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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067529
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】設備情報収集装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20240510BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177678
(22)【出願日】2022-11-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和4年9月1日ソフトウェアリリース (2)令和4年7月15日ソフトウェアの記事をウェブ上で公開 (3)令和4年10月3日ソフトウェアの記事をウェブ上で公開 (4)令和4年5月12日中部イベントで説明 (5)令和4年5月13日Virtual Demo Dayで公開 (6)令和4年7月27日あいちイベントで説明 (7)令和4年3月1日~10月31日VC等への個別説明
(71)【出願人】
【識別番号】522115343
【氏名又は名称】株式会社Robofull
(74)【代理人】
【識別番号】110002181
【氏名又は名称】弁理士法人IP-FOCUS
(72)【発明者】
【氏名】山本 大
(72)【発明者】
【氏名】深谷 誠
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】産業設備の知識に乏しい地場商社等に対して、専門的な知識がなくてもその事業者にあった産業設備の提案を行うことができる設備情報収集装置を提供する。
【解決手段】設備情報収集装置1はサーバ2に記憶されたプログラムによって構築される。サーバ2は、ネットワーク3に接続され、ネットワーク3には、管理者端末4、ユーザ端末5、設備情報データベース6、及び複数の事業所7が接続される。管理者は、管理者端末4において複数の事業所7の情報を収集・分析し、地場商社の担当者に提案資料34を提供する。情報の収集はクローリングによって行う。管理者端末4では、既存設備情報及び既存工程情報から事業所7が潜在的に設置可能な潜在設備情報及び潜在的に実施可能な潜在工程情報が得られる。地場商社の担当者は、当該潜在設備情報及び潜在工程情報を事業所7に提案できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを用いて、事業所における設備の情報を収集する装置であって、
前記事業所における既存設備の情報である既存設備情報と、前記事業所における既存工程の情報である既存工程情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部によって取得された前記既存設備情報及び前記既存工程情報を用いて、前記事業所における前記既存設備以外に潜在的に設置可能な潜在設備情報と、前記事業所において行われている前記既存工程以外の潜在的に実施可能な潜在工程情報を抽出する潜在情報抽出部と、
前記既存設備情報、前記既存工程情報、前記潜在設備情報、及び前記潜在工程情報を含む情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された情報を検索する検索部と、
検索条件となる検索情報の入力を受け付ける入力部と、
各種の画面及び情報を表示させる表示部と、
前記情報取得部、前記潜在情報抽出部、前記記憶部、前記検索部、前記入力部、及び前記表示部の制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、前記入力部から前記検索情報が入力された際に、前記検索部によって少なくとも前記潜在設備情報、又は前記潜在工程情報のいずれか一方を検索し、前記検索部による検索結果を前記表示部によって表示させることを特徴とする設備情報収集装置。
【請求項2】
請求項1に記載の設備情報収集装置であって、
前記潜在情報抽出部は、前記既存設備情報における設備の名称から、少なくとも前記設備が有する諸元である設備諸元と、前記設備に導入されるワークの諸元である導入ワーク諸元と、前記設備から導出されるワークの諸元である導出ワーク諸元と、予め設定された一覧表への当てはめによる発生工程の明確化を含む設備評価を行い、前記設備評価によって、前記設備の前後に配置可能な設備を前記潜在設備情報とし、前記設備の前後で実施可能な工程を前記潜在工程情報とすることを特徴とする設備情報収集装置。
【請求項3】
請求項1に記載の設備情報収集装置であって、
前記制御部は、前記入力部から前記検索情報として検索設備情報又は検索工程情報が入力された際に、前記検索設備情報又は前記検索工程情報に関連する前記既存設備情報、前記既存工程情報、前記潜在設備情報、又は前記潜在工程情報を備える前記事業所を検索し、前記検索結果を前記表示部によって表示させることを特徴とする設備情報収集装置。
【請求項4】
請求項1に記載の設備情報収集装置であって、
