(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067470
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】取引処理システム、決済装置及び決済プログラム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20240510BHJP
G06Q 20/20 20120101ALI20240510BHJP
【FI】
G07G1/12 321K
G06Q20/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177581
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】平野 和也
【テーマコード(参考)】
3E142
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
3E142EA04
3E142FA42
3E142JA01
3E142KA20
5L020AA42
5L055AA42
(57)【要約】
【課題】店員と客とが操作を分担する分担方式の取引処理システムにおける処理効率の低下を防ぐ。
【解決手段】入力処理装置は、入力されたデータを基に取引に係る決済情報を作成し、その決済情報を、複数台の決済装置のうち所定の決済装置に送信する。決済情報を受信した決済装置は、当該決済装置が決済処理を実行し得る状態のとき、受信手段で受信した決済情報に基づく決済処理を実行する。当該決済装置が決済処理を実行し得ない状態のとき、決済装置は、複数台の決済装置のネットワークへの接続状態を示す情報を検索し、ネットワークに接続された状態にある他の決済装置のうちの1台を選択する。決済装置は、選択した他の決済装置に決済情報を転送する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力処理装置と複数台の決済装置とをネットワークで接続してなり、
前記入力処理装置は、
入力されたデータを基に取引に係る決済情報を作成する作成手段と、
前記複数台の決済装置のうち所定の決済装置に対し、前記ネットワークを介して前記決済情報を送信する送信手段と、
を具備し、
前記決済装置は、
前記ネットワークを介して前記決済情報を受信する受信手段と、
当該決済装置が決済処理を実行し得る状態のとき、前記受信手段で受信した前記決済情報に基づく決済処理を実行する実行手段と、
当該決済装置が決済処理を実行し得ない状態のとき、前記複数台の決済装置の前記ネットワークへの接続状態を示す情報を検索し、ネットワークに接続された状態にある他の決済装置のうちの1台を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択した他の決済装置に前記決済情報を転送する転送手段と、
を具備する取引処理システム。
【請求項2】
前記決済装置は、
前記転送手段による前記決済情報の転送に失敗した場合、その転送に失敗した他の決済装置に対する前記接続状態を示す情報を、ネットワークに接続された状態を示す情報から切断された状態を示す情報に変更する変更手段、
をさらに具備する請求項1記載の取引処理システム。
【請求項3】
前記決済装置は、
前記転送手段による前記決済情報の転送に失敗した場合、前記入力処理装置に対して通知する通知手段、
をさらに具備する請求項2記載の取引処理システム。
【請求項4】
前記複数台の決済装置は、前記決済情報の転送順位が設定されており、
前記選択手段は、接続状態にある他の決済装置のうち前記転送順位が当該決済装置よりも下位で最も高い他の決済装置を選択する、請求項1乃至3のうちいずれか一記載の取引処理システム。
【請求項5】
入力処理装置と複数台の決済装置とをネットワークで接続してなり、前記入力処理装置は、入力されたデータを基に取引に係る決済情報を作成する作成手段と、前記複数台の決済装置のうち所定の決済装置に対し、前記ネットワークを介して前記決済情報を送信する送信手段とを備えた取引処理システムの決済装置であって、
前記ネットワークを介して前記決済情報を受信する受信手段と、
当該決済装置が決済処理を実行し得る状態のとき、前記受信手段で受信した前記決済情報に基づく決済処理を実行する実行手段と、
当該決済装置が決済処理を実行し得ない状態のとき、前記複数台の決済装置の前記ネットワークへの接続状態を示す情報を検索し、ネットワークに接続された状態にある他の決済装置のうちの1台を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択した他の決済装置に前記決済情報を転送する転送手段と、
を具備する決済装置。
【請求項6】
入力処理装置と複数台の決済装置とをネットワークで接続してなり、前記入力処理装置は、入力されたデータを基に取引に係る決済情報を作成する作成手段と、前記複数台の決済装置のうち所定の決済装置に対し、前記ネットワークを介して前記決済情報を送信する送信手段とを備えた取引処理システムの決済装置におけるコンピュータを、
前記ネットワークを介して前記決済情報を受信する受信手段、
当該決済装置が決済処理を実行し得る状態のとき、前記受信手段で受信した前記決済情報に基づく決済処理を実行する実行手段、
当該決済装置が決済処理を実行し得ない状態のとき、前記複数台の決済装置の前記ネットワークへの接続状態を示す情報を検索し、ネットワークに接続された状態にある他の決済装置のうちの1台を選択する選択手段、及び、
前記選択手段により選択した他の決済装置に前記決済情報を転送する転送手段、
として機能させるための決済プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、取引処理システム及びこのシステムの決済装置並びにコンピュータを決済装置として機能させるための決済プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、量販店向けの取引処理システムとして、店員と客とが操作を分担する分担方式の取引処理システムが知られている。この種の取引処理システムは、取引毎にその取引で売買される商品のデータ入力を受け付ける入力処理装置と、この入力処理装置で入力された商品のデータを基に取引の決済処理を実行する決済装置とを分離する。そして、店員が入力処理装置を操作し、客が決済装置を操作するように配置する。
【0003】
分担方式の取引処理システムは、商品のデータ入力操作を店員が行うため、客が全ての操作を自身で行うセルフ方式の取引処理システムよりもデータ入力に要する時間が短縮される。その一方で、客が決済装置を操作するため、操作に不慣れな客が決済に手間取ることが想定される。そこで一般に、分担方式の取引処理システムは、1台の入力処理装置に対して決済装置を例えば3台以上備える。3台以上の決済装置には、予め決済情報の転送順位が設定されている。
【0004】
入力処理装置は、取引の決済に必要な情報を転送順位が1位の決済装置(第1決済装置)に送信する。第1決済装置は、既に前の客の決済を終えており決済処理が可能な場合には、その情報を基に取引の決済を処理する。まだ前の客の決済が続いており決済処理が不可能な場合には、第1決済装置は、転送順位が2位の決済装置(第2決済装置)に取引の決済に必要な情報を転送(送信)する。第2決済装置は、第1決済装置から受け取った情報を基に取引の決済を処理する。第2決済装置も決済処理が不可能な場合には、転送順位が3位の決済装置(第3決済装置)に取引の決済に必要な情報を転送する。第3決済装置は、第2決済装置から受け取った情報を基に取引の決済を処理する。このように、従来における分担方式の取引処理システムは、3台以上の決済装置を効率よく稼働させて、短時間で多くの取引を決済できるようにしている。
【0005】
