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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006737
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】焼却システム及び焼却方法
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/50 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
F23G5/50 H
F23G5/50 L
F23G5/50 M
F23G5/50 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107912
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】河合 卓也
【テーマコード(参考)】
3K062
【Fターム(参考)】
3K062AA11
3K062AB01
3K062AC02
3K062CA01
3K062CA05
3K062CB05
3K062DA03
3K062DA38
3K062DB06
(57)【要約】
【課題】局所高温場の発生を抑制することを可能とする焼却システム及び焼却方法を提供する。
【解決手段】被焼却物を焼却する焼却炉と、被焼却物の焼却用空気を供給する1以上の焼却用空気供給管と、焼却炉内に圧縮空気を供給する1以上の空気供給器と、焼却炉における被焼却物の焼却状況に応じて、1以上の空気供給器による圧縮空気の供給を制御する制御装置と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被焼却物を焼却する焼却炉と、
前記被焼却物の焼却用空気を供給する1以上の焼却用空気供給管と、
前記焼却炉内に圧縮空気を供給する1以上の空気供給器と、
前記焼却炉における前記被焼却物の焼却状況に応じて、前記1以上の空気供給器による前記圧縮空気の供給を制御する制御装置と、を備えた焼却システム。
【請求項2】
さらに、前記焼却状況を監視する監視装置を備え、
前記制御装置は、
前記監視装置によって監視された前記焼却状況が所定の条件を満たすと判定した場合、前記1以上の空気供給器から前記焼却炉内に対する前記圧縮空気の供給が行われるように制御する、請求項1に記載の焼却システム。
【請求項3】
さらに、前記焼却状況を監視する監視装置を備え、
前記制御装置は、前記監視装置により監視された焼却状況に基づき、前記焼却炉の水平方向における層高さの不均一箇所を特定し、前記不均一箇所を特定した場合、前記1以上の空気供給器から前記焼却炉の燃焼層に対する前記圧縮空気の供給が行われるように制御する、請求項1に記載の焼却システム。
【請求項4】
前記監視装置は、前記1以上の空気供給器のそれぞれから前記圧縮空気を供給可能な1以上の位置における前記焼却状況を監視し、
前記制御装置は、
前記1以上の位置のうち、前記焼却状況が前記所定の条件を満たす第1位置を特定し、
前記1以上の空気供給器のうち、特定した前記第1位置に対応する第1空気供給器を特定し、
特定した前記第1空気供給器から前記第1位置に対して前記圧縮空気が供給されるように制御する、請求項2に記載の焼却システム。
【請求項5】
被焼却物を焼却する焼却炉と、前記被焼却物の焼却用空気を供給する1以上の焼却用空気供給管と、前記焼却炉内に圧縮空気を供給する1以上の空気供給器と、前記焼却炉における前記被焼却物の焼却状況に応じて、前記1以上の空気供給器による前記圧縮空気の供給を制御する制御装置と、前記焼却状況を監視する監視装置とを備えた焼却システムにおける焼却方法であって、
前記監視装置によって監視された前記焼却状況が所定の条件を満たすと判定した場合、前記1以上の空気供給器から前記焼却炉内に対する前記圧縮空気の供給が行われるように制御する、焼却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却システム及び焼却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下水汚泥(以下、単に汚泥とも呼ぶ)を焼却する焼却炉を備えた焼却システムが様々提案されている(特許文献1及び2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-181311号公報
