(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067436
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】粘着テープ貼付け装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177501
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】394016601
【氏名又は名称】日東精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】秋月 伸也
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅之
(72)【発明者】
【氏名】村山 聡洋
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA53
5F131CA01
5F131CA08
5F131CA18
5F131CA22
5F131DA13
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131DA42
5F131DA54
5F131DA62
5F131DB22
5F131DB62
5F131DB72
5F131EA07
5F131EA23
5F131EB55
5F131EB78
5F131EB81
5F131EC32
5F131EC33
5F131EC34
5F131EC44
5F131EC53
5F131EC54
5F131EC63
5F131EC64
5F131EC65
5F131EC67
5F131EC68
5F131EC72
5F131EC73
(57)【要約】
【課題】ワークに対してより精度良く粘着テープを貼り付けることができる粘着テープ貼付け装置を提供する。
【解決手段】ワークWに対して粘着テープPTを貼り付ける粘着テープ貼付け装置1について、ワークWの被保持面Wbを保持する保持テーブル13と、保持テーブル13を収納しており、上ハウジング29Bと下ハウジング29Aによって搬送用シートTを挟み込むことによって上空間H2と下空間H1とに区画させるチャンバ29と、上空間H2と下空間H1との間に差圧Gs発生させ、当該差圧Gsで粘着テープPTをワークWに貼り付ける貼付けユニット9と、を備え、保持テーブル13は、剛体で構成されておりワークWを支持するワーク支持部39と、ワークWが傾斜された状態で保持されることを防止する凹部41と、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対して粘着テープを貼り付ける粘着テープ貼付け装置であって、
前記ワークのうち被保持面を保持する保持テーブルと、
上ハウジングと下ハウジングとを有しており、前記保持テーブルを収納するチャンバと、
前記上ハウジングと前記下ハウジングによってシート材を挟み込むことによって、前記チャンバの内部空間を前記シート材で上空間と下空間とに区画させるチャンバ区画機構と、
前記シート材を供給する供給機構と、
前記シート材によって区画された前記上空間と前記下空間との間に圧力の差異を発生させ、前記圧力の差異によって形成された差圧で前記粘着テープを前記ワークに貼り付ける貼付け機構と、
を備え、
前記保持テーブルは、
剛体で構成されており前記ワークを支持する本体部と、
前記ワークが傾斜された状態で保持されることを防止する傾斜保持防止部を備える
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記ワークは前記被保持面のうち所定領域が凹凸形状となっており、
前記傾斜保持防止部は、
前記本体部が前記ワークの前記所定領域に直接接触することを回避させる
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項3】
請求項2に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記傾斜保持防止部は、
前記本体部のうち前記ワークの所定領域に対向する部分に形成された凹部であり、
前記本体部が前記ワークのうち前記所定領域以外の箇所に接触することで、前記保持テーブルは前記ワークを保持する
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項4】
請求項2に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記傾斜保持防止部は、前記所定領域の形状に応じて変形する変形部であり、前記変形部が前記所定領域の形状に応じて変形することで、前記ワークが傾斜された状態で保持されることを防止する
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記シート材は前記シート材を囲繞するフレームによって保持されており、
前記チャンバ区画機構は、前記上ハウジングと前記下ハウジングが前記フレームに保持されている前記シート材を挟み込むことによって、前記チャンバの内部空間を前記シート材で上空間と下空間とに区画させる
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記シート材は前記粘着テープであり、
前記チャンバ区画機構は、前記上ハウジングと前記下ハウジングによって前記粘着テープを挟み込むことによって、前記チャンバの内部空間を前記粘着テープで上空間と下空間とに区画させ、
前記貼付け機構は、前記粘着テープによって区画された前記上空間と前記下空間との間に圧力の差異を発生させ、前記圧力の差異によって形成された差圧で前記粘着テープを前記ワークに貼り付ける
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記粘着テープは、前記ワークの形状に応じた所定形状を有し、前記シート材は前記粘着テープを保持しており、
前記チャンバ区画機構は、前記上ハウジングと前記下ハウジングによって前記シート材のうち前記粘着テープを保持していない部分を挟み込むことによって、前記チャンバの内部空間を前記シート材で上空間と下空間とに区画させ、
前記貼付け機構は、前記粘着テープによって区画された前記上空間と前記下空間との間に圧力の差異を発生させ、前記シート材に保持されている前記粘着テープを前記圧力の差異によって形成された差圧で前記ワークに貼り付ける
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記ワークは矩形である
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ(以下、適宜「ウエハ」という)または基板を例とするワークに対して、保護テープを例とする粘着テープを貼り付けるために用いる粘着テープ貼付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハまたは基板などのワークから様々な製品を製造する工程において、ワークに対して粘着テープを貼り付ける工程を行うことがある。ワークに貼り付けられる粘着テープの例として、回路保護用の粘着テープ(保護テープ)、ワーク支持用の粘着テープ(ダイシングテープ)、またはデバイス封止用の粘着性フィルムなどが挙げられる。
