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特開2024-67466制御装置、制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067466
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B63B 25/08 20060101AFI20240510BHJP
   B63H 21/38 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B63B25/08 B
B63H21/38 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177568
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】岩嵜 正城
(57)【要約】
【課題】船体の外部に貨物油を供給しつつ、複数の貨物油タンク内に残留した貨物油を浚って特定の貨物油タンクに集め、最後に当該貨物油タンクに集めた貨物油を船外に供給することで、効率よく貨物油の供給を行うことができる。
【解決手段】船体と、複数のタンクと、タンク内の貨物油量が所定の低レベルとなるまで貨物油を船体の外部に供給可能な供給装置と、一のタンクから所定のタンクに向けて、一のタンク内に低レベルとなって残留した貨物油を移送可能な移送装置とを備えた船舶の制御装置であって、あらかじめ定められた給油手順情報にしたがって複数のタンクから特定のタンクを指定し、指定されたタンクを対象として供給装置を駆動し、タンク内の貨物油量が低レベルとなった際、給油手順情報にしたがって対象となるタンクを切り替え、貨物油量が低レベルとなったタンクから所定のタンクに向けて貨物油を移送するように移送装置を駆動する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体と、
前記船体に配置された複数の貨物油タンクと、
駆動されることで、前記貨物油タンク内の貨物油量が所定の低レベルとなるまで貨物油を前記船体の外部に供給可能な供給装置と、
駆動されることで、一の前記貨物油タンクから所定の前記貨物油タンクに向けて、前記一の前記貨物油タンク内に前記低レベルとなって残留した前記貨物油を移送可能な移送装置と
を備えた船舶の制御装置であって、
あらかじめ定められた給油手順情報にしたがって複数の前記貨物油タンクから特定の前記貨物油タンクを指定するタンク指定部と、
前記指定された前記貨物油タンクを対象として前記供給装置を駆動する供給装置駆動部と、
前記貨物油タンク内の前記貨物油量が前記低レベルとなった際、前記給油手順情報にしたがって前記対象となる前記貨物油タンクを切り替えるタンク切替部と、
前記貨物油量が前記低レベルとなった前記貨物油タンクから前記所定の前記貨物油タンクに向けて前記貨物油を移送するように前記移送装置を駆動する移送装置駆動部と
を備えた制御装置。
【請求項2】
前記所定の前記貨物油タンクは、前記指定された前記貨物油タンクである
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
船体と、
前記船体に配置された複数の貨物油タンクと、
駆動されることで、前記貨物油タンク内の貨物油量が所定の低レベルとなるまで貨物油を前記船体の外部に供給可能な供給装置と、
駆動されることで、一の前記貨物油タンクから所定の前記貨物油タンクに向けて、前記一の前記貨物油タンク内に前記低レベルとなって残留した前記貨物油を移送可能な移送装置と
を備えた船舶の制御方法であって、
あらかじめ定められた給油手順情報にしたがって複数の前記貨物油タンクから特定の前記貨物油タンクを指定するステップと、
前記指定された前記貨物油タンクを対象として前記供給装置を駆動するステップと、
前記貨物油タンク内の前記貨物油量が前記低レベルとなった際、前記給油手順情報にしたがって前記対象となる前記貨物油タンクを切り替えるステップと、
前記貨物油量が前記低レベルとなった前記貨物油タンクから前記所定の前記貨物油タンクに向けて前記貨物油を移送するように前記移送装置を駆動するステップと
を実行する制御方法。
【請求項4】
船体と、
前記船体に配置された複数の貨物油タンクと、
駆動されることで、前記貨物油タンク内の貨物油量が所定の低レベルとなるまで貨物油を前記船体の外部に供給可能な供給装置と、
駆動されることで、一の前記貨物油タンクから所定の前記貨物油タンクに向けて、前記一の前記貨物油タンク内に前記低レベルとなって残留した前記貨物油を移送可能な移送装置と
を備えた船舶の制御装置のコンピュータに、
あらかじめ定められた給油手順情報にしたがって複数の前記貨物油タンクから特定の前記貨物油タンクを指定するステップと、
前記指定された前記貨物油タンクを対象として前記供給装置を駆動するステップと、
前記貨物油タンク内の前記貨物油量が前記低レベルとなった際、前記給油手順情報にしたがって前記対象となる前記貨物油タンクを切り替えるステップと、
前記貨物油量が前記低レベルとなった前記貨物油タンクから前記所定の前記貨物油タンクに向けて前記貨物油を移送するように前記移送装置を駆動するステップと
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、燃料油バンカリングシステムや、タンカ船の荷役システム等に適用可能な補給タンク群を有する移送システムの制御装置が開示されている。特許文献1に記載の技術では、各補給タンクの収容レベルに基づいて貯蔵タンクから補給タンクへの燃料油の移送順序および分配弁の開度を設定することで、各補給タンク内に貯蔵される燃料油の量を適正化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62-62100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、貨物油が収容された貨物油タンクを複数備える船舶から外部に貨物油をポンプで供給した際、タンク内の油面が一定程度低くなると、ポンプが貨物油と一緒にタンク内の気体を吸い込み、ポンプの能力が低下するため、供給後の各貨物油タンク内に貨物油が残留することがある。このとき、貨物油タンク内の貨物油を外部に供給しつつ、複数の貨物油タンク内に残留した貨物油を浚って特定の貨物油タンクに集めて、最後に当該特定の貨物油タンクに集めた貨物油を船舶から外部へ供給するようにすると、効率よく貨物油の供給が行える。さらにこの手順を自動化しておけば、乗組員の省人化、省力化につながる。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、船体の外部に貨物油を供給しつつ、複数の貨物油タンク内に残留した貨物油を特定の貨物油タンクに集めることができる制御装置、制御方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る制御装置は、船体と、前記船体に配置された複数の貨物油タンクと、駆動されることで、前記貨物油タンク内の貨物油量が所定の低レベルとなるまで貨物油を前記船体の外部に供給可能な供給装置と、駆動されることで、一の前記貨物油タンクから所定の前記貨物油タンクに向けて、前記一の前記貨物油タンク内に前記低レベルとなって残留した前記貨物油を移送可能な移送装置とを備える船舶の制御装置であって、あらかじめ定められた給油手順情報にしたがって複数の前記貨物油タンクから特定の前記貨物油タンクを指定するタンク指定部と、前記指定された前記貨物油タンクを対象として前記供給装置を駆動する供給装置駆動部と、前記貨物油タンク内の前記貨物油量が前記低レベルとなった際、前記給油手順情報にしたがって前記対象となる前記貨物油タンクを切り替えるタンク切替部と、前記貨物油量が前記低レベルとなった前記貨物油タンクから前記所定の前記貨物油タンクに向けて前記貨物油を移送するように前記移送装置を駆動する移送装置駆動部とを備える。
