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特開2024-67443加飾シート、基材シート、基材シートの製造方法及び加飾シートの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067443
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】加飾シート、基材シート、基材シートの製造方法及び加飾シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 33/00 20060101AFI20240510BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B32B33/00
B29C45/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177517
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 晋
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】大曲 景吾
(72)【発明者】
【氏名】秋山 健太郎
【テーマコード(参考)】
4F100
4F206
【Fターム(参考)】
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA41A
4F100DD03A
4F100DD03B
4F100DD22A
4F100EJ08
4F100EJ39
4F100HB00B
4F100HB31B
4F100JB12B
4F100JB14B
4F100JK15B
4F100YY00A
4F206AA36
4F206AC03
4F206AD05
4F206AD09
4F206AD10
4F206AD20
4F206AF01
4F206AF16
4F206AG01
4F206AG03
4F206AG28
4F206AR07
4F206JA07
4F206JB12
4F206JB19
4F206JL02
(57)【要約】
【課題】正確な位置合わせが可能な加飾シートを提供する。
【解決手段】加飾シート5は、アライメントマーク領域RLを含む第1層10と、第1層10に重ねられた第2層20と、を含む。第1層10は、アライメントマーク領域RLに気泡BBを含む。第2層20は、加飾層40を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アライメントマーク領域を含む第1層と、
前記第1層に重ねられた第2層と、を備え、
前記第1層は、前記アライメントマーク領域に気泡を含み、
前記第2層は、加飾層を含む、加飾シート。
【請求項2】
前記第1層は、シート状のベース部と、前記アライメントマーク領域において前記ベース部から前記第2層に向けて突出する凸部と、を含み、
前記第1層は、前記凸部内及び前記凸部に重なる前記ベース部内の少なくとも一方に前記気泡を含む、請求項1に記載の加飾シート。
【請求項3】
前記第1層は、隣り合う前記凸部の間となる部分に対面する位置に気泡を含む、請求項2に記載の加飾シート。
【請求項4】
前記凸部同士は、互いから離れている、請求項2に記載の加飾シート。
【請求項5】
前記凸部の幅は、前記気泡の幅よりも大きい、請求項2に記載の加飾シート。
【請求項6】
前記凸部の幅は、2μm以上25μm以下である、請求項2に記載の加飾シート。
【請求項7】
前記凸部の高さは、1μm以上10μm以下である、請求項2に記載の加飾シート。
【請求項8】
前記第1層は、前記アライメントマーク領域外となる領域に前記第2層に向けて突出する第2凸部を含み、
前記第2凸部は、前記加飾層と重なる部分に位置している、請求項2に記載の加飾シート。
【請求項9】
前記第2凸部の幅は、前記凸部の幅よりも大きい、請求項8に記載の加飾シート。
【請求項10】
前記第2凸部の高さは、前記凸部の高さよりも大きい、請求項8に記載の加飾シート。
【請求項11】
前記第2層は、第1面と、前記第1面とは反対の第2面と、を含み、
前記第2層は、前記第2面において前記第1層に対面し、
前記第1面は、前記アライメントマーク領域に重なる部分において、平坦である、請求項1に記載の加飾シート。
【請求項12】
前記加飾層は、前記第2凸部に対応する第2凹部を含む賦型樹脂層を含む、請求項8に記載の加飾シート。
【請求項13】
前記加飾層は、前記賦型樹脂層に重ねられた印刷層を含む、請求項12に記載の加飾シート。
【請求項14】
アライメントマーク領域を備え、
前記アライメントマーク領域に気泡を含む、基材シート。
【請求項15】
前記アライメントマーク領域には、前記基材シートの法線方向に突出する凸部が設けられ、
前記気泡は、前記凸部内及び前記凸部に対面する位置の少なくともいずれか一方に位置する、請求項14に記載の基材シート。
【請求項16】
版凹部を含む版面に硬化性樹脂組成物を供給する工程と、
前記硬化性樹脂組成物を硬化させる工程と、を備え、
硬化性樹脂組成物内に気泡が存在する状態で、前記硬化性樹脂組成物を硬化させる、基材シートの製造方法。
【請求項17】
前記版凹部は、前記版面のアライメントマーク形成領域に位置する第1版凹部と、前記版面の線状模様形成領域に位置する第2版凹部と、を含む、請求項16に記載の基材シートの製造方法。
【請求項18】
請求項16に記載の製造方法にて前記基材シートを製造する工程と、
前記基材シート上に供給された硬化性樹脂組成物を硬化させることによって、前記基材シートに重ねられた層を作製する工程と、を備え、
前記基材シートは、前記気泡が含まれているアライメントマーク領域を含み、
前記硬化性樹脂組成物は、前記アライメントマーク領域の位置を検出することによって位置決めされた前記基材シート上に供給される、加飾シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加飾シート、基材シート、基材シートの製造方法及び加飾シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、凹凸を有する基材層と、基材層の凹凸を有する面上に位置する転写層と、を有する加飾シートが提案されている。特許文献1において、基材層の凹凸は、転写層の作製時や加飾シートのその後の取り扱い時におけるアライメントマークとして使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-30993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、基材層の凹凸は転写層の作製時等に平坦化する可能性がある。凹凸が平坦化すると、加飾シートを正確に位置合わせできない。本開示は、正確な位置合わせが可能な加飾シートの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施の形態による加飾シートは、
アライメントマーク領域を含む第1層と、
前記第1層に重ねられた第2層と、を備え、
前記第1層は、前記アライメントマーク領域に気泡を含み、
前記第2層は、加飾層を含む。
【0006】
本開示の一実施の形態による基材シートは、
アライメントマーク領域を備え、
前記アライメントマーク領域に気泡を含む。
【0007】
本開示の一実施の形態による基材シートの製造方法は、
版凹部を含む版面に硬化性樹脂組成物を供給する工程と、
前記硬化性樹脂組成物を硬化させる工程と、を備え、
硬化性樹脂組成物内に気泡が存在する状態で、前記硬化性樹脂組成物を硬化させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、加飾シートを正確に位置合わせできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施の形態を説明するための図であって、加飾シートの一具体例を示す図である。
図2図2は、図1の加飾シートのA部拡大平面図である。
図3図3は、図2の加飾シートのIII-III線による断面図である。
図4図4は、図1の加飾シートに含まれる第1層のアライメントマーク領域を示す平面図である。
図5図5は、図1の加飾シートのV-V線による断面図である。
図6図6は、図1の加飾シートの第2層によって表示された線状模様を示す平面図である。
図7図7は、図1に示された加飾シートの製造に使用可能な版を示す斜視図である。
図8図8は、加飾シートの製造方法の一例を示す図であって、第1層を作製する方法を説明する図である。
図9図9は、加飾シートの製造方法の一例を示す図であって、第1層のアライメントマーク領域を作製する方法を説明する図である。
図10図10は、加飾シートの製造方法の一例を示す図であって、印刷層を形成する方法を説明する図である。
図11図11は、加飾部材の製造方法の一例を示す図であって、射出成形により加飾シートに接合した熱可塑性樹脂部を作製する方法を説明する図である。
図12図12は、加飾部材の製造方法の一例を示す図であって、射出成形により加飾シートに接合した熱可塑性樹脂部を作製する方法を説明する図である。
図13図13は、加飾部材の製造方法の一例を示す図であって、射出成形により加飾シートに接合した熱可塑性樹脂部を作製する方法を説明する図である。
図14図14は、加飾部材の製造方法の一例を示す図であって、射出成形により加飾シートに接合した熱可塑性樹脂部を作製する方法を説明する図である。
図15図15は、加飾部材の製造方法の一例を示す図である。
図16図16は、加飾シートの他の例を示す断面図である。
図17図17は、アライメントマーク領域における第1層の他の例を示す平面図である。
図18図18は、加飾シートのさらに他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一実施の形態は、次の[1]~[18]に関する。
【0011】
[1] アライメントマーク領域を含む第1層と、
前記第1層に重ねられた第2層と、を備え、
前記第1層は、前記アライメントマーク領域に気泡を含み、
前記第2層は、加飾層を含む、加飾シート。
【0012】
[2] 前記第1層は、シート状のベース部と、前記アライメントマーク領域において前記ベース部から前記第2層に向けて突出する凸部と、を含み、
前記第1層は、前記凸部内及び前記凸部に重なる前記ベース部内の少なくとも一方に前記気泡を含む、[1]の加飾シート。
【0013】
[3] 前記第1層は、隣り合う前記凸部の間となる部分に対面する位置に気泡を含む、[2]の加飾シート。
【0014】
[4] 前記凸部同士は、互いから離れている、[2]又は[3]の加飾シート。
【0015】
[5] 前記凸部の幅は、前記気泡の幅よりも大きい、[2]~[4]のいずれかの加飾シート。
【0016】
[6] 前記凸部の幅は、2μm以上25μm以下である、[2]~[5]のいずれかの加飾シート。
【0017】
[7] 前記凸部の高さは、1μm以上10μm以下である、[2]~[6]のいずれかの加飾シート。
【0018】
[8] 前記第1層は、前記アライメントマーク領域外となる領域に前記第2層に向けて突出する第2凸部を含み、
前記第2凸部は、前記加飾層と重なる部分に位置している、[2]~[7]のいずれかの加飾シート。
【0019】
[9] 前記第2凸部の幅は、前記凸部の幅よりも大きい、[8]の加飾シート。
【0020】
[10] 前記第2凸部の高さは、前記凸部の高さよりも大きい、[8]又は[9]の加飾シート。
【0021】
[11] 前記第2層は、第1面と、前記第1面とは反対の第2面と、を含み、
前記第2層は、前記第2面において前記第1層に対面し、
前記第1面は、前記アライメントマーク領域に重なる部分において、平坦である、[1]~[10]のいずれかの加飾シート。
【0022】
[12] 前記加飾層は、前記第2凸部に対応する第2凹部を含む賦型樹脂層を含む、[8]~[10]のいずれかの加飾シート。
【0023】
[13] 前記加飾層は、前記賦型樹脂層に重ねられた印刷層を含む、[12]の加飾シート。
【0024】
[14] アライメントマーク領域を備え、
前記アライメントマーク領域に気泡を含む、基材シート。
【0025】
[15] 前記アライメントマーク領域には、前記基材シートの法線方向に突出する凸部が設けられ、
前記気泡は、前記凸部内及び前記凸部に対面する位置の少なくともいずれか一方に位置する、[14]の基材シート。
【0026】
[16] 版凹部を含む版面に硬化性樹脂組成物を供給する工程と、
前記硬化性樹脂組成物を硬化させる工程と、を備え、
硬化性樹脂組成物内に気泡が存在する状態で、前記硬化性樹脂組成物を硬化させる、基材シートの製造方法。
【0027】
[17] 前記版凹部は、前記版面のアライメントマーク形成領域に位置する第1版凹部と、前記版面の線状模様形成領域に位置する第2版凹部と、を含む、[16]の基材シートの製造方法。
