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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067437
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】粘着テープ貼付け装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177502
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】394016601
【氏名又は名称】日東精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】秋月 伸也
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅之
(72)【発明者】
【氏名】村山 聡洋
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA53
5F131CA01
5F131CA02
5F131DA13
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131DA42
5F131DA54
5F131DA62
5F131DB22
5F131DB62
5F131DB72
5F131EA07
5F131EA23
5F131EB55
5F131EB78
5F131EB81
5F131EC32
5F131EC33
5F131EC34
5F131EC44
5F131EC53
5F131EC54
5F131EC63
5F131EC64
5F131EC65
5F131EC67
5F131EC68
5F131EC69
5F131EC72
5F131EC73
(57)【要約】
【課題】ワークに対してより精度良く粘着テープを貼り付けることができる粘着テープ貼付け装置を提供する。
【解決手段】ワークWの被保持面Wbを保持する保持テーブル13と、保持テーブル13を収納し、貼付け部材Pを挟み込んで下空間H1と上空間H2とに区画されるチャンバ29と、貼付け部材Pが備える粘着テープPTを非粘着面側から加温する加温機構73と、粘着テープPTが加温機構73で加温された状態で、下空間H1と上空間H2との間に差圧Gsを発生させ、当該差圧Gsで粘着テープPTをワークWに貼り付ける貼り付けユニット9とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対して粘着テープを貼り付ける粘着テープ貼付け装置であって、
前記ワークのうち被保持面を保持する保持テーブルと、
上ハウジングと下ハウジングとを有しており、前記保持テーブルを収納するチャンバと、
前記上ハウジングと前記下ハウジングによってシート材を挟み込むことによって、前記チャンバの内部空間を前記シート材で上空間と下空間とに区画させるチャンバ区画機構と、
前記シート材を供給する供給機構と、
前記粘着テープを非粘着面側から加温するテープ加温機構と、
前記テープ加温機構によって前記粘着テープが加温された状態で、前記シート材によって区画された前記上空間と前記下空間との間に圧力の差異を発生させ、前記圧力の差異によって形成された差圧で前記粘着テープを前記ワークに貼り付ける貼付け機構と、
を備える
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記ワークは前記被保持面のうち所定領域が凹凸形状となっており、
前記保持テーブルは、
前記ワークを支持する本体部と、
前記ワークが傾斜された状態で保持されることを防止する傾斜保持防止部を備え、
前記傾斜保持防止部は、
前記本体部が前記ワークの前記所定領域に直接接触することを回避させる
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項3】
請求項2に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記傾斜保持防止部は、
前記本体部のうち前記ワークの所定領域に対向する部分に形成された凹部であり、
前記本体部が前記ワークのうち前記所定領域以外の箇所に接触することで、前記保持テーブルは前記ワークを保持する
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項4】
請求項2に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記傾斜保持防止部は、前記所定領域の形状に応じて変形する変形部であり、前記変形部が前記所定領域の形状に応じて変形することで、前記ワークが傾斜された状態で保持されることを防止する
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記シート材は前記シート材を囲繞するフレームによって保持されており、
前記チャンバ区画機構は、前記上ハウジングと前記下ハウジングが前記フレームに保持されている前記シート材を挟み込むことによって、前記チャンバの内部空間を前記シート材で上空間と下空間とに区画させる
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記シート材は前記粘着テープであり、
前記チャンバ区画機構は、前記上ハウジングと前記下ハウジングによって前記粘着テープを挟み込むことによって、前記チャンバの内部空間を前記粘着テープで上空間と下空間とに区画させ、
前記貼付け機構は、前記粘着テープによって区画された前記上空間と前記下空間との間に圧力の差異を発生させ、前記圧力の差異によって形成された差圧で前記粘着テープを前記ワークに貼り付ける
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記粘着テープは、前記ワークの形状に応じた所定形状を有し、前記シート材は前記粘着テープを保持しており、
前記チャンバ区画機構は、前記上ハウジングと前記下ハウジングによって前記シート材のうち前記粘着テープを保持していない部分挟み込むことによって、前記チャンバの内部空間を前記シート材で上空間と下空間とに区画させ、
前記貼付け機構は、前記粘着テープによって区画された前記上空間と前記下空間との間に圧力の差異を発生させ、前記シート材に保持されている前記粘着テープを前記圧力の差異によって形成された差圧で前記ワークに貼り付ける
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記ワークは矩形である
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ(以下、適宜「ウエハ」という)または基板を例とするワークに対して、保護テープを例とする粘着テープを貼り付けるために用いる粘着テープ貼付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハまたは基板などのワークから様々な製品を製造する工程において、ワークに対して粘着テープを貼り付ける工程を行うことがある。ワークに貼り付けられる粘着テープの例として、回路保護用の粘着テープ(保護テープ)、ワーク支持用の粘着テープ(ダイシングテープ)、またはデバイス封止用の粘着性フィルムなどが挙げられる。
【0003】
従来、粘着テープをワークに貼り付ける装置として以下のようなものが提案されている。すなわち上下一対のハウジングからなるチャンバの内部に保持テーブルを収納させ、ワークを保持テーブル上で水平に保持させる。その後、チャンバの接合部分に粘着シートを挟み込むことにより、チャンバの内部空間を水平状態の粘着テープで仕切って上空間と下空間との2つの空間を形成させる。そして一方の空間の気圧を他方の空間の気圧よりも低くすることで差圧を発生させ、当該差圧によって粘着テープをワークに貼り付けている。このような従来の粘着テープ貼付け装置において、保持テーブルの内部に埋設したヒータによって粘着テープを加温することにより粘着テープを軟化させる構成が提案されている(特許文献1を参照)。粘着テープが軟化することによって粘着テープはワークの凹凸に対する埋め込み性が向上するので、粘着テープをワークに精度良く貼り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-041469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来装置では次のような問題がある。すなわち、従来の装置では粘着テープに対する加温効率が不十分である。そのため、従来の装置ではワークに対する粘着テープの貼付け精度を高めることが困難であるという問題が懸念される。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、ワークに対してより精度良く粘着テープを貼り付けることができる粘着テープ貼付け装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題について本発明者らが検討した結果、以下のような知見が得られた。すなわち、ワークを保持する保持テーブルに埋設されたヒータを用いて粘着テープを加温する場合、ヒータの熱は保持テーブル上のワークに伝導した後、さらに粘着テープへと伝導される。近年ではワークの多様化が進んでおり、ワークとしてシリコーン製のウエハなどの他にガラス製の基板や樹脂製の基板などを用いることが多くなっている。ガラスおよび樹脂はいずれもシリコーンと比べて熱伝導性が低い。そのためガラスまたは樹脂を構成材料とするワークに粘着テープを貼り付ける場合、ワークの熱伝導性の低さに起因して粘着テープに対する加温効率が悪くなるので、粘着テープの貼付け精度が低下すると考えられる。
【0008】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、ワークに対して粘着テープを貼り付ける粘着テープ貼付け装置であって、
前記ワークのうち被保持面を保持する保持テーブルと、
上ハウジングと下ハウジングとを有しており、前記保持テーブルを収納するチャンバと、
前記上ハウジングと前記下ハウジングによってシート材を挟み込むことによって、前記チャンバの内部空間を前記シート材で上空間と下空間とに区画させるチャンバ区画機構と、
前記シート材を供給する供給機構と、
前記粘着テープを非粘着面側から加温するテープ加温機構と、
テープ加温機構によって前記粘着テープが加温された状態で、前記シート材によって区画された前記上空間と前記下空間との間に圧力の差異を発生させ、前記圧力の差異によって形成された差圧で前記粘着テープを前記ワークに貼り付ける貼付け機構と、
を備えることを特徴とするものである。
【0009】
(作用・効果)この構成によれば、粘着テープが加温されて粘着材が軟化した状態で、粘着テープをワークに貼り付ける。この場合、ワークが粘着テープに貼り付けられる際に、粘着材の層は加温によってより変形し易くなる。すなわち粘着テープの粘着材がワークの形状に応じてより精度良く変形するので、ワークに対する粘着テープの密着性をより向上できる。
【0010】
またテープ加温機構は、チャンバの内部において粘着テープの非粘着面側から粘着テープを加温する。すなわちテープ加温機構はワークを介することなく粘着テープを加温するので、ワークの厚みまたは構成材料に起因して粘着テープの加温効率が低下することを防止できる。その結果、ワークを介して粘着テープを間接的に加温する従来の構成と比べて粘着テープの加温効率を向上させることができるので、ワークと粘着テープとの密着性をより向上できる。
【0011】
また、上述した発明において、前記ワークは前記被保持面のうち所定領域が凹凸形状となっており、前記保持テーブルは、前記ワークを支持する本体部と、前記ワークが傾斜された状態で保持されることを防止する傾斜保持防止部を備え、前記傾斜保持防止部は、前記本体部が前記ワークの前記所定領域に直接接触することを回避させることが好ましい。
【0012】
(作用・効果)この構成によれば、保持テーブルは傾斜保持防止部を備えており、ワークの被保持面のうち凹凸形状となっている所定領域が本体部と直接接触することを回避させる構成となっている。そのため、ワークの被保持面に凹凸が形成されている場合であっても、ワークが保持テーブルに対して傾斜した姿勢で保持されることを回避できる。その結果、ワークと粘着テープとの平行性が低下することを防止できるので、ワークを粘着テープに対して精度よく貼り付けることができる。
【0013】
また、上述した発明において、前記傾斜保持防止部は、前記本体部のうち前記ワークの所定領域に対向する部分に形成された凹部であり、前記本体部が前記ワークのうち前記所定領域以外の箇所に接触することで、前記保持テーブルは前記ワークを保持することが好ましい。
【0014】
(作用・効果)この構成によれば、保持テーブルの本体部に凹部が形成されている。そして、本体部がワークのうち所定領域以外の箇所に接触することで、保持テーブルの本体部が所定領域に直接接触することを回避しつつ、保持テーブルはワークを保持する。すなわちワークの所定領域に形成されている凹凸が当該凹部に嵌入することで、保持テーブルの本体部はワークのうち所定領域以外の平坦な部分に接触する。この場合凹部によって本体部とワークの凹凸部分とが接触することを回避できるので、ワークの被保持面に凹凸が形成されている場合であっても、ワークが保持テーブルに対して傾斜した姿勢で保持されることを回避できる。その結果、ワークと粘着テープとの平行性が低下することを防止できるので、ワークを粘着テープに対して精度よく貼り付けることができる。
【0015】
また、上述した発明において、前記傾斜保持防止部は、前記所定領域の形状に応じて変形する変形部であり、前記変形部が前記所定領域の形状に応じて変形することで、前記ワークが傾斜された状態で保持されることを防止することが好ましい。
