(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067449
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】包装システム及び包装システムの洗浄方法
(51)【国際特許分類】
B65B 65/00 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
B65B65/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177532
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】PACRAFT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】中川 晃一
(72)【発明者】
【氏名】森野 学
(72)【発明者】
【氏名】吉兼 徹
(72)【発明者】
【氏名】山根 徳幸
【テーマコード(参考)】
3E056
【Fターム(参考)】
3E056AA05
3E056FH05
3E056HA08
(57)【要約】
【課題】包装システムに付着した汚れを簡便に取り除くのに有利な包装システム及び包装システムの洗浄方法を提供する。
【解決手段】包装システムは、霧状又は泡状の洗浄剤Lcを洗浄対象物に向けて噴出する第1洗浄装置71を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
霧状又は泡状の洗浄剤を洗浄対象物に向けて噴出する第1洗浄装置を備える包装システム。
【請求項2】
包装設備架台と、
前記包装設備架台の上方に位置づけられる包装に関連する装置と、を備え、
前記洗浄対象物は、前記包装設備架台の上部を含む
請求項1に記載の包装システム。
【請求項3】
前記第1洗浄装置は、前記洗浄対象物に向けて前記洗浄剤を断続的に噴出する請求項2に記載の包装システム。
【請求項4】
前記第1洗浄装置とは異なる位置に設けられ、前記洗浄剤を前記洗浄対象物に向けて噴出する第2洗浄装置を備える請求項2又は3に記載の包装システム。
【請求項5】
袋のシール箇所をシールするシール装置であって、前記シール箇所に接触する接触部材を有するシール装置を備え、
前記洗浄対象物は、前記接触部材を含む
請求項1に記載の包装システム。
【請求項6】
前記シール装置は、
防汚シートと、
前記防汚シートを介して前記シール箇所を挟む一対の加圧部材と、
を有し、
前記接触部材は、前記防汚シートである
請求項5に記載の包装システム。
【請求項7】
前記第1洗浄装置は、前記洗浄対象物に向けて前記洗浄剤を断続的に噴出する請求項5又は6に記載の包装システム。
【請求項8】
前記第1洗浄装置とは異なる位置に設けられ、前記洗浄剤を前記洗浄対象物に向けて噴出する第2洗浄装置を備える請求項5又は6に記載の包装システム。
【請求項9】
袋を搬送する搬送ベルトを備え、
前記洗浄対象物は、前記搬送ベルトを含む
請求項1に記載の包装システム。
【請求項10】
前記第1洗浄装置は、前記洗浄対象物に向けて前記洗浄剤を断続的に噴出する請求項9に記載の包装システム。
【請求項11】
前記第1洗浄装置とは異なる位置に設けられ、前記洗浄剤を前記洗浄対象物に向けて噴出する第2洗浄装置を備える請求項9又は10に記載の包装システム。
【請求項12】
第1洗浄装置から霧状又は泡状の洗浄剤を洗浄対象物に向けて噴出する工程を含む包装システムの洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装システム及び包装システムの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
袋の口部をシールすることで、内容物が封入された製品袋を製造する包装システムが知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-339737号公報
【特許文献2】特開2020-37442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