しかしながら、例えば第2決済装置の電源がオフであり取引の決済に必要な情報を受信できなかった場合、第2決済装置から第3決済装置に取引の決済に必要な情報が転送されなくなる。このため、第2決済装置だけでなく、第2決済装置よりも転送順位が下位の決済装置も取引の決済を処理できなくなり、処理効率が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、店員と客とが操作を分担する分担方式の取引処理システムにおける処理効率の低下を防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態において、取引処理システムは、入力処理装置と複数台の決済装置とをネットワークで接続してなる。入力処理装置は、作成手段と、送信手段とを備える。作成手段は、入力されたデータを基に取引に係る決済情報を作成する。送信手段は、複数台の決済装置のうち所定の決済装置に対し、ネットワークを介して決済情報を送信する。決済装置は、受信手段と、実行手段と、選択手段と、転送手段とを備える。受信手段は、ネットワークを介して決済情報を受信する。実行手段は、当該決済装置が決済処理を実行し得る状態のとき、受信手段で受信した決済情報に基づく決済処理を実行する。選択手段は、当該決済装置が決済処理を実行し得ない状態のとき、複数台の決済装置のネットワークへの接続状態を示す情報を検索し、ネットワークに接続された状態にある他の決済装置のうちの1台を選択する。転送手段は、選択手段により選択した他の決済装置に決済情報を転送する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る取引処理システムの概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、取引処理システムを構成する入力処理装置の要部回路構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、入力処理装置が有するデータテーブルのデータ構造を示す模式図である。
【
図4】
図4は、取引処理システムを構成する決済装置の要部回路構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、決済装置が有するデータテーブルのデータ構造を示す模式図である。
【
図6】
図6は、入力処理装置のプロセッサが登録プログラムにしたがって実行する第1の情報処理の要部手順を示す流れ図である。
【
図7】
図7は、決済装置のプロセッサが決済プログラムに従って実行する第3の情報処理の手順を示す流れ図である。
【
図8】
図8は、決済装置のプロセッサが決済プログラムに従って実行する第4の情報処理の手順を示す流れ図である。
【
図9】
図9は、入力処理装置のプロセッサが登録プログラムに従って実行する第2の情報処理の手順を示す流れ図である。
【
図10】
図10は、親機に設定された第1決済装置が決済処理を可能な状態であるときの取引処理システムの動作説明図である。
【
図11】
図11は、第1決済装置において決済処理が不可能であるときの取引処理システムの動作説明図である。
【
図12】
図12は、第1決済装置から転送された決済情報を第2決済装置が受信できなかったときの取引処理システムの動作説明図である。
【
図13】
図13は、入力処理装置から決済情報が再送されたときの取引処理システムの動作説明図である。
【
図14】
図14は、第2の実施形態において、決済装置のプロセッサが決済プログラムに従って実行する第3の情報処理の手順を示す流れ図である。
【
図15】
図15は、第2の実施形態において、入力処理装置のプロセッサが登録プログラムにしたがって実行する第1の情報処理の要部手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、店員と客とが操作を分担する分担方式の取引処理システムにおいて、処理効率の低下を防ぐ実施形態について、図面を用いて説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
[取引処理システムの構成説明]
はじめに、第1の実施形態に係る取引処理システム100の構成について、
図1乃至
図5を用いて説明する。なお、以下に説明する構成は一例である。同様な効果を奏し得るのであれば、構成の一部を適宜変更することができる。
【0012】
図1は、取引処理システム100の概略構成を示す模式図である。取引処理システム100は、入力処理装置11と、決済装置12と、サーバ13と、これらを接続するネットワーク14と、を含む。ネットワーク14の種類は特に限定されないが、一般的には有線又は無線のLAN(local area network)が適用される。
【0013】
入力処理装置11は、取引毎にその取引で売買される商品のデータ入力を受け付けるように構成された装置である。決済装置12は、入力処理装置11で入力された商品のデータを基に取引の決済処理を行うように構成された装置である。入力処理装置11は、チェッカと呼ばれる役割を担った店員21が、その操作者となる。決済装置12は、店舗で商品を購入する消費者、いわゆる客22が、その操作者となる。入力処理装置11は、
図1においては、作業テーブル23に取り付けられている。作業テーブル23は、矩形の天板を有する。複数の作業テーブル23が、天板の長手方向がほぼ並行するように配置されることにより、客22のための通路、いわゆるチェックアウトレーンが形成される。
【0014】
入力処理装置11及び決済装置12は、店舗のチェックアウトレーン毎に配置される。1つのチェックアウトレーンに対し、入力処理装置11は1台配置され、決済装置12は複数台配置される。そして、同じチェックアウトレーンに配置された入力処理装置11と決済装置12との間で、ネットワーク14を通じて種々のデータ信号が授受される。データ信号は、サーバ13を介して授受されてもよいし、サーバ13を介さずに授受されてもよい。
【0015】
図1では、1つのチェックアウトレーンに1台の入力処理装置11と3台の決済装置12(12-1,12-2,12-3)とを配置した例を示している。図示しないが、他のチェックアウトレーンにおいても1台の入力処理装置11と2台以上の決済装置12とが配置されている。3台の決済装置12(12-1,12-2,12-3)は、いずれも同一のチェックアウトレーンに配置された入力処理装置11で処理された取引の決済処理を実行する。3台の決済装置12(12-1,12-2,12-3)のうち少なくとも1台は、隣接するチェックアウトレーンに配置された入力処理装置11で処理された取引の決済処理を実行してもよい。
【0016】
3台の決済装置12(12-1,12-2,12-3)のうち1台は親機に設定され、他の2台は子機に設定される。本実施形態では、決済装置12-1が親機に設定され、決済装置12-2及び決済装置12-3が子機に設定されているものと仮定する。なお、子機の決済装置12-2及び決済装置12-3は、親機の決済装置12-1の状態を監視し、決済装置12-1がダウンすると、自らが親機となることを宣言する機能を有している。この宣言を受けて、入力処理装置11は、子機の決済装置12-2及び決済装置12-3のうちいずれか一方を親機に設定する。
【0017】
サーバ13は、商品マスタファイル15を備える。商品マスタファイル15は、サーバ13が内蔵する記憶装置に保存されていてもよいし、サーバ13の外部に接続された記憶装置に保存されていてもよい。
【0018】
商品マスタファイル15は、店舗で販売される商品毎に作成された商品レコードを格納するデータファイルである。商品レコードは、商品コード、商品名、単価、属性等の商品データを記述したデータレコードである。
【0019】
商品コードは、各商品を識別するために商品毎に設定された固有のコードである。通常、各商品には、商品コードを表すバーコード、若しくは二次元コードが付されている。あるいは、商品コードを記憶したRFID(Radio Frequency Identification)タグが付されていてもよい。入力処理装置11は、商品に付されたバーコード、2次元コード又はRFIDタグを読取装置で読み取ることで、取引で売買される商品の商品コードを入力することができる。
【0020】
商品名及び単価は、商品コードで識別される商品の名称及び1点当たりの価格である。属性は、例えば商品の税に関する情報である。税に関する情報としては、税率、税種(外税、内税、非課税)等がある。
【0021】
図2は、入力処理装置11の要部回路構成を示すブロック図である。入力処理装置11は、プロセッサ31、メインメモリ32、補助記憶デバイス33、時計34、通信ユニット35、キーボード36、スキャナ37、タッチパネル38、客用ディスプレイ39、プリンタ40及びシステム伝送路41等を備える。システム伝送路41は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。システム伝送路41は、プロセッサ31と他の各部とを直接又は信号入出力回路を介して接続し、相互間で授受されるデータ信号を伝送する。
【0022】
入力処理装置11は、プロセッサ31と、メインメモリ32、補助記憶デバイス33、時計34及び通信ユニット35とをシステム伝送路41で接続することにより、コンピュータを構成する。そして入力処理装置11は、そのコンピュータに、システム伝送路41を介してキーボード36、スキャナ37、タッチパネル38、客用ディスプレイ39、プリンタ40等のデバイスを接続する。