【0028】
[18] [16]又は[17]の製造方法にて前記基材シートを製造する工程と、
前記基材シート上に供給された硬化性樹脂組成物を硬化させることによって、前記基材シートに重ねられた層を作製する工程と、を備え、
前記基材シートは、前記気泡が含まれているアライメントマーク領域を含み、
前記硬化性樹脂組成物は、前記アライメントマーク領域の位置を検出することによって位置決めされた前記基材シート上に供給される、加飾シートの製造方法。
【0029】
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。また、一部の図において示された構成等が、他の図において省略されていることもある。
【0030】
本明細書において、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に限定されることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈される。
【0031】
本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されない。
【0032】
本明細書において、「シート面(フィルム面、板面)」とは、対象となるシート状(フィルム状、板状)の部材を全体的に見た場合において、当該シート状(フィルム状、板状)の部材の平面と一致する面を意味する。また、シート状(フィルム状、板状)の部材に対して使用する「法線方向」とは、当該シート状(フィルム状、板状)の部材のシート面(フィルム面、板面)への法線方向を意味する。
【0033】
方向の関係を図面間で明確にするため、いくつかの図面には、共通する符号を付した矢印により共通する方向を示している。図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面から手前に向かう矢印を、例えば図1に示すように、円の中に点を設けた記号により示した。図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面の奥に向かう矢印を、例えば図5に示すように、円の中に×を設けた記号により示した。
【0034】
本明細書において、あるパラメータに関して複数の上限値の候補及び複数の下限値の候補が挙げられている場合、そのパラメータの数値範囲は、任意の1つの上限値の候補と任意の1つの下限値の候補とを組み合わせることによって構成されてもよい。一例として、「パラメータBは、A1以上でもよく、A2以上でもよく、A3以上でもよい。」及び「パラメータBは、A4以下でもよく、A5以下でもよく、A6以下でもよい。」との記載について検討する。この例において、パラメータBの数値範囲は、A1以上A4以下でもよく、A1以上A5以下でもよく、A1以上A6以下でもよく、A2以上A4以下でもよく、A2以上A5以下でもよく、A2以上A6以下でもよく、A3以上A4以下でもよく、A3以上A5以下でもよく、A3以上A6以下でもよい。
【0035】
図18に示すように、一実施の形態による加飾シート5は、アライメントマーク領域RLを含む第1層10と、第1層10に重ねられた第2層20と、を含んでいる。第1層10は、アライメントマーク領域RLに気泡BBを含んでいる。第2層20は、加飾層40を含んでいる。図18は、アライメントマーク領域RLにおける加飾シート5を示している。加飾シート5は、図1図5に示された具体例のように、上述した層以外の層を含んでもよい。以下、図1図5に示された具体例を参照しつつ、一実施の形態を説明する。
【0036】
図1図5は、一実施の形態の一具体例を説明する図である。図1は、加飾シート5を示す平面図である。加飾シート5は、シート状である。加飾シート5は、第1方向D1、及び第1方向D1に直交する第2方向D2に広がっている。加飾シート5は、第1面5aと、第1面5aとは反対の第2面5bと、を含んでいる。第1面5a及び第2面5bは、加飾シート5の主面である。第1面5a及び第2面5bは、第3方向D3に対向している。第3方向D3は、第1方向D1に直交している。第3方向D3は、第2方向D2に直交している。図1では、加飾シート5の第1面5aが示されている。加飾シート5は、第1方向D1と平行な方向に長手方向を有している。
【0037】
加飾シート5は、加飾シート5の適用対象に意匠性を付与する。加飾シート5は、種々の用途に適用される。加飾シート5は、自動車、バイク、自転車、三輪車、電車、航空機、船舶、雪上車、産業用ロボット、ドローン等の移動体に適用されてもよい。加飾シート5は、移動体の外装もしくは内装に適用されてもよい。加飾シート5は、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、テレビ、食洗器等の家電製品に適用されてもよい。加飾シート5は、建物の内装として、壁、扉、天井等に適用されてもよい。加飾シート5は、その全体が適用対象に使用されてもよい。加飾シート5は、第1方向D1及び第2方向D2の一方または両方の一部分となる領域のみが適用対象に使用されてもよい。加飾シート5は、その厚み方向である第3方向D3における一部分のみが適用対象に使用されてもよい。この例において、第3方向D3における一部分が、転写層として、被転写体となる対象物に転写されてもよい。
【0038】
加飾シート5と、加飾シート5に重ねられた熱可塑性樹脂部7とによって、加飾部材50が構成されてもよい。詳しくは後述するように、加飾シート5の一部分が熱可塑性樹脂部7に転写されることによって、加飾シート5の一部分と熱可塑性樹脂部7とを含む加飾部材50が構成されてもよい。
【0039】
図1に示すように、加飾シート5は、長尺の長尺加飾シート1の一部分でもよい。長尺加飾シート1は、第1方向D1に長手方向を有している。長尺加飾シート1は、複数の加飾シート5を含んでいる。長尺加飾シート1から、複数の加飾シート5が断裁されてもよい。長尺加飾シート1において、複数の加飾シート5が、第1方向D1に隣接してもよい。長尺加飾シート1は、第2方向D2に平行な巻取軸線ASを中心として、巻取コアに巻き取られてもよい。巻取コアに巻き取られた加飾シート1は、ロール状の形状を有している。巻取コアに巻き取られた長尺加飾シート1は、巻体1Rである。図1に示す例において、長尺加飾シート1の巻体1Rから、加飾シート5が第1方向D1に引き出されている。
【0040】
「長尺」とは、長尺加飾シート1や後述の長尺基材シート2等の対象物を広げた状態において、5m以上の長さを有することを意味する。長尺加飾シート1や長尺基材シート2は、10m以上の長さを有してもよく、100m以上の長さを有してもよい。図1に示すように、長尺加飾シート1及び長尺基材シート2は長手方向を含んでいる。「長手方向」とは、対象物を広げた状態において、最も長い端縁に沿った方向を意味する。長尺加飾シート1及び長尺基材シート2は短手方向を含んでもよい。「短手方向」とは、対象物を広げた状態において、最小の長さが得られる方向を意味する。図示された例において、第1方向D1が、長尺加飾シート1、長尺基材シート2、これらの構成要素となる各層の長手方向となっている。図示された例において、第2方向D2が、長尺加飾シート1、長尺基材シート2、これらの構成要素となる各層の短手方向となっている。
【0041】
加飾シート5は、長尺加飾シート1から断裁されてもよい。加飾シート5は、長尺加飾シート1を長手方向に直交する方向に断裁することによって、加飾シート5を得てもよい。図1に示す例において、長尺加飾シート1は、図中に二点鎖線を用いて示すように、第2方向D2に断裁されてもよい。
【0042】
図1図5に示す例において、加飾シート5は、第1層10と、第1層10に重ねられた第2層20と、を含んでいる。第1層10及び第2層20は、いずれも、第1方向D1及び第2方向D2に広がっている。第2層20は、第1方向D1及び第2方向D2の両方向に直交する第3方向D3において、第1層10に重ねられている。図示された例において、第3方向D3は積層方向となっている。加飾シート5の第1面5aは、第2層20によって構成されている。加飾シート5の第2面5bは、第1層10によって構成されている。第1層10は、複数の層を含んでもよい。第2層20は、複数の層を含んでもよい。
【0043】
図3に示す例において、加飾シート5は、第1層10と第2層20との間に被覆層30を含んでいる。被覆層30は、シリコーン等の離型性を有した材料を含む離型層として機能してもよい。加飾シート5が離型層を含むことで、第1層10に重ねられた第2層20を、第1層10から容易に剥離できる。
【0044】
図1図5に示す例において、第1層10は、第1方向D1及び第2方向D2に広がるシート状の部材である。第1層10は、基材シートと称呼されてもよい。第1層(基材シート)10は、長尺の長尺基材シート2の一部分でもよい。長尺基材シート2は、巻取コアに巻き取られてもよい。長尺基材シート2は、巻取コアに巻き取られた巻体2Rとして取り扱われてもよい。
【0045】
第1層10は、第1面10aと、第1面10aとは反対の第2面10bと、を有している。図示された例において、第1面10aは、被覆層30を介して第2層20に対面している。第2面10bは、加飾シート5の第2面5bを構成している。
【0046】
図1図5に示す例において、ベース層11と、ベース層11に重なる樹脂層12と、を含んでいる。ベース層11は、第1層10の第2面10bを構成している。樹脂層12は、第1層10の第1面10aを構成している。ベース層11及び樹脂層12については、後述する。
【0047】
第1層10は、アライメントマーク領域RLを含む。図1に示す例において、アライメントマーク領域RLは、加飾シート5の第1方向D1及び第2方向D2における隅部に位置している。アライメントマーク領域RLは、加飾シート5の第1面5aを平面視したとき、すなわち積層方向である第3方向D3から観察したとき、第2層20越しに観察可能でもよい。
【0048】
アライメントマーク領域RLには、アライメントマークALが形成されている。アライメントマークALは、後述するように、気泡BBを含んでいる。アライメントマークALは、加飾シート5の位置合わせに使用されてもよい。すなわち、加飾シート5の位置が、アライメントマークALによって決定されてもよい。図1図5に示す例において、加飾シート5の第1方向D1における位置が、アライメントマークALによって決定されてもよい。加飾シート5の第2方向D2における位置が、アライメントマークALによって決定されてもよい。すなわち加飾シート5内の各位置の座標が、アライメントマークALを基準として特定されてもよい。加飾シート5の位置合わせは、加飾シート5を加工する際に実施されてもよい。加飾シート5の位置合わせは、長尺加飾シート1から加飾シート5を断裁する工程に含まれてもよく、加飾シート5に熱可塑性樹脂部7を重ねる工程に含まれてもよく、加飾シート5の一部分を熱可塑性樹脂部7に転写する工程に含まれてもよい。
【0049】
アライメントマークALは、第1層10の位置合わせに使用されてもよい。すなわち、第1層10の位置が、アライメントマークALによって決定されてもよい。図1図5に示す例において、第1層10の第1方向D1における位置が、アライメントマークALによって決定されてもよい。第1層10の第2方向D2における位置が、アライメントマークALによって決定されてもよい。すなわち第1層10内の各位置の座標が、アライメントマークALを基準として特定されてもよい。第1層10の位置合わせは、第1層10を加工する際に実施されてもよい。第1層10の位置合わせは、第1層10に重ねられた第2層20を作製する工程に含まれてもよい。
【0050】
第1層10は、アライメントマーク領域RL以外の領域を含んでもよい。図1及び図5に示す例において、第1層10は、転写領域RTを含んでいる。転写領域RTは、加飾シート5の第1方向D1における中央部分に位置している。転写領域RTは、加飾シート5の第2方向D2における中央部分に位置している。転写領域RTは、加飾シート5の第1方向D1における中央部分以外の部分に位置してもよい。転写領域RTは、加飾シート5の第2方向D2における中央部分以外の部分に位置してもよい。図示された例において、加飾シート5を適用対象に適用する際、加飾シート5から断裁された加飾シート5のみが使用されてもよい。
【0051】
第1層10は、シート状のベース部10bと、アライメントマーク領域RLにおいてベース部10bから第2層20に向けて突出する第1凸部(凸部)10sと、を含んでもよい。第1層10は、アライメントマーク領域RL以外の領域において、シート状のベース部10bと、ベース部10bから第2層20に向けて突出する第2凸部10tと、を含んでもよい。図示された例では、第1層10は、ベース部10bとして、後述するベース層11と、樹脂層12のランド部12bと、を含んでいる。第1層10は、アライメントマーク領域RLにおいて、第1凸部10sとして、後述する樹脂層12の第1樹脂凸部12sを含んでいる。第1層10は、転写領域RTにおいて、第2凸部10tとして、樹脂層12の第2樹脂凸部12tを含んでいる。