【特許文献2】特開平8-261427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、汚泥焼却時において、燃焼状態が不均一になることで発生する局所的な高温燃焼状態を抑制することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の抑制を実現するため、本発明における焼却システムは、被焼却物を焼却する焼却炉と、前記被焼却物の焼却用空気を供給する1以上の焼却用空気供給管と、前記焼却炉内に圧縮空気を供給する1以上の空気供給器と、前記焼却炉における前記被焼却物の焼却状況に応じて、前記1以上の空気供給器による前記圧縮空気の供給を制御する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明における焼却炉によれば、局所高温場の発生を抑制することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、比較例における焼却システム900の構成図である。
図2図2は、比較例における焼却システム900の構成図である。
図3図3は、第1の実施の形態における焼却システム100の構成図である。
図4図4は、第1の実施の形態における焼却システム100のA-A断面図である。
図5図5は、第1の実施の形態における制御装置50における処理を説明するフローチャート図である。
図6図6は、第2の実施の形態における焼却システム200の構成図である。
図7図7は、第2の実施の形態における焼却システム200のB-B断面図である。
図8図8は、第2の実施の形態における制御装置50における処理を説明するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0009】
[比較例における焼却システム900]
初めに、比較例における焼却システム900について説明を行う。図1及び図2は、比較例における焼却炉システム900の構成図である。
【0010】
焼却システム900は、図1に示すように、例えば、焼却炉10と、灰排出装置20とを有する。
【0011】
焼却炉10は、例えば、汚泥1(以下、被焼却物1とも呼ぶ)を焼却する燃焼室11と、汚泥投入口12と、排ガス排出口13と、焼却用空気供給管14とを有する。
【0012】
燃焼室11は、焼却炉10の内部空間であり、例えば、焼却炉10の上端部に位置する汚泥投入口12から投入された汚泥1を内部に堆積する。そして、燃焼室11では、1以上の焼却用空気供給管14によって供給される焼却用空気によって汚泥1を燃焼する。
【0013】
なお、汚泥1の燃焼によって発生した排ガスは、例えば、排ガス排出口13を介して排ガス処理施設(図示せず)に移送される。具体的に、汚泥1の焼却によって発生した排ガス(以下、単に排ガスとも呼ぶ)は、例えば、排ガス中の水蒸気が白煙として見えることを防止する加熱空気(白煙防止空気)を生成する白煙防止空気予熱器、排ガスの不純物を集塵する集塵機、及び、水と接触させることによって排ガス中のNOやSO等の成分を除去する洗煙処理塔等に向けて順に移送される。
【0014】
焼却用空気供給管14は、例えば、焼却炉10の外部に配置された空気供給装置(図示せず)から供給された焼却用空気を、焼却用空気供給管14に設けられた複数の噴出孔(図示せず)から燃焼室11に堆積された汚泥1に対して供給(噴出)する。具体的に、1以上の焼却用空気供給管14のそれぞれ(図1に示す例ではX方向に並ぶ6本の焼却用空気供給管14のそれぞれ)は、図1の実線矢印に示すように、例えば、焼却用空気供給管14よりも上方に堆積された汚泥1に向けて(図1に示す例ではZ1方向に向けて)焼却用空気の供給を行う。すなわち、燃焼室11では、例えば、焼却用空気供給管14よりも上方の層L(以下、燃焼層Lとも呼ぶ)において汚泥1の焼却が行われる。なお、1以上の焼却用空気供給管14のそれぞれは、図1に示すように、例えば、Y方向に延伸する配管であってよい。また、各焼却用空気供給管14における複数の噴出孔は、例えば、Y方向に沿ってそれぞれ設けられるものであってよい。
【0015】
灰排出装置20は、例えば、焼却炉10の底部(焼却炉10のZ2方向側)に設置され、灰排出室21と、スクリュー22(以下、搬送器22とも呼ぶ)と、灰排出口23と、灰排出口24とを有する。
【0016】
