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特開2024-67455解錠電波送受信装置および方法、解錠制御装置および方法、並びに解錠制御システム
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  • 特開-解錠電波送受信装置および方法、解錠制御装置および方法、並びに解錠制御システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067455
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】解錠電波送受信装置および方法、解錠制御装置および方法、並びに解錠制御システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 19/00 20060101AFI20240510BHJP
   G01S 13/74 20060101ALI20240510BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20240510BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20240510BHJP
【FI】
E05B19/00 J
G01S13/74
E05B49/00 K
B60R25/24
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177546
(22)【出願日】2022-11-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】大澤 定夫
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 誠
(72)【発明者】
【氏名】井原 和法
(72)【発明者】
【氏名】高橋 友樹
(72)【発明者】
【氏名】大浜 勇作
【テーマコード(参考)】
2E250
5J070
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB08
2E250CC20
2E250DD02
2E250FF27
2E250FF36
2E250HH02
2E250JJ03
2E250JJ05
2E250LL01
5J070AC02
5J070AE01
5J070AF10
5J070AK24
5J070BC14
(57)【要約】
【課題】従来のスマートキーの使用方式を変更することなく機能の向上を図ることができるようにする。
【解決手段】解錠対象物との間で予め取り決められた情報を示す第1の電波を送信する第1の送信部と、第1の電波を受信した解錠対象物から送信される第2の電波であって、応答要求を示す第2の電波を受信すると、前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を送信する第2の送信部とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
解錠対象物との間で予め取り決められた情報を示す第1の電波を送信する第1の送信部と、
第1の電波を受信した解錠対象物から送信される第2の電波であって、応答要求を示す第2の電波を受信すると、前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を送信する第2の送信部とを備える
解錠電波送受信装置。
【請求項2】
前記第1の電波は、ISM(Industrial,Scientific,andMedical)周波数帯の電波であり、
前記第2の電波は、UWB(Ultra Wide Band)周波数帯の電波である
請求項1に記載の解錠電波送受信装置。
【請求項3】
前記第2の送信部は、
前記応答要求に含められた第1の数値を用いて実行される予め定められた方式の演算の結果得られた第2の数値を前記応答に含めて送信する
請求項1に記載の解錠電波送受信装置。
【請求項4】
前記解錠対象物は車両であり、
前記車両のスマートキーとして構成される
請求項1に記載の解錠電波送受信装置。
【請求項5】
前記第2の送信部は、さらに
探索装置から送信される第2の電波であって、応答要求を示す第2の電波を受信すると、前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を送信する
請求項1に記載の解錠電波送受信装置。
【請求項6】
解錠対象物との間で予め取り決められた情報を示す第1の電波を送信するステップと、
第1の電波を受信した解錠対象物から送信される第2の電波であって、応答要求を示す第2の電波を受信すると、前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を送信するステップとを含む
解錠電波送受信方法。
【請求項7】
解錠電波送受信装置との間で予め取り決められた情報を示す第1の電波を受信すると、応答要求を示す第2の電波を送信する送信部と、
前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を受信すると、前記応答に基づいて前記解錠電波送受信装置との間の距離を検出する距離検出部と、
前記距離が閾値未満である場合、解錠処理を実行する解錠処理部とを備える
解錠制御装置。
【請求項8】
前記第1の電波は、ISM(Industrial,Scientific,andMedical)周波数帯の電波であり、
前記第2の電波は、UWB(Ultra Wide Band)周波数帯の電波である
請求項7に記載の解錠制御装置。
【請求項9】
前記距離検出部は、
前記応答に含まれる第1の数値と、予め実行した演算の結果得られた第2の数値とを比較して前記第1の数値の正当性を判定し、
前記第1の数値が正当であると判定された場合、前記解錠電波送受信装置との間の距離を検出する
請求項7に記載の解錠制御装置。
【請求項10】
車両に取り付けられる
請求項7に記載の解錠制御装置。
【請求項11】
解錠電波送受信装置との間で予め取り決められた情報を第1の電波を受信すると、応答要求を示す第2の電波を送信するステップと、
前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を受信すると、前記応答に基づいて前記解錠電波送受信装置との間の距離を検出するステップと、
前記距離が閾値未満である場合、解錠処理を実行するステップとを含む
解錠制御方法。
【請求項12】
解錠電波送受信装置と、解錠制御装置とを備える解錠制御システムであって、
前記解錠電波送受信装置は、
解錠対象物との間で予め取り決められた情報を示す第1の電波を送信する第1の送信部と、
