(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067379
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】紫外線照射量測定方法及び測定具
(51)【国際特許分類】
G01J 1/58 20060101AFI20240510BHJP
G01J 1/02 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
G01J1/58
G01J1/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177411
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】591200715
【氏名又は名称】加賀産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】溝口 治
(72)【発明者】
【氏名】堀 貴博
【テーマコード(参考)】
2G065
【Fターム(参考)】
2G065AB05
2G065BA26
2G065DA10
2G065DA20
(57)【要約】
【課題】従来の紫外線照射量測定方法においては、対象物の形状によっては、対象物の表面における紫外線の照射量を定量的に測定することが困難であった。
【解決手段】対象物900の表面における紫外線照射量測定方法であって、紫外線の照射量に応じて不可逆に色が変化する反応部位5を含むシート状の測定具1を対象物900の表面に配置する配置ステップと、紫外線の照射後の測定具1を画像データとして読み取る読取ステップと、コンピュータにより、画像データの反応部位5の色情報を取得する色情報取得ステップと、予め用意した、色情報と紫外線の照射量との対応関係を示す対応情報を用いて、取得した色情報に対応する照射量を特定する特定ステップと、を含む、紫外線照射量測定方法により、対象物の表面における紫外線の照射量を確実に測定することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の表面における紫外線照射量測定方法であって、
紫外線の照射量に応じて不可逆に色が変化する反応部位を含むシート状の測定具を対象物の表面に配置する配置ステップと、
紫外線の照射後の前記測定具を画像データとして読み取る読取ステップと、
コンピュータにより、前記画像データの反応部位の色情報を取得する色情報取得ステップと、
予め用意した、色情報と紫外線の照射量との対応関係を示す対応情報を用いて、取得した色情報に対応する照射量を特定する特定ステップと、を含む、紫外線照射量測定方法。
【請求項2】
所定の処理条件を満たすように、前記対象物に配置する測定具の前記反応部位に対応する反応部位を有する用具に所定の照射量だけ紫外線を照射した後の前記反応部位の色情報を取得して、前記対応情報を生成する生成ステップをさらに含み、
前記特定ステップにおいて、前記生成ステップにより生成された前記対応情報を用いて、取得した色情報に対応する照射量を特定する、請求項1に記載の紫外線照射量測定方法。
【請求項3】
前記測定具は、互いに位置が異なる2以上の反応部位を有している、請求項1又は2に記載の紫外線照射量測定方法。
【請求項4】
前記読取ステップにおいて、紫外線の照射後の前記測定具を対象物の表面から取り外し、取り外された前記測定具を平らにした状態で画像データとして読み取る、請求項1又は2に記載の紫外線照射量測定方法。
【請求項5】
前記読取ステップにおいて、フラットベッドスキャナにより前記測定具を画像データとして読み取る、請求項4に記載の紫外線照射量測定方法。
【請求項6】
前記色情報は、所定の色空間における一の注目原色の値である、請求項1又は2に記載の紫外線照射量測定方法。
【請求項7】
前記測定具は、
シート状の基材と、
前記基材より小さく、前記基材の上に部分的に配置されて前記反応部位となる反応シートとを有する、請求項1又は2に記載の紫外線照射量測定方法。
【請求項8】
前記反応シートは、糊付きのラベルである、請求項7に記載の紫外線照射量測定方法。
【請求項9】
前記測定具は、第一方向に延びるように形成され、前記反応シートが配置されている配置部と、前記第一方向とは異なる第二方向に帯状に延びるように形成されたバンド部とを有し、
前記配置ステップにおいて、前記バンド部を前記対象物の一部に巻き付けるようにして前記測定具を前記対象物の表面に配置する、請求項7に記載の紫外線照射量測定方法。
【請求項10】
前記対象物は、棒状のハンドル部を有するショッピングカートであり、
前記配置ステップにおいて、前記配置部が前記ハンドル部に沿うように、前記バンド部を前記ハンドル部又は前記ハンドル部から伸びるフレーム部に巻き付けるようにして、前記測定具を前記ハンドル部及びその近傍に配置する、請求項9に記載の紫外線照射量測定方法。
【請求項11】
対象物の表面における紫外線の照射量を測定するために用いられる測定具であって、
シート状の基材と、
前記基材より小さく、前記基材の上に部分的に配置された2以上の反応シートとを有し、
前記反応シートは、紫外線の照射量に応じて不可逆に色が変化するように構成された糊付きのラベルである、測定具。
【請求項12】
前記基材は、第一方向に延びるように形成され、前記反応シートが配置されている配置部と、前記第一方向とは異なる第二方向に帯状に延びるように形成されたバンド部とを有し、
前記バンド部を前記対象物の一部に巻き付けるようにして前記対象物の表面に配置することができるように構成されている、請求項11に記載の測定具。
【請求項13】
前記対象物は、棒状のハンドル部を有するショッピングカートであり、
前記バンド部は、前記配置部を前記ハンドル部に沿うようにした状態で、前記ハンドル部又は前記ハンドル部から伸びるフレーム部に巻き付けることができるように帯状に伸びるように形成されている、請求項12に記載の測定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紫外線照射量測定方法及び測定具に関し、特に、対象物の表面における紫外線の照射量を測定する紫外線照射量測定方法及び測定具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線の照射量を測定するニーズに対して、紫外線照射量測定器などの測定機器が用いられている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、紫外線量を検出する紫外線センサと、照度を検出する照度センサと、照度センサが検出した照度に応じて紫外線センサによる紫外線量の検出頻度を設定するセンサ制御部とを備える紫外線測定装置の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような従来の照度計や照射量測定器等の測定機器を用いた測定方法では、対象物の表面の特定部位における紫外線の照射量を確実に測定することは困難であった。すなわち、測定機器にはかさがあり、対象物の表面から離れてしまう。また、対象物の形状や特定部位によっては、測定機器を適切に配置したまま紫外線を照射することが不可能であったり、困難であったりする場合がある。例えば、複雑な形状を有する対象物の表面や、他の部材と重なっているなどして周辺のスペースがない部位においては、測定機器による測定は不可能である。
【0006】
この発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、対象物の表面における紫外線の照射量を確実に測定することができる紫外線照射量測定方法及び測定具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第一の発明の紫外線照射量測定方法は、対象物の表面における紫外線照射量測定方法であって、紫外線の照射量に応じて不可逆に色が変化する反応部位を含むシート状の測定具を対象物の表面に配置する配置ステップと、紫外線の照射後の測定具を画像データとして読み取る読取ステップと、コンピュータにより、画像データの反応部位の色情報を取得する色情報取得ステップと、予め用意した、色情報と紫外線の照射量との対応関係を示す対応情報を用いて、取得した色情報に対応する照射量を特定する特定ステップと、を含む、紫外線照射量測定方法である。
【0008】
かかる構成により、対象物の表面における紫外線の照射量を定量的に測定することができる。
【0009】