少なくとも前記既存設備情報及び前記既存工程情報を基礎として前記事業所で取り扱われるワークの形状であるワーク形状及び前記ワークの寸法範囲であるワーク寸法範囲を算出するワーク形状算出部を備え、
前記ワーク形状及び前記ワーク寸法範囲は、少なくとも前記潜在設備情報又は前記潜在工程情報に関連付けられて前記記憶部に記憶され、
前記制御部は、前記入力部から前記検索情報として、少なくとも前記ワーク形状又は前記ワーク寸法範囲が入力された際に、前記ワーク形状又は前記ワーク寸法範囲のワークを取り扱っている前記事業所を検索し、前記検索結果を前記表示部によって表示させることを特徴とする設備情報収集装置。
【請求項5】
請求項1に記載の設備情報収集装置であって、
前記制御部は、前記入力部から前記検索情報として事業所名が入力された際に、少なくとも前記記憶部における前記事業所名に関連する前記潜在設備情報又は前記潜在工程情報のいずれか一方を検索し、前記検索結果を前記表示部によって表示させることを特徴とする設備情報収集装置。
【請求項6】
請求項1に記載の設備情報収集装置であって、
前記検索部による検索結果のうち、少なくとも前記潜在設備情報を提案先に提示可能な提案資料とする提案資料作成部と、
提案した前記潜在設備情報について、前記提案先の反応を入力可能な反応入力部をさらに備え、
前記制御部は、前記反応入力部によって入力された反応を前記潜在設備情報に関連付けて前記記憶部に記憶することを特徴とする設備情報収集装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業設備に関する情報を提供するために設備情報の収集を行う装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械等を中心とする産業設備は、工場等において工程の効率化のために導入されている。このような設備を導入する際には、設備についての知識と、設備導入のためのノウハウを備えた設計者によって設計が行われる。
【0003】
特許文献1には、設計者が産業設備の設計をしやすいように、過去に製造された設備の情報を記憶したデータベースを利用して、設計の容易化を図ることができるシステムが開示されている。特許文献2に開示されたシステムでは、ロボット等の設備をアイコン化して、設計画面上にアイコンを配置させて設計ができるようになっており、同時に、設備導入の際の費用の見積りが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-219857号公報
【特許文献2】特開2019-061404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、産業設備の導入が進んでいない事業者に対しては、その事業者の所有する設備等を考慮した提案を行う必要がある。そのような提案は、各地域に密着したいわゆる地場商社が担うことで、各事業者へのきめ細やかな対応とその地域における産業の発展が期待される。
【0006】
しかしながら、産業設備に精通し、各事業者の実情に応じた設備の提案ができる人材はまれであり、多くの地場商社は、このような対応が困難なことが予想される。また、特許文献1又は特許文献2に記載のシステムは、産業設備に詳しい設計者でなければ取り扱うことができないため、地場商社に導入した場合であっても、その活用は困難である。
【0007】
本発明は、産業設備の知識に乏しい地場商社等に対して、専門的な知識がなくてもその事業者にあった産業設備の提案を行うことが可能となるように、産業設備の情報の収集を行う装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の設備情報収集装置は、コンピュータを用いて、事業所における設備の情報を収集する装置であって、前記事業所における既存設備の情報である既存設備情報と、前記事業所における既存工程の情報である既存工程情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部によって取得された前記既存設備情報及び前記既存工程情報を用いて、前記事業所における前記既存設備以外に潜在的に設置可能な潜在設備情報と、前記事業所において行われている前記既存工程以外の潜在的に実施可能な潜在工程情報を抽出する潜在情報抽出部と、前記既存設備情報、前記既存工程情報、前記潜在設備情報、及び前記潜在工程情報を含む情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された情報を検索する検索部と、検索条件となる検索情報の入力を受け付ける入力部と、各種の画面及び情報を表示させる表示部と、前記情報取得部、前記潜在情報抽出部、前記記憶部、前記検索部、前記入力部、及び前記表示部の制御を行う制御部を備え、前記制御部は、前記入力部から前記検索情報が入力された際に、前記検索部によって少なくとも前記潜在設備情報、又は前記潜在工程情報のいずれか一方を検索し、前記検索部による検索結果を前記表示部によって表示させることを特徴とする。
【0009】
