(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006752
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 16/08 20060101AFI20240110BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20240110BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20240110BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240110BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G11C16/08 140
G11C16/04 170
H01L27/11582
H01L29/78 371
H01L27/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107934
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滋賀 秀裕
【テーマコード(参考)】
5B225
5F038
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5B225BA08
5B225CA16
5B225DC12
5B225EA05
5B225EB09
5B225EC04
5B225EC06
5B225EG03
5B225FA02
5F038AV06
5F038BG01
5F038BG06
5F038BG07
5F038CA02
5F038DF05
5F083EP01
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP76
5F083ER21
5F083GA10
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083PR03
5F083ZA01
5F101BA00
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH14
(57)【要約】
【課題】消去動作時に使用する電圧を下げることができる半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】本実施形態の半導体記憶装置は、第1ブロックと、第2ブロックと、第1メモリセルのゲートに共通に接続された第1ワード線と、第2メモリセルのゲートに共通に接続された第2ワード線と、第1メモリセルの一端および第2メモリセルの一端に電気的に接続されたビット線と、第1ワード線および第2ワード線に電気的に接続可能な第1信号線と、第1信号線と、第1ワード線との間に接続された第1トランジスタと、第1信号線と、第2ワード線との間に接続された第2トランジスタと、第1信号線、第1トランジスタのゲート、第2トランジスタのゲートに供給する電圧を生成する電圧生成回路と、を有する。電圧生成回路は、第1メモリセルに対する消去動作時に、第2トランジスタのゲートに、負電圧を供給する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1メモリセルを有する第1ブロックと、
複数の第2メモリセルを有する第2ブロックと、
前記第1メモリセルのゲートに共通に接続された第1ワード線と、
前記第2メモリセルのゲートに共通に接続された第2ワード線と、
前記第1メモリセルの一端および前記第2メモリセルの一端に電気的に接続されたビット線と、
前記第1ワード線および前記第2ワード線に電気的に接続可能な第1信号線と、
前記第1信号線と、前記第1ワード線との間に接続された第1トランジスタと、
前記第1信号線と、前記第2ワード線との間に接続された第2トランジスタと、
前記第1信号線、前記第1トランジスタのゲート、前記第2トランジスタのゲートに供給する電圧を生成する電圧生成回路と、を有し、
前記電圧生成回路は、前記第1メモリセルに対する消去動作時に、前記第2トランジスタのゲートに、負電圧を供給する、半導体記憶装置。
【請求項2】
前記電圧生成回路は、前記第2トランジスタのゲートに供給する負電圧が第1負電圧であり、かつ、前記第1信号線に供給する電圧がゼロである請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記電圧生成回路は、前記第2トランジスタのゲートに供給する負電圧が前記第1負電圧より低い第2負電圧であり、かつ、前記第1信号線に供給する電圧が負電圧である請求項1に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置として、NANDフラッシュメモリが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、消去動作時に使用する電圧を下げることができる半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の半導体記憶装置は、複数の第1メモリセルを有する第1ブロックと、複数の第2メモリセルを有する第2ブロックと、第1メモリセルのゲートに共通に接続された第1ワード線と、第2メモリセルのゲートに共通に接続された第2ワード線と、第1メモリセルの一端および第2メモリセルの一端に電気的に接続されたビット線と、第1ワード線および第2ワード線に電気的に接続可能な第1信号線と、第1信号線と、第1ワード線との間に接続された第1トランジスタと、第1信号線と、第2ワード線との間に接続された第2トランジスタと、第1信号線、第1トランジスタのゲート、第2トランジスタのゲートに供給する電圧を生成する電圧生成回路と、を有する。電圧生成回路は、第1メモリセルに対する消去動作時に、第2トランジスタのゲートに、負電圧を供給する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態に係るメモリシステムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態の不揮発性メモリの構成例を示すブロック図である。
【
図3】3次元構造のメモリセルアレイ23のブロックの構成例を示す図である。
【
図4】本実施形態にかかる半導体記憶装置の一部領域の断面図の一例である。
【
図5】電圧供給回路28及びロウデコーダ25の構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】スイッチ回路群25Aのレイアウトの一例を示すレイアウト図である。
【
図7】本実施形態におけるブロックデコーダの構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】本実施形態における負電圧変換回路31の構成の一例を示す回路図である。
【
図9】負電圧変換回路内のNMOSトランジスタの構造を説明する断面図である。
【
図10】レベル変換回路の構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】比較例に係る消去動作時における各配線の電圧の一例を示す波形図である。
【
図12】第1の実施形態に係る消去動作時における各配線の電圧の一例を示す波形図である。
【
図13】第2の実施形態に係る消去動作時における各配線の電圧の一例を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
(1.構成)
(1-1.メモリシステムの構成)
図1は、第1の実施形態に係るメモリシステムの構成例を示すブロック図である。本実施形態のメモリシステムは、メモリコントローラ1と、半導体記憶装置としての不揮発性メモリ2とを備える。メモリシステムは、ホストと接続可能である。ホストは、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯端末などの電子機器である。
【0009】
不揮発性メモリ2は、データを不揮発に記憶するメモリであり、例えば、NANDメモリ(NANDフラッシュメモリ)を備えている。不揮発性メモリ2は、例えば、メモリセルあたり3bitを記憶可能なメモリセルを有するNANDメモリ、すなわち3bit/Cell(TLC:Triple Level Cell)のNANDメモリである。不揮発性メモリ2は、1bit/Cell、2bit/Cell、または4bit/Cell以上の複数ビットを記憶可能なNANDメモリであっても構わない。不揮発性メモリ2は、例えば、1つのメモリチップとして構成される。しかし、不揮発性メモリ2は、複数のメモリチップから構成されていてもよい。例えば、メモリセルアレイを含むチップと、それ以外の周辺回路を含むチップとを貼り合わせることによって、不揮発性メモリ2を構成してもよい。