また、本第二の発明の紫外線照射量測定方法は、第一の発明に対して、所定の処理条件を満たすように、対象物に配置する測定具の反応部位に対応する反応部位を有する用具に所定の照射量だけ紫外線を照射した後の反応部位の色情報を取得して、対応情報を生成する生成ステップをさらに含み、特定ステップにおいて、生成ステップにより生成された対応情報を用いて、取得した色情報に対応する照射量を特定する、紫外線照射量測定方法である。
【0010】
かかる構成により、高い精度で紫外線の照射量を測定することができる。
【0011】
また、本第三の発明の紫外線照射量測定方法は、第一又は二の発明に対して、測定具は、互いに位置が異なる2以上の反応部位を有している、紫外線照射量測定方法である。
【0012】
かかる構成により、対象物の複数箇所における紫外線の照射量をより容易に定量的に測定することができる。
【0013】
また、本第四の発明の紫外線照射量測定方法は、第一から三のいずれかの発明に対して、読取ステップにおいて、紫外線の照射後の測定具を対象物の表面から取り外し、取り外された測定具を平らにした状態で画像データとして読み取る、紫外線照射量測定方法である。
【0014】
かかる構成により、高い精度で紫外線の照射量を測定することができる。
【0015】
また、本第五の発明の紫外線照射量測定方法は、第四の発明に対して、読取ステップにおいて、フラットベッドスキャナにより測定具を画像データとして読み取る、紫外線照射量測定方法である。
【0016】
かかる構成により、より容易にかつ高い精度で紫外線の照射量を測定することができる。
【0017】
また、本第六の発明の紫外線照射量測定方法は、第一から五のいずれかの発明に対して、色情報は、所定の色空間における一の注目原色の値である、紫外線照射量測定方法である。
【0018】
かかる構成により、容易にかつ高い精度で紫外線の照射量を測定することができる。
【0019】
また、本第七の発明の紫外線照射量測定方法は、第一から六のいずれかの発明に対して、測定具は、シート状の基材と、基材より小さく、基材の上に部分的に配置されて反応部位となる反応シートとを有する、紫外線照射量測定方法である。
【0020】
かかる構成により、簡素に構成された測定具を用いて紫外線の照射量を定量的に測定することができる。
【0021】
また、本第八の発明の紫外線照射量測定方法は、第七の発明に対して、反応シートは、糊付きのラベルである、紫外線照射量測定方法である。
【0022】
かかる構成により、容易に測定具を構成することができる。
【0023】
また、本第九の発明の紫外線照射量測定方法は、第七又は八の発明に対して、測定具は、第一方向に延びるように形成され、反応シートが配置されている配置部と、第一方向とは異なる第二方向に帯状に延びるように形成されたバンド部とを有し、配置ステップにおいて、バンド部を対象物の一部に巻き付けるようにして測定具を対象物の表面に配置する、紫外線照射量測定方法である。
【0024】
かかる構成により、対象物に確実に測定具を配置して高い精度で紫外線の照射量を測定することができる。
【0025】
また、本第十の発明の紫外線照射量測定方法は、第九の発明に対して、対象物は、棒状のハンドル部を有するショッピングカートであり、配置ステップにおいて、配置部がハンドル部に沿うように、バンド部をハンドル部又はハンドル部から伸びるフレーム部に巻き付けるようにして、測定具をハンドル部及びその近傍に配置する、紫外線照射量測定方法である。
【0026】
かかる構成により、複雑な形状を有するショッピングカートのハンドル部における紫外線の照射量を定量的に測定することができる。
【0027】
また、本第十一の発明の測定具は、対象物の表面における紫外線の照射量を測定するために用いられる測定具であって、シート状の基材と、基材より小さく、基材の上に部分的に配置された2以上の反応シートとを有し、反応シートは、紫外線の照射量に応じて不可逆に色が変化するように構成された糊付きのラベルである、測定具である。
【0028】
かかる構成により、簡素に構成された測定具を用いて紫外線の照射量を測定することができる。
【0029】
また、本第十二の発明の測定具は、第十一の発明に対して、基材は、第一方向に延びるように形成され、反応シートが配置されている配置部と、第一方向とは異なる第二方向に帯状に延びるように形成されたバンド部とを有し、バンド部を対象物の一部に巻き付けるようにして対象物の表面に配置することができるように構成されている、測定具である。
【0030】
かかる構成により、対象物に確実に測定具を配置することができる。
【0031】
また、本第十三の発明の測定具は、第十二の発明に対して、対象物は、棒状のハンドル部を有するショッピングカートであり、バンド部は、配置部をハンドル部に沿うようにした状態で、ハンドル部又はハンドル部から伸びるフレーム部に巻き付けることができるように帯状に伸びるように形成されている、測定具である。
【0032】
かかる構成により、複雑な形状を有するショッピングカートのハンドル部に確実に測定具を配置することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明による紫外線照射量測定方法及び測定具によれば、対象物の表面における紫外線の照射量を確実に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本実施の形態の一つに係る紫外線照射量測定方法の流れを説明するための図
【
図2】同紫外線照射量測定方法において用いられうる測定具の一例を示す平面図
【
図4】同紫外線照射量測定方法において用いられうる情報処理装置及び読取装置の構成例を示すブロック図
【
図5】同紫外線照射量測定方法において利用される対応情報の作成について説明する図
【
図6】同紫外線照射量測定方法において利用される対応情報の一例を示すグラフ
【
図7】色情報と不活化率との対応関係の一例を示すグラフ
【
図8】同紫外線照射量測定方法を示すフローチャート
【
図9】同紫外線照射量測定方法に用いられる対応情報の生成方法の一例を示すフローチャート
【
図10】同紫外線照射量測定方法において画像データの一例を示す平面図
【
図11】同紫外線照射量測定方法における対象物への測定具,の配置例を示す第1の図
【
図12】同対象物への測定具,の配置例を示す第2の図
【
図13】同対象物への測定具の配置例を示す第3の図
【
図14】本実施の形態の一変形例に係る対象物への測定具の配置例を示す図
【
図15】上記実施の形態におけるコンピュータシステムの概観図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、紫外線照射量測定方法やそれに用いられる測定具等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0036】
なお、以下の説明において、ある方向を示して各部の形状や位置関係を説明することがあるが、方向の明示はあくまで説明の便宜のためのものに過ぎず、本発明に係る各方法や用具等の使用時における向きや姿勢などを限定するものではない。
【0037】
なお、以下において用いる用語は、一般的には次のように定義される。なお、これらの用語の語義は常にここに示されるように解釈されるべきではなく、例えば以下において個別に説明されている場合にはその説明も踏まえて解釈されるべきである。
【0038】
ある事項について識別子とは、当該事項を一意に示す文字又は符号等である。識別子は、例えば、IDであるが、対応する事項を識別しうる情報であれば種類は問わない。すなわち、識別子は、それが示すものそのものの名前であってもよいし、一意に対応するように符号を組み合わせたものであってもよい。
【0039】
取得とは、ユーザ等により入力された事項を取得することを含んでいてもよいし、他の装置に記憶されている情報を取得することを含んでいてもよい。他の装置に記憶されている情報を取得するとは、他の装置に記憶されている情報をAPI経由などで取得することを含んでいてもよいし、他の装置により提供されている文書ファイルの内容(ウェブページの内容なども含む)についてスクレイピング等を行うことにより取得することを含んでいてもよい。
【0040】
情報を出力するとは、ディスプレイへの表示、プロジェクタを用いた投影、プリンタでの印字、音出力、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。具体的には、例えば、情報のウェブページへの表示を可能とすることや、電子メール等として送信することや、印刷するための情報を出力することなどを含む。
【0041】
情報の受け付けとは、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力デバイスから入力された情報の受け付け、他の装置等から有線若しくは無線の通信回線を介して送信された情報の受信、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなどの記録媒体から読み出された情報の受け付けなどを含む概念である。