【0007】
本開示に係る制御方法は、船体と、前記船体に配置された複数の貨物油タンクと、駆動されることで、前記貨物油タンク内の貨物油量が所定の低レベルとなるまで貨物油を前記船体の外部に供給可能な供給装置と、駆動されることで、一の前記貨物油タンクから所定の前記貨物油タンクに向けて、前記一の前記貨物油タンク内に前記低レベルとなって残留した前記貨物油を移送可能な移送装置とを備える船舶の制御方法であって、あらかじめ定められた給油手順情報にしたがって複数の前記貨物油タンクから特定の前記貨物油タンクを指定するステップと、前記指定された前記貨物油タンクを対象として前記供給装置を駆動するステップと、前記貨物油タンク内の前記貨物油量が前記低レベルとなった際、前記給油手順情報にしたがって前記対象となる前記貨物油タンクを切り替えるステップと、前記貨物油量が前記低レベルとなった前記貨物油タンクから前記所定の前記貨物油タンクに向けて前記貨物油を移送するように前記移送装置を駆動するステップとを実行する。
【0008】
本開示に係るプログラムは、船体と、前記船体に配置された複数の貨物油タンクと、駆動されることで、前記貨物油タンク内の貨物油量が所定の低レベルとなるまで貨物油を前記船体の外部に供給可能な供給装置と、駆動されることで、一の前記貨物油タンクから所定の前記貨物油タンクに向けて、前記一の前記貨物油タンク内に前記低レベルとなって残留した前記貨物油を移送可能な移送装置とを備える船舶の制御装置のコンピュータに、あらかじめ定められた給油手順情報にしたがって複数の前記貨物油タンクから特定の前記貨物油タンクを指定するステップと、前記指定された前記貨物油タンクを対象として前記供給装置を駆動するステップと、前記貨物油タンク内の前記貨物油量が前記低レベルとなった際、前記給油手順情報にしたがって前記対象となる前記貨物油タンクを切り替えるステップと、前記貨物油量が前記低レベルとなった前記貨物油タンクから前記所定の前記貨物油タンクに向けて前記貨物油を移送するように前記移送装置を駆動するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、船体の外部に貨物油を供給しつつ、複数の貨物油タンク内に残留した貨物油を特定の貨物油タンクに集めることができる制御装置、制御方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態に係る船舶の概略構成を示した図である。
図2】本開示の実施形態に係る船舶の要部を拡大して示した図である。
図3】本開示の実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
図4】本開示の実施形態に係る記憶部があらかじめ記憶している給油手順情報を説明するための図である。
図5】本開示の実施形態に係る制御装置の動作を示したフローチャートである。
図6】本開示の実施形態に係る制御装置の動作における移送ステップを示したフローチャートである。
図7】本開示の実施形態に係る制御装置の動作に伴う船舶の状態の一例を示した図であり、図2に対応した図である。
図8】本開示の実施形態に係る制御装置の動作に伴う船舶の状態の一例を示した図であり、図6に続く図である。
図9】本開示の実施形態に係る制御装置の動作に伴う船舶の状態の一例を示した図であり、図7に続く図である。
図10】本開示の実施形態に係る制御装置の動作に伴う船舶の状態の一例を示した図であり、図8に続く図である。
図11】本開示の実施形態に係る制御装置の動作に伴う船舶の状態の一例を示した図であり、図9に続く図である。
図12】本開示の実施形態に係るコンピュータの構成を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本開示による船舶を実施するための形態を説明する。
【0012】
(船舶の構成)
本実施形態における船舶は、複数の貨物油タンクを持ち、海上において航行または漂流しながら、若しくは係留された状態で、貨物油を他の船舶若しくは陸上の油貯蔵設備に供給する。貨物油には、例えば、原油、精製油、重油などが挙げられる。
【0013】
図1および図2に示すように、船舶1は、船体10と、上部構造20と、貨物油タンク30と、バラストタンク40と、供給装置50と、移送装置60と、制御装置70とを備えている。
【0014】
(船体)
図1に示すように、船体10は、舷側11A,11Bと、船底12と、上甲板13とを有している。舷側11A,11Bは、左右の舷側11Aおよび舷側11Bをそれぞれ形成する一対の船側外板を有している。船底12は、これら舷側11A,11Bを接続する船底外板を有している。上甲板13は、一対の舷側外板に亘って設けられている。
【0015】
これら舷側11A,11B、船底12、および上甲板13により、船体10の外殻は、船首尾方向Faに直交する断面視で、箱型形状を成している。本実施形態における船首尾方向Faとは、船体10の船尾15から船首14にかけて延びる方向(図1中における左右方向)を意味する。
【0016】
(上部構造)
上部構造20は、上甲板13から上下方向Dvにおける上方側に向かうように設けられている構造物である。上部構造20は、例えば、居住区や船橋等を有している。
【0017】
(貨物油タンク)
貨物油タンク30は、内部に貨物油Cを収容するタンク(COT:Cargo Oil Tank)である。貨物油タンク30は、複数が船体10に配置されている。具体的には、複数の貨物油タンク30は、船体10の内部に船首尾方向Faに並んで配置されている。本実施形態では、4つの貨物油タンク30が船首尾方向Faに並んでいる場合を一例に説明する。以下、これら4つの貨物油タンク30のそれぞれを船首尾方向Faにおける船首14側から順に、「第1貨物油タンク31」、「第2貨物油タンク32」、「第3貨物油タンク33」、「第4貨物油タンク34」と称する。
【0018】
各貨物油タンク30には、内部の貨物油Cの液位を計測可能なレベルセンサが設けられている。具体的には、図2に示すように、第1貨物油タンク31には、この第1貨物油タンク31内の貨物油Cの量を計測可能な第1レベルセンサS1が設けられている。第2貨物油タンク32には、この第2貨物油タンク32内の貨物油Cの量を計測可能な第2レベルセンサS2が設けられている。第3貨物油タンク33には、この第3貨物油タンク33内の貨物油Cの量を計測可能な第3レベルセンサS3が設けられている。第4貨物油タンク34には、この第4貨物油タンク34内の貨物油Cの量を計測可能な第4レベルセンサS4が設けられている。これら第1レベルセンサS1、第2レベルセンサS2、第3レベルセンサS3、および第4レベルセンサS4は、計測した貨物油Cの液位を示す信号を制御装置70に送信する。
【0019】
(バラストタンク)
バラストタンク40は、内部にバラスト水Wを収容するためのタンク(WBT:Water Ballast Tank)である。バラストタンク40は、複数が船体10の内部に船首尾方向Faに並んで配置されている。バラストタンク40は、各貨物油タンク30に対応するように各貨物油タンク30よりも上下方向Dvにおける下方側に1つずつ配置されている。
【0020】
以下、これら4つのバラストタンク40のそれぞれを船首尾方向Faにおける船首14側から順に「第1バラストタンク41」、「第2バラストタンク42」、「第3バラストタンク43」、「第4バラストタンク44」と称する。また、バラストタンク40は、第1貨物油タンク31よりも船首尾方向Faにおける船首14側に1つ配置されており、このバラストタンク40を「前タンク45」(FPT:Fore Peak Tank)と称する。
【0021】
(供給装置)
供給装置50は、貨物油タンク30に収容された貨物油Cを船体10の外部に供給するための装置である。
本実施形態における供給装置50は、供給側ポンプP1と、供給側ライン51と、供給側ベルマウス52と、供給側弁53とを有している。
【0022】
