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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067400
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】樹脂封止装置及び樹脂封止方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20240510BHJP
   B29C 33/34 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
H01L21/56 R
B29C33/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177450
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(72)【発明者】
【氏名】田上 秀作
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 誠
【テーマコード(参考)】
4F202
5F061
【Fターム(参考)】
4F202AA39
4F202AC01
4F202AC03
4F202AC04
4F202AD02
4F202AH33
4F202CA01
4F202CA09
4F202CA11
4F202CB01
4F202CB12
4F202CC07
4F202CC09
4F202CN01
5F061AA01
5F061BA01
5F061CA22
5F061DA06
5F061DD01
5F061DD02
5F061DE01
(57)【要約】
【課題】下型にキャビティ凹部が形成された樹脂封止金型を用い、供給マガジンを反転させる必要がない樹脂封止装置及び樹脂封止方法を提供する。
【解決手段】樹脂封止装置1は、下型61にキャビティ凹部63が形成された樹脂封止金型60と、ローダハンド88と、供給マガジン20と、ワークWの上下の向きを反転させる反転機構87,23,…と、を備えている。供給マガジン20は、電子部品Eが実装された第1面Aが上向きになるようにワークWを供給する。反転機構87,23,…は、基材Sの第1面Aが下向きになるようにワークWを反転させる。ローダハンド88は、第1面Aが下向きのワークWを下型61に供給することにより、キャビティ凹部63に供給された樹脂材料Rと電子部品Eとを対向させる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材及び電子部品を含むワークの前記電子部品を樹脂封止した樹脂封止品を製造する樹脂封止装置であって、
上型と前記上型に対向する側にキャビティ凹部が形成された下型とを含む樹脂封止金型であって、前記キャビティ凹部に供給された樹脂材料によって前記電子部品を樹脂封止する樹脂封止金型と、
前記上型と前記下型との間の空間に進入可能に構成され、かつ、当該空間から退避可能に構成されたローダハンドと、
前記ワークを供給する供給マガジンと、
前記ワークの上下の向きを反転させる反転機構と、を備え、
前記供給マガジンは、前記電子部品が実装された第1面が上向きになるように前記ワークを供給し、
前記反転機構は、前記基材の前記第1面が下向きになるように前記ワークを反転させ、
前記ローダハンドは、前記第1面が下向きの前記ワークを前記下型に供給することにより、前記キャビティ凹部に供給された前記樹脂材料と前記電子部品とを対向させる、
樹脂封止装置。
【請求項2】
前記第1面が上向きの前記ワークを前記第1面とは反対側にある前記基材の第2面から加熱するプリヒータを更に備え、
前記反転機構は、前記プリヒータから前記ワークを受け取り、前記第1面が下向きになるように前記ワークを反転させてから前記ローダハンドに供給する、
請求項1に記載の樹脂封止装置。
【請求項3】
前記樹脂封止品を収納する収納マガジンと、
前記樹脂封止品を前記収納マガジンまで搬送するパレットと、を更に備え、
前記ローダハンドは、前記第1面が下向きの前記樹脂封止品を前記下型から回収し、
前記反転機構は、前記第1面が上向きになるように反転させてから前記樹脂封止品を前記パレットに載置し、
前記収納マガジンは、前記第1面が上向きの前記樹脂封止品を収納する、
請求項2に記載の樹脂封止装置。
【請求項4】
前記ワークを前記ローダハンドまで搬送するプリヒータを更に備え、
前記反転機構は、前記供給マガジンから前記ワークを受け取り、前記第1面が下向きになるように前記ワークを反転させてから前記プリヒータに載置する、
請求項1に記載の樹脂封止装置。
【請求項5】
前記反転機構は、前記第1面とは反対側にある前記基材の第2面から前記ワークを加熱する機能を有している、
請求項4に記載の樹脂封止装置。
【請求項6】
基材及び電子部品を含むワークの前記電子部品を樹脂封止した樹脂封止品を製造する樹脂封止装置であって、
上型と前記上型に対向する側にキャビティ凹部が形成された下型とを含む樹脂封止金型であって、前記キャビティ凹部に供給された樹脂材料によって前記電子部品を樹脂封止する樹脂封止金型と、
前記上型と前記下型との間の空間に進入可能に構成され、かつ、当該空間から退避可能に構成されたローダハンドと、
前記樹脂封止品を収納する収納マガジンと、
前記樹脂封止品の上下の向きを反転させる反転機構と、を備え、
前記ローダハンドは、前記電子部品が実装された第1面が下向きの前記ワークを前記下型に供給し、かつ、前記基材の前記第1面が下向きの前記樹脂封止品を前記下型から回収し、
前記反転機構は、前記第1面が上向きになるように前記樹脂封止品を反転させ、