【0042】
(実施の形態)
【0043】
本実施の形態において、紫外線照射量測定方法(以下、単に測定方法ということがある)は、紫外線の照射量に応じて不可逆に色が変化する測定具を用いて、対象物の表面における紫外線の照射量を特定する際に用いられる。
【0044】
本実施の形態において、測定方法の利用対象となる対象物は、例えば、ショッピングカートである。ショッピングカートは、殺菌作用のある紫外線の照射対象となる物であり、対象物の表面に付着した種々の菌の除菌目的で紫外線が照射される。対象物の表面に付着した種々のウイルスの不活化の目的で紫外線が照射されてもよい。すなわち、本実施の形態において、紫外線としては、例えばUV-Cなどの深紫外線域の波長の紫外線が用いられる。このような、除菌目的やウイルス不活化目的で紫外線が照射される場合、対象物の表面にくまなく、目的を達成するのに十分な照射量(線量)となるだけ、適切に紫外線を照射することが必要となる。紫外線の照射には、照射する手段や環境などの仕様や、照射を行う時間の長さなど、各種の仕様(照射態様)がありうる。適切に紫外線を照射することができる照射態様であるかどうかを確認するためには、当該照射態様による対象物の各部の表面における紫外線の照射量を、できるだけ正確に測定することが必要である。測定の結果、適切に紫外線を照射することができる照射態様を確定させることができた後は、当該照射態様を利用して、多数の対象物に対して紫外線の照射を行うことができる。
【0045】
本実施の形態において、測定方法は、対象物の表面にシート状の測定具を配置して紫外線を照射し、照射後の測定具の状態について情報処理装置等を用いて情報を取得し、照射量を特定するものである。以下、このような測定方法やそれに用いられる測定具等について説明する。
【0046】
なお、対象物は上述のものに限られない。対象物は、種々の物や不動産であってもよいし、生物を含んでいてもよい。また、紫外線の波長はこれに限られない。すなわち、測定方法を利用可能な場面は、上述のような除菌目的やウイルスの不活化の目的で紫外線を照射することを想定する場面に限られない。紫外線の種々の作用を得ることを目的として紫外線を照射することを想定する場面や、意図せず入射する紫外線がある場面において、紫外線の照射量を特定するために、測定方法を用いることができる。また、多波長の紫外線が照射される場合において測定方法が用いられてもよい。
【0047】
図1は、本実施の形態の一つに係る紫外線照射量測定方法の流れを説明するための図である。
【0048】
まず、図を参照して、本実施の形態に係る紫外線照射量測定方法についておおまかに説明する。紫外線照射量測定方法においては、測定具1と、対象物900と、照射装置500と、情報処理装置100及び読取装置300とが用いられる。
【0049】
まず、対象物900と照射装置500とについて説明する。
【0050】
図において、対象物900は、例えば、一般的な構成を有するショッピングカートである。対象物900は、ハンドル部911、フレーム部913、バスケット載置部915、及び車輪917を備える。フレーム部913は、例えば棒状の部材により構成されている。フレーム部913には、商品や商品を収容するバスケットが載置されるバスケット載置部915が取り付けられている。フレーム部913の下部には、車輪917が取り付けられている。ハンドル部911は、対象物900を使用するユーザが把持可能な棒状の部位である。ショッピングカートは、例えばいわゆるスーパーマーケット等の小売店舗において、客が購入したい商品をレジスターまで運搬するために用いられうる。
【0051】
本実施の形態においては、ハンドル部911は、例えば、水平方向に延びるように構成されている。また、ハンドル部911は、例えば、ショッピングカートの使用に際し通常想定される前後方向に対して垂直な幅方向(左右方向)に沿って伸びるように構成されている。ハンドル部911は、対象物900の略全幅にわたる長さに略まっすぐに伸びるように構成されている。なお、対象物900の構成はこれに限れない。例えば、ハンドル部911は、前後方向において延びるように形成されていてもよい。ハンドル部911は、対象物900を使用するユーザの右手と左手とのそれぞれに対応するように2箇所以上に設けられていてもよい。
【0052】
本実施の形態において、対象物900は、前後方向において複数連ねておくことができるように構成されているものである。なお、これに限られない。
【0053】
照射装置500は、例えば、内部に、互いに連ねられた複数の対象物900を収容可能な筐体を有している。筐体の内部には光源500bが配置されており、収容されている対象物900に対して紫外線を照射可能に構成されている。本実施の形態において、照射装置500は、特定波長の紫外線を対象物900に対して照射することにより、対象物900の表面における除菌やウイルスの不活化等の処理を行うための装置である。照射される時間は、通常、数秒から数百秒程度であるが、これに限られない。複数の対象物900に対して一度に処理を行うことができる。筐体は、照射される紫外線の外部への漏れを防止することができるように構成されている。
【0054】
なお、測定方法において、対象物900は、このような照射装置500を用いて紫外線が照射されるものに限られない。自然界において日光を浴びる物など、広範に、又は長期間にわたり照射される紫外線の影響をうける対象物900が対象とされてもよい。
【0055】
測定方法の一例のおおまかな流れは、次のようである。測定方法は、例えば、測定者であるユーザにより行われる。
【0056】
(ステップS1)まず、ユーザは、測定具1を、対象物900の表面に配置する(配置ステップ)。測定具1を配置する位置は、紫外線の照射量の測定目的等に応じて適宜設定しうる。
【0057】
(ステップS2)ユーザは、測定具1が配置された対象物900に紫外線が照射されるようにする。本実施の形態においては、ユーザは、複数の対象物900を、実使用時と同じように連ねた状態で照射装置500の内部に収容する。そして、ユーザは、照射装置500により対象物900に紫外線を照射する。
【0058】
(ステップS3)ユーザは、紫外線の照射後の対象物900の測定具1を、画像データとして読み取る(読取ステップ)。本実施の形態においては、ユーザは、紫外線の照射後の測定具1を対象物の表面から取り外し、取り外された測定具1を平らにした状態で、画像データとして読み取る。読み取りには、例えば、フラットベッドスキャナである読取装置300が用いられる。すなわち、ユーザは、フラットベッドスキャナにより、測定具1を、画像データとして読み取る。画像データは、例えば情報処理装置100に記憶される。そして、後述するように、情報処理装置100により、画像データの反応部位の色情報の取得と、対応情報を用いた照射量の特定とが行われる(色情報取得ステップ、特定ステップ)。
【0059】
図2は、同紫外線照射量測定方法において用いられうる測定具1の一例を示す平面図である。
【0060】
図に示されるように、測定具1は、全体としてシート状に形成されている。測定具1は、湾曲、折曲げ可能である。測定具1の一部には粘着剤等が用いられていてもよい。測定具1は、対象物900の表面に配置可能に構成されている。
【0061】
測定具1の一方の面には、反応部位5が設けられている。反応部位5は、紫外線の照射量に応じて、不可逆的に色が変化する部位である。換言すると、測定具1は、紫外線の照射に伴って色が変化する反応部位5を有している。本実施の形態において、反応部位5に生じる色の変化は不可逆的なものであるが、可逆的なものであってもよい。例えば時間の経過とともに戻るような可逆的な変化を伴う反応部位5を測定具1が有している場合には、後述の色情報の取得の際には、色情報として照射後に経過した時間等の情報を得るようにしてもよい。
【0062】
反応部位5は、測定具1の一方の面に、部分的に設けられている。すなわち、測定具1の当該一方の面には、反応部位5ではない部分が含まれている。反応部位5ではない部分については反応部位5よりもコストの低い材料を用いて測定具1を構成することにより、測定具1を安価な構成とすることができる。
【0063】
本実施の形態において、1枚の測定具1には、2以上の反応部位5が配置されている。図に示される例では、測定具1は、4つの反応部位5を含んでいる。測定具1は、2以上の反応部位5が互いに異なる位置に含まれるように形成されたシート状の用具であるといえる。
【0064】
