(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067385
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 33/16 20060101AFI20240510BHJP
H01F 7/16 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
H02K33/16 A
H01F7/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177423
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】陳 東明
【テーマコード(参考)】
5E048
5H633
【Fターム(参考)】
5E048AC05
5E048AC06
5E048AD02
5H633BB07
5H633GG02
5H633GG09
5H633GG23
5H633HH02
5H633JA10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】可動子の移動を迅速に行うことが可能な構造を有する電動アクチュエータを提供する。
【解決手段】電動アクチュエータ100は、コア体72を有する可動子と、コア体を囲むコイル40と、コイルの軸方向一方側に位置する磁性体製の第1磁性体部を有するケース10と、コイルの径方向内側またはコイルの径方向外側に位置するマグネット51と、を備える。ケースは、コア体の軸方向一方側に位置する部分を有する非磁性体製の非磁性体部16と、コイルの径方向内側に位置し、第1磁性体部の径方向内縁部に繋がる第3磁性体部17と、を有する。可動子が第1位置P1に位置する場合において、第2部分17bはコア体とコイルとの径方向の間に位置し、かつ、第2部分の径方向内縁部における軸方向一方側の端部はコア体の径方向外縁部における軸方向一方側の端部よりも軸方向他方側に位置する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に沿って延びるシャフトおよび前記シャフトに固定された磁性体製のコア体を有し、軸方向に移動可能な可動子と、
前記コア体の径方向外側に位置し、前記コア体を囲むコイルと、
前記コイルを径方向外側から囲む磁性体製の筒状部、前記コイルの軸方向一方側に位置する磁性体製の第1磁性体部、および前記コイルの軸方向他方側に位置する磁性体製の第2磁性体部を有し、前記コア体および前記コイルを内部に収容するケースと、
前記ケースの内部に収容され、前記コイルの径方向内側または前記コイルの径方向外側に位置するマグネットと、
を備え、
前記可動子は、軸方向において第1位置と第2位置との間で移動可能であり、
前記第1位置は、前記第2位置よりも軸方向一方側の位置であり、
前記ケースは、
前記コア体の軸方向一方側に位置する部分を有する非磁性体製の非磁性体部と、
前記コイルの径方向内側に位置し、前記第1磁性体部の径方向内縁部に繋がる第3磁性体部と、
を有し、
前記第3磁性体部は、
前記第1磁性体部の径方向内縁部に繋がる第1部分と、
前記第1部分の軸方向他方側に繋がる第2部分と、
を有し、
前記第2部分の径方向内縁部は、前記第1部分の径方向内縁部よりも径方向内側に位置し、
前記可動子が前記第1位置に位置する場合において、前記第2部分は前記コア体と前記コイルとの径方向の間に位置し、かつ、前記第2部分の径方向内縁部における軸方向一方側の端部は前記コア体の径方向外縁部における軸方向一方側の端部よりも軸方向他方側に位置する、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記ケースは、前記コア体の軸方向他方側に位置する磁性体製の第4磁性体部を有する、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記マグネットは、前記コイルの径方向内側に位置し、
前記第3磁性体部は、前記マグネットの軸方向一方側に隙間を空けて配置されている、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記第1部分の径方向内縁部と前記第2部分の径方向内縁部との軸方向の間には、段差部が設けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記可動子が前記第1位置に位置する場合において、前記第1磁性体部の軸方向一方側の端部は、前記コア体の径方向外縁部における軸方向一方側の端部よりも軸方向一方側に位置する、請求項1から3のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項6】
前記コア体を囲む非磁性体製のガイド部材を備え、
前記コア体は、前記ガイド部材の径方向内側に軸方向に移動可能に嵌め合わされており、
前記第2部分の径方向内縁部は、前記ガイド部材の外周面に接触している、請求項1から3のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
出力軸を正逆双方向へ往復動させると共に各移動の終端位置において自己保持可能な双方向自己保持型ソレノイドが知られている。例えば、特許文献1には、可動鉄心の外周に固定された筒状の永久磁石を備えるソレノイドが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなソレノイドにおいては、出力軸を移動させようとする際に、出力軸を自己保持させる吸着力が抵抗となって、出力軸を迅速に移動させにくい場合があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、軸方向一方側から軸方向他方側への可動子の移動を迅速に行うことが可能な構造を有する電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、中心軸に沿って延びるシャフトおよび前記シャフトに固定された磁性体製のコア体を有し、軸方向に移動可能な可動子と、前記コア体の径方向外側に位置し、前記コア体を囲むコイルと、前記コイルを径方向外側から囲む磁性体製の筒状部、前記コイルの軸方向一方側に位置する磁性体製の第1磁性体部、および前記コイルの軸方向他方側に位置する磁性体製の第2磁性体部を有し、前記コア体および前記コイルを内部に収容するケースと、前記ケースの内部に収容され、前記コイルの径方向内側または前記コイルの径方向外側に位置するマグネットと、を備える。前記可動子は、軸方向において第1位置と第2位置との間で移動可能である。前記第1位置は、前記第2位置よりも軸方向一方側の位置である。前記ケースは、前記コア体の軸方向一方側に位置する部分を有する非磁性体製の非磁性体部と、前記コイルの径方向内側に位置し、前記第1磁性体部の径方向内縁部に繋がる第3磁性体部と、を有する。前記第3磁性体部は、前記第1磁性体部の径方向内縁部に繋がる第1部分と、前記第1部分の軸方向他方側に繋がる第2部分と、を有する。前記第2部分の径方向内縁部は、前記第1部分の径方向内縁部よりも径方向内側に位置する。前記可動子が前記第1位置に位置する場合において、前記第2部分は前記コア体と前記コイルとの径方向の間に位置し、かつ、前記第2部分の径方向内縁部における軸方向一方側の端部は前記コア体の径方向外縁部における軸方向一方側の端部よりも軸方向他方側に位置する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、電動アクチュエータにおいて、軸方向一方側から軸方向他方側への可動子の移動を迅速に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態の電動アクチュエータを示す断面図であって、可動子が第1位置に位置する状態を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施形態の電動アクチュエータを示す断面図であって、可動子が第2位置に位置する状態を示す図である。
【
図3】
図3は、一実施形態の電動アクチュエータの一部を示す断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態の遮蔽部材を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、一実施形態の遮蔽部材を示す分解斜視図である。
【
図6】
図6は、一実施形態の電動アクチュエータの一部を示す断面図であって、電動アクチュエータに生じる磁気回路の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、一実施形態の電動アクチュエータの一部を示す断面図であって、可動子が第1位置に位置する場合に第1マグネットによって生じる磁気回路の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、一実施形態の電動アクチュエータの一部を示す断面図であって、可動子を第1位置に移動させた後にコイルへの電流供給を停止した場合の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1および
図2に示す本実施形態の電動アクチュエータ100は、車両に取り付けられる電動アクチュエータである。より詳細には、電動アクチュエータ100は、例えば、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるパーク・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される電動アクチュエータである。
【0010】
各図には、適宜、電動アクチュエータ100の中心軸Jを示している。中心軸Jは、仮想軸線である。以下の説明においては、中心軸Jが延びる方向、つまり中心軸Jの軸方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。各図においては、軸方向と平行なZ軸を示している。以下の説明においては、軸方向のうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)を「上側」と呼び、軸方向のうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)を「下側」と呼ぶ。本実施形態において、下側は「軸方向一方側」に相当し、上側は「軸方向他方側」に相当する。なお、上側および下側とは、単に各部の配置関係等を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