灰排出室21は、灰排出装置20の内部空間であり、例えば、燃焼室11において汚泥1が焼却することによって発生した焼却灰1a(以下、残渣1aとも呼ぶ)を焼却システム900の外部に排出する。
【0017】
灰排出室21の上端部(図1に示す例ではZ1方向側の端部)は、図1に示すように、例えば、燃焼室11に対して開口している。すなわち、灰排出室21は、燃焼室11と内部において連通している。そして、燃焼室11及び灰排出室21の内部では、灰排出室21の底部から燃焼層Lの近傍までの間に焼却灰1aが堆積され、さらに、その上に焼却中または焼却前の汚泥1が堆積される。そのため、灰排出室21に堆積されていた焼却灰1aを灰排出口23から外部に排出した場合、燃焼室11及び灰排出室21の内部に堆積されている汚泥1及び焼却灰1aは、灰排出室21に堆積されていた焼却灰1aの排出に伴って下方(図1に示す例ではZ2方向)に移動する。
【0018】
スクリュー22は、スクリュー軸22aと、第1スクリュー羽根22bと、第2スクリュー羽根22cとを有し、灰排出室21に堆積された焼却灰1aを灰排出口23及び灰排出口24の近傍に移送する。
【0019】
スクリュー軸22aは、例えば、水平方向の一方向(図1に示す例ではX1方向側からX2方向側)に伸びる軸であり、一端部(図1に示す例ではX1方向側の端部)が灰排出装置20の外部に導出されて支持部材(図示せず)によって回転自在に支持される。そして、スクリュー軸22aは、灰排出装置20の外部に導出した一端部と接続したモータ25の駆動によって長軸周りに回転する。
【0020】
第1スクリュー羽根22bは、例えば、スクリュー軸22aの外周に取り付けられ、スクリュー軸22aの灰排出口23側の端部(図1に示す例ではX1方向側の端部)に向けて螺旋状に延在する。
【0021】
第2スクリュー羽根22cは、例えば、スクリュー軸22aの外周に取り付けられ、スクリュー軸22aの灰排出口24側の端部(図1に示す例ではX2方向側の端部)に向けて螺旋状に延在する。すなわち、第2スクリュー羽根22cは、例えば、灰排出室21の水平方向(図1に示す例ではX方向)における中央位置を中心として第1スクリュー羽根22bと左右対称の形状を有する。
【0022】
灰排出口23は、例えば、スクリュー22によって灰排出口23の近傍に移動された焼却灰1aを焼却システム100の外部に排出する。
【0023】
灰排出口24は、例えば、スクリュー22によって灰排出口24の近傍に移動された焼却灰1aを焼却システム100の外部に排出する。
【0024】
このように、比較例における焼却システム900では、例えば、いわゆる流動床式焼却炉のように、焼却炉10内において珪砂(図示しない)を激しく流動させることによる汚泥1の撹拌や混合を行わない。そのため、焼却システム900では、例えば、流動床式焼却炉の場合と比較して、焼却炉10内に供給する空気圧力を低くすることが可能になる。
【0025】
また、比較例における焼却システム900は、例えば、灰排出口23や灰排出口24から焼却灰1aを排出することで、流動床式焼却炉と比較して、排ガス排出口13から排出される排ガス中のダスト濃度を抑えることが可能になり、排ガス排出口13の後段の排ガス処理施設を簡素化することが可能になる。
【0026】
ここで、汚泥投入口12から焼却炉10内に投入される汚泥1は、例えば、焼却炉10内における汚泥1の高さ(図1に示す例ではZ方向の高さ)が均一になるように投入されることが好ましい。
【0027】
しかしながら、例えば、焼却炉10内に対する汚泥性状の変化や流量が変動した場合、焼却炉10内では、汚泥1の高さに偏りが生じる場合がある。そして、焼却炉10内では、汚泥1の高さに偏りが生じると、例えば、焼却用空気供給管14から供給される焼却用空気が偏流し、焼却中の汚泥1(すなわち、燃焼層Lに位置する汚泥1)に対する焼却用空気の供給が均一に行われなくなる。その結果、焼却炉10内では、図2に示すように、例えば、焼却用空気が十分に供給されない場所(すなわち、空気比が低い場所)において未燃炭素1bが発生し、焼却炉10内における異常燃焼の原因となる可能性がある。具体的に、焼却炉10内では、この場合、例えば、未燃炭素1bの燃焼によって局所高温場が発生し、クリンカが発生する可能性がある。
【0028】