【0016】
(作用・効果)この構成によれば、保持テーブルは傾斜保持防止部として、ワークのうち凹凸が形成されている所定領域の形状に応じて変形する変形部を備えている。そして、変形部が所定領域の形状に応じて変形しつつ、保持テーブルはワークを保持する。この場合、ワークの被保持面に凹凸が形成されている場合であっても、変形部が凹凸形状に応じて変形するので、ワークが保持テーブルに対して傾斜した姿勢で保持されることを回避できる。その結果、ワークと粘着テープとの平行性が低下することを防止できるので、ワークを粘着テープに対して精度よく貼り付けることができる。
【0017】
また、上述した発明において、前記シート材は前記シート材を囲繞するフレームによって保持されており、前記チャンバ区画機構は、前記上ハウジングと前記下ハウジングが前記フレームに保持されている前記シート材を挟み込むことによって、前記チャンバの内部空間を前記シート材で上空間と下空間とに区画させることが好ましい。
【0018】
(作用・効果)この構成によれば、フレームに保持されているシート材を上ハウジングと前記下ハウジングが挟み込んでチャンバを形成させるので、チャンバのサイズをフレームより小さくできる。よって装置をより小型化することができる。また、シート材によってチャンバの内部空間をシート材で上空間と下空間とに区画させるので、チャンバを2つの空間に区画するための機構を新たに設ける必要がない。よって、装置の構成をより単純化できる。
【0019】
また、上述した発明において、前記シート材は前記粘着テープであり、前記チャンバ区画機構は、前記上ハウジングと前記下ハウジングによって前記粘着テープを挟み込むことによって、前記チャンバの内部空間を前記粘着テープで上空間と下空間とに区画させ、前記貼付け機構は、前記粘着テープによって区画された前記上空間と前記下空間との間に圧力の差異を発生させ、前記圧力の差異によって形成された差圧で前記粘着テープを前記ワークに貼り付けることが好ましい。
【0020】
(作用・効果)この構成によれば、フレームに保持されている粘着テープを上ハウジングと前記下ハウジングが挟み込んでチャンバを形成させるので、チャンバのサイズをフレームより小さくできる。よって装置をより小型化することができる。また、粘着テープによってチャンバの内部空間をシート材で上空間と下空間とに区画させるので、チャンバを2つの空間に区画するための機構を新たに設ける必要がない。よって、装置の構成をより単純化できる。
【0021】
また、上述した発明において、前記粘着テープは、前記ワークの形状に応じた所定形状を有し、前記シート材は前記粘着テープを保持しており、前記チャンバ区画機構は、前記上ハウジングと前記下ハウジングによって前記シート材のうち前記粘着テープを保持していない部分挟み込むことによって、前記チャンバの内部空間を前記シート材で上空間と下空間とに区画させ、前記貼付け機構は、前記粘着テープによって区画された前記上空間と前記下空間との間に圧力の差異を発生させ、前記シート材に保持されている前記粘着テープを前記圧力の差異によって形成された差圧で前記ワークに貼り付けることが好ましい。
【0022】
(作用・効果)この構成によれば、粘着テープはワークの形状に応じた所定形状を有し、シート材は粘着テープを保持している。そしてシート材のうち粘着テープを保持していない部分を上ハウジングと下ハウジングによって挟み込んで、チャンバの内部を2つの空間に区画させる。この場合、シート材のうち粘着テープを保持していない部分を上ハウジングと前記下ハウジングが挟み込んでチャンバを形成させるので、粘着テープのサイズを小型できる。また、シート材によってチャンバの内部空間をシート材で上空間と下空間とに区画させるので、チャンバを2つの空間に区画するための機構を新たに設ける必要がない。よって、装置の構成をより単純化できる。
【0023】
また、上述した発明において、前記ワークは矩形であることが好ましい。この構成によれば、矩形のワークを対象として粘着テープを貼り付ける。この場合、傾斜保持防止部を備える保持テーブルを用いてワークを保持することにより、矩形のワークであってもより確実かつ精度良くワークを水平状態で保持することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る粘着テープ貼付け装置によれば、粘着テープが加温されて粘着材が軟化した状態で、粘着テープをワークに貼り付ける。この場合、ワークが粘着テープに貼り付けられる際に、粘着材の層は加温によってより変形し易くなる。すなわち粘着テープの粘着材がワークの形状に応じてより精度良く変形するので、ワークに対する粘着テープの密着性をより向上できる。
【0025】
またテープ加温機構は、チャンバの内部において粘着テープの非粘着面側から粘着テープを加温する。すなわちテープ加温機構はワークを介することなく粘着テープを加温するので、ワークの厚みまたは構成材料に起因して粘着テープの加温効率が低下することを防止できる。その結果、ワークを介して粘着テープを間接的に加温する従来の構成と比べて粘着テープの加温効率を向上させることができるので、ワークと粘着テープとの密着性をより向上できる。従って、ワークに対してより精度良く粘着テープを貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施例1に係る貼付け部材の構成を示す図である。(a)は貼付け部材の斜視図であり、(b)は貼付け部材の縦断面図である。
図2】実施例1に係るワークの構成を示す断面図である。(a)はワークの表面側の斜視図であり、(b)はワークの縦断面図である。
図3】実施例1に係る粘着テープ貼付け装置の構成を示す平面図である。
図4】実施例1に係る粘着テープ貼付け装置の構成を示す正面図である。
図5】実施例1に係る貼付けユニットの構成を示す正面図である。
図6】実施例1に係るチャンバの構成を示す縦断面図である。
図7】実施例1に係る粘着テープ貼付け装置の動作を示すフローチャートである。
図8】実施例1に係るステップS1を説明する図である。
図9】実施例1に係るステップS2を説明する図である。
図10】実施例1に係るステップS3を説明する図である。
図11】実施例1に係るステップS3を説明する図である。
図12】実施例1に係るステップS4を説明する図である。
図13】実施例1に係るステップS5を説明する図である。
図14】実施例1に係るステップS6を説明する図である。
図15】実施例1に係るステップS7を説明する図である。
図16】実施例1に係るステップS7を説明する図である。
図17】実施例1に係るステップS7を説明する図である。
図18】実施例2に係るワークの構成を示す断面図である。(a)はワークの表面側の斜視図であり、(b)はワークの裏面側の斜視図であり、(c)はワークの縦断面図である。
図19】実施例2に係る貼付けユニットの構成を示す正面図である。
図20】実施例2に係るステップS2を説明する図である。
図21】実施例2に係るステップS6を説明する図である。
図22】従来例の問題点を説明する図である。(a)は偏在する凹凸がワーク保持面に接触する状態を示す図であり、(b)は凹凸に起因してワークが傾斜状態で保持される状態を示す図である。
図23】従来例の問題点を説明する図である。(a)は塵埃などの不純物がワークと保持テーブルとの間に入り込む状態を示す図であり、(b)は塵埃などの不純物に起因してワークが傾斜状態で保持される状態を示す図である。
図24】実施例2に係る構成の効果を説明する図である。
図25】実施例3に係る保持テーブルおよびワークの構成を説明する図である。
図26】実施例2に係るステップS6において、変形部材が変形する前の状態を示す図である。
図27】実施例2に係るステップS6において、変形部材が凹凸の形状に応じて変形した後の状
図28】第1の変形例に係るワークの構成を説明する図である。(a)はワークの斜視図であり、(b)はワークの縦断面図である。
図29】第1の変形例に係るステップS4を説明する図である。
図30】第1の変形例に係るステップS5を説明する図である。
図31】第2の変形例に係る貼付け部材の構成を説明する斜視図である。
図32】第2の変形例に係る貼付けユニットの構成を示す正面図である。
図33】第2の変形例に係るステップS4を説明する図である。
図34】第2の変形例に係るステップS4を説明する図である。
図35】第2の変形例に係るステップS5を説明する図である。
図36】第2の変形例に係るステップS6を説明する図である。
図37】第3の変形例に係る複合体前駆体の構成を説明する縦断面図である。
図38】第3の変形例に係る複合体前駆体を作成する仮貼り工程を説明する図である。
図39】第3の変形例に係る複合体前駆体を作成する仮貼り工程を説明する図である。
図40】第3の変形例に係るステップS2を説明する図である。
図41】第3の変形例に係るステップS5を説明する図である。(a)は押圧力が作用する前の状態を示す縦断面図であり、(b)は押圧力が作用した後の状態を示す縦断面図である。
図42】第4の変形例に係るステップS4を説明する図である。
図43】第4の変形例に係るステップS5を説明する図である。
図44】第5の変形例に係る貼付けユニットの構成を示す正面図である。
図45】第5の変形例に係るワークの構成を説明する縦断面図である。
図46】第5の変形例に係る保持テーブルの構成を説明する縦断面図である。
図47】第5の変形例に係るステップS6を説明する図である。
図48】第5の変形例に係るステップS6を説明する図である。
図49】第6の変形例に係るチャンバの構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0027】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。実施例1に係る粘着テープ貼付け装置1として、貼付け部材Pが備えている粘着テープPTをワークWに対して貼り付ける構成を例示して説明する。図1は貼付け部材Pの構成を示す図であり、図2はワークWの構成を示す図である。
【0028】
実施例1に係る貼付け部材Pは、図1(a)に示すように、リングフレームfと粘着テープPTと搬送用シートTとを備えている。リングフレームfは金属または樹脂を例とする、剛性を有する材料で構成されている。リングフレームfは、粘着テープPTを囲繞するような大きさおよび形状を有しており、搬送用シートTを介して粘着テープPTを支持する。
【0029】
粘着テープPTは、ワークWの形状に応じた所定の形状に予め切断されている。本実施例において、粘着テープPTは予め矩形状に切断されているものとする。ここで、矩形状とは図1(a)に示すように矩形の各角部が丸みを帯びている形状に加え、矩形の各角部が尖っている形状を含むものとする。また本実施例において、粘着テープPTの大きさはワークWと同程度であり、かつ後述する下ハウジング29Aの内径より小さくなるように設定されている。
【0030】
搬送用シートTは粘着テープPTを保持するシート状部材であり、リングフレームfの形状に応じた所定の形状に予め切断されている。搬送用シートTの大きさはリングフレームfの大きさと同程度であり、搬送用シートTはリングフレームfの上面によって貼付け保持されている。粘着テープPTは搬送用シートTの裏面中央部において搬送用シートTによって貼付け保持されている。すなわち貼付け部材Pにおいて、搬送用シートTを介して粘着テープPTとリングフレームfとが一体化している。
【0031】
搬送用シートTは図1(b)に示すように、非粘着性の基材Taと、粘着性を有する粘着材Tbとが積層した構造を備えている。基材Taを構成する材料の例として、ポリオレフィン、ポリエチレンなどが挙げられる。粘着材Tbを構成する材料の例として、アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。なお、粘着材Tbの代わりに接着材または粘接着材を用いてもよい。すなわち粘着テープPTは、粘着テープ、粘接着テープ、および接着テープを含む。
【0032】
粘着テープPTは図1(b)に示すように、非粘着性の基材Paと、粘着性を有する粘着材Pbとが積層した構造を備えている。基材Paが搬送用シートTの粘着材Tbに貼付けられることにより、搬送用シートTは粘着テープPTを保持する。基材Paを構成する材料の例として、ポリオレフィン、ポリエチレンなどが挙げられる。粘着材Sbを構成する材料として、アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。本実施例において粘着テープPTの形状は略矩形状であるが、ワークWの形状などに応じて適宜変更可能である。すなわち粘着テープPTは矩形状の他、円形状、多角形状などを例とする任意の形状に適宜変更してよい。また、ワークWと粘着テープPTとの形状が異なっていてもよい。
【0033】
ワークWは図2(a)および図2(b)に示すように、平坦なベース部Bと、デバイスDaとを備えている。デバイスDaは、ワークWのベース部Bの表面中央部において二次元マトリクス状に並列搭載されている。すなわちデバイスDaによって、ワークWの表面は凹凸が形成された状態となっている。
【0034】
デバイスDaは一例としてLED、ICチップ、マイクロレンズなどが挙げられる。デバイスDaの各々は、TFTを例とする半導体素子やバンプ(図示しない)などを介してベース部Bと接続されている。本実施例ではワークWとして略矩形状のガラス基板を用いるものとする。ワークWの形状は矩形状、円形状、多角形状などを例とする任意の形状に適宜変更してよい。ワークWの例として、ガラス基板の他に有機基板、回路基板、シリコンウエハなどが挙げられる。
【0035】
なお本実施例ではワークWの裏面側を保持テーブル13で保持させた状態で、ワークWの表面側に粘着テープPTを貼り付けるものとする。そのため本実施例ではワークWの表面側がテープ貼付面Waに相当し、ワークWの裏面側が被保持面Wbに相当する。
【0036】
<全体構成の説明>
