(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067430
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】ランバーサポート、及び、椅子
(51)【国際特許分類】
A47C 7/46 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
A47C7/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177494
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】三瓶 雅春
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 新平
【テーマコード(参考)】
3B084
【Fターム(参考)】
3B084HA02
3B084HA06
(57)【要約】
【課題】上下方向の端縁が背凭れの背面荷重受け部の前面に強く接触するのを抑制して、円滑な位置調整の実現と、位置調整時における異音の発生防止を図ることができるランバーサポート、及び、椅子を提供する。
【解決手段】ランバーサポートは、椅子の背凭れの背面荷重受け部の前方に上下方向に位置調整可能に配置される。ランバーサポートは、ランバーサポート本体201と、変形許容部と、を備える。ランバーサポート本体201は、椅子幅方向と直交する断面形状が前方に凸の湾曲形状である。変形許容部は、ランバーサポート本体201の上下の少なくとも一方の端縁に設けられ、背面荷重受け部の前面と当接することによって弾性変形する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子の背凭れの背面荷重受け部の前方に上下方向に位置調整可能に配置されるランバーサポートであって、
椅子幅方向と直交する断面形状が前方に凸の湾曲形状であるランバーサポート本体と、
前記ランバーサポート本体の上下の少なくとも一方の端縁に設けられ、前記背面荷重受け部の前面と当接することによって弾性変形する変形許容部と、を備えていることを特徴とするランバーサポート。
【請求項2】
前記変形許容部は、上下方向の調整位置に拘らず前記背面荷重受け部の前面に常時当接していることを特徴とする請求項1に記載のランバーサポート。
【請求項3】
前記変形許容部は、前記ランバーサポート本体の上下の少なくとも一方の端縁から、前記ランバーサポート本体の椅子幅方向の幅よりも狭い幅で前記背面荷重受け部の前面に対向する側に延びる延出片によって構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のランバーサポート。
【請求項4】
前記延出片は、椅子幅方向と直交する断面において、後方側に向かって凸に湾曲する部分を有することを特徴とする請求項3に記載のランバーサポート。
【請求項5】
前記延出片は、
前記ランバーサポート本体に連設される延出基部と、
前記延出基部から前記背面荷重受け部の前面に向かって当該前面と傾斜するように延出する第1可撓部と、
前記第1可撓部の延出端に連設され、前記背面荷重受け部の前面に当接可能な当接面を有する第2可撓部と、を備え、
前記第2可撓部は、
前記背面荷重受け部の前面に対向し、当該前面に面接触可能な略平坦部と、
前記略平坦部と前記第1可撓部の間に位置され、前記略平坦部から前記第1可撓部に向かって前方に湾曲する湾曲部と、を備えていることを特徴とする請求項3に記載のランバーサポート。
【請求項6】
前記変形許容部は、前記背面荷重受け部の前面に当接した状態で、前記ランバーサポート本体の前面に作用する後方荷重に応じて前後方向に圧縮変形するばね機能部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のランバーサポート。
【請求項7】
前記ランバーサポート本体の上下の少なくとも一方の端縁には、椅子幅方向に離間して一対のスリットが設けられ、一対の前記スリットに挟まれた舌片部が前記変形許容部を構成していることを特徴とする請求項1または2に記載のランバーサポート。
【請求項8】
着座者の背部を支持する背凭れを備えた椅子であって、
前記背凭れは、
着座者の背部からの入力荷重を受け止める背面荷重受け部と、
前記背面荷重受け部の前方に上下方向に位置調整可能に配置されるランバーサポートと、を備え、
前記ランバーサポートは、
椅子幅方向と直交する断面形状が前方に凸の湾曲形状であるランバーサポート本体と、
前記ランバーサポート本体の上下の少なくとも一方の端縁に設けられ、前記背面荷重受け部の前面と当接することによって弾性変形する変形許容部と、を備えていることを特徴とする椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座者の腰部を支持するランバーサポート、及び、そのランバーサポートを備えた椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
椅子の背凭れの前面側に配置され、着座者の腰部を支持するランバーサポートが知られている。着座者の腰部の高さや支えたい腰位置は人によって異なる。このため、多くのランバーサポートは、背凭れ本体に対して上下方向に位置調整が可能とされている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のランバーサポートは、着座者の腰部を支持するランバーサポート本体の背面側に、後方側に突出する複数のガイド突起が突設されている。ランバーサポート本体は、上下方向の中央領域が前方側に膨出する湾曲形状に形成されている。背凭れの背凭れシェル(背面荷重受け部)の前面には、上下方向に略沿って延びる複数の支持枠が設けられ、その各支持枠にランバーサポート側のガイド突起が上下方向に摺動可能に支持されている。また、ランバーサポート本体は、背凭れシェルの背部に配置された昇降操作部によって上下方向に位置調整可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のランバーサポートは、ランバーサポート本体の背面から後方に突出するガイド突起が、背凭れシェル(背面荷重受け部)の前面に設けられた縦長の支持枠によって上下方向に移動可能に支持されている。一方、ランバーサポート本体の上下の縁部は後方側に向かって湾曲し、その端部が背凭れシェル(背面荷重受け部)の前面に対向している。そして、ランバーサポート本体の上下の端縁と背凭れシェルの前面との間には微少な隙間が確保されている。
【0006】
このため、例えば、ランバーサポートと背凭れシェルの前面側を覆う張材の張力がランバーサポートの前面側に作用した状態で、ランバーサポートを上下に位置調整しようとすると、ランバーサポート本体の上下の端縁が背凭れシェルの前面に強く接触することがある。この場合、ランバーサポート本体の端縁と背凭れシェルの前面の間の接触抵抗によってランバーサポートの円滑な位置調整が妨げられたり、調整操作時に異音を発生したりする不都合が生じ易い。
【0007】
そこで本発明は、上下方向の端縁が背凭れの背面荷重受け部の前面に強く接触するのを抑制して、円滑な位置調整の実現と、位置調整時における異音の発生防止を図ることができるランバーサポート、及び、椅子を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るランバーサポート、及び、椅子は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