そこで、本実施の形態における焼却システム100は、例えば、他の位置よりも汚泥1が高く堆積されている位置の存在を検知した場合、汚泥1に対して圧縮空気を供給(噴出)することにより、他の位置よりも高く堆積された汚泥1を吹き飛ばし、焼却炉10内における汚泥1の高さを均一にする。以下、第1の実施の形態における焼却システム100について説明を行う。
【0029】
[第1の実施の形態における焼却システム100]
図3は、第1の実施の形態における焼却システム100の構成図である。また、図4は、第1の実施の形態における焼却システム100のA-A断面図である。また、図5は、第1の実施の形態における制御装置50における処理を説明するフローチャート図である。
【0030】
焼却炉10の側壁10aには、図3及び図4に示すように、例えば、焼却炉10内に圧縮空気を供給する空気供給口10bが設けられる。
【0031】
また、焼却システム100は、例えば、監視装置30と、空気供給器40と、制御装置50とをさらに有する。
【0032】
監視装置30は、例えば、焼却炉10内の天井部に設けられた装置であり、焼却炉10内における1以上の位置(領域)のそれぞれに堆積された汚泥1の高さ(図3に示す例ではZ方向における高さ)を測定する測定器である。具体的に、監視装置30は、例えば、汚泥1の表面における複数の位置(図3に示す例ではXY平面に含まれる複数の位置)ごとに、各位置に堆積された汚泥1の高さを測定する。なお、監視装置30は、例えば、レーザ距離計であってよい。
【0033】
空気供給器40は、例えば、圧縮空気を生成して焼却炉10内に供給(噴出)する。具体的に、空気供給器40は、例えば、空気供給管41を介して焼却炉10内に圧縮空気を供給する。
【0034】
制御装置50は、例えば、例えば、監視装置30において測定された汚泥1の高さに基づいて、空気供給器40による圧縮空気の供給を制御する処理を行う。制御装置50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やメモリを有するコンピュータ装置である。
【0035】
具体的に、制御装置50は、図5に示すように、例えば、監視装置30において測定された汚泥1の高さを示す情報を参照して、汚泥1の高さが他の位置より所定の高さ以上高い位置(以下、第1位置とも呼ぶ)が存在するか否かを判定する(図5のステップS1)。言い換えれば、第1位置は、例えば、汚泥1の層高さ(燃焼層Lの高さ)が他の位置と比べて不均一な位置である。
【0036】
そして、例えば、第1位置が存在すると判定した場合(ステップS1のYES)、制御装置50は、空気供給器40から焼却炉10内に向けて圧縮空気が供給されるように空気供給器40を制御する(図5のステップS2)。
【0037】
一方、例えば、第1位置が存在しないと判定した場合(ステップS1のNO)、制御装置50は、ステップS2の処理を行わない。
【0038】
なお、制御装置50は、ステップS1において、例えば、汚泥1の高さが最も高い位置の高さが突出している場合に、その位置を第1位置として特定するものであってよい。
【0039】
具体的に、制御装置50は、例えば、監視装置30によって測定された汚泥1の高さが最も高い位置を特定し、特定した位置の高さと他の位置(監視装置30によって汚泥1の高さが測定された他の位置)のそれぞれの高さとの差を算出するものであってよい。そして、制御装置50は、例えば、算出した差のうちの所定割合以上(例えば、5割以上)が閾値以上であると判定した場合に、汚泥1の高さが最も高い位置を第1位置として特定するものであってよい。
【0040】
また、制御装置50は、ステップS1において、例えば、汚泥1の高さが最も高い位置と汚泥1の高さが最も低い位置とを特定し、汚泥1の高さが最も高い位置の高さと汚泥1の高さが最も低い位置の高さとの差を算出するものであってよい。そして、制御装置50は、例えば、算出した差が閾値以上である場合に、汚泥1の高さが最も高い位置を第1位置として特定するものであってよい。
【0041】
このように、本実施の形態における焼却システム100は、例えば、汚泥1を焼却する焼却炉10と、汚泥1の焼却用空気を供給する1以上の焼却用空気供給管14と、焼却炉10内に圧縮空気を供給する1以上の空気供給器40と、焼却炉10における汚泥1の焼却状況に応じて、1以上の空気供給器40による圧縮空気の供給を制御する制御装置50と、を備える。
【0042】