ここで、実施例1に係る粘着テープ貼付け装置1の全体構成について説明する。図3は、実施例1に係る粘着テープ貼付け装置1の基本構成を示す平面図である。実施例1に係る粘着テープ貼付け装置1は、貼付け部材Pに設けられている粘着テープPTをワークWの表面側に貼り付けることによって、ワークWおよびリングフレームfが粘着テープPTによって一体化されてなるワーク複合体WFを作成する。なお、以後の説明において、平面視で矩形状となっている粘着テープ貼付け装置1の長手方向を左右方向(x方向)、これと直交する水平方向(y方向)を前後方向と呼称する。
【0037】
粘着テープ貼付け装置1の右側にワーク搬送機構3が配備されている。粘着テープ貼付け装置1の下側の右寄りにワークWを収容した2個の容器5が並列に載置されている。粘着テープ貼付け装置1の左端には、粘着テープPTをワークWに貼り付けることで形成されるワーク複合体WFを回収する、複合体回収部6が配備されている。
【0038】
粘着テープ貼付け装置1の後側(図3では上側)の右から、アライナ7、貼付けユニット9、およびフレーム供給部11の順に配備されている。貼付けユニット9において、ワークWに粘着テープPTが貼り付けられる。
【0039】
ワーク搬送機構3には、図3および図4に示すように、粘着テープ貼付け装置1の後側において左右水平に架設された案内レール15の右側に左右往復移動可能に支持されたワーク搬送装置16と、案内レール15の左側に左右移動可能に支持されたフレーム搬送装置17とが備えられている。
【0040】
ワーク搬送装置16は、容器5のいずれか一方から取り出したワークWを左右および前後に搬送するとともに、ワークWの姿勢を表裏反転することができるよう構成されている。ワーク搬送装置16は、左右移動可動台18と前後移動可動台19とが装備されている。
【0041】
左右移動可動台18は、案内レール15に沿って左右方向へ往復移動可能となるように構成されている。前後移動可動台19は、左右移動可動台18に備えられた案内レール20に沿って前後方向へ往復移動可能となるように構成されている。
【0042】
さらに、前後移動可動台19の下部には、ワークWを保持する保持ユニット21が装備されている。保持ユニット21は縦方向に延伸する昇降レール22に沿って上下方向(z方向)に往復移動可能となるよう構成されている。また保持ユニット21は図示しない回転軸により、z方向の軸周りに旋回可能となっている。
【0043】
保持ユニット21の下部には、馬蹄形の保持アーム23が装備されている。保持アーム23の保持面には、僅かに突出した複数個の吸着パッドが設けられており、当該吸着パッドを介してワークWを吸着保持する。また、保持アーム23は、その内部に形成された流路と、この流路の基端側で連接された接続流路を介して圧空装置に連通接続されている。
【0044】
上記した可動構造を利用することで、吸着保持したウエハWを保持アーム23によって前後移動、左右移動、および、z方向軸周りの旋回移動を行うことができるようになっている。
【0045】
フレーム搬送装置17は、左右移動可動台24と、前後移動可動台25と、左右移動可動台24の下部に連結された屈伸リンク機構26と、屈伸リンク機構26の下端に装備された吸着プレート27などを備えている。吸着プレート27は搬送用シートTを介して粘着テープPTまたはワークWを吸着保持する。吸着プレート27の周りには、リングフレームfを吸着保持する複数個の吸着パッド28が配備されている。従って、フレーム搬送装置17は、リングフレームfを備える貼付け部材Pまたはワーク複合体WFを吸着保持して、昇降および前後左右に搬送することができる。吸着パッド28は、リングフレームfのサイズに対応して水平方向にスライド調節可能になっている。
【0046】
貼付けユニット9は図5に示すように、保持テーブル13とチャンバ29とを備えている。保持テーブル13はチャンバ29を構成する下ハウジング29Aに収納されており、外部に配備されている真空装置31と連通接続されている。真空装置31の動作は制御部33によって制御される。制御部33は真空装置31の制御に加え、粘着テープ貼付け装置1における各構成の動作を統括制御する。
【0047】
保持テーブル13は、下ハウジング29Aを貫通するロッド35の一端と連結されている。ロッド35の他端はモータなどを備えるアクチュエータ37に駆動連結されている。そのため、保持テーブル13はチャンバ29の内部で昇降移動が可能となっている。
【0048】
保持テーブル13は、ワーク支持部39を備えている。ワーク支持部39は剛性を有しておりワークWを支持する。ワーク支持部39は上面が平坦となっており、当該平坦な上面にワークWが載置される。すなわち実施例1において、保持テーブル13はワーク支持部39の上面がワーク保持面40に相当する。言い換えると、保持テーブル13はワーク保持面40においてワークWと当接してワークWを保持する。ワーク支持部39は一例として、ウエハWと同形状以上の大きさを有する金属製のチャックテーブルである。
【0049】
チャンバ29は、下ハウジング29Aと上ハウジング29Bとによって構成される。下ハウジング29Aは保持テーブル13を囲繞するように配設されている。上ハウジング29Bは下ハウジング29Aの上方に配置されており、図示しない昇降駆動機構によって昇降可能に構成される。
【0050】
下ハウジング29Aは、当該下ハウジング29Aを外囲するフレーム保持部38を備えている。フレーム保持部38は、リングフレームfを載置したとき、リングフレームfの上面と下ハウジング29Aの円筒頂部とが面一になるように構成されている。また、下ハウジング29Aの円筒頂部42は離型処理が施されていることが好ましい。
【0051】
図6に示すように、下ハウジング29Aは減圧用の流路121と連通接続されており、上ハウジング29Bは減圧用の流路122と連通接続されている。流路121および流路122は、いずれも減圧用の流路101を介して真空装置31と連通接続されている。すなわち、下ハウジング29Aは流路101および流路121を介して減圧用の真空装置31と連通接続されている。そして上ハウジング29Bは流路101および流路122を介して減圧用の真空装置31と連通接続されている。
【0052】
なお、流路101には電磁バルブ103が備えられており、流路122には電磁バルブ113が備えられている。また、両ハウジング29A、29Bには、大気開放用の電磁バルブ105、107を備えた流路109がそれぞれ連通接続されている。
【0053】
さらに、上ハウジング29Bには、一旦減圧した内圧をリークにより調整する電磁バルブ110を備えた流路111が連通接続されている。電磁バルブ110には、開度調節弁112が設けられている。開度調節弁112は、電磁バルブ110の開度を適宜調節することにより、流路111を介してリークされる気体の量を調節する。
【0054】
なお、これら電磁バルブ103、105、107、110、113の開閉操作、真空装置31の作動、および開度調節弁112の調節は、制御部33によって行われている。すなわち真空装置31は、下ハウジング29A側の空間の気圧と上ハウジング29B側の空間の気圧とを独立して減圧調節できるように構成されている。
【0055】
貼付けユニット9は、粘着テープPTを加温する加温機構73をさらに有している。加温機構73は一例として図5および図6に示すように、上ハウジング29Bの内部に配設されている。加温機構73は、シリンダ75と加温部材77とヒータ79とを備えている。シリンダ75は加温部材77の上部に連結されており、シリンダ75の動作によって加温部材77はチャンバ29の内部で昇降できる。
【0056】
加温部材77は剛性を有する板状部材であり、保持テーブル13と対向配置されている。加温部材77の下面は平坦面となっている。下ハウジング29Aと上ハウジング29Bとによって貼付け部材Pの搬送用シートTが挟み込まれた場合、搬送用シートTおよび粘着テープPTに対して加温部材77の下面が対向するように配置が調整されている。そして加温部材77が下降することにより、加温部材77の下面が搬送用シートTの基材Taに当接するように構成されている。図5において、加温部材77は初期位置に移動している。初期位置は上ハウジング29Bの天井付近に相当する位置である。
【0057】
ヒータ79は加温部材77の内部に配設されている。加温部材77が搬送用シートTの基材Taに当接した状態でヒータ79が作動することで、搬送用シートTに保持されている粘着テープPTは基材Paの側(非粘着面の側)からヒータ79によって加温される。ヒータ79による加温の温度は粘着テープPTの粘着材Pbが柔らかくなる程度の温度となるように調整される。ヒータ79による加温の温度は一例として30℃~180℃である。
【0058】
複合体回収部6は、図4に示すように、ワーク複合体WFを積載して回収するカセット43が配備されている。このカセット43は、装置フレーム44に連結固定された縦レール45と、この縦レール45に沿ってモータ47でネジ送り昇降される昇降台49が備えられている。したがって、複合体回収部6は、ワーク複合体WFを昇降台49に載置してピッチ送り下降するよう構成されている。フレーム供給部11は、リングフレームfを有する貼付け部材Pを供給するものであり、一例として所定枚数の貼付け部材Pを積層収納した引き出し式のカセットを収納する。
【0059】
<基本動作の概要>
ここで、実施例1に係る粘着テープ貼付け装置1の基本動作を説明する。図7は、粘着テープ貼付け装置1を用いて、ワークWに粘着テープPTを貼り付ける一連の工程を説明するフローチャートである。
【0060】
ステップS1(ワークの供給)
貼付け指令が出されると、容器5から保持テーブル13へワークWが搬送される。すなわちワーク搬送装置16は、容器5の内部で多段に収納されているワークWの同士の間に保持アーム23を挿入する。保持アーム23は、ワークWを吸着保持して搬出し、アライナ7に搬送する。アライナ7は、ワークWを保持して回転させながらノッチなどに基づいて位置合わせを行う。位置合わせが完了すると、保持アーム23はワークWを再度保持してアライナ7から搬出させて貼付けユニット9へと搬入する。すなわち図8に示すように、保持ユニット21はワークWを保持している状態で保持テーブル13の上方へと移動する。
【0061】
ステップS2(ワークの保持)
保持ユニット21によってワークWを貼付けユニット9へ搬入されると、ワークWを保持テーブル13で保持する工程が開始される。まず、制御部33は保持テーブル13を上昇させ、ワーク保持面40を下ハウジング29Aの円筒頂部42より高い位置へと移動させる。そして、保持ユニット21の保持アーム23を下降させる。
【0062】
保持アーム23が下降することによって、ワークWの被保持面Wb(ベース部Bの裏面)がワーク保持面40に当接し、ワークWが保持テーブル13のワーク支持部39によって支持される。ワークWを保持テーブル13のワーク保持面40に載置させると、保持アーム23はワークWの吸着保持を解除して図9に示すように上昇する。ワークWを保持テーブル13に保持させることにより、ステップS2の工程は完了する。
【0063】
ステップS3(粘着テープの供給)
ワークWが保持テーブル13によって保持されると、粘着テープPTが備えられている貼付け部材Pを貼付けユニット9へ供給する動作を開始する。すなわち、フレーム搬送装置17はフレーム供給部11から貼付け部材Pを吸着して貼付けユニット9に搬送し、図10に示すように下ハウジング29Aの上方へと移動する。そしてフレーム搬送装置17は下降し、図11に示すように貼付け部材Pのリングフレームfをフレーム保持部38に移載させる。
【0064】
フレーム搬送装置17がリングフレームfの吸着を解除して上昇すると、貼付け部材Pの位置合わせを行う。当該位置合わせは、一例としてフレーム保持部38を囲繞するように立設された複数の支持ピンを中央方向へ同期的に移動させることによって行われる。リングフレームfがフレーム保持部38に載置されることにより、搬送用シートTは下ハウジング29Aの円筒頂部42に当接しつつ水平な状態で保持される。また搬送用シートTに保持されている粘着テープPTも水平な状態となる。よって、粘着テープPTとワークWとの平行性が高い精度で保たれることとなる。貼付け部材Pのリングフレームfがフレーム保持部38に載置されることにより、ステップS3に係る貼付け部材Pを貼付けユニット9へ供給する過程は完了する。
【0065】
ステップS4(チャンバの形成)
貼付け部材Pが貼付けユニット9へ供給されると、チャンバ29を形成させる。すなわち制御部33は保持テーブル13を下降させるとともに、図示しない昇降駆動機構を作動させて上ハウジング29Bを下降させる。上ハウジング29Bの下降に伴って、図12に示すように、下ハウジング29Aの円筒頂部42に当接している部分の搬送用シートTは上ハウジング29Bと下ハウジング29Aによって挟持され、チャンバ29が構成される。
【0066】
このとき、搬送用シートTがシール材として機能するとともに、チャンバ29は搬送用シートTによって2つの空間に分割される。すなわち、搬送用シートTを挟んで下ハウジング29A側の下空間H1と上ハウジング29B側の上空間H2とに分割される。下ハウジング29A内に位置するワークWは、搬送用シートTが保持している粘着テープPTと所定のクリアランスを有して近接対向している。
【0067】
ステップS5(テープの加温)
チャンバ29を形成させた後、加温機構73を用いて粘着テープPTを加温する工程を開始する。すなわち制御部33はヒータ79を作動させつつ、図13に示すようにシリンダ75を制御して加温部材77を初期位置から加温位置へと下降させる。加温部材77を加温位置へ移動させることにより、加温部材77の下面が搬送用シートTに当接される。加温部材77が搬送用シートTに当接すると、加温部材77に埋設されているヒータ79によって、搬送用シートTに保持されている粘着テープPTは非粘着面の側から加温される。
