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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067498
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】開封システム
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
B65B69/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177630
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】591280485
【氏名又は名称】ソフトバンクグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】孫 正義
【テーマコード(参考)】
3E058
【Fターム(参考)】
3E058AA02
3E058CA01
3E058FA01
3E058GA05
(57)【要約】
【課題】箱内部の収容物を損傷することなく、箱の開封を自動化する技術を提供する。
【解決手段】一態様に係る開封システムは、3次元形状を測定可能なスキャナを制御して、収容物を収容した対象物の3次元形状を取得する取得手段と、取得された3次元形状に基づいて、対象物を切断する経路を設定する設定手段と、設定された経路上の少なくとも1以上の部分において、対象物に対して所定の働きかけを行うことで、対象物の厚さを推定する推定手段と、設定された経路及び推定された厚さに基づいて切断装置を制御することで、対象物を開封する制御手段と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元形状を測定可能なスキャナを制御して、収容物を収容した対象物の3次元形状を取得する取得手段と、
前記取得された3次元形状に基づいて、前記対象物を切断する経路を設定する設定手段と、
前記設定された経路上の少なくとも1以上の部分において、前記対象物に対して所定の働きかけを行うことで、前記対象物の厚さを推定する推定手段と、
前記設定された経路及び前記推定された厚さに基づいて切断装置を制御することで、前記対象物を開封する制御手段と、
を備える開封システム。
【請求項2】
前記対象物は紙製の箱である、
請求項1記載の開封システム。
【請求項3】
前記対象物の形状は直方体であり、
前記設定手段は、前記直方体形状の対象物の上面を構成する矩形の外周に沿って、前記切断経路を設定する、
請求項2記載の開封システム。
【請求項4】
前記推定手段は、前記直方体形状の対象物の上面を構成する矩形の4つの角のうち少なくとも1つの角において、前記対象物の厚さを推定する、
請求項3記載の開封システム。
【請求項5】
前記推定手段は、前記少なくとも1つの角における前記対象物の圧力に基づいて、前記対象物の厚さを推定する、
請求項4記載の開封システム。
【請求項6】
前記推定手段は、前記少なくとも1つの角において前記対象物を侵襲することによって前記厚さを推定する、
請求項4記載の開封システム。
【請求項7】
情報処理装置が、
3次元形状を測定可能なスキャナを制御して、収容物を収容した対象物の3次元形状を取得することと、
前記取得された3次元形状に基づいて、前記対象物を切断する経路を設定することと、
前記設定された経路上の少なくとも1以上の部分において、前記対象物に対して所定の働きかけを行うことで、前記対象物の厚さを推定することと、
前記設定された経路及び前記推定された厚さに基づいて切断装置を制御することで、前記対象物を開封することと、
を実行する開封方法。
【請求項8】
コンピュータに、
3次元形状を測定可能なスキャナを制御して、収容物を収容した対象物の3次元形状を取得すること、
前記取得された3次元形状に基づいて、前記対象物を切断する経路を設定すること、
前記設定された経路上の少なくとも1以上の部分において、前記対象物に対して所定の働きかけを行うことで、前記対象物の厚さを推定すること、
前記設定された経路及び前記推定された厚さに基づいて切断装置を制御することで、前記対象物を開封すること、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロジスティクスの高度化・自動化が進んでいる。例えば、特許文献1には、容器入りケースの開封作業およびケースと容器との分別作業を自動化および高速化することができる装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-128136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
段ボール箱などの箱の開封を自動化する際に、収容物を損傷することなく開封することができれば便宜である。
【0005】
そこで、本発明は、箱内部の収容物を損傷することなく、箱の開封を自動化する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る開封システムは、3次元形状を測定可能なスキャナを制御して、収容物を収容した対象物の3次元形状を取得する取得手段と、取得された3次元形状に基づいて、対象物を切断する経路を設定する設定手段と、設定された経路上の少なくとも1以上の部分において、対象物に対して所定の働きかけを行うことで、対象物の厚さを推定する推定手段と、設定された経路及び推定された厚さに基づいて切断装置を制御することで、対象物を開封する制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、箱内部の収容物を損傷することなく、箱の開封を自動化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る開封システム1の外観の一例を示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る開封システム1のシステム構成の一例を示す図である。
