(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067423
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】バッテリーパックの車載載造
(51)【国際特許分類】
H01M 10/658 20140101AFI20240510BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240510BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240510BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20240510BHJP
B60K 11/06 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
H01M10/658
H01M10/625
H01M10/613
B60K1/04 Z ZHV
B60K11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177481
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】茂田 佑樹
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
5H031
【Fターム(参考)】
3D038AA09
3D038AB01
3D038AC04
3D235AA01
3D235BB04
3D235CC15
3D235DD35
3D235FF12
3D235HH07
3D235HH44
5H031HH08
5H031KK02
(57)【要約】
【課題】バッテリーパック4の空冷性能の低下を抑制しつつ、外部火炎に対するバッテリーパック4の断熱性能を向上させる。
【解決手段】バッテリーパック4の車載構造は、フロアパネル3と、フロアパネル3の下方に配置されるバッテリーパック4とを備える。フロアパネル3に対向するバッテリーパック4の表面上及びバッテリーパック4に対向するフロアパネル3の表面上の少なくとも一方に熱膨張断熱材40を配置している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアパネルと、
前記フロアパネルの下方に所定の空間を有して配置されるバッテリーパックと、を備え、
前記フロアパネルに対向する前記バッテリーパックの表面上及び前記バッテリーパックに対向する前記フロアパネルの表面上の少なくとも一方に熱膨張断熱材を配置し、
前記熱膨張断熱材と前記熱膨張断熱材が形成されていない前記フロアパネルの表面との間、前記熱膨張断熱材と前記熱膨張断熱材が形成されていない前記バッテリーパックの表面との間、又は前記フロアパネルの表面及び前記バッテリーパックの表面の双方に配置された前記熱膨張断熱材の間に空隙が形成されているバッテリーパックの車載構造。
【請求項2】
前記熱膨張断熱材は、熱が加えられた場合には膨張して前記空隙を塞ぐ請求項1に記載のバッテリーパックの車載構造。
【請求項3】
前記熱膨張断熱材は、膨張黒鉛から形成されている請求項1に記載のバッテリーパックの車載構造。
【請求項4】
車両上方から見た時に、前記熱膨張断熱材は、前記バッテリーパックの外縁部及び前記外縁部に対向するフロアパネルの表面の少なくとも一方に配置されている請求項1に記載のバッテリーパックの車載構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーパックの車載構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車体床部の下側に配置されたバッテリーモジュールと車体床部との隙間に走行風を導入することによりバッテリーモジュールを冷却するバッテリー冷却構造が知られている(特許文献1参照)。特許文献1では、隙間に導入する走行風が、モジュールの外装部材(ケース)の上壁部に当たることにより、上壁部を介してバッテリーモジュールの熱を放散している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、外的要因で道路上に火炎が発生した際に、車体床部とバッテリーモジュールとの隙間に高温の空気が回り込む。そして、バッテリーモジュールの外装部材(ケース)の上壁部を介してバッテリーモジュールに熱が伝わってしまう。