【0003】
従来、粘着テープをワークに貼り付ける装置として以下のようなものが提案されている。すなわち上下一対のハウジングからなるチャンバの内部に保持テーブルを収納させ、ワークを保持テーブル上で水平に保持させる。その後、チャンバの接合部分に粘着シートを挟み込むことにより、チャンバの内部空間を水平状態の粘着テープで仕切って上空間と下空間との2つの空間を形成させる。そして一方の空間の気圧を他方の空間の気圧よりも低くすることで差圧を発生させ、当該差圧によって粘着テープをワークに貼り付けている。(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来装置では次のような問題がある。
【0006】
近年ではワークに対して粘着テープをさらに高い精度で均一に貼り付けることが求められている。また、粘着テープを貼り付ける対象となるワークが多様化している。しかしながら従来の構成では多様化するワークに対して粘着テープを貼り付ける精度を向上させることが困難となっており、貼付けエラーが発生する頻度を低減させることも困難となっている。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、ワークに対してより精度良く粘着テープを貼り付けることができる粘着テープ貼付け装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題について本発明者らが検討した結果、以下のような知見が得られた。すなわち、一例として表面のみならず裏面にも回路パターンが形成されているワークに対して粘着テープを貼り付ける場合、ワークのうち保持テーブルで保持される側の面(ワークの保持面)は、回路パターンによって微細な凹凸が形成されている。この場合、保持テーブルに載置されたワークは当該凹凸によって傾斜するので、ワークが傾斜した状態で保持テーブルに保持される。その結果、ワークと粘着テープとの平行性が低下した状態でワークに粘着テープが貼り付けられるので、ワークに対して粘着テープを精度よく貼り付けることが困難となると考えられる。
【0009】
また、ワークと粘着テープとの平行性が低下する他の原因として、塵埃を例とする不純物の存在が挙げられる。すなわち保持テーブルにワークを載置させる際に塵埃などがワークと保持テーブルとの間に入り込んだ場合、ワークの姿勢は当該塵埃に起因して水平姿勢から傾斜することとなる。その結果、ワークの保持面が平坦な場合であってもワークと粘着テープとの平行性が低下した状態でワークに粘着テープが貼り付けられるので、ワークに対して粘着テープを精度よく貼り付けることが困難となる。近年ではワークが大型化する傾向にあり、ワークが大型化することによってワークと保持テーブルとの間に不純物が入り込む頻度が高くなる。
【0010】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、ワークに対して粘着テープを貼り付ける粘着テープ貼付け装置であって、
前記ワークのうち被保持面を保持する保持テーブルと、
上ハウジングと下ハウジングとを有しており、前記保持テーブルを収納するチャンバと、
前記上ハウジングと前記下ハウジングによってシート材を挟み込むことによって、前記チャンバの内部空間を前記シート材で上空間と下空間とに区画させるチャンバ区画機構と、
前記シート材を供給する供給機構と、
前記シート材によって区画された前記上空間と前記下空間との間に圧力の差異を発生させ、前記圧力の差異によって形成された差圧で前記粘着テープを前記ワークに貼り付ける貼付け機構と、
を備え、
前記保持テーブルは、
剛体で構成されており前記ワークを支持する本体部と、
前記ワークが傾斜された状態で保持されることを防止する傾斜保持防止部を備える
ことを特徴とするものである。
【0011】
(作用・効果)この構成によれば、ワークの被保持面を保持する保持テーブルは、本体部と傾斜保持防止部とを備えている。本体部は剛体で構成されておりワークを支持する。傾斜保持防止部は、ワークが傾斜された状態で保持されることを防止する。そのため、ワークの被保持面と保持テーブルとの間に塵埃などが入り込む場合などであっても、ワークが保持テーブルに対して傾斜した姿勢で保持されることを回避できる。その結果、ワークと粘着テープとの平行性が低下することを防止できるので、ワークを粘着テープに対して精度よく貼り付けることができる。
【0012】
また、上述した発明において、前記ワークは前記被保持面のうち所定領域が凹凸形状となっており、前記傾斜保持防止部は、前記本体部が前記ワークの前記所定領域に直接接触することを回避させることが好ましい。
【0013】
(作用・効果)この構成によれば、保持テーブルが備える傾斜保持防止部は、ワークの被保持面のうち凹凸形状となっている所定領域が本体部と直接接触することを回避させる構成となっている。そのため、ワークの被保持面に凹凸が形成されている場合であっても、ワークが保持テーブルに対して傾斜した姿勢で保持されることを回避できる。その結果、ワークと粘着テープとの平行性が低下することを防止できるので、ワークを粘着テープに対して精度よく貼り付けることができる。
【0014】
また、上述した発明において、前記傾斜保持防止部は、前記本体部のうち前記ワークの所定領域に対向する部分に形成された凹部であり、前記本体部が前記ワークのうち前記所定領域以外の箇所に接触することで、前記保持テーブルは前記ワークを保持することが好ましい。
【0015】
(作用・効果)この構成によれば、保持テーブルの本体部に凹部が形成されている。そして、本体部がワークのうち所定領域以外の箇所に接触することで、保持テーブルの本体部が所定領域に直接接触することを回避しつつ、保持テーブルはワークを保持する。すなわちワークの所定領域に形成されている凹凸が当該凹部に嵌入することで、保持テーブルの本体部はワークのうち所定領域以外の平坦な部分に接触する。この場合凹部によって本体部とワークの凹凸部分とが接触することを回避できるので、ワークの被保持面に凹凸が形成されている場合であっても、ワークが保持テーブルに対して傾斜した姿勢で保持されることを回避できる。その結果、ワークと粘着テープとの平行性が低下することを防止できるので、ワークを粘着テープに対して精度よく貼り付けることができる。
【0016】
また、上述した発明において、前記傾斜保持防止部は、前記所定領域の形状に応じて変形する変形部であり、前記変形部が前記所定領域の形状に応じて変形することで、前記ワークが傾斜された状態で保持されることを防止することが好ましい。
【0017】