包装システムの稼働時に、包装システムを構成する各種機器には汚れが付着する。例えば充填装置によって袋内に内容物を充填する処理が行われる場合、充填装置から袋外に内容物が飛散したり、袋の内側から外側に内容物が飛散したりすることで、各種機器が内容物によって汚される。
【0005】
包装システムが稼働して包装処理が行われている間は、各種機器の洗浄(清掃)を行うことが難しい場合も多い。そのような場合、包装システムの稼働終了後など各種機器が停止している間に、清掃を行う必要がある。しかしながら機器に汚れが付着してから当該機器の停止までに長時間が経過していると、汚れが機器に固着して簡単には清掃除去できないこともある。そのような汚れを除去するには、ブラシや高圧洗浄機などの清掃具を使った人手による清掃の実施が必要になる。
【0006】
本開示は上述の事情に鑑みてなされたものであり、包装システムに付着した汚れを簡便に取り除くのに有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、霧状又は泡状の洗浄剤を洗浄対象物に向けて噴出する第1洗浄装置を備える包装システムに関する。
【0008】
包装システムは、包装設備架台と、包装設備架台の上方に位置づけられる包装に関連する装置と、を備えてもよく、洗浄対象物は、包装設備架台の上部を含んでもよい。
【0009】
第1洗浄装置は、洗浄対象物に向けて洗浄剤を断続的に噴出してもよい。
【0010】
包装システムは、第1洗浄装置とは異なる位置に設けられ、洗浄剤を洗浄対象物に向けて噴出する第2洗浄装置を備えてもよい。
【0011】
包装システムは、袋のシール箇所をシールするシール装置であって、シール箇所に接触する接触部材を有するシール装置を備えてもよく、洗浄対象物は、接触部材を含んでもよい。
【0012】
シール装置は、防汚シートと、防汚シートを介してシール箇所を挟む一対の加圧部材と、を有してもよく、接触部材は、防汚シートであってもよい。
【0013】
第1洗浄装置は、洗浄対象物に向けて洗浄剤を断続的に噴出してもよい。
【0014】
包装システムは、第1洗浄装置とは異なる位置に設けられ、洗浄剤を洗浄対象物に向けて噴出する第2洗浄装置を備えてもよい。
【0015】
包装システムは、袋を搬送する搬送ベルトを備えてもよく、洗浄対象物は、搬送ベルトを含んでもよい。
【0016】
第1洗浄装置は、洗浄対象物に向けて洗浄剤を断続的に噴出してもよい。
【0017】
包装システムは、第1洗浄装置とは異なる位置に設けられ、洗浄剤を洗浄対象物に向けて噴出する第2洗浄装置を備えてもよい。
【0018】
本開示の他の態様は、第1洗浄装置から霧状又は泡状の洗浄剤を洗浄対象物に向けて噴出する工程を含む包装システムの洗浄方法に関する。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、包装システムに付着した汚れを簡便に取り除くのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、包装システムの一例を上方から見た平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す包装システムを
図1の矢印「II」に沿って側方から見た側面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す符号「A-A」によって示される切断面(水平面)において包装システムの一部を
図2の矢印「III」に沿って上方から見た拡大平面図である。
【
図4】
図4は、
図1~
図3に示す包装システムの一部を
図1の矢印「IV」に沿って側方から見た拡大側面図である。
【
図5】
図5は、第1加熱シール装置に対して設置される洗浄装置の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1加熱シール装置に対して設置される洗浄装置の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、製品コンベアに対して設置される洗浄装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本開示の一実施形態について説明する。