図1および
図2に示すように、本実施形態の電動アクチュエータ100は、ケース10と、ボビン30と、コイル40と、第1マグネット51と、第2マグネット52と、ガイド部材60と、可動子70と、基板80と、磁気センサ81と、遮蔽部材90と、を備える。電動アクチュエータ100は、可動子70を軸方向に移動させることで、車両のギヤがパーキングであるロック状態と、車両のギヤがパーキング以外であるアンロック状態と、を切り替え可能である。車両のギヤがパーキング以外である場合とは、例えば、車両のギヤがドライブ、ニュートラル、リバースなどである場合を含む。
【0012】
可動子70は、中心軸Jに沿って軸方向に移動可能である。可動子70は、中心軸Jに沿って延びるシャフト71と、シャフト71に固定された磁性体製のコア体72と、を有する。シャフト71は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。本実施形態においてシャフト71の外径は、軸方向の全体に亘って同じである。シャフト71は、非磁性体製である。図示は省略するが、シャフト71の上側の端部には、例えば、車両のシフトレバーに接続されたアームの一端が回転可能に連結されている。
【0013】
なお、本明細書において「磁性体」とは、強磁性体を含む。また、本明細書において「非磁性体」とは、強磁性体ではない物質であり、反磁性体および常磁性体を含む。非磁性体は、磁性体に比べて磁束を通しにくい性質を有する。
【0014】
本実施形態においてコア体72は、シャフト71を囲む環状である。コア体72は、内側コア部72aと、外側コア部72bと、を有する。内側コア部72aは、中心軸Jを中心とし、軸方向両側に開口する円環状である。内側コア部72aの内周面は、シャフト71の外周面に固定されている。
【0015】
外側コア部72bは、内側コア部72aの径方向外側の端部に繋がっている。外側コア部72bは、中心軸Jを中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。外側コア部72bの軸方向の寸法は、内側コア部72aの軸方向の寸法よりも大きい。外側コア部72bは、内側コア部72aよりも軸方向の両側に突出している。本実施形態において外側コア部72bの外径は、軸方向の全体に亘って同じである。外側コア部72bの下側の端部は、シャフト71の下側の端部よりも上側に位置する。
【0016】
可動子70は、軸方向において第1位置P1と第2位置P2との間で移動可能である。
図1、
図3、
図6、および
図7では、可動子70が第1位置P1にある状態を示している。
図2では、可動子70が第2位置P2にある状態を示している。第1位置P1は、第2位置P2よりも下側の位置である。第1位置P1は、可動子70が最も下側に位置する位置である。第2位置P2は、可動子70が最も上側に位置する位置である。本実施形態では、可動子70が第1位置P1に位置する場合に車両のギヤがパーキング以外であるアンロック状態となり、可動子70が第2位置P2に位置する場合に車両のギヤがパーキングであるロック状態となる。
【0017】
ボビン30は、コア体72の径方向外側に位置する。ボビン30は、コア体72を囲む筒状である。本実施形態においてボビン30は、中心軸Jを中心とし、軸方向両側に開口する略円筒状である。ボビン30は、後述する筒状部11の径方向内側に位置する。ボビン30は、非磁性体製である。ボビン30は、例えば、樹脂製である。ボビン30は、ボビン本体部31と、下側フランジ部32と、上側フランジ部33と、環状突起部34と、を有する。
【0018】
ボビン本体部31は、中心軸Jを中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。ボビン本体部31の外径は、軸方向の全体に亘って同じである。ボビン本体部31は、下側筒部31aと、下側筒部31aの上側に繋がる上側筒部31bと、を有する。下側筒部31aの下側の端部は、ボビン本体部31の下側の端部である。上側筒部31bの上側の端部は、ボビン本体部31の上側の端部である。下側筒部31aの内径は、上側筒部31bの内径よりも大きい。下側筒部31aの外径と上側筒部31bの外径とは、互いに同じである。下側筒部31aの軸方向の寸法は、上側筒部31bの軸方向の寸法よりも大きい。下側筒部31aの内周面と上側筒部31bの内周面との間には、下側を向く段差面を有する段差部35が設けられている。上側筒部31bの内周面は、下側筒部31aの内周面よりも径方向内側に突出している。
【0019】
下側フランジ部32は、ボビン本体部31の下側の端部から径方向外側に突出している。下側フランジ部32は、中心軸Jを中心とする円環状である。上側フランジ部33は、ボビン本体部31の上側の端部から径方向外側に突出している。上側フランジ部33は、中心軸Jを中心とする円環状である。
【0020】
環状突起部34は、上側フランジ部33から上側に突出している。環状突起部34は、中心軸Jを中心とする円環状である。環状突起部34の上側の端部は、後述する第2磁性体部10bの下側の面に接触している。環状突起部34の径方向内側には、シール部材63が設けられている。シール部材63は、上側筒部31bの上側の面と第2磁性体部10bの下側の面との間を封止している。本実施形態においてシール部材63は、Oリングである。
【0021】
コイル40は、例えば、金属製の線材が中心軸J回りに螺旋状に巻き回されて構成されたソレノイドである。コイル40は、ボビン30の外周面に巻き回されている。より詳細には、コイル40は、ボビン本体部31の外周面に巻き回されている。コイル40は、中心軸Jを中心とし、軸方向に延びる円筒状である。コイル40は、コア体72の径方向外側に位置する。コイル40は、コア体72を囲んでいる。コイル40は、図示しない配線部材を介して、図示しない外部電源に電気的に接続される。
【0022】
ガイド部材60は、軸方向両側に開口し、軸方向に延びる筒状である。本実施形態においてガイド部材60は、中心軸Jを中心とする円筒状である。ガイド部材60は、非磁性体製である。ガイド部材60は、例えば、ステンレス鋼などの金属製である。ガイド部材60は、ボビン30およびコイル40の径方向内側に位置する。ガイド部材60は、コア体72の径方向外側に位置する。ガイド部材60は、コア体72を囲んでいる。ガイド部材60は、コア体72を軸方向に移動可能に支持している。ガイド部材60の径方向内側には、コア体72が隙間嵌めされている。つまり、コア体72は、ガイド部材60の径方向内側に、軸方向に移動可能に嵌め合わされている。より詳細には、ガイド部材60の径方向内側には、外側コア部72bが隙間嵌めされている。可動子70は、例えば、コア体72の外周面、すなわち外側コア部72bの外周面の一部がガイド部材60の内周面に接触した状態で軸方向に移動する。
【0023】
本実施形態において第1マグネット51は、軸方向に延びる筒状である。より詳細には、第1マグネット51は、中心軸Jを中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。図示は省略するが、第1マグネット51は、例えば、半円筒状の2つのマグネットが径方向に合わされて構成されている。第1マグネット51は、径方向に沿って異なる磁極を有する。第1マグネット51の径方向内側の磁極と第1マグネット51の径方向外側の磁極とは、互いに異なる。本実施形態において第1マグネット51は、径方向内側にN極の磁極部51Nを有する。第1マグネット51は、径方向外側にS極の磁極部51Sを有する。なお、第1マグネット51の径方向内側がS極で、第1マグネット51の径方向外側がN極であってもよい。本実施形態において第1マグネット51は、永久磁石である。
【0024】
第1マグネット51は、ケース10の内部に収容されている。本実施形態において第1マグネット51は、ボビン30およびコイル40の径方向内側に位置するマグネットである。本実施形態において第1マグネット51は、ガイド部材60とボビン30との径方向の間に位置する。第1マグネット51は、ボビン30の径方向内側に嵌め合わされている。より詳細には、第1マグネット51は、ボビン本体部31における下側筒部31aの径方向内側に嵌め合わされている。第1マグネット51の外周面は、例えば、ボビン30の内周面に対して接着剤によって固定されている。なお、第1マグネット51は、ボビン30の径方向内側に軽圧入されることで、ボビン30に固定されていてもよい。
【0025】
第1マグネット51の上側の端面における径方向外側部分は、ボビン本体部31の内周面に設けられた段差部35の段差面に接触している。これにより、第1マグネット51の上側の端部は、段差部35の段差面によって上側から支持されている。第1マグネット51の内周面は、ボビン本体部31における上側筒部31bの内周面よりも径方向内側に位置する。第1マグネット51は、ガイド部材60の径方向外側に位置し、ガイド部材60を囲んでいる。第1マグネット51の径方向内側には、ガイド部材60が嵌め合わされている。第1マグネット51の内周面は、ガイド部材60の外周面に接触している。
【0026】
第1マグネット51の軸方向の寸法は、コア体72の軸方向の寸法、ボビン30の軸方向の寸法、およびコイル40の軸方向の寸法よりも小さい。第1マグネット51の上側の端部は、コイル40の上側の端部よりも下側に位置する。第1マグネット51の下側の端部は、コイル40の下側の端部よりも上側に位置する。つまり、コイル40は、第1マグネット51よりも軸方向両側に突出している。第1マグネット51の軸方向における中央部の軸方向位置は、コイル40の軸方向における中央部の軸方向位置とほぼ同じである。
【0027】
第2マグネット52は、シャフト71の下側の端部に固定されている。本実施形態において第2マグネット52は、中心軸Jを中心とする円柱状である。第2マグネット52の軸方向の寸法は、第2マグネット52の外径よりも小さい。第2マグネット52の外径は、シャフト71の下側の端部における外径よりも小さい。第2マグネット52は、軸方向に沿って異なる磁極を有する。第2マグネット52の下側の磁極と第2マグネット52の上側の磁極とは、互いに異なる。本実施形態において第2マグネット52は、下側にN極の磁極部を有する。第2マグネット52は、上側にS極の磁極部を有する。なお、第2マグネット52の下側がS極で、第2マグネット52の上側がN極であってもよい。本実施形態において第2マグネット52は、永久磁石である。