前記収納マガジンは、前記第1面が上向きの前記樹脂封止品を収納する、
樹脂封止装置。
【請求項7】
基材及び電子部品を含むワークの前記電子部品を樹脂封止する樹脂封止方法であって、
上型と前記上型に対向する側にキャビティ凹部が形成された下型とを含む樹脂封止金型の前記キャビティ凹部に樹脂材料を供給すること、
前記電子部品が実装された第1面が上向きになるように供給されたワークを前記第1面が下向きになるように反転させること、
前記上型と前記下型との間の空間に進入可能に構成され、かつ、当該空間から退避可能に構成されたローダハンドに対し、前記基材の前記第1面が下向きの前記ワークを供給すること、
前記ローダハンドが前記下型に前記ワークを供給することにより、前記キャビティ凹部に供給された前記樹脂材料と前記電子部品とを対向させること、並びに、
前記樹脂材料によって前記電子部品を樹脂封止すること、を含む、
樹脂封止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下型にキャビティ凹部が形成された樹脂封止装置及び該装置を用いた樹脂封止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂封止装置は、上型と下型との間の空間に基材及び電子部品を含むワークを供給し、基材の第1面に実装された電子部品をキャビティ凹部に供給された樹脂材料で樹脂封止する。下型にキャビティ凹部が形成されている場合、第1面が下向きのワークを上型と下型との間の空間に供給する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-133352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂封止装置の前工程では、基材と電子部品とを配線接続して第1面が上向きのワークを製造する。前工程から搬入された供給マガジンには、第1面が上向きのワークが収納されている。下型にキャビティ凹部が形成されている樹脂封止装置に供給マガジンを取り付ける際に、第1面が下向きになるように供給マガジンの上下の向きを反転させる必要があった。
【0005】
また、樹脂封止装置の後工程では、第1面が上向きの樹脂封止品を個片化する。下型にキャビティ凹部が形成されている樹脂封止装置から後工程に搬入された収納マガジンには、第1面が下向きの樹脂封止品が収納されている。後工程において、第1面が上向きになるように供給マガジンの上下の向きを反転させる必要があった。
【0006】
供給マガジンや収納マガジンの上下を反転させると、ワークや樹脂封止品に衝撃を与えてしまう。とりわけ、供給マガジンに収納されているワークは、樹脂材料で保護される前であるため僅かな衝撃でも配線が変形しやすい。
【0007】
また、供給マガジンや収納マガジンの上下を反転させると、ワークや樹脂封止品の第1面に付着していた塵埃が落下して第1面とは反対側の第2面に付着してしまう。下型にキャビティ凹部が形成されている樹脂封止装置では、樹脂封止金型にワークを供給するとき、上型でワークを持ち上げるか、下型に供給された樹脂材料の上にワークを載置する。下型にワークを載置する場合、ワークを挟持するチャック等の構成を省略して上型を簡素な構造にできる反面、上型に設けられたクリーナで基材の第2面に付着した塵埃を除去できないため、第2面の塵埃を低減させることが重要になる。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、下型にキャビティ凹部が形成された樹脂封止金型を用い、供給マガジンを反転させる必要がない樹脂封止装置及び樹脂封止方法を提供することを目的とする。また、下型にキャビティ凹部が形成された樹脂封止金型を用い、収納マガジンを反転させる必要がない樹脂封止装置及び樹脂封止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る樹脂封止装置は、基材及び電子部品を含むワークの電子部品を樹脂封止した樹脂封止品を製造する。樹脂封止装置は、上型と上型に対向する側にキャビティ凹部が形成された下型とを含む樹脂封止金型と、上型と下型との間の空間に進入可能に構成され、かつ、当該空間から退避可能に構成されたローダハンドと、ワークを供給する供給マガジンと、ワークの上下の向きを反転させる反転機構と、を備えている。樹脂封止金型は、キャビティ凹部に供給された樹脂材料によって電子部品を樹脂封止する。供給マガジンは、電子部品が実装された第1面が上向きになるようにワークを供給する。反転機構は、基材の第1面が下向きになるようにワークを反転させる。ローダハンドは、第1面が下向きのワークを下型に供給することにより、キャビティ凹部に供給された樹脂材料と電子部品とを対向させる。
【0010】
本発明の一態様に係る樹脂封止方法は、基材及び電子部品を含むワークの電子部品を樹脂封止する。樹脂封止方法は、上型と上型に対向する側にキャビティ凹部が形成された下型とを含む樹脂封止金型の前記キャビティ凹部に樹脂材料を供給すること、電子部品が実装された第1面が上向きになるようにワークを供給すること、基材の第1面が下向きになるようにワークを反転させること、上型と下型との間の空間に進入可能に構成され、かつ、当該空間から退避可能に構成されたローダハンドに対し、第1面が下向きのワークを供給すること、ローダハンドが下型にワークを供給することにより、キャビティ凹部に供給された樹脂材料と電子部品とを対向させること、並びに、樹脂材料によって電子部品を樹脂封止すること、を含んでいる。
【0011】