また、本実施の形態における焼却システム100は、例えば、焼却炉10における汚泥1の焼却状況を監視する監視装置30を備え、制御装置50は、監視装置30によって監視された焼却状況が所定の条件を満たすと判定した場合、1以上の空気供給器40から焼却炉10内に対する圧縮空気の供給が行われるように制御する。具体的に、制御装置50は、例えば、焼却炉10内の汚泥の表面において、汚泥1の高さが他の位置より所定の高さ以上高い位置(第1位置)が存在すると判定した場合、焼却炉10における焼却状況が所定の条件を満たすと判定する。
【0043】
すなわち、例えば、焼却炉10内における汚泥1の高さが不均一である場合、焼却炉10内において未燃炭素1bが発生し、焼却炉10内における異常燃焼の原因となる可能性がある。そのため、本実施の形態における焼却システム100は、例えば、焼却炉10内における汚泥1の高さが均一であるか否かを焼却炉10内における汚泥1の焼却状況を示す指標として監視する。そして、焼却炉10内における汚泥1の高さに偏りが生じていることを検知した場合、焼却システム100は、例えば、焼却炉10内における汚泥1の焼却状況を改善する必要があると判定し、焼却炉10内に向けて圧縮空気を噴出することによって焼却炉10内における汚泥の高さを均一にする。
【0044】
これにより、本実施の形態における焼却システム100は、例えば、焼却用空気が十分に供給されない場所の発生を抑制することが可能になり、未燃炭素1bの発生を抑制することが可能になる。そのため、焼却システム100は、例えば、焼却炉10内における異常燃焼の発生を抑制することが可能になり、クリンカの発生を抑制することが可能になる。
【0045】
なお、上記の例では、空気供給口10bが焼却炉10の側壁10aに設けられ、空気供給口10bと連通する空気供給管41を用いることによって焼却炉10内に圧縮空気を供給する場合について説明を行ったが、これに限られない。具体的に、焼却システム100は、例えば、焼却用空気を供給する複数の焼却用空気供給管14のうちの一部(例えば、焼却用空気の供給が行われていない焼却用空気供給管14)を用いることによって、焼却炉10内に圧縮空気を供給するものであってもよい。
【0046】
[焼却システム100の第1の変形例]
次に、焼却システム100の第1の変形例について説明を行う。
【0047】
監視装置30は、例えば、焼却炉10内における各位置に堆積された汚泥1の温度分布を測定器であってもよい。具体的に、監視装置30は、例えば、汚泥1の表面における複数の位置(図3に示す例ではXY平面に含まれる複数の位置)ごとに、各位置に堆積された汚泥1の温度を測定するものであってもよい。なお、監視装置30は、この場合、例えば、温度センサであってよい。
【0048】
そして、制御装置50は、例えば、例えば、監視装置30において測定された汚泥1の温度分布に基づいて、空気供給器40による圧縮空気の供給を制御する処理を行うものであってもよい。
【0049】
具体的に、制御装置50は、例えば、汚泥1の温度が他の位置より所定の高さ以上低い位置(以下、第2位置とも呼ぶ)が存在するか否かを判定する。そして、例えば、第2位置が存在すると判定した場合、制御装置50は、空気供給器40から焼却炉10内に向けて圧縮空気が供給されるように空気供給器40を制御する。
【0050】
すなわち、汚泥1の温度が他の位置の汚泥1よりも低い位置(第2位置)は、例えば、未燃炭素1bが発生する可能性がある位置である。そのため、制御装置50は、例えば、第2位置が存在するか否かを判定し、存在すると判定した第2位置に対して圧縮空気を噴出する。
【0051】
これにより、焼却システム100は、図5等で説明した場合と同様に、例えば、焼却炉10内における異常燃焼の発生を抑制することが可能になり、クリンカの発生を抑制することが可能になる。
【0052】
なお、制御装置50は、例えば、汚泥1の温度が最も低い位置の低さが突出している場合に、その位置を第2位置として特定するものであってよい。
【0053】
具体的に、制御装置50は、例えば、監視装置30によって測定された汚泥1の温度が最も低い位置を特定し、特定した位置の温度と他の位置(監視装置30によって汚泥1の温度が測定された他の位置)のそれぞれの温度との差を算出するものであってよい。そして、制御装置50は、例えば、算出した差のうちの所定割合以上(例えば、5割以上)が閾値以上であると判定した場合に、汚泥1の温度が最も低い位置を第2位置として特定するものであってよい。
【0054】