【0005】
本発明の目的は、バッテリーパックの空冷性能の低下を抑制しつつ、外部火炎に対するバッテリーパックの断熱性能を向上させるバッテリーパックの車載構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、車両のフロアパネルと、フロアパネルの下方に配置されるバッテリーパックとを備えるバッテリーパックの車載構造である。フロアパネルに対向するバッテリーパックの表面上及びバッテリーパックに対向するフロアパネルの表面上の少なくとも一方に熱膨張断熱材を配置している。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、バッテリーパックの空冷性能の低下を抑制しつつ、外部火炎に対するバッテリーパックの断熱性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るバッテリーパックの車載構造の全体を示す図であり、車両1のフロアパネル3の下方に配置されたバッテリーパック4を示す側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るバッテリーパック4を左前上方から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示したバッテリーパック4の構造を表す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2のA-A切断面に沿ったバッテリーパック4とフロアパネル3と熱膨張断熱材40とを示す、模式的断面図である。
【
図5A】
図5Aは、
図2のA-A切断面に沿ってバッテリーパック4の左側端部を拡大した断面図であって、フロアパネル3の表面上に熱膨張断熱材40が配置された変形例を示す。
【
図5B】
図5Bは、
図4のバッテリーパック4の左側端部に配置された膨張後の熱膨張断熱材40(断熱層41)がバッテリーパック4とフロアパネル3との間の空間6を塞いでいる様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係るバッテリーパックの車載構造について説明する。
図1は、実施形態に係るバッテリーパック4の車載構造の全体を示す図であり、車両1のフロアパネル3の下方に配置されたバッテリーパック4を示す側面図、
図2は、実施形態に係るバッテリーパック4を左前上方から見た斜視図、
図3は、
図2に示したバッテリーパック3の構造を表す分解斜視図である。なお、各図中のFR、RRは車両の前後方向の前方、後方を、LH、RHは車両の左右方向の左方、右方を、UP、DNは車両の上下方向の上方、下方をそれぞれ示す。なお、以下の説明では、車両の前後方向の前方、後方、車両の左右方向の左方、右方、車両の上下方向の上方、下方を、それぞれ「車両前方」、「車両後方」、「車両左方」、「車両右方」、「車両上方」、「車両下方」と称することとする。また、同一の機能を有する部位に関しては同一の符号を付し、重複する場合はその説明を省略する。
【0010】
実施形態に係るバッテリーパックの車載構造は、特に限定はされないが、一例として、電気自動車(EV)の車両駆動用バッテリーパックの車載構造に適用される。電気自動車の他に、ガソリンハイブリッド車、燃料電池ハイブリッド車が備えるバッテリーパックに適用することも可能である。
【0011】
実施形態に係るバッテリーの車載載造は、
図1に示すように、車両1のフロアパネル3と、フロアパネル3の車両下方DNに配置されたバッテリーパック4とを有する。バッテリーパック4は、車両1に搭載され、フロアパネル3と路面5との間に位置している。
図1には、一例として、フロアパネル3のうち、車両1のダッシュパネル下端から後部座席足元までのフロントフロアパネル3a、及び後部座席下のシートバン部分のセンターフロアパネル3bの車両下方DNに配置されたバッテリーパック4を示す。バッテリーパック4は、車両1の前輪と後輪の間のフロアパネル3の車両下方DNに配置されている。フロアパネル3とバッテリーパック4との間に空間6が形成されている。車両1が走行中に車両前方FRから受ける走行風Wの一部は、空間6内に流入し、空間6を前後方向に通過し、車両後方RHから流出する。このように、空間6を流れる走行風Wにより、バッテリーパック4は空冷性能を有する。左右方向(RH/LH)の全面において所定の空間6が形成されていてもよいし、左右方向(RH/LH)の一部分において空間6が形成されていても構わない。