【0022】
図1は、包装システム10の一例を示す平面図である。
図2は、
図1に示す包装システム10を
図1の矢印「II」に沿って見た側面図である。
図3は、
図2に示す符号「A-A」によって示される切断面(水平面)において包装システム10の一部を
図2の矢印「III」に沿って見た拡大平面図である。
図4は、
図1~
図3に示す包装システム10の一部を
図1の矢印「IV」に沿って見た拡大側面図である。
【0023】
包装システム10は、袋(容器)の内側に内容物を封入する処理を行う。本例の包装システム10は、空の袋の口部を介して当該袋の内側に内容物を導入した後に当該袋の口部のシール処理を行うことで内容物が封入された袋(製品袋)を製造し、当該製品袋を後段に送り出す。
【0024】
図1~
図4に示す包装システム10は、架台11、回転搬送装置12、複数の処理ステーションに設置される各種処理装置、及び回転搬送装置12及び各種処理装置を制御する制御装置15を備える。
【0025】
架台11は、回転搬送装置12、制御装置15及び他の装置を支持する。
【0026】
回転搬送装置12は、包装処理の対象となる複数の袋を間欠的に搬送し、複数の処理ステーションにおいて間欠的に停止させる。本例の回転搬送装置12は、回転テーブル12aと、回転テーブル12aの中央に取り付けられる回転シャフト12bと、回転テーブル12aの外周部に取り付けられる複数のグリッパー12cと、を備える。回転シャフト12bは、回転駆動装置(図示省略)から伝えられる回転動力によって、鉛直方向に沿って延びる中心軸線を中心に間欠的に回転させられる。回転テーブル12a及び複数のグリッパー12cは、回転シャフト12bと一体的に間欠的に回転する。
【0027】
ペアを成す2つのグリッパー12cが、対応の袋の両側部を把持し、当該対応の袋を吊り下げ支持する。このようなグリッパー12cのペアは複数設けられ、回転テーブル12aの間欠回転に応じて、円軌道に沿って移動する。これらのグリッパー12cのペアは、回転テーブル12aが間欠的に停止している間、円軌道に沿って設けられる複数の処理ステーションのそれぞれに配置される。
図1に示す例では、各処理ステーションにおいて一度に2組のグリッパー12cのペアが間欠的に停止(配置)される。各グリッパー12cは、複数の処理ステーションを順次、繰り返し巡る。各袋は、対応のグリッパー12cのペアによって支持されつつ、対応のグリッパー12cのペアとともに複数の処理ステーションを順次巡り、それぞれの処理ステーションにおいて対応の処理を受ける。
【0028】
図1~
図4に示す例における複数の処理ステーションは、給袋装置21が設置される給袋ステーション、開口装置23が設置される開口ステーション、投入装置25が設置される内容物投入ステーション、注入装置27が設置される内容物注入ステーション、ガス置換装置29が設置されるガス置換ステーション、第1加熱シール装置31が設置される第1加熱シールステーション、第2加熱シール装置32が設置される第2加熱シールステーション、及び冷却シール装置33及び製品コンベア35が設置される冷却排出ステーションを含む。
【0029】
給袋装置21は、マガジンベルト21a及び送出ベルト21bを有する。マガジンベルト21a上に、複数の空の袋が水平方向に重ねられた状態で並べられる。マガジンベルト21aは、マガジンベルト21a上の先頭の袋が送出位置に位置づけられるように、マガジンベルト21a上の袋を搬送する。送出ベルト21bは、マガジンベルト21a上の先頭の袋(すなわち送出位置に位置する袋)を、マガジンベルト21a上の他の袋から分離するように下流に送り出す。このようにして送出ベルト21bにより他の袋から分離された袋は、中継装置(図示省略)を介し、給袋ステーションに間欠的に配置されているグリッパー12cのペアに渡される。本例では、上述のマガジンベルト21a及び送出ベルト21bの組み合わせが2組設けられ、一度に2つの袋が、給袋装置21から、給袋ステーションに間欠的に配置されている2組のグリッパー12cのペアに渡される。
【0030】
開口装置23は、開口ステーションに間欠的に配置されている2組のグリッパー12cのペアにより支持されている2つの袋の口部を開く。
