像を生成する流れを示す説明図。
図16】教師ラベルの生成方法を示すフローチャート。
図17】判定モデルの生成方法を示すフローチャート。
図18】上面画像の生成方法を示すフローチャート。
図19】従来の上面画像を生成する流れを示す説明図。
図20】従来の上面画像を生成する流れを示す説明図。
図21】従来の判定用超音波画像から上面画像を生成する流れを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、超音波画像生成システムおよび超音波画像生成方法の実施形態について詳細に説明する。
【0014】
本実施形態では、一般的にフェーズドアレイ超音波探傷試験と呼ばれる超音波探傷方法を用いる形態を例示する。その中でも、一定方向に超音波ビームを形成しながら駆動させる超音波素子を電子走査させていくリニアスキャン探傷法、駆動させる超音波素子を固定または電子走査しながら超音波ビームを形成する角度を扇状に変化させるセクタスキャン探傷法、任意の座標領域に網羅的に焦点を設けてビームを集束させるTotal Focusing Method(TFM)、または開口合成法などの超音波を用いた映像化方法を用いることができる。なお、単一プローブを用いて手動または機械的に走査する超音波探傷方法が用いられてもよい。以下の説明では、代表的なリニアスキャン探傷法またはセクタスキャン探傷法を用いた例について説明する。
【0015】
図1の符号1は、本実施形態の超音波画像生成システムである。この超音波画像生成システム1は、検査の対象となる対象物Mの欠陥(検出対象K)の有無を評価するものである。本実施形態では、所定の超音波探傷方法により取得した超音波データを、人工知能(AI:Artificial Intelligence)を備えるコンピュータを用いて自動的に解析し、対象物Mの欠陥の有無を評価可能な画像を生成する。例えば、超音波画像生成システム1は、対象物Mの断面を示す断面画像(B-Scope)から、対象物Mを上面から見た状態を示す上面画像50(C-Scope)を生成する(図15)。
【0016】
対象物Mの内部の欠陥の有無を評価することで、対象物Mの健全性診断などに活用することができる。つまり、超音波画像生成システム1は、機械学習により得られた人工知能を用いて対象物Mの解析を行うものである。
【0017】
なお、本実施形態で処理の対象となっている「超音波データ」という用語は、画像(2次元データ、ピクセルデータ)の意味を含んでいる。例えば、超音波探傷方法により取得されるときの超音波データ、および、判定時に処理の対象となる超音波データは、超音波画像である。また、超音波データは、静止画または動画のいずれでもよい。以下の説明では、理解を助けるために静止画の超音波データを例示している。
【0018】
超音波画像生成システム1は、超音波探触子の一例としたアレイ探触子10と超音波探傷装置20と超音波画像処理装置30と超音波画像評価装置100とを備える。
【0019】
超音波探傷装置20と超音波画像処理装置30と超音波画像評価装置100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などのハードウェア資源を有し、CPUが各種プログラムを実行することで、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて実現されるコンピュータで構成される。さらに、本実施形態の超音波データ評価方法は、各種プログラムをコンピュータに実行させることで実現される。
【0020】
超音波画像生成システム1の各構成は、必ずしも複数のコンピュータに設ける必要はない。例えば、超音波画像生成システム1の各構成が1つのコンピュータに設けられてもよい。
【0021】
図2に示すように、アレイ探触子10は、検査対象となる対象物Mに超音波Uを発し、検出対象Kで反射した反射波を検出する。なお、以下の説明では、反射波をエコー(出現像)と称する場合がある。このアレイ探触子10は、超音波Uを発する複数の超音波素子11Aが配列された探触子11を備える。これら超音波素子11Aは、アレイ探触子10の走査方向に対して直角を成す方向に直線的に並んで配置されている。このアレイ探触子10により取得される超音波画像(超音波データ)は、対象物Mの断面を示す画像となる。なお、超音波探触子としてアレイ探触子10を例として示したが、2次元状に配置された超音波探触子、または単一プローブにも適用できるのは勿論である。
【0022】
対象物Mとしては、金属材料で構成された部材を例示する。この金属材料の例としては、鋳鋼品または鋼板などの鋼材、または鋳造品を対象物Mとしてもよい。そして、溶接部W(図3)またはその近傍に生じた検出対象Kを超音波画像生成システム1により評価する。なお、金属材料以外の材料、例えば、鉄筋コンクリート、モルタル、繊維強化プラスチックなどの複合材料が対象物Mとされてもよい。このような対象物Mの内部または表面に生じた検出対象Kを、超音波画像生成システム1により評価する。
【0023】
検出対象Kは、超音波画像生成システム1のユーザが任意に定めることができる。検出対象K(欠陥)としては、対象物Mの内部または表面に生じた亀裂、疵、空洞、丸穴、剥離、減肉、介在物などを任意に定めることができる。この対象物Mと検出対象Kとの境界部分で超音波が反射するのであれば、検出対象Kは任意に定めることができる。
【0024】
アレイ探触子10は、超音波探傷装置20により電圧が印加されて制御される。このアレイ探触子10は、一定方向に超音波Uのビームを形成しながら、駆動対象の超音波素子11Aを電子走査するフェーズドアレイ超音波探傷方式を例示している。なお、本実施形態は、他の方式に適用できる。例えば、セクタ画像法、TFM、または、開口合成法などの方式が適用されてもよい。さらに、本実施形態は、超音波探触子として単一プローブを用いて機械的に走査する超音波探傷方法に適用してもよい。
【0025】
対象物Mの検査時に、アレイ探触子10と対象物Mとの間に、楔と称される音響伝搬媒質2が設けられる。この音響伝搬媒質2は、指向性の高い角度で超音波Uを対象物Mへ入射させるためのものである。