本発明に係るランバーサポートは、椅子の背凭れの背面荷重受け部の前方に上下方向に位置調整可能に配置されるランバーサポートであって、椅子幅方向と直交する断面形状が前方に凸の湾曲形状であるランバーサポート本体と、前記ランバーサポート本体の上下の少なくとも一方の端縁に設けられ、前記背面荷重受け部の前面と当接することによって弾性変形する変形許容部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
上記の構成により、ランバーサポートの位置調整時に、変形許容部が背面荷重受け部の前面に当接すると、変形許容部が変形することによって当接部への荷重集中が緩和される。この結果、上下方向の端縁が背面荷重受け部の前面に強く接触するのを抑制される。
【0010】
前記変形許容部は、上下方向の調整位置に拘らず前記背面荷重受け部の前面に常時当接するようにしても良い。
【0011】
この場合、ランバーサポートが上下方向のどの位置にあっても、変形許容部が背面荷重受け部の前面に当接することになる。このため、着座者の腰部からランバーサポートに荷重が入力されたときに、ランバーサポートが背面荷重受け部の前面に対して大きく位置ずれしにくくなる。したがって、本構成を採用した場合には、使用時におけるランバーサポートの挙動を安定させることができる。また、変形許容部が背面荷重受け部の前面に常時当接することにより、ランバーサポートの挙動を安定させることができるため、ランバーサポートの支持構造を簡素化し、背凭れの構造の複雑・大型化を回避することができる。
【0012】
前記変形許容部は、前記ランバーサポート本体の上下の少なくとも一方の端縁から、前記ランバーサポート本体の椅子幅方向の幅よりも狭い幅で前記背面荷重受け部の前面に対向する側に延びる延出片によって構成されるようにしても良い。
【0013】
この場合、変形許容部が背面荷重受け部の前面に押し付けられると、幅の狭い延出片が容易に変形し、背面荷重受け部との当接部への荷重集中が緩和される。また、幅の狭い延出片が背面荷重受け部の前面に当接することになるため、背面荷重受け部の前面との摩擦抵抗が小さくなる。このため、ランバーサポートの位置調整時には、ランバーサポートが円滑に作動し、異音の発生も防止される。
【0014】
前記延出片は、椅子幅方向と直交する断面において、後方側に向かって凸に湾曲する部分を有することが望ましい。
【0015】
この場合、変形許容部である延出片が背面荷重受け部の前面に押し付けられると、延出片の湾曲部分が容易に変形し、背面荷重受け部との当接部への荷重集中がより緩和される。
【0016】
前記延出片は、前記ランバーサポート本体に連設される延出基部と、前記延出基部から前記背面荷重受け部の前面に向かって当該前面と傾斜するように延出する第1可撓部と、前記第1可撓部の延出端に連設され、前記背面荷重受け部の前面に当接可能な当接面を有する第2可撓部と、を備え、前記第2可撓部は、前記背面荷重受け部の前面に対向し、当該前面に面接触可能な略平坦部と、前記略平坦部と前記第1可撓部の間に位置され、前記略平坦部から前記第1可撓部に向かって前方に湾曲する湾曲部と、を備えるようにしても良い。
【0017】
この場合、着座者の腰部からランバーサポート本体に荷重が入力されると、第2可撓部の当接面が背面荷重受け部の前面に当接し、その状態において第1可撓部が撓み変形するようになる。第2可撓部は、荷重の入力初期には略平坦部で背面荷重受け部の前面に当接しているが、荷重入力が進むと、第1可撓部の撓み変形に伴って略平坦部の先端側が背面荷重受け面の前面から離間し、湾曲部が背面荷重受け部の前面に当接するようになる。荷重の入力初期には、背面荷重受け部の前面に対して略平坦部が面接触することにより、当接部への荷重集中が緩和される。荷重入力が進むと、略平坦部の先端側が背面荷重受け部の前面から離間し、湾曲部が背面荷重受け部の前面上を滑り動くようになる。このとき、湾曲部は、背面荷重受け部の前面に対して線接触状態で円滑に滑り動くため、第1可撓部と第2可撓部は、所望通りに容易に撓み変形するようになる。この結果、着座時に着座者の腰部がスムーズに沈み込み、着座者の腰部がランバーサポートによって快適に支持される。また、沈み込みに伴う異音の発生も抑制される。
【0018】
前記変形許容部は、前記背面荷重受け部の前面に当接した状態で、前記ランバーサポート本体の前面に作用する後方荷重に応じて前後方向に圧縮変形するばね機能部を備えるようにしても良い。
【0019】
この場合、変形許容部が背面荷重受け部の前面に押し付けられると、ばね機能部が前後方向に圧縮変形することにより、背面荷重受け部との当接部への荷重集中が緩和される。このため、ランバーサポートの位置調整時には、ランバーサポートが円滑に作動し、異音の発生も防止される。
また、着座者の腰部からランバーサポート本体に荷重が入力されたときには、ばね機能部の機能により、着座者の腰部がスムーズに沈みこみ、着座者の腰部がランバーサポートによって快適に支持されるようになる。
【0020】
前記ランバーサポート本体の上下の少なくとも一方の端縁には、椅子幅方向に離間して一対のスリットが設けられ、一対の前記スリットに挟まれた舌片部が前記変形許容部を構成するようにしても良い。
【0021】
この場合、ランバーサポートが背面荷重受け部の前面に押し付けられると、一対のスリットに挟まれた舌片部が、スリットの外側領域によって動きを拘束されずに容易に変形するようになる。このため、背面荷重受け部との当接部への荷重集中を緩和することが可能になる。この結果、ランバーサポートの位置調整時には、ランバーサポートが円滑に作動し、異音の発生も防止される。
【0022】
また、本発明に係る椅子は、着座者の背部を支持する背凭れを備えた椅子であって、前記背凭れは、着座者の背部からの入力荷重を受け止める背面荷重受け部と、前記背面荷重受け部の前方に上下方向に位置調整可能に配置されるランバーサポートと、を備え、前記ランバーサポートは、椅子幅方向と直交する断面形状が前方に凸の湾曲形状であるランバーサポート本体と、前記ランバーサポート本体の上下の少なくとも一方の端縁に設けられ、前記背面荷重受け部の前面と当接することによって弾性変形する変形許容部と、を備えていることを特徴とする。
【0023】
上記の構成により、ランバーサポートの位置調整時に、変形許容部が背面荷重受け部の前面に当接すると、変形許容部が変形することによって当接部への荷重集中が緩和される。この結果、ランバーサポートの上下方向の端縁が背面荷重受け部の前面に強く接触するのを抑制される。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るランバーサポート、及び、椅子は、ランバーサポートの位置調整時に、変形許容部が変形することによって背面荷重受け部との当接部への荷重集中が緩和される。このため、ランバーサポートの上下方向の端縁が背面荷重受け部の前面に強く接触するのを抑制することができる。したがって、本発明に係るランバーサポートや椅子を採用した場合には、ランバーサポートの円滑な位置調整の実現と、位置調整時における異音の発生防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図6】実施形態の背凭れ本体に対する係止部材の係止状態を示す断面図。
【
図9】実施形態の表皮材の側部開口を正面側から見た図。
【
図10】実施形態の表皮材の側部開口を側面側から見た図。
【
図12】実施形態のランバーサポートを背面側から見た斜視図と、実施形態の背凭れ本体の一部の正面図を併せて記載した図。
【
図13】実施形態の背凭れの
図2のXIII-XIII線に沿う断面図。