(供給側ポンプ)
供給側ポンプP1は、例えば、船体10の内部に配置されており、貨物油タンク30内の貨物油Cを船体10の外部に向けて圧送するためのポンプである。供給側ポンプP1には、貨物油タンク30内の貨物油Cを取り出すとともに船体10の外部に送るための供給側ライン51が接続されている。供給側ポンプP1は、有線または無線通信によって制御装置70に接続されており、この制御装置70によって制御されている。具体的には、供給側ポンプP1の始動(駆動の開始)、駆動の維持、および停止(駆動の終了)が制御装置70によって制御されている。
【0023】
(供給側ライン)
本実施形態における供給側ライン51は、供給側主ライン510と、供給側分岐ライン511と、補給ライン512とによって構成されている。供給側主ライン510は、一端が供給側ポンプP1に接続されている。供給側分岐ライン511は、複数が供給側主ライン510から分岐するようにこの供給側主ライン510に接続されており、それぞれが貨物油タンク30内に向けて延びている。
【0024】
本実施形態では、4つの供給側分岐ライン511の1つずつが、1つの貨物油タンク30に対応するように供給側主ライン510から延びている。すなわち、各供給側分岐ライン511の一端は、供給側主ライン510に接続され、各供給側分岐ライン511の他端は、貨物油タンク30内に配置されている。補給ライン512は、一端が供給側ポンプP1に接続され、他端が船体10の外部に位置する他の船舶、若しくは陸上の油貯蔵設備に向けて延びている。
【0025】
以下、供給側主ライン510から第1貨物油タンク31内に延びている供給側分岐ライン511を「第1供給側分岐ライン511a」と称する。この第1供給側分岐ライン511aの一端は、供給側主ライン510の他端に接続されている。また、供給側主ライン510から第2貨物油タンク32内に延びている供給側分岐ライン511を「第2供給側分岐ライン511b」と称する。また、供給側主ライン510から第3貨物油タンク33内に延びている供給側分岐ライン511を「第3供給側分岐ライン511c」と称する。また、供給側主ライン510から第4貨物油タンク34内に延びている供給側分岐ライン511を「第4供給側分岐ライン511d」と称する。
【0026】
(供給側ベルマウス)
供給側ベルマウス52は、貨物油タンク30内の貨物油Cを供給側分岐ライン511に導入するための開口部分である。供給側ベルマウス52は、各供給側分岐ライン511の上記他端に1つずつ設けられており、貨物油タンク30内に配置されている。供給側ベルマウス52は、上下方向Dvにおける下方側に開口するように配置されており、下方側に向かうにしたがって漸次拡径したラッパ状を成している(詳細な図示は省略)。供給側ベルマウス52は、例えば、貨物油タンク30内部の底面から所定の高さの位置に配置されている。
【0027】
以下、第1供給側分岐ライン511aの他端に設けられた供給側ベルマウス52を「第1供給側ベルマウス521」と称する。また、第2供給側分岐ライン511bの他端に設けられた供給側ベルマウス52を「第2供給側ベルマウス522」と称する。また、第3供給側分岐ライン511cの他端に設けられた供給側ベルマウス52を「第3供給側ベルマウス523」と称する。また、第4供給側分岐ライン511dの他端に設けられた供給側ベルマウス52を「第4供給側ベルマウス524」と称する。
【0028】
(供給側弁)
供給側弁53は、貨物油Cが供給側ライン51を船体10の外部に向かって流れる状態と流れない状態とに切り替えるための弁である。供給側弁53は、各供給側分岐ライン511に1つずつ設けられている。また、供給側弁53は、補給ライン512に2つ並んで設けられている。各供給側弁53は、有線または無線通信によって制御装置70に接続されており、この制御装置70によって開閉状態が制御されている。
【0029】
以下、第1供給側分岐ライン511aに設けられた供給側弁53を「第1供給弁531」と称する。また、第2供給側分岐ライン511bに設けられた供給側弁53を「第2供給弁532」と称する。また、第3供給側分岐ライン511cに設けられた供給側弁53を「第3供給弁533」と称する。また、第4供給側分岐ライン511dに設けられた供給側弁53を「第4供給弁534」と称する。また、補給ライン512に設けられた2つの供給側弁53を供給側ポンプP1の側から順に「第1補給弁530a」および「第2補給弁530b」と称する。
【0030】
したがって、制御装置70によって供給側ポンプP1が駆動されることで、供給側ベルマウス52から供給側ライン51に取り込まれた貨物油Cは、この供給側ライン51を通じて船体10の外部に供給される。この際、制御装置70によって、第1補給弁530aおよび第2補給弁530bがともに開放状態とされ、第1供給弁531から第4供給弁534のうち1つの供給側弁53が開放状態とされることによって、第1貨物油タンク31から第4貨物油タンク34のうち1つの貨物油タンク30から貨物油Cを選択的に取り出すことができる。また、供給側ベルマウス52が貨物油タンク30内部の底面から所定の高さの位置に配置されているため、供給装置50が駆動された際、貨物油タンク30内の貨物油量が所定の液位を示すまで貨物油Cを船体10の外部に供給することができる。
【0031】
(移送装置)
移送装置60は、2つの貨物油タンク30間で、一方の貨物油タンク30から他方の貨物油タンク30に貨物油Cを移送するための装置である。本実施形態における移送装置60は、一の貨物油タンク30から所定の貨物油タンク30に向けて、一の貨物油タンク30内に残留した貨物油Cを浚って(ストリッピング)移送する。ここでいう「残留した貨物油C」とは、例えば、供給装置50によって供給された後の貨物油タンク30内の貨物油Cを意味する。
本実施形態における移送装置60は、移送側ポンプP2と、移送側ライン61と、移送側ベルマウス62と、移送側弁63とを有している。
【0032】
(移送側ポンプ)
移送側ポンプP2は、例えば、船体10の内部に配置されており、一の貨物油タンク30内の貨物油Cを他の貨物油タンク30内に向けて圧送するためのポンプである。供給側ポンプP1には、一の貨物油タンク30内の貨物油Cを取り出すとともに他の貨物油タンク30内に送るための移送側ライン61が接続されている。移送側ポンプP2は、有線または無線通信によって制御装置70に接続されており、この制御装置70によって制御されている。具体的には、移送側ポンプP2の始動(駆動の開始)、駆動の維持、および停止(駆動の終了)が制御装置70によって制御されている。
【0033】
(移送側ライン)
移送側ライン61は、第1移送側主ライン611と、移送側分岐ライン613と、第2移送側主ライン612と、移送側接続ライン614とによって構成されている。第1移送側主ライン611は、一端が移送側ポンプP2に接続されている。移送側分岐ライン613は、複数が第1移送側主ライン611から分岐するようにこの第1移送側主ライン611に接続されており、貨物油タンク30内に向けて延びている。本実施形態では、4つの移送側分岐ライン613の1つずつが、1つの貨物油タンク30に対応するように第1移送側主ライン611から延びている。すなわち、各移送側分岐ライン613の一端は、第1移送側主ライン611に接続され、各移送側分岐ライン613の他端は、貨物油タンク30内に配置されている。
【0034】
以下、第1移送側主ライン611から第1貨物油タンク31内に延びている移送側分岐ライン613を「第1移送側分岐ライン613a」と称する。この第1移送側分岐ライン613aの一端は、第1移送側主ライン611の他端に接続されている。また、第1移送側主ライン611から第2貨物油タンク32内に延びている移送側分岐ライン613を「第2移送側分岐ライン613b」と称する。また、第1移送側主ライン611から第3貨物油タンク33内に延びている移送側分岐ライン613を「第3移送側分岐ライン613c」と称する。また、第1移送側主ライン611から第4貨物油タンク34内に延びている移送側分岐ライン613を「第4移送側分岐ライン613d」と称する。