これらの態様によれば、第1面が下向きになるようにワークを反転させるため、下型にキャビティ凹部が形成された樹脂封止金型を用い、供給マガジンを反転させる必要がない樹脂封止装置及び樹脂封止方法を提供することができる。ワークに衝撃を与えるおそれがある手順を減らし、配線の変形等を未然に防ぐことができる。供給マガジンを反転させる際に第1面から落下して第2面に付着する塵埃を低減できるため、ローダハンドが上型ではなく下型にワークを供給する構成にとりわけ好適であり、ワークを挟持するチャック等を省略して上型を簡素な構造にできる。
【0012】
本発明の一態様に係る樹脂封止装置は、基材及び電子部品を含むワークの電子部品を樹脂封止した樹脂封止品を製造する。樹脂封止装置は、上型と上型に対向する側にキャビティ凹部が形成された下型とを含む樹脂封止金型と、上型と下型との間の空間に進入可能に構成され、かつ、当該空間から退避可能に構成されたローダハンドと、樹脂封止品を収納する収納マガジンと、ワークの上下の向きを反転させる反転機構と、を備えている。樹脂封止金型は、キャビティ凹部に供給された樹脂材料によって電子部品を樹脂封止する。ローダハンドは、電子部品が実装された第1面が下向きのワークを下型に供給し、かつ、基材の第1面が下向きの樹脂封止品を下型から回収する。反転機構は、第1面が上向きになるように樹脂封止品を反転させる。収納マガジンは、第1面が上向きの樹脂封止品を収納する。
【0013】
この態様によれば、第1面が上向きになるように樹脂封止品を反転させるため、下型にキャビティ凹部が形成された樹脂封止金型を用い、収納マガジンを反転させる必要がない樹脂封止装置及び樹脂封止方法を提供することができる。ローダハンドが上型ではなく下型にワークを供給するため、ワークを挟持するチャック等を省略して上型を簡素な構造にできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、下型にキャビティ凹部が形成された樹脂封止金型を用い、供給マガジンを反転させる必要がない樹脂封止装置及び樹脂封止方法を提供することができる。また、下型にキャビティ凹部が形成された樹脂封止金型を用い、収納マガジンを反転させる必要がない樹脂封止装置及び樹脂封止方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の各実施形態に共通する樹脂封止装置の一例を示す平面図である。
図2図1に示された樹脂封止金型の一例を示す断面図である。
図3】本発明の樹脂封止方法の一例に含まれる工程を示すフローチャートである。
図4】本発明の樹脂封止方法の他の一例に含まれる工程を示すフローチャートである。
図5-22】本発明の第1実施形態の樹脂封止装置を用いた樹脂封止方法の一例を示す断面図である。
図23-27】本発明の第2実施形態の樹脂封止装置を用いた樹脂封止方法の一例を示す断面図である。
図28-32】本発明の第3実施形態の樹脂封止装置を用いた樹脂封止方法の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。以下、図1から図32を参照して各構成について詳しく説明する。図1は、本発明の各実施形態に共通する樹脂封止装置1の一例を示す平面図である。実施形態の説明の便宜上、図1に示すように「前」「後」「左」及び「右」を定義し、重力を基準に「上」及び「下」を定義する。
【0017】
樹脂封止装置1は、圧縮成形機であり、ワークWの電子部品E(図2参照)を樹脂材料Rで樹脂封止して樹脂封止品Mを製造する。樹脂封止装置1は、例えば、ワーク供給装置2、樹脂供給装置3、フィルム供給装置4、プレス装置6、樹脂封止品収納装置7、搬送装置8等を備えている。
【0018】
プレス装置6は、ワークW、樹脂材料R、リリースフィルムF等を樹脂封止金型(圧縮成形金型)60に挟み込み加圧して樹脂封止する。フィルム供給装置4は、リリースフィルムFを樹脂封止金型60内に供給し、使用済みのリリースフィルムFを樹脂封止金型60内から回収する。
【0019】
搬送装置8は、ワークW、樹脂材料R等を樹脂封止金型60内に搬入し、樹脂封止品Mを樹脂封止金型60内から搬出する。ワーク供給装置2は、搬送装置8にワークWを供給する。樹脂供給装置3は、搬送装置8に樹脂材料Rを供給する。樹脂封止品収納装置7は、搬送装置8から回収した樹脂封止品Mを収納する。
【0020】
図示した例では、樹脂封止装置1が二台のプレス装置6を備えている。プレス装置6の台数は図示した例に限定されず、適宜変更してもよい。図示した例では、ワーク供給装置2、プレス装置6及び樹脂封止品収納装置7が左右方向に並べて配置され、樹脂供給装置3、フィルム供給装置4及び機能部材供給装置5が前後方向に並べて配置されている。樹脂封止装置1の配置は、図示した例に限定されず、適宜変更してもよい。
【0021】
樹脂封止装置1は、搬送装置8に機能部材Hを供給する機能部材供給装置5を備えていてもよい。樹脂封止品Mは、放熱効率を高めるヒートスプレッダ、電磁ノイズを遮蔽するシールド板、シート状に形成された樹脂材料等の機能部材Hを含んでいてもよい。
【0022】
搬送装置8は、例えば、左右方向に延在する第1リニアコンベヤ81、前後方向に延在する第2リニアコンベヤ82、第1リニアコンベヤ81に沿って移動可能なプリヒータ83及びパレット84、第2リニアコンベヤ82に沿って移動可能なレジンローダ85、各々のプレス装置6に隣接して配置されたプレスローダ86等を備えている。一台のプレスローダ86が複数のプレス装置6の間を移動可能に構成してもよい。
【0023】
第1リニアコンベヤ81は、ワーク供給装置2、プレス装置6及び樹脂封止品収納装置7の間を接続するように敷設されている。第2リニアコンベヤ82は、第1リニアコンベヤ81と立体交差し、樹脂供給装置3、フィルム供給装置4及び機能部材供給装置5の間を接続するように敷設されている。搬送装置8の構成は図示した例に限定されず、適宜変更してもよい。