【
図14】実施形態のランバーサポートの荷重入力時における挙動を示す斜視図。
【
図15】他の実施形態のランバーサポートを正面側から見た斜視図。
【
図16】他の実施形態のランバーサポートを背面側から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明においては、椅子1に正規姿勢で着座した人の正面が向く側を「前」と呼び、それと逆側を「後」と呼ぶものとする。また、「上」,「下」と「左」,「右」については、椅子1に正規姿勢で着座した人の上方を「上」、それと逆側を「下」と呼び、椅子1に正規姿勢で着座した人の左側方を「左」、それと逆側を「右」と呼ぶものとする。また、以下では、椅子1の左右方向のことを「椅子幅方向」と呼ぶことがある。
なお、各図の適所には、上方を指す矢印UPと、前方を指す矢印FRと、左側方を指す矢印LHが記されている。
【0027】
図1は、本実施形態の椅子1を正面側から見た斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の椅子1は、フロア上に載置される脚部2と、脚部2の上端に設置されるボックス状の支基3と、着座者が着座する座体4と、支基3の上面に取り付けられ座体4を支持する座受部材5と、座体4に着座した着座者の背中を支持する背凭れ6と、座体4に着座した着座者の肘を支持する肘掛け8と、を備えている。
【0028】
脚部2は、キャスタ2a付きの多岐脚11と、多岐脚11の中央部より起立し昇降機構であるガススプリングを内蔵する脚柱12と、を備える。脚柱12の上端部には、支基3が水平方向に回転可能に取り付けられている。支基3には、脚柱12の昇降機構と背凭れ6の傾動機構とが内蔵されている。なお、符号13は、支基3の側面に突設された傾動機構の操作ノブである。また、符号14は、座体4の前部領域を前後方向に伸縮調整するためのスライダである。
【0029】
背凭れ6は、背凭れ本体20と、背凭れ本体20の外側を覆う袋状の表皮材100と、を備えている。表皮材100は、下部開口101と、一対の側部開口102と、を有する。表皮材100は、後述する背凭れ本体20(
図2参照)に、下部開口101を通して背凭れ本体20の上端部から被せられている。表皮材100の一対の側部開口102からは、背凭れ本体20の前方に配置されたランバーサポート200の操作部202が外部に露出している。着座者は、操作部202を把持してランバーサポート200(
図2参照)を上下方向に位置調整することができる。
【0030】
図2は、本実施形態の椅子1の正面図である。なお、
図2においては、視認性を向上させるため、座体4の表皮材4a及びクッション材、背凭れ6の表皮材100及びクッション材を取り外している。
図2に示すように、背凭れ6は、背凭れ6の骨格を成す樹脂成形された背凭れ本体20(背面荷重受け部)と、背凭れ本体20を後側から支持する背凭れ支持部材30と、を備えている。なお、
図2に示す符号15は、支基3内の昇降機構を操作するための操作レバーである。
【0031】
背凭れ本体20は、
図2に示す正面視で、四隅が丸みを帯びた略長方形状とされている。背凭れ本体20は、背凭れ本体20の外形を形成する枠部21と、枠部21の内側においてスリット23を介して分離された複数の帯状部22と、枠部21の内側において左右の帯状部22の間に配置された柱状部24と、を備えている。帯状部22を分離するスリット23は、第1スリット23aと、第2スリット23bと、第3スリット23cと、を含んでいる。
【0032】
第2スリット23bは、柱状部24の左側の第1スリット23aから左右方向外側に延在すると共に、柱状部24の右側の第1スリット23aから左右方向外側に延在している。第2スリット23bは、上下の帯状部22を分離しているスリットである。第2スリット23bは、上下方向に間隔をあけて複数段形成されている。これにより、枠部21の内側には、左右一対の帯状部22が多段で形成されている。
【0033】
第3スリット23cは、第2スリット23bの左右方向外側の端部から、第2スリット23bと交差する方向に延在している。第3スリット23cは、第2スリット23bに対してL字状に屈曲し、枠部21と帯状部22との接続幅を、帯状部22の上下方向の幅よりも狭くしている。これにより、個々の帯状部22が、枠部21に対して個別に弾性変形し易くなり、着座者の体格に対する追従性が向上する。
【0034】
背凭れ本体20は、着座者から荷重を受ける湾曲した受面20aを有している。受面20aは、平面視で後方に凸となる湾曲形状を成している。背凭れ支持部材30は、背凭れ本体20を裏側から支持している。背凭れ支持部材30は、上下方向に延びる柱状に形成され、背凭れ本体20の左右方向の中央部を支持している。背凭れ支持部材30の下端部は、支基3内の傾動機構に連結されている。
【0035】
背凭れ支持部材30は、背凭れ本体20の帯状部22の左右方向内側の端部を、後述する被支持部52を介して支持している。背凭れ支持部材30の上端部には、左右方向両側に延びて背凭れ本体20の上端部を支持する上端支持部31が設けられている。上端支持部31は、左右方向に延びる板状に形成されている。背凭れ支持部材30は、背凭れ本体20と、ボルト等の固定部材32を介して複数箇所で固定されている。
【0036】
背凭れ本体20は、背凭れ支持部材30に支持されていない左右方向両側の自由端部51と、自由端部51よりも左右方向内側において、背凭れ支持部材30に支持される被支持部52と、を備えている。自由端部51及び被支持部52は、背凭れ本体20が着座者の背部から受けた荷重に応じて、受面20aの曲率半径を変更する湾曲形状変更手段を構成している。
【0037】
自由端部51は、枠部21の左右方向両側の端部によって形成されている。被支持部52は、左右の帯状部22の左右方向内側の端部によって形成されている。被支持部52は、背凭れ支持部材30に形成された軸受部によって、上下方向に延びる回動軸回りに枢支される枢支軸(不図示)を備えている。
【0038】
着座者が、背凭れ6に後方側に荷重をかけると、その荷重に応じて、背凭れ支持部材30に固定されない背凭れ本体20の左右方向外側の自由端部51が、背凭れ本体20の左右方向内側の被支持部52を支点として、後方に弾性変位する。背凭れ本体20の自由端部51が後方に弾性変位すると、受面20aの曲率半径が変更される。そして、後方に弾性変位した自由端部51は、背凭れ本体20自体の復元力によって、弾性変位前の初期状態に戻ろうとする。これが付勢手段となり、自由端部51が初期状態へ向けて戻ろうとすることで、着座者から受ける荷重と付勢手段の付勢力との相殺状態を作り、多様な体格の着座者にフィット感を与えることができる湾曲形状を形成することができる。
【0039】
上記構成の背凭れ6には、表皮材100(
図2において不図示)の係止部材130と、着座者の腰部を後方から支持するランバーサポート200が取り付けられている。
【0040】
図3は、
図2に示す領域Aの拡大図である。また、
図4は、
図2に示す領域Aの裏面側の拡大図である。なお、
図3及び
図4においては、理解を容易にするためにランバーサポート200を取り外している。
図5は、係止部材130の斜視図である。
図6は、背凭れ本体20に対する係止部材130の係止状態を示す断面図である。
図3及び
図4に示すように、係止部材130は、背凭れ本体20を前後方向に貫通するスリット23(第3スリット23c)に係止される。
【0041】
係止部材130は、
図5示すように、板状部131と、一対の爪部132と、を備えている。板状部131は、上下方向に延在する板状に形成されている。板状部131の前面側の板面には、