【0052】
図1図5に示す例において、ベース層11は、第1方向D1及び第2方向D2に広がっている。ベース層11は、長尺の長尺ベース層の一部分でもよい。ベース層11は、樹脂層12を支持する。ベース層11は、第1層10の樹脂層12以外の層を支持してもよい。ベース層11は、加飾シート5の第2層20を支持してもよい。ベース層11は、アライメントマーク領域RLにおいて、平坦でもよい。ベース層11は、転写領域RTにおいて、平坦でもよい。ベース層11は、アライメントマーク領域RL及び転写領域RT以外の領域において、平坦でもよい。ベース層11は、一対の平行な主面を含む平坦なシートでもよい。
【0053】
なお、加飾シート5の或る構成要素に対して使用する「平坦」とは、当該構成要素のRaが0.2μm以下であることを意味する。ここで、Raは、JIS B 0601(2013)に準拠した算術平均粗さ(μm)である。Raは、ZYGO製の走査型白色干渉計(NewView6300)を用いて、16μm角の平面において測定される。
【0054】
ベース層11は、透明でもよい。なお、加飾シート5の或る構成要素が「透明」であるとは、当該構成要素の可視光透過率が50%以上であることを意味し、70%以上でもよく、80%以上でもよい。可視光透過率は、JIS K 7361に準拠したヘイズメーター((株)村上色彩技術研究所製、製品番号:HM-150)を用いて測定波長380nm以上780nm以下の範囲内で、1nm毎に入射角0°で測定したときの、各波長における全光線透過率の平均値である。入射角は、測定対象の法線方向と入射光の光路との間の角度である。
【0055】
ベース層11として、種々の材料を使用してもよい。ベース層11は、樹脂を含んでもよい。ベース層11は、単層または複数層の樹脂フィルムでもよい。ベース層11に含まれる樹脂として、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル(PMMA)、ポリ(メタ)アクリル酸エチル(PEMA)等のアクリル系樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスチレン(PS)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、アクリルニトリル-スチレン共重合体(AS)、アクリルニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、アクリルニトリル-エチレン-スチレン共重合体(AES)、ポリカーボネート(PC)等が例示される。ベース層11は、上述した1種の樹脂のみを含んでもよく、上述した2種以上の樹脂を含んでもよい。
【0056】
ベース層11による支持の安定性、第1層10の成形性、及び加飾シート5の成形性といった観点から、ベース層11の厚さは、12μm以上でもよく、25μm以上でもよく、125μm以下でもよく、250μm以下でもよい。
【0057】
図3及び図4に示す例において、樹脂層12は、ベース層11に重ねられている。樹脂層12は、母材120として樹脂を含んでいる。母材120に含まれる樹脂は、透明である。母材120に含まれる樹脂は、硬化性樹脂組成物の硬化物でもよい。硬化性樹脂組成物の硬化物は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物でもよいし、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物でもよい。電離放射線硬化性樹脂組成物は、電子線硬化性樹脂組成物でもよく、紫外線硬化性樹脂組成物でもよい。図3図5に示す例において、樹脂層12は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含んでいる。
【0058】
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱によって硬化する樹脂組成物である。熱硬化性樹脂として、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が例示される。熱硬化性樹脂組成物には、これら熱硬化性樹脂に加えて、硬化剤及び硬化触媒等が添加されてもよい。
【0059】
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基は、電離放射線の照射によって架橋硬化する基である。電離放射線硬化性官能基として、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基が例示される。電離放射線硬化性官能基として、エポキシ基または及びオキセタニル基も例示される。電離放射線とは、電磁波または荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味する。電離放射線として、紫外線(UV)または電子線(EB)が例示される。電離放射線として、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も例示される。
【0060】
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合、電離放射線硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含んでもよい。光重合開始剤は、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサントン類等から選ばれる1種以上でもよい。光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができる。光重合促進剤は、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上でもよい。
【0061】
図2図4に示す例において、樹脂層12は、アライメントマーク領域RLにおいて、母材120内に分散した複数の気泡BBを含んでいる。図3に示すように、複数の気泡BBの各々は、母材120によって囲まれている。図2では、母材120内に分散した複数の気泡BBが、第1方向D1及び第2方向D2に互いから離れている。
【0062】
気泡BBは、アライメントマークALを形成する。気泡BBの屈折率は、母材120に含まれる樹脂の屈折率と異なっている。気泡BBと母材120との屈折率差により、アライメントマーク領域RLに入射する光は、母材120と気泡BBとの界面において、反射し得る。母材120と気泡BBとの屈折率差により、アライメントマーク領域RLを通過する光は、母材120と気泡BBとの界面において、屈折し得る。
【0063】
母材120と気泡BBとの界面における光の反射により、アライメントマーク領域RLにおける第1層10からの反射光の光量と、アライメントマーク領域RL以外の領域における第1層10からの反射光の光量と、の間に差分が生じる。母材120と気泡BBとの界面における光の反射により、アライメントマーク領域RLにおいて第1層10を透過した透過光の光量と、アライメントマーク領域RL以外の領域において第1層10を透過した透過光の光量と、の間に差分が生じる。このような反射光の光量差、または透過光の光量差によって、第1層10におけるアライメントマーク領域RLが検出され得る。あるいは、反射率または透過率の差によって、第1層10におけるアライメントマーク領域RLが検出され得る。すなわち、気泡BBによって形成されたアライメントマークALによって、第1層10の位置合わせ、及び第1層10を含む加飾シート5の位置合わせが可能となる。
【0064】
アライメントマーク領域RLは、位置検出手段によって検出されてもよい。位置検出手段は、光電センサを含んでもよい。光電センサは、第1層10からの反射光の光量や反射率を測定可能でもよい。光電センサは、第1層10を透過した透過光の光量や透過率を測定可能でもよい。
【0065】
第1層10のアライメントマーク領域RLにおける気泡BBの数は、第1層10のアライメントマーク領域RL以外における気泡BBの数と異なっている。第1層10のアライメントマーク領域RL以外の領域における気泡BBの数は、第1層10のアライメントマーク領域RLにおける気泡BBの数より少なくてもよい。第1層10のアライメントマーク領域RL以外の領域における気泡BBの数は、第1層10のアライメントマーク領域RLにおける気泡BBの数の50%以下でもよく、25%以下でもよい。あるいは、アライメントマーク領域RL以外の領域における気泡BBの数は、ゼロでもよい。すなわち、第1層10のアライメントマーク領域RL以外の領域には、気泡BBが含まれなくてもよい。
【0066】
第1層10の各領域間での比較において用いられる気泡BBの数は、第1層10の各領域の平面視における100μm四方の範囲を異なる10視野において観察したときに、各視野において観察される1μm以上の最大寸法を有する気泡の数の平均値として算出される。各視野における気泡の数は、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製:VH5500)を用いて1000倍の倍率にて観察される。
【0067】
第1層10のアライメントマーク領域RLにおける気泡BBの面積割合、すなわちアライメントマーク領域RLを平面視したときの第1層10の面積に占める気泡BBの面積の割合は、第1層10のアライメントマーク領域RL以外の領域における気泡BBの面積割合と異なっている。第1層10のアライメントマーク領域RL以外の領域における気泡BBの面積割合は、第1層10のアライメントマーク領域RLおける気泡BBの面積割合より小さくてもよい。第1層10のアライメントマーク領域RL以外の領域における気泡BBの面積割合は、第1層10のアライメントマーク領域RLにおける気泡BBの面積割合の50%以下でもよく、25%以下でもよい。第1層10のアライメントマーク領域RL以外の領域における気泡BBの面積割合は、ゼロでもよい。すなわち、第1層10のアライメントマーク領域RL以外の領域には、気泡BBが含まれなくてもよい。
【0068】
第1層10の或る領域における気泡BBの面積割合は、当該領域の平面視における100μm四方の範囲を異なる10視野において観察したときに、各視野において算出される各視野全体の面積に対する気泡の面積の割合の、平均値として算出される。各視野における気泡の数は、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製:VH5500)を用いて1000倍の倍率にて観察される。
【0069】
気泡BBの幅は、1μm以上でもよいし、3μm以上でもよい。気泡BBの幅は、10μm以下でもよいし、8μm以下でもよい。なお、気泡BBの幅は、シート状の第1層10の法線方向、すなわち図4に示す例における第3方向D3からの第1層10の観察における、気泡BBの最大長さを意味する。
【0070】
図3図5に示すように、樹脂層12は、シート状のランド部12bと、アライメントマーク領域RLにおいてランド部12bから第2層20に向けて突出した複数の第1樹脂凸部12sと、転写領域RTにおいてランド部12bから第2層20に向けて突出した複数の第2樹脂凸部12tと、を含んでいる。図示された例において、第1樹脂凸部12s及び第2樹脂凸部12tは、第1層10の法線方向である第3方向D3にそれぞれ突出している。ランド部12bは、第1樹脂凸部12sが突出した部分において、第1樹脂凸部12sと第3方向D3に対面している。ランド部12bは、第2樹脂凸部12tが突出した部分において、第2樹脂凸部12tと第3方向D3に対面している。
【0071】
ランド部12b及び第1樹脂凸部12sは、後述するように、樹脂賦型によって一体的に成形されてもよい。すなわち、ランド部12bと第1樹脂凸部12sとが継ぎ目無しで接続してもよい。ランド部12b及び第2樹脂凸部12tは、後述するように、樹脂賦型によって一体的に成形されてもよい。すなわち、ランド部12bと第2樹脂凸部12tとが継ぎ目無しで接続してもよい。
【0072】
以下、主に図3及び図4を参照して、第1樹脂凸部12sについて説明する。なお、第1樹脂凸部12sに関する以下の説明は、第1凸部10sにも同様に当てはまる。
【0073】
図示された例において、複数の第1樹脂凸部12sは、二次元配列されている。なお、複数の第1樹脂凸部12sが「二次元配列されている」とは、複数の第1樹脂凸部12sが、互いに非平行な少なくとも二以上の方向に分散していることを意味する。複数の第1樹脂凸部12sは、非平行な少なくとも二以上の方向に並べられてもよい。図示された例において、複数の第1樹脂凸部12sは、第1方向D1及び第2方向D2に二次元配列されている。複数の第1樹脂凸部12sは、第1方向D1及び第2方向D2に並べられている。
【0074】