本実施の形態において、測定具1は、例えば、配置部11と、バンド部13とを含んでいる。配置部11とバンド部13とは繋がっている。すなわち、バンド部13と配置部11とが互いに接続されていると言ってもよい。
【0065】
配置部11は、例えば、第一方向に延びるように形成されている。換言すると、配置部11は、第一方向が長手方向になるように形成されている。配置部11は、延在部と言ってもよい。本実施の形態において、配置部11は、帯状に、直線状に延びるように形成されている。なお、配置部11は、直線状に延びるものでなくてもよく、例えば湾曲していてもよい。また、配置部11は、帯状に限られず、幅が異なるものであってもよい。また、一つの測定具1に、2以上の配置部11が設けられていてもよい。換言すると、1つの測定具1に、第一方向に延びる部位が2以上あってもよい。
【0066】
バンド部13は、例えば、第二方向に延びるように形成されている。換言すると、バンド部13は、第二方向が長手方向になるように形成されている。第二方向は、例えば、第一方向に直交する方向である。これに限られず、第二方向は、第一方向とは異なる方向であればよい。本実施の形態において、バンド部13は、帯状に、直線状に延びるように形成されている。なお、バンド部13は、直線状に延びるものでなくてもよく、例えば湾曲していてもよい。また、バンド部13は、帯状に限られず、幅が異なるものであってもよく、配置部11が延びる方向とは異なる方向に突出するように形成された部位であってもよい。図に示される例において、バンド部13の幅(第二方向に直交する方向の寸法)は配置部11の幅(第一方向に直交する方向の寸法)よりも小さいが、大きくてもよい。本実施の形態において、一つの測定具1において、2以上のバンド部13が、第一方向において互いに異なる部位にある。例えば、5つのバンド部13が設けられている。2以上のバンド部13は、互いに異なる形状であってもよい。また、2以上のバンド部13のそれぞれが延びる方向は、互いに異なっていてもよい。
【0067】
なお、測定具1において、配置部11とバンド部13とは、厳密に区別されうるものでなくてもよい。測定具1は、全体として、湾曲する形状であってもよい。例えば、測定具1が、第一方向に延びる第一部位と、当該第一部位の端部から第二方向に延びる第二部位とを有していてもよい。この場合、第一部位と第二部位との接続部位は折れ曲がっているように形成されていてもよいし、緩やかにカーブするように形成されていてもよい。また、測定具1は、バンド部13を有しておらず、配置部11のみを有しているものであってもよい。
【0068】
本実施の形態において、配置部11には、反応部位5が配置されている。本実施の形態においては、2以上の反応部位5が配置部11に配置されている。2以上の反応部位5のうち少なくとも2つは、第一方向において互いに異なる位置に配置されている。なお、2以上の反応部位5のうち少なくとも2つが、第一方向とは異なる方向において互いに異なる位置に配置されていてもよい。なお、反応部位5は、配置部11に加えて、バンド部13に配置されていてもよい。なお、測定具1の形状によって、反応部位5のうち少なくとも1つが配置されている部位を配置部11であると捉えて、配置部11とバンド部13とを把握するようにしてもよい。
【0069】
【0070】
図に示されるように、本実施の形態において、測定具1は、基材10と、反応部位5となる反応シート50とを有している。
【0071】
基材10は、シート状の部材である。本実施の形態において、基材10は、上述のように配置部11とバンド部13とをなすように構成されている。基材10は、例えば、透明な樹脂製フィルムである。これに限られず、基材10は、例えば、不透明な樹脂製フィルムやその他のフィルムであってもよいし、用紙であってもよい。また、基材10は、片面又は両面に粘着層を有するシートやテープなどであってもよい。基材10は、いわゆるマスキングテープや養生テープなどであってもよい。基材10は、一体でなくてもよく、複数のシート状部材が接着や粘着等により組み合わされて構成されていてもよい。この場合、複数のシート状部材は、樹脂製フィルムと紙製テープとの組み合わせなど、互いに異なる素材の部材が組み合わされて構成されていてもよい。
【0072】
反応シート50は、基材10の上に部分的に配置される部位である。反応シート50は、基材10の上において、反応部位5となる。すなわち、反応シート50は、紫外線の照射量に応じて色が変化する部位を有している。反応シート50は、基材10より小さくなっている。換言すると、反応シート50の面積は、基材10の面積よりも小さくなっている。本実施の形態において、反応シート50は、糊付きのラベルである。反応シート50のうち、基材10に対向する面には、例えば粘着材層である糊部50bが設けられている。反応シート50は、糊が付されていないシートであってもよい。この場合、粘着剤を用いて反応シート50が基材10に貼り付けられるようにしてもよいし、粘着性を有するように構成された基材10の所定部位に反応シート50が貼り付けられるようにしてもよい。
【0073】
本実施の形態において、反応シート50は、具体的には、例えば、日油技研工業株式会社製の紫外線インジケータであるUVラベル(登録商標)である。品番は、Sタイプ(超高感度)のものが用いられうる。なお、これに限られず、同種の他の商品を用いてもよい。紫外線の照射の目的や用途等に応じて、製品のタイプやその他の製品が適宜選択されればよい。また、反応シート50は、シート基材に、紫外線の照射量に応じて変色する試薬を含浸させて製造したものであってもよい。
【0074】
測定具1は、基材10の上に反応シート50を貼り付けて反応部位5とすることで構成されうる。例えば、平らに広げられている基材10の上に反応シート50を貼り付けることにより測定具1とすることができる。基材10を対象物900の表面に配置した後で反応シート50が基材10状に貼り付けられることにより測定具1が構成されるようにしてもよい。
【0075】
測定具1の構成はこれに限られず、形状や、反応部位5の数すなわち反応シート50の数は、適宜、対象物900の形状や照射量の測定目的等に応じて適宜設定されうる。また、測定具1の構成は、基材10に反応シート50を貼り付けたものに限られない。測定具1は、例えば、台紙である基材上の一部に試薬等が含浸されて反応部位5となるようにした物であってもよい。また、測定具1は、反応シート50そのものであってもよい。すなわち、測定具1は、例えば、全面に反応部位を含むシート状のものであると言ってもよい。また、測定具1は、全面が反応部位となっているラベルであってもよく、その大きさや面積は問わない。
【0076】
このように構成された測定具1は、例えば、上述の配置ステップにおいて、バンド部13を対象物900の一部に巻き付けるようにして、対象物900の表面に配置可能である。なお、表面に配置されるとは、必ずしも表面に密着等している状態のみを意味するものではい。一部が浮いたり、しわがあったりするなど、対象物900の表面と測定具1の基材10との間に若干の空隙がある状態であっても、表面に配置されていると言ってもよい。測定具1の一部と対象物900の表面に貼り付けられてもよい。この場合、基材10に粘着材等を配置するようにしてもよいし、別途粘着テープ等が用いられてもよい。バンド部13に限られず、配置部11が対象物900の表面に貼り付けられてもよい。少なくとも1つのバンド部13が、対象物900の一部に巻き付けられていなくてもよい。
【0077】
本実施の形態においては、例えば、対象物900のフレーム部913やハンドル部911などの棒状の部位にバンド部13を巻くようにして、対象物900の表面に測定具1を配置することができる。換言すると、フレーム部913やハンドル部911などの対象物900の一部の周囲を囲むようにバンド部13が取り回された状態で、測定具1が対象物900の表面に配置されうる。本実施の形態においては、配置部11がハンドル部911に沿うようにして、バンド部13をハンドル部911又はハンドル部911から伸びるフレーム部913に巻き付けるようにして、測定具1がハンドル部911及びその近傍に配置される。換言すると、測定具1は、測定具1における第一方向がハンドル部911の長手方向に沿うような姿勢で、ハンドル部911に配置される。これにより、ハンドル部911の表面近傍において、ハンドル部911の長手方向において互いに異なる箇所に反応部位5が位置するように、測定具1を配置することができる。すなわち、ハンドル部911の長手方向において互いに異なる箇所の表面における紫外線の照射量を特定することができる。
【0078】
図4は、同紫外線照射量測定方法において用いられうる情報処理装置100及び読取装置300の構成例を示すブロック図である。