【0028】
ケース10は、ボビン30、コイル40、第1マグネット51、ガイド部材60、シャフト71の一部、およびコア体72を内部に収容している。ケース10は、筒状部11と、第1ケース部材12と、第2ケース部材13と、第3ケース部材14と、第4ケース部材15と、非磁性体部16と、を有する。本実施形態において筒状部11と第1ケース部材12と第2ケース部材13と第3ケース部材14と第4ケース部材15と非磁性体部16とは、互いに別体である。筒状部11と第1ケース部材12と第2ケース部材13と第3ケース部材14と第4ケース部材15とは、それぞれ磁性体製の部材である。
【0029】
筒状部11は、軸方向両側に開口する筒状である。本実施形態において筒状部11は、中心軸Jを中心とする円筒状である。筒状部11は、ボビン30およびコイル40を径方向外側から囲んでいる。
【0030】
第1ケース部材12は、中心軸Jを囲む環状である。本実施形態において第1ケース部材12は、中心軸Jを中心とする円環状である。第1ケース部材12は、板面が軸方向を向く板状である。第1ケース部材12は、ボビン30の下側に位置する。第1ケース部材12は、筒状部11の下側の端部に固定されている。第1ケース部材12の径方向外側の端部は、筒状部11の下側の端部と接触している。第1ケース部材12は、筒状部11の下側の端部よりも径方向内側に突出している。
【0031】
第2ケース部材13は、中心軸Jを囲む環状である。本実施形態において第2ケース部材13は、中心軸Jを中心とする円環状である。第2ケース部材13は、板面が軸方向を向く板状である。第2ケース部材13は、ボビン30の上側に位置する。第2ケース部材13は、筒状部11の上側の端部に固定されている。第2ケース部材13の径方向外側の端部は、筒状部11の上側の端部と接触している。
【0032】
第2ケース部材13は、筒状部11の上側の端部よりも径方向内側に突出している。第2ケース部材13の径方向内側の端部は、第1ケース部材12の径方向内側の端部およびガイド部材60の内周面よりも径方向内側に位置する。第2ケース部材13の径方向内側の端部は、外側コア部72bの径方向外側の端部の上側に位置する。第2ケース部材13の下側の面には、ガイド部材60の上側の端部および環状突起部34が接触している。第2ケース部材13の下側の面とボビン本体部31の上側の面との間は、シール部材63によって封止されている。
【0033】
第3ケース部材14は、環状の第2ケース部材13の径方向内側に固定されている。第3ケース部材14は、コア体72の上側に位置する。第3ケース部材14は、中心軸Jを囲む環状である。第3ケース部材14の内側には、シャフト71が軸方向に通されている。第3ケース部材14は、基部14aと、フランジ部14bと、突出部14cと、円環蓋部14dと、を有する。基部14aは、中心軸Jを中心とする円環状である。基部14aは、第2ケース部材13の径方向内側に嵌め合わされている。
【0034】
フランジ部14bは、基部14aの下端部における径方向外側の端部から径方向外側に突出している。フランジ部14bは、中心軸Jを中心とする円環状であり、板面が軸方向を向く板状である。フランジ部14bは、第2ケース部材13の径方向内側の端部における下面に接触している。フランジ部14bは、ガイド部材60の上側の端部における径方向内側に嵌め合わされている。
【0035】
突出部14cは、基部14aの径方向内側の端部から下側に突出している。突出部14cは、中心軸Jを中心とする円筒状である。突出部14cの径方向内側には、シャフト71を軸方向に移動可能に支持する滑り軸受18が配置されている。滑り軸受18は、中心軸Jを中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。滑り軸受18は、非磁性体製である。滑り軸受18の下端部における径方向内側の面には、シール部材18aを収容する凹部が設けられている。シール部材18aは、シャフト71の外周面と滑り軸受18の内周面との間を封止している。本実施形態においてシール部材18aは、Xリングである。
【0036】
円環蓋部14dは、突出部14cの下端部から径方向内側に突出している。円環蓋部14dは、中心軸Jを中心とする円環状であり、板面が軸方向を向く板状である。円環蓋部14dの径方向内縁部は、シャフト71の外周面と僅かな隙間を介して対向している。円環蓋部14dの下側の面には、緩衝部材62が固定されている。緩衝部材62は、中心軸Jを中心とする円環状であり、板面が軸方向を向く板状である。緩衝部材62は、非磁性体製である。緩衝部材62は、例えば、ゴム製である。
【0037】
図2に示すように、可動子70が第2位置P2に位置する場合、コア体72の内側コア部72aにおける上側の端部は緩衝部材62に接触し、外側コア部72bにおける上側の端部は、基部14aおよびフランジ部14bの下側に隙間を介して対向して配置されている。そのため、可動子70が第1位置P1から第2位置P2へと移動した際に、可動子70が第3ケース部材14に直接的に接触することを抑制でき、可動子70が移動した際の衝撃を緩衝部材62によって吸収することができる。これにより、可動子70が損傷することを抑制できる。また、可動子70が第3ケース部材14に衝突して音が生じることを抑制できる。
【0038】
本実施形態においては、第2ケース部材13と第3ケース部材14とによって、コイル40の上側に位置する磁性体製の第2磁性体部10bが構成されている。つまり、ケース10は、第2磁性体部10bを有する。本実施形態において第2磁性体部10bは、コア体72の上側に位置する第4磁性体部10dを有する。つまり、ケース10は、第4磁性体部10dを有する。本実施形態において第4磁性体部10dは、第2ケース部材13の径方向内側の端部と第3ケース部材14とによって構成されている。
【0039】
第4ケース部材15は、環状の第1ケース部材12の径方向内側に固定されている。第4ケース部材15は、第1マグネット51の下側に位置する。第4ケース部材15は、中心軸Jを囲む環状である。
図3に示すように、第4ケース部材15は、基部15aと、フランジ部15bと、第3磁性体部17と、を有する。つまり、ケース10は、基部15aと、フランジ部15bと、第3磁性体部17と、を有する。基部15aは、中心軸Jを中心とする円環状である。基部15aは、第1ケース部材12の径方向内側に嵌め合わされている。基部15aの径方向外側部分は、ボビン本体部31の下側に位置する。基部15aの径方向外側部分は、ボビン30を下側から支持している。基部15aの径方向内側部分は、ボビン30の内周面よりも径方向内側に位置する。
【0040】
フランジ部15bは、基部15aの上側の端部から径方向外側に突出している。フランジ部15bは、中心軸Jを中心とする円環状であり、板面が軸方向を向く板状である。フランジ部15bは、第1ケース部材12の径方向内側の端部における上側の面に接触している。フランジ部15bは、下側フランジ部32の下側の面に接触している。
【0041】
本実施形態においては、第1ケース部材12と基部15aとフランジ部15bとによって、コイル40の下側に位置する磁性体製の第1磁性体部10aが構成されている。つまり、ケース10は、第1磁性体部10aを有する。可動子70が第1位置P1に位置する場合において、第1磁性体部10aの下側の端部は、コア体72の径方向外縁部における下側の端部よりも下側に位置する。本実施形態において、コア体72の径方向外縁部における下側の端部は、外側コア部72bの径方向外縁部における下側の端部である。本実施形態では、可動子70が第1位置P1に位置する場合において、第1磁性体部10aの全体が、外側コア部72bの下側の端部よりも下側に位置する。
【0042】
第3磁性体部17は、コイル40の径方向内側に位置する。より詳細には、第3磁性体部17は、コイル40の下側部分における径方向内側に位置する。第3磁性体部17は、基部15aの径方向内側部分から上側に延びている。第3磁性体部17は、第1磁性体部10aの径方向内縁部に繋がっている。本実施形態において第1磁性体部10aの径方向内縁部は、基部15aの径方向内縁部である。本実施形態において第3磁性体部17は、軸方向両側に開口する筒状である。より詳細には、第3磁性体部17は、中心軸Jを中心とする円筒状である。第3磁性体部17は、ボビン本体部31の径方向内側に嵌め合わされている。
【0043】
第3磁性体部17は、第1磁性体部10aの径方向内縁部に繋がる第1部分17aと、第1部分17aの上側に繋がる第2部分17bと、を有する。本実施形態において第1部分17aおよび第2部分17bは、中心軸Jを中心とする円筒状である。第1部分17aは、基部15aの径方向内縁部から上側に突出している。本実施形態において第1部分17aの内周面は、基部15aの内周面と径方向において同じ位置にあり、基部15aの内周面の上側に滑らかに繋がっている。第1部分17aの内周面は、ガイド部材60の外周面の径方向外側に離れて配置されている。第1部分17aの内周面とガイド部材60の外周面との径方向の間には、空隙部Gが設けられている。本実施形態において空隙部Gは、中心軸Jを囲む円環状の隙間である。
【0044】
第2部分17bの上側の端部は、第3磁性体部17の上側の端部である。第2部分17bの上側の端部は、第1マグネット51の下側に隙間を空けて対向して配置されている。これにより、第3磁性体部17は、第1マグネット51の下側に隙間を空けて配置されている。第2部分17bの内径は、第1部分17aの内径よりも小さい。第2部分17bの内周面は、第1部分17aの内周面よりも径方向内側に位置する。言い換えれば、第2部分17bの径方向内縁部は、第1部分17aの径方向内縁部よりも径方向内側に位置する。
【0045】
第2部分17bの外径は、第1部分17aの外径と同じである。本実施形態において第2部分17bの外周面は、第1部分17aの外周面と径方向において同じ位置にあり、第1部分17aの外周面の上側に滑らかに繋がっている。第2部分17bにおける内周面と外周面との径方向の間の厚さは、第1部分17aにおける内周面と外周面との径方向の間の厚さよりも大きい。