(作用・効果)この構成によれば、保持テーブルは傾斜保持防止部として、ワークのうち凹凸が形成されている所定領域の形状に応じて変形する変形部を備えている。そして、変形部が所定領域の形状に応じて変形しつつ、保持テーブルはワークを保持する。この場合、ワークの被保持面に凹凸が形成されている場合であっても、変形部が凹凸形状に応じて変形するので、ワークが保持テーブルに対して傾斜した姿勢で保持されることを回避できる。その結果、ワークと粘着テープとの平行性が低下することを防止できるので、ワークを粘着テープに対して精度よく貼り付けることができる。
【0018】
また、上述した発明において、前記シート材は前記シート材を囲繞するフレームによって保持されており、前記チャンバ区画機構は、前記上ハウジングと前記下ハウジングが前記フレームに保持されている前記シート材を挟み込むことによって、前記チャンバの内部空間を前記シート材で上空間と下空間とに区画させることが好ましい。
【0019】
(作用・効果)この構成によれば、フレームに保持されているシート材を上ハウジングと前記下ハウジングが挟み込んでチャンバを形成させるので、チャンバのサイズをフレームより小さくできる。よって装置をより小型化することができる。また、シート材によってチャンバの内部空間をシート材で上空間と下空間とに区画させるので、チャンバを2つの空間に区画するための機構を新たに設ける必要がない。よって、装置の構成をより単純化できる。
【0020】
また、上述した発明において、前記シート材は前記粘着テープであり、前記チャンバ区画機構は、前記上ハウジングと前記下ハウジングによって前記粘着テープを挟み込むことによって、前記チャンバの内部空間を前記粘着テープで上空間と下空間とに区画させ、
前記貼付け機構は、前記粘着テープによって区画された前記上空間と前記下空間との間に圧力の差異を発生させ、前記圧力の差異によって形成された差圧で前記粘着テープを前記ワークに貼り付けることが好ましい。
【0021】
(作用・効果)この構成によれば、フレームに保持されている粘着テープを上ハウジングと前記下ハウジングが挟み込んでチャンバを形成させるので、チャンバのサイズをフレームより小さくできる。よって装置をより小型化することができる。また、粘着テープによってチャンバの内部空間をシート材で上空間と下空間とに区画させるので、チャンバを2つの空間に区画するための機構を新たに設ける必要がない。よって、装置の構成をより単純化できる。
【0022】
また、上述した発明において、前記粘着テープは、前記ワークの形状に応じた所定形状を有し、前記シート材は前記粘着テープを保持しており、前記チャンバ区画機構は、前記上ハウジングと前記下ハウジングによって前記シート材のうち前記粘着テープを保持していない部分を挟み込むことによって、前記チャンバの内部空間を前記シート材で上空間と下空間とに区画させ、前記貼付け機構は、前記粘着テープによって区画された前記上空間と前記下空間との間に圧力の差異を発生させ、前記シート材に保持されている前記粘着テープを前記圧力の差異によって形成された差圧で前記ワークに貼り付けることが好ましい。
【0023】
(作用・効果)この構成によれば、粘着テープは、ワークの形状に応じた所定形状を有し、シート材は粘着テープを保持している。そしてシート材のうち粘着テープを保持していない部分を上ハウジングと下ハウジングによって挟み込んで、チャンバの内部を2つの空間に区画させる。この場合、シート材のうち粘着テープを保持していない部分を上ハウジングと前記下ハウジングが挟み込んでチャンバを形成させるので、粘着テープのサイズを小型できる。また、シート材によってチャンバの内部空間をシート材で上空間と下空間とに区画させるので、チャンバを2つの空間に区画するための機構を新たに設ける必要がない。よって、装置の構成をより単純化できる。
【0024】
また、上述した発明において、前記ワークは矩形であることが好ましい。
【0025】
(作用・効果)この構成によれば、矩形のワークを対象として粘着テープを貼り付ける。この場合、傾斜保持防止部を備える保持テーブルを用いてワークを保持することにより、矩形のワークであってもより確実かつ精度良くワークを水平状態で保持することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る粘着テープ貼付け装置によれば、ワークの被保持面を保持する保持テーブルは、本体部と傾斜保持防止部とを備えている。本体部は剛体で構成されておりワークを支持する。傾斜保持防止部は、ワークが傾斜された状態で保持されることを防止する。そのため、ワークの被保持面と保持テーブルとの間に塵埃などが入り込む場合などであっても、ワークが保持テーブルに対して傾斜した姿勢で保持されることを回避できる。その結果、ワークと粘着テープとの平行性が低下することを防止できるので、ワークを粘着テープに対して精度よく貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施例1に係る貼付け部材の構成を示す図である。(a)は貼付け部材の斜視図であり、(b)は貼付け部材の縦断面図である。
【
図2】実施例1に係るワークの構成を示す断面図である。(a)はワークの表面側の斜視図であり、(b)はワークの裏面側の斜視図であり、(c)はワークの縦断面図である。
【
図3】実施例1に係る粘着テープ貼付け装置の構成を示す平面図である。
【
図4】実施例1に係る粘着テープ貼付け装置の構成を示す正面図である。
【
図5】実施例1に係る貼付けユニットの構成を示す正面図である。
【
図6】実施例1に係るチャンバの構成を示す縦断面図である。
【
図7】実施例1に係る粘着テープ貼付け装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8】実施例1に係るステップS1を説明する図である。
【
図9】実施例1に係るステップS2を説明する図である。
【
図10】実施例1に係るステップS3を説明する図である。
【
図11】実施例1に係るステップS3を説明する図である。
【
図12】実施例1に係るステップS4を説明する図である。
【
図13】実施例1に係るステップS5を説明する図である。
【
図14】実施例1に係るステップS6を説明する図である。
【
図15】実施例1に係るステップS6を説明する図である。
【
図16】実施例1に係るステップS6を説明する図である。
【
図17】従来例の問題点を説明する図である。(a)は偏在する凹凸がワーク保持面に接触する状態を示す図であり、(b)は凹凸に起因してワークが傾斜状態で保持される状態を示す図である。
【
図18】従来例の問題点を説明する図である。(a)は塵埃などの不純物がワークと保持テーブルとの間に入り込む状態を示す図であり、(b)は塵埃などの不純物に起因してワークが傾斜状態で保持される状態を示す図である。
【
図19】実施例1に係る構成の効果を説明する図である。
【
図20】実施例2に係る保持テーブルおよびワークの構成を説明する図である。
【
図21】実施例2に係るステップS5において、変形部材が変形する前の状態を示す図である。
【
図22】実施例2に係るステップS5において、変形部材が凹凸の形状に応じて変形した後の状態を示す図である。
【
図23】実施例3に係るワークの構成を説明する縦断面図である。
【