【0010】
メモリコントローラ1は、ホストからの書き込みリクエストに従って不揮発性メモリ2へのデータの書き込みを制御する。また、メモリコントローラ1は、ホストからの読み出しリクエストに従って不揮発性メモリ2からのデータの読み出しを制御する。メモリコントローラ1と不揮発性メモリ2との間では、チップイネーブル信号/CE、レディービジー信号/RB、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号RE、/RE、ライトプロテクト信号/WP、データである信号DQ<7:0>、データストローブ信号DQS、/DQS、の各信号が送受信される。なお、信号名に付記された"/"は、アクティブ・ローを示す。
【0011】
例えば、不揮発性メモリ2とメモリコントローラ1は、それぞれが、半導体チップ(以下、単に"チップ"ともいう)として形成される。
【0012】
チップイネーブル信号/CEは、不揮発性メモリ2の特定のメモリチップを選択し、イネーブルにするための信号である。レディービジー信号/RBは、不揮発性メモリ2がレディー状態(外部からの命令を受け付けることが可能である状態)であるか、ビジー状態(外部からの命令を受け付けることができない状態)であるかを示すための信号である。メモリコントローラ1は、信号R/Bを受けることで、不揮発性メモリ2の状態を知ることができる。コマンドラッチイネーブル信号CLEは、信号DQ<7:0>がコマンドであることを示す信号である。コマンドラッチイネーブル信号CLEは、信号DQとして送信されるコマンドを、不揮発性メモリ2の選択されたメモリチップにおけるコマンドレジスタにラッチすることを可能にする。アドレスラッチイネーブル信号ALEは、信号DQ<7:0>がアドレスであることを示す信号である。アドレスラッチイネーブル信号ALEは、信号DQとして送信されるアドレスを、不揮発性メモリ2の選択されたメモリチップにおけるアドレスレジスタにラッチすることを可能にする。ライトイネーブル信号/WEは、受信した信号を不揮発性メモリ2に取り込むための信号であり、メモリコントローラ1によりコマンド、アドレス、及びデータを受信する都度アサートされる。信号/WEが"L(Low)"レベルである間に信号DQ<7:0>を取り込むよう不揮発性メモリ2に指示する。
【0013】
リードイネーブル信号RE、/REは、メモリコントローラ1が、不揮発性メモリ2からデータを読み出すための信号である。例えば、信号DQ<7:0>を出力する際の不揮発性メモリ2の動作タイミングを制御するために使用される。ライトプロテクト信号/WPは、データ書き込み及び消去の禁止を不揮発性メモリ2に指示するための信号である。信号DQ<7:0>は、不揮発性メモリ2とメモリコントローラ1との間で送受信されるデータの実体であり、コマンド、アドレス、及びデータを含む。データストローブ信号DQS、/DQSは、信号DQ<7:0>の入出力のタイミングを制御するための信号である。
【0014】
メモリコントローラ1は、RAM(Random Access Memory)11、プロセッサ12、ホストインターフェイス13、ECC(Error Check and Correct)回路14およびメモリインターフェイス15を備える。RAM11、プロセッサ12、ホストインターフェイス13、ECC回路14およびメモリインターフェイス15は、互いに内部バス16で接続される。
【0015】
ホストインターフェイス13は、ホストから受信したリクエスト、ユーザデータ(書き込みデータ)などを内部バス16に出力する。また、ホストインターフェイス13は、不揮発性メモリ2から読み出されたユーザデータ、プロセッサ12からの応答などをホストへ送信する。
【0016】
メモリインターフェイス15は、プロセッサ12の指示に基づいて、ユーザデータ等を不揮発性メモリ2へ書き込む処理および不揮発性メモリ2から読み出す処理を制御する。
【0017】
プロセッサ12は、メモリコントローラ1を統括的に制御する。プロセッサ12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等である。プロセッサ12は、ホストからホストインターフェイス13経由でリクエストを受けた場合に、そのリクエストに従った制御を行う。例えば、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、不揮発性メモリ2へのユーザデータおよびパリティの書き込みをメモリインターフェイス15へ指示する。また、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、不揮発性メモリ2からのユーザデータおよびパリティの読み出しを、メモリインターフェイス15へ指示する。
【0018】
プロセッサ12は、RAM11に蓄積されるユーザデータに対して、不揮発性メモリ2上の格納領域(メモリ領域)を決定する。ユーザデータは、内部バス16経由でRAM11に格納される。プロセッサ12は、メモリ領域の決定を、書き込み単位であるページ単位のデータ(ページデータ)に対して実施する。本明細書では、不揮発性メモリ2の1ページに格納されるユーザデータをユニットデータと定義する。ユニットデータは、一般的にはECC回路14によって符号化されて符号語として不揮発性メモリ2に格納される。本実施形態では、符号化は必須ではない。メモリコントローラ1は、符号化せずにユニットデータを不揮発性メモリ2に格納してもよいが、
図1では、一構成例として符号化を行う構成を示している。メモリコントローラ1が符号化を行わない場合には、ページデータはユニットデータと一致する。また、1つのユニットデータに基づいて1つの符号語が生成されてもよいし、ユニットデータが分割された分割データに基づいて1つの符号語が生成されてもよい。また、複数のユニットデータを用いて1つの符号語が生成されてもよい。
【0019】
プロセッサ12は、ユニットデータごとに書き込み先の不揮発性メモリ2のメモリ領域を決定する。不揮発性メモリ2のメモリ領域には物理アドレスが割当てられている。プロセッサ12は、ユニットデータの書き込み先のメモリ領域を、物理アドレスを用いて管理する。プロセッサ12は、決定したメモリ領域(物理アドレス)を指定してユーザデータを不揮発性メモリ2へ書き込むようメモリインターフェイス15へ指示する。プロセッサ12は、ユーザデータの論理アドレス(ホストが管理する論理アドレス)と物理アドレスとの対応を管理する。プロセッサ12は、ホストからの論理アドレスを含む読み出しリクエストを受信した場合は、論理アドレスに対応する物理アドレスを特定し、物理アドレスを指定してユーザデータの読み出しをメモリインターフェイス15へ指示する。
【0020】
ECC回路14は、RAM11に格納されたユーザデータを符号化して、符号語を生成する。また、ECC回路14は、不揮発性メモリ2から読み出された符号語を復号する。
【0021】
RAM11は、ホストから受信したユーザデータを不揮発性メモリ2へ記憶するまでに一時格納したり、不揮発性メモリ2から読み出したデータをホストへ送信するまでに一時格納したりする。RAM11は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの汎用メモリである。
【0022】
図1では、メモリコントローラ1が、ECC回路14とメモリインターフェイス15をそれぞれ備える構成例を示した。しかしながら、ECC回路14がメモリインターフェイス15に内蔵されていてもよい。また、ECC回路14が、不揮発性メモリ2に内蔵されていてもよい。
【0023】
ホストから書き込みリクエストを受信した場合、メモリシステムは次のように動作する。プロセッサ12は、書き込み対象となるデータをRAM11に一時記憶させる。プロセッサ12は、RAM11に格納されたデータを読み出し、ECC回路14に入力する。ECC回路14は、入力されたデータを符号化し、符号語をメモリインターフェイス15に入力する。メモリインターフェイス15は、入力された符号語を不揮発性メモリ2に書き込む。
【0024】
ホストから読み出しリクエストを受信した場合、メモリシステムは次のように動作する。メモリインターフェイス15は、不揮発性メモリ2から読み出した符号語をECC回路14に入力する。ECC回路14は、入力された符号語を復号し、復号されたデータをRAM11に格納する。プロセッサ12は、RAM11に格納されたデータを、ホストインターフェイス13を介してホストに送信する。
【0025】
(1-2.不揮発性メモリの構成)
図2は、本実施形態の不揮発性メモリの構成例を示すブロック図である。不揮発性メモリ2は、ロジック制御回路21、入出力回路22、メモリセルアレイ23、センスアンプ24、ロウデコーダ25、レジスタ26、シーケンサ27、電圧供給回路28、入出力用パッド群32、ロジック制御用パッド群34、及び、電源入力用端子群35を備えている。