【0031】
投入装置25は、内容物投入ステーションに間欠的に配置されている2組のグリッパー12cのペアにより支持されている2つの袋の内側に、口部を介して内容物(例えば固形状の内容物)を投入する。
【0032】
注入装置27は、内容物注入ステーションに間欠的に配置されている2組のグリッパー12cのペアにより支持されている2つの袋の内側に、口部を介して内容物(例えば液状の内容物)を注入する。
【0033】
ガス置換装置29は、ガス置換ステーションに間欠的に配置されている2組のグリッパー12cのペアにより支持されている2つの袋の内側に、口部を介して置換ガス(例えば窒素などの不活性ガス、酸素、或いは水蒸気)を吹き込む。これにより当該2つの袋の内側の気体が置換ガスによって外側に追い出され、当該2つの袋の内側が置換ガスによって充満される。
【0034】
第1加熱シール装置31は、第1加熱シールステーションに間欠的に配置されている2組のグリッパー12cのペアにより支持されている2つの袋の口部を加熱してシールする。第2加熱シール装置32は、第2加熱シールステーションに間欠的に配置されている2組のグリッパー12cのペアにより支持されている2つの袋の口部を加熱してシールする。冷却シール装置33は、冷却排出ステーションに間欠的に配置されている2組のグリッパー12cのペアにより支持されている2つの袋の口部(特に加熱シールされた箇所を含む部分)を冷却して当該口部のシール状態を安定化させる。各袋の口部はこれらの一連のシール処理を受けることで強固にシールされ、その結果、内側に内容物が封入された製品袋が作られる。
【0035】
製品コンベア35は搬送ベルト35aを有する。搬送ベルト35aは、冷却排出ステーションに間欠的に配置されている2組のグリッパー12cのペアによる支持から解放されて落下する2つの袋(製品袋)を受け止めて、当該2つの袋(製品袋)を後段に搬送する。
【0036】
上述の包装システム10は、更に、
図3に示す洗浄液配管40及び複数の洗浄液ノズル41(第1洗浄装置)を備える。洗浄液配管40には、洗浄液タンク(図示省略)からの洗浄液Lc(洗浄剤)が流される。
【0037】
洗浄液Lcは、任意の組成を有することができ、環境保全の観点から環境への影響が小さい特性を持つ洗浄剤を洗浄液Lcとして用いることが好ましい。例えば水、アルカリ水、次亜塩素水、純水、イオン水、アルカリ電解水、或いは他の水系洗浄液(水を主成分とする洗浄液)を、洗浄液Lcとして使用することが可能である。洗浄液Lcの温度も限定されず、例えば常温、常温よりも高い温度、或いは常温よりも低い温度を有する洗浄液Lcが洗浄液配管40において流されてもよい。
【0038】
各洗浄液ノズル41は、洗浄液配管40に設けられ、洗浄液配管40からの洗浄液Lcを噴出する。各洗浄液ノズル41による洗浄液Lcの噴出態様は限定されない。本例の各洗浄液ノズル41は、霧状又は泡状(例えばファインバブル状)の洗浄液Lcを、上方から見て放射状(扇形状;
図3参照)に、洗浄対象物である架台11の上面に向けて断続的又は継続的に噴出する。ここで言うファインバブル状の洗浄液Lcは、直径100μm(マイクロメートル)以下の気泡を含み、例えば直径1~100μmの気泡(マイクロバブル)を含んでいてもよいし、数十~数百nm(ナノメートル)の気泡(ナノバブル)を含んでいてもよい。
【0039】
本例では、内容物投入ステーション及び内容物注入ステーションにおいて複数の洗浄液ノズル41が設けられ、これらの洗浄液ノズル41から噴出される洗浄液Lcは、主として架台11の上面(特に内容物投入ステーション及び内容物注入ステーションに位置する上面部分)に付与される。これにより架台11(包装設備架台)の上部(特に上面)が、洗浄対象物として洗浄液Lcにより洗浄される。
【0040】
架台11の上方に位置づけられる包装に関連する装置のうち、内容物の供給を行う投入装置25及び注入装置27は、架台11を内容物によって汚しやすい傾向がある。本例によれば、架台11に付着したそのような内容物に起因する汚れを、洗浄装置(洗浄液配管40及び洗浄液ノズル41)から吐出される洗浄液Lcによって効果的に除去できる。
【0041】