第1の電波を受信した解錠対象物から送信される第2の電波であって、応答要求を示す第2の電波を受信すると、前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を送信する第2の送信部とを備える解錠電波送受信装置とを備え、
前記解錠制御装置は、前記解錠対象物に取り付けられ、
前記解錠電波送受信装置との間で予め取り決められた情報を示す第1の電波を受信すると、応答要求を示す第2の電波を送信する送信部と、
前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を受信すると、前記応答に基づいて前記解錠電波送受信装置との間の距離を検出する距離検出部と、
前記距離が閾値未満である場合、解錠処理を実行する解錠処理部とを備える解錠制御装置とを備える
解錠制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解錠電波送受信装置および方法、解錠制御装置および方法、並びに解錠制御システムに関し、従来のスマートキーの使用方式を変更することなく機能の向上を図ることができるようにする解錠電波送受信装置および方法、解錠制御装置および方法、並びに解錠制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車のキーとしてスマートキーが普及している。スマートキーを用いることにより、自動車から数m離れたところからも解錠施錠ができる。
【0003】
一方、スマートキーが発信する微弱な電波がコピーされて、自動車が盗まれるリレーアタックと称される盗難手法が問題となっており、対策が望まれている。
【0004】
例えば、特許文献1によれば、簡易な構造でありながら単純な操作でスマートキーから発せられる微弱電波の送出を停止させることが可能で、微弱電波を不正に利用した自動車の盗難を防止するスマートキーが提案されている。この技術によれば、スマートキーで用いられる電池やバッテリー等の電源の消費を抑制も可能となる。
【0005】
また、自動車メーカー、通信機器メーカーでもリレーアタックへの対策が進められている。例えば、非特許文献1には、UWB(Ultra Wide Band)を利用してリレーアタックを防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-123966号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/1702/02/news029.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の技術では、スマートキー筐体への内蔵キーの抜き差しが求められ、ユーザの手間がかかる。また、非特許文献1の技術では、特定のスマートフォンを用いる必要がある。このように、従来の技術では、一般的なスマートキーだけでリレーアタックへの対策を講じることができないという問題があった。
【0009】
本発明の一態様は、従来のスマートキーの使用方式を変更することなく機能の向上を図ることができるようにする技術を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る解錠電波送受信装置は、解錠対象物との間で予め取り決められた情報を示す第1の電波を送信する第1の送信部と、第1の電波を受信した解錠対象物から送信される第2の電波であって、応答要求を示す第2の電波を受信すると、前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を送信する第2の送信部とを備える。
【0011】
本発明の一態様に係る解錠制御装置は、解錠電波送受信装置との間で予め取り決められた情報を示す第1の電波を受信すると、応答要求を示す第2の電波を送信する送信部と、前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を受信すると、前記応答に基づいて前記解錠電波送受信装置との間の距離を検出する距離検出部と、前記距離が閾値未満である場合、解錠処理を実行する解錠処理部とを備える。
【0012】
本発明の各態様は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記システムが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることによりシステムをコンピュータにて実現させるプログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、従来のスマートキーの使用方式を変更することなく機能の向上を図ることができるようにする技術を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る解錠制御システムの構成例を示すブロック図である。
図2】UWB通信による測距方式の例を説明する図である。
図3】解錠電波送受信装置と解錠制御装置との間で行われる電波の送受信の概略を説明する図である。
図4】解錠電波送受信装置が実行する解錠電波送受信処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
図5】解錠制御装置が実行する解錠制御処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
図6】スマートフォンを使ったスマートキーの探索の例を説明する図である。
図7】解錠電波送受信装置と探索装置との間で行われる電波の送受信の概略を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第一実施形態>
(解錠制御システム)
図1は、本実施形態に係る解錠制御システムの構成例を示すブロック図である。同図に示される解錠制御システム1は、解錠電波送受信装置10および解錠制御装置50により構成されている。
【0016】
解錠電波送受信装置10は、解錠制御装置50に解錠処理を実行させるための電波を送受信する装置である。解錠制御装置50は、解錠対象物に取り付けられ、解錠電波送受信装置10との間で送受信される電波に基づいて解錠対象物の解錠処理を実行する。
【0017】
一例として、解錠対象物は、代表的なものは車両であり、解錠電波送受信装置10は、この車両のスマートキーとして構成される。解錠制御装置50は、この車両等に取り付けられ、解錠処理として、例えば、車両のドアを解錠したり、エンジン、モータなど、車両の動力機関を起動させたりする処理を実行する。
【0018】
(解錠電波送受信装置)