図24】実施例3に係る保持テーブルの構成を説明する縦断面図である。
【
図25】実施例3に係るチャンバの構成を示す縦断面図である。
【
図26】実施例3に係るステップS5を説明する図である。
【
図27】実施例3に係るステップS5を説明する図である。
【
図28】第1の変形例に係るワークの構成を説明する図である。(a)はワークの斜視図であり、(b)はワークの縦断面図である。
【
図29】第1の変形例に係るステップS4を説明する図である。
【
図30】第1の変形例に係るステップS5を説明する図である。
【
図31】第2の変形例に係る貼付け部材の構成を説明する斜視図である。
【
図32】第2の変形例に係る貼付けユニットの構成を示す正面図である。
【
図33】第2の変形例に係るステップS4を説明する図である。
【
図34】第2の変形例に係るステップS4を説明する図である。
【
図35】第2の変形例に係るステップS5を説明する図である。
【
図36】第2の変形例に係るステップS6を説明する図である。
【
図37】第3の変形例に係る複合体前駆体の構成を説明する縦断面図である。
【
図38】第3の変形例に係る複合体前駆体を作成する仮貼り工程を説明する図である。
【
図39】第3の変形例に係る複合体前駆体を作成する仮貼り工程を説明する図である。
【
図40】第3の変形例に係るステップS2を説明する図である。
【
図41】第3の変形例に係るステップS5を説明する図である。(a)は押圧力が作用する前の状態を示す縦断面図であり、(b)は押圧力が作用した後の状態を示す縦断面図である。
【
図42】第4の変形例に係るステップS4を説明する図である。
【
図43】第4の変形例に係るステップS5を説明する図である。
【
図44】第5の変形例に係る貼付けユニットの構成を示す正面図である。
【
図45】第5の変形例に係るステップS5を説明する図である。
【
図46】第5の変形例に係るステップS5を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0028】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。実施例1に係る粘着テープ貼付け装置1として、貼付け部材Pが備えている粘着テープPTをワークWに対して貼り付ける構成を例示して説明する。
図1は貼付け部材Pの構成を示す図であり、
図2はワークWの構成を示す図である。
【0029】
実施例1に係る貼付け部材Pは、
図1(a)に示すように、リングフレームfと粘着テープPTと搬送用シートTとを備えている。リングフレームfは金属または樹脂を例とする、剛性を有する材料で構成されている。リングフレームfは、粘着テープPTを囲繞するような大きさおよび形状を有しており、搬送用シートTを介して粘着テープPTを支持する。
【0030】
粘着テープPTは、ワークWの形状に応じた所定の形状に予め切断されている。本実施例において、粘着テープPTは予め矩形状に切断されているものとする。ここで、矩形状とは
図1(a)に示すように矩形の各角部が丸みを帯びている形状に加え、矩形の各角部が尖っている形状を含むものとする。また本実施例において、粘着テープPTの大きさはワークWと同程度であり、かつ後述する下ハウジング29Aの内径より小さくなるように設定されている。
【0031】
搬送用シートTは粘着テープPTを保持するシート状部材であり、リングフレームfの形状に応じた所定の形状に予め切断されている。搬送用シートTの大きさはリングフレームfの大きさと同程度であり、搬送用シートTはリングフレームfの上面によって貼付け保持されている。粘着テープPTは搬送用シートTの裏面中央部において搬送用シートTによって貼付け保持されている。すなわち貼付け部材Pにおいて、搬送用シートTを介して粘着テープPTとリングフレームfとが一体化している。
【0032】
搬送用シートTは
図1(b)に示すように、非粘着性の基材Taと、粘着性を有する粘着材Tbとが積層した構造を備えている。基材Taを構成する材料の例として、ポリオレフィン、ポリエチレンなどが挙げられる。粘着材Tbを構成する材料の例として、アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。なお、粘着材Tbの代わりに接着材または粘接着材を用いてもよい。すなわち粘着テープPTは、粘着テープ、粘接着テープ、および接着テープを含む。
【0033】
粘着テープPTは
図1(b)に示すように、非粘着性の基材Paと、粘着性を有する粘着材Pbとが積層した構造を備えている。基材Paが搬送用シートTの粘着材Tbに貼付けられることにより、搬送用シートTは粘着テープPTを保持する。基材Paを構成する材料の例として、ポリオレフィン、ポリエチレンなどが挙げられる。粘着材Sbを構成する材料として、アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。本実施例において粘着テープPTの形状は略矩形状であるが、ワークWの形状などに応じて適宜変更可能である。すなわち粘着テープPTは矩形状の他、円形状、多角形状などを例とする任意の形状に適宜変更してよい。また、ワークWと粘着テープPTとの形状が異なっていてもよい。
【0034】
ワークWは、平坦なベース部Bと、デバイスDaおよびデバイスDbとを備えている。
図2(a)に示すように、デバイスDaは、ワークWのベース部Bの表面中央部において二次元マトリクス状に並列搭載されている。また
図2(b)に示すように、デバイスDbは、ワークWのベース部Bの裏面に搭載されている。すなわちデバイスDaおよびデバイスDbによって、ワークWの表面および裏面はいずれも凹凸が形成された状態となっている。ワークWの裏面のうち、デバイスDbによって凹凸が形成されており非平坦な状態となっている部分を凹凸領域Bcとする。
【0035】
デバイスDaおよびDbは一例としてLED、ICチップ、マイクロレンズなどが挙げられる。デバイスDaおよびDbの各々は、TFTを例とする半導体素子やバンプ(図示しない)などを介してベース部Bと接続されている。本実施例ではワークWとして略矩形状のガラス基板を用いるものとする。ワークWの形状は矩形状、円形状、多角形状などを例とする任意の形状に適宜変更してよい。ワークWの例として、ガラス基板の他に有機基板、回路基板、シリコンウエハなどが挙げられる。
【0036】
なお本実施例ではワークWの裏面側を保持テーブル13で保持させた状態で、ワークWの表面側に粘着テープPTを貼り付けるものとする。そのため本実施例ではワークWの表面側がテープ貼付面Waに相当し、ワークWの裏面側が被保持面Wbに相当する。また
図2(c)に示すように、ワークWの被保持面WbからデバイスDbが突出する高さをF1とする。高さF1の一例として、コネクタの場合、1mm~10mm、電子デバイスの場合、1μm~500μmが挙げられる。
【0037】
<全体構成の説明>
ここで、実施例1に係る粘着テープ貼付け装置1の全体構成について説明する。