【0046】
本実施形態において第2部分17bの径方向内側には、ガイド部材60が嵌め合わされている。第2部分17bの内周面、すなわち径方向内縁部は、ガイド部材60の外周面に接触している。本実施形態において第2部分17bの軸方向の寸法は、第1部分17aの軸方向の寸法よりも大きい。
【0047】
本実施形態において第1部分17aの径方向内縁部と第2部分17bの径方向内縁部との軸方向の間には、下側を向く段差面17dを有する段差部17cが設けられている。段差面17dは、中心軸Jを中心とする円環状であり、軸方向と直交する平坦面である。段差面17dは、第2部分17bにおける径方向内側部分の下側の面である。段差面17dは、コイル40の下側の端部よりも上側に位置する。
【0048】
可動子70が第1位置P1に位置する場合において、第2部分17bは、コア体72とコイル40との径方向の間に位置する。より詳細には、可動子70が第1位置P1に位置する場合において、第2部分17bは、外側コア部72bのうち内側コア部72aよりも下側に突出した部分とコイル40の下側部分との径方向の間に位置する。可動子70が第1位置P1に位置する場合において、第2部分17bの径方向内縁部における下側の端部は、コア体72の径方向外縁部における下側の端部よりも上側に位置する。本実施形態において第2部分17bの径方向内縁部における下側の端部は、段差面17dの径方向内側の端部である。本実施形態では、可動子70が第1位置P1に位置する場合において、段差面17dの全体が、外側コア部72bの径方向外縁部における下側の端部よりも上側に位置する。可動子70が第1位置P1に位置する場合において、外側コア部72bの径方向外縁部における下側の端部は、第1部分17aの下側の端部よりも上側に位置する。
【0049】
非磁性体部16は、第1磁性体部10a、ガイド部材60、およびコア体72の下側に位置する。非磁性体部16は、非磁性体製である。本実施形態において非磁性体部16は、中心軸Jを中心とする円環状であり、板面が軸方向を向く板状である。非磁性体部16は、例えば、ステンレス鋼などの金属製である。本実施形態において非磁性体部16の下側の面は、ケース10の下側の面を構成している。非磁性体部16は、外側部分16aと、内側部分16bと、を有する。
【0050】
外側部分16aは、第1磁性体部10aの下側に位置する。外側部分16aの上側の面は、第1磁性体部10aの下側の面に接触している。本実施形態において外側部分16aの上側の面は、第1ケース部材12の下側の面と基部15aの下側の面とに接触している。外側部分16aの径方向外側の端部は、非磁性体部16の径方向外側の端部である。本実施形態において外側部分16aの径方向外側の端部は、第1磁性体部10aの径方向外側の端部と径方向において同じ位置に位置する。
【0051】
内側部分16bは、外側部分16aの径方向内側の端部に繋がっている。内側部分16bは、外側部分16aよりも上側に位置する。本実施形態において内側部分16bは、コア体72の下側に位置する部分である。内側部分16bは、コア体72のうち外側コア部72bの下側に位置する。内側部分16bの径方向内側の端部は、非磁性体部16の径方向内側の端部である。内側部分16bの径方向内側の端部は、外側コア部72bの下側の端部における径方向内縁部よりも径方向外側に位置する。
【0052】
内側部分16bの径方向外側の端部は、外側部分16aの径方向内側の端部の上側に繋がっている。内側部分16bの径方向外側の端部は、基部15aの径方向内側に位置する。内側部分16bの径方向外側の端部は、基部15aの径方向内側の面と接触している。内側部分16bの径方向外側の端部は、第3磁性体部17の第2部分17bの下側に空隙部Gを介して対向して配置されている。本実施形態において空隙部Gは、第1部分17aと第2部分17bとガイド部材60と内側部分16bとによって囲まれた空間部である。
【0053】
内側部分16bの上側の面には、緩衝部材61が固定されている。緩衝部材61は、中心軸Jを中心とする円環状であり、板面が軸方向を向く板状である。緩衝部材61は、非磁性体製である。緩衝部材61は、例えば、ゴム製である。緩衝部材61は、ガイド部材60の下側の端部における径方向内側に嵌め合わされている。ガイド部材60の下側の端部は、内側部分16bの上側の面のうち、緩衝部材61よりも径方向外側に位置する部分に接触している。
【0054】
図1に示すように、可動子70が第1位置P1に位置する場合、コア体72の外側コア部72bにおける下側の端部は、緩衝部材61に接触している。そのため、可動子70が第2位置P2から第1位置P1へと移動した際に、可動子70が非磁性体部16に直接的に接触することを抑制でき、可動子70が移動した際の衝撃を緩衝部材61によって吸収することができる。これにより、可動子70が損傷することを抑制できる。また、可動子70が非磁性体部16に衝突して音が生じることを抑制できる。
【0055】
本実施形態においてケース10のうちコア体72の下側に位置する部分は、非磁性体製の内側部分16bのみである。つまり、本実施形態においてケース10は、コア体72の下側に位置する磁性体製の部分を有していない。また、可動子70が第1位置P1に位置する場合に外側コア部72bが接触する緩衝部材61も非磁性体製である。つまり、可動子70が第1位置P1に位置する場合において、外側コア部72bの下側の端部から内側部分16bの下側の面までの軸方向の間には、磁性体製の部分が設けられていない。言い換えれば、可動子70が第1位置P1に位置する場合において、コア体72の下側の端部からケース10の下側の面までの軸方向の間には、磁性体製の部分が設けられていない。
【0056】
図1および
図2に示すように、遮蔽部材90は、ケース10の下側に位置する。遮蔽部材90は、ケース10に固定されている。遮蔽部材90は、磁性体製である。遮蔽部材90を構成する材料は、例えば、鉄である。
図4および
図5に示すように、本実施形態において遮蔽部材90は、全体として、中心軸Jを中心とする円筒状の部材である。本実施形態において遮蔽部材90は、第1遮蔽部材91と第2遮蔽部材92と第3遮蔽部材93との3つの部材が組み合わされて構成されている。第2遮蔽部材92は、ケース10の下側に固定されている。第1遮蔽部材91は、第2遮蔽部材92の下側に固定されている。第3遮蔽部材93は、第1遮蔽部材91の下側に固定されている。
【0057】
図5に示すように、第1遮蔽部材91は、第1接続部91aと、第1周壁部91bと、を有する。つまり、遮蔽部材90は、第1接続部91aと、第1周壁部91bと、を有する。第1周壁部91bは、中心軸Jを中心とし、軸方向両側に開口する略円筒状である。
図1および
図2に示すように、第1周壁部91bは、磁気センサ81を中心軸J回りに囲んでいる。第1周壁部91bは、第1下壁部91cと、第1下壁部91cの上側に繋がる第1上壁部91dと、を有する。
【0058】
第1下壁部91cの内径および外径は、下側から上側に向かうに従って小さくなっている。第1下壁部91cの内周面および外周面は、下側から上側に向かうに従って外径が小さくなる円錐台の外周面と同様の形状である。第1下壁部91cの下側部分は、磁気センサ81を中心軸J回りに囲んでいる。第1下壁部91cの下側の端部は、第1周壁部91bの下側の端部である。
【0059】
第1上壁部91dは、第1下壁部91cの上側の端部から上側に突出している。第1上壁部91dの内径および外径は、軸方向の全体に亘って同じである。第1上壁部91dは、中心軸Jを中心とする円筒状である。第1上壁部91dの内径は、第1下壁部91cの上側の端部における内径と同じであり、シャフト71の外径よりも大きい。第1上壁部91dの上側の端部は、第1周壁部91bの上側の端部である。第1上壁部91dの上側の端部は、非磁性体部16の外側部分16aと軸方向においてほぼ同じ位置に配置されている。
【0060】
第1周壁部91bは、シャフト71の下側の端部および第2マグネット52が挿入可能な第1開口部91gを有する。第1開口部91gは、軸方向に見て中心軸Jを中心とする円形状であり、軸方向両側に開口している。本実施形態において第1開口部91gは、円筒状の第1上壁部91dによって構成されている。第1開口部91gの内周面は、第1上壁部91dの内周面である。
図1に示すように、可動子70が第1位置P1に位置する場合、第1開口部91gには、シャフト71の下側の端部および第2マグネット52が挿入されている。つまり、可動子70が第1位置P1に位置する場合、第2マグネット52は、第1周壁部91bの径方向内側に位置する。本実施形態では、可動子70が第1位置P1に位置する場合、第2マグネット52の下側の端部は、第1上壁部91dの下側の端部と軸方向においてほぼ同じ位置に位置する。
【0061】
第1接続部91aは、第1周壁部91bから径方向外側に延びている。本実施形態において第1接続部91aは、第1周壁部91bの下側の端部、すなわち第1下壁部91cの下側の端部から径方向外側に延びている。第1接続部91aは、第1周壁部91bと後述する外壁部94とを繋いでいる。
図5に示すように、本実施形態において第1接続部91aは、中心軸Jを中心とする円環状であり、板面が軸方向を向く板状である。
【0062】
図1および
図2に示すように、第2遮蔽部材92は、ケース10と第1遮蔽部材91との軸方向の間に配置されている。より詳細には、第2遮蔽部材92は、非磁性体部16と第1遮蔽部材91との軸方向の間に位置する。第2遮蔽部材92は、第2接続部92aと、第2周壁部92bと、第2筒部92eと、を有する。つまり、遮蔽部材90は、第2接続部92aと、第2周壁部92bと、第2筒部92eと、を有する。
【0063】
第2周壁部92bは、中心軸Jを中心とし、軸方向両側に開口する略円筒状である。第2周壁部92bは、非磁性体部16の径方向内側に位置する。第2周壁部92bは、非磁性体部16の径方向内側を軸方向に貫通して配置されている。第2周壁部92bは、非磁性体部16の径方向内側の端部から径方向内側に離れて配置されている。