図6に示すように、裏側表皮材120が取り付けられている。なお、板状部131への裏側表皮材120の取り付けは、縫合や接着剤による接着等により行うことができる。
【0042】
一対の爪部132は、
図5に示すように、板状部131の上下方向の両端部に連設されている。爪部132は、表側爪部133と、裏側爪部134と、接続部135と、を備えている。表側爪部133は、板状部131から正面視でL字状に屈曲し、左右方向内側に向かって延在している。表側爪部133は、
図3に示すように、背凭れ本体20の前面側(受面20a側)に配置される。
【0043】
裏側爪部134は、
図5に示すように、表側爪部133の後方に配置され、表側爪部133と接続部135を介して前後方向に接続されている。裏側爪部134は、接続部135の後方側の端部から左右両側に延びる板状に形成されている。裏側爪部134の四隅の角部は、
図4に示すように、背凭れ本体20との干渉を避けるために面取りされている。裏側爪部134は、第3スリット23cの背面側の縁部に係止されることにより、背凭れ本体20に対して前方側に抜け規制される。
【0044】
接続部135は、
図5に示すように、前後方向に延び、表側爪部133と裏側爪部134との間を接続する。接続部135には、左右方向外側に窪む複数の肉抜き部135aが形成されている(
図5及び
図6参照)。接続部135は、複数の肉抜き部135aによって複数のリブ状に形成され、軽量化を図りつつも充分な剛性を確保できるようになっている。
【0045】
図7は、表皮材100の表側表皮材110の正面図であり、
図8は、表皮材100の裏側表皮材120の正面図である。
表皮材100は、
図7に示す、背凭れ本体20の正面側に位置する表側表皮材110と、
図8に示す、背凭れ本体20の背面側に位置する裏側表皮材120と、を備えている。なお、表皮材100の材料は、特に限定されず、例えば、織布、不織布、シートでもよく、細かい孔の開いたニット等であってもよい。
【0046】
表側表皮材110は、
図7に示すように、左右方向に延在する上辺部111と、上下方向に延在する一対の側辺部112と、左右方向に延在する下辺部113と、を備えている。また、裏側表皮材120は、
図8に示すように、左右方向に延在する上辺部121と、上下方向に延在する一対の側辺部122と、左右方向に延在する下辺部123と、を備えている。
【0047】
表側表皮材110の上辺部111は、裏側表皮材120の上辺部121と縫合等により接合される。つまり、表皮材100は、上辺部111,121において閉じられる。なお、表側表皮材110の上辺部111は、裏側表皮材120の上辺部121とシームレスに(一体的に)接続されていても構わない。
【0048】
一方、表側表皮材110の下辺部113は、裏側表皮材120の下辺部123と接合されていない。つまり、表側表皮材110の下辺部113と、裏側表皮材120の下辺部123は、表皮材100の下部開口101を形成している。なお、表側表皮材110の下辺部113と裏側表皮材120の下辺部123の左右方向の両端部は、剛性確保のために縫合等により接合されていても構わない。
【0049】
表側表皮材110の一対の側辺部112は、表皮材100の側部開口102を形成する開口形成部112a以外の部分が、裏側表皮材120の一対の側辺部122と縫合等により接合されている。開口形成部112aは、側辺部112の上下方向の中間位置よりやや下側に形成されている。なお、表側表皮材110の一対の側辺部112と、裏側表皮材120の一対の側辺部とは、側部開口102を形成する部位を除いて、シームレスに(一体的に)接続されていても構わない。
【0050】
裏側表皮材120の一対の側辺部112には、係止部材130が取り付けられ、表皮材100の側部開口102から内側に折り返される凸状部122aが設けられている。凸状部122aは、側辺部112の上下方向の中間位置よりやや下側から、左右方向外側に向かって台形状に突出している。凸状部122aは、開口形成部112aと対応する位置に配置されている。
【0051】
凸状部122aの台形状の上底部分には、上述した係止部材130が取り付けられている。裏側表皮材120の一対の側辺部112は、凸状部122a以外の部分が、表側表皮材110の一対の側辺部112と接合されている。
【0052】
本実施形態の表皮材100は、上辺部111,121が接合されると共に、開口形成部112a及び凸状部122a以外の一対の側辺部112,122が接合されることで、下方に開口する袋状に形成されている。つまり、側部開口102は、表側表皮材110と裏側表皮材120とが部分的に離間することによって形成されている。
【0053】
図9は、本実施形態の表皮材100の側部開口102を正面側から見た図である。
図10は、本実施形態の表皮材100の側部開口102を側面側から見た図である。
図9に示すように、表側表皮材110には、側部開口102に沿って、表皮材100の剛性を補強する補強部103が形成されている。表皮材100の側部開口102は、
図10に示すように、上下方向に延びるスリット状に形成されている。裏側表皮材120は、係止部材130が取り付けられた凸状部122aが、側部開口102から表皮材100の内側に折り返されている。裏側表皮材120は、
図6に示すように、表皮材100の内側で係止部材130を介して背凭れ本体20に係止される。
【0054】
後述するランバーサポート200の左右の側端部は、側部開口102から椅子幅方向外側に突出し、その状態で
図10に示すように、表側表皮材110の側部開口102の開口縁(補強部103)を把持する。ランバーサポート200は、この状態において、上下方向に位置調整可能とされている。
【0055】
図11は、ランバーサポート200を正面側から見た斜視図である。
図12は、ランバーサポート200を背面側から見た斜視図と、背凭れ本体20(柱状部24)の一部の正面図を併せて記載した図である。また、
図13は、
図2に示す背凭れ6のXIII-XIII線に沿う断面図である。
本実施形態では、ランバーサポート200は、全体が樹脂によって一体に形成されている。ランバーサポート200は、着座者の腰部を支えるランバーサポート本体201と、ランバーサポート本体201の左右の側部に連設された一対の操作部202と、ランバーサポート本体201の上側の端縁211に延設された上延出片204U(延出片)と、ランバーサポート本体201の下側の端縁212に延設された下延出片204L(延出片)と、を備えている。
【0056】
ランバーサポート200の主要部は、
図2に示すように、背凭れ本体20(柱状部24)の前方に配置されている。より具体的には、ランバーサポート200は、左右の操作部202の一部を除く主要な部分が、背凭れ本体20(柱状部24)の前面(受面20a)と表側表皮材110の裏面との間に配置されている。
【0057】
ランバーサポート本体201は、正面視が椅子幅方向に横長の略長方形状に形成されている。ランバーサポート本体201は、椅子幅方向と直交する断面形状が前方に凸の湾曲形状に形成されている。ランバーサポート本体201の上下方向の中央部213は、ランバーサポート本体201の上下の端縁211,212に対して前方側に膨出している。また、ランバーサポート本体201の前面201aは、椅子幅方向に関しては、中央領域が後方側に緩やかに凸に湾曲している。ランバーサポート本体201は、背凭れ本体20の前面の椅子幅方向の中央領域に配置される。ランバーサポート本体201の前面201aには、表側表皮材110を通して着座者の腰部から荷重が入力される。