【0035】
第2移送側主ライン612は、一端が移送側ポンプP2に接続されている。移送側接続ライン614は、複数が第2移送側主ライン612と移送側分岐ライン613とを互いに接続するように延びている。すなわち、各移送側接続ライン614は、第2移送側主ライン612から分岐するように延びて、移送側分岐ライン613に接続されている。複数の移送側接続ライン614は、いずれも、一端が第2移送側主ライン612に接続されている。また、複数の移送側接続ライン614は、他端が第1移送側分岐ライン613aに接続された第1移送側接続ライン614aと、他端が第2移送側分岐ライン613bに接続された第2移送側接続ライン614bと、他端が第3移送側分岐ライン613cに接続された第3移送側接続ライン614cと、他端が第4移送側分岐ライン613dに接続された第4移送側接続ライン614dとによって構成されている。
【0036】
(移送側ベルマウス)
移送側ベルマウス62は、貨物油タンク30内の貨物油Cを移送側分岐ライン613に導入するための開口部分である。移送側ベルマウス62は、各移送側分岐ライン613の上記他端に1つずつ設けられており、貨物油タンク30内に配置されている。移送側ベルマウス62は、上下方向Dvにおける下方側に開口するように配置されており、下方側に向かうにしたがって漸次拡径したラッパ状を成している(詳細な図示は省略)。移送側ベルマウス62は、例えば、貨物油タンク30内部の底面から所定の高さの位置に配置されている。
【0037】
以下、第1移送側分岐ライン613aの他端に設けられた移送側ベルマウス62を「第1移送側ベルマウス621」と称する。また、第2移送側分岐ライン613bの他端に設けられた移送側ベルマウス62を「第2移送側ベルマウス622」と称する。また、第3移送側分岐ライン613cの他端に設けられた移送側ベルマウス62を「第3移送側ベルマウス623」と称する。また、第4移送側分岐ライン613dの他端に設けられた移送側ベルマウス62を「第4移送側ベルマウス624」と称する。
【0038】
(移送側弁)
移送側弁63は、貨物油Cが移送側ライン61を一の貨物油タンク30から他の貨物油タンク30に向かって流れる状態と流れない状態とに切り替えるための弁である。各移送側分岐ライン613には、移送側弁63が1つずつ設けられている。また、移送側弁63は、各移送側接続ライン614に1つずつ設けられている。また、移送側弁63は、第2移送側主ライン612に1つ設けられている。移送側弁63は、有線または無線通信によって制御装置70に接続されており、この制御装置70によって開閉状態が制御されている。
【0039】
以下、第1移送側分岐ライン613aに設けられた移送側弁63を「第1分岐弁631」と称する。また、第2移送側分岐ライン613bに設けられた移送側弁63を「第2分岐弁632」と称する。また、第3移送側分岐ライン613cに設けられた移送側弁63を「第3分岐弁633」と称する。また、第4移送側分岐ライン613dに設けられた移送側弁63を「第4分岐弁634」と称する。また、第1移送側接続ライン614aに設けられた移送側弁63を「第1接続弁635」と称する。また、第2移送側接続ライン614bに設けられた移送側弁63を「第2接続弁636」と称する。また、第3移送側接続ライン614cに設けられた移送側弁63を「第3接続弁637」と称する。また、第4移送側接続ライン614dに設けられた移送側弁63を「第4接続弁638」と称する。また、第2移送側主ライン612に設けられた移送側弁63を「主弁630」と称する。
【0040】
したがって、制御装置70によって移送側ポンプP2が駆動されることで、一の貨物油タンク30内の移送側ベルマウス62から移送側ライン61に取り込まれた貨物油Cは、この移送側ライン61を通じて他の貨物油タンク30内に移送される。この際、制御装置70によって、主弁630が開放状態とされる。同時に、移送元の貨物油タンク30に対応する1つの移送側弁63(第1分岐弁631から第4分岐弁634のいずれか)のみが開放状態とされる。また、この1つの移送側弁63が設けられた移送側分岐ライン613(第1移送側分岐ライン613a~第4移送側分岐ライン613d)につながる移送側接続ライン614(第1移送側接続ライン614a~第4移送側接続ライン614d)に配置された移送側弁63(第1接続弁635から第4接続弁638)以外の、移送先の貨物油タンク30に対応する移送側弁63のうち1つのみが開放状態とされる。これによって、第1貨物油タンク31から第4貨物油タンク34のうち1つの貨物油タンク30から他の貨物油タンク30に貨物油Cを移送することができる。つまり、移送装置60は、貨物油タンク30内に残留した貨物油Cを2つの貨物油タンク30間で移送することができる。
【0041】
(制御装置)
本実施形態における制御装置70は、供給装置50の駆動および移送装置60の駆動をそれぞれ独立して制御する。図3に示すように、制御装置70は、取得部71と、タンク指定部72と、判定部73と、供給装置駆動部74と、タンク切替部75と、移送装置駆動部76と、報知部77と、記憶部78とを備えている。
【0042】
(取得部)
取得部71は、各貨物油タンク30(第1貨物油タンク31~第4貨物油タンク34)に設けられたレベルセンサ(第1レベルセンサS1~第4レベルセンサS4)から送信された貨物油Cの液位を示す信号を受信することで、各貨物油タンク30内の貨物油Cの液位を取得する。取得部71は、取得した各貨物油タンク30内の貨物油Cの液位をタンク指定部72、判定部73、およびタンク切替部75に送る。
【0043】
(タンク指定部)
タンク指定部72は、あらかじめ定められた給油手順情報にしたがって、複数の貨物油タンク30から1つの貨物油タンク30を特定の貨物油タンク30として指定する。図4に示すように、本実施形態における給油手順情報は、貨物油タンク30全体(複数の貨物油タンク30)の貨物油Cの搭載量(以下、貨物油搭載量と称する)と、指定される貨物油タンク30との対応関係情報を含んでいる。給油手順情報は、例えば記憶部78によってあらかじめ記憶されている。なお、本実施形態では、貨物油タンク30全体の貨物油搭載量の一次関数的な減少にしたがって、給油手順情報に含まれる複数の貨物油タンク30が、「第4貨物油タンク34→第3貨物油タンク33→第2貨物油タンク32→第1貨物油タンク31→第4貨物油タンク34」と変化する場合を一例として説明する。貨物油タンク30の貨物油搭載量の減少に応じた貨物油タンク30の変化の順序は、上記に限定されることはなく、任意の順序に設定されてよい。
【0044】
タンク指定部72は、取得部71から受け付けた各貨物油タンク30の液位に基づいて、貨物油タンク30全体の貨物油Cの搭載量(貨物油搭載量)を算出する。この際、各貨物油タンク30内の貨物油Cの液位と、貨物油タンク30全体の貨物油搭載量との対応関係情報は、例えば記憶部78によってあらかじめ記憶されており、タンク指定部72がこの対応関係情報を参照することで貨物油搭載量が算出されてもよい。
【0045】
タンク指定部72は、給油手順情報に含まれる複数の貨物油タンク30のうち、貨物油タンク30全体の貨物油Cの搭載量に対応した貨物油タンク30を上記1つの貨物油タンク30として指定する。以下、本実施形態では、貨物油タンク30全体の貨物油Cがあらかじめ100%で搭載(満タン状態)されている場合を一例に説明する。また、以下、タンク指定部72によって指定された貨物油タンク30を「指定タンク」と称する。したがって、本実施形態では、タンク指定部72によって指定された指定タンクは、第4貨物油タンク34である。タンク指定部72は、指定した貨物油タンク30(第4貨物油タンク34)を示す信号を判定部73に送る。
【0046】
(判定部)