図1に示すように、可動子70が第1位置P1に位置する場合において、第2周壁部92bの上側の端部は、外側コア部72bのうち内側コア部72aよりも下側に位置する部分の径方向内側に位置する。可動子70が第1位置P1に位置する場合において、第2周壁部92bの上側の端部は、外側コア部72bの下側の端部よりも上側に位置し、内側コア部72aの下側に隙間を空けて対向して配置されている。可動子70が第1位置P1に位置する場合において、第2周壁部92bの径方向内側には、シャフト71が軸方向に通されている。
【0064】
第2周壁部92bは、第2下壁部92cと、第2下壁部92cの上側に繋がる第2上壁部92dと、を有する。第2下壁部92cの内径および外径は、下側から上側に向かうに従って小さくなっている。第2下壁部92cの内周面および外周面は、下側から上側に向かうに従って外径が小さくなる円錐台の外周面と同様の形状である。第2下壁部92cの下側の端部は、第2周壁部92bの下側の端部である。
【0065】
第2下壁部92cは、第1周壁部91bにおける第1下壁部91cの上側に間隔を空けて配置されている。第2下壁部92cの上側の端部は、第1下壁部91cの上側の端部よりも径方向外側に位置する。第2下壁部92cの下側の端部は、第1下壁部91cの下側の端部よりも径方向外側に位置する。第2下壁部92cは、第1上壁部91dの径方向外側に位置し、第1上壁部91dを囲んでいる。これにより、第2周壁部92bの下側の端部は、第1周壁部91bを径方向外側から囲んでいる。
【0066】
第2上壁部92dは、第2下壁部92cの上側の端部から上側に突出している。第2上壁部92dの内径および外径は、軸方向の全体に亘って同じである。第2上壁部92dは、中心軸Jを中心とする円筒状である。第2上壁部92dの内径は、第2下壁部92cの上側の端部における内径と同じであり、シャフト71の外径よりも大きい。第2上壁部92dの内径は、第1上壁部91dの内径および第1上壁部91dの外径よりも大きい。第2上壁部92dの上側の端部は、第1上壁部91dの上側の端部よりも径方向外側に位置する。本実施形態では、第2上壁部92dの全体が、第1上壁部91dの全体よりも径方向外側に位置する。第2上壁部92dの内周面は、第1上壁部91dの外周面よりも径方向外側に位置する。
【0067】
第2上壁部92dの上側の端部は、第2周壁部92bの上側の端部である。第2上壁部92dの上側の端部は、第1上壁部91dの上側の端部よりも上側に位置する。つまり、第2周壁部92bの少なくとも一部は、第1周壁部91bよりも上側に位置する。本実施形態では、第2周壁部92bのうち第2下壁部92cの上側の端部と第2上壁部92dの全体とが、第1周壁部91bよりも上側に位置する。第2上壁部92dの上側の端部は、非磁性体部16よりも上側に位置する。第2上壁部92dの上側の端部は、第3磁性体部17の第1部分17aよりも上側に位置し、第3磁性体部17の第2部分17bの上側の端部よりも下側に位置する。
【0068】
第2周壁部92bは、シャフト71の下側の端部および第2マグネット52が挿入可能な第2開口部92gを有する。第2開口部92gは、軸方向に見て中心軸Jを中心とする円形状であり、軸方向両側に開口している。第2開口部92gの内径は、第1開口部91gの内径よりも大きい。本実施形態において第2開口部92gは、円筒状の第2上壁部92dによって構成されている。第2開口部92gの内周面は、第2上壁部92dの内周面である。
【0069】
図2に示すように、可動子70が第2位置P2に位置する場合、第2開口部92gには、シャフト71の下側の端部および第2マグネット52が挿入されている。つまり、可動子70が第2位置P2に位置する場合、第2マグネット52は、第2周壁部92bの径方向内側に位置する。本実施形態では、可動子70が第2位置P2に位置する場合、第2マグネット52の下側の端部は、第2上壁部92dの下側の端部と軸方向においてほぼ同じ位置に位置する。
【0070】
第2接続部92aは、第2周壁部92bから径方向外側に延びている。本実施形態において第2接続部92aは、第2周壁部92bの下側の端部、すなわち第2下壁部92cの下側の端部から径方向外側に延びている。第2接続部92aは、第2周壁部92bと後述する外壁部94とを繋いでいる。本実施形態において第2接続部92aは、中心軸Jを中心とする円環状であり、板面が軸方向を向く板状である。第2接続部92aは、第1接続部91aの上側に間隔を空けて対向して配置されている。第2接続部92aの内径は、第1接続部91aの内径よりも大きい。第2接続部92aの径方向外側部分は、非磁性体部16の外側部分16aの下面に接触している。第2接続部92aの径方向内側の端部は、非磁性体部16の内側部分16bの下側に隙間を介して対向して配置されている。
【0071】
第2筒部92eは、第2接続部92aの径方向外縁部から下側に突出している。第2筒部92eは、中心軸Jを囲み、下側に開口する筒状である。より詳細には、第2筒部92eは、中心軸Jを中心とする円筒状である。第2筒部92eの下側の端部は、第1接続部91aの径方向外側の端部における上側の面に接触している。第2筒部92eは、第1周壁部91bの径方向外側に位置し、第1周壁部91bを囲んでいる。
【0072】
第3遮蔽部材93は、第1遮蔽部材91の下側に位置する。第3遮蔽部材93は、蓋部93hと、第3筒部93fと、を有する。つまり、遮蔽部材90は、蓋部93hと、第3筒部93fと、を有する。蓋部93hは、径方向に広がっている。蓋部93hは、基板80を下側から覆っている。本実施形態では、蓋部93hの上側の面に基板80が固定されている。蓋部93hは、環状部93aと、凸部93bと、を有する。環状部93aは、中心軸Jを中心とする円環状であり、板面が軸方向を向く板状である。環状部93aは、第1接続部91aの下側に間隔を空けて配置されている。
【0073】
本実施形態において凸部93bは、蓋部93hのうち軸方向に見て磁気センサ81と重なる部分であり、下側に突出している。より詳細には、凸部93bは、環状部93aの径方向内縁部から下側に突出している。凸部93bは、上側に開口する筒状である。本実施形態において凸部93bは、中心軸Jを中心とする略円筒状である。凸部93bは、第1周壁部91bの下側に間隔を空けて配置されている。凸部93bは、上壁部93cと、下壁部93dと、底壁部93eと、を有する。
【0074】
上壁部93cは、環状部93aの径方向内縁部から下側に突出している。上壁部93cの内径および外径は、上側から下側に向かうに従って小さくなっている。上壁部93cの内周面および外周面は、上側から下側に向かうに従って外径が小さくなる円錐台の外周面と同様の形状である。上壁部93cは、第1下壁部91cの下側に間隔を空けて配置されている。
【0075】
下壁部93dは、上壁部93cの下側の端部から下側に突出している。下壁部93dの内径および外径は、軸方向の全体に亘って同じである。下壁部93dは、中心軸Jを中心とする円筒状である。下壁部93dの内径は、上壁部93cの下側の端部における内径と同じであり、第1上壁部91dの内径よりも大きく、第2上壁部92dの内径よりも小さい。下壁部93dの外径は、第1上壁部91dの外径よりも大きく、第2上壁部92dの外径よりも小さい。底壁部93eは、中心軸Jを中心とする円板状である。底壁部93eの径方向外縁部は、下壁部93dの下側の端部に繋がっている。
【0076】
第3筒部93fは、蓋部93hの径方向外縁部、すなわち環状部93aの径方向外縁部から上側に突出する筒状である。本実施形態において第3筒部93fは、中心軸Jを中心とし、上側に開口する円筒状である。第3筒部93fの上側の端部は、第1接続部91aの径方向外縁部における下側の面に接触している。
【0077】
本実施形態において遮蔽部材90は、外壁部94を有する。本実施形態において外壁部94は、第1接続部91aの径方向外側の端部と、第2筒部92eと、第3筒部93fと、によって構成されている。外壁部94は、第1周壁部91bよりも径方向外側に位置する。
図4に示すように、本実施形態において外壁部94は、中心軸Jを囲む筒状である。より詳細には、外壁部94は、中心軸Jを中心とする円筒状である。外壁部94の外周面は、遮蔽部材90の外周面を構成している。
図1および
図2に示すように、外壁部94は、ケース10の下側に固定されている。外壁部94の上側の端部は、非磁性体部16の径方向外側の端部に接触している。
【0078】
基板80は、板面が軸方向を向く板状である。基板80は、径方向に広がっている。基板80には、中心軸Jが通っている。基板80は、例えば、凸部93bの上側の開口を塞いでいる。基板80のうち凸部93bよりも径方向外側に位置する部分は、第1接続部91aと環状部93aとの軸方向の隙間に収容されている。基板80のうち凸部93bよりも径方向外側に位置する部分は、環状部93aの上側の面に固定されている。これにより、基板80の径方向外縁部は、蓋部93hと第1接続部91aとの軸方向の間に保持されている。したがって、基板80に取り付けられた磁気センサ81を好適に第1周壁部91bの径方向内側に配置しやすくできる。
【0079】
磁気センサ81は、基板80に固定されている。本実施形態において磁気センサ81は、基板80の上側の面に固定されている。より詳細には、磁気センサ81は、基板80のうち軸方向に見て凸部93bと重なる部分の上側の面に固定されている。磁気センサ81は、中心軸Jが通る位置に配置されている。磁気センサ81は、第2マグネット52の下側に隙間を介して対向して配置されている。磁気センサ81は、第2マグネット52の磁界を検出可能なセンサである。
【0080】
磁気センサ81は、第2マグネット52の磁界を検出可能であれば、どのような種類の磁気センサであってもよい。磁気センサ81は、例えば、ホール素子であってもよいし、磁気抵抗効果素子であってもよい。可動子70が軸方向に移動することで、第2マグネット52と磁気センサ81との間の軸方向の距離が変化する。そのため、可動子70の軸方向の位置に応じて、磁気センサ81において検出される第2マグネット52の磁界の強さが変化する。これにより、磁気センサ81によって検出される第2マグネット52の磁界の強さに基づいて、可動子70の軸方向の位置を検出することができる。
【0081】
本実施形態の電動アクチュエータ100においては、コイル40に流す電流の向きを切り替えることで、可動子70を軸方向の両側にそれぞれ移動させることができる。
図6に示す磁気回路MF1は、可動子70を第2位置P2から第1位置P1へと移動させる際に、コイル40に流される電流によって生じる磁気回路である。磁気回路MF1が生じる向きにコイル40に電流を流すことで、第2位置P2にある可動子70を下側に移動させることができる。
