(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067468
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】アンテナ装置及び無線通信装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/10 20060101AFI20240510BHJP
H01Q 9/30 20060101ALI20240510BHJP
H01Q 5/342 20150101ALI20240510BHJP
【FI】
H01Q13/10
H01Q9/30
H01Q5/342
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177572
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】524066085
【氏名又は名称】FCNT合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼田 聡史
【テーマコード(参考)】
5J045
【Fターム(参考)】
5J045AA03
5J045AB05
5J045DA06
5J045LA01
5J045LA03
5J045NA03
(57)【要約】
【課題】複数の周波数に対応するアンテナの実装スペースを可及的に抑制する。
【解決手段】本アンテナ装置は、第1の周波数帯で励振し、グランドに沿って配置されるアンテナと、上記グランドから上記アンテナに接続される給電線と、を備え、上記アンテナは、上記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯で励振する第1のスロットを有し、上記給電線は、上記第1のスロットの縁から共振する周波数の電波のおおよそ五十分の一波長に相当する長さの範囲内に接続される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の周波数帯で励振し、グランドに沿って配置されるアンテナと、
前記グランドから前記アンテナに接続される給電線と、を備え、
前記アンテナは、前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯で励振する第1のスロットを有し、
前記給電線は、前記第1のスロットの縁から共振する周波数の電波のおおよそ五十分の一波長に相当する長さの範囲内に接続される、
アンテナ装置。
【請求項2】
前記アンテナには、前記第1の周波数帯及び前記第2の周波数帯とは異なる第3の周波数帯で励振する第2のスロットがさらに形成される、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1のスロットは、高さ方向が前記高さ方向と直交する幅方向よりも短く形成され、
前記第1のスロットと前記第2のスロットとが、前記1のスロットの前記幅方向に沿って一列に並ぶように配置される、
請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1のスロットは、高さ方向が前記高さ方向と直交する幅方向よりも短く形成され、
前記第2のスロットが、前記第1のスロットの前記幅方向視において前記第1のスロットと重なる領域の外に配置される、
請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第2のスロットと前記グランドとが周波数調整部によって接続される、
請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記周波数調整部は、コンデンサまたはインダクタを含む、
請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第2の周波数帯は、前記第1の周波数帯の逓倍の周波数帯と異なる周波数帯である、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記第1の周波数帯の奇数倍の周波数のうちの第4の周波数帯と前記第2の周波数帯との差が、前記第1の周波数帯の10%以下の範囲内である、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第1のスロットは、高さ方向が前記高さ方向と直交する幅方向よりも短く形成され、
前記給電線は、前記高さ方向視において、前記第1のスロットと重なる領域に接続される、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
請求項1から9の何れか一項に記載のアンテナ装置を実装した、
無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置及び無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信技術の発展に伴い、無線通信装置に各種のアンテナが用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2021/250788号
【特許文献2】特表2007-533194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スマートフォンのような携帯端末では、WiFi(登録商標)やNFC(Near Field Communication)などの様々な無線通信システムの周波数(例えば5GHz帯)に対応するためや、第4世代移動体通信(4G)や第5世代移動体通信(5G)で追加された6GHz帯や26GHz帯など高周波帯域の周波数に対応するために複数のアンテナが備えられる。一方、このような携帯端末では、ユーザーの利便性を向上に向けた多機能化に伴う実装部品の部品点数の増加、及び、デザイン面及び大画面化からの要求に伴う狭額縁化により、アンテナ等の部品を実装する実装スペースの確保が困難となっている。このような課題は、小型化が進められる無線通信装置に共通する。