判定部73は、取得部71によって取得された各貨物油タンク30内の貨物油Cの液位(液面レベル)を取得部71から受け付けることで、貨物油タンク30内の貨物油量を判定する。本実施形態における判定部73は、タンク指定部72が指定した指定タンク内の貨物油量を判定する。また、判定部73は、後述のタンク切替部75から受け付けた信号が示す貨物油タンク30内の貨物油量を判定する。具体的には、判定部73は、受け付けた貨物油Cの液位が所定の第1液位以下の状態を示した「低レベル」であるか否かを判定する。なお、低レベルには、例えば、貨物油量が各貨物油タンク30の収容量の5~15%である場合などが挙げられる。
【0047】
判定部73は、貨物油Cの液位が低レベルであると判定した場合、この液位が所定の第2液位以下の状態を示した「極低レベル」であるか否かを判定する。ここで、第2液位は、第1液位よりも低い。すなわち、貨物油Cの液位が極低レベルとは、貨物油タンク30内の貨物油量が低レベルの状態よりも少ないことを意味している。つまり、極低レベルは、供給装置50が供給を終えた直後の貨物油タンク30内に残留する貨物油Cよりも少ない状態を意味する。なお、極低レベルには、例えば、貨物油量が各貨物油タンク30の収容量の5%未満である場合などが挙げられる。
【0048】
一方、判定部73は、貨物油Cの液位が低レベルでないと判定した場合、この液位が、所定の第3液位以上の状態を示した「高レベル」であるか否かを判定する。ここで、第3液位は、第1液位よりも高い。すなわち、貨物油Cの液位が高レベルとは、貨物油タンク30内の貨物油量が低レベルの状態よりも多いことを意味している。以下、本実施形態では、いずれの貨物油タンク30にも、貨物油量が高レベルの状態で貨物油Cが収容されている場合を一例として説明する。なお、高レベルには、例えば、貨物油量が各貨物油タンク30の収容量の80%以上である場合などが挙げられる。
【0049】
上記の第1液位、第2液位、および第3液位は、例えば記憶部78によってあらかじめ記憶されている。
判定部73は、上記の判定結果を示す信号を供給装置駆動部74、移送装置駆動部76、タンク切替部75、および報知部77に送る。
【0050】
また、本実施形態における判定部73は、すべての貨物油タンク30内の貨物油Cの液位が低レベルであるか否かを判定する。
判定部73は、この判定結果を示す信号を供給装置駆動部74に送る。
【0051】
また、本実施形態における判定部73は、指定タンク以外の各貨物油タンク30内の貨物油Cの液位が極低レベルであるか否かを判定する。
判定部73は、この判定結果を示す信号を移送装置駆動部76に送る。
【0052】
(供給装置駆動部)
供給装置駆動部74は、判定部73から判定結果を受け付けるとともに、当該判定結果が、貨物油Cの液位が低レベルでない旨を示す場合、貨物油Cの液位が低レベルでない1つの貨物油タンク30を対象として供給装置50を駆動する。供給装置駆動部74は、供給装置50を駆動するにあたり、開閉の指示を示す信号を供給側弁53に送信し、駆動の指示を示す信号を供給側ポンプP1に送信する。
【0053】
具体的には、供給装置駆動部74は、開放の指示を示す信号を第1補給弁530aおよび第2補給弁530bに送信する。また、供給装置駆動部74は、対象となる貨物油タンク30に対応する供給側分岐ライン511に配置された供給側弁53に開放の指示を示す信号を送信する。また、供給装置駆動部74は、対象となる貨物油タンク30以外の貨物油タンク30に対応する供給側分岐ライン511に配置された供給側弁53に閉塞の指示を示す信号を送信する。
【0054】
例えば、供給装置駆動部74は、タンク指定部72から指定タンク(第4貨物油タンク34)を示す信号を受け付けた場合、第1補給弁530a、第2補給弁530b、および第4供給弁534に開放の指示を示す信号を送信するとともに、第1供給弁531、第2供給弁532、および第3供給弁533に閉塞の指示を示す信号を送信した後、駆動の指示を示す信号を供給側ポンプP1に送信する。
【0055】
また、供給装置駆動部74は、すべての貨物油タンク30内の液位が低レベルである旨を示す信号を判定部73から受け付けた場合、停止の指示を示す信号を供給側ポンプP1に送信するとともに、閉塞の指示を示す信号をすべての供給側弁53に送信する。
【0056】
(タンク切替部)
タンク切替部75は、貨物油タンク30内の貨物油Cの液位が低レベルである旨を示す信号を判定部73から受け付けた場合、図4に示した給油手順情報にしたがって、次の貨物油タンク30を示す信号を判定部73に返す。タンク切替部75は、取得部71から受け付けた各貨物油タンク30の液位に基づき貨物油タンク30全体の貨物油搭載量を算出することで、次の貨物油タンク30を特定する。例えば、タンク切替部75は、第4貨物油タンク34内の貨物油Cの液位が低レベルである旨を示す信号を判定部73から受け付けた場合、給油手順情報にしたがって、次の貨物油タンク30である第3貨物油タンク33を示す信号を判定部73に送る。
【0057】
また、タンク切替部75は、貨物油タンク30内の貨物油Cの液位が極低レベルである旨を示す信号を判定部73から受け付けた場合、給油手順情報にしたがって、次の貨物油タンク30を示す信号を判定部73に返す。例えば、タンク切替部75は、第3貨物油タンク33内の貨物油Cの液位が極低レベルである旨を示す信号を判定部73から受け付けた場合、給油手順情報にしたがって、次の貨物油タンク30である第2貨物油タンク32を示す信号を判定部73に送る。
【0058】
(移送装置駆動部)
移送装置駆動部76は、判定部73から判定結果を受け付けるとともに、当該判定結果が貨物油Cの液位が低レベルである旨を示す場合、対象となる貨物油タンク30から他の貨物油タンク30に向けて貨物油Cを移送するように移送装置60を駆動する。本実施形態における移送装置駆動部76は、対象となる貨物油タンク30から指定タンク(第4貨物油タンク34)に向けて貨物油Cを移送するように移送装置60を駆動する。なお、ここでいう貨物油Cの液位が低レベルとなった貨物油タンク30には、指定タンクは含まれない。
【0059】
つまり、移送装置駆動部76は、対象となる貨物油タンク30内の貨物油Cの液位が低レベルである旨を示す信号を判定部73から受け付けた場合、開閉の指示を示す信号を移送側弁63に送信し、駆動の指示を示す信号を移送側ポンプP2に送信する。
【0060】
具体的には、移送装置駆動部76は、対象となる貨物油タンク30に対応する一の移送側分岐ライン613に配置された移送側弁63に開放の指示を示す信号を送信する。一方で、移送装置駆動部76は、一の移送側分岐ライン613とは異なる他の移送側分岐ライン613に配置された移送側弁63には閉塞の指示を示す信号を送信する。
【0061】
また、移送装置駆動部76は、指定タンクに対応する移送側分岐ライン613につながる移送側接続ライン614に配置された移送側弁63に開放の指示を示す信号を送信する。同時に、移送装置駆動部76は、この移送側接続ライン614とは異なる他の移送側接続ライン614に配置された移送側弁63に閉塞の指示を示す信号を送信する。
【0062】
また、移送装置駆動部76は、第2移送側主ライン612に配置された移送側弁63(主弁630)に開放の指示を示す信号を送信する。また、移送装置駆動部76は、上記以外の各移送側弁63に閉塞の指示を示す信号を送信する。
【0063】
例えば、移送装置駆動部76は、対象となる貨物油タンク30が第3貨物油タンク33である場合、主弁630、第3分岐弁633、および第4接続弁638に開放の指示を示す信号を送信するとともに、これら主弁630、第3分岐弁633、および第4接続弁638以外の移送側弁63に閉塞の指示を示す信号を送信した後、駆動の指示を示す信号を移送側ポンプP2に送信する。
【0064】
また、移送装置駆動部76は、すべての貨物油タンク30内の液位が極低レベルである旨を示す信号を判定部73から受け付けた場合、停止の指示を示す信号を移送側ポンプP2に送信するとともに、閉塞の指示を示す信号をすべての供給側弁53に送信する。