また、制御装置50は、例えば、汚泥1の温度が最も低い位置と汚泥1の温度が最も高い位置とを特定し、汚泥1の温度が最も低い位置の温度と汚泥1の温度が最も高い位置の温度との差を算出するものであってよい。そして、制御装置50は、例えば、算出した差が閾値以上である場合に、汚泥1の温度が最も低い位置を第2位置として特定するものであってよい。
【0055】
[焼却システム100の第2の変形例]
次に、焼却システム100の第2の変形例について説明を行う。
【0056】
監視装置30は、例えば、焼却炉10内における各位置に堆積された汚泥1を撮影するカメラであってもよい。
【0057】
そして、制御装置50は、例えば、例えば、監視装置30によって撮影された画像データ(焼却炉10内における汚泥1の表面を撮影した画像データ)に映る色分布に基づいて、空気供給器40による圧縮空気の供給を制御する処理を行うものであってもよい。
【0058】
具体的に、制御装置50は、例えば、汚泥1の温度が閾値よりも低いことを示す色に対応する位置(以下、第3位置とも呼ぶ)が存在するか否かを判定する。そして、例えば、第3位置が存在すると判定した場合、制御装置50は、空気供給器40から焼却炉10内に向けて圧縮空気が供給されるように空気供給器40を制御する。
【0059】
これにより、焼却システム100は、図5等で説明した場合と同様に、例えば、焼却炉10内における異常燃焼の発生を抑制することが可能になり、クリンカの発生を抑制することが可能になる。
【0060】
なお、制御装置50は、例えば、監視装置30によって撮像された画像データの入力に伴って第3位置を示す情報を出力する機械学習モデルを用いることによって、焼却炉10内において第3位置が存在するか否かを判定するものであってもよい。
【0061】
具体的に、制御装置50は、この場合、例えば、焼却炉10内における表面を撮影した画像データと、第3位置が存在している位置を示す情報(いわゆるラベル)とをそれぞれ含む複数の教師データの機械学習を行うことによって生成された機械学習モデルを用いるものであってもよい。
【0062】
以上に説明した、汚泥1の高さが他の位置より所定の高さ以上高い第1位置や、汚泥1の温度が他の位置の汚泥1よりも低い第2位置や、汚泥1の温度が閾値よりも低いことを示す色に対応する第3位置は、焼却炉10の水平方向(XY面)における未燃炭素1bが発生する可能性が高くなる、または、実際に未燃炭素1bの発生箇所とみなすことができる。
【0063】
そこで、制御装置50は、監視装置30により監視された焼却状況に基づき、焼却炉10の水平方向における層高さの不均一箇所を特定する。そして、制御装置50は、不均一箇所を特定した場合、1以上の空気供給器40から焼却炉10の燃焼層Lに対する圧縮空気の供給が行われるように制御する。
【0064】
[第2の実施の形態における焼却システム200]
図6は、第2の実施の形態における焼却システム200の構成図である。また、図7は、第1の実施の形態における焼却システム200のB-B断面図である。また、図8は、第2の実施の形態における制御装置50における処理を説明するフローチャート図である。以下、第1の実施の形態における焼却システム100と異なる点について説明を行う。
【0065】
焼却炉10の側壁10aには、図6及び図7に示すように、例えば、焼却炉10内に圧縮空気を供給する複数の空気供給口10bが設けられる。
【0066】
具体的に、焼却炉10には、図7に示すように、例えば、側壁10aの周方向に沿って、空気供給口10b1、空気供給口10b2、空気供給口10b3、空気供給口10b4、空気供給口10b5、空気供給口10b6、空気供給口10b7及び空気供給口10b8のそれぞれが設けられている。
【0067】
また、焼却システム100は、例えば、圧縮空気を生成して焼却炉10内に供給(噴出)する複数の空気供給器40を有する。
【0068】
具体的に、焼却システム100は、図6に示すように、例えば、空気供給管41aを介して空気供給口10b1から焼却炉10内に圧縮空気を供給する空気供給器40aと、空気供給管41bを介して空気供給口10b2から焼却炉10内に圧縮空気を供給する空気供給器40bとを有する。また、焼却システム100は、例えば、空気供給管41cを介して空気供給口10b3から焼却炉10内に圧縮空気を供給する空気供給器(図示せず)と、空気供給管41dを介して空気供給口10b4から焼却炉10内に圧縮空気を供給する空気供給器(図示せず)と、空気供給管41eを介して空気供給口10b5から焼却炉10内に圧縮空気を供給する空気供給器(図示せず)と、空気供給管41fを介して空気供給口10b6から焼却炉10内に圧縮空気を供給する空気供給器(図示せず)と、空気供給管41gを介して空気供給口10b7から焼却炉10内に圧縮空気を供給する空気供給器(図示せず)と、空気供給管41hを介して空気供給口10b8から焼却炉10内に圧縮空気を供給する空気供給器(図示せず)とを有する。