【0079】
情報処理装置100は、例えば、ラップトップコンピュータなどのパーソナルコンピュータ(PC)である。いわゆるスマートフォンなどの携帯情報端末装置や、タブレット型の情報端末装置や、これら以外の装置が情報処理装置100として用いられていてもよい。また、互いにネットワークを介して接続されたサーバとクライアント端末とが全体として情報処理装置100としての機能を担うように構成されていてもよい。
【0080】
読取装置300は、例えば、フラットベッド型のスキャナである。読取装置300は、平らに広げられて原稿台に載置された用紙等の被読取物を、画像データとして読み取ることができるように構成されている。
【0081】
読取装置300は、フラットベッドスキャナではなくてもよい。例えば、シート状の被読取物を搬送しながら読み取るシートフィーダ型のスキャナであってもよい。また、カメラにより被読取物を撮影した結果を画像データとして出力可能に構成された装置であってもよい。画像データは、例えば静止画であるが、動画像であってもよい。
【0082】
本実施の形態において、読取装置300は、例えば有線や無線により情報処理装置100との間で情報を送受信可能に構成されている。読取装置300で読み取られた画像データは、情報処理装置100において取得可能である。なお、読取装置300は、種々のネットワークを介して、情報処理装置100との間で通信可能であってもよい。また、読取装置300は、このように有線や無線により情報処理装置100との間で通信可能に構成されていなくてもよい。その場合、読取装置300で読み取られた画像データが、他の情報処理装置等で取得されるなどして、当該他の情報処理装置等を介して情報処理装置100により取得されるようにしてもよい。また、ユーザにより記憶媒体等に記録された読取装置300で読み取られた画像データが、当該記憶媒体を読み込むことにより情報処理装置100により取得されるようにしてもよい。
【0083】
図に示されるように、情報処理装置100は、例えば、格納部110、受信部120、受付部130、処理部140及び出力部160を備える。
【0084】
格納部110には、種々の情報が格納される。例えば、格納部110には、読取装置300により読み取られた画像データが蓄積される。これにより、画像データは、色情報取得ステップなどで利用可能となる。また、格納部110には、対応情報が蓄積される。これにより、対応情報が、特定ステップなどで利用可能となる。
【0085】
なお、格納部110は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。これらには、それぞれの装置において取得された情報などがそれぞれ格納されるが、情報等が記憶される過程はこれに限られない。例えば、記録媒体を介して情報等が記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された情報等が記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された情報等が記憶されるようになってもよい。
【0086】
受信部120は、他の装置から送信された情報を受信する。受信部120は、受信した情報を、例えば、格納部110に保存する。受信部120は、通常、無線又は有線の通信手段で実現されるが、放送を受信する手段で実現されてもよい。本実施の形態において、受信部120は、読取装置300により読み取られた画像データを読取装置300から受信し、格納部110に蓄積する。
【0087】
受付部130は、情報処理装置100に接続された図示しない入力手段を用いて入力された情報を受け付ける。受付部130は、受け付けた情報を、例えば、格納部110に保存する。受付部130により受付可能な情報の入力に用いられうる入力手段は、テンキーやキーボードやマウスやメニュー画面によるものなど、何でもよい。受付部130は、テンキーやキーボード等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現されうる。なお、受付部130は、受信部120が受信した情報を、情報処理装置100に入力された情報として受け付けると捉えてもよい。
【0088】
処理部140は、画像データ取得部141と、色情報取得部143と、照射量取得部145とを有している。処理部140は、各種の処理を行う。各種の処理とは、例えば、以下のように処理部140の各部が行う処理である。処理部140は、通常、MPUやメモリ等から実現されうる。処理部140の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
【0089】
画像データ取得部141は、読取装置300により読み取られた画像データを取得する。例えば、読取装置300から受信されて格納部110に格納されている画像データを取得する。なお、画像データ取得部141は、読取装置300のドライバソフトウェアにより構成されており、読取装置300による画像データの読取が行われる際の読取装置300の動作を制御可能に構成されていてもよい。
【0090】
色情報取得部143は、取得された画像データについての色情報を取得する。本実施の形態においては、画像データのうち、ユーザにより指定された箇所の色情報を取得することができるように構成されている。色情報取得部143の機能は、例えば、情報処理装置100において動作する所定の画像表示用途や画像編集用途のアプリケーションソフトウェアにより実現される機能である。なお、色情報取得部143は、画像データのうち、色情報を取得する箇所として所定の条件により特定される箇所の色情報を自動的に取得可能に構成されていてもよい。この場合、所定の条件とは、例えば、画像データのうち色情報取得部143により認識される特定のマーカからの所定の相対的な位置であることである。なお、これに限られず、原点(定め方は問わない)等からの絶対的な位置であることなどが所定の条件であってもよい。なお、画像データのうち、注目箇所(画素、座標等)に対応する所定の領域の色を平均した色等に基づいた色情報が取得されるようにしてもよい。
【0091】
本実施の形態に係る測定方法において、通常、ユーザによって、画像データにおける2以上の反応部位5のそれぞれに対応する箇所が指定され、それに応じて、色情報取得部143が各箇所の色情報を取得する。
【0092】
ここで、色情報とは、例えば、所定の色空間により表される色を特定する情報である。色情報は、任意の表色系で表される色を特定する情報と言ってもよい。また、色情報は、2以上の属性で表される表色系における特定の属性の値を示す情報であってもよい。
【0093】
本実施の形態において、色情報は、所定の色空間における一の注目原色の値である。色空間は、例えばRGBであるが、sRGBや他の色空間であってもよい。色情報を一の注目原色の値とすることにより、容易に色情報やそれに応じた照射量の特定処理を行うことができる。
【0094】
なお、具体的には、例えば、上述のように日油技研工業株式会社製の紫外線インジケータのSタイプを用いて反応部位5が構成されている場合において、色情報は、色をRGB形式で特定した場合における、Gの値とすることができる。どの注目原色の値を色情報として採用するか否かは、例えば、紫外線の照射量とそれに応じた反応部位5の色の変化態様に応じて選択することが望ましい。すなわち、測定方法により測定したい範囲において、紫外線の照射量に応じた値の変化度合いが大きい注目原色の値を色情報とすることが好ましい。また、測定方法により測定したい範囲において、紫外線の照射量に応じた値の変化度合いの変化が少ない注目原色の値を色情報とすることが望ましい。すなわち、紫外線の照射量に応じてより直線的に変化する注目原色の値を色情報とすることが望ましい。
【0095】
照射量取得部145は、色情報取得部143が取得した色情報と、予め用意された対応情報とを用いて、色情報に対応する紫外線の照射量を特定する。照射量取得部145は、色情報が取得された各箇所、すなわち各反応部位5について取得された色情報毎に、照射量を特定する。これにより、各反応部位5における照射量が特定される。照射量の特定結果(例えば、照射量の値)は、反応部位5等を識別する識別子に対応付けて、格納部110に蓄積される。
【0096】
対応情報は、色情報と、紫外線の照射量との対応関係を示す情報である。対応情報は、例えば、色情報と照射量との対応関係を示す較正曲線(較正カーブと言ったり、関数と言ったりしてもよい)や、色情報と照射量との対応関係を示すルックアップテーブルである。例えば、予め実験的に作成された対応情報が、格納部110に蓄積されている。
【0097】