【0065】
(報知部)
報知部77は、判定部73から判定結果を受け付けるとともに、当該判定結果が指定タンク内の貨物油Cの液位が低レベルである旨を示す場合、船舶1の乗員にその旨を報知して警告する。具体的には、報知部77は、例えば、船舶1の乗員が利用するモニタなどに指定タンク内の貨物油Cの液位が低レベルである旨を示す信号を送信することで、モニタにその旨を表示させる。なお、報知部77の信号送信先は、モニタに限られることはなく、アラートなどを発することができる装置であってもよい。
【0066】
(制御装置の動作)
続いて、本実施形態における制御装置70の動作の一例について図5から図11を参照して説明する。
図5に示すように、はじめに、タンク指定部72は、複数の貨物油タンク30から1つの貨物油タンク30を指定タンクとして指定する(ステップS1)。
【0067】
次いで、判定部73は、指定タンク内の貨物油Cの液位が低レベルであるか否かを判定する(ステップS2)。指定タンク内の貨物油Cの液位が低レベルである場合(ステップS2:YES)、報知部77は、船舶1の乗員にその旨を報知して警告する(ステップS100)。次いで、例えば、ステップS1の処理に戻り、貨物油タンク30を新たに指定してもよい。
一方、指定タンク内の貨物油Cの液位が低レベルでない場合(ステップS2:NO)、供給装置駆動部74は、供給側弁53を操作する(ステップS3)。
【0068】
次いで、供給装置駆動部74は、供給側ポンプP1を始動する(ステップS4)。次いで、供給装置駆動部74は、供給側ポンプP1の駆動を維持する(ステップS5)。ステップS5が実行されることで、指定タンクとしての第4貨物油タンク34内の貨物油量が低下した様子を図7に一例として示す。
【0069】
なお、図7図11中では、説明を容易にする目的で、開放状態の各種弁(供給側弁53、移送側弁63)を白抜きで示しており、閉塞状態の各種弁を黒塗りで示している。また、各種ベルマウス(供給側ベルマウス52、移送側ベルマウス62)のうち、各種分岐ライン(供給側分岐ライン511、移送側分岐ライン613)内と貨物油タンク30内との間で貨物油Cを流通させているベルマウスを白抜きで示しており、双方の間で貨物油Cを流通させていないベルマウスを黒塗りで示している。
【0070】
ここで、図7に示すように、本実施形態では、制御装置70がステップS5の処理を開始した際、船体10の姿勢の制御、若しくは船体10の曲げモーメントまたは剪断力緩和のため、船舶1の乗員の操作によって、第4貨物油タンク34の下方に配置された第4バラストタンク44にバラスト水Wの導入を開始してもよい。
【0071】
次いで、図5に示すように、判定部73は、指定タンク内の貨物油Cの液位が低レベルであるか否かを判定する(ステップS6)。指定タンク内の貨物油Cの液位が低レベルでない場合(ステップS6:NO)、ステップS5の処理に戻る。一方、指定タンク内の貨物油Cの液位が低レベルである場合(ステップS6:YES)、判定部73は、次の貨物油タンク30内の貨物油Cの液位が低レベルであるか否かを判定する(ステップS7)。以下、説明の便宜上、給油手順情報にしたがうことで、供給装置駆動部74が供給の対象とする次の貨物油タンク30を「次の供給元タンク」と称する。
【0072】
次の供給元タンク内の貨物油Cの液位が低レベルである場合(ステップS7:YES)、判定部73は、すべての貨物油タンク30内の貨物油Cの液位が低レベルであるか否かを判定する(ステップS8)。すべての貨物油タンク30内の貨物油Cの液位が低レベルでない場合(ステップS8:NO)、ステップS7の処理に戻る。一方、すべての貨物油タンク30内の貨物油Cの液位が低レベルである場合(ステップS8:YES)、供給装置駆動部74は、供給側ポンプP1を停止する(ステップS9)。最後に、供給装置駆動部74は、供給側弁53を操作する(ステップS10)。
【0073】
ここで、ステップS7における判定処理の説明に戻る。次の供給元タンク内の貨物油Cの液位が低レベルでない場合(ステップS7:NO)、供給装置駆動部74は、供給側弁53を操作する(ステップS11)。次いで、供給装置駆動部74は、供給側ポンプP1の駆動を維持する(ステップS12)。ステップS12が実行されることで、指定タンクの次の供給元タンクである第3貨物油タンク33内の貨物油量が低下した様子を図8に一例として示す。
【0074】
ここで、図8に示すように、本実施形態では、制御装置70がステップS12の処理を開始した際、船体10の姿勢の制御、若しくは船体10の曲げモーメントまたは剪断力緩和のため、船舶1の乗員の操作によって、第3貨物油タンク33の下方に配置された第3バラストタンク43にバラスト水Wの導入を開始してもよい。
【0075】
ステップS12に次いで、図5に示すように、判定部73は、ステップS7で判定した次の供給元タンクである貨物油タンク30(第3貨物油タンク33)内の貨物油Cの液位が低レベルであるか否かを判定する(ステップS13)。当該貨物油タンク30内の貨物油Cの液位が低レベルでない場合(ステップS13:NO)、ステップS12の処理に戻る。一方、当該貨物油タンク30内の貨物油Cの液位が低レベルである場合(ステップS13:YES)、ステップS7の処理に戻ると同時に、移送ステップS20が実行される。
【0076】
図6に示すように、移送ステップS20では、はじめに、判定部73は、指定タンク内の液位が高レベルであるか否かを判定する(ステップS21)。指定タンク内の液位が高レベルである場合(ステップS21:YES)、移送装置駆動部76は、移送側ポンプP2を停止する(ステップS30)。一方、指定タンク内の液位が高レベルでない場合(ステップS21:NO)、移送装置駆動部76は、移送側弁63を操作する(ステップS22)。
【0077】
次いで、移送装置駆動部76は、移送側ポンプP2を駆動する(ステップS23)。次いで、移送装置駆動部76は、移送側ポンプP2の駆動を維持する(ステップS24)。ステップS24が実行されることで、第3貨物油タンク33内の貨物油Cが、指定タンクである第4貨物油タンク34内に移送された様子を図9に一例として示す。この際、例えば、ステップS7,S11,S12で説明した処理が同時並行的になされることが好ましく、図9に示すように、第3貨物油タンク33の次の供給元タンクである第2貨物油タンク32内の貨物油量が低下する。
【0078】
ここで、図9に示すように、本実施形態では、制御装置70が上記ステップS24の処理を開始した際、船体10の姿勢の制御、若しくは船体10の曲げモーメントまたは剪断力緩和のため、船舶1の乗員の操作によって、第2貨物油タンク32の下方に配置された第2バラストタンク42にバラスト水Wの導入を開始してもよい。またこの際、船舶1の乗員の操作によって、第1貨物油タンク31よりも船首14側に配置された前タンク45にバラスト水Wを導入してもよい。
【0079】
次いで、図6に示すように、判定部73は、指定タンク内の液位が高レベルであるか否かを判定する(ステップS25)。指定タンク内の液位が高レベルである場合(ステップS25:YES)、ステップS30の処理に進む。一方、指定タンク内の液位が高レベルでない場合(ステップS25:NO)、判定部73は、移送元である貨物油タンク30(第3貨物油タンク33)内の貨物油Cの液位が極低レベルであるか否かを判定する(ステップS26)。
【0080】
移送元である貨物油タンク30内の液位が極低レベルでない場合(ステップS26:NO)、ステップS24の処理に戻る。一方、移送元である貨物油タンク30内の液位が極低レベルである場合(ステップS26:YES)、判定部73は、次の貨物油タンク30内の貨物油Cの液位が低レベルであるか否かを判定する(ステップS27)。以下、説明の便宜上、給油手順情報にしたがうことで、移送装置駆動部76が移送の対象とする次の貨物油タンク30を「次の移送元タンク」と称する。
【0081】