【0068】
ヒータ79によって粘着テープPTが所定の温度まで加温されると、粘着材Pbが軟化する。すなわち粘着材Pbの軟化により、粘着材Pbの層に対する埋め込み性が向上する。所定時間、粘着テープPTが加温されて粘着材Pbの埋め込み性が向上すると、制御部33は加温部材77を加温位置から初期位置へと上昇する。粘着テープPTを加温して粘着材Pbの埋め込み性を向上させることにより、ステップS5の工程は完了する。
【0069】
ステップS6(貼付け過程)
粘着テープPTを所定の温度に加温した後、粘着テープPTをワークWに貼り付ける工程を開始する。制御部33は、保持テーブル13を僅かに上昇させてワークWを粘着テープPTに近づけるとともに、チャンバ29内の気圧を調整して差圧を発生させる。
【0070】
チャンバ29内の気圧を調整して差圧を発生させる場合、まず制御部33は図6に示す電磁バルブ105、107、110、を閉じるとともに、電磁バルブ103および113を開く。そして制御部33は真空装置31を作動させて下空間H1内の気圧と上空間H2内の気圧とを所定値まで減圧する。所定値の例として、10Pa~100Paが挙げられる。
【0071】
下空間H1および上空間H2の気圧が所定値まで減圧されると、制御部33は、電磁バルブ103を閉じるとともに、真空装置31の作動を停止する。そして制御部33は、下空間H1の気圧より上空間H2の気圧の方が高くなるよう、下空間H1に接続されている電磁バルブ103、105、107、113を閉じたまま、上空間H2に接続されている電磁バルブ110の開度を調整してリークさせるよう制御する。制御部33が開度調節弁112を適宜制御することにより、電磁バルブ110の開度が調整される。当該調整により、電磁バルブ110の開度に応じて上空間H2の気圧が上昇する。
【0072】
下空間H1の気圧より上空間H2の気圧の方が高くなることにより、図14に示すように、両空間の間に差圧Gsが発生する。差圧の大きさの一例として、5000Pa以上0.1MPa未満が挙げられる。
【0073】
差圧Gsが発生することにより、貼付け部材Pにおいて搬送用シートTは下ハウジング29Aの側へ引き込まれていく。そしてワークWと粘着テープPTとは平行な状態を保ちつつ近づいていき、差圧Gsによって粘着テープPTがワークWに押圧される。そしてワークWの表面から突出しているデバイスDaは、差圧Gsによって粘着テープPTの粘着材Pbの層に埋め込まれていく。
【0074】
実施例1では粘着テープPTが加温されて粘着材Pbが軟化した状態で、粘着テープPTをワークWに貼り付ける。すなわちワークWのテープ貼付面Waが粘着テープPTに押圧される際に、粘着材Pbの層に対する埋め込み性が加温によって向上している。よって、ワークWの表面から突出しているデバイスDaは、粘着テープPTの粘着材Pbの層へより深く埋め込まれていく。すなわち、加温によって粘着材Pbを軟化させることにより、テープ貼付面Waに凹凸が形成されている場合であっても粘着テープPTとワークWとの密着性を向上させることができる。
【0075】
このように粘着テープPTが加温されている状態で差圧Gsを一定時間作用させることにより、ワークWのテープ貼付面Waに粘着テープPTが貼り付けられる。粘着テープPTがワークWに貼り付けられることにより、貼付け部材PとワークWとが一体となったワーク複合体WFが形成され、ステップS6に係る貼付け過程は完了する。
【0076】
ステップS7(ワーク複合体の回収)
粘着テープPTがワークWに貼り付けられてワーク複合体WFが形成されると、当該ワーク複合体WFを回収する工程が開始される。まず図15に示すように、制御部33は保持テーブル13を上昇させる。このとき貼付け部材Pの搬送用シートTが水平状態になるように、保持テーブル13の上昇位置が調整される。
【0077】
制御部33は保持テーブル13を上昇させるとともに、電磁バルブ103、105、107、110、113を全開にして上空間H2および下空間H1を大気開放させる。上空間H2および下空間H1が大気開放されると、制御部33は図16に示すように上ハウジング29Bを上昇させてチャンバ29を開放する。
【0078】
チャンバ29が開放された後、図17に示すように、フレーム搬送装置17に設けられている吸着パッド28がワーク複合体WFを吸着保持し、下ハウジング29Aからワーク複合体WFを離脱させる。ワーク複合体WFを吸着保持したフレーム搬送装置17は、ワーク複合体WFを複合体回収部6へと搬送する。搬送されたワーク複合体WFは、カセット43に積載収納される。以上で、ワークWに粘着テープPTを貼り付ける一巡の動作が終了する。以後、ワーク複合体WFが所定数に達するまで上記処理が繰り返される。
【0079】
<実施例1の構成による効果>
上記実施例1に係る装置によれば、ワークWに対して粘着テープPTを精度良く貼り付けることができる。ここで実施例1の構成による効果について、従来の構成と比較しつつ説明する。
【0080】
従来の貼付け装置ではワークに粘着テープを貼り付ける場合に粘着テープの粘着材を加温する構成として、ワークを保持する保持テーブルにヒータを埋設し、ワークとともに粘着テープを加温することが一般的である。言い換えると、従来の貼付け装置ではワークを介して粘着テープの粘着面側を間接的に加温する。
【0081】
このような従来の貼付け装置では、粘着テープを加温する前に保持テーブルを粘着テープに近づける必要がある。すなわち保持テーブルに載置されているワークと粘着テープとを接触または近接させなければ粘着テープの粘着材を効率よく加温できない。また従来の構成では保持テーブルと接触しているワークがまず加温され、その後に粘着テープが加温される。そのため特にワークに厚みがある場合は粘着テープの加温効率が低下する。
【0082】
さらに近年ではワークの構成材料として、ガラスまたは樹脂を例とする熱伝導率が低い材料を用いることが多くなっている。そのためこのようなワークに粘着テープを貼り付ける場合、従来の構成では粘着テープの加温効率がさらに低下する。粘着テープの粘着材に対する加温効率が低下すると、粘着材が十分に軟化していない状態で粘着テープがワークに貼り付けられることとなるので、粘着テープとワークとの密着性が低下する。特に粘着テープのテープ貼付面に凹凸がある場合、テープ貼付面の凹凸が粘着テープの粘着材に精度よく埋め込まれないのでさらに粘着テープとワークとの密着性が低下することとなる。
【0083】
このような従来の構成に対し、実施例1に係る粘着テープ貼付け装置1では粘着テープPTを加温するヒータ79を備えている。ヒータ79によって粘着テープPTが所定の温度まで加温されると、粘着材Pbが軟化して粘着材Pbの層に対する埋め込み性が向上する。そのため、ワークWと粘着テープPTとの密着性を向上させることができる。特にワークWのテープ貼付面Waに凹凸がある場合、軟化した粘着材Pbに対してワークWの凹凸部分が精度よく埋め込まれていくので、ワークWに対する粘着テープPTの貼付け精度が低下することを回避できる。
【0084】
そして実施例1に係るヒータ79は、粘着テープPTの非粘着面側から粘着テープPTを加温する。すなわちヒータ79はワークWを介することなく粘着テープPTを加温するので、ワークWの厚みまたは構成材料に起因して粘着テープPTの加温効率が低下することを防止できる。その結果、従来と比べて粘着テープPTの加温効率および埋め込み性を向上させることができるので、ワークWと粘着テープPTとの密着性をより向上できる。
【0085】
また、実施例1ではヒータ79を備える加温部材77を粘着テープPTに向けて移動させ、当該加温部材77によって粘着テープPTの非粘着面側から粘着テープPTを加温させる。この場合、粘着テープPTから比較的遠い初期位置から、粘着テープPTに当接または近接する加温位置へとヒータ79を移動させた状態で粘着テープPTを加温するので、粘着テープPTの加温効率をより向上できる。またシリンダ75などを用いてヒータ79を粘着テープPTに向けて移動させるので、加温が必要な場合に限定してヒータ79を粘着テープPTに当接または近接させた状態とすることができる。
【実施例0086】
次に、本発明の実施例2を説明する。実施例1と実施例2では粘着テープ貼付け装置1における構成は基本的に共通する一方、保持テーブル13の構成が異なる。また実施例2では、粘着テープPTを貼り付ける対象となるワークWの構成が異なる。そのため実施例1に係る粘着テープ貼付け装置1と同一構成については同一符号を付すに留め、異なる構成部分について詳述する。すなわち実施例1に係る粘着テープ貼付け装置1が備える保持テーブル13の代わりに、実施例2に係る粘着テープ貼付け装置1は保持テーブル13Aを備えるものとする。
【0087】
まず、実施例2に係るワークWの構成について説明する。実施例2に係るワークWは、平坦なベース部Bと、デバイスDaおよびデバイスDbとを備えている。図18(a)に示すように、デバイスDaは実施例1と同様にワークWの表面に搭載されている。そして図18(b)に示すように、デバイスDbはワークWのベース部Bの裏面に搭載されている。すなわち実施例1に係るワークWは裏面側が平坦である一方、実施例2に係るワークWではデバイスDbによって裏面側に凹凸が形成された状態となっている。
【0088】
デバイスDbはデバイスDaと同様に、一例としてLED、ICチップ、マイクロレンズなどが挙げられる。デバイスDbの各々は、TFTを例とする半導体素子やバンプなどを介してベース部Bと接続されている。ワークWの裏面のうち、デバイスDbによって凹凸が形成されており非平坦な状態となっている部分を凹凸領域Bcとする。
【0089】
本実施例2ではワークWの裏面側を保持テーブル13Aで保持させた状態で、ワークWの表面側に粘着テープPTを貼り付ける。すなわち実施例2では実施例1と同様に、ワークWの表面側がテープ貼付面Waに相当し、ワークWの裏面側が被保持面Wbに相当する。また図18(c)に示すように、ワークWの被保持面WbからデバイスDbが突出する高さをF1とする。高さF1の一例として、コネクタの場合、1mm~10mm、電子デバイスの場合、1μm~500μmが挙げられる。
【0090】
実施例2に係る保持テーブル13Aは、ワーク支持部39Aを備えている。ワーク支持部39Aは剛性を有しておりワークWを支持する。ワーク支持部39Aは、凹部41を備えているという点で実施例1に係るワーク支持部39と相違する。凹部41は、ワーク支持部39Aの一部に形成されている。ワーク支持部39Aのうち凹部41が形成されていない部分は上面が平坦となっており、当該平坦な上面にワークWが載置される。すなわち実施例1において、保持テーブル13はワーク支持部39Aの上面がワーク保持面40に相当する。言い換えると、保持テーブル13はワーク保持面40においてワークWと当接してワークWを保持する。ワーク支持部39Aは一例として、ウエハWと同形状以上の大きさを有する金属製のチャックテーブルである。
【0091】
保持テーブル13Aにおいて凹部41が形成される領域は、ワークWの被保持面Wbにおいて平面視でデバイスDbが配設されている凹凸領域Bcを包含するように定められる。また凹部41の深さF2は、ワークWの被保持面WbからデバイスDbが突出する高さF1より大きくなるように定められる。すなわち実施例2において保持テーブル13AがワークWを保持することにより、図9などに示すように、被保持面Wbに配設されているデバイスDbの各々は保持テーブル13Aに形成されている凹部41に嵌入することとなる。そして平坦となっているベース部Bの被保持面Wbは、平坦なワーク保持面40に当接されることとなる。
【0092】
<実施例2に係る動作の説明>
ここで、実施例2に係る粘着テープ貼付け装置1の動作について説明する。実施例2に係る粘着テープ貼付け装置1を用いて粘着テープPTをワークWに貼り付ける工程は実施例1と基本的に共通しており、図7に示されるフローチャートに沿って行われる。但し、ステップS2において保持テーブル13AがワークWを保持する状態が相違する。ここでは実施例1に係る工程と実施例2に係る工程との共通点については説明を簡略化し、特に相違点について詳述する。
【0093】
ステップS1(ワークの供給)
貼付け指令が出されると、実施例1と同様に、容器5から保持テーブル13へワークWが搬送される。すなわちワーク搬送装置16の保持ユニット21は、容器5の内部で多段に収納されているワークWを吸着保持して搬出し、アライナ7を経由して保持テーブル13の上方へと移動する。
【0094】
ステップS2(ワークの保持)
実施例2に係るステップS2では、保持ユニット21によってワークWを貼付けユニット9へ搬入されると、ワークWを保持テーブル13Aで保持する工程が開始される。まず、制御部33は保持テーブル13Aを上昇させ、ワーク保持面40を下ハウジング29Aの円筒頂部42より高い位置へと移動させる。そして、保持ユニット21はワークWに形成されている凹凸領域Bcと保持テーブル13Aに形成されている凹部41とが対向するように水平方向におけるワークWの位置を合わせ、保持アーム23を下降させる。
【0095】
保持アーム23が下降することによって、ワークWのベース部Bから下方へ突出しているデバイスDbは凹部41へと嵌入される。そしてワークWのベース部B(特に外周部)がワーク保持面40に当接することにより、ワークWが保持テーブル13Aのワーク支持部39Aによって支持される。デバイスDbは凹部41に嵌入されているのでワーク保持面40がデバイスDbを支持することを回避できる。すなわち、デバイスDbがワーク保持面40で支持されることに起因してワークWが傾斜状態となるという事態の発生を防止できる。
【0096】
ここで保持テーブル13Aのワーク保持面40、すなわち凹部41が形成されていない部分は平坦であり水平方向に拡がっている。また、ワークWのベース部Bは平坦な状態である。そのためベース部Bおよびワーク保持面40を介してワークWを保持テーブル13Aで保持することにより、ワークWのテープ貼付面Waは高い精度で水平な状態となる。ワークWを保持テーブル13Aのワーク保持面40に載置させると、保持アーム23はワークWの吸着保持を解除して図20に示すように上昇する。ワークWを保持テーブル13Aに保持させることにより、ステップS2の工程は完了する。