【0026】
音響伝搬媒質2としては、超音波Uが伝搬可能で音響インピーダンスが把握できている等方材を用いる。なお、対象物Mの表面が平坦である場合には、音響伝搬媒質2を使用しなくてもよい。
【0027】
音響伝搬媒質2として用いられる等方材としては、例えば、アクリル、ポリイミド、ゲル、その他高分子などがある。音響伝搬媒質2としては、超音波素子11Aの前面板(図示略)と音響インピーダンスが近い、または同じ材質を用いることができる。また、対象物Mと音響インピーダンスが近い、または同じ材質を用いることもできる。また、段階的または漸次的に音響インピーダンスを変化させる複合材料が用いられてもよい。
【0028】
また、音響伝搬媒質2の内部の多重反射波が探傷結果に影響を与えないように、音響伝搬媒質2の内外にダンピング材を配置してもよい。また、山型の波消し形状が設けられてもよい。多重反射低減機構が設けられてもよい。
【0029】
なお、以下の説明では、アレイ探触子10から対象物Mへ超音波Uを入射させる際の説明において音響伝搬媒質2の表現を省略している場合がある。
【0030】
アレイ探触子10から対象物Mに至る経路の接触部には、超音波Uを伝搬させるための音響接触媒質(図示略)が用いられる。例えば、音響伝搬媒質2を使用する場合には、アレイ探触子10と音響伝搬媒質2との接触部、および音響伝搬媒質2と対象物Mとの接触部に、音響接触媒質(図示略)が用いられる。音響伝搬媒質2を使用しない場合には、アレイ探触子10と対象物Mとの接触部に、音響接触媒質(図示略)が用いられる。この音響接触媒質には、例えば、水、グリセリン、マシン油、ひまし油、アクリル、ポリスチレン、ゲルなどの超音波Uを伝搬できる媒質が用いられる。
【0031】
図1に示すように、アレイ探触子10で検出された反射波の情報を含む検出信号は、超音波探傷装置20に入力される。そして、この超音波探傷装置20で得られた検出信号が、超音波画像処理装置30で処理される。
【0032】
超音波画像処理装置30は、超音波Uを用いて対象物Mに含まれる検出対象Kの探傷を行う超音波画像を取得するものである。この超音波画像処理装置30は、超音波Uの反射波に基づいて、超音波素子11Aのスキャン方向に沿った超音波画像を生成することができる。
【0033】
次に、アレイ探触子10をX方向に走査させる態様を図3から図5を参照して説明する。例えば、対象物Mに直線的に延びる溶接部Wが設けられているものとする(図3から図4)。この溶接部Wに沿ってその近傍に生じた亀裂などの欠陥が、検出対象Kであるとする。
【0034】
図3から図4に示すように、アレイ探触子10は、対象物Mの上面に沿って移動するものである。例えば、アレイ探触子10を対象物Mの表面に沿って、かつ溶接部Wが延びる方向に沿って、X方向(直線的)に走査すると、それぞれの位置における対象物Mの断面を示す超音波画像(断面画像)が得られる。この超音波画像は、B-Scopeとも呼ばれる。例えば、対象物Mのそれぞれの位置(X~Xn+4)に対応してそれぞれの超音波画像(X~Xn+4)が得られる(図5)。これらの超音波画像(X~Xn+4)が、学習用超音波画像31または判定用超音波画像35である。なお、この走査は、左右走査と呼ばれている。この走査は、検出対象Kの走査方向の長さを推定するために使用される。
【0035】
図5に示すように、例えば、最初の超音波画像(X)では、検出対象Kの出現像(エコー)が表示されていない。しかし、次の超音波画像(Xn+1)と、さらに次の超音波画像(Xn+2)では、次第に検出対象Kの出現像が大きくなる。さらに、検出対象Kの終端に差し掛かると、その超音波画像(Xn+4)では、出現像の表示が弱くなる。これが検出対象Kの特有の強度の変化である。
【0036】
図6は、代表的なリニアスキャン探傷画像としての超音波画像(超音波データ)を例示している。この超音波画像が、本実施形態の学習用データとしての学習用超音波画像31として用いられる。この学習用超音波画像31では、背景Bが黒色で表示され、超音波Uが対象物Mに入射された入射範囲32がグレー色で表示され、対象物Mの表面33が白色のラインで表示され、検出対象Kが白色で表示される。なお、グレースケールについても、スケールを逆にして、背景を白、対象物Mの表面33を黒とした超音波画像が用いられてもよい。また、超音波画像がRGBなどで表わされるカラー画像でも実施可能であるが、説明を明瞭にするため、超音波画像がグレースケール画像であるものとして説明する。図6の例では、1つの検出対象Kが学習用超音波画像31に写っている。なお、超音波画像は、本実施形態の判定用データとしての判定用超音波画像35(図12)としても用いられる。
【0037】
図2に示すように、アレイ探触子10から対象物Mに入射された超音波Uは、遅延時間に従って入射および屈折角度が決定され、対象物Mの内部を伝搬する。この伝搬した超音波Uは、検出対象Kなどで反射または散乱され、反射波として再びアレイ探触子10に到達する。また、検出対象K以外にも、対象物Mの底面または角部でも超音波Uが、反射または散乱され、アレイ探触子10に到達する。
【0038】
アレイ探触子10に到達した散乱波である反射波は、到達時間および超音波素子11Aの情報に基づいて映像化される。このとき、対象物Mに検出対象Kが存在する場合に、検出対象Kのエコー(出現像)が学習用超音波画像31の中に出現する。
【0039】
ここで、超音波画像処理装置30が、学習用超音波画像31(図6)または判定用超音波画像35(図12)を生成する。学習用超音波画像31または判定用超音波画像35は、超音波画像処理装置30から超音波画像評価装置100に入力される。
【0040】
なお、学習用超音波画像31は、超音波探傷装置20により得られる超音波画像を模して、コンピュータグラフィックス(CG)を用いて生成されるCG画像でもよい。また、超音波探傷装置20により得られる超音波画像を人手または自動的に編集して多種多様な学習用超音波画像31が生成されてもよい。そして、編集方法としては、例えば、超音波画像を或る範囲でトリミングしたり、画像を何分割かに分けたりしてもよい。また、超音波画像を画像処理などのフィルタで前処理してもよい。