【0024】
プレスローダ86は、樹脂封止金型60内に進退可能なローダハンド88を用い、樹脂封止金型60内にワークWを供給し、樹脂封止金型60内から樹脂封止品Mを回収する。プレスローダ86は、ローダハンド88に加え、ピックアンドプレイス装置87(図9参照)を更に備えている。
【0025】
ピックアンドプレイス装置87は、プリヒータ83からワークWを受け取ってローダハンド88に引き渡し、ローダハンド88から樹脂封止品Mを受け取ってパレット84に引き渡す。ピックアンドプレイス装置87は、ワークWの上下の向きを反転させる機能を有していてもよい。ピックアンドプレイス装置87を反転機構として用いる場合については、後述する第1実施形態で詳しく説明する。
【0026】
プリヒータ83は、ワーク供給装置2とプレスローダ86との間で第1リニアコンベヤ81の上を往復移動してワークWを搬送する。プリヒータ83は、ワークWを加熱する機能を有していてもよい。パレット84は、プレスローダ86と樹脂封止品収納装置7との間で第1リニアコンベヤ81の上を往復移動して樹脂封止品Mを搬送する。パレット84は、樹脂封止品Mを冷却する機能を有していてもよい。パレット84を省略し、プリヒータ83が第1リニアコンベヤ81の上を往復移動して樹脂封止品Mを搬送するように構成してもよい。
【0027】
第2リニアコンベヤ82は、昇降路に沿ってレジンローダ85を上下方向に昇降させ、昇降路を中心にしてレジンローダ85を水平方向に旋回させるエレベーション機構を備えている。レジンローダ85は、樹脂封止金型60内に進退可能なローダハンドを備え、旋回してプレス装置6に隣接した位置に移動したとき樹脂材料R及び使用前のリリースフィルムFを樹脂封止金型60に供給する。
【0028】
フィルム供給装置4は、プレス装置6を挟むように配置された巻出しローラと巻取りローラとの間でリリースフィルムFを切れ目なくロールトゥロールで搬送する。フィルム供給装置4は、巻出しローラから使用前のリリースフィルムFを樹脂封止金型60内に供給し、樹脂封止金型60内から使用済みのリリースフィルムFを巻取りローラに回収する。
【0029】
リリースフィルムFは、樹脂封止金型60から離型しやすいポリテトラフルオロエチレン樹脂等の樹脂材料で形成されている。フィルム供給装置4は、一回分ずつ切断された枚葉状のリリースフィルムFを供給してもよい。その場合、上型62と下型61との間の空間に進退可能なローダハンド88によって樹脂封止金型60内にリリースフィルムFを供給し、樹脂封止金型60内から使用済みのリリースフィルムFを回収してもよい。
【0030】
樹脂供給装置3は、レジンローダ85の上に樹脂材料Rを供給する。樹脂材料Rの一例は、エポキシ系熱硬化性樹脂等の熱硬化性樹脂である。樹脂供給装置3は、例えば、顆粒状や粉末状の樹脂材料Rを貯留するホッパ30、ホッパ30から投下された樹脂材料Rを均一な高さに均す加振装置31等を備えている。樹脂供給装置3は、シート状に形成された樹脂材料Rを供給してもよい。
【0031】
ワーク供給装置2は、例えば、ワークWが収納されている供給マガジン20、プッシャ等により供給マガジン20から一枚ずつ押し出されたワークWをプリヒータ83の上に載置して整列させるワークインデックス装置21等を備えている。ワークインデックス装置21は、供給マガジン20から供給されたワークWの移動方向を規制する供給レール22(図6参照)、供給レール22の上のワークWを持ち上げてプリヒータ83の上に載置する供給ピックアンドプレイス装置23(図7参照)等を備えている。
【0032】
供給ピックアンドプレイス装置23は、ワークWの上下の向きを反転させる機能を有していてもよい。供給ピックアンドプレイス装置23を反転機構として用いる場合については、後述する第2実施形態で詳しく説明する。
【0033】
樹脂封止品収納装置7は、樹脂封止品Mを収納する収納マガジン70、パレット84から受け取った樹脂封止品Mを整列させて収納マガジン70に引き渡す樹脂封止品インデックス装置71等を備えている。樹脂封止品インデックス装置71は、収納マガジン70に収納される樹脂封止品Mの移動方向を規制する収納レール72(図21参照)、パレット84の上の樹脂封止品Mを持ち上げて収納レール72の上に載置する収納ピックアンドプレイス装置73(図20参照)等を備えている。
【0034】
収納ピックアンドプレイス装置73は、樹脂封止品Mの上下の向きを反転させる機能を有していてもよい。収納ピックアンドプレイス装置73を反転機構として用いる場合については、後述する第3実施形態で詳しく説明する。
【0035】
図2は、図1に示された樹脂封止金型60の一例を示す断面図である。樹脂封止金型60に供給されるワークWは、例えば、半導体素子が装着されたリードフレーム、半導体素子が装着されたインタポーザ基板、半導体素子が一時的に貼合された粘着シート付きキャリアプレート等であって、基材Sと、該基材Sに取り付けられた半導体素子、MEMSチップ、電子デバイス等の微小な電子部品Eとで構成されている。
【0036】
ワークWは、同じ種類の複数の電子部品Eを基材Sに取り付けたワークWであってもよいし、異なる種類の電子部品Eを混在させて基材Sに取り付けたワークWであってもよい。基材Sは、電子部品Bが実装されている第1面Aと、第1面Aとは反対側の面であって電子部品Eが実装されていない第2面Bと、を有している。
【0037】
図2に示すように、樹脂封止金型60は、互いに対向する上型62及び下型61で構成されている。上型62に対向する下型61の上側には、樹脂材料Rを賦形するキャビティ凹部63が形成されている。下型61に対向する上型62の下側は、略平坦に形成されている。樹脂封止金型60は、キャビティ凹部63に供給された樹脂材料RによってワークWの第1面Aに実装された電子部品Eを樹脂封止する(モールド成形)。成形後の樹脂材料Rには、キャビティ凹部63の形状が転写される。