【0023】
プロセッサ31は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ31は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、入力処理装置11としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ31は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0024】
メインメモリ32は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ32は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ32は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ32は、プロセッサ31が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ32は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ31によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0025】
補助記憶デバイス33は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等が補助記憶デバイス33となり得る。補助記憶デバイス33は、プロセッサ31が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ31での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス33は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0026】
時計34は、日付と時刻を計時する。プロセッサ31は、時計34によって計時されている日付と時刻を現在日時として処理する。通信ユニット35は、ネットワーク14を介して接続されたサーバ13及び複数台の決済装置12との間でデータ通信を行うためのインターフェースである。キーボード36は、客が購入する商品、いわゆる買上商品に係るデータの入力等に必要な種々のキーを配置した入力デバイスである。スキャナ37は、バーコード、二次元コード等のコードシンボルを読み取って入力する入力デバイスである。タッチパネル38は、入力デバイスと表示デバイスとを兼ね備えた機器である。タッチパネル38は、入力処理装置11のオペレータである店員に対して情報の表示を行い、その店員による操作入力を受け付ける。客用ディスプレイ39は、入力処理装置11において買上商品のデータが登録されている客22に対して情報の表示を行う。プリンタ40は、レシート用紙に対して各種の文字列又は画像等を印刷することにより、レシートを発行する。
【0027】
このような入力処理装置11のハードウェアとしては、例えば既存のPOS端末を利用することが可能である。なお、入力処理装置11に接続されるデバイスは、キーボード36、スキャナ37、タッチパネル38、客用ディスプレイ39及びプリンタ40に限定されるものではない。入力処理装置11の用途において必要なデバイスを追加したり、一部のデバイスを省略したりしてもよい。
【0028】
かかる構成の入力処理装置11において、プロセッサ31は、作成手段311、送信手段312及び確認手段313としての機能を有する。作成手段311は、キーボード36、スキャナ37、タッチパネル38等の入力デバイスを介して入力されたデータを基に取引に係る決済情報を作成する機能である。
【0029】
送信手段312は、複数台の決済装置12(12-1,12-2,12-3)のうち親機に設定された決済装置12-1に対し、ネットワーク14を介して決済情報を送信する機能である。決済情報は、取引番号、取引日時、端末ID、商品販売データ、合計点数、合計金額等の項目を含む。取引番号は、客22との取引を個々に識別するために取引毎に発番される連続番号である。取引日時は、その取引が行われた日付及び時刻である。端末IDは、その取引を処理した入力処理装置11に設定された識別情報である。各入力処理装置11には予め固有の端末IDが設定されている。因みに、各決済装置12にも固有の端末IDが設定されている。商品販売データは、客22が買い上げる商品の商品コード、商品名、単価、販売点数、販売金額、属性等の項目からなる。決済情報には、その取引の客22が買い上げる全ての商品の商品販売データが含まれる。合計点数は、1取引における商品販売データの販売点数を合算した値である。合計金額は、1取引における商品販売データの販売金額を合算した金額である。
【0030】
このような決済情報は、取引番号と取引日時と端末IDとによって一意に特定される。すなわち、取引番号と取引日時と端末IDは、決済情報を特定可能な取引特定情報として機能する。なお、取引特定情報は、取引番号、取引日時及び端末IDに限定されない。決済情報を特定できるのであれば、その他の項目が付加されてもよいし、一部の項目が省略されてもよい。また、決済情報のデータ構造は、上記の項目に限定されるものではない。その他の項目が付加されてもよいし、一部の項目が省略されてもよい。
【0031】
確認手段313は、当該入力処理装置11と同一のチェックアウトレーンに配置された複数台の決済装置12(121,12-2,12-3)の稼働状態を確認する機能である。プロセッサ31は、データテーブル321を利用して、各決済装置12(121,12-2,12-3)の稼働状態を確認する。
【0032】
図3は、データテーブル321のデータ構造を示す模式図である。データテーブル321は、メインメモリ32の揮発性メモリ領域に設けられている。図示するように、データテーブル321は、複数台の決済装置12(121,12-2,12-3)の各決済装置IDとそれぞれ関連付けて、親機フラグFと接続回数Nとを記憶するようにしたデータ構造を有している。
【0033】
親機フラグFは、決済装置IDで識別される決済装置12が親機であるか否かを示す1ビットデータである。本実施形態では、親機であることを示す親機フラグFを“1”とし、親機以外の子機であることを示す親機フラグFを“0”とする。因みに、
図3においては、決済装置IDが「121」の第1決済装置12-1が親機であり、決済装置IDが「122」の第2決済装置12-2及び決済装置IDが「123」の第3決済装置12-3がいずれも子機である場合を示している。
【0034】
接続回数Nは、入力処理装置11が決済装置IDで識別される決済装置12と接続状態にあることを確認する毎にカウントアップされるカウンタである。本実施形態では、第1決済装置12-1の接続回数NをNaとし、第2決済装置12-2の接続回数NをNbとし、第3決済装置12-3の接続回数NをNcとする。
【0035】
作成手段311及び送信手段312としての機能は、プロセッサ31が登録プログラムに従って実行する第1の情報処理によって実現される。また、確認手段313としての機能は、プロセッサ31が同じく登録プログラムに従って実行する第2の情報処理によって実現される。第1の情報処理及び第2の情報処理については後述する。
【0036】
登録プログラムは、メインメモリ32又は補助記憶デバイス33に記憶されるアプリケーションプログラムの一種である。登録プログラムをメインメモリ32又は補助記憶デバイス33にインストールする方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記録媒体に登録プログラムを記録して、あるいはネットワーク14を介した通信により登録プログラムを配信して、メインメモリ32又は補助記憶デバイス33にインストールすることができる。記録媒体は、CD-ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0037】
なお、コンピュータに確認手段313としての機能を実現させるプログラムは、コンピュータに作成手段311及び送信手段312としての機能を実現させるプログラムと別であってもよい。
【0038】
図4は、決済装置12の要部回路構成を示すブロック図である。本実施形態においては、各決済装置12-1,12-2,12-3を同一構成とする。よって、
図4においては、各決済装置12-1,12-2,12-3を区別せずに決済装置12として説明する。
【0039】