【0058】
操作部202は、ランバーサポート本体201の左右の上部位置から椅子幅方向外側に向かって延びる第1接続部221と、第1接続部221の椅子幅方向外側の端部から下方、かつ前方に湾曲して延びる第2接続部222と、第2接続部222の延出端から椅子幅方向内側に屈曲して延びる把持部223と、を備えている。
【0059】
第1接続部221は、背凭れ本体20の受面20a(前面)に略沿って湾曲した帯状に形成されている。第1接続部221は、ランバーサポート本体201の上下方向の中央部213に対して上方側にオフセットした位置から、表皮材100の側部開口102に達する位置まで延びている。第2接続部222は、側部開口102の外側に位置され、表側表皮材110の側部を前方側に回り込んでいる。把持部223は、第2接続部222の前下端から表側表皮材110の前面側に回り込むように椅子幅方向内側に延びている。把持部223は、第1接続部221の椅子幅方向外側端と、第2接続部222とともに平面視が略U字形状を成している。この略U字形状を成す部分は、表側表皮材110の側縁部(補強部103)を把持し、ランバーサポート200を上下方向に位置調整するときには、表側表皮材110の側縁部(補強部103)によって上下方向に案内される。
【0060】
把持部223と第1接続部221の延出端との間の前後幅は、表側表皮材110の側縁部(補強部103)の厚みよりも狭く設定されている。しかし、表側表皮材110の側縁部はある程度の弾性を有するため、表側表皮材110を弾性変形させることによって、把持部223と第1接続部221の間に表側表皮材110の側縁部を挿入することができる。こうして、把持部223と第1接続部221の間に挿入された表側表皮材110は、第2接続部222と把持部223とによって椅子幅方向外側の側縁部を包み込まれる。このとき、ランバーサポート200は、表側表皮材110の側縁部に作用する把持部223と第1接続部221の間の挟持力と、表側表皮材110との接触部の摩擦抵抗によって一定高さに維持される。
なお、ランバーサポート200は、主に、これらの挟持力と摩擦抵抗によって高さを維持されるものであるため、作業者が把持部223の近傍を上下に操作することにより、ランバーサポート200全体の上下位置を調整することができる。
【0061】
また、
図12,
図13に示すように、ランバーサポート本体201の後面には、上下方向に離間して第1ガイドリブ230と第2ガイドリブ231が突設されている。第1ガイドリブ230と第2ガイドリブ231は、いずれも側面視が山形状の板状片によって構成されている。第1ガイドリブ230と第2ガイドリブ231は、ランバーサポート本体201の椅子幅方向の中央位置に、厚み方向が椅子幅方向と合致するように突設されている。下方側の第2ガイドリブ231の頂部近くの側面には、
図12に示すように、抜け規制突起232が突設されている。
【0062】
第1ガイドリブ230の上端部は、ランバーサポート本体201の上側の端縁211よりも上方に位置している。つまり、第1ガイドリブ230は、ランバーサポート本体201の後面と第1延出片204Uの後面とに跨って延在している。第1ガイドリブ230の後方側への突出高さは、突出高さの最も高い頂部から第1延出片204Uの上下方向の略中央位置に向かって漸減している。
【0063】
これに対し、第2ガイドリブ231の下端部は、ランバーサポート本体201の下側の端縁212よりも上方に位置している。つまり、第2ガイドリブ231は、第2延出片204Lに跨ることなくランバーサポート本体201の後面に延在している。第2延出片204Lの後方側への突出高さは、突出高さの最も高い頂部から下側の端縁212の付近に向かって漸減している。
【0064】
また、ランバーサポート本体201の後面の椅子幅方向の中央位置には、第1ガイドリブ230と第2ガイドリブ231を連結する中間リブ229が突設されている。中間リブ229は、ランバーサポート本体201の後面から厚み方向が椅子幅方向と合致するように突出し、第1ガイドリブ230と第2ガイドリブ231を直線状に連結するように上下に延びている。ランバーサポート本体201の後面からの中間リブ229の突出高さは、第1ガイドリブ230や第2ガイドリブ231と比較して充分に低くなっている。第1ガイドリブ230と第2ガイドリブ231は、中間リブ229に向かって突出高さが漸減している。中間リブ229は、上下の第1ガイドリブ230と第2ガイドリブ231とともに、後方側に開口する凹状部234を形成している。
【0065】
図12に示すように、背凭れ本体20の柱状部24の椅子幅方向の中央位置には、スリット33が形成されている。スリット33は、柱状部24を前後に貫通し、かつ、上下方向に沿って直線状に延びている。スリット33には、ランバーサポート200の背部から突出した第1ガイドリブ230と第2ガイドリブ231が挿入される。スリット33の上下方向の長さは、第1ガイドリブ230と第2ガイドリブ231をスリット33に挿入した状態で、ランバーサポート200を規定の距離だけ上下に変位させられる長さに設定されている。第1ガイドリブ230と第2ガイドリブ231は、背凭れ本体20のスリット33によって上下方向と前後方向に摺動可能にガイドされる。ランバーサポート200は、これにより上下方向に移動可能とされるとともに、椅子幅方向の変位を規制される。また、着座者の腰部からランバーサポート本体201に荷重が入力されたときには、第1ガイドリブ230と第2ガイドリブ231がスリット33内を前後に変位することにより、ランバーサポート本体201の上下と前後の撓み変形を許容する。
【0066】
なお、スリット33の上端部には、スリット33の開口幅よりも内径の大きい円形状の挿入ガイド孔34が形成されている。背凭れ本体20のスリット33に、第1ガイドリブ230と第2ガイドリブ231を挿入する際には、最初に、ランバーサポート200を傾けた状態で下部側の第2ガイドリブ231の抜け規制突起232が挿入ガイド孔34を通して背面側に挿通される。この後、第2ガイドリブ231の上下方向の全体がスリット33に挿入され、さらにその後に上部側の第1ガイドリブ230がスリット33に挿入される。これにより、第1ガイドリブ230と第2ガイドリブ231は、スリット33に上下と前後に移動可能にガイドされるとともに、スリット33の前方側への抜けが抜け規制突起232によって規制される。
【0067】
ランバーサポート200の上延出片204Uは、ランバーサポート本体201の上側の端縁211のうちの、椅子幅方向の中央領域に配置されている。上延出片204Uは、ランバーサポート本体201の椅子幅方向の全幅よりも狭い幅で、後部上方側に(背凭れ本体20の柱状部24の前面に対向する側に)向かって延びている。
【0068】
図13に示すように、上延出片204Uは、ランバーサポート本体201に連設される延出基部235と、延出基部235から背凭れ本体20の柱状部24の前面に向かって延びる第1可撓部236と、第1可撓部236の延出端に連設された第2可撓部237と、を備えている。第1可撓部236は、延出基部235から背凭れ本体20(柱状部24)の前面に向かって、当該前面と傾斜するように延びている。本実施形態では、第1可撓部236は、ランバーサポート本体201の上側の端縁211の傾斜角度(鉛直方向に対する傾斜角度)とほぼ同じ角度で後部上方側に延びている。
ただし、第1可撓部236は、背凭れ本体20(柱状部24)の前面と傾斜する角度であれば、ランバーサポート本体201の端縁211の傾斜角度と異なる角度で延出しても良い。また、第1可撓部236には、後方側に向かって凸の緩やかな湾曲があっても良い。