【0041】
さらに、超音波伝搬の数値シミュレーションにより得られる超音波画像が用いられてもよい。例えば、対象物Mの内部における超音波Uの伝搬を可視化するシミュレーション技術を用いて超音波画像を生成し、それが学習用超音波画像31として用いられてもよい。
【0042】
超音波画像評価装置100は、学習用超音波画像31を用いて機械学習を行い、この機械学習の結果に基づいて、判定に用いられる判定用超音波画像35に含まれる検出対象Kの位置を特定する。この超音波画像評価装置100は、検出対象Kの位置を特定した結果を用いて、上面画像50(C-Scope)を生成し、かつ表示する。
【0043】
コンピュータを用いた解析には、人工知能の学習に基づく解析技術を用いることができる。例えば、ニューラルネットワークによる機械学習により生成された学習済モデル、その他の機械学習により生成された学習済モデル、深層学習アルゴリズム、回帰分析などの数学的アルゴリズムを用いることができる。
【0044】
超音波画像生成システム1は、機械学習を行う人工知能を備えるコンピュータを含む。例えば、ニューラルネットワークを備える1台のコンピュータでシステムが構成されてもよいし、ニューラルネットワークを備える複数台のコンピュータでシステムが構成されてもよい。
【0045】
ここで、ニューラルネットワークとは、脳機能の特性をコンピュータによるシミュレーションによって表現した数学モデルである。例えば、シナプスの結合によりネットワークを形成した人工ニューロン(ノード)が、学習によってシナプスの結合強度を変化させ、問題解決能力を持つようになるモデルを示す。さらに、ニューラルネットワークは、深層学習(Deep Learning)により問題解決能力を取得する。
【0046】
なお、学習対象となる各種情報項目に報酬関数が設定されるとともに、報酬関数に基づいて価値が最も高い情報項目が抽出される深層強化学習をニューラルネットワークに用いてもよい。
【0047】
本実施形態では、教師有りの機械学習方法が用いられる。例えば、セマンティックセグメンテーション(Semantic Segmentation)が使用される。ただし、これに限定されず、複数のタイプの機械学習方法が組み合わされてもよいし、何か1つの機械学習方法が採用されてもよい。例えば、回帰型ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network)、長期・短期記憶(Long short-term memory)の構造を持つ回帰型ニューラルネットワークなどの時系列データを扱う教師有り学習が用いられてもよい。
【0048】
セマンティックセグメンテーション以外の機械学習方法としては、全畳み込みニューラルネットワーク(Fully Convolutional Neural Network)、画像認識で実績のあるR-CNN(Region Convolutional Neural Network)、ViT(Vision Transformer)、k-近傍法、ロジスティック回帰、サポートベクターマシン(SVM)、深層学習などを用いることができる。
【0049】
なお、深層学習には、オートエンコーダ、RNN(Recurrent Neural Network)、LSTM(Long Short-Term Memory)、GAN(Generative Adversarial Network)などの各種手法がある。これらの手法が適用されてもよいし、他の機械学習の手法が用いられてもよい。
【0050】
図12に示すように、判定用超音波画像35は、背景Bが黒色で表示され、超音波Uが対象物Mに入射された入射範囲32がグレー色で表示され、対象物Mの表面33が白色のラインで表示され、検出対象Kが白色で表示される。図12の例では、2つの検出対象Kが判定用超音波画像35に写っている。そして、判定モデルを用いて、この判定用超音波画像35から判定済データとしての判定済画像36(図13)が生成される。
【0051】
図13に示すように、判定済画像36は、背景Bが黒色で表示され、検出対象Kの端部が存在する可能性が高い領域37ほど、画素が明るく表示される。つまり、画素が、グレー色から白色に表示される。図13の例では、2つの端部が存在する可能性が高い領域37が判定済画像36に写っている。
【0052】
次に、超音波画像評価装置100のシステム構成を図1に示すブロック図を参照して説明する。さらに、超音波画像評価装置100には、図1に示す構成以外のものが含まれてもよいし、図1に示す一部の構成が省略されてもよい。
【0053】
超音波画像評価装置100は、入力部110と演算部120と判定モデル生成部130と記憶部140と出力部150とを備える。
【0054】
入力部110には、超音波Uを対象物Mに入射することで得られる超音波画像が外部から入力される。本実施形態では、超音波画像処理装置30から超音波画像が入力される形態を例示するが、他の装置から超音波画像が入力されてもよい。
【0055】
また、入力部110には、アレイ探触子10の位置を示す探傷位置データが入力される。この探傷位置データは、アレイ探触子10で対象物Mを走査したときのアレイ探触子10の位置(変位)および回転角度を含むものである。
【0056】
探傷位置データは、アレイ探触子10の位置を表す直交座標で示される少なくとも2つの座標値を含む。このようにすれば、対象物Mが平板状の場合に、対象物Mの表面上のアレイ探触子10の位置を表し易くなる。直交座標は、例えば、平板状の対象物Mの表面に沿う2次元の座標系である。
【0057】
なお、探傷位置データは、アレイ探触子10の位置を表す極座標または円柱座標で示される少なくとも2つの座標値を含むものでもよい。このようにすれば、対象物Mが球形状、円柱形状、または円筒形状の場合に、対象物Mの表面上のアレイ探触子10の位置を表し易くなる。極座標は、例えば、球形状、円柱形状、または円筒形状の対象物Mの表面に沿う2次元の座標系である。例えば、探傷位置データは、極座標で示される動径と偏角とを含む。また、探傷位置データは、円柱座標で示される角度位置と軸位置とを含む。