図6の例では、上側から見て時計回りに流れる向きにコイル40に電流が流されている。
【0082】
図6の磁気回路MF1においては、コイル40の径方向内側に生じた下側向きの磁束が、コア体72の外側コア部72bからガイド部材60および空隙部Gを通過して、第1磁性体部10aに流入する。第1磁性体部10aに流入した磁束は、径方向外側に流れて、筒状部11に流入する。筒状部11に流入した磁束は、筒状部11を上側に流れて第2磁性体部10bに流入する。第2磁性体部10bに流入した磁束は、径方向内側に流れて、第3ケース部材14から外側コア部72bに戻る。このような磁気回路MF1が生じる向きにコイル40に電流を流すことで、コア体72と第1磁性体部10aとの間に互いに引き合う磁力を生じさせて可動子70を下側向きに移動させることができ、可動子70を第1位置P1に位置させることができる。
【0083】
図7に示すように、可動子70が第1位置P1に位置する場合、第1マグネット51の磁界によって磁気回路MF4が生じる。磁気回路MF4においては、第1マグネット51から径方向内側に流れた磁束が、ガイド部材60を通過して外側コア部72bに流入し、外側コア部72bを下側に流れる。外側コア部72bを下側に流れた磁束は、径方向外側に流れてガイド部材60を通過して第3磁性体部17の第2部分17bに流れる。第2部分17bに流れた磁束は、第3磁性体部17を下側に流れて、第1部分17aから第1磁性体部10aに流入する。第1磁性体部10aに流入した磁束は、径方向外側に流れて筒状部11に流入し、筒状部11を上側に流れる。筒状部11を上側に流れた磁束は、径方向内側に流れて、コイル40およびボビン30を通過して第1マグネット51へと戻る。第1マグネット51によって磁気回路MF4が生じるため、可動子70が第1位置P1に位置する場合には、コア体72と第3磁性体部17との間には互いに引き合う磁力が生じる。これにより、可動子70が第1位置P1に位置する場合に、コイル40に電流を流さない状態であっても、可動子70が第2位置P2へと戻ることが抑制される。
【0084】
ここで、磁気回路MF4において、外側コア部72bから第3磁性体部17の第2部分17bに流れる磁束は、磁束MF4aと、磁束MF4bと、を含む。磁束MF4aは、第1マグネット51から外側コア部72bに流入した後、比較的すぐに径方向内側に流れて第2部分17bへと流れる磁束である。磁束MF4aは、外側コア部72bから径方向内側かつ下側向きに斜めに流れて第2部分17bへと流入する。
【0085】
磁束MF4bは、第1マグネット51から外側コア部72bに流入した後、外側コア部72bのうち第2部分17bよりも下側に位置する部分に流れてから上側に折り返して第2部分17bへと流入する磁束である。磁束MF4bは、外側コア部72b内において第2部分17bよりも下側に流れてから上側に折り返して第2部分17bに流入するため、外側コア部72bから径方向内側かつ上側向きに斜めに流れて第2部分17bへと流入する。
【0086】
本実施形態では、磁束MF4bの方が、磁束MF4aよりも僅かに多い。そのため、磁束MF4aと磁束MF4bとを合成した磁束は、磁気回路MF4における矢印で示すように、外側コア部72bから第2部分17bへと径方向内側かつやや上側に斜めに傾いた向きとなる。これにより、磁気回路MF4が生じると、磁力によって、コア体72に対して上側向きの力が生じる。したがって、コイル40に電流を流して可動子70を第1位置P1に位置させた後に、コイル40への電流の供給を停止すると、可動子70は、第1位置P1から僅かに上側に移動して、
図8に示す位置P1aに移動する。
【0087】
図8に示すように、可動子70が位置P1aに位置する場合に第1マグネット51によって生じる磁気回路MF5においては、磁束MF4aと磁束MF4bとが互いに同じ大きさとなり、外側コア部72bから第2部分17bへと流れる磁束を合成した磁束の向きは、径方向外側向きに対して軸方向に傾かない向きとなる。そのため、可動子70が位置P1aに位置する場合には、コア体72には、第1マグネット51の磁界による軸方向の磁力が生じず、軸方向の吸着力が生じない。これにより、コイル40に電流を流して可動子70を位置P1aから上側に移動させようとする場合に、コイル40に流れる電流によって生じる磁気回路により、可動子70を容易に上側に移動させることができる。
【0088】
一方、可動子70が位置P1aに位置する場合には、第1マグネット51の磁界によって、外側コア部72bと第2部分17bとの間に径方向の吸着力は生じている。そのため、コイル40に電流を流さない場合でも、可動子70が意図せずに軸方向に移動することを抑制できる。また、電動アクチュエータ100に外力が加えられたなどによって、仮に可動子70が位置P1aから軸方向にずれた場合であっても、その場合には、外側コア部72bから第2部分17bへと向かう磁束を合成した磁束の向きが、可動子70を位置P1aに戻す向きに傾いた向きとなり、可動子70が位置P1aへと戻される。
【0089】
コイル40に流す電流を、可動子70を下側に移動させる際と逆向きにすることで、可動子70を上側に移動させて、可動子70の位置を第2位置P2にすることができる。このとき、コイル40に流れる電流によって生じる磁気回路は、
図6に示す磁気回路MF1と逆向きに磁束が流れる磁気回路である。可動子70が第2位置P2に位置する場合には、第1マグネット51の磁界によって、可動子70を第2位置P2に保持する磁気回路が生じる。当該磁気回路においては、第1マグネット51から径方向内側に流れた磁束が、ガイド部材60を通過して外側コア部72bに流入し、外側コア部72bを上側に流れる。外側コア部72bを上側に流れた磁束は、第4磁性体部10dから第2磁性体部10bに流入し、第2磁性体部10bを径方向外側に流れる。第2磁性体部10bを径方向外側に流れた磁束は、筒状部11に流入し、筒状部11を下側に流れる。筒状部11を下側に流れた磁束は、径方向内側に流れて、コイル40およびボビン30を通過して第1マグネット51へと戻る。可動子70が第2位置P2に位置する場合には、第1マグネット51によって上記のような磁気回路が生じるため、コア体72と第4磁性体部10dとの間には軸方向に互いに引き合う磁力が生じる。これにより、可動子70が第2位置P2に位置する場合に、コイル40に電流を流さない状態であっても、可動子70と第4磁性体部10dとの間には、軸方向の吸着力が生じ、可動子70が第2位置P2に強固に保持される。
【0090】
可動子70を第2位置P2から第1位置P1へと移動させる際には、コイル40に流れる電流によって生じる磁気回路MF1が第2位置P2において第1マグネット51によって生じる上述した磁気回路を打ち消すため、可動子70を下側に移動させることができる。
【0091】
本実施形態によれば、ケース10は、コア体72の下側に位置する部分を有する非磁性体製の非磁性体部16と、コイル40の径方向内側に位置し、第1磁性体部10aの径方向内縁部に繋がる第3磁性体部17と、を有する。第3磁性体部17は、第1磁性体部10aの径方向内縁部に繋がる第1部分17aと、第1部分17aの上側に繋がる第2部分17bと、を有する。第2部分17bの径方向内縁部は、第1部分17aの径方向内縁部よりも径方向内側に位置する。可動子70が第1位置P1に位置する場合において、第2部分17bはコア体72とコイル40との径方向の間に位置し、かつ、第2部分17bの径方向内縁部における下側の端部はコア体72の径方向外縁部における下側の端部よりも上側に位置する。
【0092】
コア体72の下側には非磁性体部16が設けられるため、上述した磁気回路MF4,MF5のように、第1マグネット51から生じる磁束が、コア体72から下側に流れにくく、コア体72から径方向外側へと流れて第3磁性体部17へと流れやすい。また、第2部分17bの径方向内縁部が第1部分17aの径方向内縁部よりも径方向内側であるため、コア体72から第3磁性体部17へと流れる磁束は、コア体72から第1部分17aへは流れにくく、コア体72から第2部分17bへと流れやすい。これにより、コア体72から第3磁性体部17へと流れる磁束の向きが下側向きに傾きにくくできる。また、可動子70が第1位置P1に位置する場合において、第2部分17bの径方向内縁部における下側の端部はコア体72の径方向外縁部における下側の端部よりも上側に位置する。そのため、上述した磁束MF4bのように、コア体72において第2部分17bよりも下側に流れた磁束を、上側向きに傾いた状態で第2部分17bへと流入させることができる。これにより、コア体72から下側向きに傾いて第2部分17bへと流入する磁束MF4aの少なくとも一部を、コア体72のうち第2部分17bよりも下側に位置する部分から第2部分17bへと流入する磁束MF4bによって打ち消すことができる。
【0093】
以上により、第1位置P1に位置する可動子70に第1マグネット51によって下側向きの吸着力が生じることを抑制できる。そのため、コイル40に電流を流して可動子70を上側に移動させようとする際に、コア体72を上側に移動させようとする磁力が、第1マグネット51から生じる磁気回路MF5によって阻害されにくい。したがって、コイル40に電流を流すことで生じる磁気回路によって可動子70を上側へと移動させやすくでき、下側から上側への可動子70の移動を迅速に行うことができる。そのため、本実施形態では、車両のギヤがパーキング以外であるアンロック状態から車両のギヤがパーキングであるロック状態に切り替える際に、可動子70を迅速に移動させることができ、車両のギヤをロック状態へと迅速に切り替えることができる。
【0094】
また、可動子70が第1位置P1に位置する場合、径方向においてはコア体72と第3磁性体部17との間に吸着力を生じさせることができる。そのため、可動子70を第1位置P1に移動させた後にコイル40への電流の供給を停止しても、径方向の吸着力によって、可動子70が第2位置P2へと意図せず戻ることを抑制できる。本実施形態では、上述したように、可動子70が第1位置P1に位置する場合、コア体72が第1マグネット51によって僅かに上側向きの力を受ける。そのため、可動子70が第1位置P1に位置する場合にコイル40への電流の供給を停止すると、可動子70は、第1位置P1よりも僅かに上側の位置P1aに移動し、