【0069】
第2可撓部237は、背凭れ本体20(柱状部24)の前面に対向し、当該前面に当接可能な略平坦部238と、上下方向で略平坦部238と第1可撓部236の間に位置され、略平坦部238から第1可撓部236に向かって前方に湾曲する湾曲部239と、を備えている。ランバーサポート本体201の前方側から大きな荷重入力のない初期状態では、
図13中の実線で示すように、第2可撓部237は略平坦部238の後面が背凭れ本体20(柱状部24)の前面に当接する。これに対し、着座者の腰部からランバーサポート本体201に大きな荷重入力があると、
図13中の仮想線で示すように、ランバーサポート本体201と上延出片204Uを併せた前後の潰れ変形により、第2可撓部237は略平坦部238の先端側が背凭れ本体20の前面から離間する。こうして、略平坦部238の先端側が背凭れ本体20の前面から離間すると、略平坦部238の付根部側に連設されている湾曲部239の後面が背凭れ本体20(柱状部24)の前面に当接するようになる。
本実施形態では、略平坦部238の後面と湾曲部239の後面が第2可撓部237における当接面240を構成している。
【0070】
また、下延出片204Lは、ランバーサポート本体201の下側の端縁212のうちの、椅子幅方向の中央領域に配置されている。下延出片204Lは、ランバーサポート本体201の椅子幅方向の全幅よりも狭い幅で、後部下方側に(背凭れ本体20の柱状部24の前面に対向する側に)向かって延びている。本実施形態では、下延出片204Lは、ランバーサポート本体201の下側の端縁212から、当該端縁212の傾斜角度(鉛直方向に対する傾斜角度)とほぼ同じ角度で後部下方側に延びている。
ただし、下延出片204Lは、背凭れ本体20(柱状部24)の前面と傾斜する角度であれば、ランバーサポート本体201の端縁212の傾斜角度と異なる角度で延出しても良い。下延出片204Lには、後方側に向かって凸の緩やかな湾曲があっても良い。また、下延出片204Lは、上延出片204Uと同様の第1可撓部236と第2可撓部237を持つ構造としても良い。この場合も、第2可撓部237には、略平坦部238と湾曲部239を設けることが望ましい。
【0071】
本実施形態では、上述した上延出片204Uと下延出片204Lが、背凭れ本体20(背面荷重受け部)の前面に当接することによって弾性変形する変形許容部を構成している。そして、変形許容部である上延出片204Uと下延出片204Lは、背凭れ本体20(背面荷重受け部)の前面に当接した状態で、ランバーサポート本体201の前面に作用する後方荷重に応じて前後方向に圧縮変形するばね機能部も構成している。
変形許容部である上延出片204Uと下延出片204Lは、ランバーサポート200の上下方向の位置調整時に、前後方向の撓み変形を許容しつつ、延出端側が背凭れ本体20(背面荷重受け部)の前面に対して摺接する。つまり、上延出片204Uと下延出片204Lは、背凭れ本体20(背面荷重受け部)の前面との当接部への荷重集中を抑制しつつ、背凭れ本体20(背面荷重受け部)の前面に対して摺接する。
【0072】
また、本実施形態では、ランバーサポート200は、上下方向の調整位置に拘らず、上延出片204Uと下延出片204Lの各後面の一部が背凭れ本体20(背面荷重受け部)の前面に常時当接するように設定される。本実施形態の椅子1は、着座者の腰部からランバーサポート本体201の前面に荷重が入力されていない場合でも、表皮材100(表側表皮材110)の張力がランバーサポート本体201を後方側に押圧するように作用している。このため、上延出片204Uと下延出片204Lの各後面は、この押圧力を受けて背凭れ本体20(背面荷重受け部)の前面に接触している。なお、このとき、上延出片204Uや下延出片204Lは、背凭れ本体20(背面荷重受け部)の前面に接触するだけで撓み変形しなくても良い。
【0073】
図14は、ランバーサポート200の荷重入力時における挙動を示す斜視図である。
着座者の腰部からランバーサポート本体201の前面に荷重が入力されると、ランバーサポート本体201の上下方向の中央部213付近が後方側に押圧される。
ここで、ランバーサポート本体201の後面側で第1ガイドリブ230と第2ガイドリブ231とともに凹状部234を形成する中間リブ229は、後方側への突出高さが低く前後の曲げ剛性が低くなっている。このため、ランバーサポート本体201の椅子幅方向の中央領域は、上下と前後に撓み変形し易い。したがって、ランバーサポート本体201の上下方向の中央部213付近が後方側に押圧されると、ランバーサポート本体201は、
図13中の仮想線で示すように、上下方向の中央領域が偏平になろうとする。
【0074】
また、ランバーサポート本体201の上下方向の中央部213付近が後方側に押圧されると、ランバーサポート本体201は、左右の操作部202を介して表皮材100(表側表皮材110)の側縁部に拘束され、その状態において腰部からの入力加重を受け止める。一方、ランバーサポート本体201の上延出片204Uと下延出片204Lの端部が背凭れ本体20の前面に当接しているため、腰部からランバーサポート本体201に入力される荷重が増大すると、上延出片204Uと下延出片204Lが撓み変形して背凭れ本体20によっても荷重を受け止められる。
【0075】
このとき、第1ガイドリブ230は、ランバーサポート本体201の上部から上延出片204Uの上下方向の中央領域に跨って延在しているため、上延出片204Uは延出基部235だけでなく上下方向の広い範囲が緩やかに撓み変形する。このため、ランバーサポート本体201の上下方向の中央部213付近が後方側に押圧されたときに、上延出片204Uの延出基部235に応力集中が生じるのを抑制される。換言すれば、第1ガイドリブ230は、上延出片204Uの一部に応力が集中するのを抑制する補強部としても機能する。
なお、本実施形態では、下側の第2ガイドリブ231は下延出片204Lに跨らないように設けられているが、下延出片204Lの上下方向の延出長さが長い場合には、下側の第2ガイドリブ231を下延出片204Lに上下方向に跨らせるようにしても良い。この場合、下延出片204Lについても応力集中の発生を抑制することが可能になる。
【0076】
また、着座者の腰部からランバーサポート本体201の前面にさらに大きな荷重が入力されると、左右の第1接続部221の付根部221aの後面が背凭れ本体20の前面に当接し、ランバーサポート本体201の上下の中央部213に入力される荷重を受けて、左右の第1接続部221の先端側が
図14中の矢印に示すように捩じれる。これによって左右の把持部223による表側表皮材110の側縁に対する把持力が増大し、ランバーサポート本体201に作用する支持反力がより増大する。
【0077】
一方、上延出片204Uと下延出片204Lは前後方向の撓み変形が増大し、ランバーサポート本体201は、
図13に示すように、前後方向と上下方向に撓み変形するようになる。このとき、背凭れ本体20から上延出片204Uと下延出片204Lを介してランバーサポート本体201に作用する反力も漸増する。
なお、上延出片204Uは、最初、
図13中の実線で示すように、第2可撓部237の略平坦部238で背凭れ本体20の前面に当接している。しかし、この状態から入力加重が増大すると、
図13中の仮想線で示すように、略平坦部238の先端側が背凭れ本体20の前面から前方側に離間し、第2可撓部237の付根部側の湾曲部239が背凭れ本体20の前面に当接するようになる。
【0078】
<実施形態の効果>