【0026】
メモリセルアレイ23は、複数のブロックを備える。複数のブロックBLKの各々は、複数のメモリセルトランジスタ(メモリセル)を備える。メモリセルアレイ23には、メモリセルトランジスタに印加する電圧を制御するために、複数のビット線、複数のワード線、及びソース線などが配設される。ブロックBLKの具体的な構成については後述する。
【0027】
入出力用パッド群32は、メモリコントローラ1との間でデータを含む各信号の送受信を行うため、信号DQ<7:0>、及び、データストローブ信号DQS、/DQSに対応する複数の端子(パッド)を備えている。
【0028】
ロジック制御用パッド群34は、メモリコントローラ1との間で各信号の送受信を行うため、チップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号RE、/RE、及びライトプロテクト信号/WPに対応する複数の端子(パッド)を備えている。
【0029】
信号/CEは、不揮発性メモリ2の選択を可能にする。信号CLEは、信号DQとして送信されるコマンドをコマンドレジスタにラッチすることを可能にする。信号ALEは、信号DQとして送信されるアドレスをアドレスレジスタにラッチすることを可能にする。信号WEは、書き込みを可能にする。信号REは、読み出しを可能にする。信号WPは、書き込み及び消去を禁止する。信号R/Bは、不揮発性メモリ2がレディー状態(外部からの命令を受け付けることが可能である状態)であるか、ビジー状態(外部からの命令を受け付けることができない状態)であるかを示す。メモリコントローラ1は、信号R/Bを受けることで、不揮発性メモリ2の状態を知ることができる。
【0030】
電源入力用端子群35は、外部から不揮発性メモリ2に、種々の動作電源を供給するため、電源電圧Vcc、VccQ、Vppと、接地電圧Vssを入力する複数の端子を備えている。電源電圧Vccは、動作電源として一般的に外部から与えられる回路電源電圧であり、例えば3.3V程度の電圧が入力される。電源電圧VccQは、例えば1.2Vの電圧が入力される。電源電圧VccQは、メモリコントローラ1と不揮発性メモリ2との間で信号を送受信する際に用いられる。
【0031】
電源電圧Vppは、電源電圧Vccよりも高圧の電源電圧であり、例えば12Vの電圧が入力される。メモリセルアレイ23へデータを書き込んだり、データを消去したりする際には、20V程度の高い電圧が必要となる。この際に、約3.3Vの電源電圧Vccを電圧供給回路28の昇圧回路で昇圧するよりも、約12Vの電源電圧Vppを昇圧するほうが、高速かつ低消費電力で所望の電圧を生成することができる。電源電圧Vccは、不揮発性メモリ2に標準的に供給される電源であり、電源電圧Vppは、例えば使用環境に応じて追加的・任意的に供給される電源である。
【0032】
ロジック制御回路21及び入出力回路22は、NANDバスを介して、メモリコントローラ1に接続される。入出力回路22は、メモリコントローラ1との間でNANDバスを介して、信号DQ(例えばDQ0~DQ7)を送受信する。
【0033】
ロジック制御回路21は、メモリコントローラ1からNANDバスを介して、外部制御信号(例えば、チップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、書き込みイネーブル信号/WE、読み出しイネーブル信号RE,/RE、及びライトプロテクト信号/WP)を受信する。また、ロジック制御回路21は、NANDバスを介して、メモリコントローラ1にレディー/ビジー信号/RBを送信する。
【0034】
入出力回路22は、メモリコントローラ1との間で、信号DQ<7:0>、及び、データストローブ信号DQS、/DQSを送受信する。入出力回路22は、信号DQ<7:0>内のコマンド及びアドレスをレジスタ26に転送する。また、入出力回路22は、書き込みデータ、及び読み出しデータをセンスアンプ24との間で送受信する。
【0035】
レジスタ26は、コマンドレジスタ、アドレスレジスタ、及びステータスレジスタなどを備える。コマンドレジスタは、コマンドを一時的に保持する。アドレスレジスタは、アドレスを一時的に保持する。ステータスレジスタは、不揮発性メモリ2の動作に必要なデータを一時的に保持する。レジスタ26は、例えばSRAMから構成される。
【0036】
制御部としてのシーケンサ27は、レジスタ26からコマンドを受け、このコマンドに基づくシーケンスに従って不揮発性メモリ2を制御する。
【0037】
電圧供給回路28は、不揮発性メモリ2の外部から電源電圧を受け、この電源電圧を用いて、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作に必要な複数の電圧を生成する。電圧供給回路28は、生成した電圧を、メモリセルアレイ23、センスアンプ24、及びロウデコーダ25などに供給する。
【0038】
ロウデコーダ25は、レジスタ26からロウアドレスを受け、このロウアドレスをデコードする。ロウデコーダ25は、デコードされたロウアドレスに基づいて、ワード線の選択動作を行う。そして、ロウデコーダ25は、選択されたブロックに、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作に必要な複数の電圧を転送する。
【0039】
センスアンプ24は、レジスタ26からカラムアドレスを受け、このカラムアドレスをデコードする。センスアンプ24は、センスアンプユニット群24Aと、データレジスタ24Bを有する。センスアンプユニット群24Aは、各ビット線に接続されており、デコードされたカラムアドレスに基づいて、いずれかのビット線を選択する。また、センスアンプユニット群24Aは、データの読み出し時には、メモリセルトランジスタからビット線に読み出されたデータを検知及び増幅する。また、センスアンプユニット群24Aは、データの書き込み時には、書き込みデータをビット線に転送する。
【0040】
データレジスタ24Bは、データの読み出し時には、センスアンプユニット群24Aにより検出したデータを一時的に保持し、これをシリアルに入出力回路22へ転送する。また、データレジスタ24Bは、データの書き込み時には、入出力回路22からシリアルに転送されたデータを一時的に保持し、これをセンスアンプユニット群24Aへ転送する。データレジスタ24Bは、SRAMなどで構成される。
【0041】
(1-3.メモリセルアレイのブロック構成)
図3は、3次元構造のメモリセルアレイ23のブロックの構成例を示す図である。
図3はメモリセルアレイ23を構成する複数のブロックのうちの1つのブロックBLKを示している。メモリセルアレイの他のブロックも
図3と同様の構成を有する。なお、本実施形態は、2次元構造のメモリセルアレイにも適用可能である。
【0042】
図示するように、ブロックBLKは、例えば4つのストリングユニット(SU0~SU3)を含む。また各々のストリングユニットSUは、複数のNANDストリングNSを含む。NANDストリングNSの各々は、ここでは8個のメモリセルトランジスタMT(MT0~MT7)と、選択ゲートトランジスタST1、ST2とを含む。メモリセルトランジスタMTは、ゲートと電荷蓄積層とを備え、データを不揮発に保持する。なお、NANDストリングNSに含まれるメモリセルトランジスタMTの個数は、便宜上8個とするが、更に多数個であってもよい。
【0043】
選択ゲートトランジスタST1、ST2は、電気回路上は1つのトランジスタとして示しているが、構造上はメモリセルトランジスタと同じでもよい。また、例えばカットオフ特性を高めるために、選択ゲートトランジスタST1、ST2として、それぞれ複数の選択ゲートトランジスタを用いてもよい。さらに、メモリセルトランジスタMTと選択ゲートトランジスタST1、ST2との間には、ダミーセルトランジスタが設けられていてもよい。
【0044】
メモリセルトランジスタMTは、選択ゲートトランジスタST1、ST2間において、直列接続されるようにして配置されている。一端側のメモリセルトランジスタMT7が、選択ゲートトランジスタST1に接続され、他端側のメモリセルトランジスタMT0が、選択ゲートトランジスタST2に接続されている。
【0045】
ストリングユニットSU0~SU3の各々の選択ゲートトランジスタST1のゲートは、それぞれ選択ゲート線SGD0~SGD3(以下、これらを区別する必要がない場合には選択ゲート線SGDという)に接続される。他方で、選択ゲートトランジスタST2のゲートは、同一のブロックBLK内にある複数のストリングユニットSU間で同一の選択ゲート線SGSに共通接続される。また、同一のブロックBLK内にあるメモリセルトランジスタMT0~MT7のゲートは、それぞれワード線WL0~WL7に共通接続される。すなわち、ワード線WL0~WL7及び選択ゲート線SGSは、同一ブロックBLK内の複数のストリングユニットSU0~SU4間で共通に接続されているのに対し、選択ゲート線SGDは、同一ブロックBLK内であってもストリングユニットSU0~SU3毎に独立している。