【0097】
ステップS3(粘着テープの供給)
ワークWが保持テーブル13によって保持されると、実施例1と同様に貼付け部材Pを貼付けユニット9へ供給する。すなわち、フレーム搬送装置17はフレーム供給部11から貼付け部材Pを吸着して貼付けユニット9に搬送し、貼付け部材Pのリングフレームfをフレーム保持部38に移載させる。フレーム搬送装置17がリングフレームfの吸着を解除して上昇すると、貼付け部材Pの位置合わせを行う。リングフレームfがフレーム保持部38に載置されることにより、貼付け部材Pを貼付けユニット9へ供給する過程は完了する。
【0098】
ステップS4(チャンバの形成)
貼付け部材Pが貼付けユニット9へ供給されると、実施例1と同様にチャンバ29を形成させる。すなわち制御部33は保持テーブル13を下降させるとともに上ハウジング29Bを下降させる。上ハウジング29Bの下降に伴って、搬送用シートTは上ハウジング29Bと下ハウジング29Aによって挟持され、チャンバ29が構成される。
【0099】
ステップS5(テープの加温)
チャンバ29を形成させた後、実施例1と同様に加温機構73を用いて粘着テープPTを加温する工程を開始する。すなわち制御部33はヒータ79を作動させつつ、加温部材77を初期位置から加温位置へと下降させる。加温部材77を加温位置へ移動させることにより、加温部材77の下面が搬送用シートTに当接される。そしてヒータ79によって粘着テープPTは非粘着面の側から加温される。ヒータ79によって粘着テープPTが所定の温度まで加温されると、粘着材Pbが軟化して粘着材Pbの層に対する埋め込み性が向上する。
【0100】
ステップS6(貼付け過程)
粘着テープPTを所定の温度に加温した後、粘着テープPTをワークWに貼り付ける工程を開始する。制御部33は実施例1と同様に、図21に示すように保持テーブル13を僅かに上昇させてワークWを粘着テープPTに近づけるとともに、チャンバ29内の気圧を調整して差圧Gsを発生させる。
【0101】
差圧Gsが発生することにより、貼付け部材Pにおいて搬送用シートTは下ハウジング29Aの側へ引き込まれていく。このとき搬送用シートTに保持されている粘着テープPTは水平状態を保ちつつ、ワークWのテープ貼付面Waへと近づいていく。
【0102】
実施例2では、ワークWの被保持面Wbにおける凹凸部分すなわちデバイスDbは凹部41に嵌入しており、平坦なベース部Bの部分がワーク保持面40に当接している。すなわちワークWは、凹部41を備える保持テーブル13Aによって高い精度で水平状態となるように保持されている。
【0103】
そのため、ワークWと粘着テープPTとは高い精度で平行な状態を保ちつつ近づいていき、差圧Gsによって粘着テープPTがワークWに押圧される。そしてワークWの表面から突出しているデバイスDaは、差圧Gsによって粘着テープPTの粘着材Pbの層に埋め込まれていく。このように差圧Gsを一定時間作用させることにより、図21に示すように、ワークWのテープ貼付面Waに粘着テープPTが貼り付けられる。粘着テープPTがワークWに貼り付けられることにより、貼付け部材PとワークWとが一体となったワーク複合体WFが形成され、ステップS6に係る貼付け過程は完了する。
【0104】
ステップS7(ワーク複合体の回収)
粘着テープPTがワークWに貼り付けられてワーク複合体WFが形成されると、実施例1と同様にワーク複合体WFを回収する工程が開始される。すなわち制御部33は保持テーブル13を上昇させるとともに上空間H2および下空間H1を大気開放させる。上空間H2および下空間H1が大気開放されると、制御部33は上ハウジング29Bを上昇させてチャンバ29を開放する。チャンバ29が開放された後、フレーム搬送装置17を用いてワーク複合体WFを吸着保持し、ワーク複合体WFを複合体回収部6へと搬送する。搬送されたワーク複合体WFは、カセット43に積載収納される。
【0105】
<実施例2の構成による効果>
上記実施例2に係る粘着テープ貼付け装置によれば、実施例1と同様に、加温機構73によって粘着テープPTを効率よく加温させることができるので、テープ貼付面Waと粘着テープPTとの密着性をより高めることができる。さらに、実施例2に係る装置では、ワークWが傾斜した状態で保持テーブル13Aに保持されることを防止する構成を備えることにより、粘着テープPTの貼付け精度をより向上できる。すなわち凹部41を備える保持テーブル13Aを用いてワークWを保持することにより、ワークWに対して粘着テープPTを精度良く貼り付けることができる。ここで実施例2の構成による効果について、従来の構成と比較しつつ説明する。
【0106】
従来の貼付け装置では、保持テーブルHTは剛性を有しており全体として平坦なワーク保持部Vaを有する。そして平坦なワーク保持部VaがワークWの裏面に当接することでワークWを保持する。このような従来の構成では、ワークWの傾斜に起因して粘着テープPTの貼付け精度が低下する事態が発生しやすくなる。
【0107】
従来の装置において、ワークWの傾斜に起因して粘着テープPTの貼付け精度が低下する事態が発生する一例として、ワークWの被保持面Wbに凹凸が形成されている場合が挙げられる。すなわち図22(a)に示すように、デバイスDbによって凹凸状態となっている被保持面Wbを平坦なワーク保持部Vaで保持する場合、ワーク保持部Vaは当該突出しているデバイスDbの先端に接触した状態でワークWを支持する。その結果、図22(b)に示すようにワークWが傾斜し、ワークWは傾斜した状態で保持テーブルHTに保持されることとなる。特にデバイスDbが形成されている凹凸領域BcがワークWの中心から離れた位置にある場合、ワーク保持部Vaは当該突出しているデバイスDbの先端と接触してワークWのバランスが崩れ、ワークWが傾斜することとなる。
【0108】
ワークWが傾斜した状態で保持テーブルHTに保持されると、水平状態で保持されている粘着テープPTとの平行性が低下するので、粘着テープPTがワークWのテープ貼付面Waに対して均一に貼り付けられなくなる。その結果、ワークWに対する粘着テープPTの貼付け精度が低下する。従来は被保持面Wb(裏面)が平坦となっているワークに対して粘着テープを貼り付ける構成であったため、従来の保持テーブルHTを備える装置であってもワークWを傾斜状態で保持する事態は発生しにくい。よって、粘着テープPTとワークWとの平行性が低下した状態で両者が貼り付けられる可能性は低く、ワークWの傾斜に起因する貼付けエラーの問題は懸念されていなかった。
【0109】
しかしながら近年ではワークWの被保持面Wbに凹凸が形成されている場合が多くなっているため、従来の保持テーブルHTではワークWの傾斜を確実に防止することが難しい。そのため、従来の装置では特に被保持面Wbに凹凸が形成されているワークWを用いる場合、粘着テープPTの貼付けエラーが高い頻度で発生するという問題を発明者は見出した。
【0110】
また近年ではワークWが大型化する傾向にある。発明者はさらに検討を重ねた結果、ワーク保持部Vaが全体にわたって平坦である従来の保持テーブルHTでは、特に大型のワークWを精度よく保持することが困難であるという新たな問題を見出した。すなわち図23(a)に示すように、ワークWとワーク保持部Vaとの間に塵埃Rが入り込むことがある。塵埃Rが入り込んだ場合、塵埃RがワークWの被保持面Wbと接触するので、図23(b)に示すように塵埃Rが支点となってワークWが傾斜することとなる。
【0111】
ワークWが大型化するほど、ワークWとワーク保持部Vaとの間に塵埃Rなどの不純物が入り込む頻度が高くなる。すなわち、従来の保持テーブルHTで保持するワークWが大型化すると、保持テーブルHT上においてワークWが傾斜する頻度はより高くなる。そのため、従来の装置では特に大型のワークWを用いる場合、粘着テープPTの貼付けエラーが高い頻度で発生するという問題を発明者は見出した。このように、近年において用いられるようになった、被保持面に凹凸があるワークや比較的大型のワークを用いる場合、従来の保持テーブルHTではワークが傾斜してしまい、粘着テープPTの貼付けエラーが高い頻度で発生する。
【0112】
このような従来の保持テーブルHTに対し、実施例2に係る粘着テープ貼付け装置1では保持テーブル13Aを用いてワークWを保持する。保持テーブル13Aは凹部41を備えており、ワークWが傾斜状態で保持されることを凹部41によって防止する構成となっている。すなわちワークWの被保持面Wbに凹凸領域Bcが存在する場合であっても、24などに示すように、凹凸の原因となるデバイスDbは凹部41に嵌入する。
【0113】
その結果、保持テーブル13Aのワーク保持面40は、ワークWのうち平坦な部分(一例として、デバイスおよび回路が存在しない外周部)に当接することによってワークWを保持する。その結果、被保持面Wbに凹凸が存在するようなワークWであっても、保持テーブル13Aは当該ワークWを高精度な水平状態で保持することができる。ワークWの水平性の精度が向上すると、同じく水平状態となっている粘着テープPTとの平行性についても精度が向上する。よって、粘着テープPTとワークWとの平行性を向上させた状態で粘着テープPTがワークWに貼り付けられるので、ワークWの傾斜に起因する貼付けエラーが発生する頻度を大きく低減できる。
【0114】
また実施例2に係る保持テーブル13Aでは塵埃Rに起因する貼付けエラーの発生も防止できる。凹部41を備える保持テーブル13Aは、ワーク保持面40が当接するワークWの被保持面Wbの範囲は従来と比べて狭くなっている。すなわち図24に示すように塵埃Rは凹部41に落下する頻度が高くなるので、ワーク保持面40とワークWの被保持面Wbとの間に塵埃Rが入り込む事態をより確実に防止できる。その結果、保持テーブル13Aを備える粘着テープ貼付け装置1では塵埃Rに起因してワークWが傾斜した状態で保持されることを回避できるので、塵埃Rに起因する貼付けエラーの発生も防止できる。よって、実施例2に係る粘着テープ貼付け装置1では、近年用いられるようになった新しいタイプのワークWを用いる場合であっても、粘着テープPTの貼付け精度を高く維持できる。
【0115】
またワークWが矩形である場合、ワークの外周部のうち角部は中心からの距離が他の部分と比べて大きい。すなわち、円形状のワークと比べて矩形のワークは中心から外周部までの距離が長いので、ワークが矩形である場合は塵埃などの不純物がワークと保持テーブルとの間に入り込みやすく、水平状態で保持テーブルに載置させることが難しい。これに対し、実施例2に係る構成では保持テーブル13Aに傾斜保持防止部として凹部41を備えているので、傾斜状態で保持されやすい矩形のワークであっても確実に水平状態で保持することができる。
【0116】
このように実施例2に係る粘着テープ貼付け装置では、保持テーブル13AでワークWを保持する際にワークWが傾斜することを防止する構成を有している。このような傾斜状態で保持されることを防止する構成を有することにより、ワークWは水平性を維持した状態で保持されるので、粘着テープPTとワークWとの平行性を精度よく維持しつつ両者を貼り合わせることができる。そのため、ワークWに対する粘着テープPTの貼付け精度をより向上させることができる。
【0117】
そして実施例2では実施例1と同様に、粘着テープPTを非粘着面から加温する加温機構73を有しているので、粘着テープPTに対する加温効率を向上できる。すなわちヒータ79を保持テーブル13Aに埋設するような従来の構成では、ヒータ79の熱は凹部41を備えるワーク支持部39AとワークWとを経由して粘着テープPTへ間接的に伝導される必要がある。この場合、ワークWのうち凹部41と対向している部分(凹凸領域Bc)は、ヒータ79の熱が伝わりにくい。その結果、粘着テープPTのうち凹凸領域Bcに対向する部分は特に加温効率が低下する。一方、実施例3では粘着テープPTを非粘着面から加温するので、ワークWおよび変形部材51が加温の妨げとなることを回避できる。よって、効率良く粘着テープPTを加温して粘着テープPTの埋め込み性を向上させつつ、粘着テープPTをワークWに貼り付けることができる。
【実施例0118】
次に、本発明の実施例3を説明する。実施例2では保持テーブル13Aがワーク支持部39に凹部41を備えることにより、ワークWが傾斜した状態で保持テーブル13に保持されることを防止する。これに対して実施例3では、保持テーブル13Bが変形部材51を備えることにより、ワークWが傾斜した状態で保持テーブル13Bに保持されることを防止する。なお、実施例2に係る粘着テープ貼付け装置1と同一構成については同一符号を付すに留め、異なる構成部分である保持テーブル13Bについて詳述する。
【0119】
図25は、実施例3に係る保持テーブル13Bの構成を説明する縦断面図である。実施例3に係る保持テーブル13Bは、ワーク支持部39と変形部材51とを備えている。ワーク支持部39は剛性を有する材料で構成されており上面が全体的に平坦となっている。
【0120】
変形部材51は、ワーク支持部39の上面を覆うように配設されており、変形部材51の上面がワークWの被保持面Wbに当接するように構成される。すなわち実施例3では変形部材51の上面がワークWに接触するワーク保持面40として機能する。変形部材51は、ワークWにおける被保持面Wbの形状に応じて変形する材料で構成されている。変形部材51を構成する材料の例として、発泡ウレタンを例とするスポンジ状の材料、ゴムやエラストマーを例とする弾性体が挙げられる。
【0121】