【0005】
開示の技術の1つの側面は、複数の周波数に対応するアンテナの実装スペースを可及的に抑制可能なアンテナ装置及び無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の1つの側面は、次のようなアンテナ装置によって例示される。本アンテナ装置は、第1の周波数帯で励振し、グランドに沿って配置されるアンテナと、上記グランドから上記アンテナに接続される給電線と、を備え、上記アンテナは、上記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯で励振する第1のスロットを有し、上記給電線は、上記第1のスロットの縁から共振する周波数の電波のおおよそ五十分の一波長に相当する長さの範囲内に接続される。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、複数の周波数に対応するアンテナの実装スペースを可及的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るスマートフォンの外観の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るスマートフォンのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るアンテナの一例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、給電位置のバリエーションを例示する第1の図である。
【
図5】
図5は、給電位置のバリエーションを例示する第2の図である。
【
図6】
図6は、給電位置を変更した場合におけるアンテナの放射効率を例示する図である。
【
図7】
図7は、給電位置を変更した場合におけるアンテナの反射率を例示する図である。
【
図8】
図8は、アンテナの特性を示すスミスチャートである。
【
図9】
図9は、比較例に係るアンテナの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るアンテナの電流分布の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、比較例に係るアンテナの電流分布の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係るアンテナの放射効率を例示する図である。
【
図13】
図13は、第1変形例に係るアンテナの一例を示す図である。
【
図14】
図14は、第1変形例に係るアンテナの電流分布の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、スロットと第2スロットとの距離を変化させた場合における電流分布を例示する図である。
【
図16】
図16は、スロットと第2スロットのX方向における距離を変化させた場合におけるアンテナの反射率を例示する図である。
【
図17】
図17は、スロットと第2スロットとがZ方向視において重なる状態を例示する図である。
【
図18】
図18は、スロットと第2スロットとの並走距離を変化させた場合におけるアンテナの放射効率を例示する図である。
【
図19】
図19は、給電位置の位置を変更したアンテナの一例を示す図である。
【
図20】
図20は、給電位置を変更した場合におけるアンテナの放射効率を例示する図である。
【
図21】
図21は、第2変形例に係るアンテナの一例を示す図である。
【
図22】
図22は、第2変形例に係るアンテナの電流分布の一例を示す図である。
【
図23】
図23は、スロットと第2スロットのX方向における距離を変化させた場合におけるアンテナの反射率を例示する図である。
【
図24】
図24は、第3変形例に係るアンテナの一例を示す斜視図である。
【
図25】
図25は、接点を接続したことによるアンテナの放射効率を例示する図である。
【
図26】
図26は、スロットの有無による電流分布の差を例示する第1の図である。
【
図27】
図27は、スロットの有無による電流分布の差を例示する第2の図である。
【
図28】
図28は、スロットの有無による電流分布の差を例示する第3の図である。
【
図29】
図29は、スロットの有無によるアンテナの放射効率を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
以下、スマートフォンを例とし、図面を参照して実施形態について説明する。なお、無線通信端末、無線端末、端末、携帯電話、タブレットやスマートフォン等を総称しスマートフォンとする。
図1は、実施形態に係るスマートフォン100の外観の一例を示す図である。
図1では、スマートフォン100の前面側の外観が例示される。スマートフォン100は、可搬型の電子機器である。筐体110の前面にはスピーカー111、マイクロフォン112及びディスプレイ113が設けられる。
図1で紙面に向かって上側が筐体110の上側であり、紙面に向かって下側が筐体110の下側であると仮定する。以下、本明細書において、筐体110の上下方向をY方向、Y方向と直交する筐体110の幅方向をX方向、筐体110の厚さ方向をZ方向とも称する。
【0010】