決済装置12は、プロセッサ51、メインメモリ52、補助記憶デバイス53、時計54、通信ユニット55、釣銭機インターフェース56、スキャナ57、タッチパネル58、プリンタ59、リーダ・ライタ60、パトランプ61及びシステム伝送路62等を備える。システム伝送路62は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。システム伝送路62は、プロセッサ51と他の各部とを直接又は信号入出力回路を介して接続し、相互間で授受されるデータ信号を伝送する。
【0040】
決済装置12は、プロセッサ51と、メインメモリ52、補助記憶デバイス53、時計54及び通信ユニット55とをシステム伝送路62で接続することにより、コンピュータを構成する。そして決済装置12は、そのコンピュータに、システム伝送路62を介して釣銭機インターフェース56、スキャナ57、タッチパネル58、プリンタ59、リーダ・ライタ60、パトランプ61等のデバイスインターフェース又はデバイスを接続する。
【0041】
プロセッサ51は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ51は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、決済装置12としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ51は、例えばCPUである。
【0042】
メインメモリ52は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ52は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ52は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ52は、プロセッサ51が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ52は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ51によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROMである。揮発性のメモリ領域は、例えばRAMである。
【0043】
補助記憶デバイス53は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM、HDD、あるいはSSD等が補助記憶デバイス53となり得る。補助記憶デバイス53は、プロセッサ51が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ51での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス53は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0044】
時計54は、日付と時刻を計時する。プロセッサ51は、時計54によって計時されている日付と時刻を現在日時として処理する。通信ユニット55は、ネットワーク14を介して接続されたサーバ13又は入力処理装置11との間でデータ通信を行う。釣銭機インターフェース56は、図示しない自動釣銭機とのインターフェースを構成する。釣銭機インターフェース56は、自動釣銭機から当該自動釣銭機に投入された貨幣の金額データを入力する。釣銭機インターフェース56は、決済装置12から自動釣銭機へと釣銭データを出力する。釣銭データを入力した自動釣銭機は、その釣銭データ相当の貨幣を釣銭として自動的に払い出す。
【0045】
スキャナ57は、バーコード、二次元コード等のコードシンボルを読み取るための入力デバイスである。タッチパネル58は、入力デバイスと表示デバイスとを兼ね備えた機器である。タッチパネル58は、決済装置12のオペレータである客22に対して情報の表示を行い、その客22による操作入力を受け付ける。プリンタ59は、レシート用紙に対して各種の文字列又は画像等を印刷することにより、レシートを発行する。
【0046】
リーダ・ライタ60は、カード、スマートフォン等の媒体に記録されたデータを読み取る機能と、上記媒体へデータを書き込む機能とを有する。カードは、クレジットカード、デビットカード、電子マネーカード、プリペイドカード等の決済用カードの他に、メンバーズカードやポイントカード等と称される会員カードを含み得る。リーダ・ライタ60は、磁気式、接触式、あるいは非接触式のいずれのデバイスであってもよいし、また複数種のデバイスを含んでいてもよい。
【0047】
パトランプ61は、例えば赤色と青色の二色の発光体を有する。パトランプ61は、決済装置12に対応付けてその近傍に立設されたポールの頂部に設けられており、対応する決済装置12の状態に応じて、例えば赤色又は青色で点灯又は点滅する。
【0048】
このような決済装置12のハードウェアとしては、例えば既存のセルフ方式のPOS端末、いわゆるセルフレジを利用することが可能である。なお、決済装置12に接続されるデバイスは、スキャナ57、タッチパネル58、プリンタ59、リーダ・ライタ60及びパトランプ61に限定されるものではない。決済装置12の用途において必要なデバイスを追加したり、一部のデバイスを省略したりしてもよい。
【0049】
かかる構成の決済装置12において、プロセッサ51は、受信手段511、実行手段512、選択手段513、転送手段514、変更手段515、通知手段516及び復旧手段517としての機能を有する。
【0050】
受信手段511は、入力処理装置11からネットワーク14を介して送信される決済情報を通信ユニット55で受信する機能である。実行手段512は、当該プロセッサ51を搭載した決済装置12が決済処理を実行し得る状態のとき、受信手段511で受信した決済情報に基づく決済処理を実行する機能である。以下では、当該プロセッサ51を搭載した決済装置12を当該決済装置12と表し、その他の決済装置12を他の決済装置と表す。
【0051】
選択手段513は、当該決済装置12が決済処理を実行し得ない状態のとき、他の決済装置12のネットワーク14への接続状態を示す情報を検索し、ネットワーク14に接続された状態にある他の決済装置12のうちの1台を選択する機能である。プロセッサ51は、データテーブル521を利用して、ネットワーク14に接続された状態にある他の決済装置12を選択する。
【0052】
図5は、データテーブル521のデータ構造を示す模式図である。データテーブル521は、メインメモリ52の揮発性メモリ領域に設けられている。図示するように、データテーブル521は、複数台の決済装置12(12-1,12-2,12-3)の各決済装置IDとそれぞれ関連付けて、転送順位RとステータスSとを記憶するようにしたデータ構造を有している。
【0053】
転送順位Rは、複数台の決済装置12(12-1,12-2,12-3)の間で、決済情報を転送する際の優先順位である。本実施形態では、決済装置IDが「121」の第1決済装置12-1の転送順位Rを1位とし、決済装置IDが「122」の第2決済装置12-2の転送順位Rを2位とし、決済装置IDが「123」の第3決済装置12-3の転送順位Rを3位とする。なお、転送順位Rが1位の決済装置12-1が必ずしも親機であるとは限らない。前述したように、子機に設定された決済装置12-2~12-3は、親機の決済装置12-1の状態を監視し、決済装置12-1がダウンすると、自らが親機となることを宣言する機能を有している。したがって、決済装置12-2又は決済装置12-3が親機となる場合もあり得る。
【0054】
ステータスSは、複数台の決済装置12(12-1,12-2,12-3)のネットワーク14への接続状態を示す情報である。接続状態には、オンライン状態、オフライン状態、復旧状態の3種類がある。オンライン状態は、決済装置12がネットワーク14を通じて送信されるデータを受信可能な状態である。オフライン状態は、決済装置12がネットワーク14を通じて送信されるデータを受信不可能な状態である。例えば電源がオフになっている決済装置12は、オフライン状態となる。例えば通信系に異常が生じた決済装置12も、オフライン状態となる。復旧状態は、決済装置12がオフライン状態からオンライン状態に復旧した状態である。本実施形態では、オンライン状態を表すステータスSを“0”とし、オフライン状態を表すステータスSを“2”とし、復旧状態を表すステータスSを“1”とする。そして、第1決済装置12-1のステータスSをSaとし、第2決済装置12-2のステータスSをSbとし、第3決済装置12-3のステータスSをScとする。