【0058】
本実施形態では、平板状の対象物Mが例示されている。この対象物Mの表面に沿う2方向がX軸とY軸で表わされ、対象物Mの深さ方向がZ軸で表わされる(図3から図4)。
【0059】
入力部110に入力される超音波画像には、機械学習に用いられる学習用超音波画像31(図6)と判定用超音波画像35(図12)の2種類がある。この入力部110が、本実施形態の超音波データ取得部となっている。
【0060】
本実施形態では、機械学習を行うときに、複数枚の学習用超音波画像31が入力部110に入力される。そして、この学習用超音波画像群に基づいて、教師ラベル群が生成される。さらに、学習用超音波画像群と教師ラベル群とを用いて、判定モデルが生成される。一方、この判定モデルを用いて、判定用超音波画像35の中に含まれる検出対象Kが判定されるときに、判定用超音波画像35が入力部110に入力される。なお、入力される判定用超音波画像35は、1枚でもよいし、複数枚でもよい。
【0061】
機械学習済みの判定モデルは、超音波データが入力される入力層と、判定値を出力する出力層と、超音波データと教師ラベルとを含む学習用データ(教師データ)を用いてパラメータが学習された中間層と、を備える。この判定モデルは、超音波データを入力層に入力し、中間層で演算し、判定値を出力層から出力させるようにコンピュータを機能させるものである。
【0062】
学習用データとしては、アレイ探触子10を用いて得られる超音波データまたはこれを模した超音波データの少なくとも一方が用いられる。
【0063】
演算部120は、教師ラベル生成部121と判定部122と抽出部123と画像生成部124とを備える。これらは、メモリまたはHDDに記憶されたプログラムがCPUによって実行されることで実現される。
【0064】
記憶部140は、超音波探傷によって得られた超音波データ(画像)、探傷位置データ、判定モデル、判定済データ(判定値)などを記憶する。この記憶部140は、学習用超音波画像記憶部141と教師ラベル記憶部142と判定モデル記憶部143と判定用超音波画像記憶部144とを備える。これらは、メモリ、HDDまたはクラウドに記憶され、検索または蓄積ができるよう整理された情報の集まりである。
【0065】
出力部150は、所定の情報の出力を行う。この出力部150は、デジタルデータを表示できるものであればよく、所謂PC用のディスプレイ、テレビジョン、プロジェクタ、ヘッドマウントディスプレイなどが考えられる。また、ブラウン管のように一度アナログ信号化してから、その画面に画像が表示されるものでもよい。つまり、超音波画像評価装置100には、解析結果の出力を行う画像の表示を行う装置が含まれる。さらに、出力部150は、紙媒体に所定の情報を印字するプリンタでもよい。また、出力部150は、USBメモリなどの着脱可能で可搬性を有する記憶媒体に所定の情報を書き込むものでもよい。
【0066】
なお、出力部150は、超音波エコーの合成信号、映像化結果、アレイ探触子10の座標および検出対象Kとの相対位置、遅延時間、焦点深さ、探傷屈折角などの探傷条件を表示してもよい。また、出力部150は、設定した条件に応じて、音または発光によりアラームを生じさせたり、タッチパネルとして操作を入力したりするユーザインタフェース機能を有してもよい。
【0067】
なお、超音波画像評価装置100は、他の構成を備えてもよい。例えば、通信部(図示略)が設けられてもよい。この通信部は、例えば、インターネットなどの通信回線を介して他のコンピュータと通信を行う。
【0068】
超音波画像評価装置100の各構成は、必ずしも1つのコンピュータに設ける必要はない。例えば、ネットワークで互いに接続された複数のコンピュータを用いて1つの超音波画像評価装置100が実現されてもよい。
【0069】
教師ラベル生成部121は、それぞれの学習用超音波画像31に存在する検出対象Kの特定の領域を示す特定共通領域39(図7)を検出対象Kの位置として設定した教師ラベル40を生成する。1つの教師ラベル40は、1つの学習用超音波画像31に対応して生成される。そして、学習用超音波画像群に対応する教師ラベル群が生成される。
【0070】
図7に示すように、教師ラベル40は、対応する学習用超音波画像31と同一のサイズの画像(2次元データ)である。つまり、教師ラベル40は、学習用超音波画像31と同一の画素数を有する画像である。この教師ラベル40では、背景Bが黒色で表示され、検出対象Kの特定共通領域39が白色で表示される。つまり、教師ラベル40は、特定共通領域39の画素値を「1」、それ以外の画素値を「0」として構成される二値化画像である。この教師ラベル40における特定共通領域39の位置(座標)は、学習用超音波画像31に写る検出対象Kの上端部の位置に対応している。
【0071】
教師ラベル40には、検出対象Kのエコーが在る部分に対応した特定共通領域39を設定する。特定共通領域39は、例えば、亀裂の場合は亀裂端部、ブローホールの場合はその中心部、検出対象Kの種類に合わせて任意に設定できる。この設定は、ユーザが行ってもよいし、超音波画像評価装置100が自動的に行ってもよい。
【0072】
検出対象Kが亀裂の場合には、検出対象Kのエコーの端部を特定共通領域39と定める。すると、学習用超音波画像31の特定共通領域39は、亀裂の端部の位置に相当する。そして、超音波画像評価装置100が、学習用超音波画像31から特定共通領域39を検出する。さらに、特定共通領域39と対象物Mの表面または底面のエコーとの距離を算出することで、亀裂の深さを求めることができる。
【0073】
次に、教師ラベル40の生成方法について図16のフローチャートを用いて説明する。なお、検出対象Kを亀裂とし、その端部を特定共通領域39として説明する。
【0074】
まず、ステップS11において、超音波画像処理装置30により複数の学習用超音波画像31が取得される。これら学習用超音波画像31が超音波画像評価装置100の入力部110に入力される。入力部110に入力された複数枚の学習用超音波画像31は、学習用超音波画像記憶部141に格納される。