図2は、実施形態に係るスマートフォン100のハードウェア構成の一例を示す図である。スマートフォン100は、CPU101、主記憶部102、補助記憶部103、通信
部104、アンテナ200、スピーカー111、マイクロフォン112及びディスプレイ113、を備える。CPU101、主記憶部102、補助記憶部103、通信部104、スピーカー111、マイクロフォン112及びディスプレイ113は、接続バスB1によって相互に接続される。
【0011】
CPU101は、マイクロプロセッサーユニット(MPU)、プロセッサーとも呼ばれる。CPU101は、単一のプロセッサーに限定される訳ではなく、マルチプロセッサー構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一のCPU101がマルチコア構成を有していてもよい。CPU101が実行する処理のうち少なくとも一部は、CPU101以外のプロセッサー、例えば、Digital Signal Processor(DSP)、Graphics Processing Unit(GPU)、数値演算プロセッサー、ベクトルプロセッサー、画像処理プロセッサー等の専用プロセッサーで行われてもよい。また、CPU101が実行する処理のうち少なくとも一部は、集積回路(IC)、その他のデジタル回路によって実行されてもよい。また、CPU101の少なくとも一部にアナログ回路が含まれてもよい。集積回路は、Large Scale Integrated circuit(LSI)、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)を含む。PLDは、例えば、Field-Programmable Gate Array(FPGA)を含む。CPU101は、プロセッサーと集積回路との組み合わせであってもよい。組み合わせは、例えば、マイクロコントローラーユニット(MCU)、System-on-a-chip(SoC)、システムLSI、チップセットなどと呼ばれる。スマートフォン100では、CPU101が補助記憶部103に記憶されたプログラムを主記憶部102の作業領域に展開し、プログラムの実行を通じて周辺装置の制御を行う。これにより、スマートフォン100は、所定の目的に合致した処理を実行することができる。主記憶部102及び補助記憶部103は、スマートフォン100が読み取り可能な記録媒体である。
【0012】
主記憶部102は、CPU101から直接アクセスされる記憶部として例示される。主記憶部102は、Random Access Memory(RAM)及びRead Only Memory(ROM)を含む。
【0013】
補助記憶部103は、各種のプログラム及び各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納する。補助記憶部103は外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶部103には、オペレーティングシステム(Operating System、OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、通信部104を介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。外部装置等には、例えば、コンピューターネットワーク等で接続された、他の情報処理装置及び外部記憶装置が含まれる。
【0014】
補助記憶部103は、例えば、Erasable Programmable ROM(EPROM)、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive、SSD)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、HDD)等である。なお、補助記憶部103は、例えば、ネットワーク上のコンピューター群であるクラウドシステムの一部であってもよい。
【0015】
通信部104は、アンテナ200を用いて他の移動機や基地局等の無線通信装置と無線通信を行う。通信部104は、例えば、第4世代移動体通信(4G)、第5世代移動体通信(5G)、WiFi(登録商標)等の通信規格に準拠した通信方式によって、アンテナ200を用いた無線通信を行う。アンテナ200は、スマートフォン100の筐体110の一部に形成されてもよいし、筐体110の内部に収容されてもよい。
【0016】
スピーカー111は、音を出力する音源である。スピーカー111は、スマートフォン100を用いた通話において、通話相手の音声等の音を出力する。マイクロフォン112は、通話や動画の音声取得に用いられる。
【0017】
ディスプレイ113は、CPU101で処理されるデータや主記憶部102に記憶されるデータを表示する。ディスプレイ113は、例えば、Liquid Crystal Display(LCD)、Plasma Display Panel(PDP)、無機Electroluminescence(EL)パネル、有機ELパネルである。ディスプレイ113には、例えば、ユーザーの指等によるタッチ操作を検知するタッチパネルが重畳して設けられてもよい。スマートフォン100は、ディスプレイ113にタッチパネルが重畳して設けられることで、直感的な操作環境をユーザーに提供することができる。
【0018】
図3は、実施形態に係るアンテナ200の一例を示す斜視図である。アンテナ200は、例えば、筐体110の一部に形成される。アンテナ200は、アンテナ素子201、給電点211、基板221及びグランド222を備える。
【0019】