図1に示されるように、解錠電波送受信装置10は、ISM通信制御部11、UWB通信制御部12、および制御部13を有している。ISM通信制御部11は、例えば、アンテナを介してISM(Industrial,Scientific,andMedical)周波数帯の電波の送受信を行う機能ブロックである。UWB通信制御部12は、例えば、アンテナを介してUWB(Ultra Wide Band)周波数帯の電波の送受信を行う機能ブロックである。
ISM通信は、産業、科学、医療の目的で確保された周波数帯を使う無線通信であり、例えば、13.5MHz、2.4GHzなどの周波数帯が利用される。例えば、無線LAN(IEEE 802.11b/g/n)、Bluetooth(登録商標)などは、2.4GHzを利用する。
【0019】
UWB通信は超広帯域の微弱電波での無線通信であり、詳細な通信手順などは、IEEE802.15.4a、IEEE802.15.4z等で規定されている。UWBは、3.1~10.6GHzの広い周波数帯を利用するが、各国それぞれの規制により、国によって利用できる周波数帯は異なる。
【0020】
UWB通信により、例えば、±10cm程度の精度での距離の測定が可能となる。例えば、BLEビーコンのようなRSSIや方向検知測定とは異なり、UWB通信では、ToF(Time of Flight)とTWR(Two Way Ranging)により高精度に距離を推定する。また、UWB通信では、さらに三点支持計算を用いることにより高い精度で電波の発信位置を特定することもできる。
【0021】
制御部13は、ISM通信制御部11およびUWB通信制御部12の各部を制御するとともに、例えば、UWB通信による距離の測定などの際に必要となる演算処理を実行する。
【0022】
(解錠制御装置)
解錠制御装置50は、ISM通信制御部51、UWB通信制御部52、および制御部53を有している。ISM通信制御部51およびUWB通信制御部52は、それぞれ、アンテナを介してISM周波数帯の電波の送受信およびUWB周波数帯の電波の送受信を行う機能ブロックである。
【0023】
制御部53は、ISM通信制御部51およびUWB通信制御部52の各部を制御する。また、制御部53は、例えば、ISM通信制御部51およびUWB通信制御部52のそれぞれにより受信された電波が示す情報に基づいて解錠対象物の解錠処理を実行する。例えば、ISM通信により、解錠電波送受信装置10の正当性が確認された場合、UWB通信により、解錠電波送受信装置10との間の距離が予め定められた閾値未満であるとき、制御部53は解錠処理を実行する。
【0024】
(UWB通信による測距方式)
図2は、UWB通信による測距方式の例を説明する図である。なお、上述したように、UWB通信による測距方式の詳細については、IEEE802.15.4aに規定されている。
【0025】
UWB周波数帯での電波の送受信が可能な機器が2つある場合、一方がInitiatorとなり、他方がResponderとなる。例えば、車両に取り付けられた解錠制御装置50がInitiatorとなり、スマートキーとして構成される解錠電波送受信装置10がResponderとなる。
【0026】
Initiatorは、Responderに対して応答要求(Request)の信号をUWB周波数帯の電波として送信する。この際、Initiatorは、応答要求が送信された時刻を表す送信タイムスタンプIT1を記録する。すなわち、送信タイムスタンプIT1は、InitiatorからRequestが送信された時刻を示している。
【0027】
Responderは、応答要求に対応する応答(Response)の信号をUWB周波数帯の電波として送信する。Responderは、自分宛の応答要求を受信すると、応答要求の受信時刻を表す受信タイムスタンプRT1を記録する。すなわち、受信タイムスタンプRT1は、ResponderがRequestを受信した時刻を示している。そして、Responderは、応答が送信された時刻を表す送信タイムスタンプRT2を含めた応答要求を送信する。すなわち、送信タイムスタンプRT2は、ResponderがResponseを送信した時刻を示している。なお、Responderが、応答要求を受信してから応答を送信するまでに要した時間Treplyは、送信タイムスタンプRT2と受信タイムスタンプRT1との差分として求めることができる。
【0028】
Initiatorは、Responderから送信された応答を受信すると、応答の受信時刻を表す受信タイムスタンプIT2を記録する。すなわち、受信タイムスタンプIT2は、InitiatorがResponseを受信した時刻を示している。Initiatorが、応答要求を送信してから応答を受信するまでに要した時間Tloopは、受信タイムスタンプIT2と送信タイムスタンプIT1との差分として求めることができる。
【0029】
Responderからの応答を受信したInitiatorでは、InitiatorからResponderまでの間の距離を電波が飛ぶのに要する時間ToF(Time of Flight)を式(1)により算出することができる。
【0030】
ToF=(Tloop-Treply)/2
・・・(1)
電波の速度cが既知であるとした場合、このようにして算出されたToFを用いることで、InitiatorとResponderとの間の距離TWRを式(2)により算出することができる。
【0031】
TWR=ToF×c
・・・(2)
例えば、ToFが1nsecである場合、TWRは30cmと算出されることになる。なお、この測距方式において、Initiatorのタイマと、Responderのタイマは必ずしも同期している必要はない。
【0032】
なお、Initiatorから送信される応答要求(Request)は、TWRInitとも称される。より詳細には、TWRInitには、以下の情報が含まれる。
【0033】
・Frame Control
・Sequence Number
・PAN ID
・Destination Address
・Source Address
・Message ID
・CRC
ここで、Destination Addressは、Responderのアドレスを示し、Sourse Addressは、Initiatorのアドレスを示している。
【0034】
また、Responderから送信される応答(Response)は、TWRRespとも称される。より詳細には、TWRRespには、以下の情報が含まれる。
【0035】
・Frame Control
・Sequence Number:
・PAN ID
・Destination Address
・Source Address
・Message ID
・Responder RX Timestamp
・Responder TX Timestamp
・CRC
ここで、Destination Addressは、Initiatorのアドレスを示し、Source Adddressは、Responderのアドレスを示している。また、Responder RX Timestampは、上述した受信タイムスタンプRT1に対応し、Responder TX Timestampは、上述した送信タイムスタンプRT2に対応する。