図3図3は、対象物Bの切断経路の一例を示す図である。
図4図4は、対象物Bの厚さを推定する部分の一例を示す図である。
図5図5は、本実施形態に係る開封装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
図6図6は、開封システム1を用いて対象物Bを開封する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、変形例において、開封システム1を用いて対象物Bを開封する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る開封システム1の外観の一例を示す図である。図1に示すように、開封システム1は、開封装置10を備えるシステムである。開封システム1はさらに、スキャナ20と、切断装置30とを備えることが好ましい。開封システム1は、開封装置10の制御により、段ボール箱等の対象物Bの形状を測定し、対象物Bの厚さを推定した後に、当該厚さに合わせて対象物Bに突き刺す刃の長さを調整し、対象物Bの内部に収容されている収容物を損傷することなく、対象物の少なくとも一部を切断する。
【0011】
開封装置10は、開封システム1全体の動作を制御する情報処理装置である。開封装置10は、スキャナ20を制御して、対象物Bの3次元形状を取得する。また、開封装置10は、切断装置30を制御して、対象物Bの少なくとも一部を切断する。
【0012】
スキャナ20は、対象物Bの3次元形状を測定することのできる3次元スキャナ(3Dスキャナ)である。スキャナ20は、対象物Bの3次元形状を測定できるものであれば任意の構成及び/又は任意の手法を採用可能である。例えば、複数のカメラを備える構成により、対象物Bの3次元形状を計測してよい。また、1つのカメラを動かすことにより、対象物Bの3次元形状を計測してよい。
【0013】
切断装置30は、対象物Bの少なくとも一部を切断することのできる装置であり、例えば、エンドエフェクタにカッターを設けた多関節ロボットであってよい。例えば、切断装置30は、開封装置10の制御により、カッターを所定の力で、所定の経路に沿って動かすことができる。
【0014】
図2は、本実施形態に係る開封システム1のシステム構成の一例を示す図である。図2に示すとおり、開封装置10は、取得手段12と、設定手段14と、推定手段16と、制御手段18とを備える。また、開封装置10は、スキャナ20と切断装置30に接続される。
【0015】
取得手段12は、スキャナ20を制御して、収容物を収容した対象物Bの3次元形状を取得する機能を有する。
【0016】
設定手段14は、取得手段12を介してスキャナ20より取得された対象物Bの3次元形状に基づいて、対象物Bを切断する経路を設定する機能を有する。例えば、対象物Bが段ボール箱などの紙製の箱であり、形状が直方体である場合、当該直方体形状の対象物Bの上面を構成する矩形の外周に沿って、切断経路を設定してよい。
【0017】
図3は、対象物Bの切断経路の一例を示す図である。例えば、対象物Bが直方体形状の段ボール箱であるとき、対象物Bの上面の4辺に沿って、切断経路Xが設定されてよい。
【0018】
図2に戻り、推定手段16は、設定手段14により設定された切断経路上の少なくとも1以上の部分において、対象物Bの厚さを推定する機能を有する。推定手段16は、切断装置30を制御して、対象物Bの表面を押したり、穴を開けたり、カッターで切ったりするなど、侵襲又は非侵襲に所定の働きかけを行うことで、対象物Bの厚さを推定してよい。
【0019】
例えば、対象物Bが直方体形状の段ボール箱であるとき、対象物Bの上面を構成する矩形の4つの角のうち少なくとも1つの角の部分において、対象物Bの厚さを推定してよい。
【0020】
図4は、対象物Bの厚さを推定する部分の一例を示す図である。推定手段16は、直方体形状の対象物Bの上面の4つの角Ba、Bb、Bc、Bdの部分における対象物Bの圧力に基づいて、対象物Bの厚さを推定してよ。例えば、推定手段16は、切断装置30を制御して、4つの角Ba、Bb、Bc、Bdのいずれかの部分を、切断装置30のエンドエフェクタを用いて所定の力で押し、そのときの変位量に基づいて、当該部分における対象物Bの圧力を測定することで、対象物Bの厚さを推定してよい。また、切断装置30の代わりに、不図示の装置を用いて対象物Bの圧力を測定してもよい。
【0021】
対象物Bの厚さを推定する際、4つの角のうち1つの角における圧力により対象物Bの厚さを推定してもよいし、複数の角それぞれにおける圧力に基づいて、圧力の平均値、最頻値、最大値、最小値などにより対象物Bの厚さを推定してもよい。
【0022】
また、推定手段16は、直方体形状の対象物Bの上面の4つの角Ba、Bb、Bc、Bdのうち少なくとも1つの角において、対象物Bを侵襲することによって、対象物Bの厚さを推定してよい。例えば、推定手段16は、切断装置30を制御して、切断装置30の先端のカッターで対象物Bを突き刺したときの圧力の変化に基づいて対象物Bの厚さを推定してよい。
【0023】
図2に戻り、制御手段18は、設定手段14で設定された切断経路と推定手段16で推定された対象物Bの厚さとに基づいて切断装置30を制御することで、対象物Bを開封する。推定手段16で推定した対象物Bの厚さに基づいて、その深さにカッターの刃を合わせて切断経路に沿って対象物の上面を切ることで、収容物を損傷することなく、対象物Bを開封することができる。
【0024】
図5は、本実施形態に係る開封装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。開封装置10は、プロセッサ101と、記憶装置102と、通信インタフェース(通信IF)103とを備える。さらに、開封装置10は、入力デバイス104と、出力デバイス105とを備えてもよい。
【0025】