対応情報は、対象物900に配置する測定具1の反応部位5に対応する反応部位を有する用具を用いて生成される。すなわち、当該用具に対して所定の照射量だけ紫外線を照射した後の反応部位の色情報を、所定の処理条件を満たすようにして取得して、当該色情報と照射量との対応関係を用いて対応情報が生成される。この場合の用具からの画像データの取得や、色情報の取得は、画像データ取得部141や色情報取得部143により行われればよい。用具は、測定具1であってもよいし、測定具1に用いられる反応シート50を用いて用意された物であってもよい。
【0098】
ここで、用具における反応部位が測定具1に用いた反応部位5に対応する反応部位であることとは、例えば、用いる反応シート50や試料等の製造ロットや製造者、製造場所等が同一であることや、製造時からの時間の経過が同一であることなどを意味する。また、所定の処理条件は、例えば、測定具1の読み取りに用いる読取装置300と同一又は同機種の読取装置300を用いることや、読み取り時の設定及び画像データの画像処理方法が同一であることなどである。
【0099】
すなわち、本実施の形態において、対応情報は、照射量を正確に把握可能な状況下において紫外線を照射した結果に基づいて生成されうる。すなわち、対応情報は、測定具1に用いた反応部位5に対応する試験用の反応部位に対して、照射量を変えて紫外線を照射して、それぞれの色情報を取得した結果に基づいて生成されうる。紫外線の照射量と色情報との対応関係は、様々な要素に応じて変動しうる。このような要素としては、例えば、反応シート50の品番、反応シート50の製造ロット、製造場所、反応シート50の保管状況、読取装置300の機種、読取装置300の読み取り時の設定及び画像データの画像処理方法など、様々な要素が挙げられうる。対応情報の生成においては、このような様々な要素について、対象物900に配置する測定具1からの色情報の取得と可能な限り近い条件下で色情報を取得するようにすることが好ましい。これにより、色情報に基づいた照射量の特定をより高精度で行うことができる。
【0100】
図5は、同紫外線照射量測定方法において利用される対応情報の作成について説明する図である。
【0101】
図においては、対応情報の作成時において用いられた反応部位5を有する用具を読み取った画像データの一例が示されている。なお、図においては、白と黒との濃淡のみを用いて表現されているが、実際の画像データは、例えばRGBを用いて表現されたカラー画像である。
【0102】
図に示されるように、対応情報の作成時においては、照射量を正確に管理可能な方法で、互いに異なる照射量となるように各反応部位5に紫外線が照射される。照射量を正確に管理可能にするためには、例えば、紫外線の照度についてトレーサビリティのある光源を用いて、光源と反応部位5との距離を所定の距離に設定すればよい。例えば、光源からの単位時間あたりの照射量が変化しない場合、照射量は照射時間に応じて変化する。換言すると、ある位置において照度が変化しない場合、照射量は照射時間に応じて変化する。この場合、照射時間を変えることにより、各反応部位5に互いに異なる照射量となるように紫外線を照射することができる。なお、照射量測定器等を用いて実際の照射量を算出可能な方法で、照射量を正確に管理するようにしてもよい。このように紫外線の照射量が異なる場合、各反応部位5の変色は、照射量の増加と共に大きくなる。例えば、反応部位5の色は、照射量がほとんどない場合の白色から、照射量が多くなるにつれて、濃くなっていく。図においては白から黒に近くなっていくが、実際には、例えば、ピンク色の濃度が濃くなっていく。
【0103】
このような照射結果の読取結果である画像データを使用し、各反応部位5の色情報を取得することで、互いに照射量が異なる複数のケースについて、照射量と色情報との対応関係のデータを取得可能である。例えば、複数の対応関係のデータを用いて相関関係を特定する計算を行うことにより、色情報と照射量との対応関係を示す較正曲線等を生成することができる。
【0104】
図6は、同紫外線照射量測定方法において利用される対応情報の一例を示すグラフである。
【0105】
図に示されるように、対応情報は、例えば、色情報と照射量との対応関係を示す較正曲線として表されうる。図において、例えば、縦軸が色情報であるG値であり、横軸が、紫外線の照射量である。照射量の単位は、例えば、mJ毎平方センチメートル(mJ/cm^2;ここで「^」の右側はべき指数を表す)として表されている。かかる対応関係が与えられていることにより、照射量取得部145は、取得された色情報に対応する照射量を特定することができる。
【0106】
図4に戻って、出力部160は、特定された照射量に関する情報を用いて、出力情報を出力する。出力部160は、例えば、ディスプレイやディスプレイによる表示を行うためのデバイス、ドライバ等により構成されうる。出力部160は、音声により出力情報を出力可能に構成されていてもよいし、情報を送信したり、他の処理に引き渡したりすることにより出力情報を出力するように構成されていてもよい。なお、情報を送信することにより出力を行うように構成されている場合、出力部160は、通常、無線又は有線の通信手段で実現されるが、放送手段で実現されてもよい。出力情報の生成は、例えば処理部140により行われてもよいし、出力部160により行われると解釈してもよい。
【0107】
本実施の形態において、出力情報は、例えば、画像データの各反応部位5について取得された照射量を示す情報である。出力情報は、照射量取得部145により取得された照射量そのものであってもよいし、照射量の値を用いて生成された情報であってもよい。かかる出力情報がディスプレイ等に出力されることにより、ユーザは、照射量を容易に知ることができる。すなわち、ユーザは、紫外線照射量測定方法による照射量の測定結果を、容易に知ることができる。
【0108】
なお、照射量の値を用いて生成された出力情報として、対象物900の表面に付着した特定のウイルスの不活化の状態に関する情報が出力されるようにしてもよい。例えば、対象物900の表面にある特定のウイルスが紫外線の照射により不活化される割合(不活化率)と、紫外線の照射量との対応関係を、実験を行った結果や、既存の文献等から得る。この対応関係に基づいて、照射量取得部145により特定された照射量に対応する不活化率を特定し、出力情報とすることができる。なお、このように不活化率と照射量との対応関係と、対応情報とに基づいて、処理部140が色情報から不活化率を特定するように構成されていてもよい。不活化率は照射量に対応するものであるため、このような場合も、処理部140において照射量が特定されると言ってもよい。
【0109】
図7は、色情報と不活化率との対応関係の一例を示すグラフである。
【0110】
図に示されるグラフにおいては、横軸を不活化率、縦軸をG値(色情報の一例)とするものである。不活化率が照射量に対応する指標であるところ、
図6に示されるような対応情報を用いて、このような色情報と不活化率との対応関係を特定することができる。
【0111】
次に、本実施の形態に係る紫外線照射量測定方法の具体的な流れについて、フローチャートを用いて説明する。以下の方法は、ユーザが、情報処理装置100や読取装置300等を用いて行うことができる。
【0112】
図8は、同紫外線照射量測定方法を示すフローチャートである。
【0113】
(ステップS10)ユーザは、対応情報を用意する。対応情報は、例えば、実際に対象物900についての紫外線の照射量の測定に用いられる測定具1やその他の装置を用いて行われる。
【0114】
(ステップS11)ユーザは、測定具1を用意する。例えば、対象物900の形状に応じた基材10に反応シート50を付すなどして、測定具1を用意することができる。
【0115】
(ステップS12)ユーザは、測定具1を対象物900の表面に配置する。
【0116】
(ステップS13)ユーザは、測定具1が配置された対象物900に紫外線を照射させる。例えば、照射装置500を用いて対象物900に紫外線を照射する。
【0117】
(ステップS14)ユーザは、紫外線の照射後の対象物900から測定具1を取り外す。
【0118】
(ステップS15)ユーザは、取り外した測定具1を読取装置300により画像データとして読み取る。これにより、測定具1に複数箇所の反応部位5がある場合、これらの複数の反応部位5について一度に画像データとすることができる。画像データの読み取りは、対応情報の生成時に用いられた所定の処理条件に対応する処理条件で行われるようにすることが好ましい。所定の処理条件に対応する処理条件とは、同一の条件(例えば、同一の読取装置300を用いることなど)で読み取ることや、より近い条件で読み取ることなどである。画像データは、情報処理装置100において、処理部140により取得される。