次の移送元タンク内の液位が低レベルでない場合(ステップS27:NO)、移送装置駆動部76は、移送側弁63を操作する(ステップS32)。次いで、ステップS24の処理に戻る。一方、次の移送元タンク内の液位が低レベルである場合(ステップS27:YES)、判定部73は、ステップS27で判定した次の移送元タンクである貨物油タンク30内の貨物油Cの液位が極低レベルであるか否かを判定する(ステップS28)。
【0082】
当該貨物油タンク30内の液位が極低レベルでない場合(ステップS28:NO)、ステップS24の処理に戻る。このステップS24が実行されることで、第2貨物油タンク32内の貨物油Cが指定タンクである第4貨物油タンク34内に移送された様子を図10に一例として示す。この際、例えば、ステップS7,S11,S12で説明した処理が同時並行的になされることが好ましく、図10に示すように、第2貨物油タンク32の次の供給元タンクである第1貨物油タンク31内の貨物油量が低下する。
【0083】
ここで、図10に示すように、本実施形態では、制御装置70が上記ステップS24の処理を開始した際、船体10の姿勢の制御、若しくは船体10の曲げモーメントまたは剪断力緩和のため、船舶1の乗員の操作によって、第1貨物油タンク31の下方に配置された第1バラストタンク41にバラスト水Wの導入を開始してもよい。またこの際、船舶1の乗員の操作によって前タンク45にバラスト水Wを更に導入してもよい。
【0084】
一方、図6に示すように、貨物油タンク30内の液位が極低レベルである場合(ステップS28:YES)、判定部73は、指定タンク以外の貨物油タンク30内の液位が極低レベルであるか否かを判定する(ステップS29)。
【0085】
指定タンク以外の貨物油タンク30内の液位が極低レベルでない場合(ステップS29:NO)、移送装置駆動部76は、移送側弁63を操作する(ステップS33)。次いで、ステップS24の処理に戻る。このステップS24が実行されることで、第1貨物油タンク31内の貨物油Cが指定タンクである第4貨物油タンク34内に移送された様子を図11に一例として示す。この際、例えば、ステップS7,S11,S12で説明した処理が同時並行的になされることが好ましく、図11に示すように、第1貨物油タンク31から移送され第4貨物油タンク34へ貨物油Cが移送されつつ、第4貨物油タンク34内の貨物油Cが船体10外部に供給されることで第4貨物油タンク34内の貨物油量が低下する。
【0086】
一方、指定タンク以外の貨物油タンク30内の液位が極低レベルである場合(ステップS29:YES)、移送装置駆動部76は、移送側ポンプP2を停止する(ステップS30)。最後に、移送装置駆動部76は、移送側弁63を操作する(ステップS31)。
【0087】
以上説明した制御装置70の動作は、船舶1が海上にて航行中、漂流中、若しくは係留された状態で実行される。
【0088】
(作用効果)
上記制御装置70によれば、貨物油Cを船体10の外部に供給しつつも、各貨物油タンク30内に残留した貨物油Cを特定の貨物油タンク30に集めることができる。その結果、複数の貨物油タンク30内の貨物油Cを船体10の外部に効率的に補給することができる。
【0089】
また、上記制御装置70によれば、貨物油Cの移送先の貨物油タンク30が最初に供給の対象となる貨物油Cが収容された指定タンクとされている。したがって、例えば、貨物油Cを移送させるためのタンクなどを用意しておく必要がない。その結果、例えば、船体10の大型化を抑制することができる。
【0090】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は各実施形態の構成に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
【0091】
図12は、本実施形態に係るコンピュータ1100の構成を示すハードウェア構成図である。
コンピュータ1100は、プロセッサ1110、メインメモリ1120、ストレージ1130、インターフェース1140を備えている。
【0092】
上述の制御装置70は、コンピュータ1100に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ1130に記憶されている。プロセッサ1110は、プログラムをストレージ1130から読み出してメインメモリ1120に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ1110は、プログラムに従って、上述した記憶部78に対応する記憶領域をメインメモリ1120に確保する。
【0093】
プログラムは、コンピュータ1100に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。
【0094】
また、コンピュータ1100は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ1110によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0095】
ストレージ1130の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ1130は、コンピュータ1100のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース1140または通信回線を介してコンピュータ1100に接続される外部メディアであってもよい。
【0096】
また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ1100に配信される場合、配信を受けたコンピュータ1100が当該プログラムをメインメモリ1120に展開し、上記処理を実行してもよい。上記実施形態では、ストレージ1130は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0097】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
更に、当該プログラムは、前述した機能をストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0098】
なお、船舶1の船種は、特定のものに限られることはない。船舶1の船種は、例えば液化ガス運搬船、フェリー、RO-RO船、自動車運搬船、客船や、FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)等の自走しない海洋構造物であってもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、船舶1の乗員の操作によってバラストタンク40にバラスト水Wを導入する場合を説明したが、これに限定されることはなく、制御装置70によって自動的にバラストタンク40にバラスト水Wを導入してもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、船舶1の貨物油タンク30全体の貨物油Cがあらかじめ100%で搭載されている場合を一例に説明した。しかしながら、この場合に限定されることはない。貨物油タンク30全体の貨物油Cがあらかじめ100%未満で搭載されている場合、タンク指定部72は、貨物油タンク30全体の貨物油Cの搭載量を算出した後、給油手順情報にしたがって、貨物油搭載量に応じた貨物油タンク30を指定タンクとして指定し、供給装置駆動部74は、供給装置50を駆動して指定タンクから貨物油Cの供給を行えばよい。同時に、または、タンク指定部72によるタンクの指定に先立って、移送装置駆動部76は、タンク切替部75が給油手順情報にしたがって貨物油タンク30を切り替えることができるように、移送装置60を駆動して貨物油Cを貨物油タンク30間で移送させればよい。