【0038】
下型61は、下側取付板610、キャビティ駒611、クランパ612等で構成されている。下側取付板610は、略平板に形成され、プレス装置6の固定盤又は可動盤に取り付けられる。キャビティ駒611は、略平板に形成され、下側取付板610に固定されている。クランパ612は、付勢部材613を介して下側取付板610に固定され、キャビティ駒611を囲繞している。下型61を構成する下側取付板610、キャビティ駒611、クランパ612等の各々には、空気を排出するエアベント614が形成されている。
【0039】
上型62は、上側取付板620、上側型板621等で構成されている。上側取付板620は、略平板に形成され、プレス装置6の可動盤又は固定盤に取り付けられる。上側型板621は、略平板に形成され、上側取付板620に固定されている。図示した例では、上型62が、空気を排出するエアベント、ワークWを挟持するチャック等を省略した簡素な構造に形成されている。
【0040】
図示した例では、樹脂封止金型60にワークWを位置決めするガイドピン64,65が設けられている。下型61に設けられた複数のガイドピン64は、前述したローダハンド88がワークWを下型61の上に載置するとき、ワークWを所定の位置に案内する。複数のガイドピン64は、所定の位置に載置されたワークWを囲繞するように配置されている。各々のガイドピン64は、テーパ状に形成され、下方に向かうに従い所定の位置に載置されたワークWとの隙間が小さくなるように傾斜している。
【0041】
上型62に設けられた複数のガイドピン65の各々は、下方に向かって突出している。各々のガイドピン65は、上型62と下型61とを閉じて樹脂封止金型60を型締めしたとき、ワークWの基材Sに形成されたガイド孔に挿通されてワークWの移動を規制する。
【0042】
図3は、本発明の樹脂封止方法の一例に含まれる工程を示すフローチャートである。図4は、本発明の樹脂封止方法の他の一例に含まれる工程を示すフローチャートである。図3に示された樹脂封止の工程s110,210と図4に示された樹脂封止の工程s110,310とは連続していてもよい。
【0043】
図3に示された工程s100,s200では、図1に示されたレジンローダ85が樹脂供給装置3からプレス装置6まで樹脂材料Rを搬送し、樹脂封止金型60内に進退可能なローダハンドを用いてキャビティ凹部63に樹脂材料Rを供給する。工程s101~118については、後述する第1実施形態で詳しく説明する。工程s201~210については、後述する第2実施形態で詳しく説明する。工程s310~s318については、後述する第3実施形態で詳しく説明する。
【0044】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法の一例について、図3から図22を参照して説明する。第1実施形態の樹脂封止装置1は、ローダハンド88等と組み合わされてプレスローダ86を構成するピックアンドプレイス装置87をワークWや樹脂封止装置Mの上下の向きを反転させる反転機構として用いる。
【0045】
図5に示すように、前工程から搬入された供給マガジン20には、第1面Aが上向きのワークWが収納されている(工程s101)。図6に示すように、供給マガジン20から第1面Aが上向きのままワークWを供給し、ワークインデックス装置21の供給レール22の上に載置する(工程s102)。
【0046】
図7に示すように、供給レール22の上に載置された第1面Aが上向きのワークWをワークインデックス装置21の供給ピックアンドプレイス装置23によって持ち上げ(工程s103)、図8に示すように、プリヒータ83の上に載置する(工程s104)。プリヒータ83の上に載置された第1面Aが上向きのワークWは、凹凸のある第1面Aではなく平坦な第2面Bからヒータによって加熱される。
【0047】
図9に示すように、第1リニアコンベヤ81に沿って移動するプリヒータ83によってワークWをプレスローダ86の近傍まで搬送し、プレスローダ86に付設されたピックアンドプレイス装置87を用いて第1面Aが上向きのワークWを持ち上げる(工程s105)。図10に示すように、ピックアンドプレイス装置87によってワークWの上下の向きを反転させる(工程s106)。
【0048】
図11に示すように、上型62と下型61との間の空間から退避しているローダハンド88に第1面Aが下向きのワークWを供給する(工程s107)。図12に示すように、上型62と下型61との間の空間にローダハンド88を進入させ、ワークWを搬入する(工程s108)。図13に示すように、ローダハンド88が第1面Aが下向きのワークWを下型61の上に載置することにより、キャビティ凹部63に供給された樹脂材料RとワークWの電子部品Eとを対向させる(工程s109)。
【0049】
図14に示すように、上型62と下型61とを閉じて樹脂封止金型60を型締めし、キャビティ凹部63に供給された樹脂材料RによってワークWの電子部品Eを樹脂封止する(工程s110)。図15に示すように、上型62と下型61とを開いて樹脂封止金型60を型開きし、第1面Aが下向きで下型61の上に載置された樹脂封止品Mを得る(工程s111)。
【0050】
図16に示すように、上型62と下型61との間の空間にローダハンド88を進入させ、樹脂封止品Mを搬出する(工程s112)。図17に示すように、上型62と下型61との間の空間から退避させたローダハンド88から第1面Aが下向きの樹脂封止品Mをピックアンドプレイス装置87が回収する(工程s113)。図18に示すように、ピックアンドプレイス装置87によって樹脂封止品Mの上下の向きを反転させる(工程s114)。