【0055】
図4の説明に戻る。
転送手段514は、選択手段513により選択した他の決済装置12に決済情報を転送(送信)する機能である。変更手段515は、転送手段514による決済情報の転送に失敗した場合、転送に失敗した他の決済装置12に対するステータスS、つまりは接続状態を示す情報を、ネットワーク14に接続された状態を示す情報の値“0”から、ネットワーク14から切断された状態を示す情報の値“2”に変更する機能である。通知手段516は、転送手段514による決済情報の転送に失敗した場合、入力処理装置11に対して転送失敗を通知する機能である。復旧手段517は、ネットワーク14から切断された他の決済装置12がネットワーク14に接続された場合に、当該他の決済装置12に対するステータスS、つまりは接続状態を示す情報を、ネットワーク14から切断された状態を示す情報値“2”から、復旧状態にあることを示す情報の値“1”に変更する機能である。
【0056】
受信手段511、実行手段512、選択手段513、転送手段514、変更手段515及び通知手段516としての機能は、プロセッサ51が決済プログラムに従って実行する第3の情報処理によって実現される。復旧手段517としての機能は、プロセッサ51が同じく決済プログラムに従って実行する第4の情報処理によって実現される。第3の情報処理及び第4の情報処理については後述する。
【0057】
決済プログラムは、メインメモリ52又は補助記憶デバイス53に記憶されるアプリケーションプログラムの一種である。決済プログラムをメインメモリ52又は補助記憶デバイス53にインストールする方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記録媒体に決済プログラムを記録して、あるいはネットワーク14を介した通信により決済プログラムを配信して、メインメモリ52又は補助記憶デバイス53にインストールすることができる。記録媒体は、CD-ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0058】
なお、コンピュータに復旧手段517としての機能を実現させるプログラムは、コンピュータに受信手段511、実行手段512、選択手段513、転送手段514、変更手段515及び通知手段516としての機能を実現させるプログラムと別であってもよい。
【0059】
[情報処理の説明]
次に、
図6乃至
図9の流れ図を用いて、取引処理システム100を構成する入力処理装置11及び決済装置12の主要な情報処理の内容と手順を説明する。なお、以下に説明する情報処理の内容と手順は一例である。同様な作用効果を奏し得るのであれば、その内容及び手順は適宜変更することができる。
【0060】
図6は、入力処理装置11のプロセッサ31が登録プログラムにしたがって実行する第1の情報処理の要部手順を示す流れ図である。客22は、売場に陳列されている商品の中から購入する商品を買物籠等に入れ、チェックアウトレーンに向かう。客22がチェックアウトレーンに来ると、チェッカとしての役割を担う店員21は、入力処理装置11に対して登録開始の宣言操作を行う。この操作を受けて、プロセッサ31は、第1の情報処理を開始する。
【0061】
先ずプロセッサ31は、ACT1としてタッチパネル38に登録画面を表示させる。登録画面は、例えば明細領域と合計領域とを配置し、さらに小計ボタン等を配置した画面である。明細領域は、一連の番号順に、商品名、個数、単価及び金額をリスト形式で表示するための領域である。合計領域は、明細領域に表示された個数の合計(点)と金額の合計(円)とをそれぞれ表示するための領域である。小計ボタンは、客22が購入する買上商品の小計出力を指示するために店員21がタッチ操作する操作子である。
【0062】
登録画面の表示を制御したプロセッサ31は、ACT2として商品に係るデータが入力されるのを待ち受ける。多くの商品には、その商品の識別情報である商品コードを表すバーコードが付されている。そこで店員21は、スキャナ37を操作して客22が購入する買上商品に付されたバーコードを読み取る。スキャナ37でバーコードが読み取られることによって、買上商品の商品コードが入力処理装置11に入力される。一方、生鮮食品などの一部の商品にはバーコードが付されていないことがある。買上商品にバーコードが付されていない場合、店員21は、タッチパネル38に表示される商品ボタン群の中から、買上商品に対応した商品ボタンをタッチする。商品ボタンがタッチされると、その商品ボタンに対応した商品の商品コードが入力処理装置11に入力される。
【0063】
プロセッサ31は、商品コードが入力されると、ACT2からACT3へと進む。プロセッサ31は、ACT3として商品販売データ処理を実行する。すなわちプロセッサ31は、スキャナ37又はタッチパネル38を介して入力された商品コードで識別される商品の商品レコードから商品名、単価、属性等の商品データを取得する。そしてプロセッサ31は、商品コード、商品名、単価、販売点数、販売金額、属性等の項目を含む商品販売データを、トランザクションメモリに書き込む。トランザクションメモリは、メインメモリ32における揮発性メモリ領域の一部である。
【0064】
商品販売データ処理を終えたプロセッサ31は、ACT4として小計ボタンが入力されたか否かを確認する。店員は、客22が購入する買上商品の商品コードを入力するための操作を順次行う。そして、全ての買上商品の商品コードを入力し終えると、小計ボタンをタッチ操作する。
【0065】
プロセッサ31は、小計ボタンが入力されず、次の買上商品の商品コードが入力された場合、ACT4からACT2へと戻り、さらにACT3へと進む。すなわちプロセッサ31は、買上商品の商品コードに基づいて商品販売データ処理を実行する。その結果、買上商品の商品販売データがトランザクションメモリに順次記憶される。
【0066】
小計ボタンが入力されると、プロセッサ31は、ACT4からACT5へと進む。プロセッサ31は、ACT5として小計画面を表示させる。小計画面は、合計領域を配置し、さらに会計ボタン等を配置した画面である。合計領域は、登録画面の合計領域と同じである。会計ボタンは、客22が会計に移ることを指示するために店員21がタッチ操作する操作子である。小計画面を確認した店員21は、会計ボタンをタッチ操作する。
【0067】
小計画面の表示を制御したプロセッサ31は、ACT6として会計ボタンが入力されるのを待ち受ける。会計ボタンが入力されると、プロセッサ31は、ACT6からACT7へと進む。プロセッサ31は、ACT7として決済情報を作成する。すなわちプロセッサ31は、トランザクションメモリに記憶された各買上商品の商品販売データ及びその合計点数並びに合計金額のデータと、取引番号、取引日時、入力処理装置11の端末ID等の取引特定データとにより、取引の決済に必要な決済情報を作成する。
【0068】
決済情報を作成し終えると、プロセッサ31は、ACT8へと進む。プロセッサ31は、ACT8として親機に設定された決済装置12を選択する。すなわちプロセッサ31は、データテーブル321を参照して親機フラグFが“1”に設定されている決済装置IDで識別される決済装置12を選択する。以下では、データテーブル321が
図3に示す状態、つまりは決済装置IDが「121」の第1決済装置12-1が親機に設定されているものとして説明を続ける。
【0069】
親機に設定された第1決済装置12-1を選択したならば、プロセッサ31は、ACT9へと進む。プロセッサ31は、ACT9として第1決済装置12-1を送信先として決済情報を送信するように通信ユニット35を制御する。この制御により、第1決済装置12-1を送信先として決済情報がネットワーク14に送信される。
【0070】
決済情報を送信し終えたプロセッサ31は、ACT10として決済不可の応答コマンドを受信したか否かを確認する。決済不可の応答コマンドを受信していない場合、プロセッサ31は、ACT10からACT11へと進む。プロセッサ31は、ACT11として決済可能の応答コマンドを受信したか否かを確認する。決済可能の応答コマンドを受信していない場合、プロセッサ31は、ACT11からACT10へと戻る。このように、決済情報を送信し終えたプロセッサ31は、ACT10及びACT11として決済不可又は決済可能の応答コマンドを待ち受ける。決済不可の応答コマンドは、ネットワーク14に接続された決済装置12において決済処理が不可能な場合に返信される。決済可能の応答コマンドは、決済装置12において決済処理が可能な場合に返信される。
【0071】