特に本例の包装システム10では、複数の洗浄液ノズル41から噴出される洗浄液が付与される範囲が、タテリ部37によって制限される。本例のタテリ部37は、架台11の上面から突出する突出部により構成されており、回転テーブル12aの回転中心(回転シャフト12b)を基準に半径方向に延びる。各洗浄液ノズル41から放射状に噴出される洗浄液Lcの飛翔範囲はタテリ部37によって制限され、タテリ部37によって区画される範囲(本例では内容物投入ステーション及び内容物注入ステーションに位置する架台11の上面部分)に対し、洗浄液Lcを集中的(限定的)に付与できる。
【0042】
なおタテリ部37の形態は図示の例には限定されない。タテリ部37は、任意の範囲及び任意の方向に延在することができ、回転テーブル12aの回転中心から半径方向に延在していなくてもよい。例えば、洗浄液ノズル41から噴出される洗浄液の付与範囲が架台11の上面の全体に及ぶように、タテリ部37は架台11の上面の全体を囲み且つ架台11の上面から突出するように、設けられてもよい。
【0043】
包装システム10に付与された洗浄液Lcは、回収装置(図示省略)によって回収されてもよい。回収装置によって回収された洗浄液Lcは、再利用されてもよいし、浄化装置(図示省略)による浄化処理を受けてもよいし、包装システム10の他の用途(例えば冷却シール装置33が具備する冷却板を冷却する用途)に用いられてもよいし、廃棄されてもよい。
【0044】
なお洗浄装置の洗浄対象物は限定されず、内容物投入ステーション及び内容物注入ステーションとは異なるステーションに洗浄液Lcを付与する洗浄装置が設けられてもよい。また包装システム10のうちの互いに異なる複数箇所を洗浄対象物としてもよく、お互いに異なる位置に設けられる複数の洗浄装置(例えば第1洗浄装置及び第2洗浄装置)から、お互いに異なる洗浄対象物に向けて、同一種類の又は異なる種類の洗浄液(洗浄剤)を噴出させてもよい。
【0045】
図5及び
図6は、第1加熱シール装置31に対して設置される洗浄装置の一例を示す図である。
【0046】
図5に示す第1加熱シール装置31は、防汚シート65と、防汚シート65を介して袋Bの口部Bm(シール箇所)を挟む一対の加圧部材(すなわち第1加熱部材53及び第2加熱部材60)とを備える。
【0047】
第1ヒーター54が内蔵される第1加熱部材53は、第1中継ブロック52を介して第1可動体51に取り付けられる。第2ヒーター61が内蔵される第2加熱部材60は、第2中継ブロック59を介して第2可動体58に取り付けられる。第1可動体51及び第2可動体58は、駆動装置(図示省略)から伝えられる動力に応じて水平方向に移動し、その結果、第1加熱部材53及び第2加熱部材60も鏡面対称的に水平方向に移動する。
【0048】
防汚シート65は、第1ローラー66、第2ローラー67及び第3ローラー68により支持される。防汚シート65は、基本的に自由に折れ曲がることが可能な柔軟性を有する。防汚シート65の具体的な組成は限定されない。防汚シート65は、後述のように内容物等の汚れを洗浄除去しやすいことが清浄性の観点から好ましく、例えばフッ素樹脂(例えばテフロン(登録商標:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)))により防汚シート65の表面が構成されてもよい。
【0049】
本例の防汚シート65は、第1ローラー66及び第3ローラー68のうちの一方から繰り出され、他方において巻き取られて回収される。第1ローラー66と第3ローラー68との間に設けられる第2ローラー67は、防汚シート65のうち第1加熱部材53と第2加熱部材60との間において延在する部分の配置を調整し、防汚シート65の当該部分を緊張又は弛緩した状態で第1加熱部材53と第2加熱部材60との間に位置づける。
【0050】
上述の
図5及び
図6に示す第1加熱シール装置31は、袋Bの口部Bmをシールし、特に、防汚シート65が口部Bmに接触する接触部材を構成する。
【0051】
すなわち待機状態(非シール処理状態)の第1加熱シール装置31では、