【0046】
NANDストリングNSを構成するメモリセルトランジスタMT0~MT7のゲートには、それぞれワード線WL0~WL7が接続されている。ブロックBLK内において同一行にあるメモリセルトランジスタMTiのゲートは、同一のワード線WLiに接続される。なお、以下の説明では、NANDストリングNSを単に「ストリング」という場合がある。
【0047】
各NANDストリングNSは、対応するビット線に接続されている。従って、各メモリセルトランジスタMTは、NANDストリングNSに含まれる選択ゲートトランジスタSTや他のメモリセルトランジスタMTを介して、ビット線に接続されている。上述した通り、同一のブロックBLK内にあるメモリセルトランジスタMTのデータは、一括して消去される。一方、データの読み出し及び書き込みは、メモリセルグループMG単位(またはページ単位)で行われる。本明細書では、1つのワード線WLiに接続され、かつ1つのストリングユニットSUに属する複数のメモリセルトランジスタMTをメモリセルグループMGと定義する。読み出し動作及び書き込み動作時において、物理アドレスに応じて、1本のワード線WLiおよび1本の選択ゲート線SGDが選択され、メモリセルグループMGが選択される。
【0048】
(1-4.不揮発性メモリの断面構造)
図4は、本実施形態にかかる半導体記憶装置の一部領域の断面図の一例である。
図4は、半導体基板71上にセンスアンプ24やロウデコーダ25等の周辺回路に対応する周辺回路領域が設けられ、周辺回路領域の上層にメモリ領域が設けられる例について示している。なお、以下の説明において、半導体基板71の表面に水平な直交する2方向をx方向及びy方向とし、半導体基板71表面に垂直な方向をz方向とする。
【0049】
図4に示すように、メモリ領域MRにおいて不揮発性メモリは、半導体基板71、導電体641から657、メモリピラー634、並びにコンタクトプラグC0、C1、C2及びCPを含む。なお、以下で説明される図面では、半導体基板71の上面部分に形成されたp型又はn型のウェル領域と、各ウェル領域内に形成された不純物拡散領域と、ウェル領域間を絶縁するゲート絶縁膜および素子分離領域のそれぞれの図示は省略されている。
【0050】
メモリ領域MRにおいて、半導体基板71上には、ゲート絶縁膜(図示せず)を介して、導電体GCが設けられている。また、半導体基板71に導電体GCを挟むように設けられた複数の不純物拡散領域(図示せず)には、例えば複数のコンタクトC0それぞれが設けられている。半導体基板71上には、配線層領域WRを介してメモリセルアレイ23が配置されている。
【0051】
各コンタクトC0上には、配線パターンを形成する導電体641が設けられている。例えば、導電体GCはトランジスタのゲート電極として機能し、導電体641はトランジスタのソース電極またはドレイン電極として機能する。
【0052】
各導電体641上には、例えばコンタクトC1が設けられている。各コンタクトC1上には、例えば導電体642が設けられている。導電体642上には、例えばコンタクトC2が設けられている。コンタクトC2上には、例えば導電体643が設けられている。
【0053】
導電体641、642、643の各配線パターンは、図示しないセンスアンプ回路とメモリセルアレイの間の配線層領域WRに配設されている。以下、導電体641、642、643が設けられる配線層を、それぞれ配線層D0、D1、D2と呼ぶ。配線層D0、D1、D2は、不揮発性メモリ2の下層部分に設けられている。なお、ここでは、配線層領域WRには、3つの配線層が設けられているが、配線層領域WRには、2つ以下の配線層、あるいは4つ以上の配線層が設けられていてもよい。
【0054】
導電体643の上方には、例えば層間絶縁膜を介して導電体644が設けられている。導電体644は、例えば、xy平面に平行な板状に形成され、ソース線SLとして機能する。導電体644の上方には、各NANDストリングNSに対応して、例えば、導電体645~654が順に積層されている。これらの導電体のうちz方向に隣り合う導電体の間には、図示しない層間絶縁膜が設けられている。
【0055】
導電体645~654のそれぞれは、例えばxy平面に平行な板状に形成される。例えば、導電体645は、選択ゲート線SGSとして機能し、導電体646~653は、それぞれワード線WL0~WL7して機能し、導電体654は、選択ゲート線SGDして機能する。
【0056】
各メモリピラー634は、柱状であり、導電体645~654のそれぞれを貫通し、導電体644に接触している。メモリピラー634は、例えば、中心側の半導体柱638と、半導体柱638の外側に形成されるトンネル絶縁膜637と、トンネル絶縁膜637の外側に形成される電荷蓄積膜636と、電荷蓄積膜636の外側に形成されるブロック絶縁膜635を含む。
【0057】
例えば、メモリピラー634と導電体645とが交差する部分は、選択トランジスタST2として機能する。メモリピラー634と導電体646~653のそれぞれとが交差する部分は、メモリセルトランジスタ(メモリセル)MTとして機能する。メモリピラー634と導電体654とが交差する部分は、選択トランジスタST1として機能する。
【0058】
メモリピラー634の上面よりも上層には、層間絶縁膜を介して導電体655が設けられている。導電体655は、x方向に延伸したライン状に形成され、ビット線BLに対応している。複数の導電体655は、y方向において間隔をおいて配列している(図示せず)。導電体655は、ストリングユニットSU毎に対応する1つのメモリピラー634内の半導体柱638と電気的に接続されている。
【0059】
具体的には、各ストリングユニットSUにおいて、例えば各メモリピラー634内の半導体柱638上にコンタクトプラグCPが設けられ、コンタクトプラグCP上に1つの導電体645が設けられる。なお、このような構成に限定されず、メモリピラー634内の半導体柱638及び導電体655間は、複数のコンタクトや配線などを介して接続されてもよい。
【0060】
導電体655が設けられた層よりも上層には、層間絶縁膜を介して導電体656が設けられている。導電体656が設けられた層よりも上層には、層間絶縁膜を介して導電体657が設けられている。
【0061】
導電体656及び657は、例えばメモリセルアレイに設けられた配線と、メモリセルアレイ下に設けられた周辺回路とを接続するための配線に対応する。導電体656と657の間は、図示しない柱状のコンタクトで接続されてもよい。ここでは、導電体655が設けられた層のことを、配線層M0と称し、導電体656が設けられた層のことを、配線層M1と称し、導電体657が設けられた層のことを、配線層M2と称する。
【0062】
図4に示すように、実施形態の半導体記憶装置は、ストリングユニットSUより下層に配線層D0、D1、D2が形成されている。また、ストリングユニットSUより上層に配線層M0、M1、M2が形成されている。配線層D0、D1、D2は、例えば、ダマシン法により形成されるタングステン配線である。
【0063】
配線層M2は、例えば、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)など異方性エッチングにより形成されるアルミニウム配線である。配線層M2は、膜厚が厚く低抵抗であるため、基幹電源配線(Vcc、Vss)が割り当てられる。配線層M1は、例えば、ダマシン法により形成される銅(Cu)配線である。Cu配線はEM(エレクトロマイグレーション)耐性などの配線信頼性が高いため、配線層M1は、確実にデータを伝達する必要がある信号線が割り当てられる。配線層M0は、例えば、ダマシン法により形成されるCu配線である。ビット線BLとして用いられるほか、電源強化の目的で、基幹電源配線の一部も割り当てられる。なお、信号線など基幹電源配線以外の配線についても、可能な限り低抵抗とすることが好ましいため、なるべく上層の配線層(例えば、配線層M2)を用いて形成される。
【0064】
(1-5.電圧供給回路及びロウデコーダの構成)
図5は、電圧供給回路28及びロウデコーダ25の構成の一例を示すブロック図である。なお、
図5においては電圧供給回路28の一部の構成のみを示している。
【0065】