アンテナ素子201は、例えば、矩形状に形成されたグランド222の端部に設けられるアンテナである。アンテナ素子201は、グランド222の端面223に沿うように設けられる。基板221は、各種電子部品が実装されるプリント基板である。グランド222は、基板221上に銅箔等によって形成された金属層である。グランド222の電位は、接地電位となっている。
【0020】
アンテナ素子201は、例えば、直方体の板状に形成された逆F型アンテナである。アンテナ素子201は、例えば、給電点12からの給電を受けて4Gの周波数帯の電波で励振(発振)する。アンテナ素子201のX方向の長さは、例えば、所望の周波数の電波の四分の一波長の長さや所望の周波数の電波の四分の一波長に波長短縮率(例えば0.4)
を乗算した長さである。以降、所望の周波数の電波の四分の一波長として説明する。
アンテナ素子201には、スロット202が形成される。
【0021】
スロット202は、アンテナ素子201をY方向に貫通するように形成された貫通孔である。スロット202は、例えば、Y方向視(Y軸方向からの)において、X方向に長辺を有し、Z方向に短辺を有する長方形に形成される。スロット202のX方向の長さ(幅)は、スロット202に共振させる所望の周波数の電波の半波長である。ここで、スロット202は、アンテナ素子201とは異なる周波数帯で励振させた方が好ましいため、例えば、アンテナ素子201の共振周波数の逓倍(又は整数倍、奇数倍、偶数倍)とは異なる周波数帯で共振するように設計される。スロット202は、例えば、5100MHzの電波で励振するようにX方向の長さが28mm(5100MHzの電波の二分の一波長に相当する長さ)に設定される。以下、5100MHzの場合で説明する。なお、周波数が5100MHzとは異なる他の周波数の場合、当該他の周波数に対応する長さに設定してもよい。また、スロット202のZ方向の長さ(高さ)は、例えば、1mmである。なお、ここでは簡単のために、スロットを長方形として説明するが、スロット202は、直線及び曲線の少なくとも一方によって閉じられた領域を取り除いた形状(くり抜かれた形状)であればよく、例えば台形、楕円、円、矩形(鋸形状)、L字形等であってもよい。
【0022】
スロット202の近傍には、給電点211から延びる給電線が接続される。給電線は、アンテナ素子201上であって、Z方向視(Z軸方向からの視点)においてスロット202の長辺と重なる範囲L1内に接続される。換言すれば、アンテナ200は、スロット202の短辺方向視(短辺方向からの視点)において、スロット202の長辺と重なる領域
で給電点211からの給電を受ける。
図3では、例えば、給電位置203の背面に給電線が接続される。給電位置203は、例えば、スロット202の-Z側の長辺(縁)から-Z方向に1mm以内の範囲に設けられる。
【0023】
<給電位置の検討>
ここで、アンテナ200への給電位置について検討する。
図4は、給電位置のバリエーションを例示する第1の図である。
図4では、Z方向視においてスロット202の長辺と重なる範囲内(
図3の範囲L1)に給電位置203が配置される場合が例示される。
図4Aでは、スロット202の-X側の端部から0mmの位置に給電位置203が配置される。
図4Bでは、スロット202の-X側の端部から+6mmの位置に給電位置203が配置される。
図4Cでは、スロット202の-X側の端部から+12mmの位置に給電位置203が配置される。
【0024】
図5は、給電位置のバリエーションを例示する第2の図である。
図5では、Z方向視においてスロット202の長辺と重なる範囲外(
図1の範囲L1)に給電位置203が配置される場合を例示する。
図5Aでは、スロット202の-X側の端部から-1mmの位置に給電位置203が配置される。
図5Bでは、スロット202の-X側の端部から-2.5mmの位置に給電位置203が配置される。
【0025】
図6は、給電位置203を変更した場合におけるアンテナ200の放射効率を例示する図である。
図6では、Z方向視においてスロット202の長辺と重なる範囲内(
図3の範囲L1)に給電位置203が配置される場合が例示される。
図6では、アンテナ素子201による励振(「モノポール励振」の矢印で例示)及びスロット202による励振(「第1スロット励振」の矢印で例示)が例示される。
【0026】
図7は、給電位置を変更した場合におけるアンテナ200の反射率を例示する図である。
図7では、Z方向視においてスロット202の長辺と重なる範囲外(
図3の範囲L1外)に給電位置203が配置される場合が例示される。
図7では、アンテナ素子201による励振(「モノポール励振」の矢印で例示)及びスロット202による励振(「第1スロット励振」の矢印で例示)が例示される。
【0027】
図6及び
図7を参照すると、Z方向視においてスロット202の長辺と重なる範囲内(
図3の範囲L1)であれば、スロット202による励振が好適に得られることが理解できる。ここで、給電位置203の位置が変更されると、スロット202において励振するスロット長が変わるため、スロット202を励振させる所望の周波数に応じて給電位置203の位置を決定すればよい。
【0028】
<アンテナ200の整合>
図8は、アンテナ200の特性を示すスミスチャートである。
図8を参照すると、スロット202の励振における共振周波数をアンテナ素子201の励振における共振周波数の奇数倍近くの値に設定することで、アンテナ素子201とスロット202のインピーダンス(50オーム)が近い値となることが理解できる。すなわち、スロット202の励振における共振周波数をアンテナ素子201の励振における共振周波数の奇数倍近くに設定することで、アンテナ素子201のインピーダンス整合(インピーダンスマッチング、以降整合と称する)をとればスロット202についても整合がとれるようになる。なお、共振周波数の奇数倍近くの値としては、例えば、共振周波数の奇数倍の値から5%から10%程度の範囲内の値を挙げることができる。なお、整合が取れていない(不整合)場合、アンテナとアンテナに接続する素子(例えばフィルタや増幅器など)との接続において電力損失が生じてしまう。このため整合を行うことが必要である。