図4に示す例において、複数の第1樹脂凸部12sは、第1方向D1に間隔(ピッチ)LS1を空けて規則的に配列されている。複数の第1樹脂凸部12sは、第2方向D2に間隔(ピッチ)LS2を空けて規則的に配列されている。第1方向D1に隣り合う第1樹脂凸部12s同士の間隔は、同一でもよい。第2方向D2に隣り合う第1樹脂凸部12s同士の間隔は、同一でもよい。第1方向D1に隣り合う第1樹脂凸部12s同士の間隔は、互いに異なってもよい。第2方向D2に隣り合う第1樹脂凸部12s同士の間隔は、互いに異なってもよい。
【0075】
第1方向D1における第1樹脂凸部12s同士の間隔LS1は、4μm以上でもよく、6μm以上でもよい。第1方向D1における第1樹脂凸部12s同士の間隔LS1は、16μm以下でもよく、10μm以下でもよい。第2方向D2における第1樹脂凸部12s同士の間隔LS2は、4μm以上でもよく、6μm以上でもよい。第2方向D2における第1樹脂凸部12s同士の間隔LS2は、16μm以下でもよく、10μm以下でもよい。
【0076】
複数の第1樹脂凸部12sは、その配列方向において互いに同一の幅を有してもよい。図4に示す例において、複数の第1樹脂凸部12sは、第1方向D1において同一の幅WS1を有している。複数の第1樹脂凸部12sは、第2方向D2において同一の幅WS2を有している。第1樹脂凸部12sの第1方向D1に沿った幅WS1は、互いに異なってもよい。第1樹脂凸部12sの第2方向D2に沿った幅WS2は、互いに異なってもよい。
【0077】
第1樹脂凸部12sの第1方向D1に沿った幅WS1は、2μm以上でもよく、4μm以上でもよい。第1樹脂凸部12sの第1方向D1に沿った幅WS1は、16μm以下でもよく、10μm以下でもよい。第1樹脂凸部12sの第2方向D2に沿った幅WS2は、25μm以上でもよく、15μm以上でもよい。第1樹脂凸部12sの第2方向D2に沿った幅WS2は、7μm以下でもよく、4μm以下でもよい。
【0078】
第1樹脂凸部12sの幅は、2μm以上でもよいし、4μm以上でもよい。第1樹脂凸部12sの幅は、25μm以下でもよいし、20μm以下でもよい。なお、第1樹脂凸部12sの幅とは、例えば「第1方向D1に沿った幅WS1」のように当該幅を測定する方向を特定した場合を除き、シート状の第1層10の法線方向、すなわち図4に示す例における第3方向D3からの第1層10の観察における、第1樹脂凸部12sの最大長さを意味する。
【0079】
図4に示す例において、第1層10を平面視したとき、第1樹脂凸部12sは、略楕円形状を有している。平面視における第1樹脂凸部12sの形状は、略楕円形形状以外でもよい。一例として、平面視における第1樹脂凸部12sの形状は、長方形形状でもよく、円形形状でもよい。
【0080】
図4に示すように、第1層10のアライメントマーク領域RLを平面視したときに、気泡BB及び第1樹脂凸部12sが重なっていてもよい。平面視において第1樹脂凸部12sに重なる気泡BBは、第1樹脂凸部12s内に位置してもよい。平面視において第1樹脂凸部12sに重なる気泡BBは、第1樹脂凸部12sに対面するランド部12b内に位置してもよい。すなわち、第1層10は、第1樹脂凸部12sに対面する位置に気泡BBを含んでもよい。平面視において第1樹脂凸部12sに重なる気泡BBは、第1樹脂凸部12s内と、第1樹脂凸部12sに対面するランド部12b内と、に跨って位置してもよい。
【0081】
なお、気泡BBが「第1樹脂凸部内に位置する」とは、第1層10の法線方向において、気泡BB全体が、第1樹脂凸部12sの最高位置と最低位置との間に位置することを意味する。図示された例における第1樹脂凸部12sの最低位置とは、第1樹脂凸部12sの第3方向D3に沿ってベース層11に最も近づいた位置を意味する。図示された例における第1樹脂凸部12sの最高位置とは、第1樹脂凸部12sの第3方向D3に沿ってベース層11から最も離れた位置を意味する。
【0082】
図3に示すように、気泡BBは、隣り合う第1樹脂凸部12sの間に位置するランド部12b内に位置してもよい。すなわち、第1層10は、隣り合う第1樹脂凸部12sの間となる部分に対面する位置に気泡BBを含んでもよい。
【0083】
第1樹脂凸部12sの高さは、1μm以上でもよく、2μm以上でもよい。第1樹脂凸部12sの高さは、10μm以下でもよく、6μm以下でもよい。なお、「第1樹脂凸部の高さ」とは、第1層10の法線方向(図3における第3方向D3)における、第1樹脂凸部12sの長さを意味する。
【0084】
図3に示す例において、第1樹脂凸部12sは、第1層10の法線方向である第3方向D3に沿った側壁13を有している。図5に示す例において、第2樹脂凸部12tは、第1層10の法線方向である第3方向D3に沿った側壁14を有している。
【0085】
図4に示す例において、第1樹脂凸部12sの幅は、気泡BBの幅よりも大きくなっている。第1樹脂凸部12sの幅は、第1樹脂凸部12s内に位置する気泡BBの幅よりも大きくなっている。第1樹脂凸部12sの幅は、第1樹脂凸部12sに対面するランド部12b内に位置する気泡BBの幅よりも大きくなっている。第1樹脂凸部12sの幅は、第1樹脂凸部12s内と、第1樹脂凸部12sに対面するランド部12b内と、に跨って位置する気泡BBの幅よりも大きくなっている。
【0086】
このような具体例によれば、気泡BBと母材120との界面における反射光が、第1層10から放出されるまでに拡散され過ぎることを抑制できる。これにより、アライメントマーク領域RLにおける反射光と、アライメントマーク領域RL以外の領域における反射光との光量差が生じやすくなる。アライメントマーク領域RLでの反射率と、アライメントマーク領域RL以外の領域における反射率との差が生じやすくなる。また、アライメントマーク領域RLにおける透過光と、アライメントマーク領域RL以外の領域における透過光との光量差が生じやすくなる。アライメントマーク領域RLでの透過率と、アライメントマーク領域RL以外の領域における透過率反射率との差が生じやすくなる。したがって、位置検出手段は、アライメントマーク領域RLを安定して検出できる。
【0087】
第1樹脂凸部12sは、樹脂層12を形成する未硬化状態の硬化性樹脂組成物を、型に供給して硬化処理することによって形成されてもよい。硬化処理前の硬化性樹脂組成物をエンボス加工によって成形し、その後に硬化処理することによって、第1樹脂凸部12sを形成してもよい。硬化処理前の硬化性樹脂組成物を成形する際に、硬化性樹脂組成物中に気泡BBが残留し得る。気泡BBが残留した状態で、硬化性樹脂組成物を硬化処理することによって、アライメントマーク領域RLに気泡BBが含まれるようになる。すなわち、第1樹脂凸部12sによって、アライメントマークALとしての気泡BBを含む樹脂層12を作製できる。
【0088】
以下、主に図5を参照して第2樹脂凸部12tについて説明する。なお、第2樹脂凸部12tに関する以下の説明は、第2凸部10tにも同様に当てはまる。
【0089】
図示された例において、複数の第2樹脂凸部12tは、一次元配列またはリニア配列されている。一次元配列された複数の第2樹脂凸部12tは、一方向に配列されている。一方向は、第2樹脂凸部12tの配列方向である。一次元配列またはリニア配列とは、対象となる複数の要素が一方向に配列され、各要素が一方向と非平行な他方向に線状に延びることを意味する。図示された第2樹脂凸部12tは、一方向と非平行、例えば直交する他方向に延びている。第2樹脂凸部12tは、他方向に長手方向を有している。図5に示す例において、複数の第2樹脂凸部12tは、第2方向D2に配列されている。第2樹脂凸部12tは、第1方向D1に直線状に延びている。第2樹脂凸部12tは、第1方向D1に長手方向を有している。
【0090】
第2樹脂凸部12tの形状が、第2層20の第2樹脂凸部12tに重なる部分に転写される。すなわち、第2層20には、第2樹脂凸部12tの形状に対応した凹部が形成される。図5に示す例において、第2層20の後述する賦型樹脂層41の第2樹脂凸部12tと重なる部分に、第2樹脂凸部12tの形状に対応した複数の第2凹部41tが形成されている。賦型樹脂層41は、複数の第2凹部41tの集合によって、図6に示すような線状模様25を表現する。
【0091】
第2層20に線状模様25を明確に形成する観点から、第2樹脂凸部12tの高さ、すなわち図示された例における第2層20への第2樹脂凸部12tの第3方向D3における突出長さは、1μm以上でもよく、2μm以上でもよい。第2樹脂凸部12tの高さは、8μm以下でもよく、4μm以下でもよい。
【0092】
第2樹脂凸部12tの高さHT、すなわち第1層10の法線方向(図5における第3方向D3)における長さは、第1樹脂凸部12sの高さHSよりも小さくてもよい。図3及び図5に示すように、第2樹脂凸部12tの高さHTは、第1樹脂凸部12sの高さHSよりも大きくてもよい。第2樹脂凸部12tの高さHTは、第1樹脂凸部12sの高さHSの0.2倍以上でもよいし、0.5倍以上でもよい。第2樹脂凸部12tの高さHTは、第1樹脂凸部12sの高さHSの2.0倍以下でもよいし、1.5倍以下でもよい。
【0093】
第2層20に線状模様25を明確に形成する観点から、第2樹脂凸部12tの幅は、4μm以上でもよく、7μm以上でもよい。第2樹脂凸部12tの幅は、20μm以下でもよく、15μm以下でもよい。図示された例における第2樹脂凸部12tの幅は、複数の第2樹脂凸部12tの配列方向、すなわち第2方向D2に沿った長さを意味する。
【0094】
図3及び図5に示す例において、第2樹脂凸部12tの幅は、第1樹脂凸部12sの幅よりも大きくなっている。図示された例において、一次元配列された第2樹脂凸部12tの幅が、二次元配列された第1樹脂凸部12sの幅よりも大きくなっている。すなわち、第2樹脂凸部12tの第2方向D2に沿った長さが、第3方向D3からの観察における第1樹脂凸部12sの最大長さよりも大きくなっている。第2樹脂凸部12tの幅は、第1樹脂凸部12sの幅の1.1倍以上でもよいし、1.2倍以上でもよい。第2樹脂凸部12tの幅は、第1樹脂凸部12sの幅の2.0倍以下でもよいし、1.5倍以下でもよい。
【0095】
第2樹脂凸部12tは、樹脂層12を形成する硬化性樹脂組成物を、型に供給して硬化処理することによって形成されてもよい。硬化処理前の硬化性樹脂組成物を、エンボス加工によって成形し、その後に硬化処理することによって、第2樹脂凸部12tを形成してもよい。
【0096】
図3に示すように、被覆層30は、アライメントマーク領域RLにおいて、樹脂層12の形状に対応する形状を有している。被覆層30は、アライメントマーク領域RLの表面凹凸に沿って広がっている。アライメントマーク領域RLにおいて、被覆層30の第1樹脂凸部12sに重なる部分は、第2層20に向けて第3方向D3に突出している。
【0097】
図5に示すように、被覆層30は、転写領域RTにおいて、樹脂層12の形状に対応する形状を有している。被覆層30は、転写領域RTの表面凹凸に沿って広がっている。転写領域RTにおいて、被覆層30の第2樹脂凸部12tに重なる部分は、第2層20に向けて第3方向D3に突出している。
【0098】
被覆層30の厚さは特に限定されない。被覆層30の厚さは、0.3μm以上でもよく、0.6μm以上でもよい。被覆層30の厚さは、2μm以下でもよく、1μm以下でもよい。
【0099】
次に、第2層20について説明する。図3及び図5に示す例において、第2層20は、第1面20aと、第1面20aとは反対の第2面20bと、を有するシート状の部材である。第2層20の第1面20aは、加飾シート5の第1面5aを構成している。第2層20の第2面20bは、第1層10の第1面10aに対面している。
【0100】
第2層20は、加飾層40を含む。加飾層40は、加飾シート5が表示する意匠を形成する。加飾層40は、複数の層を含んでもよい。図3及び図5に示す例において、第2層20は、加飾層40として、賦型樹脂層41と、賦型樹脂層41に重ねられた印刷層42と、を含んでいる。図1に示す例において、印刷層42は、第2層20の一部分に形成されている。
【0101】
第2層20は、加飾層40以外の層を含んでもよい。図3及び図5に示す例において、第2層20は、アンカー層21と、接合層22と、を含んでいる。第2層20は、印刷層42が形成されている部分において、第2面20bから第1面20aに向けて、図5に示すように、賦型樹脂層41と、アンカー層21と、接合層22と、印刷層42と、をこの順で含んでいる。第2層20は、印刷層42が形成されていない部分において、図3に示すように、第2面20bから第1面20aに向けて、賦型樹脂層41と、アンカー層21と、接合層22と、をこの順で含んでいる。
【0102】