図5に示すように、第1加熱部材53及び第2加熱部材60が互いから離れた位置に配置され、第1加熱部材53と第2加熱部材60との間には比較的大きなスペースが形成される。新たに第1加熱シールステーションに配置される袋Bの口部Bmは、第1加熱部材53と第2加熱部材60との間のこのスペース(特に第2ローラー67よりも上流に位置する防汚シート65の部分と、第2ローラー67よりも下流に位置する防汚シート65の部分との間のスペース)に位置づけられる。
【0052】
そして第1加熱シール装置31の状態を待機状態(
図5参照)からシール処理状態(
図6参照)に遷移させる場合、第1加熱部材53及び第2加熱部材60は、第1可動体51及び第2可動体58によって、お互いに近づくように水平方向に移動させられて、最終的にはお互いに水平方向に押し合うように配置される。この際、第1加熱部材53と第2加熱部材60との間には、第2ローラー67よりも上流に位置する防汚シート65の部分、第2ローラー67よりも下流に位置する防汚シート65の部分、及び袋Bの口部Bmが位置している。そのため袋Bの口部Bmは、防汚シート65を介して第1加熱部材53及び第2加熱部材60によって両側から押圧されるとともに、防汚シート65を介して第1加熱部材53及び第2加熱部材60(厳密には第1ヒーター54及び第2ヒーター61)から伝えられる熱によって加熱される。袋Bの口部Bmは、このようにして加圧及び加熱されることで、シールされる。
【0053】
このように袋Bに対して直接的に接触する防汚シート65は、袋B(特に口部Bm)の外側に意図せずに付着している内容物によって汚される可能性が高い。このような汚染を受けやすい防汚シート65は、汚染の伝播を抑制するために、1又は複数の袋Bのシール処理を行う度に第1ローラー66及び第3ローラー68の一方から他方に向けて移動させられる。防汚シート65の当該移動の結果、防汚シート65のうち内容物によって汚染されていない部分が第1加熱部材53と第2加熱部材60との間に位置づけられる。そのため、たとえ先行する袋Bのシール処理によって防汚シート65が汚染されても、新たな袋Bのシール処理では、汚染されていない防汚シート65の部分がその新たな袋B(特に口部Bm)に接触することになる。
【0054】
このような第1加熱シール装置31に対し、防汚シート65(特に袋Bの口部Bmに接触した面)を洗浄するための第1洗浄装置71及び第2洗浄装置74が設置される。第1洗浄装置71は、防汚シート65のうち第1ローラー66と第2ローラー67と間に延在する部分を洗浄するための洗浄装置である。第2洗浄装置74は、防汚シート65のうち第2ローラー67と第3ローラー68と間に延在する部分を洗浄するための洗浄装置である。
【0055】
第1洗浄装置71は、防汚シート65に向けて洗浄液Lcを断続的又は継続的に噴出する第1洗浄剤噴出装置72と、防汚シート65から洗浄液Lcを回収する第1洗浄剤回収装置73と、を有する。同様に、第2洗浄装置74は、防汚シート65に向けて洗浄液Lcを断続的又は継続的に噴出する第2洗浄剤噴出装置75と、防汚シート65から洗浄液Lcを回収する第2洗浄剤回収装置76と、を有する。
【0056】
本例では、第1加熱シール装置31が待機状態(
図5参照)に置かれている間に、制御装置15(
図1参照)の制御下で第1洗浄装置71及び/又は第2洗浄装置74が作動することで、防汚シート65の洗浄処理が行われる。
【0057】
例えば、防汚シート65を第1ローラー66から繰り出して第3ローラー68により回収しつつ、第2洗浄装置74の第2洗浄剤噴出装置75から防汚シート65に洗浄液Lcを付与して、第2洗浄剤回収装置76によって洗浄液Lcを防汚シート65から回収してもよい。また防汚シート65を第3ローラー68から繰り出して第1ローラー66により回収しつつ、第1洗浄装置71の第1洗浄剤噴出装置72から防汚シート65に洗浄液Lcを付与して、第1洗浄剤回収装置73によって洗浄液Lcを防汚シート65から回収してもよい。
【0058】
なお、第1加熱シール装置31に対して設置される洗浄装置の一例について上述したが、第2加熱シール装置32、冷却シール装置33、及び袋B(例えばシール箇所)に接触する接触部材を具備する他の装置に対しても、
図5及び
図6に示すような防汚シート65、第1洗浄装置71及び第2洗浄装置74を設置することが可能である。
【0059】
また上述の
図5及び