【0036】
(スマートキーによる車両解錠の例)
図3は、解錠電波送受信装置10と解錠制御装置50との間で行われる電波の送受信の概略を説明する図である。この例では、解錠電波送受信装置10がスマートキー101として構成され、解錠制御装置50が車両102に取り付けられているものとする。
【0037】
図3に示されるように、スマートキー101は、ステップS11において解錠信号を送信する。解錠信号は、例えば、スマートキー101の識別番号であるキーIDなどの情報が変調され、ISM周波数帯の微弱電波による信号である。スマートキー101は、例えば、ISM周波数帯の微弱電波としてBLE(Bluetooth Low Energy)を利用する。
【0038】
なお、スマートキー101はバッテリーを有しており、バッテリーから電力が供給される間、常に解錠信号を送信している。
【0039】
スマートキー101から送信された解錠信号は、ステップS21で車両102の解錠制御装置50に受信される。解錠制御装置50には、車両102の解錠に必要なキーIDが予め登録されている。解錠制御装置50は、例えば、解錠信号のキーIDと予め登録されているキーIDとを比較することにより、解錠信号の正当性を確認する。
【0040】
なお、ISM周波数帯の微弱電波としてBLEを利用する場合、例えば、スマートキー101として構成される解錠電波送受信装置10と車両102に取り付けられた解錠制御装置50とが予めペアリングされるようにしてもよい。この場合、ペアリングの相手と接続されることによって、解錠信号の正当性が確認されたことになる。
【0041】
解錠信号の正当性が確認できた場合、UWB通信による測距が行われる。この際、車両102に取り付けられた解錠制御装置50がInitiatorとなり、スマートキー101がResponderとなる。
【0042】
ステップS22において、測距信号の応答要求が車両102から送信される。このとき、図2を参照して説明したInitiatorからResponderに対して応答要求(Request)の信号がUWB周波数帯の微弱電波として送信されることになる。なお、応答要求には、スマートキー101によって解錠される車両102の識別番号である車両IDを含んでもよい。またこのとき、図2を参照して上述したように、送信タイムスタンプIT1が記録される。
【0043】
スマートキー101は車両102と対応付けられて製造されるため、各スマートキーには対応する車両の識別番号である車両IDが予め記憶されるようにしてもよい。スマートキー101はステップS12で測距信号の応答要求を受信する。スマートキー101に車両IDが予め記憶されている場合、受信した応答要求に含まれる車両IDと予め記憶されている車両IDとがさらに比較されるようにしてもよい。
【0044】
スマートキー101は、ステップS13で測距信号の応答の信号を、UWB周波数帯の微弱電波として送信する。なお、この応答には、図2を参照して上述したように、受信タイムスタンプRT1と送信タイムスタンプRT2とが含まれる。また、ステップS13でスマートキー101から送信される測距信号の応答には、別の情報がさらに含まれるようにしてさらなるセキュリティの向上を図るようにしてもよい。
【0045】
ステップS23で測距信号の応答が車両102に受信される。車両102の解錠制御装置50は、上述した式(1)および式(2)により、車両102とスマートキー101との間の距離を算出する。例えば、算出された距離が予め設定された閾値未満である場合、解錠処理が実行され、車両102のドアが解錠される。
【0046】
なお、図3に示されるスマートキー101および車両102の解錠制御装置50により実行される処理の詳細については、それぞれ図4および図5を参照して後述する。
【0047】
近年普及しているスマートキーを用いることにより、自動車から数m離れたところからも解錠施錠ができる。一方、スマートキーが送信する微弱電波がコピーされて、自動車が盗まれるリレーアタックと称される盗難手法が問題となっており、対策が望まれている。
【0048】
従来のスマートキーによる自動車の解錠は、正当なスマートキーが送信するISM周波数帯の微弱電波の利得が所定値以上になると自動車のドアが自動的に解錠される。正当なスマートキーが送信するISM周波数帯の微弱電波の利得が所定値以上であれば、自動車の所有者が近くにいると考えられるからである。
【0049】
リレーアタックでは、スマートキーが常時送信しているISM周波数帯の微弱電波をコピーとして中継することにより、自動車のドアが不正に解錠される。すなわち、正当なスマートキーが送信するISM周波数帯の微弱電波を一旦受信機で受信し、中継器を用いて同じ微弱電波を自動車の近くから送信することにより、自動車のドアを自動的に解錠させる。
【0050】
このようにすることで、例えば、玄関先に置かれたスマートキーが送信する微弱電波を受信して中継することで、駐車場にある自動車のドアを解錠するリレーアタックが行われる。
【0051】
これに対して、本実施形態に係る解錠制御システム1では、2種類の電波、すなわち、ISM周波数帯の電波とUWB周波数帯の電波とが用いられる。第1の電波であるISM周波数帯の電波については、従来のスマートキーが送信するISM周波数帯の微弱電波と相違はない。しかし、解錠制御システム1では、第1の電波の正当性だけでなく、第2の電波であるUWB周波数帯の電波による測距結果に基づいて車両のドアが解錠される。このため、ISM周波数帯の微弱電波を中継できたとしても車両のドアを解錠することはできない。
【0052】
また、UWB通信を用いた測距方式では、上述したように、受信タイムスタンプRT1と送信タイムスタンプRT2が用いられて距離が算出されるため、仮にスマートキーから送信されるUWB周波数帯の微弱電波を中継したとしても、算出されるTWRを閾値未満にすることはできない。
【0053】
なお、上述した例では、スマートキー101が常に解錠信号を送信していると説明したが、例えば、スマートキー101の所定のボタンが押下されたときだけ、解錠信号が送信されるようにしてもよい。
【0054】
(解錠電波送受信処理)
次に、スマートキー101として構成される解錠電波送受信装置10による車両解錠の際に実行されるスマートキー101の処理の詳細について説明する。図4は、解錠電波送受信装置10が実行する解錠電波送受信処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
【0055】
ステップS101において、ISM通信制御部11は、解錠信号をISM周波数帯の電波で送信する。なお、解錠信号は、解錠対象物(例えば、車両102の解錠制御装置50)との間で予め取り決められた情報を示す信号であり、例えば、スマートキー101の識別番号であるキーIDであってもよい。