図3は、実施例1に係る粘着テープ貼付け装置1の基本構成を示す平面図である。実施例1に係る粘着テープ貼付け装置1は、貼付け部材Pに設けられている粘着テープPTをワークWの表面側に貼り付けることによって、ワークWおよびリングフレームfが粘着テープPTによって一体化されてなるワーク複合体WFを作成する。なお、以後の説明において、平面視で矩形状となっている粘着テープ貼付け装置1の長手方向を左右方向(x方向)、これと直交する水平方向(y方向)を前後方向と呼称する。
【0038】
粘着テープ貼付け装置1の右側にワーク搬送機構3が配備されている。粘着テープ貼付け装置1の下側の右寄りにワークWを収容した2個の容器5が並列に載置されている。粘着テープ貼付け装置1の左端には、粘着テープPTをワークWに貼り付けることで形成されるワーク複合体WFを回収する、複合体回収部6が配備されている。
【0039】
粘着テープ貼付け装置1の後側(
図3では上側)の右から、アライナ7、貼付けユニット9、およびフレーム供給部11の順に配備されている。貼付けユニット9において、ワークWに粘着テープPTが貼り付けられる。
【0040】
ワーク搬送機構3には、
図3および
図4に示すように、粘着テープ貼付け装置1の後側において左右水平に架設された案内レール15の右側に左右往復移動可能に支持されたワーク搬送装置16と、案内レール15の左側に左右移動可能に支持されたフレーム搬送装置17とが備えられている。
【0041】
ワーク搬送装置16は、容器5のいずれか一方から取り出したワークWを左右および前後に搬送するとともに、ワークWの姿勢を表裏反転することができるよう構成されている。ワーク搬送装置16は、左右移動可動台18と前後移動可動台19とが装備されている。
【0042】
左右移動可動台18は、案内レール15に沿って左右方向へ往復移動可能となるように構成されている。前後移動可動台19は、左右移動可動台18に備えられた案内レール20に沿って前後方向へ往復移動可能となるように構成されている。
【0043】
さらに、前後移動可動台19の下部には、ワークWを保持する保持ユニット21が装備されている。保持ユニット21は縦方向に延伸する昇降レール22に沿って上下方向(z方向)に往復移動可能となるよう構成されている。また保持ユニット21は図示しない回転軸により、z方向の軸周りに旋回可能となっている。
【0044】
保持ユニット21の下部には、馬蹄形の保持アーム23が装備されている。保持アーム23の保持面には、僅かに突出した複数個の吸着パッドが設けられており、当該吸着パッドを介してワークWを吸着保持する。また、保持アーム23は、その内部に形成された流路と、この流路の基端側で連接された接続流路を介して圧空装置に連通接続されている。
【0045】
上記した可動構造を利用することで、吸着保持したウエハWを保持アーム23によって前後移動、左右移動、および、z方向軸周りの旋回移動を行うことができるようになっている。
【0046】
フレーム搬送装置17は、左右移動可動台24と、前後移動可動台25と、左右移動可動台24の下部に連結された屈伸リンク機構26と、屈伸リンク機構26の下端に装備された吸着プレート27などを備えている。吸着プレート27は搬送用シートTを介して粘着テープPTまたはワークWを吸着保持する。吸着プレート27の周りには、リングフレームfを吸着保持する複数個の吸着パッド28が配備されている。従って、フレーム搬送装置17は、リングフレームfを備える貼付け部材Pまたはワーク複合体WFを吸着保持して、昇降および前後左右に搬送することができる。吸着パッド28は、リングフレームfのサイズに対応して水平方向にスライド調節可能になっている。
【0047】
貼付けユニット9は
図5に示すように、保持テーブル13とチャンバ29とを備えている。保持テーブル13はチャンバ29を構成する下ハウジング29Aに収納されており、外部に配備されている真空装置31と連通接続されている。真空装置31の動作は制御部33によって制御される。制御部33は真空装置31の制御に加え、粘着テープ貼付け装置1における各構成の動作を統括制御する。
【0048】
保持テーブル13は、下ハウジング29Aを貫通するロッド35の一端と連結されている。ロッド35の他端はモータなどを備えるアクチュエータ37に駆動連結されている。そのため、保持テーブル13はチャンバ29の内部で昇降移動が可能となっている。
【0049】
保持テーブル13は、ワーク支持部39と凹部41とを備えている。ワーク支持部39は剛性を有しておりワークWを支持する。凹部41は、ワーク支持部39の一部に形成されている。ワーク支持部39のうち凹部41が形成されていない部分は上面が平坦となっており、当該平坦な上面にワークWが載置される。すなわち実施例1において、保持テーブル13はワーク支持部39の上面がワーク保持面40に相当する。言い換えると、保持テーブル13はワーク保持面40においてワークWと当接してワークWを保持する。ワーク支持部39は一例として、ウエハWと同形状以上の大きさを有する金属製のチャックテーブルである。
【0050】
保持テーブル13において凹部41が形成される領域は、ワークWの被保持面Wbにおいて平面視でデバイスDbが配設されている凹凸領域Bcを包含するように定められる。また凹部41の深さF2は、ワークWの被保持面WbからデバイスDbが突出する高さF1より大きくなるように定められる。すなわち実施例1において保持テーブル13がワークWを保持することにより、
図9などに示すように、被保持面Wbに配設されているデバイスDbの各々は保持テーブル13に形成されている凹部41に嵌入することとなる。そして平坦となっているベース部Bの被保持面Wbは、平坦なワーク保持面40に当接されることとなる。
【0051】
チャンバ29は、下ハウジング29Aと上ハウジング29Bとによって構成される。下ハウジング29Aは保持テーブル13を囲繞するように配設されている。上ハウジング29Bは下ハウジング29Aの上方に配置されており、図示しない昇降駆動機構によって昇降可能に構成される。
【0052】
下ハウジング29Aは、当該下ハウジング29Aを外囲するフレーム保持部38を備えている。フレーム保持部38は、リングフレームfを載置したとき、リングフレームfの上面と下ハウジング29Aの円筒頂部とが面一になるように構成されている。また、下ハウジング29Aの円筒頂部42は離型処理が施されていることが好ましい。
【0053】
図6に示すように、下ハウジング29Aは減圧用の流路121と連通接続されており、上ハウジング29Bは減圧用の流路122と連通接続されている。流路201および流路202は、いずれも減圧用の流路101を介して真空装置31と連通接続されている。すなわち、下ハウジング29Aは流路101および流路121を介して減圧用の真空装置31と連通接続されている。そして上ハウジング29Bは流路101および流路122を介して減圧用の真空装置31と連通接続されている。
【0054】
なお、流路101には電磁バルブ103が備えられており、流路122には電磁バルブ113が備えられている。また、両ハウジング29A、29Bには、大気開放用の電磁バルブ105、107を備えた流路109がそれぞれ連通接続されている。