ここで、実施例3において用いられるワークWの構成を図25に示している。実施例3では実施例2と同様に、ワークWの裏面側が保持テーブル13Bに保持される被保持面Wbとなっている。実施例3において、ワークWの被保持面Wbには回路J1~J6が形成されている。回路J1~J6の各々は配線などによって構成されており、ベース部Bから突出している。すなわち被保持面Wbは回路J1~J6によって微細な凹凸が形成された形状となっている。回路J1は回路J2と比べて、ベース部Bから突出する高さが比較的高くなっている。回路J1~J6がワークWの被保持面Wbから突出する高さは、一例として1μm~500μm程度である。
【0122】
すなわち回路J1~J6は、実施例2に係るデバイスDbと比べてベース部Bから突出する高さが比較的低い。すなわち実施例3に係る変形部材51を備える保持テーブル13Aは、実施例1に係る凹部41を備える保持テーブル13と比べて、高さの差が小さい凹凸(微細な凹凸)が広範囲にわたって被保持面Wbに形成されているワークWを保持する場合に適している。
【0123】
実施例3では、ワーク支持部39の上面全体に変形部材51が配設される構成を例示しているが、変形部材51はワーク支持部39の上面の一部に配設されてもよい。すなわちステップS2においてワークWを保持テーブル13Bに載置する場合に、変形部材51が回路J1~J6の各々と当接するように、変形部材51がワーク支持部39の上面に配設されていればよい。言い換えると、ワークWの被保持面Wbのうち回路J1~J6によって凹凸形状となっている領域の位置に応じて、保持テーブル13Bにおいて変形部材51が配設される位置が設定されていればよい。
【0124】
<実施例3に係る動作の説明>
ここで実施例3に係る粘着テープ貼付け装置1の動作について説明する。実施例3に係る粘着テープ貼付け装置1を用いて粘着テープPTをワークWに貼り付ける工程は実施例2と基本的に共通している。但し、保持テーブル13BがワークWを保持する状態が実施例2と相違する。ここでは実施例2に係る工程と実施例3に係る工程との共通点については説明を簡略化し、相違点が存在するステップS2について説明する。
【0125】
実施例3に係るステップS2では、保持ユニット21によってワークWを貼付けユニット9へ搬入されると、制御部33は保持テーブル13Bを上昇させる。保持ユニット21はワークWに回路J1~J6が形成されている領域と保持テーブル13Bに変形部材51が形成されている領域とが対向するように、水平方向におけるワークWの位置を合わせる。位置合わせが完了した後、制御部33は保持アーム23を下降させる。
【0126】
保持アーム23が下降することによって、ワークWのベース部Bから下方へ突出している回路J1~J6は、図26に示すように変形部材51の上面(ワーク保持面40)に当接する。そして保持アーム23がさらに下降することにより、図27に示すように、変形部材51は被保持面Wbの凹凸形状に応じて変形し、回路J1~J6は変形部材51に沈み込んでいく。
【0127】
このとき、変形部材51は回路J1~J6の突出高さに応じて変形する。すなわちベース部Bの被保持面Wbからの突出高さが比較的高い回路J1に対向する部分の変形部材51は、比較的深く沈み込むように変形する。一方、ベース部Bからの突出高さが比較的高い回路J2に対向する部分の変形部材51は、比較的浅く沈み込むように変形する。変形部材51が変形することにより、ワークWが傾斜状態となることを防止できる。
【0128】
このように、実施例3では被保持面Wbの形状(凹凸を構成する回路J1~J6の突出高さの違い)に応じて変形部材51が変形する。そして変形部材51が被保持面Wbの形状に応じて変形することにより、ワークWは被保持面Wbが凹凸形状であっても、高い精度で水平姿勢を維持した状態で保持テーブル13Aに載置保持される。すなわち実施例3に係る保持テーブル13Bは、被保持面Wbが凹凸形状となっているワークWを傾斜させることなく水平姿勢で保持できる。ワークWを保持テーブル13Bに保持した後、実施例2と同様にステップS3~S7の工程を実行することで粘着テープPTをワークWに貼り付ける。
【0129】
実施例3に係る粘着テープ貼付け装置では、ワーク保持面40において変形部材51が配設された保持テーブル13Bを備えている。ワークWを保持テーブル13Bに保持させるステップS2において、変形部材51はワークWの被保持面Wbの形状に応じて変形する。そのため被保持面Wbに凹凸が形成されて非平坦な状態となっている場合であっても、ワークWはテープ貼付面Waが水平な状態を維持しつつ下降していき、保持テーブル13Bに載置保持される。
【0130】
ステップS2においてワークWを高い精度で水平に保持することにより、ステップS5では、粘着テープPTとワークWとの平行性を向上させた状態で粘着テープPTがワークWに貼り付けられる。そのため実施例2と同様に、実施例2に係る粘着テープ貼付け装置では、粘着テープPTがワークWに片当たりするなどの事態によって貼付け精度が低下することを確実に回避できる。またワークWの被保持面Wbと変形部材51との間に塵埃が入り込む場合であっても、ワークWを下降させて変形部材51が上から押圧される際に、変形部材51は塵埃の形状に応じて変形する。そのため、塵埃の存在に起因してワークWが傾斜することを回避できるので、保持テーブル13Bはより高い精度でワークWの水平性を維持することができる。
【0131】
このように実施例3に係る粘着テープ貼付け装置では実施例2と同様に、保持テーブル13BでワークWを保持する際にワークWが傾斜することを防止する構成を有している。このような傾斜状態で保持されることを防止する構成を有することにより、ワークWは水平性を維持した状態で保持されるので、粘着テープPTとワークWとの平行性を精度よく維持しつつ両者を貼り合わせることができる。そのため、ワークWに対する粘着テープPTの貼付け精度をより向上させることができる。
【0132】
そして実施例3では実施例1と同様に、粘着テープPTを非粘着面から加温する加温機構73を有しているので、粘着テープPTに対する加温効率を向上できる。すなわちヒータ79を保持テーブル13Bに埋設するような従来の構成では、ヒータ79の熱はワークWおよび変形部材51を経由して粘着テープPTへ間接的に伝導される必要がある。そのため、ワークWのみならず保持テーブル13Bが備える変形部材51が熱伝導の妨げとなる。特に変形部材51がゴムを例とする弾性体で構成される場合、変形部材51の熱伝導率が低いので粘着テープPTに対する加温効率はさらに低下することとなる。一方、実施例3では粘着テープPTを非粘着面から加温するので、ワークWおよび変形部材51が加温の妨げとなることを回避できる。よって、効率良く粘着テープPTを加温して粘着テープPTの埋め込み性を向上させつつ、粘着テープPTをワークWに貼り付けることができる。
<変形例の構成>
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。例として、本発明は下記のように変形実施することができる。
【0133】
(1)各実施例において、貼付け部材Pはリングフレームfと粘着テープPTと搬送用シートTとを備えており、リングフレームfは搬送用シートTを介して粘着テープPTを間接的に支持する構成を例として示したがこれに限られない。すなわち図28(a)および図28(b)に示すように、粘着テープPTはリングフレームfによって直接支持されている構成であってもよい。
【0134】
すなわち当該第1の変形例において、粘着テープPTはリングフレームfの形状に応じた所定の形状に予め切断されており、リングフレームfの上面によって貼付け保持されている。言い換えると、実施例1における搬送用シートTが、第1の変形例においては粘着テープPTに置き換えられる。そして第1の変形例に係る貼付け部材Pでは、粘着テープPTとリングフレームfとが一体化している。
【0135】
第1の変形例における粘着テープ貼付け装置1の構成および動作は基本的に実施例1などと共通するが、ステップS4において形成されるチャンバ29の構成が異なる。図29は、第1の変形例に係るステップS4において形成されるチャンバ29を示している。第1の変形例では、リングフレームfの上面に貼り付けられている粘着テープPTが上ハウジング29Bと下ハウジング29Aによって挟持され、チャンバ29が構成される。このとき、粘着テープPTがシール材として機能するとともに、チャンバ29は粘着テープPTによって下空間H1と上空間H2に区画される。なお図29などにおいて、ワークWにおけるデバイスDaの記載を省略している。
【0136】
第1の変形例では粘着テープPTを挟み込んでチャンバ29が形成された後にステップS5を開始し、チャンバ29の内部に差圧Gsを発生させて粘着テープPTをワークに貼り付ける。すなわち制御部33は下空間H1の気圧より上空間H2の気圧の方が高くなるように制御を行う。当該制御によって図30に示すように、下空間H1と上空間H2との間に差圧Gsが発生し、貼付け部材Pにおいて粘着テープPTは下ハウジング29Aの側へ引き込まれていき、ワークWに貼り付けられる。ワークWに粘着テープPTが貼り付けられることにより、粘着テープPTを介してワークWと貼付け部材Pとが一体化したワーク複合体WFが形成されてステップS5が完了する。このように、搬送用シートTを省略した構成であっても本発明に係る粘着テープ貼付け工程を実行することができる。
【0137】
(2) 各実施例において、貼付け部材Pはリングフレームfと所定形状の搬送用シートTと所定形状の粘着テープPTとを備える構成を例として説明したが、貼付け部材Pはリングフレームfを備える構成に限られない。一例として貼付け部材Pは図31に示すように、長尺状の搬送用シートTと所定形状の粘着テープPTとによって構成されていてもよい。
【0138】
貼付け部材Pが長尺状の搬送用シートTを備える第2の変形例では、粘着テープ貼付け装置1は貼付けユニット9Cを備える。図32は、長尺状の搬送用シートTを備える貼付け部材Pを用いる場合における、貼付けユニット9Cの構成を示す図である。貼付けユニット9Cは、保持テーブル13およびチャンバ29に加えて、テープ供給部53と、シート貼付け機構54と、テープ切断機構55と、テープ回収部57とを備えている。なお図32など第2の変形例を示す図面において、説明の便宜上、加温機構73の記載を省略している。また、テープ切断機構55はチャンバ29の内部に配設される構成に限ることはなく、チャンバ29の外部に配設される構成であってもよい。またテープ切断機構55は貼付けユニット9Cに配設される構成に限ることはなく、貼付けユニット9Cの外部に配設されてもよい。
【0139】
テープ供給部53は、粘着テープPTが所定の間隔で貼付け保持されている搬送用シートTを巻回させた原反ロールP1を備えている。原反ロールP1は図示しない供給ボビンに装填されており、粘着テープPTが保持されている搬送用シートTを繰り出し供給する。供給ボビンは電磁ブレーキに連動連結されて適度の回転抵抗がかけられているので、供給ボビンから過剰なテープの繰り出しが防止されている。
【0140】
シート貼付け機構54は、可動台63、貼付けローラ64、ニップローラ65などを備えている。可動台63は、左右方向に架設された図示しない案内レールに沿って左右水平に往復移動する。貼付けローラ64は、可動台63に備わったシリンダの先端に連結されたブラケットに軸支されている。ニップローラ65はテープ回収部57側に配備されており、モータにより駆動する送りローラ67と、シリンダによって昇降するピンチローラ69とを備えている。
【0141】
テープ切断機構55は一例として上ハウジング29Bの内部に配設されており、粘着テープPTがワークWに貼り付けられた後、搬送用シートTを所定の形状に切り抜いてワーク複合体WFと搬送用シートTとを分離させる。テープ切断機構55は、回転軸59と、支持アーム60と、カッタ61とを備えている。
【0142】
回転軸59は上ハウジング29Bの上面中央部などに設けられており、z方向の軸周りに回転可能となっている。支持アーム60は、回転軸59の側面に取り付けられており回転軸59の径方向(ここでは水平方向)に延伸する。カッタ61は支持アーム60の先端に配設されており、刃先が下向きとなるように取り付けられている。カッタ61は、上下移動可能となるように配備されている。回転軸59が回転することにより、支持アーム60およびカッタ61は回転軸59を支点としてz軸周りに回転する。そしてカッタ61によって、搬送用シートTは保持テーブル13の上で一例として円形状に切り抜かれる。
【0143】
テープ回収部57は、ワーク複合体WFが分離された後の不要な搬送用シートT(不要シートTn)を巻き取る回収ボビンP2を備えている。回収ボビンP2は、図示されていないモータよって正逆に回転駆動制御されるようになっている。
【0144】
<第2の変形例に係る動作の説明>
リングフレームfを有しない貼付け部材Pを用いる、第2の変形例に係る粘着テープ貼付け装置1を用いて粘着テープPTをワークWに貼り付ける工程は、実施例1と基本的に共通しており、図7に示されるフローチャートに沿って行われる。但し、ステップS3において粘着テープPTを供給する工程、ステップS4においてチャンバ29を形成させる工程、およびステップS5において粘着テープPTをワークWに貼り付ける工程の細部が実施例1と相違する。ここでは第2の変形例に係る一連の動作のうち、ステップS3ないしステップS5について説明する。
【0145】
ステップS3(粘着テープの供給)
まずは第2の変形例に係るステップS3について説明する。第2の変形例に係るステップS3では、ワークWが保持テーブル13によって精度よく水平に保持されると、貼付けユニット9Cにおいて粘着テープPTの供給を行う。すなわち、テープ供給部53から所定量の搬送用シートTが粘着テープPTとともに繰り出される。全体として長尺状である搬送用シートTは、所定の搬送経路に沿って保持テーブル13の上方へと案内される。そして所定の間隔を開けて搬送用シートTに保持されている粘着テープPTも、搬送用シートTとともに保持テーブル13の上方へと案内される。
【0146】
ステップS4(チャンバの形成)