【0056】
制御部13は、予め取り決められた情報(例えば、キーID)を記憶しているものとし、ISM通信制御部11によりこの情報が変調され、ISM周波数帯の微弱電波として送信される。
【0057】
すなわち、解錠電波送受信装置10のISM通信制御部11は、解錠対象物との間で予め取り決められた情報を示す第1の電波を送信する。
【0058】
ステップS102において、UWB通信制御部12は、自分宛の応答要求をUWB周波数帯の電波で受信したか否かを判定する。このとき、例えば、予め定められた形式の測距信号の応答要求を受信したか否かが判定される。
【0059】
そして、測距信号の応答要求を受信した場合、UWB通信制御部12は、当該応答要求(TWRInit)のDestination Addressが、自分のアドレスと一致しているか否かを判定し、両者が一致すれば、当該応答要求は自分宛の応答要求であると判定する。
【0060】
また、例えば、上述したように、受信した応答要求の電波に含まれる車両IDと予め記憶されている車両IDとがさらに比較されるようにしてもよい。なお、車両IDは、例えば、制御部13に記憶されているものとし、ステップS102の処理に先立ってUWB通信制御部12に供給されるものとする。
【0061】
ステップS102において、自分宛の応答要求をUWB周波数帯の電波で受信していないと判定された場合、処理はステップS101に戻る。一方、ステップS102において、自分宛の応答要求をUWB周波数帯の電波で受信したと判定された場合、ステップS103の処理が実行される。
【0062】
ステップS103において、制御部13は、セキュリティの向上のための演算処理を実行する。ここでは、例えば、ステップS102の処理で受信したと判定された応答要求の中で所定の領域に格納された数値に対して予め決められた方式の演算が行われる。この演算は、一例として、暗号鍵を用いた暗号化の際に実行される演算であってもよい。ステップS103の処理による演算結果は、UWB通信制御部12に供給される。
【0063】
ステップS104において、UWB通信制御部12は、タイムスタンプと演算結果とを含む応答を生成する。この応答には、ステップS103の処理による演算結果とともに、上述した受信タイムスタンプRT1と送信タイムスタンプRT2とが含まれる。
【0064】
なお、ステップS103の処理は、実行されないようにしてもよい。この場合、ステップS104で生成される応答には、ステップS103の処理による演算結果は含まれないものとする。
【0065】
ステップS105において、UWB通信制御部12は、ステップS103の処理で生成された応答の情報を変調するなどしてUWB周波数帯の電波として送信する。
【0066】
すなわち、解錠電波送受信装置10のUWB通信制御部12は、第1の電波を受信した解錠対象物から送信される第2の電波であって、応答要求を示す第2の電波を受信すると、応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を送信する。また、ステップS103の処理が実行される場合、解錠電波送受信装置10のUWB通信制御部12は、応答要求に含められた第1の数値を用いて実行される予め定められた方式の演算の結果得られた第2の数値を応答に含めて送信する。
【0067】
このようにして、解錠電波送受信処理が実行される。
【0068】
(解錠制御処理)
次に、スマートキー101による車両解錠の際に実行される解錠制御装置50の処理の詳細について説明する。図5は、解錠制御装置50が実行する解錠制御処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
【0069】
ステップS121において、ISM通信制御部51は、ISM周波数帯の解錠信号を受信したか否かを判定し、受信したと判定されるまで待機する。例えば、図4のステップS101の処理でスマートキー101のISM通信制御部11から送信された解錠信号が受信された場合、ステップS122の処理が実行される。
【0070】
ステップS122において、制御部53は、ステップS121で受信したと判定された解錠信号が、正当な解錠信号であるか否かを判定する。上述したように、解錠制御装置50には、車両102の解錠に必要なキーIDが予め登録されており、制御部53に記憶されている。制御部53は、解錠信号のキーIDと予め記憶されているキーIDとを比較することにより、解錠信号の正当性を判定する。
【0071】
なお、従来のスマートキーによる車両の解錠では、ステップS122において正当な解錠信号であると判定された場合、車両102のドアは解錠されることになる。このため、例えば、リレーアタックによる不正な解錠が行われる可能性があった。
【0072】
ステップS122において、正当な解錠信号ではないと判定された場合、処理は、ステップS121に戻る。一方、ステップS122において、正当な解錠信号であると判定された場合、ステップS123の処理が実行される。
【0073】
ステップS123において、UWB通信制御部52は、例えば、予め定められた形式の測距信号の応答要求を生成する。なお、応答要求に含まれる車両IDは、制御部53に記憶されており、ステップS123の処理に先立ってUWB通信制御部52に供給されるものとする。
【0074】
すなわち、解錠制御装置50のUWB通信制御部52は、解錠電波送受信装置との間で予め取り決められた情報を示す第1の電波を受信すると、応答要求を示す第2の電波を送信する。
【0075】
ステップS124において、UWB通信制御部52は、応答要求をUWB周波数帯の電波で送信する。このとき、上述したように、応答要求が送信された時刻を表す送信タイムスタンプIT1が記録される。
【0076】
ステップS125において、UWB通信制御部52は、予め定められた形式の測距信号の応答であって、UWB周波数帯の応答を受信したか否かを判定し、受信したと判定されるまで待機する。例えば、図4のステップS105でスマートキー101から送信された応答が受信された場合、ステップS126の処理が実行される。
【0077】
なお、応答には、応答要求の受信時刻を表す受信タイムスタンプRT1、応答が送信された時刻を表す送信タイムスタンプRT2、および図4のステップS103の演算結果が含まれている。
【0078】
ステップS126において、制御部53は、ステップS125で受信したと判定された応答が正当な応答であるか否かを判定する。このとき、例えば、セキュリティの向上のための演算処理として、ステップS125の処理で受信したと判定された応答に含まれる数値に対する演算処理が実行される。
【0079】