本発明の設備情報収集装置は、潜在情報抽出部が、事業所における既存設備の情報である既存設備情報と既存の工程情報である既存工程情報から、潜在設備情報と潜在工程情報を抽出する。この潜在設備情報及び潜在工程情報は、その事業所において導入が可能な設備及び工程である。検索部によって事業所名等の検索情報を入力すると、潜在設備情報又は潜在工程情報の少なくともいずれかの情報を得ることができる。このように、本発明の設備情報収集装置によれば、その事業所において設置可能な既存設備以外の設備、或いはその事業所において実施可能な既存工程以外の工程を知ることができる。このため、本発明の設備情報収集装置により収集した情報により、当該事業所に対して新たな設備の提案を行うことができる。
【0010】
本発明の設備情報収集装置において、前記潜在情報抽出部は、前記既存設備情報における設備の名称から、少なくとも前記設備が有する諸元である設備諸元と、前記設備に導入されるワークの諸元である導入ワーク諸元と、前記設備から導出されるワークの諸元である導出ワーク諸元と、予め設定された一覧表への当てはめによる発生工程の明確化を含む設備評価を行い、前記設備評価によって、前記設備の前後に配置可能な設備を前記潜在設備情報とし、前記設備の前後で実施可能な工程を前記潜在工程情報としてもよい。
【0011】
当該構成によれば、収集された設備情報から、設備評価によって潜在的に設置可能な設備及び工程の抽出が可能となる。
【0012】
本発明の設備情報収集装置において、前記制御部は、前記入力部から前記検索情報として検索設備情報又は検索工程情報が入力された際に、前記検索設備情報又は前記検索工程情報に関連する前記既存設備情報、前記既存工程情報、前記潜在設備情報、又は前記潜在工程情報を備える前記事業所を検索し、前記検索結果を前記表示部によって表示させるようにしてもよい。
【0013】
当該構成によれば、検索情報として検索設備情報又は検索工程情報を入力すれば、ある設備を有する事業所や、ある工程が実施可能な事業所の情報を得ることができる。従って、設備情報や工程情報から、提案を行う対象である事業所の洗い出しを行うことができる。
【0014】
本発明の設備情報収集装置において、少なくとも前記既存設備情報及び前記既存工程情報を基礎として前記事業所で取り扱われるワークの形状であるワーク形状及び前記ワークの寸法範囲であるワーク寸法範囲を算出するワーク形状算出部を備え、前記ワーク形状及び前記ワーク寸法範囲は、少なくとも前記潜在設備情報又は前記潜在工程情報に関連付けられて前記記憶部に記憶され、前記制御部は、前記入力部から前記検索情報として、少なくとも前記ワーク形状又は前記ワーク寸法範囲が入力された際に、前記ワーク形状又は前記ワーク寸法範囲のワークを取り扱っている前記事業所を検索し、前記検索結果を前記表示部によって表示させるようにしてもよい。
【0015】
当該構成によれば、新たな設備や工程の導入を検討する際に、ワークの形状や寸法範囲に関連する事業所を検索することができるので、これらの情報を事業所を検索する際の指標として用いることができる。
【0016】
また、本発明の設備情報収集装置において、前記制御部は、前記入力部から前記検索情報として事業所名が入力された際に、少なくとも前記記憶部における前記事業所名に関連する前記潜在設備情報又は前記潜在工程情報のいずれか一方を検索し、前記検索結果を前記表示部によって表示させてもよい。
【0017】
当該構成によれば、検索情報として事業所名を入力すれば、潜在設備情報又は潜在工程情報の一方或いは双方が検索結果として表示される。従って、当該事業所において、既存設備や既存工程にはない設備や工程が可視化され、顕在化する。このため、事業所名を検索情報として検索すれば、その事業所には導入されていないが、導入が可能な設備や工程を事業所の担当者に提案することができる。
【0018】
本発明の設備情報収集装置において、前記検索部による検索結果のうち、少なくとも前記潜在設備情報を提案先に提示可能な提案資料とする提案資料作成部と、提案した前記潜在設備情報について、前記提案先の反応を入力可能な反応入力部をさらに備え、前記制御部は、前記反応入力部によって入力された反応を前記潜在設備情報に関連付けて前記記憶部に記憶するようにしてもよい。
【0019】
当該構成によれば、地場商社の担当者に対して、営業対象である事業所への提案資料を提供することができ、担当者が事業者に対して事業所における新たな設備や工程の提案を行った際の事業者の反応を蓄積し、営業用の情報として利用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、多くの事業者の情報を収集すると共に、収集された情報から事業所に設置可能な潜在設備情報及び潜在工程情報を得ることができ、産業設備の知識に乏しい地場商社等に対して、専門的な知識がなくてもその事業者にあった産業設備の提案を行うことができる提案資料の作成が可能な設備情報収集装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態の一例である設備情報収集装置の概要を示す説明図。
図2】設備情報収集装置の企業別検索画面を示す説明図。
図3】設備情報収集装置の工程別検索画面を示す説明図。
図4】設備情報収集装置の工程分析画面を示す説明図。
図5】設備情報収集装置の検索・登録画面を示す説明図。