【0055】
さらに、上ハウジング29Bには、一旦減圧した内圧をリークにより調整する電磁バルブ110を備えた流路111が連通接続されている。電磁バルブ110には、開度調節弁112が設けられている。開度調節弁112は、電磁バルブ110の開度を適宜調節することにより、流路111を介してリークされる気体の量を調節する。
【0056】
なお、これら電磁バルブ103、105、107、110、113の開閉操作、真空装置31の作動、および開度調節弁112の調節は、制御部33によって行われている。すなわち真空装置31は、下ハウジング29A側の空間の気圧と上ハウジング29B側の空間の気圧とを独立して減圧調節できるように構成されている。
【0057】
複合体回収部6は、
図4に示すように、ワーク複合体WFを積載して回収するカセット43が配備されている。このカセット43は、装置フレーム44に連結固定された縦レール45と、この縦レール45に沿ってモータ47でネジ送り昇降される昇降台49が備えられている。したがって、複合体回収部6は、ワーク複合体WFを昇降台49に載置してピッチ送り下降するよう構成されている。フレーム供給部11は、リングフレームfを有する貼付け部材Pを供給するものであり、一例として所定枚数の貼付け部材Pを積層収納した引き出し式のカセットを収納する。
【0058】
<基本動作の概要>
ここで、実施例1に係る粘着テープ貼付け装置1の基本動作を説明する。
図7は、粘着テープ貼付け装置1を用いて、ワークWに粘着テープPTを貼り付ける一連の工程を説明するフローチャートである。
【0059】
ステップS1(ワークの供給)
貼付け指令が出されると、容器5から保持テーブル13へワークWが搬送される。すなわちワーク搬送装置16は、容器5の内部で多段に収納されているワークWの同士の間に保持アーム23を挿入する。保持アーム23は、ワークWを吸着保持して搬出し、アライナ7に搬送する。アライナ7は、ワークWを保持して回転させながらノッチなどに基づいて位置合わせを行う。位置合わせが完了すると、保持アーム23はワークWを再度保持してアライナ7から搬出させて貼付けユニット9へと搬入する。すなわち
図8に示すように、保持ユニット21はワークWを保持している状態で保持テーブル13の上方へと移動する。
【0060】
ステップS2(ワークの保持)
保持ユニット21によってワークWを貼付けユニット9へ搬入されると、ワークWを保持テーブル13で保持する工程が開始される。まず、制御部33は保持テーブル13を上昇させ、ワーク保持面40を下ハウジング29Aの円筒頂部42より高い位置へと移動させる。そして、保持ユニット21はワークWに形成されている凹凸領域Bcと保持テーブル13に形成されている凹部41とが対向するように水平方向におけるワークWの位置を合わせ、保持アーム23を下降させる。
【0061】
保持アーム23が下降することによって、ワークWのベース部Bから下方へ突出しているデバイスDbは凹部41へと嵌入される。そしてワークWのベース部B(特に外周部)がワーク保持面40に当接することにより、ワークWが保持テーブル13のワーク支持部39によって支持される。デバイスDbは凹部41に嵌入されているのでワーク保持面40がデバイスDbを支持することを回避できる。すなわち、デバイスDbがワーク保持面40で支持されることによってワークWが傾斜状態となることを防止できる。
【0062】
ここで保持テーブル13のワーク保持面40、すなわち凹部41が形成されていない部分は平坦であり水平方向に拡がっている。また、ワークWのベース部Bは平坦な状態である。そのためベース部Bおよびワーク保持面40を介してワークWを保持テーブル13で保持することにより、ワークWのテープ貼付面Waは高い精度で水平な状態となる。ワークWを保持テーブル13のワーク保持面40に載置させると、保持アーム23はワークWの吸着保持を解除して
図9に示すように上昇する。ワークWを保持テーブル13に保持させることにより、ステップS2の工程は完了する。
【0063】
ステップS3(粘着テープの供給)
ワークWが保持テーブル13によって保持されると、粘着テープPTが備えられている貼付け部材Pを貼付けユニット9へ供給する動作を開始する。すなわち、フレーム搬送装置17はフレーム供給部11から貼付け部材Pを吸着して貼付けユニット9に搬送し、
図10に示すように下ハウジング29Aの上方へと移動する。そしてフレーム搬送装置17は下降し、
図11に示すように貼付け部材Pのリングフレームfをフレーム保持部38に移載させる。
【0064】
フレーム搬送装置17がリングフレームfの吸着を解除して上昇すると、貼付け部材Pの位置合わせを行う。当該位置合わせは、一例としてフレーム保持部38を囲繞するように立設された複数の支持ピンを中央方向へ同期的に移動させることによって行われる。リングフレームfがフレーム保持部38に載置されることにより、搬送用シートTは下ハウジング29Aの円筒頂部42に当接しつつ水平な状態で保持される。また搬送用シートTに保持されている粘着テープPTも水平な状態となる。よって、粘着テープPTとワークWとの平行性が高い精度で保たれることとなる。貼付け部材Pのリングフレームfがフレーム保持部38に載置されることにより、ステップS3に係る貼付け部材Pを貼付けユニット9へ供給する過程は完了する。
【0065】
ステップS4(チャンバの形成)
貼付け部材Pが貼付けユニット9へ供給されると、チャンバ29を形成させる。すなわち制御部33は保持テーブル13を下降させるとともに、図示しない昇降駆動機構を作動させて上ハウジング29Bを下降させる。上ハウジング29Bの下降に伴って、
図12に示すように、下ハウジング29Aの円筒頂部42に当接している部分の搬送用シートTは上ハウジング29Bと下ハウジング29Aによって挟持され、チャンバ29が構成される。
【0066】
このとき、搬送用シートTがシール材として機能するとともに、チャンバ29は搬送用シートTによって2つの空間に分割される。すなわち、搬送用シートTを挟んで下ハウジング29A側の下空間H1と上ハウジング29B側の上空間H2とに分割される。下ハウジング29A内に位置するワークWは、搬送用シートTが保持している粘着テープPTと所定のクリアランスを有して近接対向している。
【0067】
ステップS5(貼付け過程)
チャンバ29を形成させた後、粘着テープPTをワークWに貼り付ける工程を開始する。制御部33は、保持テーブル13を僅かに上昇させてワークWを粘着テープPTに近づけるとともに、チャンバ29内の気圧を調整して差圧を発生させる。
【0068】
チャンバ29内の気圧を調整して差圧を発生させる場合、まず制御部33は
図6に示す電磁バルブ105、107、110、を閉じるとともに、電磁バルブ103および113を開く。そして制御部33は真空装置31を作動させて下空間H1内の気圧と上空間H2内の気圧とを所定値まで減圧する。所定値の例として、10Pa~100Paが挙げられる。
【0069】