【0029】
<比較例>
ここで、比較例について説明する。
図9は、比較例に係るアンテナ500の一例を示す図である。アンテナ500では、広い面形状に形成された板状部材501に矩形状のスロット502が設けられる。アンテナ500の給電は、給電位置511からの給電を受けてスロット502の一方の長辺から他方の長辺に向けて行われる。
【0030】
<電流分布>
図10は、実施形態に係るアンテナ200の電流分布の一例を示す図である。
図10では、給電位置203の位置は、「給電位置」の矢印で例示される。給電点211からの給電を受けると、給電位置203から+X方向に流れる電流と-X方向に流れる電流がスロット202よりも-Z側で生じる。また、スロット202の+Z側の領域では、-Z側の領域に生じた電流の静電誘導によって、スロット202の-Z側の領域とは逆向きの電流が生じる。-Z側の領域に生じた電流と+Z側の領域に生じた電流は、矢印A1、A2によって例示されるように、スロット202のX方向の両端で同方向となり、折り返す電流経路となる。このように電流が折り返すことで、給電位置203からスロット202のX方向の端部までの距離に応じた周波数でスロット202による励振を得ることができる。すなわち、アンテナ200は、アンテナ素子201による励振とスロット202による励振を得ることができるアンテナである。
【0031】
図11は、比較例に係るアンテナ500の電流分布の一例を示す図である。アンテナ500では、給電位置511から給電された電流が板状部材501上を流れて一方の長辺から他方の長辺へ戻る電流が生じる。すなわち、実施形態に係るアンテナ200と比較例に係るアンテナ500とでは、アンテナ素子に給電する位置とスロットの位置関係及びスロットによって励振が生じる仕組みが異なる。
【0032】
図12は、実施形態に係るアンテナ200の放射効率を例示する図である。
図12では、アンテナ200からスロット202を省略したアンテナ(
図7において「スロット無」)についても例示される。
図11では、基準の周波数における励振(「×1」の矢印で例示)、3倍の周波数での励振(「×3」の矢印で例示)及び5倍の周波数での励振(「×5」の矢印で例示)が例示される。アンテナ200では、さらに、スロット202による励振(「第1スロット励振」の矢印で例示)が得られることが理解できる。
【0033】
<実施形態の作用効果>
本実施形態によれば、アンテナ素子201による励振に加えて、スロット202による励振も得ることができる。すなわち、本実施形態によれば、アンテナ素子201を設置するスペースに、アンテナ素子201による励振及びスロット202による励振を得ることができるアンテナを実現することができる。換言すれば、本実施形態によれば、複数の周波数に対応するアンテナを実現でき、アンテナの実装スペースを可及的に抑制することができる。
【0034】
本実施形態では、スロット202の励振における共振周波数をアンテナ素子201の励振における共振周波数の奇数倍近くの値に設定することで、アンテナ素子201とスロット202のインピーダンスが近い値となる。すなわち、スロット202の励振における共振周波数をアンテナ素子201の励振における共振周波数の奇数倍近くに設定することで、アンテナ素子201の整合をとればスロット202についても整合がとれるようになる。換言すれば、スロット202についての整合とアンテナ素子201についての整合をそれぞれ個別にとらなくともよくなり、アンテナ素子201とスロット202を含むアンテナ200の整合をとるだけでよい。これにより整合をとる処理が容易となる。
【0035】
<第1変形例>
実施形態では、アンテナ素子201にスロット202がひとつ設けられる。第1変形例では、アンテナ素子201に2つのスロットが設けられる構成について説明する。実施形態と共通の構成要素については同一の符号を付し、その説明は省略される。以下、図面を参照して、第1変形例について説明する。
【0036】
図13は、第1変形例に係るアンテナ200Aの一例を示す図である。
図13では、アンテナ200AをY方向視した外観が例示される。アンテナ200Aは、スロット202に加えて第2スロット202Aを備える。第2スロット202AのX方向の長さは、励振させる所望の周波数の半波長に設定される。第2スロット202Aは、例えば、5500MHzの電波で励振するようにX方向の長さが25mm(5500MHzの電波の二分の一波長に相当する長さ)に設定される。第2スロット202Aは、「第2のスロット」の一例である。以下、5500MHzの場合で説明する。なお、周波数が5500MHzとは異なる他の周波数の場合、当該他の周波数に対応する長さに設定してもよい。
【0037】
アンテナ200Aでは、スロット202と第2スロット202AとがZ方向にずれて配置される。すなわち、スロット202と第2スロット202Aとは、同一直線上に配置されない。
図13の例では、第2スロット202Aは、スロット202の長辺方向視(長辺方向からの視点、X方向視、X軸方向からの視点)において、スロット202と重なる領域の外に配置される。そして、スロット202と第2スロット202AとのX方向の距離D1(スロット202と第2スロット202Aの間隔)は、例えば、1mmに設定される。
【0038】
図14は、第1変形例に係るアンテナ200Aの電流分布の一例を示す図である。
図14では、給電位置203の位置は、「給電位置」の矢印で例示される。