図5において、電圧供給回路28は、シーケンサ27に制御されて、メモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作等に必要な電圧を含む各種電圧を発生する。電圧供給回路28は、電圧生成回路281と、電圧調整回路282とを有する。電圧生成回路281は、不揮発性メモリ2の動作に必要な内部電圧を生成する。電圧生成回路281は、BDH電源電圧生成回路281Aと、BDL電源電圧生成回路281Bとを有する。BDH電源電圧生成回路281Aは、ロウデコーダ25のブロックデコーダ25Bで用いられるハイレベルの電源電圧(VRD)を生成する。BDL電源電圧生成回路281Bは、ブロックデコーダ25Bで用いられるローレベルの電源電圧(VBB)を生成する。なお、電源電圧VBBは負電圧である。
【0066】
電圧調整回路282は、電源入力用端子群35から入力された電圧や、電圧生成回路281で生成された電圧を用いて、不揮発性メモリ2に各部位の動作に必要な各種電圧を生成する。そして、生成した電圧から適切な電圧を選択し、信号線SG0~SG4、及び、信号線CG0~CG7に対して供給する。電圧調整回路282は、信号線SG0~SG4に電圧を供給するSGドライバ282Aと、信号線CG0~CG7にそれぞれ電圧を供給する複数のCGドライバ282Bと含む。これらの信号線SG0~SG4,CG0~CG7は、ロウデコーダ25によって分岐されて、各ブロックBLKの配線に接続される。すなわち、信号線SG0~SG3は、グローバルドレイン側選択ゲート線として機能し、ロウデコーダ25を介して、各ブロックBLKにおけるローカル選択ゲート線としての選択ゲート線SGD0~SGD3に接続される。信号線CG0~CG7は、グローバルワード線として機能し、ロウデコーダ25を介して、各ブロックBLKにおけるローカルワード線としてのワード線WL0~WL7に接続される。信号線SG4は、グローバルソース側選択ゲート線として機能し、ロウデコーダ25を介して、各ブロックBLKにおけるローカル選択ゲート線としての選択ゲート線SGSに接続される。
【0067】
ロウデコーダ25は、各ブロックにそれぞれ対応した複数のスイッチ回路群25Aと、複数のスイッチ回路群25Aにそれぞれ対応して設けられる複数のブロックデコーダ25Bとを有している。各スイッチ回路群25Aは、信号線SG0~SG4と選択ゲート線SGD0~SGD4とをそれぞれ接続する複数のトランジスタTR_SG0~TR_SG4、信号線CG0~CG7とワード線WL0~WL7とをそれぞれ接続する複数のトランジスタTR_CG0~TR_CG7を含む。トランジスタTR_SG0~TR_SG4およびトランジスタTR_CG0~TR_CG7の各々は、高耐圧トランジスタである。
【0068】
各ブロックデコーダ25Bは、ロウアドレスによって自身が指定された場合、トランジスタTR_SG0~TR_SG4およびトランジスタTR_CG0~TR_CG7のゲートに、ハイレベルのブロック選択信号BLKSELを供給する。これにより、ロウアドレスによって指定されるブロックデコーダ25Bからハイレベルのブロック選択信号BLKSELが供給されるスイッチ回路群25Aでは、トランジスタTR_SG0~TR_SG4およびトランジスタTR_CG0~TR_CG7がオン状態となって導通するため、電源生成回路28から信号線SG0~SG4及び信号線CG0~CG7に供給される電圧が、動作対象となるブロックBLKに含まれる選択ゲート線SGD0~SGD3、SGSおよびワード線WL0~WL7に供給される。
【0069】
一方、各ブロックデコーダ25Bは、ロウアドレスによって自身が指定されていない場合、トランジスタTR_SG0~TR_SG4およびトランジスタTR_CG0~TR_CG7のゲートに、ローレベルのブロック選択信号BLKSELを供給する。これにより、ロウアドレスによって指定されるブロックデコーダ25Bからローレベルのブロック選択信号BLKSELが供給されるスイッチ回路群25Aでは、トランジスタTR_SG0~TR_SG4およびトランジスタTR_CG0~TR_CG7がオフ状態となって非導通となるため、電源生成回路28から信号線SG0~SG4及び信号線CG0~CG7に供給される電圧は、非動作対象のブロックBLKに含まれる選択ゲート線SGD0~SGD3、SGSおよびワード線WL0~WL7には供給されない。
【0070】
即ち、読み出し動作時は、電圧供給回路28とロウデコーダ25により、選択ブロックの選択ワード線WL_selには電圧VREADや電圧Vrなどが供給され、非選択ワード線WL_uselには電圧VREAD又はVREADKなどが供給される。電圧Vrは読み出し電圧である。また、電圧VREADは、非選択ワード線WL_uselに接続されたメモリセルトランジスタをオンにするために必要な十分に高い電圧である。また、電圧VREADKは、非選択ワード線WL_uselのうち、選択ワード線WL_selに隣接する隣接ワード線に供給される電圧である。電圧VREADKは、隣接ワード線に接続されたメモリセルトランジスタの導通を容易にするために、電圧VREADよりも若干高い電圧に設定される。また、例えば、動作対象となるストリングユニットSUに属する選択ゲートトランジスタST1に接続される選択ゲート線SGD_selには電圧VSGなどが供給され、動作対象となるストリングユニットSUに属さない選択ゲートトランジスタST1に接続される選択ゲート線SGD_uselには0V等の電圧Vssなどが供給される。また、非選択ブロックのワード線WLはフローティング状態となり、選択ゲート線SGD、SGSには、0V等の電圧Vssなどが供給される。
【0071】
図6は、スイッチ回路群25Aのレイアウトの一例を示すレイアウト図である。なお、
図6では、スイッチ回路群25Aの一部の構成のみを示している。
【0072】
あるブロックBLKに接続されるトランジスタTR_CG0、TR_CG1、及び、TR_CG2のゲート110a、110b、及び、110cは、ブロック選択信号BLKSEL1に接続される。
【0073】
また、他のブロックBLKに接続されるトランジスタTR_CG0、TR_CG1、及び、TR_CG2のゲート111a、111b、及び、111cは、ブロック選択信号BLKSEL2に接続される。
【0074】
あるブロックBLKに接続されるトランジスタTR_CG0のソース112aと、他のブロックBLKに接続されるトランジスタTR_CG0のソース112aとは共通に形成され、信号線CG0に共通接続されている。
【0075】
あるブロックBLKに接続されるトランジスタTR_CG0のドレイン113aと、他のブロックBLKに接続されるトランジスタTR_CG0のドレイン114aは、個別に形成されている。
【0076】
詳しくは後述するが、非選択ブロックBLKのワード線スイッチとして機能するトランジスタTR_CGのゲート110aには、ブロック選択信号BLKSELを介して、例えば、-0.5Vの負電圧が印加される。また、トランジスタTR_CGのソース112aには、信号線CGを介して、例えば0Vの電圧Vssが印加される。また、トランジスタTR_CGのドレイン113a及び114aには、ソース線SLとの容量カップリングにより、例えば、19.5Vの消去電圧Vera11が印加される。
【0077】
図7は、本実施形態におけるブロックデコーダの構成の一例を示すブロック図である。ブロックデコーダ25Bは、例えば、論理回路LCと、論理積回路ANDと、インバータNV1と、レベル変換回路30と、負電圧変換回路31とを有する。
【0078】
論理回路LCは、レジスタ26から入力されたブロックアドレス信号BLKADDに基づき、出力信号を出力する。論理回路LCは、ブロックアドレス信号BLKADDがヒットするブロックデコーダ25Bにおいては、全ての出力信号が"H"レベル(ハイレベル)となり、ヒットしないブロックデコーダ25Bにおいては、いずれかの出力信号が"L"レベル(ローレベル)となる。論理積回路ANDは、論理回路LCの出力信号の論理積結果を信号SELとしてインバータNV及び負電圧変換回路31に出力する。つまり、ブロックアドレス信号BLKADDがヒットし、かつ対応するブロックBLKが正常であると判定されたブロックデコーダ25Bにおいては"H"レベルの信号SELが出力される。また、ブロックアドレス信号BLKADDがヒットしない、又は対応するブロックBLKが異常であると判定されたブロックデコーダ25Bにおいては"L"レベルの信号SELが出力される。インバータNV1は、論理積回路ANDから出力される信号SELを反転させる。インバータNV1は、反転の結果、信号SELnを出力する。
【0079】
負電圧変換回路31は、入力された信号SELまたは信号SELnとして入力された接地電圧Vssを、負電圧である電源電圧VBBに変換する。
図8は、本実施形態における負電圧変換回路31の構成の一例を示す回路図である。負電圧変換回路31は、2個のPMOSトランジスタPM11、PM12と、4個のNMOSトランジスタNM11、NM12、NM13、NM14とから構成される。信号SELnの入力端子と電源電圧VBBの入力端子との間に、PMOSトランジスタPM11と、NMOSトランジスタNM11、13が直列に接続されている。また、信号SELの入力端子と電源電圧VBBの入力端子との間に、PMOSトランジスタPM12と、NMOSトランジスタNM12、14が直列に接続されている。