図1は側面図であるため車両1の前後方向(FR/RR)に流れる走行風Wを示すが、空間6を流れる走行風Wの一部が、車両1の側方すなわち左右方向から流入し又は流出しても構わない。バッテリーパック4のうち、センターフロアパネル3bに対応する部分4bの上下方向の寸法が、フロントフロアパネル3aに対向する部分4aよりも大きい。これにより、バッテリーパック4の外形を、フロアパネル3の底面の形状に沿わせることができ、バッテリーパック4とフロアパネル3との間の広い領域において、上下方向の幅が一定の空間6を形成することができる。なお、バッテリーパック4の形状は
図1に示す形状に限定されず、バッテリーパック4が搭載される車両1の位置に応じて適宜の形状にすることができる。本実施形態のバッテリーパック4は、例えば車両1の床裏のフロアパネル3に至るほぼ全面に搭載するものであるため、車両1の床裏全面に配置するのに好ましい扁平形状とされている。
【0012】
図2及び
図3に示すように、バッテリーパック4は、バッテリー20と、その内部にバッテリー20を収納する筐体10とを備える。筐体10は、方形箱形の中空部材であり、バッテリーパック4の外装を成す。筐体10は、全体として車両1の上下方向の寸法が車両1の前後方向又は車両の左右方向の寸法に比べて小さい扁平形状を有する。筐体10のうちのセンターフロアパネル3bに対向する部分の上下方向の寸法が、フロントフロアパネル3aに対向する部分よりも大きい。これにより、バッテリーパック4の外形を、フロアパネル3の底面の形状に沿わせることができ、バッテリーパック4とフロアパネル3との間の広い領域において、上下方向の幅が一定の空間6を形成することができる。なお、車両1の上下方向から見た時の筐体10の外周部分には、複数のブラケット16が機械的に接続されていてもよい。この場合、バッテリーパック4は、複数のブラケット16を介して車両1の骨格に固定される。
【0013】
バッテリー20は、例えば、複数の電池モジュール20からなる。この場合、筐体10の形状は、電池モジュール20の数、形状、寸法、及び筐体10内での配置に応じて、適宜変更可能である。電池モジュール20は、例えば、複数の扁平形状の電池セル(図示しない)が積層されたモジュール部品であってもよい。電池セルは、例えば、正極板と負極板とをセパレータを介して積層し、電解質とともにアルミニウム等の材質から成る外装部材で封止して構成される、リチウムイオン二次電池等である。バッテリー20の構成は、特に限定されるものではなく、例えば鉛蓄電池等や燃料電池等の電池であってもよい。
【0014】
筐体10は、アッパーケース11とロアケース12とを有する。アッパーケース11及びロアケース12は、アルミニウム材や鋼材などの金属材料により構成されている。アッパーケース11は、金属材料に限らず、樹脂材料で形成していてもよく、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)により形成してもよい。ロアケース12は、車両1の上方側が開口した箱形の部材である。ロアケース12の底部には、アルミニウム材や鋼材などの金属材料により構成された複数のクロスメンバ17が、車両の左右方向及び前後方向に延在して配設されている。複数のクロスメンバ17は、ロアケース12内部を仕切る壁を構成している。複数のクロスメンバ17により、ロアケース12の強度が増し、ロアケース12が複数の収容室に画成される。この画成された収容室に、複数の電池モジュール20が車両の左右方向及び前後方向に沿って配設されている。特に限定はされないが、
図3に示す例では、ロアケース12に設けられた5本のクロスメンバ17により、車両の前後方向及び左右方向においてロアケース12が9つの収納室に区切られ、ここに各電池モジュール20が配設されている。ロアケース12の車両後方RR側の収納室には、上下2段に積まれた電池モジュール20が収納されている。
図3示したクロスメンバ17によるロアケース12の区切り形態は、一例であって特に限定されるものではなく、電池モジュール20の形状や数量、配置に応じて適宜変更可能である。
【0015】
図3に示すように、アッパーケース11は、本体部11aと本体部11aの外周をとり囲むフランジ部11bとを備える。アッパーケース11のフランジ部11bとロアケース12の周縁部は、図示しない締結具により締結される。なお、アッパーケース11とロアケース12との周縁接触部には、ゴム材質のシール部材を介在してもよい。アッパーケース11の車両上方UP側の表面は、フロアパネル3の車両下方DN側の表面に対向する。アッパーケース11の車両上方UP側の表面とフロアパネル3の車両下方DN側の表面との間に空間6が形成される。