図8に示す磁気回路MF5によって生じる径方向の吸着力によって位置P1aに保持される。
【0095】
また、本実施形態によれば、ケース10は、コア体72の上側に位置する磁性体製の第4磁性体部10dを有する。そのため、上述したように、可動子70が第2位置P2に位置する場合には、第1マグネット51によって、コア体72と第4磁性体部10dと間に、軸方向の吸着力を生じさせることができる。これにより、第1マグネット51の磁界によって、可動子70を第2位置P2に強固に保持することができる。したがって、本実施形態では、車両のギヤがパーキングであるロック状態である場合に、可動子70が意図せず移動することを好適に抑制することができる。そのため、車両のギヤが意図せずアンロック状態になることを好適に抑制できる。
【0096】
また、本実施形態によれば、第1マグネット51は、コイル40の径方向内側に位置する。第3磁性体部17は、第1マグネット51の下側に隙間を空けて配置されている。そのため、可動子70が第1位置P1に位置する場合に、第1マグネット51から生じる磁束が第3磁性体部17に直接的に流れることを抑制でき、第1マグネット51から生じる磁束を、コア体72を介して第3磁性体部17へと好適に流すことができる。これにより、コイル40に電流が供給されない状態であっても、第1マグネット51によって生じるコア体72と第3磁性体部17との間の径方向の吸着力によって、可動子70の位置をより好適に保持することができる。したがって、可動子70が第2位置P2へと意図せず移動してしまうことをより好適に抑制できる。
【0097】
また、本実施形態によれば、第1部分17aの径方向内縁部と第2部分17bの径方向内縁部との軸方向の間には、段差部17cが設けられている。そのため、第1部分17aをコア体72から好適に径方向外側に離しやすく、第1マグネット51による磁束が、コア体72から第1部分17aへと流れることをより抑制できる。これにより、コア体72から第3磁性体部17へと流れる磁束が下側向きの成分を含むことをより好適に抑制でき、第1位置P1に位置する可動子70に下側向きの吸着力が生じることをより好適に抑制できる。
【0098】
また、本実施形態によれば、可動子70が第1位置P1に位置する場合において、第1磁性体部10aの下側の端部は、コア体72の径方向外縁部における下側の端部よりも下側に位置する。そのため、コイル40に電流を流して可動子70を下側に移動させる際においては、
図6に示す磁気回路MF1のように、コイル40に流れる電流によって生じる磁束をコア体72から第1磁性体部10aへと径方向外側かつ下側向きに斜めに傾いた向きに流すことができる。これにより、コイル40に流れる電流によって生じる磁界によって、可動子70に下側向きの吸引力を好適に加えることができる。したがって、可動子70を好適に下側向きに移動させることができる。
【0099】
また、本実施形態によれば、電動アクチュエータ100は、コア体72を囲む非磁性体製のガイド部材60を備える。コア体72は、ガイド部材60の径方向内側に軸方向に移動可能に嵌め合わされている。第2部分17bの径方向内縁部は、ガイド部材60の外周面に接触している。そのため、ガイド部材60によって可動子70を軸方向に移動可能に支持しつつ、第2部分17bとコア体72とを径方向に近づけることができる。これにより、第1マグネット51からコア体72に流入した磁束を、コア体72から径方向外側に流して第2部分17bへと好適に流しやすくできる。
【0100】
コイル40に流れる電流によって生じる磁束の一部および第1マグネット51から生じる磁束の一部は、ケース10およびコア体72などの外部に漏れる場合がある。当該漏れた磁束によって、例えば、
図6に示す磁気回路MF2,MF3が生じる。磁気回路MF2,MF3は、可動子70を下側向きに移動させる向きにコイル40に電流を流し、可動子70が第1位置P1に位置している場合に生じる磁気回路の一例である。
【0101】
磁気回路MF2においては、コア体72から下側向きに漏れた磁束が第2周壁部92bに流入し、第2周壁部92bを下側に流れて第2接続部92aに流入する。第2接続部92aに流入した磁束は、径方向外側に流れて外壁部94に流入し、外壁部94から径方向外側に漏れ出る。外壁部94から径方向外側に漏れ出た磁束は、上側に流れて第2磁性体部10bに流入し、第2磁性体部10bからコア体72へと戻る。なお、図示は省略するが、外壁部94に流れた磁束の少なくとも一部は、上側に流れて非磁性体部16を通過し、筒状部11に流入してもよい。
【0102】
磁気回路MF3においては、コア体72から下側向きに漏れた磁束が第2周壁部92bに流入し、第2周壁部92bから第1周壁部91bに流入する。第1周壁部91bに流入した磁束は、第1周壁部91bを下側に流れて第1接続部91aに流入する。第1接続部91aに流入した磁束は、径方向外側に流れて外壁部94に流入し、外壁部94を下側に流れて環状部93aに流入する。環状部93aに流入した磁束は、環状部93aを径方向内側に流れて凸部93bに流入する。凸部93bに流入した磁束は、上壁部93cおよび下壁部93dをこの順に流れて、下壁部93dの下端部から径方向外側に漏れ出る。下壁部93dの下端部から漏れ出た磁束は、遮蔽部材90よりも径方向外側に流れた後に、上側に流れ、第2磁性体部10bに流入する。第2磁性体部10bに流入した磁束は、第2磁性体部10bからコア体72へと戻る。
【0103】
なお、可動子70を第2位置P2に移動させる際にコイル40に流される電流によって生じる磁束、および可動子70が第2位置P2に位置する場合に第1マグネット51によって生じる磁束のうち漏れた磁束で作られる磁気回路は、例えば、磁気回路MF2,MF3に対して磁束が逆向きに流れる磁気回路となる。
【0104】
以下の説明では、可動子70を第1位置P1に移動させる際にコイル40に流される電流によって生じる磁束、および可動子70が第1位置P1に位置する場合に第1マグネット51によって生じる磁束のうち漏れた磁束で作られる磁気回路MF2,MF3における磁束の流れを例として説明を行う。
【0105】
例えば、遮蔽部材90が設けられない場合、ケース10およびコア体72などの外部に漏れた磁束が磁気センサ81の周囲に流れ、磁気センサ81による第2マグネット52の磁界の検出を妨げる恐れがあった。これにより、磁気センサ81による第2マグネット52の磁界の検出精度が低下し、可動子70の軸方向位置の検出精度が低下する場合があった。
【0106】
これに対して、本実施形態によれば、電動アクチュエータ100は、ケース10の下側に位置する磁性体製の遮蔽部材90を備える。遮蔽部材90は、シャフト71の下側の端部および第2マグネット52が挿入可能な第1開口部91gを有し、磁気センサ81を中心軸J回りに囲む第1周壁部91bと、第1周壁部91bよりも径方向外側に位置する外壁部94と、第1周壁部91bから径方向外側に延びて、第1周壁部91bと外壁部94とを繋ぐ第1接続部91aと、を有する。そのため、上述した漏れ磁束の磁気回路MF3のように、コア体72から漏れた磁束の少なくとも一部を第1周壁部91bから第1接続部91aを介して外壁部94へと逃がすことができる。これにより、第1周壁部91bによって囲まれた磁気センサ81の周囲に、漏れた磁束が流れることを抑制できる。したがって、磁気センサ81による第2マグネット52の磁界の検出が、当該漏れた磁束によって妨げられることを抑制できる。そのため、磁気センサ81の検出精度が低下することを抑制でき、磁気センサ81を用いた可動子70の軸方向位置の検出精度が低下することを抑制できる。
【0107】
また、本実施形態によれば、第1接続部91aは、第1周壁部91bの下側の端部から径方向外側に延びている。そのため、第1周壁部91bと第1接続部91aとの間で磁束を好適に流しやすくでき、漏れた磁束が磁気センサ81の周囲に流れることをより抑制できる。これにより、可動子70の軸方向位置の検出精度が低下することをより抑制できる。また、第1接続部91aおよび第1周壁部91bを有する第1遮蔽部材91を板金などによって容易に作りやすい。
【0108】
また、本実施形態によれば、遮蔽部材90は、シャフト71の下側の端部および第2マグネット52が挿入可能な第2開口部92gを有し、少なくとも一部が第1周壁部91bよりも上側に位置する第2周壁部92bと、第2周壁部92bから径方向外側に延びて、第2周壁部92bと外壁部94とを繋ぎ、第1接続部91aの上側に間隔を空けて対向して配置された第2接続部92aと、を有する。そのため、上述した漏れ磁束の磁気回路MF2のように、漏れた磁束の一部を第2周壁部92bから第2接続部92aを介して外壁部94へと逃がすことができ、磁気センサ81の周囲に漏れた磁束が流れることをより抑制できる。また、第2周壁部92bの少なくとも一部が第1周壁部91bよりも上側に位置するため、第2周壁部92bを介して、第1周壁部91bに磁束を流しやすくできる。これにより、第2周壁部92bから磁束が溢れても、当該溢れた磁束を、第1周壁部91bへと好適に流して、第1周壁部91bから第1接続部91aを介して外壁部94へと逃がすことができる。したがって、磁気センサ81の周囲に漏れた磁束が流れることをより抑制でき、可動子70の軸方向位置の検出精度が低下することをより抑制できる。
【0109】
ここで、例えば、第2周壁部92bおよび第2接続部92aを設ける代わりに、第1周壁部91bおよび第1接続部91aを太くして、第1周壁部91bおよび第1接続部91aによって逃がせる磁束の量を多くすることを考える。この場合であっても、第2周壁部92bおよび第2接続部92aを設けた場合と同様の量の漏れ磁束を外壁部94へと流すことができる。しかしながら、当該太くした第1周壁部91bおよび第1接続部91aに磁束が流れる場合、当該太くした第1周壁部91bおよび第1接続部91aから周囲に漏れる磁束の領域が広くなる。そのため、当該太くした第1周壁部91bおよび第1接続部91aから周囲に漏れた磁束が、磁気センサ81の周囲に流れやすくなる恐れがある。これに対して、本実施形態のように、第1周壁部91bおよび第1接続部91aとは別に、第2周壁部92bおよび第2接続部92aを設けることで、各周壁部および各接続部を太くすることなく、漏れ磁束を外壁部94へと逃がす経路を多くすることができる。これにより、磁気センサ81の周囲に漏れた磁束が流れることをより好適に抑制することができ、可動子70の軸方向位置の検出精度が低下することをより抑制できる。