【0080】
PMOSトランジスタPM11、PM12のゲートには、接地電圧Vssが入力される。NMOSトランジスタNM11のゲートには、信号SELが入力される。NMOSトランジスタNM12のゲートには、信号SELnが入力される。NMOSトランジスタNM13のゲートには、PMOSトランジスタPM12とNMOSトランジスタNM12との接続点の電圧が入力される。NMOSトランジスタNM14のゲートには、PMOSトランジスタPM11とNMOSトランジスタNM11との接続点の電圧が入力される。PMOSトランジスタPM11、PM12には、ウェル電圧として電源電圧VRDが供給される。NMOSトランジスタNM11~NM14は、トリプルウェル構造を有している。
【0081】
図9は、負電圧変換回路内のNMOSトランジスタの構造を説明する断面図である。
図9には、NMOSトランジスタNM13の構造を示すが、他のNMOSトラジスタNM11、NM12、NM14の構造も同様である。NMOSトランジスタNM13は、p型の半導体基板71の所定領域に、n型不純物(例えば、ヒ素(As))を注入・拡散させて形成されたNウェル711が形成されている。Nウェル711内には、p型不純物(例えば、ボロン(B))を注入・拡散させたPウェル712が形成されている。Pウェル712内に、n型不純物(例えば、リン(P))を注入・拡散させたソース領域713とドレイン領域714とが形成されている。ソース領域713とドレイン領域714の間の半導体基板上には、ゲート絶縁膜を介して、導電材料からなるゲート電極715が設けられている。すなわち、NMOSトランジスタNM13は、ソース領域713、ドレイン領域714、及び、ゲート電極715から形成されている。ソース領域713とPウェル712には、負の電源電圧VBBが供給されている。Nウェル711には、電圧VDNW_BD(≧0V)が供給される。Nウェル711を設けない構造のNMOSトランジスタの場合、n型のソース領域713に負電圧が印加されると、接地電圧Vss(0V)に固定されているp型の半導体基板71との間で順バイアスが形成されてしまい、NMOSトランジスタNM13から半導体基板71へ大きなリーク電流が流れてしまう。本実施形態では、NMOSトランジスタNM13をこのようなトリプルウェル構造で構成することにより、ソース領域713に負電圧が印加されても、Pウェル712と半導体基板71との間に形成されたNウェル711によってリーク経路を遮断することができる。
【0082】
PMOSトランジスタPM12とNMOSトランジスタNM12との接続点の電圧が、信号RDECADとして出力される。また、PMOSトランジスタPM11とNMOSトランジスタNM11との接続点の電圧が、信号RDECADnとして出力される。
【0083】
信号SELが"H"レベルである場合、PMOSトランジスタPM12の一端には電源電圧VRDが入力される。信号SELnは"L"レベルであるので、PMOSトランジスタPM11の一端には接地電圧Vssが入力される。この場合、PMOSトランジスタPM12がオン状態となり、PMOSトランジスタPM11はオフ状態となる。NMOSトランジスタNM11、NM13は、ゲートに電圧VRDが印加されるため、オン状態となる。NMOSトランジスタNM12ゲートに電圧Vssが印加されるため、オフ状態となる。NMOSトランジスタNM14は、ゲートに電圧VBBが印加されるため、オフ状態となる。このように各トランジスタPM11、PM12、NM11~NM14のオン・オフが切り替わることにより、信号RDECADとして電圧VRDが出力され、信号RDECADnとして電圧VBBが出力される。
【0084】
信号SELが"L"レベルである場合、PMOSトランジスタPM12の一端には電源電圧Vssが入力される。信号SELnは"H"レベルであるので、PMOSトランジスタPM11の一端には電源電圧VRDが入力される。この場合、PMOSトランジスタPM11がオン状態となり、PMOSトランジスタPM12はオフ状態となる。NMOSトランジスタNM12、NM14は、ゲートに電圧VRDが印加されるため、オン状態となる。NMOSトランジスタNM11ゲートに電圧Vssが印加されるため、オフ状態となる。NMOSトランジスタNM13は、ゲートに電圧VBBが印加されるため、オフ状態となる。このように各トランジスタPM11、PM12、NM11~NM14のオン・オフが切り替わることにより、信号RDECADとして電圧VBBが出力され、信号RDECADnとして電圧VRDが出力される。負電圧変換回路31から出力される信号RDECADと信号RDECADnは、レベル変換回路30に入力される。
【0085】
レベル変換回路30は、電源電圧VRDに応じた信号RDECADを、高い電源電圧(VGBST)に応じた信号BLKSELへ変換する。具体的には、レベル変換回路30は、電源電圧VRDに応じた"H"レベルの信号RDECADおよび"L"レベルの信号RDECADnが入力された場合、その信号を電源電圧VGBSTに応じた"H"レベルの信号BLKSELに変換して出力する。また、レベル変換回路30は、"L"レベルの信号RDECADおよび"H"レベルの信号RDECADnが入力された場合、"L"レベルの信号RDECADを"L"レベルの信号BLKSELとして出力する。なお、電源電圧VGBSTは、選択されたブロックに対応するスイッチ回路群25Aの、トランジスタTR_SG0~TR_SG4およびトランジスタTR_CG0~TR_CG7を全てオン状態にする電圧が設定される。
【0086】
図10は、レベル変換回路の構成の一例を示すブロック図である。レベル変換回路30は、デプレッション型のNMOSトランジスタNM1と、高耐圧のPMOSトランジスタPM1とを含む。NMOSトランジスタNM1の一端には、電源電圧VGBSTが入力される。NMOSトランジスタNM1の他端は、PMOSトランジスタPM1の一端と接続されている。PMOSトランジスタPM1の他端には、信号RDECADが入力される。信号RDECADは、NMOSトランジスタNM1のゲートにも入力される。また、信号RDECADnは、PMOSトランジスタPM1のゲートに入力される。PMOSトランジスタPM1の他端から、信号BLKSELが出力される。また、PMOSトランジスタPM1の他端と信号BLKSELの出力端子との接続点n1と、信号RDECADの入力端子との間には、逆流防止回路301が設けられている。
【0087】
レベル変換回路30において、信号RDECADが"H"レベル、すなわち、電圧VRDであり、信号RDECADnが"L"レベル、すなわち電圧VBBである場合、NMOSトランジスタNM1とPMOSトランジスタPM1はともにオン状態となる。従って、NMOSトランジスタNM1の一端に入力される電源電圧VGBSTが、信号BLKSELとして出力される。なお、電源電圧VGBST>電圧VRDであるが、逆流防止回路301がもうけられているため、信号RDECADの入力端子側への流出は防止される。故に、信号BLKSELの出力レベルは電源電圧VGBSTが保持される。
【0088】
レベル変換回路30において、信号RDECADが"L"レベル、すなわち、電圧VBBであり、信号RDECADnが"H"レベル、すなわち電圧VRDである場合、NMOSトランジスタNM1はデプレッション型であるので、完全にオフ状態にはならない。このため、NMOSトランジスタNM1は電流I1が流れるため、NMOSトランジスタNM1とPMOSトランジスタPM1との接続点n2の電圧は、例えば、2V程度に昇圧される。一方、PMOSトランジスタPM1のゲートには、電圧VRDが印加される。電圧VRDは、例えば2.5Vであるので、ゲートへの印加電圧は接続点n2の電圧よりも大きくなる。故に、PMOSトランジスタPM1はオフ状態となる。従って、信号BLKSELとして電圧VBBが出力される。
【0089】
(2.消去動作)
次に、消去動作について説明する。なお、以下の説明では一例として、シーケンサ27が主体となって消去動作を行う例について説明するが、メモリコントローラ1が主体となって消去動作を行ってもよい。また、以下の説明では、消去動作の対象となるブロックBLK(第1ブロック)を選択ブロックBLK_sel、消去動作の対象とならないブロックBLK(第2ブロック)を非選択ブロックBLK_uselと呼ぶ。
【0090】
(2-1.比較例に係る消去動作)
まず、比較例に係る消去動作について
図11を用いて説明する。
図11は、比較例に係る消去動作時における各配線の電圧の一例を示す波形図である。
【0091】