図3に示すように、第2層20の第1面20aは、第1層10のアライメントマーク領域RLに重なる部分において、平坦となっている。この具体例によれば、第1層10からの反射光は、第2層20を通過したのち、第1面20aによって構成された加飾シート5の第1面5aから放出される際に、意図しない方向へと進むことを抑制できる。また、第1層10を透過する透過光は、第2層20を通過したのち、第1面20aによって構成された加飾シート5の第1面5aから放出される際に、意図しない方向へと進むことを抑制できる。これらにより、位置検出手段は、第1層10のアライメントマーク領域RLを安定して検出できる。
【0103】
賦型樹脂層41は、第1面41aと、第1面41aとは反対の第2面41bと、を有している。賦型樹脂層41は、第1面41aにおいて、アンカー層21に対面している。賦型樹脂層41は、第2面41bにおいて、被覆層30に対面している。賦型樹脂層41の第2面41bは、第2層20の第2面20bを構成している。
【0104】
図3に示すように、賦型樹脂層41は、第1層10のアライメントマーク領域RLに重なる部分において、複数の第1凹部41sを有している。第2面41b及び第2面20bは、第1層10のアライメントマーク領域RLに重なる部分において、凹凸面となっている。複数の第1凹部41sは、樹脂層12の第1樹脂凸部12sに対応した形状を有している。複数の第1凹部41sは、樹脂層12の第1樹脂凸部12sと相補的な形状を有している。複数の第1凹部41sは、樹脂層12の第1樹脂凸部12sと凹凸を逆にした形状を有している。
【0105】
図5に示すように、賦型樹脂層41は、第1層10の転写領域RTに重なる部分において、複数の第2凹部41tを有している。第2面41b及び第2面20bは、第1層10の転写領域RTに重なる部分において、凹凸面となっている。複数の第2凹部41tは、樹脂層12の第2樹脂凸部12tに対応した形状を有している。複数の第2凹部41tは、樹脂層12の第2樹脂凸部12tと相補的な形状を有している。複数の第2凹部41tは、樹脂層12の第2樹脂凸部12tと凹凸を逆にした形状を有している。第2複数の第2凹部41tの各々は、第1方向D1に線状に延びている。複数の第2凹部41tは、第2方向D2に配列されている。第1方向D1に線状に延びる複数の第2凹部が第2方向D2に配列されることで、図6に示すように、線状模様25が形成されている。
【0106】
賦型樹脂層41に含まれる樹脂として、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル(PMMA)、ポリ(メタ)アクリル酸エチル(PEMA)等のアクリル系樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスチレン(PS)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、アクリルニトリル-スチレン共重合体(AS)、アクリルニトリル-ブタジエン・-チレン共重合体(ABS)、アクリルニトリル-エチレン-スチレン共重合体(AES)、ポリカーボネート(PC)等が例示される。賦型樹脂層41は、上述した1種の樹脂のみを含んでもよく、上述した2種以上の樹脂を含んでもよい。
【0107】
図3及び図5に示す例において、アンカー層21は、第3方向D3における賦型樹脂層41と接合層22との間に位置している。アンカー層21は、賦型樹脂層41と接合層22との間の密着性改善を目的として設けられている。賦型樹脂層41と接合層22との間の密着性を改善することで、賦型樹脂層41と、接合層22に重ねられる印刷層42との密着性を改善できる。アンカー層21は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含んでもよい。アンカー層21に含まれる硬化性樹脂の硬化物は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物でもよいし、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物でもよい。電離放射線硬化性樹脂は、紫外線硬化性樹脂および電子線放射線樹脂を含んでもよい。アンカー層21の厚さは、特に限定されない。アンカー層21の厚さは、0.5μm以上でもよく、1μm以上でもよい。アンカー層21の厚さは、4μm以下でもよく、2μm以下でもよい。アンカー層21は、第2層20から省略されてもよい。
【0108】
図3及び図5に示す例において、接合層22は、アンカー層21に重ねられている。図3に示すように、接合層22は、印刷層42を含まない領域において、第2層20の第1面20a、すなわち加飾シートの第1面5aを形成している。図5に示すように、接合層22は、印刷層42を含む領域において、アンカー層21と印刷層42との間に位置している。接合層22は、加飾シート5の構成要素間の密着性改善を目的として設けられてもよい。接合層22は、接着材または粘着材を含んでもよい。接合層22に含まれる接着材は、アクリル系接着材、ゴム系接着材、ウレタン系接着材、シリコーン系接着材の一以上を含んでもよい。接合層22に含まれる粘着材は、アクリル系粘着材、ゴム系粘着材、ウレタン系粘着材、シリコーン系粘着材の一以上を含んでもよい。接合層22は、第2層20から省略されてもよい。
【0109】
図1に示すように、印刷層42は、第1層10の転写領域RT上に位置する第1印刷層421と、第1層10の転写領域RT及びアライメントマーク領域RL以外の領域上に位置する第2印刷層422と、を含んでいる。
【0110】
印刷層42は、意匠を構成し得る。印刷層42によって構成された意匠が、加飾シート5の意匠、あるいは加飾シート5を含む加飾部材の意匠として表示され得る。この結果、印刷層42は、加飾シート5、及び加飾部材の意匠性を向上し得る。図示された例において、第1印刷層421は、意匠を構成している。第1印刷層421は、着色層及び絵柄層の一以上を含んでもよい。
【0111】
絵柄層は、図形、パターン、デザイン、色彩、絵、写真、キャラクター、マーク、ピクトグラム、文字や数字等を表示してもよい。加飾シート5と加飾シート5の適用対象とを調和させることができる絵柄として、木目調や大理石調の絵柄、金属調の質感、幾何学模様を、絵柄層が表示してもよい。
【0112】
着色層及び絵柄層は、樹脂組成物の塗膜から作製され得る。樹脂組成物は、バインダー樹脂、着色材、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を含んでもよい。着色材は、顔料や染料を含んでもよい。
【0113】
印刷層42は、第1層10に含まれる気泡BBによって形成されたアライメントマークALとは別に、第2アライメントマークAL2を形成してもよい。図1に示す例において、第2印刷層422は、第2アライメントマークAL2を形成している。第2アライメントマークAL2として機能する第2印刷層422によれば、第2印刷層422によって形成された部分での加飾シート5の反射光の光量と、第2印刷層422によって形成された部分以外の部分での加飾シート5の反射光の光量と、の間に差分が生じ得る。第2印刷層422によって形成された部分での加飾シート5の反射率と、第2印刷層422によって形成された部分以外の部分での加飾シート5の反射率と、の間に差が生じ得る。第2アライメントマークAL2として機能する第2印刷層422によれば、第1面5aの第2印刷層422によって形成された部分から放出される、加飾シート5の透過光の光量と、第1面5aの第2印刷層422によって形成された部分以外の部分から放出される、加飾シート5の透過光の光量と、の間に差分が生じ得る。第2印刷層422によって形成された部分での加飾シート5の透過率と、第2印刷層422によって形成された部分以外の部分での加飾シート5の透過率と、の間に差が生じ得る。すなわち、第2アライメントマークAL2は、アライメントマークALと同様に、反射光量、反射率、透過光量、透過率等に基づき、検出される。検出された第2アライメントマークAL2に基づき、加飾シート5内の各位置が特定されてもよい。
【0114】
第2アライメントマークAL2は、撮像手段によって撮像されることにより、その位置を検出されてもよい。
【0115】
第2アライメントマークAL2は、加飾シート5の位置合わせに使用されてもよい。すなわち、加飾シート5の位置が、第2アライメントマークAL2によって決定されてもよい。図1に示す例において、加飾シート5の第1方向D1における位置が、第2アライメントマークAL2によって決定されてもよい。加飾シート5の第2方向D2における位置が、第2アライメントマークAL2によって決定されてもよい。すなわち加飾シート5内の各位置の座標が、第2アライメントマークAL2を基準として特定されてもよい。加飾シート5の位置合わせは、加飾シート5を加工する際に実施されてもよい。加飾シート5の位置合わせは、長尺加飾シート1から加飾シート5を断裁する工程に含まれてもよく、加飾シート5に熱可塑性樹脂部7を重ねる工程に含まれてもよく、加飾シート5の一部分を熱可塑性樹脂部7に転写する工程に含まれてもよい。
【0116】
第2印刷層422は、可視光遮光性を有してもよい。なお、「可視光遮光性」とは、可視光透過率が10%以下であることを意味し、5%以下でもよく、2%以下でもよい。可視光透過率は、上述したようにヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号:HM-150)を用いて特定される。
【0117】
第2印刷層422は、バインダー樹脂部と、バインダー樹脂部に保持された光吸収粒子と、を含んでもよい。光吸収粒子として、カーボンブラックやチタンブラック等の黒色顔料が例示される。第2印刷層422のバインダー樹脂部は、熱可塑性樹脂を含んでもよい。第2印刷層422のバインダー樹脂部は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含んでもよい。硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性樹脂および熱硬化性樹脂の一位以上を含んでもよい。電離放射線硬化性樹脂は、紫外線硬化性樹脂および電子線放射線樹脂を含んでもよい。第2印刷層422のバインダー樹脂部の材料として、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等が例示される。第2印刷層422のバインダー樹脂部は、これらの材料を、1種単独で含んでもよく、2種以上を組合せて含んでもよい。
【0118】
以上に説明した第1層10及び加飾シート5の製造方法の一例について説明する。まず、第1層10の作製方法について説明する。次に、第1層10を含む加飾シート5の作製方法について説明する。その後、加飾シート5から加飾部材50を作製する方法について説明する。
【0119】
まず、第1層10の作製に際して、版90を準備する。図7は、版90の一例を示している。図7に示された版90は、円筒形状を有している。版90は、中心軸線CAを中心として回転可能に保持される。版90は、円筒形状の外周面に版面91を有している。版面91は、銅等の金属製でもよい。版面91は、第1層10の第1面10aの形状に対応した形状を有している。後述するように、第1層10を形成する部材に版面91が押し付けられることによって、版面91の形状に対応した形状を有する第1層10が作製される。
【0120】
図7に示す例において、版面91は、アライメントマーク形成領域RLPと、線状模様形成領域RAPと、を含んでいる。アライメントマーク形成領域RLP及び線状模様形成領域RAPは、版面91上の別々の位置に設けられている。アライメントマーク形成領域RLP及び線状模様形成領域RAPは、凹凸面となっている。版面91は、アライメントマーク形成領域RLPにおいて、第1凸部10sの形状に対応した形状を有する複数の第1版凹部92を含んでいる。版面91は、線状模様形成領域RAPにおいて、第2凸部10tの形状に対応した形状を有する複数の第2版凹部93を含んでいる。
【0121】
アライメントマーク形成領域RLPは、中心軸線CAを中心とした版90の周方向に複数設けられてもよい。線状模様形成領域RAPは、版90の周方向に複数設けられてもよい。
【0122】
図7及び図9に示す例において、第1版凹部92は、中心軸線CAに直交する径方向において、中心軸線CAに近づく向きに凹んでいる。複数の第1版凹部92は、中心軸線CAと平行な軸方向と、中心軸線CAを中心とした周方向と、に配列されている。
【0123】
図7に示す例において、第2版凹部93は、中心軸線CAに直交する径方向において、中心軸線CAに近づく向きに凹んでいる。複数の第2版凹部93は、中心軸線CAと平行な軸方向に配列されている。第2版凹部93は、円周方向に延びている。
【0124】
第1版凹部92及び第2版凹部93は、版面91をエッチングすることによって形成されてもよい。第1版凹部92及び第2版凹部93は、版面91をレーザー描画することによって形成されてもよい。第2版凹部93は、版面91の線状模様形成領域RAPをけがくことによって形成されてもよい。
【0125】