【0075】
次のステップS12において、検査員、研究者または専門家などのユーザにより、学習用超音波画像31の確認が行われる。ユーザは、それぞれの学習用超音波画像31に亀裂が写っているか否かの精査を行う。
【0076】
次のステップS13において、教師ラベル生成部121は、学習用超音波画像31に亀裂が写っている場合に、アレイ探触子10のチャンネルを選定する。例えば、アレイ探触子10が備える複数(例えば、N個)の超音波素子11Aのうち、亀裂の端部からのエコーが含まれる受信波形41(図9)が特定される。そして、この受信波形41を受信したアレイ探触子10のチャンネルが選定される。ここで、そのチャンネルの番号をm(図8)とする。
【0077】
次のステップS14において、教師ラベル生成部121は、チャンネル番号mの受信波形41から亀裂の端部のエコーを取得し、このエコーのピーク位置でのビーム路程Xdを求める。なお、チャンネル番号mの選定は、教師ラベル生成部121が行ってもよいし、ユーザが行ってもよい。
【0078】
例えば、図9に示すように、チャンネル番号mの受信波形41には、対象物Mの表面33のエコーの波形42と、亀裂の端部のエコーの波形44とが含まれているものとする。そして、チャンネル番号mの受信波形41の振幅の値をAm(X)とする。さらに、受信波形41を絶対値化した波形45を図10に示す。
【0079】
ここで、教師ラベル生成部121は、Am(X)の絶対値である|Am(X)|から、亀裂の端部のエコーのピークの値|Am(Xd)|を求める。そして、教師ラベル生成部121は、この位置までのビーム路程Xdを求めることができる(図8)。
【0080】
図16に戻り、次のステップS15において、教師ラベル生成部121は、チャンネル番号m、ビーム路程Xd、屈折角α,βから、教師ラベル40の特定共通領域39の中心部の座標Ex,Eyを求める(図8)。
【0081】
次のステップS16において、教師ラベル生成部121は、座標Ex,Eyを中心とする一辺の長さdの正方形を設定する(図11)。ここで、正方形を「1」とし、それ以外を「0」とする二値化画像が生成される。この二値化画像が教師ラベル40(図7)となる。
【0082】
次のステップS17において、教師ラベル生成部121は、生成した教師ラベル40を教師ラベル記憶部142に格納する。そして、教師ラベル40の生成方法を終了する。
【0083】
図11に示すように、本実施形態の特定共通領域39のサイズ(最大長)はdで表わされる。例えば、d×dの正方形としている。ここで、特定共通領域39の対角線は、亀裂の端部のエコーの波長λの4分の1以上とする。例えば、次に示す数式が成り立つ。
【0084】
【数1】
【0085】
図9に示すように、波長λの4分の1という長さは、波形の立ち上がりからピークに到達するまでの長さに相当し、亀裂の端部からのエコーの特徴量を含む最小の長さとなる。仮に、特定共通領域39のサイズ(最大長)が波長λの4分の1に満たない場合、特定共通領域39にエコーの特徴が充分に含まれず、亀裂の端部を正しく検出できない可能性が生じる。
【0086】
なお、いくつかの波が連続しているエコーの場合でも、その波から代表的な波形を取り出し、波長を求める必要がある。
【0087】
特定共通領域39を円とする場合は、円の直径を波長λの4分の1以上のサイズに設定する。特定共通領域39を楕円とする場合は、楕円の長軸を波長λの4分の1以上に設定する。また、特定共通領域39は、円以外において、多角形、不定形で設定することも可能である。その場合は、それぞれの最大長が波長λの4分の1以上になるように設定する。
【0088】
特定共通領域39のサイズdが、超音波探傷装置20が用いた超音波Uの周波数の波長の4分の1以上であることで、特定共通領域39に検出対象Kの特徴が充分に含まれるようになり、検出対象Kを正しく検出することができる。そして、検出対象Kをノイズと区別することができる。
【0089】
図1に示すように、判定モデル生成部130は、学習用超音波画像31と教師ラベル40を用いて、検出対象Kが存在するか否かを判定可能な判定値を、画像中の位置を示す単位ごとに算出可能な判定モデルを生成する。つまり判定値は、判定モデルから生成される。
【0090】
ここで、画像中の位置を示す単位とは、例えば、画素(ピクセル)である。画像中の所定の画素が存在する位置(座標)は、従来公知の方法で管理されている。
【0091】
なお、本実施形態では、画像中の位置を示す単位が画素であるが、その他の態様であってもよい。例えば、隣接する複数の画素が1つの単位とされてもよい。また、画像を複数のグリッドで区切り、そのグリッドの1つのマス目が1つの単位とされてもよい。
【0092】
判定モデル生成部130は、学習用超音波画像群(超音波データ群)と、それに対応する教師ラベル群に基づいて、教師あり学習を行う。この判定モデルは、機械学習を行うことで、超音波画像中に検出対象Kの特定共通領域39が含まれるかどうかを判定し、その判定値を画素ごとに出力する性能を得られる。
【0093】
教師あり学習では、2次元データ(画像)の学習用データに加えて、アレイ探触子10の位置および角度を示す探傷位置データが学習用データとして用いられる。そのため、検出対象Kが連続しているときに、徐々に輝度値が変化する欠陥特有の傾向を新たに学習することが可能となる。この学習に使用する入出力データは、1枚ずつ入出力してもよいし、複数枚をまとめ入出力してもよい。
【0094】
この教師あり学習により、n枚の学習用超音波画像31で構成される学習用超音波群tnと、これに対応する教師ラベル群lnに基づいて、判定モデルが生成される。この判定モデルは、k枚の判定用超音波画像35で構成される判定用超音波画像群Vkを入力データとして受け入れ、k枚の判定済画像36で構成される判定済画像群Ukを出力データとして出力することが可能となる(図14)。
【0095】
次に、判定モデルの生成方法について図17のフローチャートを用いて説明する。