また、船舶1内の意図しないシステムトラブルなどに起因して、供給装置50の対象とする貨物油タンク30が、給油手順情報にしたがわずに船舶1の乗員による手動で切り替えられるとともに、切り替え後の貨物油タンク30から貨物油Cを船体10の外部に供給される場合がある。この場合、移送装置駆動部76は、タンク切替部75が再び給油手順情報にしたがって貨物油タンク30を切り替えることができるように移送装置60を駆動して貨物油Cを貨物油タンク30間で移送させればよい。
【0101】
また、上記実施形態では、タンク指定部72が複数の貨物油タンク30から1つの貨物油タンク30を指定タンク(特定の貨物油タンク30)として指定する場合を説明したが、これに限定されることはない。タンク指定部72は、例えば、2以上(船舶1が備える貨物油タンク30の総数未満)の貨物油タンク30を指定タンクとして指定してもよい。したがって、移送装置60を駆動することで貨物油Cを複数の指定タンクに集めるとともに、供給装置50を駆動することで複数の指定タンクに集めた貨物油Cを船体10の外部に供給してもよい。
【0102】
<付記>
実施形態に記載の制御装置、制御方法、およびプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0103】
(1)第1の態様に係る制御装置70は、船体10と、前記船体10に配置された複数の貨物油タンク30と、駆動されることで、前記貨物油タンク30内の貨物油量が所定の低レベルとなるまで貨物油Cを前記船体10の外部に供給可能な供給装置50と、駆動されることで、一の前記貨物油タンク30から所定の前記貨物油タンク30に向けて、前記一の前記貨物油タンク30内に前記低レベルとなって残留した前記貨物油Cを移送可能な移送装置60とを備えた船舶1の制御装置70であって、あらかじめ定められた給油手順情報にしたがって複数の前記貨物油タンク30から特定の前記貨物油タンク30を指定するタンク指定部72と、前記指定された前記貨物油タンク30を対象として前記供給装置50を駆動する供給装置駆動部74と、前記貨物油タンク30内の前記貨物油量が前記低レベルとなった際、前記給油手順情報にしたがって前記対象となる前記貨物油タンク30を切り替えるタンク切替部75と、前記貨物油量が前記低レベルとなった前記貨物油タンク30から前記所定の前記貨物油タンク30に向けて前記貨物油Cを移送するように前記移送装置60を駆動する移送装置駆動部76とを備える。
【0104】
これにより、貨物油Cを船体10の外部に供給しつつも、各貨物油タンク30内に残留した貨物油Cを浚って特定の貨物油タンク30に集め、最後に当該貨物油タンク30に集めた貨物油Cを船舶1から外部へ供給することができる。その結果、複数の貨物油タンク30内の貨物油Cを船体10の外部に効率的に補給することができる。さらにこの手順を自動化しておけば、乗組員の省人化、省力化につながる。
【0105】
(2)第2の態様に係る制御装置70は、(1)の制御装置70であって、前記所定の前記貨物油タンク30は、前記指定された前記貨物油タンク30であってもよい。
【0106】
これにより、例えば、貨物油Cを移送させるためのタンクなどを用意しておく必要がない。その結果、例えば、船体10の大型化を抑制することができる。
【0107】
(3)第3の態様に係る制御方法は、船体10と、前記船体10に配置された複数の貨物油タンク30と、駆動されることで、前記貨物油タンク30内の貨物油量が所定の低レベルとなるまで貨物油Cを前記船体10の外部に供給可能な供給装置50と、駆動されることで、一の前記貨物油タンク30から所定の前記貨物油タンク30に向けて、前記一の前記貨物油タンク30内に前記低レベルとなって残留した前記貨物油Cを移送可能な移送装置60とを備えた船舶1の制御方法であって、あらかじめ定められた給油手順情報にしたがって複数の前記貨物油タンク30から特定の前記貨物油タンク30を指定するステップと、前記指定された前記貨物油タンク30を対象として前記供給装置50を駆動するステップと、前記貨物油タンク30内の前記貨物油量が前記低レベルとなった際、前記給油手順情報にしたがって前記対象となる前記貨物油タンク30を切り替えるステップと、前記貨物油量が前記低レベルとなった前記貨物油タンク30から前記所定の前記貨物油タンク30に向けて前記貨物油Cを移送するように前記移送装置60を駆動するステップとを実行する。
【0108】
(4)第4の態様に係るプログラムは、船体10と、前記船体10に配置された複数の貨物油タンク30と、駆動されることで、前記貨物油タンク30内の貨物油量が所定の低レベルとなるまで貨物油Cを前記船体10の外部に供給可能な供給装置50と、駆動されることで、一の前記貨物油タンク30から所定の前記貨物油タンク30に向けて、前記一の前記貨物油タンク30内に前記低レベルとなって残留した前記貨物油Cを移送可能な移送装置60とを備えた船舶1の制御装置70のコンピュータ1100に、あらかじめ定められた給油手順情報にしたがって複数の前記貨物油タンク30から特定の前記貨物油タンク30を指定するステップと、前記指定された前記貨物油タンク30を対象として前記供給装置50を駆動するステップと、前記貨物油タンク30内の前記貨物油量が前記低レベルとなった際、前記給油手順情報にしたがって前記対象となる前記貨物油タンク30を切り替えるステップと、前記貨物油量が前記低レベルとなった前記貨物油タンク30から前記所定の前記貨物油タンク30に向けて前記貨物油Cを移送するように前記移送装置60を駆動するステップとを実行させる。
【符号の説明】
【0109】
1…船舶 10…船体 11A,11B…舷側 12…船底 13…上甲板 14…船首 15…船尾 20…上部構造 30…貨物油タンク 31…第1貨物油タンク 32…第2貨物油タンク 33…第3貨物油タンク 34…第4貨物油タンク 40…バラストタンク 41…第1バラストタンク 42…第2バラストタンク 43…第3バラストタンク 44…第4バラストタンク 45…前タンク 50…供給装置 51…供給側ライン 52…供給側ベルマウス 53…供給側弁 60…移送装置 61…移送側ライン 62…移送側ベルマウス 63…移送側弁 70…制御装置 71…取得部 72…タンク指定部 73…判定部 74…供給装置駆動部 75…タンク切替部 76…移送装置駆動部 77…報知部 78…記憶部 510…供給側主ライン 511…供給側分岐ライン 511a…第1供給側分岐ライン 511b…第2供給側分岐ライン 511c…第3供給側分岐ライン 511d…第4供給側分岐ライン 512…補給ライン 521…第1供給側ベルマウス 522…第2供給側ベルマウス 523…第3供給側ベルマウス 524…第4供給側ベルマウス 530a…第1補給弁 530b…第2補給弁 531…第1供給弁 532…第2供給弁 533…第3供給弁 534…第4供給弁 611…第1移送側主ライン 612…第2移送側主ライン 613…移送側分岐ライン 613a…第1移送側分岐ライン 613b…第2移送側分岐ライン 613c…第3移送側分岐ライン 613d…第4移送側分岐ライン 614…移送側接続ライン 614a…第1移送側接続ライン 614b…第2移送側接続ライン 614c…第3移送側接続ライン 614d…第4移送側接続ライン 621…第1移送側ベルマウス 622…第2移送側ベルマウス 623…第3移送側ベルマウス 624…第4移送側ベルマウス 630…主弁 631…第1分岐弁 632…第2分岐弁 633…第3分岐弁 634…第4分岐弁 635…第1接続弁 636…第2接続弁 637…第3接続弁 638…第4接続弁 1100…コンピュータ 1110…プロセッサ 1120…メインメモリ 1130…ストレージ 1140…インターフェース C…貨物油 Dv…上下方向 Fa…船首尾方向 P1…供給側ポンプ P2…移送側ポンプ S1…第1レベルセンサ S2…第2レベルセンサ S3…第3レベルセンサ S4…第4レベルセンサ W…バラスト水
図1
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図12