図2及び
図3に示す例では、センターフロアパネル3bに対向するアッパーケース11の表面11abが、フロントフロアパネル3aに対向するアッパーケース11の表面11aaよりも、車両上方UP側に位置している。アッパーケース11の形状は、フロントフロアパネル3a及びセンターフロアパネル2bに沿った形状である。これにより、アッパーケース11の車両上方UP側の表面の形状を、フロアパネル3の車両下方DN側の表面の形状に沿わせることができる。バッテリーパック4とフロアパネル3との間の広い領域において、上下方向の幅が一定の空間6を形成することができる。なお、アッパーケース11の段差形状を利用して、上下2段に積まれた電池モジュール20を筐体10内に収納している。
【0016】
図4は、
図2のA-A切断面に沿ったバッテリーパック4とフロアパネル3と熱膨張断熱材40とを示す模式的断面図である。実施形態に係るバッテリーパック4の車載構造は、フロアパネル3とバッテリーパック4(11、12、20)との間に配置された熱膨張断熱材40を更に有する。熱膨張断熱材40は、シート状、フィルム状、又は板状の形状を有し、フロアパネル3とバッテリーパック4との間に形成されている空間6の上下方向(UP/DN)の一部分を占有する。換言すれば、熱膨張断熱材40の上下方向の寸法は、空間6の上下方向(UP/DN)の寸法よりも小さい。よって、
図1に示した走行風Wは空間6に流入し、空間6から流出することができるので、バッテリーパック4の空冷性能の低下は抑制される。
【0017】
熱膨張断熱材40は、熱が加えられた場合にはその熱を吸収して膨張する性質を備える。
図5Bに示すように、路面5上に発生した火炎18等による外部からの熱30が熱膨張断熱材40に加えられた場合、熱膨張断熱材40は熱30を吸収して膨張する。膨張後の熱膨張断熱材40を、断熱層41と呼ぶ。熱膨張断熱材40が少なくとも上下方向(UP/DN)に膨張することにより、断熱層41が占める空間6の割合が増加する。すなわち、断熱層41によって空間6が上下方向に狭められるため、断熱層41よりも内側の空間60へ熱30が侵入し難くなる。これにより、空間60及びアッパーケース11を介して筐体10内の電池モジュール20が加熱されることを抑制することができる。よって、バッテリーパック4の空冷性能の低下を抑制しつつ、外部火炎に対するバッテリーパック4の断熱性能を向上させることができる。
【0018】
熱膨張断熱材40が少なくとも上下方向(UP/DN)に膨張して、断熱層41が空間6を塞ぐことにより、断熱層41よりも内側の空間60へ熱30が更に侵入し難くなる。これにより、空間60及びアッパーケース11を介して筐体10内の電池モジュール20が加熱されることを更に抑制することができる。よって、バッテリーパック4の空冷性能の低下を抑制しつつ、外部火炎に対するバッテリーパック4の断熱性能を更に向上させることができる。
【0019】
熱膨張断熱材40は、例えば、膨張黒鉛から形成されている。膨張黒鉛は、高い熱膨張性及び難燃性を有する材料である。膨張黒鉛は、例えば、鱗片状黒鉛の粉末を硫酸、又は硝酸等の無機酸で処理し、さらに濃硝酸、塩素酸カリウム等の酸化剤で処理することにより、炭素結晶の層間に硫酸などの反応分子が保持させた層間化合物であり、結晶全体として炭素結晶の層が積層した層状構造をとる。膨張黒鉛の形状は特に限定されるものではなく、粉末状、鱗片状、又は粒子状あってもよい。このようにして得られた膨張黒鉛は、加熱されると結晶層間の反応分子がガス化し、その圧力によって結晶層の積層方向において数十乃至数百倍に膨張し、繊維状の形態となる性質を有する。
【0020】
膨張黒鉛は、例えば、粉末状の膨張黒鉛を添加した溶融状態の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を金型内に注入し、冷却することにより得てもよい。このようにして得られた膨張黒鉛は、板状やシート状等の厚みを有する。
【0021】
膨張黒鉛は、断熱層41へ変化すると、膨張黒鉛の繊維状の部分が互いにもつれ合い、膨張黒鉛同士の間に複数の空気層を形成することができる。このようにして形成された熱伝導率が小さい空気層と、膨張黒鉛層とが交互に配置されることによって高い断熱性を有する。
【0022】
図2及び