【0119】
(ステップS16)情報処理装置100において、処理部140は、画像データの各反応部位5の色情報を取得する。例えば、ユーザによる指定操作がなされた場合に、処理部140が、その操作に応じた箇所の色情報を取得する。
【0120】
(ステップS17)処理部140は、対応情報を取得する。この場合、画像データとして読み取られた測定具1の反応部位5に対応する反応部位について生成された対応情報を取得することが好ましい。また、対応情報の生成の際に、所定の処理条件を用いて画像データの読み取りを行った対応情報を取得することが好ましい。そして、処理部140は、対応情報を用いて、各反応部位5の色情報に対応する照射量を特定する。これにより、照射量に応じた出力情報が出力されうる。
【0121】
なお、このような処理において、対応情報の用意や測定具の用意などは、必要な場合にのみ行われればよい。
【0122】
図9は、同紫外線照射量測定方法に用いられる対応情報の生成方法の一例を示すフローチャートである。
【0123】
(ステップS31)まず、ユーザは、複数の反応シート50を用意する。反応シート50は、測定具1に用いられるものと同一の製品、種類、製造ロット等について同視可能な反応シート50とすることが望ましい。
【0124】
(ステップS32)ユーザは、各反応シート50に対して、紫外線を互いに異なる照射量だけ照射する。この場合、照度についてトレーサビリティのある光源を用いて検定することが望ましい。これにより、照射量に応じて互いに異なる程度に変色した反応シート50が得られる。
【0125】
(ステップS33)ユーザは、各反応シート50を読取装置300により画像データとして読み取る。複数の反応シート50を一の画像データに含むように読み取りが行われることが好ましい。画像データの読み取りは、所定の処理条件で行われうる。画像データは、情報処理装置100において、処理部140により取得される。
【0126】
(ステップS34)情報処理装置100において、処理部140は、画像データの各反応シート50の色情報を取得する。例えば、ユーザによる指定操作がなされた場合に、処理部140が、その操作に応じた箇所の色情報を取得する。
【0127】
(ステップS35)処理部140は、取得した色情報とその反応シート50についての照射量とを対応付けて、格納部110に蓄積する。
【0128】
(ステップS36)処理部140は、格納部110に蓄積された、照射量と色情報との対応関係の組み合わせを複数用いて、対応情報を生成する。処理部140は、生成した対応情報を、格納部110に蓄積する。
【0129】
これにより、生成された対応情報を用いて、照射量取得部145が照射量を特定することができるようになる。
【0130】
以下に、測定方法において、用いる測定具1の具体例と、その測定具1の対象物900への配置例について説明する。
【0131】
図10は、同紫外線照射量測定方法において画像データの一例を示す平面図である。
【0132】
図において、画像データは、2つの互いに異なる測定具1(測定具1B、測定具1F)を一の画像データとして読み取った場合の例が示されている。この画像データは、測定具1Bと測定具1Fとのそれぞれの形状を示すものであると言える。なお、測定具1B及び測定具1Fは、それぞれ、無色透明のフィルムである基材10上に反応シート50が貼り付けられて構成されているものである。画像データの読み取りに際しては、台紙上に測定具1B及び測定具1Fが粘着テープにより貼り付けられて読み取られている。台紙上には、各測定具1B及び測定具1Fの外形形状や、反応シート50の貼り付け位置がプリントされており、測定具1B及び測定具1Fはそれに対応するように重ねられている。各測定具1B及び測定具1Fについて、第一方向は図の上下方向であり、第二方向は図の左右方向である。
【0133】
測定具1Bは、例えば、第二方向において互いに異なる位置にある2つの配置部11b,11cと、配置部11bの両端部にあるバンド部13bと、配置部11cに接続されている2つのバンド部13cとを有している。バンド部13b及びバンド部13cは、それぞれ、第二方向に平行に伸びている。バンド部13bの一つは、配置部11cの一方の端部に接続されている。配置部11cの他方の端部には、バンド部13cの一つに接続されている。配置部11cの略中央部にバンド部13cの他の1つが接続されている。すなわち、測定具1Bにおいて、2つのバンド部13b同士が配置部11bを介して接続され、そのうち1つのバンド部13bと、2つのバンド部13cとが、配置部11cを介して接続されている。配置部11b及び配置部11cのそれぞれには、反応部位5が配置されている。また、バンド部13bの1つの一部と、バンド部13cの1つの一部とには、反応部位5が配置されている。
【0134】
測定具1Fは、例えば、第一方向が長手方向になるように形成された配置部11fと、配置部11fから第二方向に突出する部位であるバンド部13fとを有している。測定具1Fにおいて、バンド部13fは、配置部11fから第二方向に張り出した部位であると言ってもよい。測定具1Fにおいて、反応部位5が、配置部11fの各部に配置されている。また、反応部位5の一部は、バンド部13fにも配置されている。
【0135】
図11は、同紫外線照射量測定方法における対象物900への測定具1B,1Fの配置例を示す第1の図である。
図12は、同対象物900への測定具1B,1Fの配置例を示す第2の図である。
図13は、同対象物900への測定具1Fの配置例を示す第3の図である。
【0136】
これらの図に示されている座標において、各軸は互いに共通している。前、右、上などの各方向は、対象物900についての各方向を説明のために便宜上定めたものに過ぎない。
図11は、対象物900の右後方から下前方を見た図である。
図12は、対象物900の左後方から右側を見上げた図である。
図13は、対象物900の後方から、対象物900の右側を見た図である。
【0137】
これらの図に示されるように、ハンドル部911は、長手方向が左右方向に沿うように延びており、フレーム部913は、ハンドル部911の右端部から下方に曲がって下に伸びている。このような部位において、測定具1Bが、ハンドル部911からフレーム部913の折れ曲がる部位にかけてその表面に配置される。また、測定具1Fが、フレーム部913の長手方向が上下方向に沿うように伸びる部位の表面に配置される。
【0138】
すなわち、測定具1Bは、ハンドル部911に配置部11cが沿い、フレーム部913の折れ曲がる部位に配置部11bが沿うように配置される。バンド部13cや、バンド部13bは、それぞれ、棒状であるハンドル部911やフレーム部913に巻き付けられるようにして配置され、これにより、測定具1Bが対象物900に固定されている。
【0139】
また、測定具1Fは、フレーム部913のうち、バスケット載置部915が取り付けられている部位の近傍に配置される。配置部11fがフレーム部913の当該部位に沿うようにして配置される。バンド部13fは、フレーム部913に巻き付けられるようにして配置され、これにより、測定具1Fが対象物900に固定されている。
【0140】
このようにしてハンドル部911フレーム部913の表面に配置された測定具1Bや測定具1Fのそれぞれの各部には反応部位5が配置されている。これらの反応部位5のそれぞれは、対象物900の表面近くにおける紫外線の照射量に応じて変色するようになっている。測定方法において、紫外線の照射後の測定具1B,1Fを対象物900から取り外して、上述のような画像データとして読み取ることにより、容易に、多数の箇所の紫外線の照射量を特定するための、色情報の取得を行うことができる。
【0141】
従来、紫外線の照射量を定量的に測定するためには、紫外線照射量測定装置を用いる必要があった。このような比較的複雑な形状を有する対象物900の表面近くにおける照射量を測定するために紫外線照射量測定装置を用いることはできない。そのため、比較的複雑な形状を有する対象物900の表面近くにおける照射量を定量的に測定することは不可能であった。これに対して、以上説明したように、本実施の形態によれば、比較的複雑な形状を有する対象物900であっても、反応部位5を有する測定具1を用いることにより、対象物の表面における紫外線の照射量を定量的に測定(特定と言ってもよい)することができるようになる。高価な装置を測定箇所のそれぞれにおいて用いる必要がなく、対象物の複数箇所における紫外線の照射量を、より容易に測定することができる。また、測定のためにかかるコストも比較的低く抑えることができる。測定具1を用いた測定方法の実施時と同一の条件下又は近い条件下において実際的に求めた対応情報を用いて、色情報から照射量を特定することができる。したがって、容易にかつ高い精度で紫外線の照射量を特定することができる。対応情報は予め求めておくことができる。したがって、同視可能な反応シート50が用いられる場合には、都度、紫外線の照射後の測定具1の画像データから色情報を得る作業を行うだけで、容易に正確な照射量を特定することが可能となる。