【0096】
まず、ステップS21において、判定モデル生成部130は、入力部110(画像入力部111)に入力され、かつ学習用超音波画像記憶部141に格納された複数枚の学習用超音波画像31(学習用データ)を取得する。
【0097】
次のステップS22において、判定モデル生成部130は、複数枚の学習用超音波画像31と、それぞれの学習用超音波画像31に対応する教師ラベル40に基づいて、教師あり学習を行う。
【0098】
次のステップS23において、判定モデル生成部130は、教師あり学習により判定モデルを生成する。教師あり学習を行うことで、画像中に検出対象Kの特定共通領域39が含まれるかどうかを判定し、その判定値を画素ごとに出力する性能を有する判定モデルが生成される。この判定モデルにより、判定用超音波画像35(図12)を入力値として受け入れた場合に、判定値、つまり判定済画像36(図13)が出力値として出力可能となる。
【0099】
なお、判定モデルの生成(教師あり学習)には、学習用超音波画像31を可能な限り多く用意し、それらを用いて判定モデルを生成することが望ましい。学習用超音波画像31のうち、少なくとも2枚は、検出対象Kが存在する画像があることが望ましい。また、学習用超音波画像31には、1枚の画像に対して複数の検出対象Kが写っている画像でもよい。さらに、学習用超音波画像31には、検出対象Kが存在せず、対象物Mの表面33のエコーのみが存在する画像が含まれていてもよい。
【0100】
次のステップS24において、判定モデル生成部130は、生成した判定モデルを判定モデル記憶部143に格納する。そして、判定モデルの生成方法を終了する。
【0101】
判定部122(図1)は、機械学習済みの判定モデルに、判定の対象となる複数の判定用データを入力し、それぞれの判定用データ中の位置を示す単位ごとに検出対象Kが存在するか否かを判定可能な判定値を出力させる。ここで、判定用データは、判定用超音波画像35である。この判定用超音波画像35は、対象物Mの断面を示す断面画像(B-Scope)である。この判定部122は、判定モデルを用いて、判定用超音波画像35の画素ごとに、検出対象Kが存在するか否かを示す判定値を算出する。これら判定値により判定済画像36が生成される(図14)。
【0102】
抽出部123は、判定値に基づいて生成された判定済データとしての判定済画像36から、検出対象Kの位置を抽出する。
【0103】
画像生成部124は、アレイ探触子10により得られる超音波データから、対象物Mの内部の状態を示す画像を生成する。この画像生成部124は、複数の判定値を用いて画像を生成する。例えば、画像生成部124は、判定値で構成された複数枚の判定済画像36から、対象物Mを上面から見た状態を示す上面画像50(C-Scope)を生成する(図15)。
【0104】
なお、判定値を用いて生成される画像は、断面画像である判定用超音波画像35とは異なる方向から対象物Mを見た状態のものである。つまり、判定値を用いて生成される画像は、対象物Mの表面に対して垂直を成す方向から見た上面画像50のみならず、対象物Mの表面に対して斜め方向から見た画像でもよいし、対象物Mの裏面から見た画像でもよい。このようにすれば、ユーザが対象物Mの内部の状態を把握することができる。
【0105】
次に、上面画像50の生成方法について図18のフローチャートを用いて説明する。
【0106】
まず、ステップS31において、超音波画像処理装置30により複数枚の判定用超音波画像35(判定用データ)が取得される。これら複数枚の判定用超音波画像35が超音波画像評価装置100の入力部110に入力される。入力部110に入力された判定用超音波画像35は、判定用超音波画像記憶部144に格納される。
【0107】
ここで、複数枚の判定用超音波画像35は、アレイ探触子10の走査方向に沿って並べられる。例えば、1枚目からk枚目までの判定用超音波画像35が並べられ、判定用超音波画像群Vkが構成されている(図14)。
【0108】
次のステップS32において、判定部122は、判定用超音波画像記憶部144に格納された複数枚の判定用超音波画像35を機械学習済みの判定モデルに入力し、複数の判定済画像36(判定値)を出力(生成)する。
【0109】
図13に示すように、判定済画像36は、判定用超音波画像35と同一のサイズの画像(2次元データ)である。判定済画像36のそれぞれの画素は、判定値としての「0」から「1」までの連続値で表わされる。これら判定値は、検出対象Kが存在する度合いを示す連続値である。
【0110】
判定済画像36では、検出対象Kの端部が存在する可能性が高い領域37ほど、画素が明るく表示される。例えば、判定値が「0」の場合は黒色の画素値となる。判定値が「1」の場合は白色の画素値となる。判定値が「0」を超え、かつ「1」未満の場合はグレー色の画素値となる。つまり、判定済画像36では、判定値が「1」に近いほど、特定共通領域39(図7)が存在する可能性が高いことを表している。
【0111】
この判定により、判定用超音波画像35から所望の特定共通領域39(図7)のみを抽出することができる。ここでは、超音波画像に含まれている亀裂の端部からのエコーが特定共通領域39として設定され、この亀裂の端部からのエコーを示した教師ラベル40が作成され、教師あり学習が行われている。
【0112】
このようにして得られた教師あり学習の判定モデルは、学習に使用していない判定用超音波画像35を入力した際にも、亀裂の端部からのエコーを特定共通領域39として出力することができる。この出力は、判定値の画像データとして表わされる。
【0113】
ここで、判定値は、亀裂の端部からのエコーである可能性が高い部分で「1」に近い値になる。また、判定値は、亀裂が存在しない部分で「0」になる。さらに、判定値は、エコーとして画像化されているが、表面または底面からのエコー、または、亀裂以外の介在物からのエコー、それ以外のエコーで「0」に近い値になる。
【0114】