データ消去動作は、消去電圧印加動作(Erase)と、消去ベリファイ動作(Erase verify)と、を繰り返すことによって実行される。例えば、消去電圧印加動作(Erase)は、複数のNANDストリングNS(例えばブロックBLK内の全てのストリングユニットSU)単位で行われ、消去ベリファイ動作(Erase verify)は、ストリングユニットSU毎に行われる。消去動作においては、まず、消去電圧印加動作が行われる。
【0092】
(Erase1、1回目の消去電圧印加動作)
シーケンサ27は、1回目の消去電圧印加動作(Erase1)動作を実行する。消去動作の開始時において、シーケンサ27は、ソース線SL、選択ゲート線SGS、選択ブロックBLK_selのワード線WL、信号線CG、選択ブロックBLK_selのブロック選択信号BLKSEL、及び、非選択ブロックBLK_uselのブロック選択信号BLKSELを接地電圧である電圧Vssにする。また、シーケンサ27は、非選択ブロックBLK_uselのワード線WLをフローティング状態とする。
【0093】
Erase1を行う場合、シーケンサ27は、時刻T1において、ソース線SLの電圧を、電圧Vssから消去電圧Vera1へと昇圧させる。消去電圧Vera1は、例えば20Vであるが、これに限定されるものではなく、他の電圧であってもよい。また、ビット線BLの電圧もソース線SLと同様に消去電圧Vera1に昇圧させてもよい。
【0094】
シーケンサ27は、時刻T1において、選択ゲート線SGSの電圧を、電圧Vssから消去電圧Verag1へと昇圧させる。消去電圧Verag1は、例えば13Vであるが、これに限定されるものではなく、他の電圧であってもよい。また、ビット線BLの電圧をソース線SLと同様に消去電圧Vera1に昇圧させる場合、選択ゲート線SGDの電圧も選択ゲート線SGSと同様に消去電圧Verag1に昇圧させてもよい。
【0095】
非選択ブロックBLK_uselのワード線WLの電圧は、ソース線SLとの容量カップリングにより、昇圧される。この結果、非選択ブロックBLK_uselのワード線WLの電圧は、消去電圧Vera1と略同じ電圧となる。
【0096】
シーケンサ27は、時刻T1において、グローバルワード線としての信号線CGの電圧を、電圧Vssから電圧VE1へと昇圧させる。電圧VE1は、例えば、0.5Vである。
【0097】
シーケンサ27は、時刻T1において、選択ブロックBLK_selのブロック選択信号BLKSELの電圧を、電圧Vssから電圧VGBSTへと昇圧させる。電圧VGBSTは、信号線CGの電圧を選択ブロックBLK_selのワード線WLに通すための高い電圧であり、例えば電圧Vera1を流用してもよい。
【0098】
これにより、選択ブロックBLK_selのワード線WLの電圧を、電圧Vssから電圧VE1へと昇圧させることができる。この結果、選択ブロックBLK_selのワード線WLの電圧は、信号線CGと同じ、例えば、0.5Vとなる。
【0099】
シーケンサ27は、非選択ブロックBLK_uselのブロック選択信号BLKSELの電圧を電圧Vssのままで維持する。
【0100】
次に、シーケンサ27は、時刻T2において、ソース線SLの電圧を、電圧Vera1から電圧Vssへと降圧させる。
【0101】
シーケンサ27は、時刻T2において、選択ゲート線SGSの電圧を、電圧Verag1から電圧Vssへと降圧させる。
【0102】
非選択ブロックBLK_uselのワード線WLの電圧は、ソース線SLとの容量カップリングにより、降圧される。
【0103】
シーケンサ27は、時刻T2において、グローバルワード線としての信号線CGの電圧を、電圧VE1から電圧Vssへと降圧させる。これにより、選択ブロックBLK_selのワード線WLの電圧は、電圧VE1から電圧Vssへと降圧される。
【0104】
シーケンサ27は、時刻T2において、選択ブロックBLK_selのブロック選択信号BLKSELの電圧を、電圧VGBSTから電圧Vssへと降圧させる。
【0105】
シーケンサ27は、非選択ブロックBLK_uselのブロック選択信号BLKSELの電圧を電圧Vssのままで維持する。以上のようにして、1回目の消去電圧印加動作(Erase1)動作が終了する。
【0106】
(Erase verify1、1回目の消去ベリファイ動作)
"Erase1"の後、消去ベリファイ動作が行われる。具体的には、時刻T3において、シーケンサ27は、1回目の消去ベリファイ動作(Erase verify1)を行う。上述したように、シーケンサ120は、ストリングユニットSU毎に" Erase verify1"を行う。
【0107】
シーケンサ27は、選択ブロックBLK_selのブロック選択信号BLKSELをメモリセルトランジスタMTに対する読み出し動作時の電圧に昇圧させる。シーケンサ27は、選択ブロックBLK中の全てのストリングユニットSUの" Erase verify1"動作の結果がパスである判定する場合、消去動作を終了する。シーケンサ27は、選択ブロックBLK中の全てのストリングユニットSUの" Erase verify1"動作の結果がパスではない(フェイルとも称す)と判定する場合、消去動作を継続する。つまり、シーケンサ27は、2回目の消去電圧印加動作(Erase2)を行う。
【0108】
Erase2を行う場合、シーケンサ27は、ソース線SLの電圧を、電圧Vssから消去電圧Vera2(Vera1+ΔV)へと昇圧させる。また、シーケンサ27は、選択ゲート線SGSの電圧を、電圧Vssから電圧Verag2(Verag1+ΔV)へと昇圧させる。そして、シーケンサ27は、1回目の消去電圧印加動作(Erase1)と同様の動作を実行する。Erase2の場合も、Erase1の場合と同様に、ビット線BLの電圧をソース線SLと同様に消去電圧Vera2(Vera1+ΔV)に昇圧させ、選択ゲート線SGDの電圧を選択ゲート線SGSと同様に電圧Verag2(Verag1+ΔV)に昇圧させてもよい。
【0109】
Erase2の後、シーケンサ27は、2回目の消去ベリファイ動作(Erase verify2)を行う。2回目の消去ベリファイ動作(Erase verify2)は、1回目の消去ベリファイ動作(Erase verify1)と同じである。すなわち、選択ブロックBLK中の全てのストリングユニットSUの" Erase verify2"の結果がパスである判定する場合、消去動作を終了する。一方、シーケンサ27は、選択ブロックBLK中の全てのストリングユニットSUの" Erase verify2"の結果がフェイルであると判定する場合、消去動作を継続する。つまり、シーケンサ27は、3回目の消去電圧印加動作(Erase3)を行う。
【0110】
このように、比較例の消去動作は、それぞれの消去電圧印加動作において、非選択ブロックBLK_uselのブロック選択信号BLKSELの電圧を電圧Vssとしている。すなわち、非選択ブロックBLK_uselに接続されるワード線スイッチとして機能するトランジスタTR_CGのゲートには、0Vが印加される。
【0111】
また、非選択ブロックBLK_uselのワード線WLの電圧は、ソース線SLとの容量カップリングにより、例えば、電圧Vera1付近まで昇圧される。ワード線スイッチとして機能するトランジスタTR_CGにおいてリーク電流が発生すると、非選択ブロックBLK_uselにおけるデータの誤消去が発生する。そのため、信号線CGの電圧を0.5Vに上げてトランジスタTR_CGのソースに供給することで、トランジスタTR_CGを確実にオフさせ、非選択ブロックBLK_uselの誤消去を防止している。
【0112】
しかしながら、信号線CGの電圧を0.5Vに上げると、選択ブロックBLK_selのワード線WLの電圧も0.5Vに上がる。メモリセルトランジスタのデータ消去は、ワード線WLとチャネルとの電圧差によって行われるため、ワード線WLの電圧を0.5Vに上げると、それに伴い消去電圧である電圧Vera1も0.5V上げる必要がある。電圧Vera1が上がることで、消費電力が増大する。また、電圧Vera1が上がることで、トランジスタの耐圧も上げる必要があるため、回路規模が増大する。
【0113】
(2-2.本実施形態に係る消去動作)
次に、本実施形態に係る消去動作について
図12を用いて説明する。
図12は、第1の実施形態に係る消去動作時における各配線の電圧の一例を示す波形図である。
【0114】
図12に示すように、本実施形態では、それぞれの消去電圧印加動作において、非選択ブロックBLK_uselのブロック選択信号BLKSELにブロックデコーダ25Bで生成された負電圧である電圧VBB1を供給する。電圧VBB1は、例えば、-0.5V(第1負電圧)である。
【0115】