ACT10及びACT11の待ち受け状態において、決済不可の応答コマンドを受信した場合には、プロセッサ31は、ACT10からACT12へと進む。プロセッサ31は、ACT12として決済が不可であることを報知する。例えばプロセッサ31は、タッチパネル38に決済が不可であることを通知するための画面を表示して店員に報知する。この画面には再送を指示する操作子がある。店員は、再送を指示する操作子にタッチする。
【0072】
決済が不可であることを報知したプロセッサ31は、ACT13へと進む。プロセッサ31は、ACT13として再送が指示されるのを待ち受ける。プロセッサ31は、操作子のタッチ操作により再送が指示されたことを検知すると、ACT13からACT9へと戻る。プロセッサ31は、再度、親機に設定された第1決済装置12-1に対して決済情報を送信するための制御を行う。そしてプロセッサ31は、決済不可又は決済可能の応答コマンドを待ち受ける。
【0073】
ACT10及びACT11の待ち受け状態において、決済可能の応答コマンドを受信した場合には、プロセッサ31は、ACT11からACT14へと進む。プロセッサ31は、ACT14として決済先となる決済装置12を通知する。例えばプロセッサ31は、決済可能の応答コマンド送信元の決済装置12が第1決済装置12-1である場合、決済先が第1決済装置12-1であることを通知する情報をタッチパネル38に表示させて店員に通知する。この通知を受けた店員は、客22に対し、第1決済装置12-1で決済を行うように指示する。なお、決済先の通知は、客用ディスプレイ39であってもよい。あるいは、タッチパネル38と客用ディスプレイ39の双方であってもよい。ACT14の処理を終えると、プロセッサ31は、第1の情報処理を終了する。
【0074】
ここに、プロセッサ31は、ACT7の処理により作成手段311としての機能を実現する。プロセッサ31は、ACT8及びACT9の処理により送信手段312としての機能を実現する。
【0075】
図7は、決済装置12のプロセッサ51が決済プログラムに従って実行する第3の情報処理の手順を示す流れ図である。プロセッサ51は、ACT21として決済情報を待ち受けている。入力処理装置11から送信され、あるいは転送順位が上位の他の決済装置12から送信された決済情報を通信ユニット55で受信すると、プロセッサ51は、ACT21からACT22へと進む。プロセッサ51は、ACT22として当該決済装置12が決済処理を実行可能であるか否かを確認する。例えば前の客の決済処理が終了していない場合、当該決済装置12は、次の客の決済処理を実行することはできない。また、プリンタ59の用紙詰まり、用紙切れ等のプリンタエラー、あるいは釣銭機の貨幣詰まり、釣銭切れなどの釣銭機エラーが発生している場合、当該決済装置12は、決済処理を実行することができない。
【0076】
当該決済装置12が決済処理を実行可能である場合には、プロセッサ51は、ACT22からACT23へと進む。プロセッサ51は、ACT23として決済可能通知コマンドを入力処理装置11に対して送信するように通信ユニット55を制御する。この制御により、当該決済装置12から入力処理装置11に対し、ネットワーク14を通じて決済可能通知コマンドが送信される。
【0077】
プロセッサ51は、ACT24として決済処理を実行する。具体的には、プロセッサ51は、タッチパネル58の画面を支払方法選択画面とする。支払方法選択画面は、例えば、現金ボタン、クレジットボタン、電子マネーボタン等の支払い方法を選択するための操作子を配置した画面である。店員21によって指示された決済装置12の設置場所に移動した客22は、希望する支払方法に対応したボタンにタッチする。すなわち、現金支払いを希望する客22は現金ボタンにタッチし、クレジットカード支払いを希望する客22はクレジットボタンにタッチし、電子マネー支払いを希望する客22は電子マネーボタンにタッチする。
【0078】
支払方法選択画面の表示を制御したプロセッサ51は、いずれかの支払方法が選択されるのを待ち受ける。そして、支払方法が選択されたならば、プロセッサ51は、その支払方法に対応した決済処理を実行する。例えば支払方法として現金が選択された場合、プロセッサ51は、自動釣銭機に投入された金額から合計金額を差し引き、釣銭を算出して自動釣銭機から払い出す処理を実行する。例えば支払方法としてクレジットカードが選択された場合、プロセッサ51は、リーダ・ライタ60で読み取ったクレジットカードの認証を行い、承認されたことを条件に合計金額をクレジット決済金額として確定する。例えば支払方法として電子マネーが選択された場合、プロセッサ51は、リーダ・ライタ60で読み取った電子マネー媒体の残高から合計金額を引き去る。
【0079】
こうして、支払方法別の決済処理が終了すると、プロセッサ51は、ACT25としてプリンタ59を制御し、取引レシートを発行する。取引レシートには、決済情報、つまりは取引番号、取引日時、端末ID、商品販売データ、合計点数、合計金額等が印刷される。ACT25の処理を終えると、プロセッサ51は、第3の情報処理を終了する。
【0080】
一方、当該決済装置12が決済処理を実行不可能である場合には、プロセッサ51は、ACT22からACT26へと進む。プロセッサ51は、ACT26としてデータテーブル521を参照して当該決済装置12の転送順位Rを取得する。
【0081】
プロセッサ51は、ACT27としてその転送順位Rに“1”を加算する。そしてプロセッサ51は、データテーブル521を参照して転送順位が“R+1”位に設定された他の決済装置12を選択する。プロセッサ51は、ACT28として転送順位が“R+1”位に設定された他の決済装置12を選択可能か確認する。以下では、転送順位が“R+1”位に設定された他の決済装置12を決済装置12(R+1)と表し、転送順位が“R+2”位に設定された他の決済装置12を決済装置12(R+2)と表す。決済装置12(R+1)を選択不可能な場合、プロセッサ51は、ACT29乃至ACT34の処理をスキップして、ACT35へと進む。プロセッサ51は、ACT35として決済不可通知コマンドを入力処理装置11に対して送信するように通信ユニット55を制御する。この制御により、当該決済装置12から入力処理装置11に対し、ネットワーク14を通じて決済可能通知コマンドが送信される。
【0082】
決済装置12(R+1)を選択可能である場合には、プロセッサ51は、ACT28からACT29へと進む。プロセッサ51は、ACT29として決済装置12(R+1)のステータスSを調べる。ステータスSが“0”すなわち決済装置12(R+1)がオンライン状態であるか、ステータスSが“1”すなわち決済装置12(R+1)が復旧状態である場合には、プロセッサ51は、ACT29からACT30へと進む。プロセッサ51は、ACT30として決済情報を決済装置12(R+1)に転送するように通信ユニット55を制御する。この制御により、当該決済装置12から転送順位が1つ下の決済装置12(R+1)に対し、ネットワーク14を通じて決済情報が送信される。
【0083】
一方、決済装置12(R+1)のステータスSが“2”の場合、プロセッサ51は、ACT29からACT27へと戻る。プロセッサ51は、ACT27以降の処理を前述したのと同様に実行する。したがって、データテーブル521を参照して転送順位が“R+2”位に設定された決済装置12(R+2)を選択し得なかった場合には、プロセッサ51は、決済不可通知コマンドを入力処理装置11に対して送信するように通信ユニット55を制御する。これに対し、転送順位が“R+2”位に設定された決済装置12(R+2)を選択し得、その決済装置12(R+2)に対するステータスSが“0”または“1”である場合には、プロセッサ51は、ACT30として決済情報を転送順位が2つ下の決済装置12(R+2)に転送するように通信ユニット55を制御する。すなわち決済装置12は、転送順位が1つ下の決済装置12(R+1)をスキップして、2つ下の決済装置12(R+2)に決済情報を転送する。
【0084】
このようにプロセッサ51は、当該決済装置12が決済処理を実行不可能である場合、当該決済装置12よりも転送順位が下位の決済装置12(R+1)または決済装置12(R+2)に決済情報を転送する。ここで、決済情報を転送した決済装置12(R+1)または決済装置12(R+2)がオンライン状態又は復旧状態の場合には、通常、決済情報の送信がエラーとはならない。一方、オフライン状態の場合には、決済情報の送信がエラーとなる。
【0085】
決済情報を送信したプロセッサ51は、ACT31として送信エラーとなったか否かを確認する。送信エラーとならなかった場合、プロセッサ51は、ACT31からACT32へと進む。プロセッサ51は、ACT32として決済情報を送信した決済装置12(R+1)または決済装置12(R+2)に対するステータスSを調べる。ステータスSが“0”である場合、プロセッサ51は、第3の情報処理を終了する。