図6に示す例では、第2ローラー67によって防汚シート65の延在方向が変えられることで、単一の防汚シート65のうちの異なる部分が、処理対象の袋Bの口部Bmの両側(具体的には口部Bmと第1加熱部材53との間及び口部Bmと第2加熱部材60との間の両方)に配置されるが、防汚シート65の設置態様はこれには限定されない。例えば、お互いに異なる複数(2つ)の防汚シート65のそれぞれが、処理対象の袋Bの口部Bmの両側に配置されてもよい(特許文献1参照)。また上述の
図5及び
図6に示す例では、防汚シート65が第1ローラー66及び/又は第3ローラー68によって移動させられることで、袋Bの口部Bmに接触する防汚シート65の部分が変えられるが、防汚シート65の全体が交換されることで、袋Bの口部Bmに接触する防汚シート65が変えられてもよい(特許文献2参照)。
【0060】
また洗浄装置による洗浄対象物は、袋を搬送する搬送ベルトを含んでもよい。
【0061】
図7は、製品コンベア35に対して設置される洗浄装置の一例を示す図である。
【0062】
製品コンベア35は、上述のように袋(製品袋)を搬送する搬送ベルト35aを備える。本例では、無端状の搬送ベルト35aが、第1搬送ローラー35b及び第2搬送ローラー35cにより支持されつつ走行駆動される。
【0063】
搬送ベルト35aのうち上方に向けて露出している部分(面)は、冷却排出ステーションにおいてグリッパー12cのペア(
図1参照)から放出された袋(製品袋)が載せられ、搬送駆動装置(図示省略)による第1搬送ローラー35b及び/又は第2搬送ローラー35cの回転駆動に応じて、後段に向けて当該袋とともに移動する。
【0064】
図7に示す第1洗浄装置71及び第2洗浄装置74は、搬送ベルト35aのうち下方に向けて露出している部分(面)を洗浄するように設置される。第1洗浄装置71の第1洗浄剤噴出装置72及び第2洗浄装置74の第2洗浄剤噴出装置75は、搬送ベルト35aのうち下方に向けて露出している互いに異なる部分に向けて、洗浄液Lcを断続的に又は継続的に噴出する。第1洗浄剤噴出装置72及び第2洗浄剤噴出装置75から搬送ベルト35aに付与された洗浄液Lcは、第1洗浄剤噴出装置72と第2洗浄剤噴出装置75との間に位置する共通洗浄剤回収装置77によって回収される。
【0065】
搬送ベルト35aが正方向(
図7の矢印参照)に移動させられる場合、搬送ベルト35aは、袋を後段に送り出した後に、第1洗浄剤噴出装置72から洗浄液Lcが付与され、その後、共通洗浄剤回収装置77による当該洗浄液Lcの回収が行われる。一方、搬送ベルト35aが正方向とは逆向きに移動させられる場合、搬送ベルト35aは第2洗浄剤噴出装置75から洗浄液Lcが付与され、その後、共通洗浄剤回収装置77による当該洗浄液Lcの回収が行われる。
【0066】
製品コンベア35に対して設置される洗浄装置の一例について上述したが、マガジンベルト21a及び送出ベルト21bを備える給袋装置21や、袋を搬送するベルト(搬送ベルト)を備える他の装置に対しても、
図7に示すような洗浄装置を設置することが可能である。
【0067】
以上説明したように本実施形態によれば、洗浄装置から包装システム10に洗浄液Lcが付与されるため、包装システム10に付着した汚れを簡便に取り除くのに有利である。例えば、ブラシや高圧洗浄機などの清掃具を使った人手による清掃の実施が不要になったり、そのような人手による清掃の負担軽減及び頻度減少という効果がもたらされたりする。その結果、包装システムに付着した汚れを取り除く清掃のために包装システムの稼働を停止させる必要がなくなったり、そのような停止の頻度を減少させたり、そのような停止の時間を短縮したりすることができ、包装システム10の生産性能を向上させることができる。
【0068】
また包装システム10を長期間にわたって清浄な状態に保つことができ、ひいては包装処理を受けている最中の袋の汚染や包装システム10から後段に送り出す製品袋の汚染を、効果的に抑制できる。
【0069】