以上のように、本実施形態のランバーサポート200は、ランバーサポート200の上下位置調整時には、変形許容部(上延出片204U、及び、下延出片204L)が変形することによって背凭れ本体20(背面荷重受け部)との当接部への荷重集中が緩和される。このため、ランバーサポート200の上下方向の端縁が背凭れ本体20の前面に強く接触するのを抑制することができる。
したがって、本実施形態のランバーサポート200を採用した場合には、ランバーサポート200の円滑な位置調整の実現と、位置調整時における異音の発生防止を図ることができる。また、本実施形態のランバーサポート200を採用した椅子1においても、同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態では、ランバーサポート本体201の上下の端縁211,212の両方に変形許容部(上延出片204U、及び、下延出片204L)が設けられているが、変形許容部は、上下のいずれか一方の端縁211,212にのみ設けるようにしても良い。また、変形許容部(上延出片204U、及び、下延出片204L)は、着座者の腰部から荷重が入力されないときには、背凭れ本体20の前面に対して非接触状態であっても良い。この場合、ランバーサポート200の位置調整時に、ランバーサポート200が背凭れ本体20の前面方向に押し付けられたときに、変形許容部(上延出片204U、及び、下延出片204L)が背凭れ本体20の前面に当接しさえすれば良い。
【0079】
また、本実施形態のランバーサポート200は、上下方向の調整位置に拘らず、変形許容部(上延出片204U、及び、下延出片204L)が背凭れ本体20の前面に常時当接する構成とされている。このため、ランバーサポート200が上下方向のどの位置にあっても、変形許容部(上延出片204U、及び、下延出片204L)が背凭れ本体20の前面に当接することになる。したがって、着座者の腰部からランバーサポート200に荷重が入力されたときには、ランバーサポート200が背凭れ本体20の前面に対して大きく位置ずれしにくくなり、使用時におけるランバーサポート200の挙動が安定する。
さらに、使用時におけるランバーサポート200の挙動を上記の簡単な構成によって安定させることができるため、ランバーサポート200の支持構造を簡素化し、背凭れ6の構造の複雑・大型化を回避することができる。
【0080】
また、本実施形態のランバーサポート200は、変形許容部が、ランバーサポート本体201の上下の端縁211,212から、ランバーサポート本体201の椅子幅方向の幅よりも狭い幅で延びる上延出片204Uと下延出片204Lによって構成されている。そして、上延出片204Uと下延出片204Lは、背凭れ本体20の前面に対向する側に向かって延出している。このため、ランバーサポート200の位置調整時に、上延出片204Uや下延出片204Lが背凭れ本体20の前面に押し付けられたときには、幅の狭い上延出片204Uや下延出片204Lが容易に撓み変形し、背凭れ本体20との当接部への荷重集中をより緩和することができる。
【0081】
また、本構成では、幅の狭い上延出片204Uと下延出片204Lが背凭れ本体20の前面に当接することになるため、背凭れ本体20の前面との摩擦抵抗が小さくなる。このため、ランバーサポート200の位置調整時には、ランバーサポート200がより円滑に作動し、異音の発生も防止される。
【0082】
特に、本実施形態では、上延出片204Uと下延出片204Lは、ランバーサポート本体201の上下の端縁211,212を上方側と下方側に夫々延長するように形成されているため、ランバーサポート本体201と、上延出片204U及び下延出片204Lを併せた縦断面の上下長さが長くなる。このため、ランバーサポート本体201の上下方向の中央領域に着座者の腰部からの荷重が入力されたときに、上下方向の縦断面の上下長さの長い部分が柔軟に撓み変形し、着座者の腰部がランバーサポート200によってスムーズに受け止められる。この結果、着座者の座り心地が良好になる。
【0083】
さらに、本実施形態のように幅の狭い上延出片204Uと下延出片204Lが椅子幅方向の中央部で背凭れ本体20の前面に当接するようにした場合には、着座者が背凭れ6に凭れたときに、ランバーサポート本体201の椅子幅方向の中央部がより柔軟に後方に変形する。このため、着座者の腰椎部分が背部からランバーサポート本体201によって強く押されなくなり、着座者の座り心地が良好になる。
【0084】
また、本実施形態のランバーサポート200は、上延出片204Uに、後方側に向かって凸に湾曲する部分(例えば、第1可撓部236の湾曲部分や第2可撓部237の湾曲部239)が設けられている。このため、ランバーサポート200の位置調整時に、上延出片204Uが背凭れ本体20の前面に押し付けられたときには、上延出片204Uの湾曲部分が容易に変形し、背凭れ本体20との当接部への荷重集中がより緩和される。
なお、下延出片204Lに、後方側に向かって凸に湾曲する部分を設けた場合にも、同様の効果を得ることができる。上延出片204Uと下延出片204Lの両方に、後方側に向かって凸に湾曲する部分を設けた場合にはより良好な効果を得ることができる。
【0085】
また、本実施形態のランバーサポート200は、上延出片204Uが、ランバーサポート本体201に連設される延出基部235と、延出基部235から背凭れ本体20の前面に向かって当該前面と傾斜するように延出する第1可撓部236と、第1可撓部236の延出端に連設され、背凭れ本体20の前面に当接可能な当接面240を有する第2可撓部237と、を備えている。そして、第2可撓部237は、背凭れ本体20の前面に対向し、当該前面に面接触可能な略平坦部238と、略平坦部238と第1可撓部236の間に位置され、略平坦部238から第1可撓部236に向かって前方に湾曲する湾曲部239と、を備えている。このため、着座者の腰部からランバーサポート本体201に荷重が入力されると、第2可撓部237の当接面240が背凭れ本体20の前面に当接し、その状態において第1可撓部236が撓み変形する。このとき、第2可撓部237は、荷重の入力初期には略平坦部238で背凭れ本体20の前面に当接し、荷重入力が進むと、第1可撓部236の撓み変形に伴って略平坦部238の先端側が背面荷重受け面(背凭れ本体20)の前面から離間し、湾曲部239が背凭れ本体20の前面に当接する。
したがって、本実施形態の場合、荷重の入力初期には、背凭れ本体20の前面に対して略平坦部238が面接触することにより、当接部への荷重集中が緩和される。また、荷重入力が進むと、略平坦部238の先端側が背凭れ本体20の前面から離間し、湾曲部239が背凭れ本体20の前面上を滑り動くようになる。このとき、湾曲部239は、背凭れ本体20の前面に対して線接触状態で円滑に滑り動くため、第1可撓部236と第2可撓部237は、所望通りに容易に撓み変形するようになる。
よって、本構成を採用した場合には、着座時に着座者の腰部がスムーズに沈み込み、着座者の腰部がランバーサポート200によって快適に支持されるようになる。また、沈み込みに伴う異音の発生も抑制される。
【0086】
さらに、本実施形態のランバーサポート200の場合、変形許容部である上延出片204Uや下延出片204Lは、背凭れ本体20の前面に当接した状態で、ランバーサポート本体201の前面に作用する後方荷重に応じて前後方向に圧縮変形するばね機能部を備えたものと言える。このため、ランバーサポート200が背凭れ本体20の前面に押し付けられたときには、ばね機能部が前後方向に圧縮変形することにより、背凭れ本体20との当接部への荷重集中が緩和される。したがって、ランバーサポート200の位置調整時には、ランバーサポート200の作動を円滑にし、異音の発生も効率良く抑制することができる。