【0051】
図19に示すように、第1面Aが上向きの樹脂封止品Mをパレット84の上に載置する(工程s115)。図20に示すように、第1リニアコンベヤ81に沿って移動するパレット84によって樹脂封止品Mを樹脂封止品収納装置7まで搬送し、樹脂封止品インデックス装置71の収納ピックアンドプレイス装置73を用いて第1面Aが上向きの樹脂封止品Mを持ち上げる(工程s116)。図21に示すように、第1面Aが上向きの樹脂封止品インデックス装置71の収納レール72の上に載置する(工程s117)。図22に示すように、収納レール72に整列された樹脂封止品Mは、第1面Aが上向きのまま収納マガジン70に収納される(工程s118)。
【0052】
第1実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法s100~s110,s110~s118によれば、第1面Aが下向きになるようにワークWを反転させ、第1面Aが上向きになるように樹脂封止品Mを反転させるため、下型61にキャビティ凹部63が形成された樹脂封止金型を用いても、供給マガジン20や収納マガジン70を反転させる必要がない。ワークWや樹脂封止品Mに衝撃を与えるおそれがある手順を減らすことができる。ローダハンド88が上型62ではなく下型61にワークWを供給する構成に好適であるため、ワークWを挟持するチャック等を省略して上型62を簡素な構造にできる。
【0053】
プリヒータ83が凹凸のある第1面Aではなく平坦な第2面BからワークWを加熱するため、均一に加熱されたワークWをローダハンド88に供給することができる。ピックアンドプレイス装置87を用いてワークWや樹脂封止品Mの上下の向きを反転させる反転機構を構成しているため、ワークWや樹脂封止品Mを反転させる機能のみの専用装置を樹脂封止装置1に増設する必要がない。反転機構の追加にともなうコストや占有スペースの増大を最小限にできる。
【0054】
続いて本発明の第2及び第3実施形態の樹脂封止装置1の一例及び該装置を用いた樹脂封止方法の一例について説明する。なお、第2及び第3実施形態では第1実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0055】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法の一例について、図3及び図23から図27を参照して説明する。第2実施形態の樹脂封止装置1は、ローダハンド88等と組み合わされてプレスローダ86を構成するピックアンドプレイス装置87ではなく、供給レール22等と組み合わされて図1に示されたワークインデックス装置21を構成する供給ピックアンドプレイス装置23をワークWの上下の向きを反転させる反転機構として用いる点が第1実施形態と異なる。
【0056】
本発明の第2実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法は、図24に示すように、前工程から搬入された供給マガジン20に第1面Aが上向きのワークWが収納されている(工程s201)。図25に示すように、供給マガジン20から第1面Aが上向きのままワークWを供給し、ワークインデックス装置21の供給レール22の上に載置する(工程s202)。
【0057】
図26に示すように、ワークインデックス装置21の供給ピックアンドプレイス装置23を用いて供給レール22の上に載置された第1面Aが上向きのワークWを持ち上げる(工程s203-1)。図27に示すように、供給ピックアンドプレイス装置23によってワークWの上下の向きを反転させ、(工程s203-2)。図28に示すように、第1面Aが下向きのワークWをプリヒータ83の上に載置する(工程s204)。
【0058】
供給レール22及び供給ピックアンドプレイス装置23の少なくとも一方は、ワークWを加熱する第2のプリヒータとしての機能を有していてもよい。プリヒータ83が平坦な第2面Bではなく凹凸のある第1面AからワークWを加熱するものの、第2のプリヒータとして機能するワークインデックス装置21が第2面BからワークWを加熱するため、均一に加熱されたワークWをローダハンド88に供給することができる。
【0059】
その後、図11から図14に示された第1実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法と同様にして、下型61にキャビティ凹部63が形成された樹脂封止金型60を用いてワークWを樹脂封止する。
【0060】
詳しく述べると、ピックアンドプレイス装置87を用いてプリヒータ83の上から第1面Aが下向きのワークWを受け取り、ローダハンド88に供給する(工程s207)。ローダハンド88を上型62と下型61との間の空間に進出させ(工程s208)、キャビティ凹部63に供給された樹脂材料RとワークWの電子部品Eとを対向させる(工程s209)。樹脂材料Rによって電子部品Eを樹脂封止する(工程s210)。
【0061】
第2実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法s200~s210によれば、第1実施形態と同様に、下型61にキャビティ凹部63が形成された樹脂封止金型60を用いても、供給マガジン20を反転させる必要がない。ワークWに衝撃を与えるおそれがある手順を減らし、配線の変形等を未然に防ぐことができる。