図14Aは、アンテナ200Aの電流分布のうち、スロット202付近の電流の流れを矢印A3、A4によって例示する。また、
図14Bは、アンテナ200Aの電流分布のうち、第2スロット202A付近の電流の流れを矢印A5、A6、A7によって例示する。
【0039】
図14Aを参照すると、アンテナ200Aに対して給電位置203に対する給電が行われると、スロット202の+Z側の領域では、-Z側の領域に生じた電流の静電誘導によって、スロット202の-Z側の領域とは逆向きの電流が生じる。そして、スロット202よりも-Z側で+X方向及び-X方向に生じた電流は、矢印A3、A4によって例示されるように、スロット202のX方向の両端で折り返す。
【0040】
また
図14Bを参照すると、矢印A5によって例示されるように、スロット202よりも-Z側に生じた電流は、第2スロット202Aの-Z側にも流れる。そして、第2スロット202Aの+Z側の領域では、-Z側の領域に生じた電流の静電誘導によって、第2スロット202Aの-Z側の領域とは逆向きの電流が生じる。そして、第2スロット202Aの-Z側に流れた電流は、矢印A6、A7によって例示されるように、第2スロット202BのX方向の両端で折り返す。
【0041】
このように電流が折り返すことで、給電位置203からスロット202のX方向の端部までの距離に応じた周波数でスロット202による励振が得られる。また、第2スロット202Aの長さに応じた周波数で第2スロット202Aによる励振が得られる。すなわち、アンテナ200Aは、アンテナ素子201による励振と、スロット202による励振と、第2スロット202Aによる励振と、を得ることができるアンテナである。
【0042】
ここで、スロット202と第2スロット202AのX方向における距離について検討する。
図15は、スロット202と第2スロット202Aとの距離D1を変化させた場合における電流分布を例示する図である。
図15Aは、スロット202と第2スロット202
Aとの距離D1が0mmの場合における電流分布を例示する図である。
図15Bは、スロット202と第2スロット202Aとの距離D1が2mmの場合における電流分布を例示する図である。
【0043】
距離D1が0mmの場合、
図15Aの矢印A8によって例示されるように、スロット202よりも-Z側に生じた電流は、第2スロット202Aの-Z側にも流れる。一方、距離D2が2mmの場合、
図15Bの矢印A9によって例示されるように、スロット202の+X側の端部で折り返してしまい、第2スロット202Aの-Z側には電流があまり流れ込まなくなる。
【0044】
図16は、スロット202と第2スロット202AのX方向における距離D1を変化させた場合におけるアンテナ200Aの反射率を例示する図である。
図16では、距離D1を「0mm」、「0.5mm」、「1.0mm」、「1.5mm」、「2.0mm」に設定した場合における反射率が例示される。また、
図16では、スロット202による励振(「第1スロット励振」の矢印で例示)及び第2スロット202Aによる励振(「第2スロット励振」の矢印で例示)が例示される。
【0045】
図16において、スロット202による励振及び第2スロット202Aによる励振では、スロット202とスロット202との距離D1が短い方が好適な励振を得られることが理解できる。スロット202による励振及び第2スロット202Aによる励振を考慮すると、例えば、距離D1は、1.0mm(5500MHzの電波の五十五分の一波長に相当する長さ)以下が好ましい。
【0046】
つづいて、スロット202及び第2スロット202AがZ方向視において重なる場合について検討する。
図17は、スロット202と第2スロット202AとがZ方向視において重なる状態を例示する図である。
図17において、スロット202と第2スロット202Aとは、Z方向視において距離D2だけ重なっている。以下、本明細書において、スロット202と第2スロット202AとがZ方向視において重なる距離D2を並走距離D2とも称する。
【0047】
図18は、スロット202と第2スロット202Aとの並走距離D2を変化させた場合におけるアンテナ200Aの放射効率を例示する図である。
図18では、並走距離D2を「0mm」、「5mm」、「10mm」、「15mm」に設定した場合における放射効率が例示される。また、
図18では、スロット202による励振(「第1スロット励振」の矢印で例示)及び第2スロット202Aによる励振(「第2スロット励振」の矢印で例示)が例示される。
【0048】
図18を参照すると、並走距離D2を変化させることで、スロット202や第2スロット202Aの共振周波数が変化することが理解できる。また、並走距離D2を「0mm」、「5mm」、「10mm」、「15mm」のいずれに設定しても、スロット202及び第2スロット202Aを励振させることが可能であることが理解できる。
【0049】
つづいて、給電位置203の位置について検討する。
図19は、給電位置203の位置を変更したアンテナ200Aの一例を示す図である。
図19では、給電位置203をスロット202の+Z側に配置した状態が例示される。なお、前述の
図13では、給電位置203をスロット202の-Z側に配置した状態が例示される。
【0050】
図20は、給電位置を変更した場合におけるアンテナ200Aの放射効率を例示する図である。
図20では、給電位置203をスロット202の-Z側に配置した状態(
図13に例示される状態)を「給電点-Z」で例示する。また、給電位置203をスロット20
2の+Z側に配置した状態(
図19に例示される状態)を「給電点+Z」で例示する。