例えば、応答の中で所定の領域に、図4のステップS103の演算結果が格納されている場合、ステップS103の演算結果の数値に対して予め決められた方式の演算が行われる。この演算は、一例として、暗号鍵を用いた復号の際に実行される演算であってもよい。このようにすることで、例えば、測距信号の応答要求に含める数値を変更することで、測距信号の応答の電波の波形を変化させることが可能となる。
【0080】
これにより、例えば、図4のステップS105でスマートキー101から送信されるUWB周波数帯の電波がコピーされる不正に対するセキュリティを向上させることができる。例えば、スマートキー101から送信される測距信号の応答の電波をコピーして保存しておき、リレーアタックと組み合わせて用いることにより不正な解錠を試みたとしても、ステップS126の判定によって不正な応答と認識されることになる。
【0081】
なお、スマートキー101において図4のステップS103の処理が実行されない場合、図5のステップS126の処理は省略される。
【0082】
制御部53は、例えば、ステップS124の処理で送信された応答要求の中で所定の領域に格納した数値と、上述の演算結果とが一致するか否かを判定することで、ステップS125で受信したと判定された応答が正当な応答であるか否かを判定する。
ステップS126において、正当な応答であると判定された場合、ステップS127の処理が実行される。
【0083】
ステップS127において、制御部53は、距離を検出する。このとき、上述した式(1)および式(2)の演算が行われることにより、距離TWRが算出される。これにより、スマートキー101と車両102との間の距離が検出されることになる。
【0084】
すなわち、解錠制御装置50の制御部53は、応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を受信すると、応答に基づいて解錠電波送受信装置との間の距離を検出する。また、図4のステップS103の処理が実行される場合、解錠制御装置50の制御部53は、応答に含まれる第1の数値と、予め実行した演算の結果得られた第2の数値とを比較して第1の数値の正当性を判定し、第1の数値が正当であると判定された場合、解錠電波送受信装置との間の距離を検出する。
【0085】
ステップS128において、制御部53は、ステップS127で算出された距離は予め設定された閾値未満であるか否かを判定する。閾値は、例えば、車両102の所有者が車両102に乗車するために充分に近づいているか否かを判定するためのものとされ、例えば、3m~5mとされる。
【0086】
ステップS129において、制御部53は、解錠処理を実行する。これにより、例えば、車両102のドアが解錠され、エンジン、モータなどの車両102の動力機関を作動させることが可能な状態になる。
【0087】
すなわち、解錠制御装置50の制御部53は、距離が閾値未満である場合、解錠処理を実行する。
【0088】
このようにして、解錠制御処理が実行される。
【0089】
(第1実施形態の効果)
以上に説明したように、本実施形態の解錠制御システム1によれば、リレーアタックなどの不正な解錠操作に対するセキュリティを向上させることができる。本実施形態では、図3を参照して上述したように、従来のスマートキーによる車両の解錠の処理であるステップS11とステップS21に対して、ステップS12、ステップS13、ステップS22、ステップおよびS23の処理が追加される。このため、ユーザは、従来のスマートキーの使用方式を何ら変更する必要はない。
【0090】
このように、本実施形態により、従来のスマートキーの使用方式を変更することなく大幅にセキュリティを向上させることができる。
【0091】
さらに、本実施形態に係る解錠制御システム1では、車両に取り付けられた解錠制御装置50がInitiatorとなり、スマートキーがResponderとなる。このため、スマートキーは、車両から自分宛の応答要求を受信してからでないと、UWB周波数帯の電波を送信することはない。このようにすることで、スマートキーの消費電力を削減し、限られた容量のバッテリーで長時間スマートキーを作動させることが可能となる。
【0092】
<第二実施形態>
上述したように、解錠電波送受信装置10ではUWB通信による測距が可能である。UWB通信では、距離だけでなく、方角を含めて通信相手の位置を検出することが可能となる。方角の検出は、例えば、AoA(Angle of Arrival)と称される方式で、複数のアンテナを利用し、それらの受信時間の差から送信機との角度を求めることが可能である。また、例えば、Apple社の製品に搭載されるNearby Interactionと称される機能により、距離と方角を含めた、通信相手の位置を検出することが可能である。
【0093】
例えば、図6に示されるように、ユーザが、スマートキー101として構成される解錠電波送受信装置10をキャビネットに入れてあることを忘れてしまったとする。このように、ユーザがスマートキー101を紛失した場合、通信相手の位置を検出する機能を有するスマートフォン103などを探索装置として用い、紛失したスマートキーを発見することも可能である。
【0094】
この場合、解錠電波送受信装置10のUWB通信制御部12は、探索装置から送信されるUWB周波数帯の電波であって、応答要求を示す電波を受信すると、応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示すUWB周波数帯の電波を送信する。
【0095】
一例として、スマートフォン103は、Nearby Interaction機能を搭載しており、スマートキー101までの距離と方角を示す情報を、スマートフォン103のディスプレイに表示する。これにより、ユーザは、スマートフォン103を使って紛失したスマートキー101を発見することができる。
【0096】
図7は、解錠電波送受信装置10と探索装置との間で行われる電波の送受信の概略を説明する図である。この例では、解錠電波送受信装置10がスマートキー101として構成され、探索装置がスマートフォン103として構成されているものとする。この際、スマートフォン103がInitiatorとなり、スマートキー101がResponderとなる。
【0097】
図7に示されるように、ステップS51において、測距信号の応答要求がスマートフォン103から送信される。このとき、図2を参照して説明したInitiatorからResponderに対して応答要求(Request)の信号がUWB周波数帯の微弱電波として送信されることになる。なお、応答要求には、スマートフォン103の識別番号である機器IDが含まれる。またこのとき、図2を参照して上述したように、送信タイムスタンプIT1が記録される。
【0098】