下空間H1および上空間H2の気圧が所定値まで減圧されると、制御部33は、電磁バルブ103を閉じるとともに、真空装置31の作動を停止する。そして制御部33は、下空間H1の気圧より上空間H2の気圧の方が高くなるよう、下空間H1に接続されている電磁バルブ103、105、107、113を閉じたまま、上空間H2に接続されている電磁バルブ110の開度を調整してリークさせるよう制御する。制御部33が開度調節弁112を適宜制御することにより、電磁バルブ110の開度が調整される。当該調整により、電磁バルブ110の開度に応じて上空間H2の気圧が上昇する。
【0070】
下空間H1の気圧より上空間H2の気圧の方が高くなることにより、
図13に示すように、両空間の間に差圧Gsが発生する。差圧の大きさの一例として、5000Pa以上0.1MPa未満が挙げられる。
【0071】
差圧Gsが発生することにより、貼付け部材Pにおいて搬送用シートTは下ハウジング29Aの側へ引き込まれていく。このとき搬送用シートTに保持されている粘着テープPTは水平状態を保ちつつ、ワークWのテープ貼付面Waへと近づいていく。ワークWは凹部41を備える保持テーブル13によって高い精度で水平状態となるように保持されている。
【0072】
そのため、ワークWと粘着テープPTとは高い精度で平行な状態を保ちつつ近づいていき、差圧Gsによって粘着テープPTがワークWに押圧される。そしてワークWの表面から突出しているデバイスDaは、差圧Gsによって粘着テープPTの粘着材Pbの層に埋め込まれていく。このように差圧Gsを一定時間作用させることにより、ワークWのテープ貼付面Waに粘着テープPTが貼り付けられる。粘着テープPTがワークWに貼り付けられることにより、貼付け部材PとワークWとが一体となったワーク複合体WFが形成され、ステップS5に係る貼付け過程は完了する。
【0073】
ステップS6(ワーク複合体の回収)
粘着テープPTがワークWに貼り付けられてワーク複合体WFが形成されると、当該ワーク複合体WFを回収する工程が開始される。まず
図14に示すように、制御部33は保持テーブル13を上昇させる。このとき貼付け部材Pの搬送用シートTが水平状態になるように、保持テーブル13の上昇位置が調整される。
【0074】
制御部33は保持テーブル13を上昇させるとともに、電磁バルブ103、105、107、110、113を全開にして上空間H2および下空間H1を大気開放させる。上空間H2および下空間H1が大気開放されると、制御部33は
図15に示すように上ハウジング29Bを上昇させてチャンバ29を開放する。
【0075】
チャンバ29が開放された後、
図16に示すように、フレーム搬送装置17に設けられている吸着パッド28がワーク複合体WFを吸着保持し、下ハウジング29Aからワーク複合体WFを離脱させる。ワーク複合体WFを吸着保持したフレーム搬送装置17は、ワーク複合体WFを複合体回収部6へと搬送する。搬送されたワーク複合体WFは、カセット43に積載収納される。以上で、ワークWに粘着テープPTを貼り付ける一巡の動作が終了する。以後、ワーク複合体WFが所定数に達するまで上記処理が繰り返される。
【0076】
<実施例1の構成による効果>
上記実施例1に係る装置によれば、凹部41を備える保持テーブル13を用いてワークWを保持することにより、ワークWに対して粘着テープPTを精度良く貼り付けることができる。ここで実施例1の構成による効果について、従来の構成と比較しつつ説明する。
【0077】
従来の貼付け装置では、保持テーブルHTは剛性を有しており全体として平坦なワーク保持部Vaを有する。そして平坦なワーク保持部VaがワークWの裏面に当接することでワークWを保持する。このような従来の構成では、ワークWの傾斜に起因して粘着テープPTの貼付け精度が低下する事態が発生しやすくなる。
【0078】
従来の装置において、ワークWの傾斜に起因して粘着テープPTの貼付け精度が低下する事態が発生する一例として、ワークWの被保持面Wbに凹凸が形成されている場合が挙げられる。すなわち
図17(a)に示すように、デバイスDbによって凹凸状態となっている被保持面Wbを平坦なワーク保持部Vaで保持する場合、ワーク保持部Vaは当該突出しているデバイスDbの先端に接触した状態でワークWを支持する。その結果、
図17(b)に示すようにワークWが傾斜し、ワークWは傾斜した状態で保持テーブルHTに保持されることとなる。特にデバイスDbが形成されている凹凸領域BcがワークWの中心から離れた位置にある場合、ワーク保持部Vaは当該突出しているデバイスDbの先端と接触してワークWのバランスが崩れ、ワークWが傾斜することとなる。
【0079】
ワークWが傾斜した状態で保持テーブルHTに保持されると、水平状態で保持されている粘着テープPTとの平行性が低下するので、粘着テープPTがワークWのテープ貼付面Waに対して均一に貼り付けられなくなる。その結果、ワークWに対する粘着テープPTの貼付け精度が低下する。従来は被保持面Wb(裏面)が平坦となっているワークに対して粘着テープを貼り付ける構成であったため、従来の保持テーブルHTを備える装置であってもワークWを傾斜状態で保持する事態は発生しにくい。よって、粘着テープPTとワークWとの平行性が低下した状態で両者が貼り付けられる可能性は低く、ワークWの傾斜に起因する貼付けエラーの問題は懸念されていなかった。
【0080】
しかしながら近年ではワークWの被保持面Wbに凹凸が形成されている場合が多くなっているため、従来の保持テーブルHTではワークWの傾斜を確実に防止することが難しい。そのため、従来の装置では特に被保持面Wbに凹凸が形成されているワークWを用いる場合、粘着テープPTの貼付けエラーが高い頻度で発生するという問題を発明者は見出した。
【0081】
また近年ではワークWが大型化する傾向にある。発明者はさらに検討を重ねた結果、ワーク保持部Vaが全体にわたって平坦である従来の保持テーブルHTでは、特に大型のワークWを精度よく保持することが困難であるという新たな問題を見出した。すなわち
図18(a)に示すように、ワークWとワーク保持部Vaとの間に塵埃Rが入り込むことがある。塵埃Rが入り込んだ場合、塵埃RがワークWの被保持面Wbと接触するので、
図18(b)に示すように塵埃Rが支点となってワークWが傾斜することとなる。
【0082】
ワークWが大型化するほど、ワークWとワーク保持部Vaとの間に塵埃Rなどの不純物が入り込む頻度が高くなる。すなわち、従来の保持テーブルHTで保持するワークWが大型化すると、保持テーブルHT上においてワークWが傾斜する頻度はより高くなる。そのため、従来の装置では特に大型のワークWを用いる場合、粘着テープPTの貼付けエラーが高い頻度で発生するという問題を発明者は見出した。このように、近年において用いられるようになった、被保持面に凹凸があるワークや比較的大型のワークを用いる場合、従来の保持テーブルHTではワークが傾斜してしまい、粘着テープPTの貼付けエラーが高い頻度で発生する。
【0083】
このような従来の保持テーブルHTに対し、実施例1に係る粘着テープ貼付け装置1では保持テーブル13を用いてワークWを保持する。保持テーブル13は凹部41を備えており、ワークWが傾斜状態で保持されることを凹部41によって防止する構成となっている。すなわちワークWの被保持面Wbに凹凸領域Bcが存在する場合であっても、