図3に示したように、熱膨張断熱材40は、例えば、バッテリーパック4の外縁部に配置してもよい。なお、バッテリーパック4の外縁部とは、バッテリーパック4を上下方向(UP/DN)から見た時の外縁部である。例えば、アッパーケース11の本体部11aの外縁部に沿って配置してもよい。さらに、バッテリーパック4の外縁部全体を取り囲むように連続して配置さしてもよいし、バッテリーパック4の外縁部の一部分だけに配置しても構わない。熱膨張断熱材40の位置は、バッテリーパック4の外縁部に限らない。例えば、筐体10内の一部の領域にだけ電池モジュール20が配置されている場合、上下方向(UP/DN)から見た時に当該一部の領域を取り囲むように熱膨張断熱材40を配置してもよい。これにより、筐体10内の電池モジュール20が加熱されることを抑制できる。
【0023】
図4に示したように、熱膨張断熱材40は、フロアパネル3に対向するバッテリーパック4の表面上に配置してもよい。フロアパネル3に対向するバッテリーパック4の表面とは、フロアパネル3に対向するアッパーケース11の表面である。
図5Aに示すように、熱膨張断熱材40は、バッテリーパック4に対向するフロアパネル3の表面上に配置してもよい。或いは、互いに対向するバッテリーパック4の表面及びフロアパネル3の表面の双方に熱膨張断熱材40を配置しても構わない。いずれの場合であっても、
図5Bに示したように、断熱層41は、上下方向に膨張して空間6を塞ぐことができる。
【0024】
熱膨張断熱材40は、フロアパネル3、バッテリーパック4、或いはその両方の表面に一体成形する製法(樹脂-金属一体成形法)にて形成することができる。この製法に限定されるものではなく、リベットやボルト等の締結具により締結、或いは接着剤等により接着してもよい。
【0025】
熱膨張断熱材40は、膨張黒鉛から形成されていてもよい。これにより、熱膨張断熱材40は数十乃至数百倍に膨張して空間6を塞ぐことができる。
【0026】
上下方向(UP/DN)から見た時に、熱膨張断熱材40は、バッテリーパック4の外縁部及びバッテリーパック4の外縁部に対向するフロアパネル3の表面の少なくとも一方に配置されていてもよい。これにより、断熱層41よりも内側の空間6への熱の侵入が抑制され、空間6及びアッパーケース11を介して、筐体10内の電池モジュール20が加熱されることを抑制できる。
【0027】
熱膨張断熱材40は、フロアパネル3に対向するバッテリーパック4の表面上及びバッテリーパック4に対向するフロアパネル3の表面上の少なくとも一方に配置すればよい。熱膨張断熱材40と熱膨張断熱材40が形成されていないフロアパネル4の表面との間、熱膨張断熱材40と熱膨張断熱材40が形成されていないバッテリーパック4の表面との間、又はフロアパネル3の表面及びバッテリーパック4の表面の双方に配置された熱膨張断熱材40の間に空隙が形成されている。これにより、
図5Bに示したように、熱膨張断熱材40は、膨張して空隙を小さくする、又は空隙を塞ぐことができる。
【0028】
また、実施形態では、フロアパネル3はバッテリーパック4の形状に略沿った形状を有しているが、この構成に限定されるものではなく、バッテリーパック4の形状に略沿った形状を有していなくてもよい。
【0029】
本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0030】
図2及び
図3では、熱膨張断熱材40が、フロアパネル3に対して上下方向(UP/DN)に対向するバッテリーパック4の表面上に配置されている例を示した。これに限らず、熱膨張断熱材40は、フロアパネル3に対して上下方向(UP/DN)以外の方向に対向するバッテリーパックの表面上に配置されていてもよい。例えば、
図2のアッパーケース11の表面11aaと表面11abの段差部にあるアッパーケース11の横壁に、熱膨張断熱材40が配置されていても構わない。横壁に配置された熱膨張断熱材40は、空間6の前後方向(FR/RR)の一部を占有し、少なくとも前後方向(FR/RR)に膨張することで空間6が狭まる、或いは空間6が塞がれる。これにより、外部火炎に対するバッテリーパック4の断熱性能を更に向上させることができる。なお、フロアパネル3が車両下方に延在している程度においてはロアケース12の横壁に配置される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 車両
3 フロアパネル
4 バッテリーパック
6 空間
20 バッテリー
40 熱膨張断熱材