【0062】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法の一例について、図4及び図28から図32を参照して説明する。第3実施形態の樹脂封止装置1は、ローダハンド88等と組み合わされてプレスローダ86を構成するピックアンドプレイス装置87ではなく、収納レール72等と組み合わされて図1に示された樹脂封止品インデックス装置71を構成する収納ピックアンドプレイス装置73をワークWの上下の向きを反転させる反転機構として用いる点が第1実施形態と異なる。
【0063】
本発明の第3実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法は、図14から図17に示された第1実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法と同様にして、下型61にキャビティ凹部63が形成された樹脂封止金型60から第1面Aが下向きの樹脂封止品Mを搬出する。
【0064】
詳しく述べると、キャビティ凹部63に供給された樹脂材料RによってワークWの電子部品Eを樹脂封止し(図14参照)、第1面Aが下向きで下型61の上に載置された樹脂封止品Mを得る(図15参照)。第1面Aが下向きの樹脂封止品Mをローダハンド88によって搬出し(図16参照)、第1面Aが下向きの樹脂封止品Mをローダハンド88からピックアンドプレイス装置87が回収する(図17参照)。
【0065】
その後、図28に示すように、第1面Aが下向きの樹脂封止品Mをピックアンドプレイス装置87がパレット84の上に載置する(工程s315)。図29に示すように、第1リニアコンベヤ81に沿って移動するパレット84によって樹脂封止品Mを樹脂封止品収納装置7まで搬送し、樹脂封止品インデックス装置71の収納ピックアンドプレイス装置73を用いて第1面Aが下向きの樹脂封止品Mを持ち上げる(工程s316-1)。
【0066】
図30に示すように、収納ピックアンドプレイス装置73によって樹脂封止品Mの上下の向きを反転させ(工程s316-2)、第1面Aが上向きの樹脂封止品インデックス装置71の収納レール72の上に載置する(工程s317)。図22に示すように、収納レール72に整列された樹脂封止品Mは、第1面Aが上向きのまま収納マガジン70に収納される(工程s318)。
【0067】
第3実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法s310~s318によれば、第1実施形態と同様に、下型61にキャビティ凹部63が形成された樹脂封止金型60を用いても、収納マガジン70を反転させる必要がない。樹脂封止品Mに衝撃を与えるおそれがある手順を減らすことができる。
【0068】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0069】
[付記1]
樹脂封止装置1は、基材S及び電子部品Eを含むワークWの電子部品Eを樹脂封止した樹脂封止品Mを製造する。樹脂封止装置1は、上型62と上型62に対向する側にキャビティ凹部63が形成された下型61とを含む樹脂封止金型60と、上型62と下型61との間の空間に進入可能に構成され、かつ、当該空間から退避可能に構成されたローダハンド88と、ワークWを供給する供給マガジン20と、ワークWの上下の向きを反転させる反転機構87,23,…と、を備えている。樹脂封止金型60は、キャビティ凹部63に供給された樹脂材料によって電子部品Eを樹脂封止する。供給マガジン20は、電子部品Eが実装された第1面Aが上向きになるようにワークWを供給する。反転機構87,23,…は、第1面Aが下向きになるようにワークWを反転させる。ローダハンド88は、基材Sの第1面Aが下向きのワークWを下型61に供給することにより、キャビティ凹部63に供給された樹脂材料Rと電子部品Eとを対向させる。
【0070】
[付記6]
樹脂封止方法s100~s110,s200~210は、基材S及び電子部品Eを含むワークWの電子部品Eを樹脂封止する樹脂封止方法であって、上型62と上型62に対向する側にキャビティ凹部63が形成された下型61とを含む樹脂封止金型60のキャビティ凹部63に樹脂材料Rを供給すること(工程s100,s200)、電子部品Eが実装された第1面Aが上向きになるように供給されたワークWを基材Sの第1面Aが下向きになるように反転させること(工程106,s203-2)、上型62と下型61との間の空間に進入可能に構成され、かつ、当該空間から退避可能に構成されたローダハンド88に対し、第1面Aが下向きのワークWを供給すること(工程s107,s207)、ローダハンド88が下型61にワークWを供給することにより、キャビティ凹部63に供給された樹脂材料Rと電子部品Eとを対向させること(工程s109,s209)、並びに、樹脂材料Rによって電子部品Eを樹脂封止すること(工程s110,s210)、を含んでいる。
【0071】
上記付記1及び6によれば、第1面Aが下向きになるようにワークWを反転させるため、下型61にキャビティ凹部63が形成された樹脂封止金型60を用い、供給マガジン20を反転させる必要がない樹脂封止装置1及び樹脂封止方法s100~s110,s200~210,…を提供することができる。ワークWに衝撃を与えるおそれがある手順を減らし、配線の変形等を未然に防ぐことができる。供給マガジン20を反転させる際に第1面Aから落下して第2面Bに付着する塵埃を低減できるため、ローダハンド88が上型62ではなく下型61にワークWを供給する構成にとりわけ好適であり、ワークWを挟持するチャック等を省略して上型62を簡素な構造にできる。
【0072】
[付記2]
上記付記1において、第1面Aが上向きのワークWを第1面Aとは反対側にある基材の第2面Bから加熱するプリヒータ83を更に備えていてもよい。反転機構87は、プリヒータ83からワークWを受け取り、第1面Aが下向きになるようにワークWを反転させてからローダハンド88に供給してもよい。