第1版凹部92は、第2版凹部93を形成する工程において形成されてもよい。第2版凹部93は、第1版凹部92を形成する工程において形成されてもよい。すなわち、第1版凹部92及び第2版凹部93は、共通の工程において形成されてもよい。第1版凹部92及び第2版凹部93は、別の工程において形成されてもよい。
【0126】
配列方向における第1樹脂凸部12s同士の間隔が同一となるように、第1版凹部92が形成されてもよい。第1樹脂凸部12sが配列方向において同一の幅を有するように、第1版凹部92が形成されてもよい。図示された例において、軸方向に隣り合う第1版凹部92同士の間隔は、同一である。周方向において隣り合う第1版凹部92同士の間隔は、同一である。図示された例において、複数の第1版凹部92は、軸方向において同一の幅を有している。複数の第1版凹部92は、周方向において同一の幅を有している。この具体例によれば、簡易な構成によって、版面91上に第1版凹部92を容易に形成できる。
【0127】
次に、上述した版90を使用して、第1層10を作製する。第1層10のアライメントマーク領域RLとなる部分には、版面91の第1版凹部92を転写した第1凸部10sが付与されてもよい。第1層10の転写領域RTとなる部分には、版面91の第2版凹部93を転写した第2凸部10tが付与されてもよい。第1層10は、以下のように作製されてもよい。
【0128】
ベース層11を形成する長尺のシート状部材60を準備する。シート状部材60は、ベース層11に関して上述した材料を含むフィルムでもよい。すなわち、シート状部材60は、樹脂製のフィルムでもよい。図8に示す例において、シート状部材60は、第1方向D1に長手方向を有している。シート状部材60は、第2方向D2と平行な幅方向TDを有している。以下に説明する第1層10の製造工程において、シート状部材60は、第1方向D1と平行な流れ方向MDに移動していく。
【0129】
ベース層11に未硬化の硬化性樹脂組成物70を供給する。硬化性樹脂組成物70は、グラビア印刷等の種々の方法によって、ベース層11上に供給されてもよい。図8に示す例において、シート状部材60には、版80によって、硬化性樹脂組成物70が供給される。図中に矢印を用いて示すように、版80は、シート状部材60の幅方向TDと平行な中心軸線CBを中心に回転している。シート状部材60は、回転する版80と、版80から第3方向D3に離れた圧縮ローラ85との間を通過する。未硬化の硬化性樹脂組成物は、版80の版面81から、流れ方向MDに移動するシート状部材60上に供給される。
【0130】
その後、版90の版面91を硬化性樹脂組成物に押し当てる。図8に示す例において、版90は、版80よりも流れ方向MDにおいて下流に位置している。図中に矢印を用いて示すように、版90は、中心軸線CAを中心に回転している。流れ方向MDに移動するシート状部材60、及びシート状部材60上の硬化性樹脂組成物70は、回転する版90と、版90から第3方向D3に離れた圧縮ローラ95との間を通過する。回転する版90の版面91に硬化性樹脂組成物70が供給される。回転する版90によって、版面91が硬化性樹脂組成物70に押し当てられる。
【0131】
版90は、上述の通り、版面91において、第1版凹部92及び第2版凹部93を含んでいる。版面91が硬化性樹脂組成物70に押し当てられることで、図9に示すように、硬化性樹脂組成物70の第1版凹部92が押し当てられた部分に、第1版凹部92と相補的な構成を有する凸部70sが付与される。一方、硬化性樹脂組成物の第2版凹部93が押し当てられた部分に、第2版凹部93と相補的な構成を有する凸部70tが付与される。
【0132】
版面91が押し当てられた硬化性樹脂組成物70は、アライメントマーク領域RLとなる部分において、気泡BBを含む。気泡BBは、第1版凹部92が硬化性樹脂組成物70に押し付けられるときに、硬化性樹脂組成物70内に形成されてもよい。複数の第1版凹部92が、互いから離れて二次元配列されることによって、第1版凹部92内に空気が残留し易くなる。複数の第1版凹部92が、版90の周方向に離れて配置されることによって、第1版凹部92内に空気が残留し易くなる。第1版凹部92によって形状を転写される第1樹脂凸部12sの幅や高さを上述した範囲の寸法とすることにより、第1版凹部92内に空気が残留し易くなる。第1版凹部92によって形状を転写される第1樹脂凸部12sの幅に対する高さの比(高さ/幅)を0.3以上とすることにより、第1版凹部92内に空気が残留し易くなる。第1版凹部92内に空気が残留することによって、硬化性樹脂組成物70内に気泡が混入し易くなる。
【0133】
気泡BBの形成を促進する観点から、第1版凹部92によって形状を転写される第1樹脂凸部12sの幅に対する高さの比(高さ/幅)を、0.3以上としてもよく、0.5以上としてもよい。第1樹脂凸部12sの幅に対する高さの比(高さ/幅)は、1以下でもよい。
【0134】
シート状部材60、及びシート状部材60に重ねられ、版面91が押し当てられた硬化性樹脂組成物70は、流れ方向MDに移動していく。
【0135】
硬化性樹脂組成物70を硬化させる。硬化性樹脂組成物70を硬化させる硬化処理として、紫外線硬化性樹脂組成物への紫外線の照射が例示される。硬化性樹脂組成物70を硬化させることによって、ベース層11に重ねられた樹脂層12が形成される。樹脂層12は、硬化性樹脂組成物70の硬化物である。硬化性樹脂組成物70は、アライメントマーク領域RLとなる部分に気泡BBが存在する状態で、硬化する。この結果、アライメントマーク領域RLに気泡BBを含む樹脂層12が得られる。
【0136】
硬化処理は、版90とシート状部材60との間で加圧されている硬化性樹脂組成物70に対して実施されてもよい。硬化処理は、版90から形状を付与された後の硬化性樹脂組成物70の塗膜に対して実施されてもよい。
【0137】
第1版凹部92と相補的な構成を有する凸部70sが硬化することで、図3及び図4に示される第1樹脂凸部12sが形成される。図3及び図4に示すように、複数の第1樹脂凸部12sは、第1方向D1において、互いから離れている。第1方向D1は、図8及び図9に示すように、シート状部材60に重ねられた硬化性樹脂組成物70の流れ方向MDと平行である。この具体例によれば、凸部70s内に位置する気泡BBは、流れ方向MDへ移動する硬化性樹脂組成物70内に残留しやすい。凸部70s内に気泡BBが残留することで、硬化処理後の第1樹脂凸部12s内にも気泡BBが残留しやすい。したがって、この具体例によれば、第1樹脂凸部12s内に気泡BBを含んだ第1層10を容易に作製できる。
【0138】
図示された例において、第2版凹部93と相補的な構成を有する凸部70tが硬化することで、図5に示される第2樹脂凸部12tが形成される。第2樹脂凸部12tによって、第1層10の第2凸部10tが構成される。版面91を硬化性樹脂組成物70に押し当てることで、第1樹脂凸部12s、及び第2樹脂凸部12tを含む樹脂層12を作製できる。別々の用途を有する樹脂凸部12s、12tを版90によって作製することで、第1層10の製造時間、及び製造コストの削減を実現できる。
【0139】
図8及び図9に示すように、シート状部材60は、版面91から、版90の径方向に離れている。シート状部材60と版面91との間に位置する硬化性樹脂組成物70が硬化することで、ランド部12bが形成される。ランド部12bは、第1樹脂凸部12sと一体的に成形されている。ランド部12bは、第2樹脂凸部12tと一体的に成形されている。ランド部12bは、第1樹脂凸部12s及び第2樹脂凸部12tのいずれも設けられていない部分において、露出する。
【0140】
以上のようにして、アライメントマーク領域RLに気泡を含む第1層(基材シート)10が得られる。第1層10を含む長尺基材シート2が、ロールトゥロールにて作製されてもよい。
【0141】
その後、第1層10を版90から剥がす。第1層10の版90に接触していた面上に、第1樹脂組成物を供給し、第1樹脂組成物の塗膜を形成する。第1樹脂組成物の塗膜を乾燥または硬化することによって、被覆層30を形成する。被覆層30は、第1樹脂凸部12sに重なる部分において、突出している。被覆層30は、第2樹脂凸部12tに重なる部分において、突出している。被覆層30は、熱可塑性樹脂を含んでもよい。被覆層30は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含んでもよい。被覆層30の作製を省略して、第2層20を第1層10上に形成してもよい。
【0142】
次に、第1層10に重なる第2層20を作製する。第2層20は、以下のように作製されてもよい。
【0143】
第1層10及び被覆層30上に、第2樹脂組成物を供給し、第2樹脂組成物の塗膜を形成する。第2樹脂組成物は、硬化性樹脂組成物でもよい。硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物でもよいし、電離放射線硬化性樹脂組成物でもよい。電離放射線硬化性樹脂組成物として、紫外線硬化性樹脂組成物が例示される。硬化性樹脂組成物は、第1層10及び被覆層30上で硬化される。硬化性樹脂組成物の硬化物により、賦型樹脂層41が作製される。作製された賦型樹脂層41は、第1層10または被覆層30に接合している。
【0144】
賦型樹脂層41は、アライメントマーク領域RLに重なる部分において、樹脂層12の第1樹脂凸部12sに重なる被覆層30の形状に対応する形状を有するようになる。この結果、図3に示すように、賦型樹脂層41のアライメントマーク領域RLに重なる部分に第1凹部41sが形成される。
【0145】
賦型樹脂層41は、転写領域RTに重なる部分において、樹脂層12の第2樹脂凸部12tに重なる被覆層30の形状に対応する形状を有するようになる。この結果、図5及び図6に示すように、賦型樹脂層41の転写領域RTに重なる部分に第2凹部41tが形成される。
【0146】
その後、賦型樹脂層41に重ねて、アンカー層21及び接合層22が形成される。アンカー層21は、賦型樹脂層41上に樹脂組成物を供給して当該樹脂組成物の塗膜を形成し、塗膜を乾燥または硬化させることによって、作製されてもよい。接合層22は、アンカー層21上に樹脂組成物を供給して当該樹脂組成物の塗膜を形成し、塗膜を乾燥または硬化することによって、作製されてもよい。
【0147】
次に、接合層22上に印刷層42が形成される。印刷層42を接合層22上の正確な位置に形成するため、第1層10、賦型樹脂層41、アンカー層21、及び接合層22をこの順で含む積層体4が位置合わせされてもよい。積層体4は、第1層10のアライメントマーク領域RLに気泡BBによって形成されたアライメントマークALを用いて、例えば以下のように位置合わせされてもよい。
【0148】
図10は、印刷層42を形成する印刷機200の一例である。印刷機200は、版胴201と、版胴201に積層体4を押し付ける圧胴202と、積層体4の移動方向を定めるローラ203と、補正ローラ204と、第1層10のアライメントマーク領域RLを検出可能な位置検出手段205と、位置検出手段205からの信号を受信可能な補正装置206と、を含んでいる。印刷機200により、積層体4上に第1印刷層421が形成され得る。印刷機200により、積層体4上に第2印刷層422が形成され得る。
【0149】
版胴201は、円筒形状を有している。版胴201は、中心軸線CXを中心として回転可能に保持されている。版胴201は、円筒形状の外周面の一部分に版面を有している。版面を積層体4の接合層22に押し当てることで、積層体4の接合層22上に、印刷層42を形成する塗膜が形成される。
【0150】
積層体4は、印刷層42が形成される第1面4aと、第1面4aとは反対の第2面4bと、を含んでいる。図示された例において、第1面4aは、接合層22によって構成されている。第2面4bは、第1層10によって構成されている。第1層10の第2面10bが、積層体4の第2面4bとなっている。位置検出手段205は、積層体4の第2面4bに対面している。
【0151】
位置検出手段205は、積層体4の接合層22に版面が押し当てられる前に、第1層10のアライメントマーク領域RLを検出する。位置検出手段205は、上述の通り、アライメントマークALを形成する気泡BBに起因した、アライメントマーク領域RLと、アライメントマーク領域RL以外の領域との間における第1層10からの反射光の光量差によって、アライメントマーク領域RLを検出し得る。位置検出手段205は、アライメントマークALを形成する気泡BBに起因した、アライメントマーク領域RLと、アライメントマーク領域RL以外の領域との間における第1層10の透過光の光量差によって、アライメントマーク領域RLを検出してもよい。
【0152】