図14に示すように、判定部122は、判定用超音波画像群Vkから判定済画像群Ukを生成する。例えば、1枚目からk枚目までの判定済画像36がアレイ探触子10の走査方向に沿って並べられ、判定済画像群Ukが生成される。なお、判定用超音波画像群Vkと判定済画像群Ukの枚数は、一致している。
【0115】
図18に戻り、次のステップS33において、抽出部123は、判定済画像36(図13)から検出対象Kの位置を抽出する。この抽出部123は、判定済画像36に対して二値化処理を行い、特定共通領域39を抽出した二値化画像(図示略)を生成する。
【0116】
ここで、二値化処理の閾値は、ユーザが予め設定する。判定済画像36のそれぞれの画素の値が、閾値を上回っている場合は白色の値「1」に置換され、閾値を下回っている場合は黒色の値「0」に置換される。このようにすれば、二値化画像に特定共通領域39(図7)の像を出現させることができる。そして、この二値化画像から検出対象Kの位置と深さを求めることができる。
【0117】
なお、対象物Mの表面33または底面の位置は、所定の方法で予め求められているものとする。例えば、対象物Mの表面33または底面の座標の算出方法は、それぞれのエコーの最大値を座標としてもよいし、所定の閾値を超えるエコーの中心を用いてもよい。
【0118】
次のステップS34において、画像生成部124は、上面画像50(C-Scope)を生成する。
【0119】
例えば、図15に示すように、画像生成部124は、判定済画像群Ukから上面画像50を生成する。ここで、1枚目からk枚目までの判定済画像36が、アレイ探触子10の走査方向であるX方向に並べられているとする。これらk枚の判定済画像36を合体させて、対象物M(図3から図4)を上面(Z方向)から見た状態の上面画像50が生成される。
【0120】
上面画像50では、背景Bが黒色で表示され、検出対象Kのエコー51(出現像)がグレー色から白色の画素で表示される。この上面画像50には、判定値に基づいて、エコー51の像が現れている。そのため、ノイズの像が現れず、鮮明な上面画像50が生成されている。
【0121】
判定値は、検出対象Kが存在する度合いを示す連続値であり、それぞれの判定値がエコー51の色合いに対応している。このようにすれば、度合いの大小を示す連続値により鮮明な上面画像50を生成することができる。例えば、検出対象Kが存在する部分は、明るい白色で表示され、検出対象Kが存在しない部分は、黒色で表示される。
【0122】
この上面画像50を生成することで、検出対象Kの位置、検出対象Kが延びている方向、検出対象Kの幅などの状態が分かり易くなる。そのため、ユーザは、検出対象Kの状態を評価し易くなる。
【0123】
図18に戻り、次のステップS35において、画像生成部124は、生成した上面画像50(C-Scope)を記憶部140に格納するとともに、出力部150を用いて出力(表示)する。そして、上面画像50の生成方法を終了する。
【0124】
本実施形態では、上面画像50が生成されるときに、それぞれの判定済画像36(判定値)において、Y方向の位置に対して、Z方向の最大振幅値が投影される。例えば、次に示す数式で上面画像50(C-Scope)が求められる。
【0125】
【数2】
【0126】
ここで、(y,z)座標で表わされる画像において、k枚からなる画像の集合が、判定値であるUk(y、z)として表わされている。また、k枚の判定値であるUk(y、z)から得られる上面画像50(C-Scope)が、C(k、y)として表わされている。
【0127】
図3から図4に示すように、超音波画像の取得間隔が短く、かつ枚数が多いほど、対象物Mの内部の亀裂の分布を鮮明に可視化することができる。ここで求めた上面画像50(C-Scope)をプロットしたものを図15に示す。
【0128】
一方、従来の検査で用いられる一般的なC-Scopeの画像61の求め方を図19から図21に示す。対象物Mに対して、アレイ探触子10をX方向に走査して、対象物Mの断面を示すB-Scopeの画像60が取得される。そして、それぞれのB-Scopeの画像60に対して、深さを示すZ方向の範囲をZ1からZ2と表すと、次に示す数式でC-Scopeの画像61が求められる。
【0129】
【数3】
【0130】
一般的には、ゲートと呼ばれるZ1からZ2の所定範囲62(図20)を指定し、この所定範囲62における最大値をとる手法がある。このゲートが設定されることで、強度の大きい表面エコーまたは底面エコーを所定範囲62から外して最大値をとることができる。このようにすれば、表面エコーまたは底面エコーが、C-Scopeの画像61に映ってしまうことが回避される。
【0131】
しかし、従来の手法で求めたC-Scopeの画像61は、全体的に対象物Mの内部の介在物または電気的なノイズなどのバックグラウンドノイズが、最大値としてプロットされてしまう。また、欠陥エコー自体の強度が低い場合、欠陥エコーとバックグラウンドノイズの両方がC-Scopeの画像61に映るため、判別が困難となる。つまり、従来の手法では、欠陥からのエコー信号がノイズ強度に対して小さい場合(S/N比が小さい場合)、欠陥エコーとノイズが分離できず、不鮮明なC-Scopeが生成されてしまう。
【0132】
これに対して、本実施形態では、機械学習を用いて判定用超音波画像35(B-Scope)から欠陥のエコー信号を抽出し、その抽出結果(判定値)を用いて上面画像50(C-Scope)が生成されている。そのため、欠陥エコーとノイズとを完全に分離し、欠陥エコーのみが映る上面画像50が生成されるようになる。この上面画像50をユーザが非破壊検査の評価に用いることで、欠陥の位置と分布を、より確実に特定することができる。そのため、対象物Mの健全性診断などに活用することができる。
【0133】
また、検出対象Kのエコー全体がラベル付けされるのではなく、検出対象Kの端部のみがラベル付けされている。そのため、教師ラベル40の作成のための労力を格段に低減させることができる。また、検出対象Kの全部ではなく、その端部のみを検出させるため、超音波画像のそれぞれで検出対象Kの形状が異なっても、その深さの計測に共通して必要な端部(特定共通領域39)を安定して検出することができる。
【0134】