スマートキー101には、事前に探索装置として使用されるスマートフォン103の機器IDが予め記憶されているものとする。スマートキー101はステップS61で測距信号の応答要求を受信し、受信した応答要求に含まれる機器IDと予め記憶されている機器IDとを比較する。
【0099】
比較の結果、両者が一致すれば、スマートキー101は、当該応答要求は自分宛の応答要求であると判定し、ステップS62で測距信号の応答の信号を、UWB周波数帯の微弱電波として送信する。なお、この応答には、図2を参照して上述したように、受信タイムスタンプRT1と送信タイムスタンプRT2とが含まれる。また、ステップS62でスマートキー101から送信される測距信号の応答には、別の情報がさらに含まれるようにしてさらなるセキュリティの向上を図るようにしてもよい。
【0100】
ステップS52で測距信号の応答がスマートフォン103に受信される。スマートフォン103は、スマートフォン103とスマートキー101との間の距離と方角を特定し、スマートキーの位置を示す情報を提示する。
【0101】
このようにすることで、例えば、スマートキーを置いた場所を失念してしまった場合でも、スマートフォンを使って、簡単にスマートキーを発見することができる。
【0102】
(第2実施形態の効果)
本例示的実施形態によれば、例えば、スマートフォンを使ってスマートキーを発見することが可能となる。従って、解錠電波送受信装置10の構造、機能などを特に変えることなく、利便性を高めることができる。
【0103】
<その他の実施形態>
以上においては、解錠制御システム1が車両に搭載される解錠制御装置50と、スマートキーとして構成される解錠電波送受信装置10とによって構成される例について説明した。しかし、解錠制御装置50および解錠電波送受信装置10の適用例を上述のものに限られない。
【0104】
例えば、解錠制御装置50が船舶、航空機など、各種の移動体に取り付けられ、スマートキーを使って解錠されるようにしてもよい。また、例えば、解錠制御装置50が金庫、シャッターなどに取り付けられ、解錠電波送受信装置10を有するスマートキーなどによって解錠制御処理が実行されるようにしてもよい。
【0105】
さらに、例えば、解錠制御装置50がスマートハウスに取り付けられ、解錠電波送受信装置10を有するスマートキーなどによって解錠制御処理が実行されるようにしてもよい。この場合、解錠制御処理が実行されることにより、家のドアを解錠したり、照明のスイッチを切り替えたりすることができる。
【0106】
<ソフトウェアによる実現例>
上記の解錠制御装置50の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部53)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。
【0107】
この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記実施形態で説明した各機能が実現される。上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0108】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0109】
また、以上説明してきた本発明の各態様が奏する作用効果は、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」等の達成に貢献するものである。
【0110】
また、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0111】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る解錠電波送受信装置は、解錠対象物との間で予め取り決められた情報を示す第1の電波を送信する第1の送信部と、第1の電波を受信した解錠対象物から送信される第2の電波であって、応答要求を示す第2の電波を受信すると、前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を送信する第2の送信部とを備える。
【0112】
本発明の態様2に係る解錠電波送受信装置は、上記の態様1において、前記第1の電波が、ISM(Industrial,Scientific,andMedical)周波数帯の電波であり、前記第2の電波は、UWB(Ultra Wide Band)周波数帯の電波である。
【0113】
本発明の態様3に係る解錠電波送受信装置は、上記の態様1または2において、前記第2の送信部が、前記応答要求に含められた第1の数値を用いて実行される予め定められた方式の演算の結果得られた第2の数値を前記応答に含めて送信する。
【0114】
本発明の態様4に係る解錠電波送受信装置は、上記の態様1乃至3のいずれかにおいて、前記解錠対象物は車両であり、前記車両のスマートキーとして構成される。
【0115】
本発明の態様5に係る解錠電波送受信装置は、上記の態様1乃至4のいずれかにおいて、前記第2の送信部が、さらに探索装置から送信される第2の電波であって、応答要求を示す第2の電波を受信すると、前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を送信する。
【0116】
本発明の態様6に係る解錠電波送受信方法は、解錠対象物との間で予め取り決められた情報を示す第1の電波を送信するステップと、第1の電波を受信した解錠対象物から送信される第2の電波であって、応答要求を示す第2の電波を受信すると、前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を送信するステップとを含む。
【0117】
本発明の態様7に係る解錠制御装置は、解錠電波送受信装置との間で予め取り決められた情報を示す第1の電波を受信すると、応答要求を示す第2の電波を送信する送信部と、前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を受信すると、前記応答に基づいて前記解錠電波送受信装置との間の距離を検出する距離検出部と、前記距離が閾値未満である場合、解錠処理を実行する解錠処理部とを備える。
【0118】
本発明の態様8に係る解錠制御装置は、上記の態様7において、前記第1の電波は、ISM(Industrial,Scientific,andMedical)周波数帯の電波であり、前記第2の電波は、UWB(Ultra Wide Band)周波数帯の電波である。
【0119】
本発明の態様9に係る解錠制御装置は、上記の態様7または8において、前記距離検出部が、前記応答に含まれる第1の数値と、予め実行した演算の結果得られた第2の数値とを比較して前記第1の数値の正当性を判定し、前記第1の数値が正当であると判定された場合、前記解錠電波送受信装置との間の距離を検出する。
【0120】