本明細書で開示されている実施形態及び変形例はすべての点で例示に過ぎず限定的には解釈されないことに留意されるべきである。上述の実施形態及び変形例は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態での省略、置換及び変更が可能である。例えば上述の実施形態及び変形例が全体的に又は部分的に組み合わされてもよく、また上述以外の実施形態が上述の実施形態又は変形例と組み合わされてもよい。また、本明細書に記載された本開示の効果は例示に過ぎず、その他の効果がもたらされてもよい。
【0070】
上述の技術的思想を具現化する技術的カテゴリーは限定されない。例えば上述の装置を製造する方法或いは使用する方法に含まれる1又は複数の手順(ステップ)をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムによって、上述の技術的思想が具現化されてもよい。またそのようなコンピュータプログラムが記録されたコンピュータが読み取り可能な非一時的(non-transitory)な記録媒体によって、上述の技術的思想が具現化されてもよい。
【0071】
[付記]
本開示は、以下の構成をとることもできる。
【0072】
[項目1]
霧状又は泡状の洗浄剤を洗浄対象物に向けて噴出する第1洗浄装置を備える包装システム。
【0073】
[項目2]
包装設備架台と、
前記包装設備架台の上方に位置づけられる包装に関連する装置と、を備え、
前記洗浄対象物は、前記包装設備架台の上部を含む
項目1に記載の包装システム。
【0074】
[項目3]
前記第1洗浄装置は、前記洗浄対象物に向けて前記洗浄剤を断続的に噴出する項目2に記載の包装システム。
【0075】
[項目4]
前記第1洗浄装置とは異なる位置に設けられ、前記洗浄剤を前記洗浄対象物に向けて噴出する第2洗浄装置を備える項目2又は3に記載の包装システム。
【0076】
[項目5]
袋のシール箇所をシールするシール装置であって、前記シール箇所に接触する接触部材を有するシール装置を備え、
前記洗浄対象物は、前記接触部材を含む
項目1に記載の包装システム。
【0077】
[項目6]
前記シール装置は、
防汚シートと、
前記防汚シートを介して前記シール箇所を挟む一対の加圧部材と、
を有し、
前記接触部材は、前記防汚シートである
項目5に記載の包装システム。
【0078】
[項目7]
前記第1洗浄装置は、前記洗浄対象物に向けて前記洗浄剤を断続的に噴出する項目5又は6に記載の包装システム。
【0079】
[項目8]
前記第1洗浄装置とは異なる位置に設けられ、前記洗浄剤を前記洗浄対象物に向けて噴出する第2洗浄装置を備える項目5~7のいずれかに記載の包装システム。
【0080】
[項目9]
袋を搬送する搬送ベルトを備え、
前記洗浄対象物は、前記搬送ベルトを含む
項目1に記載の包装システム。
【0081】
[項目10]
前記第1洗浄装置は、前記洗浄対象物に向けて前記洗浄剤を断続的に噴出する項目9に記載の包装システム。
【0082】
[項目11]
前記第1洗浄装置とは異なる位置に設けられ、前記洗浄剤を前記洗浄対象物に向けて噴出する第2洗浄装置を備える項目9又は10に記載の包装システム。
【0083】
[項目12]
第1洗浄装置から霧状又は泡状の洗浄剤を洗浄対象物に向けて噴出する工程を含む包装システムの洗浄方法。
【符号の説明】
【0084】
10 包装システム、11 架台、12 回転搬送装置、12a 回転テーブル、12b 回転シャフト、12c グリッパー、15 制御装置、21 給袋装置、21a マガジンベルト、21b 送出ベルト、23 開口装置、25 投入装置、27 注入装置、29 ガス置換装置、31 第1加熱シール装置、32 第2加熱シール装置、33 冷却シール装置、35 製品コンベア、35a 搬送ベルト、35b 第1搬送ローラー、35c 第2搬送ローラー、37 タテリ部、40 洗浄液配管、41 洗浄液ノズル、51 第1可動体、52 第1中継ブロック、53 第1加熱部材、54 第1ヒーター、58 第2可動体、59 第2中継ブロック、60 第2加熱部材、61 第2ヒーター、65 防汚シート、66 第1ローラー、67 第2ローラー、68 第3ローラー、71 第1洗浄装置、72 第1洗浄剤噴出装置、73 第1洗浄剤回収装置、74 第2洗浄装置、75 第2洗浄剤噴出装置、76 第2洗浄剤回収装置、77 共通洗浄剤回収装置、B 袋、Bm 口部、Lc 洗浄液