位置検出手段205によるアライメントマーク領域RLの検出信号は、補正装置206に伝送される。補正装置206は、アライメントマーク領域RLの検出信号をもとに、積層体4の移動方向において、印刷層42が形成されるべき位置を算出する。補正装置206は、印刷層42が形成されるべき位置に基づき、版胴201に到達するまでに積層体4が移動するべき距離が算出される。補正装置206は、積層体4が移動するべき距離に基づき、補正ローラ204を図中の破線矢印に示される方向に移動させる信号を伝送する。
【0153】
補正装置206による算出結果に基づき、補正ローラ204が動作することで、版胴201に到達するまでに積層体4が移動する距離が調節される。このようにして、積層体4の移動方向において、積層体4が位置合わせされる。これにより、アライメントマーク領域RLを基準として特定された所定の位置に、加飾層40を構成する印刷層42を形成することができる。
【0154】
以上のようにして、第1層10と、第1層10に重ねられた第2層20と、を含む加飾シート5が作製される。複数の加飾シート5を含む長尺加飾シート1が、ロールトゥロールにて作製されてもよい。
【0155】
ところで、JP2019-30993Aに開示される従来の加飾シートは、凸部を有する基材層と、基材層に重なる転写層であって、基材層の凸部に重なる突出部を有する転写層と、を含んでいた。この加飾シートは、転写層における突出部の位置を検出することで、位置合わせされていた。突出部は、突出部からの反射光の光量と、転写層の突出部以外の部分からの反射光の光量と、の間の光量差によって検出されていた。より具体的には、突出部における光の散乱によって、突出部からの反射光の光量が、転写層の突出部以外の部分からの反射光の光量よりも減少していた。
【0156】
しかしながら、基材層の凸部は、転写層を含む、基材層に重なる他の層の荷重等によって、いくらか平坦化することも想定され得る。凸部が平坦化すると、転写層の凸部に重なる突出部も平坦化し得る。突出部が平坦化すると、転写層における上述した光量差を検出することが困難となり、この結果、加飾シートを位置合わせできない問題を生じ得る。
【0157】
これに対して、本実施の形態による加飾シート5は、アライメントマーク領域RLを含む第1層10と、第1層10に重ねられた第2層20と、を含んでいる。第1層10は、アライメントマーク領域RLに気泡BBを含んでいる。第2層20は、加飾層40を含んでいる。図3に示す例において、ベース層11と、ベース層11に重ねられた樹脂層12と、を含んでいる。気泡BBは、樹脂層12の母材120内に保持されている。
【0158】
この具体例によれば、樹脂層12に進入した光は、アライメントマーク領域RLに含まれる気泡BBに到達すると、気泡BBを保持する母材120と気泡BBとの界面において屈折し得る。あるいは、アライメントマーク領域RLに含まれる気泡BBに到達した光は、母材120と気泡BBとの界面において反射し得る。すなわち、アライメントマーク領域RLとそれ以外の領域との間で、光学特性が異なる。例えば、アライメントマーク領域RLとそれ以外の領域との間で、次のいずれかの光学特性が異なり得る。
・反射光量
・透過光量
・反射率
・透過率
・拡散反射光量
・拡散透過光量
・拡散反射率
・拡散透過率
これにより、位置検出手段205がこれらのいずれか光学特性を測定することにより、アライメントマーク領域RLの位置を検出できる。
【0159】
したがって、加飾シート5の表面形状に関わらず、樹脂層12(第1層10)に含まれる気泡BBによって、第1層10、及び第1層10を含む加飾シート5を正確に位置合わせすることができる。この加飾シート5は、一対の主面5a,5bを平行な平坦面とすることができる。この例よれば、長尺加飾シート1を巻き取った巻体1Rとして取り扱う際、巻き姿が安定する。
【0160】
次に、図11図15を参照して、加飾シート5を用いた加飾部材50の製造方法について説明する。以下に説明する加飾部材50の製造方法の一具体例では、ロールトゥロールで供給される長尺加飾シート1に含まれる加飾シート5に射出樹脂を射出することで、熱可塑性樹脂部7と加飾シート5とが接合される。
【0161】
図11に示すように、射出成形装置210を準備する。射出成形装置210は、成形型211を含む。成形型211は、第1型211Aと、第2型211Bと、を含む。成形型211は、第1型211A及び第2型211Bが互いから離れた開型状態と、第1型211A及び第2型211Bが互いに接触した閉型状態と、を取り得る。閉型状態において、図12に示すように、第1型211A及び第2型211Bの間にキャビティ212が形成される。第1型211Aは、キャビティ212に通じるゲート213を有している。ゲート213は、図示しない射出樹脂214の供給装置に接続している。キャビティ212には、ゲート213を通じて射出樹脂214が供給される。
【0162】
図11に示す例において、射出成形装置210は、加飾シート5に設けられたアライメントマーク領域RLを検出可能な位置検出手段215と、位置検出手段215からの信号を受信可能な制御装置216と、を含んでいる。制御装置216は、成形型211の開型状態、及び閉型状態を切り替えることができる。制御装置216は、第1ロール217及び第2ロール218を回転させて、加飾シート5を移動させることができる。制御装置216は、第1ロール217及び第2ロール218の回転を停止させて、加飾シート5を停止させることができる。
【0163】
図11に示すように、第1ロール217及び第2ロール218が回転することで、加飾シート5が、第1ロール217から第2ロール218に向けて移動する。加飾シート5は、第1ロール217から第2ロール218に向けて移動する間に、第1型211Aと第2型211Bとの間を通過する。加飾シート5は、第1型211Aと第2型211Bとの間を通過したのち、第1面5aにおいて位置検出手段215に対面している。
【0164】
位置検出手段215は、第1ロール217から第2ロール218に向けて移動する加飾シート5に含まれたアライメントマーク領域RLを検出する。位置検出手段215によるアライメントマーク領域RLの検出信号は、制御装置216に伝送される。制御装置216は、アライメントマーク領域RLの検出信号をもとに、第2層20の転写領域RTに重なる部分において熱可塑性樹脂部7と接合するよう、加飾シート5が停止すべき位置を算出する。制御装置216は、算出された位置で加飾シート5が停止するように、第1ロール217及び第2ロール218の回転を停止させる。
【0165】
次に、図12に示すように、成形型211を閉型状態とする。閉型状態において、長尺加飾シート1に含まれる加飾シート5が、キャビティ212内に収容される。図示された例において、加飾シート5の第1面5aは、成形型211の第1型211Aに対面する。加飾シート5の第2面5bは、成形型211の第2型211Bに対面する。
【0166】
次に、図13に示すように、ゲート213を介して、射出樹脂214がキャビティ212内に射出される。射出樹脂214は、キャビティ212内で冷却され、加飾シート5に溶着して固化する。固化した射出樹脂214から、加飾シート5に接合した熱可塑性樹脂部7が得られる。熱可塑性樹脂部7は、加飾シート5の第2層20と接合する。
【0167】
その後、図14に示すように、第1型211A及び第2型211Bが互いから離れる。図14及び図15に示すように、熱可塑性樹脂部7、及び熱可塑性樹脂部7に接合した第2層20が、第1層10から剥がされる。図示された例において、第1層10と第2層20との間に位置する被覆層30が離型層として機能することで、第1層10と第2層20との剥離が促進される。すなわち、上述してきた一具体例において、加飾シート5及び長尺加飾シート1は、転写シートである。加飾シート5及び長尺加飾シート1は、転写される転写層としての第2層20と、剥がされるまで第2層20を支持する支持層としての第1層10と、を含む。熱可塑性樹脂部7は、第2層20を転写される被転写体である。
【0168】
以上により、加飾シート5を用いて加飾部材50が製造される。なお、上述した例に限られず、長尺の長尺加飾シート1から切断された枚葉の加飾シート5に射出樹脂を射出することで、加飾部材50が製造されてもよい。
【0169】
長尺加飾シート1の切断に際して、長尺加飾シート1の一部としての加飾シート5は、第1面5aの一部分を形成する第2印刷層422によって、第1方向D1において位置合わせされてもよい。長尺加飾シートの一部としての加飾シート5は、アライメントマークALによって、第1方向D1において位置合わせされてもよい。長尺加飾シート1の一部としての加飾シート5は、第1面5aの一部分を形成する第2印刷層422によって、第2方向D2において位置合わせされてもよい。長尺加飾シートの一部としての加飾シート5は、アライメントマークALによって、第2方向D2において位置合わせされてもよい。
【0170】
以上に説明してきた一実施の形態において、加飾シート5は、アライメントマーク領域RLを含む第1層10と、第1層10に重ねられた第2層20と、を含んでいる。第1層10は、アライメントマーク領域に気泡BBを含んでいる。第2層20は、加飾層40を含んでいる。この具体例によれば、第1層10内に保持された気泡BBにより、アライメントマーク領域RLと、アライメントマーク領域RL以外の領域と、の間で、加飾シート5は異なる光学特性を有する。これにより、加飾シート5の表面形状に関わらず、アライメントマーク領域RLを検出できる。したがって、このような加飾シート5では、正確な位置合わせが安定して可能となる。
【0171】
具体例を参照しながら一実施の形態を説明してきたが、上述の具体例が一実施の形態を限定しない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施でき、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。
【0172】
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用い、重複する説明を省略する。
【0173】
上述した加飾シート5の一具体例において、第2層20は、加飾層40として、賦型樹脂層41と、印刷層42と、を含んでいたが、これに限られない。図16に示すように、第2層20は、加飾層40として、印刷層42を含まなくてもよい。図示された例において、第2層20は、第1層10の転写領域RTに重なる部分において、第2面20bから第1面20aに向けて、賦型樹脂層41と、アンカー層21と、接合層22と、をこの順序で含んでいる。
【0174】
図16に示された加飾シート5は、アライメントマーク領域RLに形成された気泡BBによって、位置合わせされてもよい。加飾シート5の位置合わせは、長尺加飾シート1から加飾シート5を裁断する工程に含まれてもよく、加飾シート5に熱可塑性樹脂部7を重ねる工程に含まれてもよく、加飾シート5の一部分を熱可塑性樹脂部7に転写する工程に含まれてもよい。
【0175】
上述した加飾シート5の一具体例において、複数の第1樹脂凸部12s(第1凸部10s)は、第1方向D1及び第2方向D2に正方配列されていた。すなわち、複数の第1樹脂凸部12sは、第1方向D1に一定のピッチで配列され、第1方向D1と直交する第2方向D2にも一定のピッチで配列されていた。しかしながら、アライメントマーク領域RLにおける第1樹脂凸部12sの配列パターンは、図4に示された正方配列に限られない。複数の第1樹脂凸部12sは、図17に示すように、千鳥配列にて配列されてもよい。図17に示された例において、複数の第1樹脂凸部12sが第1方向D1に一定のピッチで配列されることによって、第1列AR1の複数の第1樹脂凸部12sが形成されている。複数の第1樹脂凸部12sが第1方向D1に一定のピッチで配列されることによって、第2列AR2の複数の第1樹脂凸部12sが形成されている。第1列AR1の複数の第1樹脂凸部12s及び第2列AR2の複数の第1樹脂凸部12sは、第2方向D2に交互に配置されている。第1列AR1に属する第1樹脂凸部12sは、正方配列で配列されている。第2列AR2に属する第1樹脂凸部12sは、正方配列で配列されている。第1列AR1に属する第1樹脂凸部12sと、第2列AR2に属する第1樹脂凸部12sとは、同一のピッチで第1方向D1に配列されている。第1列AR1に属する第1樹脂凸部12sと、第2列A2に属する第1樹脂凸部12sとは、第1方向D1への配列ピッチの半分だけ、第1方向D1にずらして配列されている。
【0176】
上述した第1層(基材シート)10の一具体例において、樹脂層12には、第2凸部10tとして、一次元配列された複数の第2樹脂凸部12tを含んでいた。しかしながら、第2樹脂凸部12tの配列パターンは、これに限られない。第2樹脂凸部12tは、二次元配列されてもよい。すなわち、第2樹脂凸部12tは、互いに非平行な少なくとも二以上の方向に分散してもよい。二次元配列された第2樹脂凸部12tによって、賦型樹脂層41において、二次元配列された複数の第2凹部41tが形成されてもよい。二次元配列された複数の第2凹部41tの集合によって、二次元配列された種々のパターンが表現されてもよい。二次元配列されたパターンは、文字、絵柄、マーク、イラスト、キャラクター、ピクトグラムのいずれか一以上を表してもよい。