本発明の態様10に係る解錠制御装置は、上記の態様7乃至9のいずれかにおいて、車両に取り付けられる。
【0121】
本発明の態様11に係る解錠制御方法は、解錠電波送受信装置との間で予め取り決められた情報を第1の電波を受信すると、応答要求を示す第2の電波を送信するステップと、前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を受信すると、前記応答に基づいて前記解錠電波送受信装置との間の距離を検出するステップと、前記距離が閾値未満である場合、解錠処理を実行するステップとを含む。
【符号の説明】
【0122】
1 解錠制御システム
10 解錠電波送受信装置
11 ISM通信制御部
12 UWB通信制御部
13 制御部
50 解錠制御装置
51 ISM通信制御部
52 UWB通信制御部
53 制御部
101 スマートキー
102 車両
103 スマートフォン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
解錠対象物との間で予め取り決められた情報を示す第1の電波であって自分の識別番号を含む第1の電波を送信する第1の送信部と、
第1の電波を受信した解錠対象物から送信される第2の電波であって、前記解錠対象物の識別番号を含み、応答要求を示す第2の電波を受信すると、前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を送信する第2の送信部とを備え、
前記第2の送信部は、
前記応答要求に含められた第1の数値を用いて実行される予め定められた方式の演算の結果得られた第2の数値を前記応答に含めて送信する
解錠電波送受信装置。
【請求項2】
前記第1の電波は、ISM(Industrial,Scientific,and Medical)周波数帯の電波であり、
前記第2の電波は、UWB(Ultra Wide Band)周波数帯の電波である
請求項1に記載の解錠電波送受信装置。
【請求項3】
前記解錠対象物は車両であり、
前記車両のスマートキーとして構成される
請求項1に記載の解錠電波送受信装置。
【請求項4】
前記第2の送信部は、さらに
探索装置から送信される第2の電波であって、応答要求を示す第2の電波を受信すると、前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を送信する
請求項1に記載の解錠電波送受信装置。
【請求項5】
解錠対象物との間で予め取り決められた情報を示す第1の電波であって自分の識別番号を含む第1の電波を送信するステップと、
第1の電波を受信した解錠対象物から送信される第2の電波であって、前記解錠対象物の識別番号を含み、応答要求を示す第2の電波を受信すると、前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を送信するステップとを含み、
前記第2の電波を送信するステップでは、
前記応答要求に含められた第1の数値を用いて実行される予め定められた方式の演算の結果得られた第2の数値を前記応答に含めて送信する
解錠電波送受信方法。
【請求項6】
解錠電波送受信装置との間で予め取り決められた情報を示す第1の電波であって、前記解錠電波送受信装置の識別番号を含む第1の電波を受信すると、応答要求を示す第2の電波であって、解錠対象物の識別番号を含む第2の電波を送信する送信部と、
前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を受信すると、前記応答に基づいて前記解錠電波送受信装置との間の距離を検出する距離検出部と、
前記距離が閾値未満である場合、解錠処理を実行する解錠処理部とを備え、
前記距離検出部は、
前記応答に含まれる第1の数値と、予め実行した演算の結果得られた第2の数値とを比較して前記第1の数値の正当性を判定し、
前記第1の数値が正当であると判定された場合、前記解錠電波送受信装置との間の距離を検出する
解錠制御装置。
【請求項7】
前記第1の電波は、ISM(Industrial,Scientific,and Medical)周波数帯の電波であり、
前記第2の電波は、UWB(Ultra Wide Band)周波数帯の電波である
請求項に記載の解錠制御装置。
【請求項8】
車両に取り付けられる
請求項に記載の解錠制御装置。
【請求項9】
解錠電波送受信装置との間で予め取り決められた情報を示す第1の電波であって、前記解錠電波送受信装置の識別番号を含む第1の電波を受信すると、応答要求を示す第2の電波であって、解錠対象物の識別番号を含む第2の電波を送信するステップと、
前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を受信すると、前記応答に基づいて前記解錠電波送受信装置との間の距離を検出するステップと、
前記距離が閾値未満である場合、解錠処理を実行するステップとを含み、
前記距離を検出するステップでは、
前記応答に含まれる第1の数値と、予め実行した演算の結果得られた第2の数値とを比較して前記第1の数値の正当性を判定し、
前記第1の数値が正当であると判定された場合、前記解錠電波送受信装置との間の距離を検出する
解錠制御方法。
【請求項10】
解錠電波送受信装置と、解錠制御装置とを備える解錠制御システムであって、
前記解錠電波送受信装置は、
解錠対象物との間で予め取り決められた情報を示す第1の電波であって自分の識別番号を含む第1の電波を送信する第1の送信部と、
第1の電波を受信した解錠対象物から送信される第2の電波であって、前記解錠対象物の識別番号を含み、応答要求を示す第2の電波を受信すると、前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を送信する第2の送信部とを備え、
前記第2の送信部は、
前記応答要求に含められた第1の数値を用いて実行される予め定められた方式の演算の結果得られた第2の数値を前記応答に含めて送信し、
前記解錠制御装置は、前記解錠対象物に取り付けられ、
解錠電波送受信装置との間で予め取り決められた情報を示す第1の電波であって、前記解錠電波送受信装置の識別番号を含む第1の電波を受信すると、応答要求を示す第2の電波であって、解錠対象物の識別番号を含む第2の電波を送信する送信部と、
前記応答要求の受信時刻と応答の送信時刻を含む応答を示す第2の電波を受信すると、前記応答に基づいて前記解錠電波送受信装置との間の距離を検出する距離検出部と、
前記距離が閾値未満である場合、解錠処理を実行する解錠処理部とを備え、
前記距離検出部は、
前記応答に含まれる第1の数値と、予め実行した演算の結果得られた第2の数値とを比較して前記第1の数値の正当性を判定し、
前記第1の数値が正当であると判定された場合、前記解錠電波送受信装置との間の距離を検出する
解錠制御システム。