であってもよい。
【0073】
上記付記2によれば、プリヒータ83が凹凸のある第1面Aではなく平坦な第2面BからワークWを加熱するため、均一に加熱されたワークWをローダハンド88に供給することができる。プリヒータ83からワークWを持ち上げてローダハンド88に供給するピックアンドプレイス装置87を用いてワークWの上下の向きを反転させる反転機構87として構成できる。ワークWを反転させる機能のみの専用装置を樹脂封止装置に増設する必要がない。反転機構87,23,…の追加にともなうコストや占有スペースの増大を最小限にできる。
【0074】
[付記3]
上記付記2において、樹脂封止品Mを収納する収納マガジン70と、樹脂封止品Mを収納マガジン70まで搬送するパレット84と、を更に備えていてもよい。ローダハンド88は、第1面Aが下向きの樹脂封止品Mを下型61から回収し、反転機構87は、第1面Aが上向きになるように反転させてから樹脂封止品Mをパレット84に載置し、収納マガジン70は、第1面Aが上向きの樹脂封止品Mを収納してもよい。
【0075】
上記付記3によれば、第1面Aが上向きになるように樹脂封止品Mを反転させるため、下型61にキャビティ凹部63が形成された樹脂封止金型60を用い、収納マガジン70を反転させる必要がない樹脂封止装置1及び樹脂封止方法s110~118,…を提供することができる。
【0076】
[付記4]
上記付記1において、ワークWをローダハンド88まで搬送するプリヒータ83を更に備えていてもよい。反転機構23は、供給マガジン20からワークWを受け取り、第1面Aが下向きになるようにワークWを反転させてからプリヒータ83に載置してもよい。
【0077】
上記付記4によれば、供給マガジン20から供給されたワークWを持ち上げてプリヒータ83に載置するワークインデックス装置21の供給ピックアンドプレイス装置23を用いてワークWの上下の向きを反転させる反転機構23として構成できる。ワークWを反転させる機能のみの専用装置を樹脂封止装置1に増設する必要がない。反転機構87,23,…の追加にともなうコストや占有スペースの増大を最小限にできる。
【0078】
[付記5]
上記付記4において、反転機構23は、第1面Aとは反対側にある基材Sの第2面BからワークWを加熱する機能を有していてもよい。
【0079】
上記付記5によれば、プリヒータ83が平坦な第2面Bではなく凹凸のある第1面AからワークWを加熱するものの、ワークインデックス装置21が第2のプリヒータとして機能し、第2面BからワークWを加熱するため、均一に加熱されたワークWをローダハンド88に供給することができる。
【0080】
[付記7]
樹脂封止装置1は、基材S及び電子部品Eを含むワークWの電子部品Eを樹脂封止した樹脂封止品Mを製造する。樹脂封止装置1は、上型62と上型62に対向する側にキャビティ凹部63が形成された下型61とを含む樹脂封止金型60と、上型62と下型61との間の空間に進入可能に構成され、かつ、当該空間から退避可能に構成されたローダハンド88と、樹脂封止品Mを収納する収納マガジン70と、樹脂封止品Mの上下の向きを反転させる反転機構87,73,…と、を備えている。樹脂封止金型60は、キャビティ凹部63に供給された樹脂材料Rによって電子部品Eを樹脂封止する。ローダハンド88は、電子部品Eが実装された第1面Aが下向きのワークWを下型61に供給し、かつ、基材Sの第1面Aが下向きの樹脂封止品Mを下型61から回収する。反転機構87,73,…は、第1面Aが上向きになるように樹脂封止品Mを反転させる。収納マガジン70は、第1面Aが上向きの樹脂封止品Mを収納する。
【0081】
上記付記7によれば、第1面Aが上向きになるように樹脂封止品Mを反転させるため、下型61にキャビティ凹部63が形成された樹脂封止金型60を用い、収納マガジン70を反転させる必要がない樹脂封止装置1及び樹脂封止方法s110~118,s310~318を提供することができる。ローダハンド88が上型62ではなく下型61にワークWを供給するため、ワークWを挟持するチャック等を省略して上型62を簡素な構造にできる。
【符号の説明】
【0082】
1…樹脂封止装置、2…ワーク供給装置、3…樹脂供給装置、4…フィルム供給装置、5…機能部材供給装置、6…プレス装置、7…樹脂封止品収納装置、8…搬送装置、20…供給マガジン、21…ワークインデックス装置、22…供給レール、23…供給ピックアンドプレイス装置(反転機構の一例)、30…ホッパ、31…加振装置、60…樹脂封止金型、61…下型、62…上型、63…キャビティ凹部、64,65…ガイドピン、70…収納マガジン、71…樹脂封止品インデックス装置、72…収納レール、73…収納ピックアンドプレイス装置(反転機構の一例)、81…第1リニアコンベヤ、82…第2リニアコンベヤ、83…プリヒータ、84…パレット、85…レジンローダ、86…プレスローダ、87…ピックアンドプレイス装置(反転機構の一例)、88…ローダハンド、610…下側取付板、611…キャビティ駒、612…クランパ、613…付勢部材、614…エアベント、620…上側取付板、621…上側型板、E…電子部品、F…リリースフィルム、H…機能部材、M…樹脂封止品、R…樹脂材料、S…基材、A…第1面、B…第2面、s100~s110,s110~s118,s200~s210,s310~s318…樹脂封止方法、W…ワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
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