図6】設備情報収集装置の登録内容編集画面を示す説明図。
図7】設備情報収集装置の管理画面を示す説明図。
図8】設備情報収集装置における提案資料の一例を示す説明図。
図9】設備情報収集装置の結果登録画面を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態の一例である産業設備の設計装置について、図1図9を参照して説明する。本実施形態の設備情報収集装置1は、図1に示すように、サーバ2及びサーバ2内に記憶されたソフトウエアによって実現される装置である。
【0023】
図1に示すように、サーバ2は、インターネット等のネットワーク3に接続されている。また、ネットワーク3には、管理者端末4、ユーザ端末5、設備情報データベース6、及び複数の事業所7が接続されている。
【0024】
サーバ2は、主要なハードウエアとしてコンピュータを備えている。コンピュータは、CPU、GPU等のプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスク、又はSSD(ソリッドステートドライブ)等の記憶装置、ネットワーク3への接続を行う通信部等を備えている。また、サーバ2の記憶装置には、サーバ2を本実施形態の設備情報収集装置1として作動させるためのプログラムが記憶されている。なお、コンピュータには、クラウドコンピューティングシステムが含まれる。
【0025】
図1に示すように、サーバ2は、プログラムにより実現される機能部として、情報取得部11と、潜在情報抽出部12と、入力部13と、記憶部14と、検索部15と、表示部16と、ワーク形状算出部17と、提案資料作成部18と、反応入力部19と、制御部20を備えている。
【0026】
情報取得部11は、事業所7における既存設備の情報である既存設備情報と、前記事業所における既存工程の情報である既存工程情報を取得する機能部である。既存設備情報及び既存工程情報は、複数の事業所7のホームページや、商社のホームページに記載された情報から取得する。情報収集の手法としては、クローリングと呼ばれる手法を用いており、定期的に情報の取得を行っている。
【0027】
情報取得部11は、事業所7のホームページに記載されている設備の名称を既存設備情報として取得する。同様に、事業所7のホームページに記載されている工程の名称を既存工程情報として取得する。事業所7のホームページでは、設備や工程の名称について統一的なルールが用いられているわけではないので、事業所7が異なれば同じ設備や工程であっても異なった名称が付されている場合がある。
【0028】
本実施形態の情報取得部11では、設備及び工程の名称について、それぞれの事業所7において用いられている用語の揺らぎを考慮した上で、同じ設備及び工程が同一の名称となるように用語の統一を行っている。この用語の統一は、用語統一規則に従って用語を処理することにより行うことができ、機械学習やディープラーニングを用いて行うこともできる。
【0029】
潜在情報抽出部12は、情報取得部11によって取得された既存設備情報及び既存工程情報を用いて事業所7において潜在的に設置可能な設備と、事業所7において潜在的に実施可能な工程を抽出する機能部である。
【0030】
潜在情報抽出部12における抽出工程は、既存設備情報における設備の名称から、少なくともその設備が有する諸元である設備諸元と、その設備に導入されるワークの諸元である導入ワーク諸元と、その設備から導出されるワークの諸元である導出ワーク諸元と、予め設定された一覧表への当てはめによる発生工程の明確化を含む設備評価を行い、この設備評価によって、設備の前後に配置可能な設備又は実施可能な工程を抽出することにより行う。
【0031】
設備諸元は、例えば、機械の性能として、切削、研削、切断、曲げ等の加工機械としての基本性能と、使用するツールとして、バイト、砥石、カッター、ベンダー等のツール情報、三次元の座標軸(X軸、Y軸、Z軸)における加工の方向やツールの加工軸、端部加工や全体加工等の加工範囲等が該当する。このような設備諸元により、既存設備情報における設備について、客観的なパラメータを明らかにする。
【0032】
ワーク諸元は、ワークの形状、三次元の座標軸における寸法や角度、単品か組立体か、及び材質等、ワークについての客観的なパラメータである。本実施形態では、導入ワーク諸元と導出ワーク諸元は、同一のパラメータで管理を行っている。
【0033】
発生工程の明確化は、情報を収集した設備において生じる工程を洗い出し、工程を横軸と縦軸に設けた項目からなる一覧表としてまとめ、情報取得部11によって取得された既存設備情報における設備について、どのような工程が生じるかを当てはめることにより、その設備における工程を客観的に明らかにしている。
【0034】
一覧表としては、横軸に、金型付け替えの有無、ツール付け替えの有無、面取りの有無、ワークの投入方向等の項目を設定し、縦軸に、これらの横軸の項目について該当するか否かの入力を行う。例えば、ワークの投入方向であれば、X方向である等の入力を行う。
【0035】
潜在情報抽出部12では、この設備評価によって、情報取得部11によって取得された既存設備情報における設備について、その前後でどのような設備が設置可能であり、どのような工程が実施可能かが明らかになるので、潜在設備及び潜在工程の抽出を行うことができる。