【0142】
すなわち、本実施の形態においては、紫外線の照射量を把握するにあたり、以下のような利点があるといえる。第一に、シート状の測定具を用いることにより、照度計や照射量計などの紫外線照射量測定装置では測定できないような大きな曲率を有する部位、隅部又は狭い箇所等における照射量を、ピンポイントで測定可能にすることができる。また、例えば、測定具に用いる反応シートのロット毎に対応情報を作成して用いることで、照射量を高精度に定量的に特定することができる。また、反応部位の色について、客観的に計測可能な方法で、G値などのデジタルデータである色情報として把握したうえで、較正曲線などの対応情報に当てはめることにより、定性的ではなく定量的に照射量を特定することができる。
【0143】
なお、本実施の形態に係る測定方法は、様々な対象物900において用いることができることは、上述したとおりである。対象物900の他の例として、例えば、いわゆるスーパーマーケットの店舗において商品を運ぶため等に用いられるバスケットを挙げることができる。
【0144】
図14は、本実施の形態の一変形例に係る対象物900への測定具1の配置例を示す図である。
【0145】
図において、バスケットである対象物900において、バスケット本体の上縁部の一部のほか、持ち手の複数箇所に、反応部位5が設けられている。持ち手において、反応部位5は、持ち手の長手方向に沿って異なる箇所にある複数のバンド部13の上に配置されている。持ち手において、複数のバンド部13のうち少なくとも2以上が、持ち手の長手方向に沿って延びる配置部11を介して接続されている。すなわち、2以上のバンド部13と配置部11とを有する測定具1が、持ち手の表面に配置されている。なお、いくつかの反応部位5は、単独で、対象物900の一部に巻き付けられるように構成された測定具上に配置されていてもよい。
【0146】
このような対象物900についても、測定具1やその他の測定具を用いて、上述の測定方法を使用することにより、対象物900の表面における紫外線の照射量を測定することができる。
【0147】
また、そのほかの対象物900として、例えば、車椅子、歩行器、椅子、ストレッチャーや健康器具など、様々な物を想定することができる。
【0148】
(その他)
【0149】
図15は、上記実施の形態におけるコンピュータシステム800の概観図である。
図16は、同コンピュータシステム800のブロック図である。
【0150】
これらの図においては、本明細書で述べたプログラムを実行して、上述した実施の形態の紫外線照射量測定方法に用いられる情報処理装置100を実現するコンピュータの構成例が示されている。上述の実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムを用いて実現されうる。
【0151】
コンピュータシステム800は、光ディスクドライブを含むコンピュータ801と、キーボード802と、マウス803と、モニタ804とを含む。
【0152】
コンピュータ801は、光ディスクドライブ(ODD)8012に加えて、MPU8013と、光ディスクドライブ8012等に接続されたバス8014と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM8015と、MPU8013に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶するとともに一時記憶空間を提供するためのRAM8016と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するためのハードディスク(HDD)8017とを含む。ここでは図示しないが、コンピュータ801は、さらに、LANへの接続を提供するネットワークカードを含んでもよい。
【0153】
コンピュータシステム800に、上述した実施の形態の情報処理装置等の機能を実行させるプログラムは、光ディスク8101に記憶されて、光ディスクドライブ8012に挿入され、さらにハードディスク8017に転送されてもよい。これに代えて、プログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ801に送信され、ハードディスク8017に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM8016にロードされる。プログラムは、光ディスク8101又はネットワークから直接、ロードされてもよい。
【0154】
プログラムは、コンピュータ801に、上述した実施の形態の情報処理装置等の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、又はサードパーティープログラム等を、必ずしも含まなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいればよい。コンピュータシステム800がどのように動作するかは周知であり、詳細な説明は省略する。
【0155】
なお、上記プログラムにおいて、情報を送信する送信ステップや、情報を受信する受信ステップなどでは、ハードウェアによって行われる処理、例えば、送信ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理(ハードウェアでしか行われない処理)は含まれない。
【0156】
また、上記プログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0157】
また、上記実施の形態において、一の装置に存在する2以上の構成要素は、物理的に一の媒体で実現されてもよい。
【0158】
また、上記実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい(この場合、分散処理を行う複数の装置により構成されるシステム全体を1つの「装置」として把握することが可能である)。
【0159】
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、又は、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
【0160】
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、又は長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、又は、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、又は、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0161】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、又は、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0162】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものである。
【0163】
上述の実施の形態において情報処理装置100が行う処理等は、読取装置300のハードウェアにより行われてもよい。読取装置300に情報処理装置100が含まれると解釈してもよいし、情報処理装置100が読取装置300を備えると解釈してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0164】
以上のように、本発明にかかる紫外線照射量測定方法を用いることにより、対象物の表面における紫外線の照射量を確実に測定することができ、紫外線照射量測定方法として有用である。
【符号の説明】
【0165】
1,1B,1F 測定具
5 反応部位
10 基材
11,11b,11c,11f 配置部
13,13b,13c,13f バンド部
50 反応シート
50b 糊部
100 情報処理装置
110 格納部
120 受信部
130 受付部
140 処理部
141 画像データ取得部
143 色情報取得部
145 照射量取得部
160 出力部
300 読取装置
500 照射装置
900 対象物
911 ハンドル部
913 フレーム部
915 バスケット載置部
917 車輪