シーケンサ27は、信号線CGに0Vの電圧Vssを印加する。すなわち、比較例では、非選択ブロックBLK_uselのブロック選択信号BLKSELとして、0Vの電圧Vssが印加されていたが、本実施形態では、uselのブロック選択信号BLKSELとして、例えば、-0.5Vの負電圧を印加している。そのため、比較例では、信号線CGに0.5Vの電圧VE1が印加されていたが、本実施形態では、信号線CGに0Vの電圧Vssを印加した場合でも、トランジスタTR_CGにおいてリーク電流が発生しない。
【0116】
さらに、信号線CGに0Vの電圧Vssを印加しているため、選択ブロックBLK_selのワード線WLに供給される電圧も0Vの電圧Vssとなる。
【0117】
さらにまた、ソース線SLに印加される消去電圧Vera11は、比較例のソース線SLに印加される消去電圧Vera1よりも0.5V下げ、例えば、19.5Vとすることができる。また、ビット線BL電圧にソース線SLと同様に消去電圧を印加する場合、ビット線BLに印加される消去電圧Vera11を、比較例のソース線BLに印加される消去電圧Vera1よりも0.5V下げることができる。
【0118】
また、選択ゲート線SGSの消去電圧Verag11は、比較例の選択ゲート線SGSの消去電圧Verag1より0.5V下げ、例えば、12.5Vとすることができる。また、選択ゲート線SGDも選択ゲート線SGSと同様に消去電圧Verag11が印加される。
【0119】
このように、本実施形態では、消去電圧印加動作時に、非選択ブロックBLK_uselのブロック選択信号BLKSELとして、負電圧である電圧VBB1を印加するようにした。この結果、信号線CGに印加する電圧VE1、選択ゲート線SGSに印加する消去電圧Verag11、及び、ソース線SLに印加する消去電圧Vera11などを下げることができる。必要とされる消去電圧Vera11を下げることができるため、電圧供給回路28の負荷を下げることができる。これにより、不揮発性メモリ2の消費電力を大幅に削減することができる。一般に、電圧供給回路28は、チャージポンプ回路を含み、チャージポンプ回路によって不揮発性メモリ2に供給される電源電圧VCC(または電源電圧VPP)よりも高い電圧を生成する。高い電圧が必要とされるほど、チャージポンプ回路を大型化する必要がある。本実施形態では、必要とされる電圧の最大値を低下させることにより、電圧供給回路28に含まれるチャージポンプ回路のサイズを抑制することができるため、不揮発性メモリ2のチップ面積を抑制することができる。
【0120】
また、ビット線BLとセンスアンプ24との間には、消去電圧印加動作時にビット線BLからセンスアンプ24に高電圧(消去電圧Vera)が供給されないようにするための耐圧用のトランジスタが設けられている。本実施形態では、消去電圧Veraを低くすることができるため、耐圧用のトランジスタのサイズを小さくすることができ、不揮発性メモリ2のチップ面積を削減することができる。
【0121】
また、電源遮断時、例えば、不揮発性メモリ2において電源が急に喪失した場合、安全にシャットダウンするために、内部の電圧を急いで放電する必要がある。例えば、消去電圧印加動作中の場合、高電圧な消去電圧Veraを急いで放電する必要があるが、本実施形態では、消去電圧Veraを低くすることができるため、放電時間を短縮することができる。
【0122】
また、本実施形態では、消去電圧Veraを低くすることができるため、消去電圧Veraを生成する電圧供給回路28内のチャージポンプ回路の消費電力及び回路面積を削減することができる。
【0123】
なお、本実施形態では、消去電圧印加動作時に、全てのワード線WLに同一の電圧を印加する例を示した。しかし、例えば、ワード線WLごとに、物理的な位置や構成 (層数、 厚み) が異なる。例えば、ワード線WLごとの物理的な位置や構成の違いをキャンセルするように、印加する電圧をワード線WLごとに調節してもよい。
【0124】
また、本実施形態では、ワード線スイッチとして機能するトランジスタTR_CGのゲートに-0.5V、ソースに0V、ドレインに19.5Vの電圧を印加している。このとき、基板にも-0.5Vの電圧を印加する。ただし、基板に印加する電圧は、-0.5Vに限定されるものではない。例えば、基板に-3Vの電圧を印加した場合、バックバイアスでトランジスタTR_CGの閾値Vthが上がるため、ゲートに印加する電圧を、例えば、-0.4V等に上げることができる。これにより、基端とドレイン間の耐圧は厳しくなるが、ゲートとドレイン間の耐圧を緩和することができる。
【0125】
また、例えば、基板に0Vの電圧を印加した場合、バックバイアスでトランジスタTR_CGの閾値Vthが下がるため、ゲートに印加する電圧を、例えば、-0.6V等に下げる必要がある。この場合、ゲートとドレイン間の耐圧は厳しくなるが、基端とドレイン間の耐圧は緩和することができる。すなわち、基板に印加する電圧は、-0.5Vに限定されるものではなく、トランジスタTR_CGのゲートとドレイン間の耐圧を緩和するように、又は、基端とドレイン間の耐圧を緩和するように、適宜変更することができる。
【0126】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
図13は、第2の実施形態に係る消去動作時における各配線の電圧の一例を示す波形図である。
【0127】
図13に示すように、本実施形態では、それぞれの消去電圧印加動作において、非選択ブロックBLK_uselのブロック選択信号BLKSELにブロックデコーダ25Bで生成された負電圧である電圧VBB2を供給する。電圧VBB2は、例えば、電圧VBB1よりも低い-3V(第2負電圧)である。
【0128】
シーケンサ27は、信号線CGに負電圧である電圧VE2を印加する。電圧VE2は、例えば、-2.5Vである。すなわち、比較例では、非選択ブロックBLK_uselのブロック選択信号BLKSELとして、0Vの電圧Vssが印加されていたが、本実施形態では、uselのブロック選択信号BLKSELとして、例えば、-3Vの負電圧を印加している。そのため、比較例では、信号線CGに0.5Vの電圧VE1が印加されていたが、本実施形態では、信号線CGに-2.5Vの電圧VE2を印加した場合でも、トランジスタTR_CGにおいてリーク電流が発生しない。
【0129】
さらに、信号線CGに負電圧の電圧VE2を印加しているため、選択ブロックBLK_selに供給される電圧も負電圧の電圧VE2となる。
【0130】
さらにまた、ソース線SLに印加される消去電圧Vera21は、比較例のソース線SLに印加される消去電圧Vera1よりも3V下げ、例えば、17Vとすることができる。また、ビット線BLにソース線SLと同様に消去電圧を印加する場合、ビット線BLに印加される消去電圧Vera21を、比較例のソース線BLに印加される消去電圧Vera1よりも3V下げることができる。
【0131】
また、選択ゲート線SGSの消去電圧Verag21は、比較例の選択ゲート線SGSの消去電圧Verag1より3V下げ、例えば、10Vとすることができる。また、選択ゲート線SGDも選択ゲート線SGSと同様に消去電圧Verag21が印加される。
【0132】
このように、本実施形態では、消去電圧印加動作時に、非選択ブロックBLK_uselのブロック選択信号BLKSELとして、第1の実施形態の電圧VBB1よりも大きな負電圧である電圧VBB2を印加するようにした。この結果、信号線CGに印加する電圧VE2、選択ゲート線SGSに印加する消去電圧Verag21、及び、ソース線SLに印加する消去電圧Vera21などを、第1の実施形態よりも下げることができる。
【0133】
この結果、第2の実施形態の不揮発性メモリ2は、第1の実施形態よりも消費電力を更に削減することができる。
【0134】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、一例として示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0135】
1…メモリコントローラ、2…不揮発性メモリ、11…RAM、12…プロセッサ、13…ホストインターフェイス、14…ECC回路、15…メモリインターフェイス、16…内部バス、21…ロジック制御回路、22…入出力回路、23…メモリセルアレイ、24…センスアンプ、24A…センスアンプユニット群、24B…データレジスタ、25…ロウデコーダ、26…レジスタ、27…シーケンサ、28…電圧生成回路、32…入出力用パッド群、34…ロジック制御用パッド群、35…電源入力用端子群、71…半導体基板、281…電圧生成回路、281A…BDH電源電圧生成回路、281B…BDL電源電圧生成回路、282…電圧調整回路、282A…SGドライバ、282B…CGドライバ、301…逆流防止回路、634…メモリピラー、635…ブロック絶縁膜、636…電荷蓄積膜、637…トンネル絶縁膜、638…半導体柱、641…導電体。