【0069】
制御装置50は、例えば、例えば、監視装置30において測定された汚泥1の高さに基づいて、複数の空気供給器40のうちの少なくともいずれかによる圧縮空気の供給を制御する処理を行う。
【0070】
具体的に、制御装置50は、図8に示すように、例えば、監視装置30において測定された汚泥1の高さを示す情報を参照して、汚泥1の高さが他の位置より所定の高さ以上高い位置(第1位置)が存在するか否かを判定する(図8のステップS11)。
【0071】
そして、例えば、第1位置が存在すると判定した場合(ステップS11のYES)、制御装置50は、複数の空気供給器40のうち、第1位置に堆積された汚泥1に対する圧縮空気の供給が可能な空気供給器40(以下、第1空気供給器40とも呼ぶ)を特定する(図8のステップS12)。
【0072】
その後、制御装置50は、例えば、第1位置に堆積された汚泥1に対して第1空気供給器40から圧縮空気が供給されるように制御する(図8のステップS13)。
【0073】
一方、例えば、第1位置が存在しないと判定した場合(ステップS11のNO)、制御装置50は、ステップS12及びステップS13の処理を行わない。
【0074】
具体的に、例えば、第1位置に対する圧縮空気の供給が可能な空気供給器40が空気供給器40aであると判定した場合、制御装置50は、空気供給器40aから第1位置に堆積された汚泥1に対して圧縮空気が供給されるように空気供給器40aを制御する。
【0075】
このように、本実施の形態における監視装置30は、例えば、1以上の空気供給器40のそれぞれから圧縮空気を供給可能な1以上の位置における焼却状況を監視し、制御装置50は、1以上の空気供給器40のそれぞれから圧縮空気を供給可能な1以上の位置のうち、焼却状況が所定の条件を満たす第1位置を特定し、複数の空気供給器40のうち、特定した第1位置に対応する第1空気供給器40を特定し、特定した第1空気供給器40から第1位置に対して圧縮空気が供給されるように制御する。
【0076】
すなわち、本実施の形態における焼却システム200は、例えば、焼却炉10内における汚泥1の高さに偏りが生じていることを検知した場合、他の位置よりも汚泥1の高さが高い第1位置を特定する。そして、焼却システム200は、例えは、特定した第1位置に対応する第1空気供給器40を用いて第1位置に対して圧縮空気を噴出することによって、焼却炉10内における汚泥の高さを均一にする。
【0077】
これにより、本実施の形態における焼却システム200は、例えば、汚泥1が高く堆積された位置に対する圧縮空気の供給(噴出)を精度良く行うことが可能になり、焼却炉10内における汚泥の高さをより均一にすることが可能になる。そのため、焼却システム200は、例えば、焼却用空気が十分に供給されない場所の発生をより抑制することが可能になり、未燃炭素1bの発生をより抑制することが可能になる。
【0078】
なお、上記の例では、複数の空気供給口10bが側壁10aの周方向に沿って設けられる場合について説明を行ったがこれに限られない。具体的に、複数の空気供給口10bのそれぞれは、例えば、異なる高さ(Z方向における異なる高さ)においてそれぞれ設けられるものであってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1:汚泥 1a:焼却灰
1b:未燃炭素 10:焼却炉
10a:側壁 10b:空気供給口
11:燃焼室 12:汚泥投入口
13:排ガス排出口 14:焼却用空気供給管
20:灰排出装置 21:灰排出室
22:スクリュー 22a:スクリュー軸
22b:第1スクリュー羽根 22c:第2スクリュー羽根
23:灰排出口 24:灰排出口
25:モータ 30:監視装置
40:空気供給器 40a:空気供給器
40b:空気供給器 41:空気供給管
50:制御装置 100:焼却システム
200:焼却システム 900:焼却システム
L:燃焼層
図1
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図8