次に、第2の変形例に係るステップS4について説明する。粘着テープPTが供給されると、図33に示すように、貼付けローラ64が下降する。そして図34に示すように、搬送用シートTの上を転動しながら下ハウジング29Aの円筒頂部42にわたって搬送用シートTを貼り付ける。
【0147】
下ハウジング29Aの円筒頂部42に搬送用シートTが貼り付けられると、貼付けローラ64を初期位置へと復帰させるとともに、上ハウジング29Bを下降させる。上ハウジング29Bの下降に伴って、下ハウジング29Aの円筒頂部42に貼り付けられている部分の搬送用シートTは実施例1と同様に、上ハウジング29Bと下ハウジング29Aによって挟持されてチャンバ29が構成される(図12を参照)。このとき、搬送用シートTがシール材として機能するとともに、チャンバ29は搬送用シートTによって下空間H1と上空間H2とに分割される。
【0148】
ステップS5(テープの加温)
そして、第2の変形例に係るステップS5について説明する。チャンバ29を形成させた後、加温機構73を用いて粘着テープPTを加温する工程を開始する。すなわち制御部33はヒータ79を作動させつつ、実施例1と同様に、シリンダ75を制御して加温部材77を初期位置から加温位置へと下降させる(図13などを参照)。加温部材77を加温位置へ移動させることにより、加温部材77の下面が搬送用シートTに当接される。加温部材77が搬送用シートTに当接すると、加温部材77に埋設されているヒータ79によって、搬送用シートTに保持されている粘着テープPTは非粘着面の側から加温される。
【0149】
ヒータ79によって粘着テープPTが所定の温度まで加温されると、粘着材Pbが軟化する。すなわち粘着材Pbの軟化により、粘着材Pbの層に対する埋め込み性が向上する。所定時間、粘着テープPTが加温されて粘着材Pbの埋め込み性が向上すると、制御部33は加温部材77を加温位置から初期位置へと上昇する。粘着テープPTを加温して粘着材Pbの埋め込み性を向上させることにより、ステップS5の工程は完了する。
【0150】
ステップS6(貼付け過程)
そして、第2の変形例に係るステップS6について説明する。粘着テープPTを加温させた後、粘着テープPTをワークWに貼り付ける工程を開始する。制御部33は実施例1と同様に、保持テーブル13を僅かに上昇させてワークWを粘着テープPTに近づけるとともに、チャンバ29内の気圧を調整して差圧Gsを発生させる。そして実施例1と同様に差圧Gsを一定時間作用させることにより、ワークWのテープ貼付面Waに粘着テープPTが貼り付けられてワーク複合体WFが形成される。
【0151】
第2の変形例ででは実施例1などと異なり、ワーク複合体WFを形成させた後、テープ切断機構55を用いてワーク複合体WFを長尺状の搬送用シートTから分離させる工程をさらに行う。一例としてテープ切断機構55がチャンバ29の内部に配設される場合、ステップS6においてワーク複合体WFを長尺状の搬送用シートTから分離させる工程を実行する。すなわち図35に示すように、チャンバ29の内部において、テープ切断機構55が初期位置から切断位置へと下降する。点線で示す初期位置から実線で示す切断位置へと移動する。そしてテープ切断機構55が切断位置へ下降することによって、粘着テープPTの外側部分において搬送用シートTにカッタ61が突き刺される。
【0152】
カッタ61が搬送用シートTに突き刺されると、支持アーム60が縦軸心Mを旋回中心として旋回する。これに伴ってカッタ61が粘着テープPTを囲繞する円軌道に沿って旋回移動し、搬送用シートTが当該円軌道に沿って切断される。搬送用シートTがカッタ61によって切断されることによって、粘着テープPTを保持している部分の搬送用シートTが切り抜かれ、ワーク複合体WFが長尺状の搬送用シートTから分離される。ワーク複合体WFが形成されるとともに搬送用シートTから分離されることにより、第2の変形例に係るステップS6は完了する。なお、テープ切断機構55がチャンバ29の外部に配設される場合、一例としてステップS7においてワーク複合体WFをチャンバ29から搬出した後、チャンバ29の外部に配設されるテープ切断機構55を用いてワーク複合体WFを長尺状の搬送用シートTから分離させる。
【0153】
ステップS7(ワーク複合体の回収)
粘着テープPTがワークWに貼り付けられてワーク複合体WFが形成されると、当該ワーク複合体WFを回収する工程が開始される。まず実施例1と同様に、制御部33は保持テーブル13を上昇させた後、電磁バルブ103、105、107、110、113を全開にして上空間H2および下空間H1を大気開放させる。上空間H2および下空間H1が大気開放されると、制御部33は上ハウジング29Bを上昇させてチャンバ29を開放する。
【0154】
ここで第2の変形例に係るステップS6では、チャンバ29が開放された後に不要シートTnを回収する工程をさらに行う。すなわち図36に示すように、ニップローラ65はテープ回収部57の側からテープ供給部53の側(図では左側から右側)へと移動しつつ、搬送用シートTのうちワークW上で切り抜き切断されて残った不要シートTnを巻き上げて剥離する。
【0155】
不要シートTnが剥離された後、フレーム搬送装置17に設けられている吸着プレート27がワーク複合体WFを吸着保持し、下ハウジング29Aからワーク複合体WFを離脱させる。ワーク複合体WFを吸着保持したフレーム搬送装置17は、ワーク複合体WFを複合体回収部6へと搬送する。搬送されたワーク複合体WFは、カセット43に積載収納される。以上で、第2の変形例においてワークWに粘着テープPTを貼り付ける一巡の動作が終了する。
【0156】
(3)各実施例において、減圧状態となったチャンバ29の内部において発生させた差圧Gsによって粘着テープPTをワークWに貼り付けるステップS6の前に、チャンバ29の外部において粘着テープPTをワークWに付着させる工程(仮貼り工程)が行われていてもよい。大気圧下において粘着テープPTがワークWに付着され、貼付け部材PとワークWとを一体化させたものを複合体前駆体PFとする。
【0157】
図37は、複合体前駆体PFの構成を示す縦断面図である。複合体前駆体PFを作成する仮貼り工程では、ステップS5の貼付け過程と比べて弱い押圧力で粘着テープPTがワークWに接触している。そのため、複合体前駆体PFにおいて粘着テープPTとワークWのテープ貼付面Waとの密着性が低い状態となっている。仮貼り工程は、図38に示すように支持テーブルSTの上にワークWを載置させた後、図39に示すように支持テーブルSTの上方に待機している粘着テープPTにワークWを大気圧条件下で接触させることで完了する。当該接触により、デバイスDaの上面が粘着テープPTの粘着材Pbに付着し、粘着テープPTとワークWが一体化する。当該仮貼り工程によって、複合体前駆体PFが形成される。仮貼り工程は粘着テープ貼付け装置1において行ってもよいし、その他の装置で行ってもよい。
【0158】
当該第3の変形例に係る粘着テープ貼付け装置1を用いて粘着テープPTをワークWに貼り付ける工程は、実施例1と異なりステップS3の過程が省略される。なお仮貼り工程を粘着テープ貼付け装置1において行う場合、ステップS1の前に仮貼り工程を行って複合体前駆体PFを形成させる。複合体前駆体PFは、容器5またはフレーム供給部11などに予め多段収納される。
【0159】
第3の変形例に係るステップS1では、容器5などに収納されている複合体前駆体PFをワーク搬送装置16で吸着保持して搬出し、アライナ7で位置合わせを行った後、保持テーブル13の上方へと搬送する。複合体前駆体PFの搬送はフレーム搬送装置17で行ってもよい。
【0160】
第3の変形例に係るステップS2では、フレーム保持部38とワーク保持面40との高さの差が、リングフレームfの下面とワークWの被保持面Wbとの高さの差と等しくなるように、制御部33は保持テーブル13を上昇させる。そして、保持ユニット21はワークWに形成されている凹凸領域Bcと保持テーブル13に形成されている凹部41とが対向するように水平方向におけるワークWの位置を合わせ、保持アーム23を下降させる。
【0161】
保持アーム23が下降することによって、ワークWのベース部Bから下方へ突出しているデバイスDbは凹部41へと嵌入される。そしてワークWのベース部Bがワーク保持面40に当接することにより、ワークWが保持テーブル13のワーク支持部39によって支持される。図40に示すように、複合体前駆体PFに含まれているワークWを保持テーブル13に保持させることによって第3の変形例に係るステップS2の工程は完了してステップS4に進む。
【0162】
第3の変形例に係るステップS4では、制御部33は保持テーブル13の高さを維持した状態で上ハウジング29Bを下降させる。上ハウジング29Bの下降に伴って、図12に示すように、下ハウジング29Aの円筒頂部42に当接している部分の搬送用シートTは上ハウジング29Bと下ハウジング29Aによって挟持され、チャンバ29が構成される。
【0163】
第3の変形例に係るステップS5では、制御部33は保持テーブル13の高さを維持した状態で、実施例1と同様にチャンバ29内の気圧を調整して差圧Gsを発生させる(図13を参照)。差圧Gsを発生させることにより、粘着テープPTは差圧GsによってワークWのテープ貼付面Waに対して強く押し込まれる。
【0164】
すなわちステップS5の開始前では図41(a)に示すように、デバイスDaは粘着テープPTの粘着面に付着していた状態である一方、ステップS5において差圧Gsが発生すると、図41(b)に示すように差圧Gsによって粘着テープPTの粘着材Pbの層に埋め込まれていく。その結果、差圧Gsが作用することによって、粘着テープPTはワークWのテープ貼付面Waに密着する。
【0165】
このように差圧Gsを一定時間作用させることにより、ワークWのテープ貼付面Waに粘着テープPTが貼り付けられる。粘着テープPTがワークWに貼り付けられることにより、貼付け部材PとワークWとが一体となったワーク複合体WFが形成され、ステップS5に係る貼付け過程は完了する。
【0166】
第3の変形例に係るステップS6では、制御部33は保持テーブル13の高さを維持しつつ、実施例1と同様に上空間H2および下空間H1が大気開放させる。その後、上ハウジング29Bを上昇させてチャンバ29を開放する。チャンバ29が開放された後、実施例1と同様にフレーム搬送装置17を用いてワーク複合体WFを吸着保持し、ワーク複合体WFを複合体回収部6へと搬送する。以上で、第3の変形例においてワークWに粘着テープPTを貼り付ける一巡の動作が終了する。
【0167】
(4)各実施例に係るステップS5において、チャンバ29の内部で発生させた差圧Gsによって粘着テープPTを押圧させてワークWに貼り付ける構成を例示したが、粘着テープPTをワークWに貼り付ける方法は差圧Gsを利用する構成に限られない。粘着テープPTをワークWに貼り付ける方法の他の例として、図42に示すように、押圧プレート71を用いて粘着テープPTをワークWに貼り付ける方法が挙げられる。押圧プレート71は上ハウジング29Bの内部に配設されており、チャンバ29の内部で昇降可能に構成されている。押圧プレート71の下面は粘着テープPTおよびワークWより大きい径を有しており、平坦な形状となっている。なお図42など第4の変形例を示す図において、加温機構73の記載を省略している。
【0168】
押圧プレート71を備える第4の変形例では、実施例1と同様にステップS1からステップS4の工程を行ってチャンバ29を形成させる。第4の変形例に係るステップS5が開始すると、制御部33はチャンバ29の内部を減圧させる。すなわち制御部33は電磁バルブ105、107、110、を閉じるとともに、電磁バルブ103および113を開く。そして制御部33は真空装置31を作動させて下空間H1内の気圧と上空間H2内の気圧とを所定値まで減圧する。
【0169】
下空間H1および上空間H2の気圧が所定値まで減圧されると、制御部33は、電磁バルブ103を閉じるとともに、真空装置31の作動を停止する。そして制御部33は図43に示すように押圧プレート71を下降させ、押圧プレート71の下面で粘着テープPTを押圧させる。すなわち押圧プレート71で粘着テープPTを押圧することにより、粘着テープPTとワークWとの間に押圧力V1が加えられる。
【0170】
押圧プレート71は、下面が平坦となっており、粘着テープPTの上方に位置するように配設される。そのため、押圧プレート71を下降させることにより、粘着テープPTの全体に対して下向きの押圧力V1が均等に作用し、粘着テープPTは水平状態を高い精度で維持しつつワークWに貼り付けることができる。ステップS5が完了した後、実施例1と同様にステップS6を実行し、第4の変形例においてワークWに粘着テープPTを貼り付ける一巡の動作が終了する。
【0171】
なお、第4の変形例においてチャンバ29を省略してもよい。すなわち大気圧下において押圧プレート71が粘着テープPTを押圧することによって粘着テープPTをワークWに貼り付けてもよい。ただしチャンバ29を用いて減圧状態下で押圧プレート71を用いてワークWに粘着テープPTを貼り付けることにより、粘着テープPTとワークWとの間にエアーが巻き込まれることを回避できる。
【0172】
また第4の変形例において、押圧プレート71は加温部材77の機能を兼ね備えていてもよい。すなわち押圧プレート71の内部にヒータ79を埋設し、ステップS5においてヒータ79を内蔵した押圧プレート71を粘着テープPTに当接または近接させた状態で粘着テープPTを非粘着面側から加温してもよい。
【0173】
(5)実施例2ではワークWが傾斜状態で保持することを防止する傾斜防止部として凹部41を備える保持テーブル13を備える粘着テープ貼付け装置1について説明し、実施例3では傾斜防止部として変形部材51を備える保持テーブル13Aを備える粘着テープ貼付け装置1について説明したが、実施例2と実施例3の構成を組み合わせてもよい。ここでは第5の変形例として、実施例2と実施例3とを組み合わせた保持テーブルおよびワークを用いる構成について説明する。