【0086】
これに対し、ステータスSが“1”であった場合には、プロセッサ51は、ACT32からACT33へと進む。プロセッサ51は、ACT33としてステータスSを“1”から“0”へと変更する。以上で、プロセッサ51は、第3の情報処理を終了する。
【0087】
一方、決済情報の送信がエラーとなった場合には、プロセッサ51はACT31からACT34へと進む。プロセッサ51は、ACT34として決済情報の送信先である決済装置12(R+1)または決済装置12(R+2)に対するステータスSを“2”とする。次いでプロセッサ51は、ACT35へと進み、決済不可通知コマンドを入力処理装置11に対して送信するように通信ユニット55を制御する。この制御により、当該決済装置12から入力処理装置11に対し、ネットワーク14を通じて決済不可通知コマンドが送信される。決済不可通知コマンドの送信を制御したプロセッサ51は、第3の情報処理を終了する。
【0088】
ここに、プロセッサ51は、ACT21の処理により受信手段511としての機能を実現する。プロセッサ51は、ACT24の処理により実行手段522としての機能を実現する。プロセッサ51は、ACT26乃至ACT29の処理により選択手段523としての機能を実現する。プロセッサ51は、ACT30の処理により転送手段524としての機能を実現する。プロセッサ51は、ACT34の処理により変更手段525としての機能を実現する。プロセッサ51は、ACT35の処理により通知手段526としての機能を実現する。
【0089】
図8は、決済装置12のプロセッサ51が決済プログラムに従って実行する第4の情報処理の手順を示す流れ図である。また
図9は、入力処理装置11のプロセッサ31が登録プログラムに従って実行する第2の情報処理の手順を示す流れ図である。第4の情報処理と第2の情報処理とは連動しているため、ここでは2つの処理を並行して説明する。
【0090】
決済プログラムが起動している決済装置12のプロセッサ51は、予め設定された周期で第4の情報処理を実行する。先ず、プロセッサ51は、
図8のACT41として確認開始コマンドを入力処理装置11に対して送信するように通信ユニット55を制御する。この制御により、当該決済装置12から入力処理装置11に対し、ネットワーク14を通じて確認開始コマンドが送信される。
【0091】
一方、登録プログラムが起動している入力処理装置11のプロセッサ31は、
図9のACT61として確認開始コマンドを待ち受けている。いずれかの決済装置12から確認開始コマンドを受信すると、プロセッサ31は、ACT61からACT62へと進む。プロセッサ31は、ACT62として確認開始コマンドを送信した決済装置12の決済装置IDを取得する。プロセッサ31は、ACT63としてデータテーブル321において当該決済装置IDと関連付けて記憶している接続回数Nを“1”だけカウントアップする。そしてプロセッサ31は、ACT64として確認開始コマンド送信元の決済装置12に対して確認応答コマンドを送信するように制御する。この制御により確認開始コマンド送信元の決済装置12を送信先として確認応答コマンドがネットワーク14に送信される。確認応答コマンドには、データテーブル321のデータ、つまりは決済装置ID別の接続回数Na,Nb,Ncが含まれる。確認応答コマンドの送信を制御したプロセッサ31は、第2の情報処理を終了する。
【0092】
図8の説明に戻る。
確認開始コマンドの送信を制御した決済装置12のプロセッサ51は、ACT42として確認応答コマンドを待ち受けている。入力処理装置11からの確認応答コマンドを受信すると、プロセッサ51は、ACT42からACT43へと進む。プロセッサ51は、ACT43として確認応答コマンドから入力処理装置11が有するデータテーブル321のデータを取得する。
【0093】
プロセッサ51は、ACT44として当該決済装置12が有するデータテーブル521を検索する。そしてプロセッサ51は、ACT45としてステータスSがオフライン状態を示す“2”の決済装置IDが存在するか確認する。ステータスSがオフライン状態を示す“2”の決済装置IDが存在しない場合、プロセッサ51は、ACT45乃至ACT49の処理をスキップして、ACT50へと進む。プロセッサ51は、ACT50として確認応答コマンドから取得したデータテーブル321のデータを記憶する。データテーブル321の記憶先はメインメモリ52であってもよいし、補助記憶デバイス53であってもよい。データテーブル321を記憶したプロセッサ51は、今回の第4の情報処理を終了する。
【0094】
一方、ステータスSがオフライン状態を示す“2”の決済装置IDが存在する場合には、プロセッサ51は、ACT45からACT46へと進む。プロセッサ51は、ACT46として前回の第4の情報処理で記憶したデータテーブル321を検索して、当該決済装置IDと関連付けられた接続回数Nx(Nx=Na,Nb,又はNc)を検出する。またプロセッサ51は、ACT47として確認応答コマンドから取得したデータテーブル321を検索して、当該決済装置IDと関連付けられた接続回数Ny(Ny=Na,Nb,又はNc)を検出する。そしてプロセッサ51は、ACT48として接続回数Nyが接続回数Nxよりも増加したか否かを判定する。
【0095】
接続回数Nyが接続回数Nxよりも増加していない場合、プロセッサ51は、ACT49の処理をスキップしてACT50へと進む。プロセッサ51は、ACT50として確認応答コマンドから取得したデータテーブル321のデータを記憶して、今回の第4の情報処理を終了する。
【0096】
これに対し、接続回数Nyが接続回数Nxよりも増加している場合には、プロセッサ51は、ACT48からACT49へと進む。プロセッサ51は、接続回数が増加した決済装置IDと関連付けられてデータテーブル521に記憶されているステータスSを“2”から“1”へと変更する。その後、プロセッサ51は、ACT50へと進む。プロセッサ51は、ACT50として確認応答コマンドから取得したデータテーブル321のデータを記憶して、今回の第4の情報処理を終了する。
【0097】
図9を用いて説明したように、接続回数N(Na,Nb,Nc)は、対応する決済装置12から確認開始コマンドを受信する毎に増加する。つまり、オンライン状態である決済装置12の接続回数Nは増加するが、オフライン状態である決済装置12の接続回数Nは増加しない。決済装置12のプロセッサ51は、第4の情報処理によりステータスSが“2”、すなわちオフライン状態にある他の決済装置12の接続回数Nを周期的に監視する。そして、接続回数Nが増加したならば、オフライン状態にあった他の決済装置12が復旧したので、ステータスSを“1”に変更する。ここにプロセッサ51は、ACT41乃至ACT50の処理により復旧手段517としての機能を実現する。また、入力処理装置11のプロセッサ31は、
図9のACT61乃至ACT64の処理により確認手段313としての機能を実現する。
【0098】
[取引処理システムの動作]
図10は、親機に設定された第1決済装置12-1が決済処理を可能な状態であるときの取引処理システム100の動作説明図である。なお、各決済装置12(12-1,12-2,12-3)が有するデータテーブル521は、
図10に示す値を記憶しているものとする。すなわち、第1決済装置12-1の転送順位が1位であり、第2決済装置12-2の転送順位が2位であり、第3決済装置12-3の転送順位が3位である。また、第1決済装置12-1、第2決済装置12-2及び第3決済装置12-3はオンライン状態である。
【0099】
このような状態においては、入力処理装置11から第1決済装置12-1に決済情報が送信されると、第1決済装置12-1から入力処理装置11に決済可能通知コマンドが送信される。そして第1決済装置12-1において決済処理が実行される。
【0100】
図11は、第1決済装置12-1において、例えば前の客の決済処理がまだ終了しておらず、決済処理が不可能であるときの取引処理システム100の動作説明図である。なお、各決済装置12(12-1,12-2,12-3)が有するデータテーブル521は、
図10に示す値と同じである。
【0101】
このような状態においては、入力処理装置11から第1決済装置12-1に決済情報が送信されると、第1決済装置12-1から転送順位が2位の第2決済装置12-2に決済情報が転送される。ここで、第2決済装置12-2が決済処理を可能な状態であるとすると、第2決済装置12-2から入力処理装置11に決済可能通知コマンドが送信される。そして第2決済装置12-2において決済処理が実行される。