【0177】
二次元配列された第2樹脂凸部12tの幅は、二次元配列された第1樹脂凸部12sの幅よりも大きくてもよい。なお、二次元配列された第2樹脂凸部12tの幅は、シート状の第1層10の法線方向からの第1層10の観察における、第2樹脂凸部12tの最大長さを意味する。
【0178】
上述した第1層(基材シート)10の一具体例において、気泡BBを含む樹脂層12は、第1版凹部92が押し付けられた硬化性樹脂組成物70を硬化させることによって形成されていた。しかしながら、気泡BB含む樹脂層12を形成する方法は、これに限られない。気泡BBをバインダー樹脂中に含む樹脂組成物をベース層11に塗布することによって、気泡BBを含む樹脂層12が形成されてもよい。
【0179】
上述した加飾シート5の一具体例において、第1層10は、ベース層11と、ベース層11に重なる樹脂層12と、を含んでいた。すなわち、第1層10は、複数の層を含んでいた。しかしながら、図18に示すように、第1層10は、単層でもよい。
【0180】
上述した加飾シート5の一具体例において、第2層20は、加飾層40として、樹脂賦型層41と、樹脂賦型層41に重ねられた印刷層42と、を含んでいた。すなわち、加飾層40は、複数の層を含んでいた。しかしながら、図18に示すように、加飾層40は、単層でもよい。
【0181】
上述した加飾シート5の一具体例において、加飾シート5は、第1層10と第2層20との間に被覆層30を含んでいた。既に説明したように、また、図18に示すように、被覆層30は、加飾シート5から省略されてもよい。
【0182】
上述した加飾シート5の一具体例において、第2層20は、アンカー層21と、接合層22と、を含んでいた。既に説明したように、また、図18に示すように、これらの層は、第2層20から省略されてもよい。
【実施例0183】
以下、実施例を用いて本開示の一実施の形態をより詳細に説明するが、本開示はこの実施例に限定されるものではない。
【0184】
実施例1~5に係る加飾シート及び比較例1に係る加飾シートを作製した。作製された加飾シートは、第1面と、第1面とは反対の第2面と、を有していた。作製された加飾シートは、第1層と、第1層に重ねられた第2層と、を有していた。第1層は、第1面と、第1面とは反対の第2面と、を有していた。第2層は、第1面と、第1面とは反対の第2面と、を有していた。第1層は、ベース層と、ベース層に重ねられた樹脂層と、を含んでいた。第2層は、賦型樹脂層を含んでいた。第2層は、樹脂賦型層のみによって構成されていた。作製された加飾シートの第2面は、ベース層によって構成されていた。作製された加飾シートの第1面は、賦型樹脂層によって構成されていた。作製された加飾シートにおいて、樹脂層は、ベース層及び賦型樹脂層の間に位置していた。作製された加飾シートは、ロールトゥロールにて得られる長尺部材の長手方向に沿って長手方向を有するようにした。作製された加飾シートは、被覆層を含んでいなかった。作製された加飾シートは、アンカー層を含んでいなかった。作製された加飾シートは、接合層を含んでいなかった。作製された加飾シートは、印刷層を含んでいなかった。実施例1~5に係る加飾シート及び比較例1に係る加飾シートは、以上の構成において共通していた。
【0185】
<実施例1>
版を準備した。版の版面は、エッチングによって形成した。版面は第1版凹部を含んでいた。複数の第1版凹部は、版の中心軸線に平行な軸方向、及び中心軸線を中心とする版の円周方向に二次元配列されていた。複数の第1版凹部は、正方配列されていた。第1版凹部の深さ、すなわち中心軸線に直交する径方向における第1版凹部の長さは、4.6μmであった。版面は、第2版凹部を含んでいなかった。
【0186】
版を用いた第1層の製造は、図7及び図8を参照して説明した上述の製造方法を採用した。ベース層は、ロールトゥロールにて製造された長尺のポリエチレンテレフタレート製フィルムの一部分とした。樹脂層は、紫外線硬化性樹脂の硬化物とした。第1層は、アライメントマーク領域を含んでいた。樹脂層は、第1版凹部の形状に対応する複数の第1樹脂凸部を含んでいた。複数の第1樹脂凸部は、複数の第1凸部を構成した。複数の第1樹脂凸部は、長手方向である第1方向と幅方向である第2方向との両方に配列されていた。複数の第1樹脂凸部は、二次元配列されていた。複数の第1樹脂凸部は、図4に示すように正方配列されていた。複数の第1樹脂凸部が形成されたアライメントマーク領域の寸法は、長手方向に沿って19mmであり、幅方向において19mmであった。各第1樹脂凸部は、長手方向において16μmの長さを有していた。各第1樹脂凸部は、幅方向において16μmの長さを有していた。長手方向に隣り合う二つの第1樹脂凸部の間隔は、16μmであった。幅方向に隣り合う二つの第1樹脂凸部の間隔は、16μmであった。第1樹脂凸部の第3方向に沿った高さは、4.6μmであった。
【0187】
賦型樹脂層は、上述した方法により樹脂層上に形成した。すなわち、紫外線硬化性樹脂組成物を、樹脂層によって構成された第1層の第1面上に供給し、第1面上で紫外線硬化性樹脂組成物の塗膜を硬化させることによって、賦型樹脂層を作製した。以上のようにして、実施例1に係る加飾シートを得た。賦型樹脂層によって構成された加飾シートの第1面は平坦であった。
【0188】
<実施例2>
実施例2に係る加飾シートは、第1樹脂凸部の長手方向及び幅方向における長さ、及び長手方向及び幅方向に隣り合う第1樹脂凸部の間隔、及び第1樹脂凸部の高さ以外において、実施例1に係る加飾シートと同一の構成であった。
【0189】
実施例2に係る加飾シートにおいて、各第1樹脂凸部は、長手方向において8μmの長さを有していた。各第1樹脂凸部の各々は、幅方向において8μmの長さを有していた。長手方向に隣り合う二つの第1樹脂凸部の間隔は、8μmであった。幅方向に隣り合う二つの第1樹脂凸部の間隔は、8μmの間隔を有していた。第1樹脂凸部の第3方向に沿った高さは、3.3μmであった。
【0190】
<実施例3>
実施例3に係る加飾シートは、第1樹脂凸部の長手方向及び幅方向における長さ、長手方向及び幅方向に隣り合う第1樹脂凸部の間隔、及び第1樹脂凸部の高さ以外において、実施例1に係る加飾シートと同一の構成であった。
【0191】
実施例3に係る加飾シートにおいて、各第1樹脂凸部は、長手方向において4μmの長さを有していた。各第1樹脂凸部は、幅方向において4μmの長さを有していた。長手方向に隣り合う二つの第1樹脂凸部の間隔は、4μmであった。幅方向に隣り合う二つの第1樹脂凸部の間隔は、4μmの間隔を有していた。第1樹脂凸部の第3方向に沿った高さは、2.6μmであった。
【0192】
<実施例4>
実施例4に係る加飾シートは、第1樹脂凸部の配列パターン以外において、実施例1に係る加飾シートと同一の構成であった。
【0193】
実施例4に係る加飾シートにおいて、複数の第1樹脂凸部は、長手方向において不規則に配列されていた。複数の第1樹脂凸部は、幅方向において不規則に配列されていた。第1樹脂凸部が形成されたアライメントマーク領域の寸法は、長手方向に沿って19mmであり、幅方向において19mmであった。実施例4に係る加飾シートを平面視したとき、第1樹脂凸部の面積は、アライメントマーク領域の面積の50%の割合を占めていた。不規則に配列された第1樹脂凸部は、長手方向において8μm以上の長さを有していた。不規則に配列された第1樹脂凸部は、幅方向において8μm以上の長さを有していた。すなわち、アライメントマーク領域を、長手方向において8μm且つ幅方向において8μmの寸法を有する小領域に区分けし、且つ小領域への第1樹脂凸部の有無を不規則に決定した。第1樹脂凸部の第3方向に沿った高さは、3.3μmであった。
【0194】
<実施例5>
実施例5に係る加飾シートは、第1樹脂凸部の配列パターン、及び第1樹脂凸部の高さ以外において、実施例1に係る加飾シートと同一の構成であった。
【0195】
実施例5に係る加飾シートにおいて、複数の第1樹脂凸部は、図17を参照して説明した千鳥配列によって配列されていた。第1樹脂凸部は、長手方向において8μmの長さを有し且つ幅方向において8μmの長さを有する領域に形成されるよう、設計された。ただし、版の版面を作製する際、エッチングによる浸食量を設計よりも少なくした。作製された版において、版面に形成された複数の第1版凹部は互いから離れていた。この版を用いて作製された第1層の複数の第1樹脂凸部は、互いから離れていた。
【0196】
<比較例1>
比較例1に係る加飾シートは、第1樹脂凸部の大きさ以外において、実施例5に係る加飾シートと同一の構成であった。比較例1に係る加飾シートにおいて、第1樹脂凸部の第3方向に沿った高さは、3.5μmであった。
【0197】
比較例1に係る加飾シートにおいて、複数の第1樹脂凸部は、図17を参照して説明した千鳥配列によって配列されていた。第1樹脂凸部は、長手方向において8μmの長さを有し且つ幅方向において8μmの長さを有する領域に形成されるよう、設計された。ただし、版の版面を作製する際、エッチングによる浸食量を設計より多くした。作製された版において、版面に形成された複数の第1版凹部は互いに接続していた。この版を用いて作製された第1層の複数の第1樹脂凸部は、互いに接続していた。長手方向に対して45°傾斜した二つの方向に隣り合う二つの第1樹脂凸部は、互いに接続していた。
【0198】
<評価1>
作製された加飾シートについて、第1樹脂凸部が形成されたアライメントマーク領域を、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製:VH5500)を用いて、法線方向に沿って第1面から観察した。観察領域は、100μm×100μmの寸法を有していた。観察領域において観察された気泡の数を、気泡の幅に応じてカウントした。発見された気泡を、その最大幅(μm)に応じて、分類した。カウント及び分類結果を表1の「評価1」の欄に示す。表1において、7μm以上の幅を有する気泡の数を、表1の「7μm以上」の欄に記載した。表1において、4μm以上7μm未満の幅を有する気泡の数を、表1の「4μm以上7μm未満」の欄に記載した。表1において、1μm以上3μm未満の幅を有する気泡の数を、表1の「1μm以上3μm未満」の欄に記載した。
【0199】
<評価2>
以下のように、光電センサを用いて、加飾シートからの反射光の光量(lm・S)を、第1樹脂凸部が設けられた領域、及び第1樹脂凸部が設けられなかった領域において測定した。光電センサは、アンプ(株式会社キーエンス製:CZ-V21a)と、アンプに電気的に接続されたセンサヘッド(株式会社キーエンス製:CZ-H37S)と、を含んでいた。作製された加飾シートを、第1面が上方を向くよう台に設置した。加飾シートと台との間に、黒色の厚紙を設けた。第1面から16mm上方に、センサヘッドを設置した。センサヘッドの発光部から、加飾シートに向けて入射角90°の光を照射し、その反射光の光量(lm・S)を受光部にて測定した。実施例1~5及び比較例1の各々において、アライメントマーク領域の異なる3箇所において、反射光の光量(lm・S)を取得した。アライメントマーク領域以外の領域における反射光の光量(lm・S)も測定した。
第1樹脂凸部が設けられたアライメントマーク領域の異なる3箇所における反射光の光量の平均値(lm・S)と、第1樹脂凸部が設けられなかった領域における反射光の光量の平均値(lm・S)と、を比較し、下記評価基準に基づいて評価した。比較結果を表1の「評価2」の欄に示す。
(評価基準)
AAA:アライメントマーク領域以外の領域における反射光の光量の平均値に対する、アライメントマーク領域における反射光の光量の平均値の割合は、160%以上であった。
AA:アライメントマーク領域以外の領域における反射光の光量の平均値に対する、アライメントマーク領域における反射光の光量の平均値の割合は、120%以上160%未満であった。
A:アライメントマーク領域以外の領域における反射光の光量の平均値に対する、アライメントマーク領域における反射光の光量の平均値の割合は、110%以上120%未満であった。
B:アライメントマーク領域以外の領域における反射光の光量の平均値に対する、アライメントマーク領域における反射光の光量の平均値の割合は、110%未満であった。
【表1】
【符号の説明】
【0200】
1:長尺加飾シート、5:加飾シート、5a:第1面、5b:第2面、7:熱可塑性樹脂部、10:第1層(基材シート)、10s:第1凸部(凸部)、10t:第2凸部、11:ベース層、12:樹脂層、12s:第1樹脂凸部、12t:第2樹脂凸部、20:第2層、40:加飾層、50:加飾部材、90:版、91:版面、92:第1版凹部、93:第2版凹部、AL:アライメントマーク、RL:アライメントマーク領域、BB:気泡
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