【0174】
第5の変形例において、ワークWは図45に示すように回路J1~J6とデバイスDbとを被保持面Wbに有している。すなわち第5の変形例に係るワークWは、デバイスDbに起因する粗い凹凸(高低差が比較的大きい凹凸)が形成されている領域(凹凸領域Bc)と、回路J1~J6に起因する比較的微細な凹凸(高低差が比較的小さい凹凸)が形成されている領域(凹凸領域Bd)とを有している。
【0175】
図46は、第5の変形例に係る保持テーブル13Cの構成を示している。第5の変形例に係る保持テーブル13Cは、凹部41が形成されているワーク支持部39Aと、変形部材51とを備えている。すなわち第5の変形例に係る保持テーブル13Cは、実施例2と同様の構成を有するワーク支持部39Aと、実施例3と同様の構成を有する変形部材51とを兼ね備えている。保持テーブル13Cにおいて、ワークWと当接するワーク保持部40は変形部材51の上面に相当する。
【0176】
第5の変形例において、凹部41および変形部材51が形成される位置は、ワークWにおける凹凸領域Bcおよび凹凸領域Bdの位置に応じて定められる。すなわちワーク支持部39Aにおいて凹部41が形成される領域は、ワークWにおいて凹凸領域Bcが形成されている領域と対向する位置となるように定められる。またワーク支持部39Aにおいて変形部材51が覆う領域は、ワークWにおいて凹凸領域Bdが形成されている領域と対向する位置となるように定められる。
【0177】
凹部41は、深さH2を比較的大きい値に定めることができるので、比較的突出高さが大きい凹凸であっても当該凹凸を全て凹部41の内部に嵌入させることができる。そのためデバイスDbを例とする比較的高低差が大きい凹凸に対応する場合、変形部材51と比べて凹部41を用いる方が、凹凸に起因するワークWの傾斜をより確実に防止できる。変形部材51は変形によって調整できる凹凸の高低差に制限がある一方、ワーク支持部39Aは変形部材51を介してワークWを間接的に支持できる。すなわち変形部材51の配置によって、ワークWがワーク支持部39Aによって支持される範囲が狭くなることはない。従って、そのため回路J1~J6を例とする比較的高低差が小さい凹凸に対応する場合、凹部41と比べて変形部材51を用いる方が、凹凸に起因するワークWの傾斜を防止しつつワークWをより安定に支持できる。つまり、凹部41は粗い凹凸が形成される凹凸領域Bcへの対処に適しており、変形部材51は微細な凹凸が形成される凹凸領域Bdへの対処に適している。
【0178】
第5の変形例に係る粘着テープ貼付け装置1を用いて粘着テープPTをワークWに貼り付ける工程は実施例1と基本的に共通しており、図7に示されるフローチャートに沿って行われる。但し、ステップS2において保持テーブル13Cを用いてワークWを保持する工程が実施例1と相違する。ここでは実施例1に係る工程と実施例3に係る工程との共通点については説明を簡略化し、相違点が存在するステップS2について説明する。
【0179】
第5の変形例に係るステップS2では、保持ユニット21によってワークWを貼付けユニット9へ搬入されると、制御部33は保持テーブル13Cを上昇させる。保持ユニット21はワークWに回路J1~J6が形成されている凹凸領域Bdと保持テーブル13Bに変形部材51が形成されている領域とが対向し、かつ、ワークWにデバイスDbが形成されている凹凸領域Bcと保持テーブル13Bに凹部41が形成されている領域が対向するように、水平方向におけるワークWの位置を合わせる。位置合わせが完了した後、制御部33は保持アーム23を下降させる。
【0180】
保持アーム23が下降することによって、凹凸領域BcにおいてワークWのベース部Bから下方へ突出しているデバイスDbは、図47に示すように凹部41へと嵌入される。また、凹凸領域BdにおいてワークWのベース部Bから下方へ突出している回路J1~J6は、変形部材51の上面(ワーク保持面40)に当接する。そして保持アーム23がさらに下降することにより、図48に示すように、変形部材51は被保持面Wbの凹凸形状に応じて変形し、回路J1~J6は変形部材51に沈み込んでいく。
【0181】
このとき、変形部材51は回路J1~J6の突出高さに応じて変形する。すなわちベース部Bの被保持面Wbからの突出高さが比較的高い回路J1に対向する部分の変形部材51は、比較的深く沈み込むように変形する。一方、ベース部Bからの突出高さが比較的高い回路J2に対向する部分の変形部材51は、比較的浅く沈み込むように変形する。その結果、平坦な状態となっているワークWのベース部Bがワーク保持面40に当接する。保持テーブル13のワーク保持面40は平坦であり水平方向に拡がっている。また、ワークWのベース部Bは平坦な状態である。そのためベース部Bおよびワーク保持面40を介してワークWを保持テーブル13Cで保持することにより、ワークWのテープ貼付面Waは高い精度で水平な状態となる。
【0182】
このように、第5の変形例では変形部材51が変形することにより、凹凸領域Bdの凹凸形状に起因してワークWが傾斜状態となることを防止できる。また、凹凸領域Bcに形成されているデバイスDbは凹部41に嵌入されているので、ワーク保持面40がデバイスDbを支持することを回避できる。すなわち、凹凸領域Bcの凹凸形状に起因してワークWが傾斜状態となることを防止できる。言い換えると、デバイスDbがワーク保持面40で支持されることによってワークWが傾斜状態となることを防止できる。ワークWを保持テーブル13Cのワーク保持面40に載置させると、保持アーム23はワークWの吸着保持を解除して上昇する。ワークWを保持テーブル13Cに保持させることにより、第5の変形例に係るステップS2の工程は完了する。以降、実施例1と同様にステップS3~S7の工程を実行することにより、ワークWに粘着テープPTが貼り付けられる。
【0183】
(6)各実施例において、貼付けユニット9は真空装置31を備え、下空間H1および上空間H2を真空装置31で減圧した後に上空間H2の気圧を大気圧に近づけることで差圧Gsを発生させる構成を例として示したが、差圧Gsを発生させる構成はこれに限られない。ここでは実施例1に係る粘着テープ貼付け装置1が備える貼付けユニット9の代わりに、第6の変形例として貼付けユニット9Bを備える粘着テープ貼付け装置1について説明する。
【0184】
第6の変形例に係る貼付けユニット9Bは、図49に示すように、真空装置31に加えて加圧装置32を備えている。すなわち貼付けユニット9Bにおいて、保持テーブル13Bはチャンバ29の外部に配備されている真空装置31および加圧装置32の各々と連通接続されている。
【0185】
貼付けユニット9Bにおいて、下ハウジング29Aは減圧用の流路121と連通接続されており、上ハウジング29Bは減圧用の流路122と連通接続されている。流路121および流路122は、いずれも減圧用の流路101を介して真空装置31と連通接続されている。すなわち、下ハウジング29Aは流路101および流路121を介して減圧用の真空装置31と連通接続されている。そして上ハウジング29Bは流路101および流路122を介して減圧用の真空装置31と連通接続されている。
【0186】
さらに、下ハウジング29Aは加圧用の流路123と連通接続されており、上ハウジング29Bは加圧用の流路124と連通接続されている。流路123および流路124は、いずれも加圧用の流路102を介して加圧装置32と連通接続されている。すなわち、下ハウジング29Aは流路102および流路123を介して加圧装置32と連通接続されている。そして上ハウジング29Bは流路102および流路124を介して加圧装置32と連通接続されている。
【0187】
第6の変形例に係る粘着テープ貼付け装置1を用いて粘着テープPTをワークWに貼り付ける工程は実施例1と基本的に共通しており、図7に示されるフローチャートに沿って行われる。但し、ステップS6において差圧Gsを発生させる工程が実施例1などと相違する。ここでは相違点が存在するステップS6について説明する。
【0188】
第6の変形例に係るステップS6では、制御部33によって保持テーブル13を僅かに上昇させてワークWを粘着テープPTに近づけるとともに、貼付けユニット9Bにおいてチャンバ29内の気圧を調整させる。
【0189】
貼付けユニット9Bにおいてチャンバ29内の気圧を調整して差圧を発生させる場合、まず制御部33は図25に示す電磁バルブ105、107、110、を閉じるとともに、電磁バルブ103および113を開く。そして制御部33は真空装置31を作動させて下空間H1内の気圧と上空間H2内の気圧とを所定値まで減圧する。所定値の例として、10Pa~100Paが挙げられる。
【0190】
下空間H1および上空間H2の気圧が所定値まで減圧されると、制御部33は、電磁バルブ103を閉じるとともに、真空装置31の作動を停止する。そして制御部33は、下空間H1の気圧より上空間H2の気圧の方が高くなるよう、下空間H1に接続されている電磁バルブ103、105、107、113を閉じたまま、上空間H2に接続されている電磁バルブ110をリークさせて上空間H2の気圧を大気圧(1気圧)まで上昇させる。
【0191】
上空間H2の気圧を1気圧に上昇させた後、さらに制御部33は図25に示す電磁バルブ103、105、107、110、113を閉じるとともに、電磁バルブ104および124を開放させる。そして制御部33は加圧装置32を作動させて上空間H2に気体を供給し、上空間H2を特定値PNにまで加圧する。特定値PNの例として0.3MPa~0.6MPaが挙げられる。加圧装置32が加圧操作を行うことにより、上空間H2の気圧は大気圧より高くなる。
【0192】
下空間H1を減圧させた状態で上空間H2を大気圧以上に加圧することにより、両空間の間に1気圧以上の差圧Gsが発生する(図13を参照)。差圧の大きさの一例として、0.3MPa以上0.7MPa未満が挙げられる。貼付けユニット9Bでは加圧装置32を用いることにより差圧Gsの大きさを1気圧以上に高めることができる。
【0193】
なお、1気圧以上の差圧Gsを発生させるのであれば、下空間H1を大気圧より低い気圧に調整する構成に限ることはなく下空間H1を適宜加圧してもよい。すなわち電磁バルブ124を開放させるとともに電磁バルブ114の開度を適宜調整し、加圧装置32によって下空間H1にも気体を供給してもよい。
【0194】
差圧Gsが発生することにより、貼付け部材Pにおいて搬送用シートTは下ハウジング29Aの側へ引き込まれていく。このとき搬送用シートTに保持されている粘着テープPTは水平状態を保ちつつ、ワークWのテープ貼付面Waへと近づいていく。ワークWは凹部41を備える保持テーブル13によって高い精度で水平状態となるように保持されている。
【0195】
そのため、ワークWと粘着テープPTとは高い精度で平行な状態を保ちつつ近づいていき、差圧Gsによって粘着テープPTがワークWに押圧される。そしてワークWの表面から突出しているデバイスDaは、差圧Gsによって粘着テープPTの粘着材Pbの層に埋め込まれていく。このように差圧Gsを一定時間作用させることにより、ワークWのテープ貼付面Waに粘着テープPTが貼り付けられる。粘着テープPTがワークWに貼り付けられることにより、貼付け部材PとワークWとが一体となったワーク複合体WFが形成され、ステップS6に係る貼付け過程は完了する。
【0196】
このように、第6の変形例では加圧装置32を備える貼付けユニット9Bにより、少なくとも上空間H2に気体を供給して気圧を1気圧より大きくすることができる。真空装置31のみを備える貼付けユニット9では上空間H2の気圧を1気圧以上にすることができないので、差圧Gsの大きさは1気圧以下に限られる。一方、貼付けユニット9Bでは上空間H2と下空間H1との間の差圧Gsを1気圧より大きくすることができる。加圧装置32を用いて差圧Gsを1気圧より大きくすることで、ステップS6において粘着テープPTからウエハWへと作用させる押圧力をより大きくできる。従って、粘着テープPTを貼り付ける過程において、粘着テープPTとワークWとの間の密着性をより高めることができる。
【0197】
(7)各実施例のステップS5について、加温部材77を搬送用シートT(第1の変形例では粘着テープPT)に当接させて粘着テープPTを加温する構成、すなわち加温部材77を搬送用シートTなどに接触させた状態で粘着テープPTを加温する構成を例として示したがこれに限られない。すなわちステップS5において、加温部材77を搬送用シートTなどに近接させた状態で粘着テープPTを加温してもよい。言い換えると、加温部材77を搬送用シートTなどに非接触かつ十分に近づいている状態で粘着テープPTを加温してもよい。
【符号の説明】
【0198】
1 … 粘着テープ貼付け装置
3 … ワーク搬送機構
5 … 容器
6 … 複合体回収部
7 … アライナ
9 … 貼付けユニット
11 … フレーム供給部
13 … 保持テーブル
16 … ワーク搬送装置
17 … フレーム搬送装置
21 … 保持ユニット
23 … 保持アーム
27 … 吸着プレート
28 … 吸着パッド
29 … チャンバ
29A … 下ハウジング
29B … 上ハウジング
31 … 真空装置
32 … 加圧装置
33 … 制御部
39 … ワーク支持部
40 … ワーク保持面
41 … 凹部
51 … 変形部材
53 … テープ供給部
54 … シート貼付け機構
55 … テープ切断機構
57 … テープ回収部
64 … 貼付けローラ
71 … 押圧プレート
73 … 加温機構
77 … 近接部材
79 … ヒータ
W … ワーク
Wa … テープ貼付面
Wb … 被貼付面
Da … デバイス
Db … デバイス
f … リングフレーム
P … 貼付け部材
T … 搬送用シート
PT … 粘着テープ
WF … ワーク複合体
Tn … 不要シート


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49