【0110】
また、本実施形態によれば、第2接続部92aは、第2周壁部92bの下側の端部から径方向外側に延びている。そのため、第2周壁部92bと第2接続部92aとの間で磁束を好適に流しやすくでき、漏れた磁束が磁気センサ81の周囲に流れることをより抑制できる。これにより、可動子70の軸方向位置の検出精度が低下することをより抑制できる。また、第2接続部92aおよび第2周壁部92bを有する第2遮蔽部材92を板金などによって容易に作りやすい。
【0111】
また、本実施形態によれば、第2周壁部92bの上側の端部は、第1周壁部91bの上側の端部よりも径方向外側に位置する。そのため、第2周壁部92bをコア体72に近づけやすく、コア体72から漏れ出る磁束を第2周壁部92bに流しやすくできる。これにより、磁気センサ81の周囲に漏れた磁束が流れることをより好適に抑制することができ、可動子70の軸方向位置の検出精度が低下することをより抑制できる。
【0112】
また、本実施形態によれば、第2周壁部92bの下側の端部は、第1周壁部91bを径方向外側から囲んでいる。そのため、第1周壁部91bと第2周壁部92bとを近づけやすく、第2周壁部92bから第2接続部92aへと流しきれない磁束を、第1周壁部91bへと流しやすい。また、第1周壁部91bと第2周壁部92bとの間が軸方向に空くことを抑制でき、可動子70と共に第2マグネット52が軸方向に移動しても、第1周壁部91bまたは第2周壁部92bの径方向内側に第2マグネット52を位置させておきやすい。これにより、コア体72などから漏れた磁束が第2マグネット52の周囲に流れることを抑制でき、磁気センサ81によって、第2マグネット52の磁界をより好適に検出しやすくできる。したがって、可動子70の軸方向位置の検出精度が低下することをより抑制できる。
【0113】
また、本実施形態によれば、可動子70が第1位置P1に位置する場合、第2マグネット52は、第1周壁部91bの径方向内側に位置する。可動子70が第2位置P2に位置する場合、第2マグネット52は、第2周壁部92bの径方向内側に位置する。そのため、可動子70が軸方向のいずれの位置にある場合であっても、第2マグネット52を、第1周壁部91bまたは第2周壁部92bの内側に配置しておくことができる。これにより、可動子70の軸方向の位置によらず、第2マグネット52の磁界を磁気センサ81によって好適に検出することができ、可動子70の軸方向位置の検出精度が低下することをより好適に抑制できる。
【0114】
また、本実施形態によれば、外壁部94は、中心軸Jを囲む筒状であり、ケース10の下側に固定されている。そのため、各周壁部および各接続部から外壁部94へと磁束を流しやすくできる。また、外壁部94に流れた磁束の少なくとも一部を、ケース10へと流しやすくできる。これらにより、漏れた磁束が磁気センサ81の周囲に流れることをより抑制でき、可動子70の軸方向位置の検出精度が低下することをより抑制できる。
【0115】
また、本実施形態によれば、蓋部93hのうち軸方向に見て磁気センサ81と重なる部分、すなわち凸部93bは、下側に突出している。そのため、蓋部93hのうち磁気センサ81の下側に位置する部分を磁気センサ81から軸方向に離すことができる。これにより、凸部93bに磁束が流れることで凸部93bの周囲に磁束が漏れても、当該凸部93bの周囲に漏れた磁束が、磁気センサ81の周囲に流れることを抑制できる。したがって、可動子70の軸方向位置の検出精度が低下することをより抑制できる。
【0116】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。第1マグネットは、コイルの径方向外側に位置してもよい。この場合であっても、上述した実施形態と同様にして、1つのコイルによって、可動子を軸方向両側に移動させることができ、かつ、コイルに電流を流すことなく可動子を軸方向両側の位置においてそれぞれ保持できる。
【0117】
第1マグネットは、コイルの径方向内側またはコイルの径方向外側に位置するならば、どのような位置に配置されてもよい。第1マグネットとコイルとの軸方向の相対的な寸法関係は、特に限定されない。第1マグネットの軸方向の寸法は、コイルの軸方向の寸法より大きくてもよい。第1マグネットは、3つ以上の別体のマグネットによって構成されてもよい。第1マグネットは、単一の部材であってもよい。第1マグネットとコア体との軸方向の相対的な寸法関係は、特に限定されない。第1マグネットの軸方向の寸法は、コア体の軸方向の寸法より大きくてもよい。第2マグネットは、設けられなくてもよい。ガイド部材は、ケース内においてどのように保持されてもよい。ガイド部材は、設けられなくてもよい。
【0118】
非磁性体製の非磁性体部は、コア体の軸方向一方側(下側)に位置する部分を有するならば、どのような構成であってもよい。第3磁性体部の第2部分の径方向内縁部は、第3磁性体部の第1部分の径方向内縁部よりも径方向内側に位置するならば、どのような形状であってもよい。第3磁性体部は、環状でなくてもよい。第3磁性体部は、周方向に間隔を空けて複数設けられてもよい。第3磁性体部の第1部分と第2部分との間には段差部が設けられなくてもよい。第1部分の径方向内縁部が、第2部分から軸方向に離れるに従って径方向外側に位置する向きに傾斜してもよい。第4磁性体部は、設けられなくてもよい。この場合、非磁性体部および第3磁性体部は、コア体に対して軸方向両側に設けられてもよい。
【0119】
遮蔽部材を構成する部材の数は、特に限定されない。遮蔽部材は、単一部材であってもよい。遮蔽部材は、第1周壁部と外壁部と第1接続部とを有するならば、どのような構成であってもよい。外壁部は、第1周壁部よりも径方向外側に位置するならば、どのような形状であってもよい。第1接続部は、第1周壁部から径方向外側に延びて第1周壁部と外壁部とを繋ぐならば、どのような形状であってもよい。第1接続部は、環状でなくてもよい。第1接続部は、周方向に間隔を空けて複数設けられてもよい。第2周壁部は、少なくとも一部が第1周壁部よりも軸方向他方側(上側)に配置されるならば、どのように配置されてもよい。第2周壁部および第2接続部は、設けられなくてもよい。遮蔽部材の蓋部は、軸方向に見て磁気センサと重なる部分が軸方向一方側に突出していなくてもよい。磁気センサは、どのように固定されてもよい。磁気センサが固定される基板は、設けられなくてもよい。磁気センサは、設けられなくてもよい。遮蔽部材は、設けられなくてもよい。
【0120】
本発明が適用される電動アクチュエータの用途は、特に限定されない。電動アクチュエータは、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載されてもよい。また、電動アクチュエータは、車両以外の機器に搭載されてもよい。
【0121】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) 中心軸に沿って延びるシャフトおよび前記シャフトに固定された磁性体製のコア体を有し、軸方向に移動可能な可動子と、前記コア体の径方向外側に位置し、前記コア体を囲むコイルと、前記コイルを径方向外側から囲む磁性体製の筒状部、前記コイルの軸方向一方側に位置する磁性体製の第1磁性体部、および前記コイルの軸方向他方側に位置する磁性体製の第2磁性体部を有し、前記コア体および前記コイルを内部に収容するケースと、前記ケースの内部に収容され、前記コイルの径方向内側または前記コイルの径方向外側に位置するマグネットと、を備え、前記可動子は、軸方向において第1位置と第2位置との間で移動可能であり、前記第1位置は、前記第2位置よりも軸方向一方側の位置であり、前記ケースは、前記コア体の軸方向一方側に位置する部分を有する非磁性体製の非磁性体部と、前記コイルの径方向内側に位置し、前記第1磁性体部の径方向内縁部に繋がる第3磁性体部と、を有し、前記第3磁性体部は、前記第1磁性体部の径方向内縁部に繋がる第1部分と、前記第1部分の軸方向他方側に繋がる第2部分と、を有し、前記第2部分の径方向内縁部は、前記第1部分の径方向内縁部よりも径方向内側に位置し、前記可動子が前記第1位置に位置する場合において、前記第2部分は前記コア体と前記コイルとの径方向の間に位置し、かつ、前記第2部分の径方向内縁部における軸方向一方側の端部は前記コア体の径方向外縁部における軸方向一方側の端部よりも軸方向他方側に位置する、電動アクチュエータ。
(2) 前記ケースは、前記コア体の軸方向他方側に位置する磁性体製の第4磁性体部を有する、(1)に記載の電動アクチュエータ。
(3) 前記マグネットは、前記コイルの径方向内側に位置し、前記第3磁性体部は、前記マグネットの軸方向一方側に隙間を空けて配置されている、(1)または(2)に記載の電動アクチュエータ。
(4) 前記第1部分の径方向内縁部と前記第2部分の径方向内縁部との軸方向の間には、段差部が設けられている、(1)から(3)のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
(5) 前記可動子が前記第1位置に位置する場合において、前記第1磁性体部の軸方向一方側の端部は、前記コア体の径方向外縁部における軸方向一方側の端部よりも軸方向一方側に位置する、(1)から(4)のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
(6) 前記コア体を囲む非磁性体製のガイド部材を備え、前記コア体は、前記ガイド部材の径方向内側に軸方向に移動可能に嵌め合わされており、前記第2部分の径方向内縁部は、前記ガイド部材の外周面に接触している、(1)から(5)のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【0122】
以上、本明細書において説明した構成および方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0123】
10…ケース、10a…第1磁性体部、10b…第2磁性体部、10d…第4磁性体部、11…筒状部、16…非磁性体部、17…第3磁性体部、17a…第1部分、17b…第2部分、17c…段差部、40…コイル、51…第1マグネット(マグネット)、60…ガイド部材、70…可動子、71…シャフト、72…コア体、100…電動アクチュエータ、J…中心軸、P1…第1位置、P2…第2位置