図20を参照すると、給電位置203をスロット202の-Z側に配置した状態の方がスロット202及び第2スロット202Aの特性が好ましいことが理解できる。換言すれば、Z方向において、第2スロット202Aから離れた位置に給電位置203が設けられた方がスロット202及び第2スロット202Aの特性が好ましい。また、給電位置203をスロット202の-Z側及び+Z側のいずれに配置してもスロット202及び第2スロット202Aを励振させることが可能であることも理解できる。
【0051】
第1変形例によれば、アンテナ素子201による励振及びスロット202による励振に加えて、第2スロット202Aによる励振も得ることができる。すなわち、第1変形例によれば、アンテナ素子201を設置するスペースにスロット202による励振及び第2スロット202Aによる励振も得ることができるアンテナを実現することができる。
【0052】
<第2変形例>
第1変形例では、スロット202及び第2スロット202Aの2つのスロットが同一直線上に並ばない構成について説明した。第2変形例では、2つのスロットが同一直線上に並ぶ構成について説明する。実施形態と共通の構成要素については同一の符号を付し、その説明は省略される。以下、図面を参照して、第2変形例について説明する。
【0053】
図21は、第2変形例に係るアンテナ200Bの一例を示す図である。
図21では、アンテナ200BをY方向視した外観が例示される。アンテナ200Bは、スロット202に加えて第2スロット202Bを備える。第2スロット202BのX方向の長さは、励振させる所望の周波数の半波長に設定される。第2スロット202Bは、例えば、5500MHzの電波で励振するようにX方向の長さが25mm(5500MHzの電波の二分の一波長に相当する長さ)に設定される。
【0054】
アンテナ200Bでは、スロット202と第2スロット202Bとが、X方向において同一直線上に配置される。換言すれば、スロット202と第2スロット202Bとは、スロット202の長辺方向に沿って一列に並ぶように配置される。そして、スロット202と第2スロット202BとのX方向の間隔D3は、例えば、1mmに設定される。
【0055】
図22は、第2変形例に係るアンテナ200Bの電流分布の一例を示す図である。
図22では、給電位置203の位置は、「給電位置」の矢印で例示される。
図22Aでは、距離D3が0.5mmに設定された場合における電流分布が例示される。
図22Bでは、距離D3が2.0mmに設定された場合における電流分布が例示される。
【0056】
図22Aを参照すると、アンテナ200Aに対して給電位置203に対する給電が行われると、スロット202よりも-Z側で+X方向及び-X方向に生じた電流は、矢印A10によって例示されるように、第2スロット202Bの-Z側にも流れる。一方、
図22Bを参照すると、矢印A11によって例示されるように、スロット202よりも-Z側において+X方向に生じた電流はスロット202の+X側の端部で折り返してしまい、第2スロット202Bの-Z側には電流があまり流れ込まなくなる。
【0057】
図23は、スロット202と第2スロット202BのX方向における距離D3を変化させた場合におけるアンテナ200Bの反射率を例示する図である。
図23では、距離D3を「0.5mm」、「1.0mm」、「1.5mm」、「2.0mm」に設定した場合における反射率が例示される。また、
図23では、スロット202による励振(「第1スロット励振」の矢印で例示)及び第2スロット202Bによる励振(「第2スロット励振」の矢印で例示)が例示される。
【0058】
図23において、スロット202による励振及び第2スロット202Bによる励振では、スロット202と第2スロット202Bとの距離D2が狭い方が好適な励振を得られることが理解できる。スロット202による励振及び第2スロット202Bによる励振を考慮すると、距離D3は、例えば、1.0mm(5500MHzの電波の五十五分の一波長に相当する長さ)以下が好ましい。
【0059】
第2変形例によれば、アンテナ素子201による励振及びスロット202による励振に加えて、第2スロット202Bによる励振も得ることができる。すなわち、第2変形例によれば、アンテナ素子201を設置するスペースにスロット202による励振及び第2スロット202Bによる励振も得ることができるアンテナを実現することができる。
【0060】
<第3変形例>
以上説明した実施形態、第1変形例及び第2変形例では、給電点211が接続されない第2スロットは、グランド222に接続されなかった。第3変形例では、給電点211が接続されない第2スロットとの接点を介してグランド222に接続する構成について説明する。
【0061】
図24は、第3変形例に係るアンテナ200Cの一例を示す斜視図である。アンテナ200Cは、第2スロット202Aとグランド222との間が接点231によって接続される。接点231としては、例えば、インダクタやコンデンサを挙げることができる。接点231は、「周波数調整部」の一例である。
【0062】
図25は、接点231を接続(装荷)したことによるアンテナ200Cの放射効率を例示する図である。
図25Aでは、接点231が接続されていない場合の放射効率が例示される。
図25Bでは、100nHの接点231が接続された場合の放射効率が例示される。
図25Cでは、15nHの接点231が接続された場合の放射効率が例示される。
図25Dでは、6.8nHの接点231が接続された場合の放射効率が例示される。また、
図25では、アンテナ素子201による励振(「モノポール励振」の矢印で例示)、スロット202による励振(「第1スロット励振」の矢印で例示)及び第2スロット202Aによる励振(「第2スロット励振」の矢印で例示)が例示される。
【0063】