また、特定共通領域39が、検出対象Kの端部であることで、検出対象Kが存在する深さを求める精度を向上させることができる。
【0135】
また、判定済画像36(図13)は、判定用超音波画像35(図12)から算出された判定値に基づいて生成されている。抽出部123は、この判定済画像36(図13)から、検出対象Kの位置を抽出することで、判定済画像36から検出対象Kの位置を抽出し、判定用超音波画像35に存在する検出対象Kを検出することができる。
【0136】
また、抽出部123が、画像中の位置を示す単位ごとの判定値を閾値に基づいて二値化して検出対象Kの位置を抽出することで、判定済画像36における検出対象Kが存在する可能性が高い部分を抽出することができる。
【0137】
なお、本実施形態の単位を画素とすることで、画像の最小単位である画素ごとに処理が行えるようになり、詳細に判定用超音波画像35を判定することができる。
【0138】
また、判定モデルによって算出された画像中の検出対象Kの位置を算出することで、検出対象Kの位置を表す3次元表示が可能となり、検査対象である対象物Mの劣化状況を把握しやすくなる。さらに、評価結果を検査後の補修の提案などに活用することができる。
【0139】
なお、前述の実施形態において、基準値(閾値)を用いた任意の値(画素値、判定値)の判定は、「任意の値が基準値以上か否か」の判定でもよいし、「任意の値が基準値を超えているか否か」の判定でもよいし、「任意の値が基準値以下か否か」の判定でもよいし、「任意の値が基準値未満か否か」の判定でもよい。また、基準値が固定されるものでなく、変化するものでもよい。従って、基準値の代わりに所定範囲の値を用い、任意の値が所定範囲に収まるか否かの判定を行ってもよい。また、予め装置に生じる誤差が解析され、基準値を中心として誤差範囲を含めた所定範囲が判定に用いられてもよい。
【0140】
なお、前述の実施形態のフローチャートにおいて、各ステップが直列に実行される形態を例示しているが、必ずしも各ステップの前後関係が固定されるものでなく、一部のステップの前後関係が入れ替わってもよい。また、一部のステップが他のステップと並列に実行されてもよい。
【0141】
前述の実施形態のシステムは、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、CPUおよび専用のチップなどのプロセッサを高集積化させた制御装置と、ROMおよびRAMなどの記憶装置と、HDDおよびSSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置と、ディスプレイなどの表示装置と、マウスおよびキーボードなどの入力装置と、通信インターフェースとを備える。このシステムは、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成で実現できる。
【0142】
なお、前述の実施形態のシステムで実行されるプログラムまたは学習済モデルは、ROMなどに予め組み込んで提供される。追加的または代替的に、このプログラムまたは学習済モデルは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータで読み取り可能な非一時的な記憶媒体に記憶されて提供される。
【0143】
また、このシステムで実行されるプログラムまたは学習済モデルは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータに格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしてもよい。また、このシステムは、構成要素の各機能を独立して発揮する別々のモジュールを、ネットワークまたは専用回線で相互に接続し、組み合わせて構成することもできる。
【0144】
また、本実施形態では、超音波画像がグレースケール画像であるものとして説明したが、その他の態様であってもよい。例えば、超音波画像がRGBなどで表わされるカラー画像でもよい。その場合には、例えば、閾値を上回っている画素値が赤色で表わされ、閾値以下の画素値が青色で表わされて、表示の形態に特徴を持たせてもよい。
【0145】
なお、アレイ探触子10がマトリックス・アレイ・プローブで構成され、対象物Mの超音波データをボクセルデータで取得してもよい。また、この場合における特定共通領域39(図7)は、立方体であってもよい。
【0146】
以上説明した実施形態によれば、複数の判定値を用いて画像を生成することにより、対象物Mの内部の状態を示す画像を鮮明に生成することができる。
【0147】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態またはその変形は、発明の範囲と要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0148】
1…超音波画像生成システム、2…音響伝搬媒質、10…アレイ探触子、11…探触子、11A…超音波素子、20…超音波探傷装置、30…超音波画像処理装置、31…学習用超音波画像、32…入射範囲、33…対象物の表面、35…判定用超音波画像、36…判定済画像、37…端部が存在する可能性が高い領域、39…特定共通領域、40…教師ラベル、41…受信波形、42…対象物の表面のエコーの波形、44…亀裂の端部のエコーの波形、45…絶対値化した波形、50…上面画像、51…エコー、60…B-Scopeの画像、61…C-Scopeの画像、62…所定範囲、63…欠陥エコー、64…ノイズ、100…超音波画像評価装置、110…入力部、120…演算部、121…教師ラベル生成部、122…判定部、123…抽出部、124…画像生成部、130…判定モデル生成部、140…記憶部、141…学習用超音波画像記憶部、142…教師ラベル記憶部、143…判定モデル記憶部、144…判定用超音波画像記憶部、150…出力部、B…背景、K…検出対象、M…対象物、R…反射波、U…超音波、W…溶接部。
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