プロセッサ101は、開封システム1全体の動作を制御する。プロセッサ101として、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はマイコン(マイクロコントローラ)等を用いることができる。プロセッサ101は、記憶装置102に記憶されたプログラムを実行することで、開封装置10の取得手段12、設定手段14、推定手段16及び制御手段18として機能する。
【0026】
記憶装置102は、プロセッサ101により実行される各種プログラムや各種データを記憶する。記憶装置102には、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性記憶装置、及びROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置が含まれ得る。
【0027】
通信インタフェース103は、有線又は無線通信を行う。入力デバイス104は、入力操作を受け付けるものであり、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス及び/又はマイク等である。出力デバイス105は、情報の出力を行うものであり、例えば、ディスプレイ、タッチパネル及び/又はスピーカ等である。
【0028】
図6は、開封システム1を用いて対象物Bを開封する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0029】
まず、開封装置10はスキャナ20を制御して、収容物を収容した対象物Bの3次元形状をスキャナ20で測定する(ステップS110)。
【0030】
開封装置10の取得手段12は、スキャナ20が測定した対象物Bの3次元形状を取得する(ステップS120)。
【0031】
ステップS120で取得した対象物Bの3次元形状に基づいて、開封装置10の設定手段14が、対象物Bを切断する経路を設定する(ステップS130)。
【0032】
ステップS130で設定した切断経路上の任意の部分において、対象物Bに対して所定の働きかけを行うことで、対象物Bの厚さを推定する(ステップS140)。
【0033】
開封装置10の制御手段18は、ステップS130で設定された切断経路と、ステップS140で推定された厚さとに基づいて、切断装置30を制御する(ステップS150)。
【0034】
切断経路に沿って対象物Bを切断することで、対象物Bを開封する(ステップS160)。
【0035】
同じ形状の対象物Bを複数個開封する場合は、1個目を開封する際に対象物Bの3次元形状を測定し、2個目以降は、対象物Bの3次元形状の測定を省略してもよい。
【0036】
また、同じ形状の対象物Bを複数個開封する場合は、(n-1)個の対象物Bの厚さの情報を、n個目の対象物Bの厚さの推定に利用してもよい。また、(n-1)個それぞれの対象物Bの推定した厚さと実際にカッターで対象物Bを切断したときの力と深さの関係との情報を、n個目の対象物Bの切断処理において、切断装置30のカッターで対象物Bを切断する際の力と深さの制御に利用してもよい。
【0037】
以上により、開封装置10は、切断装置30先端のカッターの刃先を対象物Bの厚さにちょうど合わせた深さで対象物Bを切断するよう、切断装置30を制御することができる。これにより、対象物Bの内部に収容された収容物を損傷することなく、対象物Bの開封を自動化することができる。
【0038】
次に、変形例について説明する。
【0039】
上記実施形態では、推定手段16が推定した厚さに基づいて、カッターの刃先の位置を制御したが、対象物Bの厚さを推定する代わりに、カッターの刃先が対象物Bを貫通したか否かを検知する手段を備え、カッターの刃先が対象物Bをちょうど貫通する位置を保つように切断装置30をフィードバック制御することで、対象物Bの厚さに合わせて、カッターの刃先の深さを調整しながら対象物Bを切断するようにしてもよい。
【0040】
図7は、変形例において、開封システム1を用いて対象物Bを開封する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。同図に示すとおり、切断経路を設定するまでの処理は、上記実施形態と同様である。
【0041】
変形例において、切断経路を設定したら、開封装置10の制御手段18は、切断経路に沿って対象物Bをカッターで切断するよう、切断装置30を制御する(ステップS145)。
【0042】
フィードバック制御により、カッターの刃先が対象物Bをちょうど貫通する位置を保ったまま、対象物Bを開封することができる。(ステップS160)。
【0043】
また、カッター自体に、刃先が対象物Bを貫通したか否かを検知する手段が備えられていて、刃先が対象物Bをちょうど貫通する位置を保つことができる場合は、フィードバック制御により切断装置30を制御することなく、切断経路に沿って対象物Bを切断する制御をするだけで、収容物を損傷することなく、対象物Bを開封することができる。
【0044】
以上説明したとおり、本開封システム1を利用して対象物Bを開封することで、箱内部の収容物を損傷するおそれ無く、箱の開封を自動化することができる。
【0045】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。したがって、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、前述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、又は並列に実行することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 開封システム
10 開封装置
12 取得手段
14 設定手段
16 推定手段
18 制御手段
20 スキャナ
30 切断装置
101 プロセッサ
102 記憶装置
B 対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7