図25を参照すると、接続する接点231のインダクタンスに応じて、アンテナ素子201及び第2スロット202Aの共振周波数が変動することが理解できる。すなわち、第3変形例では、接点231のインダクタンスを適宜設定することで、アンテナ素子201及び第2スロット202Aの共振周波数を調整(制御)することができる。なお、ここではインダクタを用いて共振周波数を調整することとしたが、キャパシタを用いて調整してもよいし、インダクタとキャパシタを用いて調整してもよい。
【0064】
<スロット202の有無による効果の検討>
以上、実施形態及び変形例について説明したが、ここでは、スロット202の有無による効果の検討を行う。
図26から
図28は、スロット202の有無による電流分布の差を例示する図である。
図26では、スロット202が設けられたアンテナ200の電流分布が例示される。
図27では、第2スロット202Aが設けられる一方でスロット202が省略されたアンテナ300の電流分布が例示される。
図28では、スロット202及び第2スロット202Aが設けられたアンテナ200Aの電流分布が例示される。
図28Aでは、アンテナ200Aのスロット202における励振が例示される。
図28Bでは、アンテナ200Aの第2スロット202Aにおける励振が例示される。
【0065】
図26を参照すると、矢印A12によって例示されるように、スロット202の励振が得られていることが理解できる。スロット202は、例えば、5100MHzの周波数で
励振している。
図27を参照すると、スロット202が省略されたアンテナ300では、スロット202の励振が得られない上に、第2スロット202Aの励振も得られないことが理解できる。
図28Aを参照すると、矢印A13によって例示されるように、スロット202の励振が得られていることが理解できる。スロット202は、例えば、5100MHzの周波数で励振している。
図28Bを参照すると、矢印A14によって例示されるようにスロット202から電流が第2スロット202Aに伝わる。そして、矢印A15によって例示されるように第2スロット202Aの励振が得られる。第2スロット202Aは、例えば、5500MHzの周波数で励振している。
【0066】
図29は、スロット202の有無によるアンテナの放射効率を例示する図である。
図29Aは、スロットが設けられていない逆F型アンテナの放射効率を例示する図である。
図29Bは、スロット202が設けられたアンテナ200の放射効率を例示する図である。
図29Cは、第2スロット202Aが設けられる一方でスロット202が省略されたアンテナ300の放射効率を例示する図である。
図29Dは、スロット202及び第2スロット202Aが設けられたアンテナ200Aの放射効率が例示される。
【0067】
図26から
図29を参照すると理解できるように、給電をうけるスロット202が設けられることで、アンテナ200やアンテナ200Aにおけるスロットの励振を得ることができる。すなわち、本実施形態や変形例によれば、アンテナ素子201を設置するスペース内に、さらにスロット202や第2スロット202A、第2スロット202Bといったスロットによる励振を得るアンテナを実現できる。
【0068】
以上説明した実施形態及び変形例では、アンテナ素子201を逆F型アンテナとして説明したが、アンテナ素子201はモノポールアンテナであってもよい。また、アンテナ200は、スマートフォン100に限定されず、スマートフォン100によって例示される無線通信端末(無線端末、端末)に対して適用できる。スマートフォン100以外の無線通信装置としては、例えば、基地局、基地局と端末との間の通信を中継する中継機(リレー)、フィーチャーフォン、タブレット端末、ウェアラブルコンピュータ等を挙げることができる。
【0069】
以上説明した実施形態及び変形例では、給電を受けるスロット(スロット202)を備えたアンテナ200や、スロット202の他にひとつのスロット(第2スロット202Aや第2スロット202B)を備えたアンテナ200A、200Bが例示された。しかしながら、アンテナ200、200A、200B、200Cは、第2スロット202Aや第2スロット202Bに加えて、スロット202、第2スロット202A、202Bの何れとも異なる周波数で励振する他のスロットを備えてもよい。すなわち、アンテナ200、200A、200B、200Cは、3つ以上のスロットを備えてもよい。アンテナ200、200A、200B、200Cは、3つ以上のスロットを備えることで、より広い範囲の周波数帯に対応するアンテナとして動作することができる。
【0070】
以上説明した実施形態及び変形例では、長方形のスロットで説明したが、スロット202は、長方形と同様に励振する形状であり、直線及び/又は曲線によって閉じられた領域を取り除いた(くり抜かれた)形状であればよい。例えば正方形、台形、楕円、円、矩形(鋸形状)、L字形等であってもよい。
【0071】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0072】
100・・スマートフォン
101・・CPU
102・・主記憶部
103・・補助記憶部
104・・通信部
110・・筐体
111・・スピーカー
112・・マイクロフォン
113・・ディスプレイ
200・・アンテナ
200A・・アンテナ
200B・・アンテナ
200C・・アンテナ
201・・アンテナ素子
202・・スロット
202A・・第2スロット
202B・・第2スロット
203・・給電位置
211・・給電点
221・・基板
222・・グランド
223・・端面
231・・接点
300・・アンテナ
500・・アンテナ
501・・板状部材
502・・スロット
511・・給電位置