図9などに示すように、凹凸の原因となるデバイスDbは凹部41に嵌入する。
【0084】
その結果、保持テーブル13のワーク保持面40は、ワークWのうち平坦な部分(一例として、デバイスおよび回路が存在しない外周部)に当接することによってワークWを保持する。その結果、被保持面Wbに凹凸が存在するようなワークWであっても、保持テーブル13は当該ワークWを高精度な水平状態で保持することができる。ワークWの水平性の精度が向上すると、同じく水平状態となっている粘着テープPTとの平行性についても精度が向上する。よって、粘着テープPTとワークWとの平行性を向上させた状態で粘着テープPTがワークWに貼り付けられるので、ワークWの傾斜に起因する貼付けエラーが発生する頻度を大きく低減できる。
【0085】
また実施例1に係る保持テーブル13では塵埃Rに起因する貼付けエラーの発生も防止できる。凹部41を備える保持テーブル13は、ワーク保持面40が当接するワークWの被保持面Wbの範囲は従来と比べて狭くなっている。すなわち
図19に示すように塵埃Rは凹部41に落下する頻度が高くなるので、ワーク保持面40とワークWの被保持面Wbとの間に塵埃Rが入り込む事態をより確実に防止できる。その結果、保持テーブル13を備える粘着テープ貼付け装置1では塵埃Rに起因してワークWが傾斜した状態で保持されることを回避できるので、塵埃Rに起因する貼付けエラーの発生も防止できる。よって、実施例1に係る粘着テープ貼付け装置1では、近年用いられるようになった新しいタイプのワークWを用いる場合であっても、粘着テープPTの貼付け精度を高く維持できる。
【0086】
またワークWが矩形である場合、ワークの外周部のうち角部は中心からの距離が他の部分と比べて大きい。すなわち、円形状のワークと比べて矩形のワークは中心から外周部までの距離が長いので、ワークが矩形である場合は塵埃などの不純物がワークと保持テーブルとの間に入り込みやすく、水平状態で保持テーブルに載置させることが難しい。これに対し、実施例1に係る構成では保持テーブル13に傾斜保持防止部として凹部41を備えているので、傾斜状態で保持されやすい矩形のワークであっても確実に水平状態で保持することができる。
次に、本発明の実施例2を説明する。実施例1では保持テーブル13がワーク支持部39に凹部41を備えることにより、ワークWが傾斜した状態で保持テーブル13に保持されることを防止する。実施例2では、保持テーブル13が変形部材51を備えることにより、ワークWが傾斜した状態で保持テーブル13に保持されることを防止する。なお、実施例1に係る粘着テープ貼付け装置1と同一構成については同一符号を付すに留め、異なる構成部分である保持テーブル13について詳述する。
変形部材51は、ワーク支持部39Aの上面を覆うように配設されており、変形部材51の上面がワークWの被保持面Wbに当接するように構成される。すなわち実施例2では変形部材51の上面がワークWに接触するワーク保持面40として機能する。変形部材51は、ワークWにおける被保持面Wbの形状に応じて変形する材料で構成されている。変形部材51を構成する材料の例として、発泡ウレタンを例とするスポンジ状の材料、ゴムやエラストマーを例とする弾性体が挙げられる。
すなわち回路J1~J6は、実施例1に係るデバイスDbと比べてベース部Bから突出する高さが比較的低い。すなわち実施例2に係る変形部材51を備える保持テーブル13Aは、実施例1に係る凹部41を備える保持テーブル13と比べて、高さの差が小さい凹凸(微細な凹凸)が広範囲にわたって被保持面Wbに形成されているワークWを保持する場合に適している。
実施例2では、ワーク支持部39の上面全体に変形部材51が配設される構成を例示しているが、変形部材51はワーク支持部39の上面の一部に配設されてもよい。すなわちステップS2においてワークWを保持テーブル13Aに載置する場合に、変形部材51が回路J1~J6の各々と当接するように、変形部材51がワーク支持部39の上面に配設されていればよい。言い換えると、ワークWの被保持面Wbのうち回路J1~J6によって凹凸形状となっている領域の位置に応じて、保持テーブル13Aにおいて変形部材51が配設される位置が設定されていればよい。
実施例2に係るステップS2では、保持ユニット21によってワークWを貼付けユニット9へ搬入されると、制御部33は保持テーブル13を上昇させる。保持ユニット21はワークWに回路J1~J6が形成されている領域と保持テーブル13Aに変形部材51が形成されている領域とが対向するように、水平方向におけるワークWの位置を合わせる。位置合わせが完了した後、制御部33は保持アーム23を下降させる。
このとき、変形部材51は回路J1~J6の突出高さに応じて変形する。すなわちベース部Bの被保持面Wbからの突出高さが比較的高い回路J1に対向する部分の変形部材51は、比較的深く沈み込むように変形する。一方、ベース部Bからの突出高さが比較的高い回路J2に対向する部分の変形部材51は、比較的浅く沈み込むように変形する。変形部材51が変形することにより、ワークWが傾斜状態となることを防止できる。
このように、実施例2では被保持面Wbの形状(凹凸を構成する回路J1~J6の突出高さの違い)に応じて変形部材51が変形する。そして変形部材51が被保持面Wbの形状に応じて変形することにより、ワークWは被保持面Wbが凹凸形状であっても、高い精度で水平姿勢を維持した状態で保持テーブル13Aに載置保持される。すなわち実施例2に係る保持テーブル13Aは、被保持面Wbが凹凸形状となっているワークWを傾斜させることなく水平姿勢で保持できる。ワークWを保持テーブル13Aに保持した後、実施例1と同様にステップS3~S6の工程を実行することで粘着テープPTをワークWに貼り付ける。
実施例2に係る粘着テープ貼付け装置では、ワーク保持面40において変形部材51が配設された保持テーブル13Aを備えている。ワークWを保持テーブル13Aに保持させるステップS2において、変形部材51はワークWの被保持面Wbの形状に応じて変形する。そのため被保持面Wbに凹凸が形成されて非平坦な状態となっている場合であっても、ワークWはテープ貼付面Waが水平な状態を維持しつつ下降していき、保持テーブル13Aに載置保持される。
ステップS2においてワークWを高い精度で水平に保持することにより、ステップS5では、粘着テープPTとワークWとの平行性を向上させた状態で粘着テープPTがワークWに貼り付けられる。そのため実施例1と同様に、実施例2に係る粘着テープ貼付け装置では、粘着テープPTがワークWに片当たりするなどの事態によって貼付け精度が低下することを確実に回避できる。またワークWの被保持面Wbと変形部材51との間に塵埃が入り込む場合であっても、ワークWを下降させて変形部材51が上から押圧される際に、変形部材51は塵埃の形状に応じて変形する。そのため、塵埃の存在に起因してワークWが傾斜することを回避できるので、保持テーブル13Aはより高い精度でワークの水平性を維持することができる。