【0102】
これに対し、第2決済装置12-2も決済処理が不可能である場合には、第2決済装置12-2から転送順位が3位の第3決済装置12-3に決済情報が転送される。ここで、第3決済装置12-3が決済処理を可能な状態であるとすると、第3決済装置12-3から入力処理装置11に決済可能通知コマンドが送信される。そして第3決済装置12-3において決済処理が実行される。
【0103】
なお、第3決済装置12-3も決済処理が不可能である場合には、第3決済装置12-3から入力処理装置11に決済不可通知コマンドが送信される。その結果、入力処理装置11においては、決済が不可であることが報知されるので、店員は再送を指示する。その時点で、例えば第1決済装置12-1が決済処理を可能な状態になっていると、第1決済装置12-1から入力処理装置11に決済可能通知コマンドが送信される。そして第1決済装置12-1において決済処理が実行される。
【0104】
図12は、第1決済装置12-1から第2決済装置12-2に決済情報を転送したが、第2決済装置12-2がオフライン状態であったために決済情報を受信できなかったときの取引処理システム100の動作説明図である。第2決済装置12-2に決済情報を転送したが、送信エラーとなった場合、第1決済装置12-1においては、第2決済装置12-2に対するステータスSが0”から“2”に変更される。また第1決済装置12-1から入力処理装置11に決済不可通知コマンドが送信される。その結果、入力処理装置11においては、決済が不可であることが報知されるので、店員は再送を指示する。
【0105】
図13は、入力処理装置11から決済情報が再送されたときの取引処理システム100の動作説明図である。決済情報を受信した第1決済装置12-1においては、転送順位が2位の第2決済装置12-2に対するステータスSが“2”であるために、第2決済装置12-2に対して決済情報を送信しない。第1決済装置12-1は、第2決済装置12-2をスキップして、転送順位が3位の第3決済装置12-3に対して決済情報を転送する。ここで、第3決済装置12-3が決済処理を可能な状態であるとすると、第3決済装置12-3から入力処理装置11に決済可能通知コマンドが送信される。そして第3決済装置12-3において決済処理が実行される。
【0106】
このように、取引処理システム100においては、決済装置12-1から見て転送順位が1つの下の決済装置12-2がオフライン状態であっても、決済装置12-1は、さらに転送順位が下位の決済装置12-3に決済情報を転送することができる。したがって、オフライン状態にある決済装置12-2だけでなく、それよりも転送順位が下位の決済装置12-3においても取引の決済を処理できなくなり処理効率が低下する、という不具合は解消される。その結果、決済処理の処理効率を高めることができる。
【0107】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、決済装置12が実行する第3の情報処理のACT35において、プロセッサ51が入力処理装置11に対して送信するコマンドを決済不可通知コマンドとした。第2の実施形態では、
図14に示すように、このコマンドをエラー通知コマンドとする。エラー通知コマンドは、当該決済装置12よりも転送順位が下位の他の決済装置12に通信エラーが発生していることを入力処理装置11に通知するためのコマンドである。エラー通知コマンドには、通信エラーによりオフラインとなった決済装置12の決済装置IDが含まれる。
【0108】
エラー通知コマンドを送信したプロセッサ51は、ACT35からACT27へと戻る。すなわちプロセッサ51は、前回のACT27の処理において選択した転送順位“R+1”にさらに“1”を加算する。そしてプロセッサ51は、データテーブル521を参照して転送順位が“R+2”位に設定された他の決済装置12(R+2)を選択する。プロセッサ51は、決済装置12(R+2)を選択可能か確認する。決済装置12(R+2)を選択不可能な場合には、プロセッサ51は、決済不可通知コマンドを入力処理装置11に対して送信するように通信ユニット55を制御する。
【0109】
これに対し、決済装置12(R+2)を選択可能である場合には、プロセッサ51は、決済装置12(R+2)のステータスSを調べる。ステータスSが“0”すなわち決済装置12(R+2)がオンライン状態であるか、ステータスSが“1”すなわち決済装置12(R+2)が復旧状態である場合には、プロセッサ51は、決済情報を決済装置12(R+2)に転送するように通信ユニット55を制御する。この制御により、当該決済装置12から転送順位が2つ下の決済装置12(R+2)に対し、ネットワーク14を通じて決済情報が送信される。
【0110】
一方、第2の実施形態において、入力処理装置11は、プロセッサ31が実行する第1の情報処理のACT9以降の処理の一部が第1の実施形態と異なる。すなわち、第1の実施形態では、
図7を用いて説明したように、プロセッサ31は、ACT10及びACT11として決済不可又は決済可能の応答コマンドを待ち受けた。第2の実施形態では、
図15に示すように、決済不可又は決済可能の応答コマンドを待ち受けている状態において、さらにACT71としてエラー通知コマンドを受信したか否かを確認する。エラー通知コマンドを受信した場合、プロセッサ31は、ACT71からACT72へと進む。プロセッサ31は、ACT72としてエラー通知コマンドに含まれる決済装置IDで特定される決済装置12がオフラインであることを報知する。そしてプロセッサ31は、決済不可又は決済可能の応答コマンドを待ち受ける。
【0111】
このような構成の第2の実施形態においても、決済処理を実行し得ない状態である決済装置12は、転送順位が1つ下の決済装置12(R+1)がオフラインであった場合にその決済装置12(R+1)をスキップして、2つ下の決済装置12(R+2)に決済情報を転送することができる。その上、入力処理装置11のオペレータである店員が再送を指示しなくても、決済装置12は、転送順位が2つ下の決済装置12(R+2)に決済情報を転送する。したがって、再送の指示を待つ第1の実施形態よりも処理効率を高めることができる。また店員は、入力処理装置11において報知された情報により、オフラインになった決済装置12を容易に特定することができるので、その決済装置12の復旧作業を迅速に行い得るメリットもある。
【0112】
[他の実施形態]
前記実施形態では、各決済装置12がそれぞれデータテーブル521をメインメモリ52で記憶する場合を例示した。他の実施形態としては、サーバ13がデータテーブル521を記憶し、各決済装置12がこのデータテーブル521を共有してもよい。
【0113】
前記実施形態では、1台の入力処理装置11に対して3台の決済装置12(12-1,12-2,12-3)が接続された取引処理システム100を例示した。決済装置12の台数は、3台に限定されるものではない。決済装置12の台数は、4台以上であってもよい。
【0114】
前記実施形態では、1台の入力処理装置11と3台の決済装置12(12-1,12-2,12-3)とが1つのグループを構成する場合を例示した。この点に関しては、必ずしもグループを構成しなくてもよい。例えば、複数台の入力処理装置と複数台の決済装置とをそれぞれ別々の場所に分けて配置する。複数台の決済装置には、予め決済情報の転送順位を設定しておく。また、複数台の決済装置のうち1台を親機とし残りを子機とする。複数台の入力処理装置は、親機に決済装置に決済情報を送信する。複数台の決済装置は、当該決済装置が決済処理を実行し得る状態のとき、決済情報に基づく決済処理を実行する。当該決済装置が決済処理を実行し得ない状態のときには、転送順位が下位の他の決済装置に決済情報を転送する。このとき、他の決済装置がオフラインである場合には、さらに下位の他の決済装置に決済情報を転送する。このような構成を採用しても、前記実施形態と同様に効率向上の効果を奏することができる。
【0115】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0116】
11…入力処理装置、12(12-1,12-2,12-3)…決済装置、13…サーバ、14…ネットワーク、15…商品マスタファイル、21…店員、22…客、31,51…プロセッサ、32,52…メインメモリ、33,53…補助記憶デバイス、311…作成手段、312…送信手段、313…確認手段、321,521…データテーブル、511…受信手段、512…実行手段、513…選択手段、514…転送手段、515…変更手段、516…通知手段、517…復旧手段。