また、着座者の腰部からランバーサポート本体201に荷重が入力されたときには、ばね機能部の機能により、着座者の腰部がスムーズに沈みこみ、着座者の腰部がランバーサポート200によって快適に支持されるようになる。
【0087】
<他の実施形態>
図15は、本実施形態のランバーサポート200Aを正面側から見た斜視図であり、
図16は、ランバーサポート200Aを背面側から見た斜視図である。なお、
図15,
図16では、上記の実施形態と共通部分に同一符号を付してある。以下では、上記の実施形態と共通部分については一部説明を省略する。
ランバーサポート200Aは、上記の実施形態と同様に全体が樹脂によって一体に形成されている。ランバーサポート200Aは、着座者の腰部を支えるランバーサポート本体201Aと、ランバーサポート本体201Aの左右の側部に連設された一対の操作部202と、を備えている。一対の操作部202は、上記の実施形態とほぼ同様の構成とされている。ランバーサポート200Aの主要部は、上記の実施形態と同様に背面荷重受け部(背凭れ本体)の前面と表側表皮材の間に配置される。ランバーサポート200Aの左右の操作部202は、上記の実施形態と同様にして表側表皮材の側縁部に係止される。
【0088】
ランバーサポート本体201Aは、正面視が椅子幅方向に横長の略長方形状に形成されている。ランバーサポート本体201Aは、椅子幅方向と直交する断面形状が前方に凸の湾曲形状に形成されている。ランバーサポート本体201Aの上下方向の中央部213は、ランバーサポート本体201Aの上下の端縁211,212に対して前方側に膨出している。
【0089】
ランバーサポート本体201Aの上側の端縁211の中央領域には、椅子幅方向に離間して一対のスリット40が形成されている。スリット40は、上側の端縁211の上端から下方に向かって直線状に延びている。ランバーサポート本体201Aの上側の端縁211のうちの、一対のスリット40に挟まれた領域は撓み変形可能な上舌片部41(舌片部)とされている。同様に、ランバーサポート本体201Aの下側の端縁212の中央領域には、椅子幅方向に離間して一対のスリット45が形成されている。スリット45は、下側の端縁212の下端から上方に向かって直線状に延びている。ランバーサポート本体201Aの下側の端縁212のうちの、一対のスリット45に挟まれた領域は撓み変形可能な下舌片部46(下舌片部)とされている。
本実施形態では、上舌片部41と下舌片部46が変形許容部を構成している。また、本実施形態の場合も、変形許容部である上舌片部41と下舌片部46は、ばね機能部を備えているものと言える。
【0090】
ランバーサポート本体201Aの上舌片部41を含む上側の端縁211には、後方側に向かって凸の湾曲部42が設けられている。上舌片部41の湾曲部42よりも延出端側は、背面荷重受け部(背凭れ本体)の前面に対向する対向部とされている。同様にランバーサポート本体201Aの下舌片部46を含む下側の端縁212には、後方側に向かって凸の湾曲部47が設けられている。下舌片部46の湾曲部47よりも延出端側は、背面荷重受け部の前面に対向する対向部とされている。本実施形態では、各対向部は、背面荷重受け部の前面に常時当接するようになっている。また、各対向部は、背面荷重受け部の前面に対して面接触する。
ただし、対向部は、ランバーサポート本体201Aの前方から荷重が入力されたときにのみ当接するようにしても良い。
【0091】
また、上舌片部41の後面には、第1ガイドリブ230が突設され、下舌片部46の後面には、第2ガイドリブ231が突設されている。第1ガイドリブ230と第2ガイドリブ231は、背凭れ本体に形成されたスリットに挿入される。ランバーサポート200Aは、第1ガイドリブ230と第2ガイドリブ231がスリットにガイドされることにより、椅子幅方向の変位を規制される。
【0092】
<他の実施形態の効果>
本実施形態のランバーサポート200Aは、ランバーサポート200Aの位置調整時に、ランバーサポート本体201Aが背面荷重受け部の前面に押し付けられると、上側の一対のスリット40に挟まれた上舌片部41と、下側の一対のスリット45に挟まれた下舌片部46が容易に撓み変形するようになる。つまり、各舌片部41,46は、スリット40,45の外側領域によって動きを拘束されないため、ランバーサポート本体201Aが背面荷重受け部の前面に押し付けられたときには柔軟に撓み変形する。
したがって、本実施形態のランバーサポート200Aを採用した場合には、ランバーサポート200Aの位置調整時には、ランバーサポート200Aが円滑に作動し、異音の発生も防止される。
本実施形態では、ランバーサポート本体201Aの上下の端縁211,212の両方にスリット40,45が夫々形成されているが、一対のスリットは、上下の端縁211,212のうちのいずれか一方のみに形成するようにしても良い。
【0093】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、背凭れ支持部材30に支持される硬質樹脂製の背凭れ本体20が背面荷重受け部を構成しているが、背面荷重受け部はこれに限定されない。背面荷重受け部は、ランバーサポートの後方側で着座者の背面から荷重を受け止める部材であれば良い。背面荷重受け部は、例えば、背凭れ支持部材と一体の部材であっても良い。
【0094】
また、上記の実施形態では、
図2に示すように、背面荷重受け部が、複数のスリット45によって分離された複数の帯状部22を有する背凭れ本体20によって構成され、背面荷重受け部の前面が複数の帯状部22の前面(受面20a)によって構成されている。しかし、背面荷重受け部とその前面はこの構成に限定されない。例えば、背面荷重受け部は複数の帯状部を備えない板材によって構成し、背面荷重受け部の前面は、その板材のフラットな前面によって構成されるようにしても良い。
【0095】
また、上記の最初の実施形態では、変形許容部である上延出片204Uがランバーサポート本体201の上側の端縁211から後上方に向いて延出しているが、上延出片204Uは、ランバーサポート本体201の上側の端縁211から後下方に向いて延出するようにしても良い。同様に、変形許容部である下延出片204Lは、ランバーサポート本体201の下側の端縁212から後下方ではなく、後上方側に向いて延出するようにしても良い。
【0096】
さらに、上記の最初の実施形態では、上側の第1ガイドリブ230が上延出片204Uに上下方向で跨がるように延在しているが、第1ガイドリブ230は、上延出片204Uに上下方向で跨がらないように(上端部がランバーサポート本体201の端縁211よりも上方に位置されないように)ランバーサポート本体201の後面に設けるようにしても良い。この場合、着座者の腰部からランバーサポート本体201の上下方向の中央付近に荷重が入力されたときに、上延出片204Uの全域がより撓み変形し易くなる。
また、上延出片204Uや下延出片204Lの延出基部への応力集中を軽減する手段としては、上延出片204Uや下延出片204Lの肉厚を、延出方向の先端側に向けて徐々に薄くすることも可能である。
【符号の説明】
【0097】
1…椅子
6…背凭れ
20…背凭れ本体(背面荷重受け部)
40,45…スリット
41…上舌片部(舌片部)
46…下舌片部(舌片部)
200,200A…ランバーサポート
201,201A…ランバーサポート本体
204L…下延出片(延出片、変形許容部)
204U…上延出片(延出片、変形許容部)
211,212…端縁
235…延出基部
236…第1可撓部
237…第2可撓部
238…略平坦部
239…湾曲部
240…当接面