【0036】
入力部13は、図2図9に示す各種画面を管理者端末4のディスプレイ4bに表示させ、検索条件である検索情報等を入力可能にする機能部である。管理者は、入力部13によって、事業所7の名称や住所等を検索情報として入力し、検索部15の機能によって事業所7の検索を行うことができる。
【0037】
記憶部14は、既存設備情報、既存工程情報、潜在設備情報、及び潜在工程情報を含む情報を記憶する機能部である。この記憶部14には、用語の統一がなされた既存設備情報及び既存工程情報がデータベース化されて記憶されている。潜在設備情報及び潜在工程情報についても、用語の統一がなされて記憶部14に記憶されている。また、記憶部14には、後述するワーク形状算出部17によって算出されたワーク形状及びワーク寸法範囲も記憶されている。
【0038】
本実施形態では、これらの情報がサーバ2内の記憶部14に記憶されているが、同時に、設備情報データベース6にも同様の情報が記憶されている。設備情報データベース6は、サーバ2を複数設置する場合に、各サーバからアクセスして情報の取得ができるように構成されている。
【0039】
検索部15は、入力部13によって入力された検索情報について、記憶部14又は設備情報データベース6に記憶された情報を検索し、所定の結果を導き出す機能部である。
【0040】
ワーク形状算出部17は、少なくとも既存設備情報及び既存工程情報を基礎として事業所7で取り扱われるワークの形状であるワーク形状及びワークの寸法範囲であるワーク寸法範囲を算出する機能部である。このワーク形状及びワーク寸法範囲は、潜在設備情報又は潜在工程情報に関連付けられて記憶部14に記憶されている。なお、これらの数値を算出する際に、既存設備情報及び既存工程情報のみならず、潜在設備情報又は潜在工程情報を用いて算出してもよい。
【0041】
提案資料作成部18は、検索部15による検索結果のうち、提案先である事業所に提示可能な潜在設備情報を、提案資料34(図8参照)として生成することができる機能部である。提案資料34は、電子データとして生成することもでき、紙に印刷して生成することもできる。また、反応入力部19は、提案資料34を提案先に提案した際の提案先の担当者の反応を入力することができる機能部である。
【0042】
制御部20は、上記情報取得部11、潜在情報抽出部12、記憶部14、入力部13、表示部16、ワーク形状算出部17、提案資料作成部18及び反応入力部19の制御を行う機能部である。この制御部20は、ハードウエアとしてのコンピュータ等と、ソフトウエアとしてのプログラムによって実現される。
【0043】
管理者端末4は、本実施形態の設備情報収集装置1の管理者が、複数の事業所7の情報を収集し、収集した情報を整理して、地場商社の担当者に提案が可能な情報を取得することができる端末である。
【0044】
ハードウエア的には、管理者端末4は、本実施形態の設備情報収集装置1によって形成される画面を閲覧及び操作可能な端末であり、図1では、コンピュータ本体4a、ディスプレイ4b、キーボード4c及びマウス4dを有するパーソナルコンピュータの例を示す。この管理者端末4は、ノート型コンピュータ、或いはタブレット端末等とすることもできる。
【0045】
ユーザ端末5は、地場商社の担当者(ユーザ)が営業先の事業所に持参可能な端末であり、図1ではタブレット端末を例にしているが、その他、ノート型コンピュータ、或いはスマートフォン等の端末も用いることができる。
【0046】
設備情報データベース6は、既存設備情報、既存工程情報、潜在設備情報、潜在工程情報等の情報を記憶しているデータベースである。設備の情報として、プレス機、旋盤、NC(Numerically Control)旋盤、レーザー装置、ボール盤、溶接機、マシニングセンタ等の情報が記憶され、工程の情報として、切削加工、研削加工、開先加工、放電加工、熱加工、真空加工、溶接加工等の情報が記憶されている。
【0047】
事業所7は、生産設備、加工設備、或いは梱包設備等の設備を有する施設が該当する。このような事業所7の多くは、自身のホームページを有しており、自身の有する設備や工程についての情報の開示を行っている。又は、事業所7の情報は、商社が運営する販売サイトにおいて開示されている場合もある。
【0048】
次に、本実施形態の設備情報収集装置1の作動について、各図面を参照して説明する。まず、情報取得部11によって行われる情報取得工程について説明する。情報取得工程では、図1に示すサーバ2の記憶部14に記憶されたプログラムによって、インターネット等のネットワーク3に記載された事業所7のホームページ等に記載された情報を取得する。
【0049】
具体的には、情報取得部11は、クローラと呼ばれるプログラムによって、情報収集の許可を受けたウェブ上の文書や画像、及び動画などを周期的に取得し、自動的に用語の統一を行ってデータベース化している。本実施形態では、どの事業所7が、どのような設備を保有し、どのような工程が実施可能であるかの情報を収集する。また、情報取得部11は、事業所7から自発的に提供された情報も取得することができる。
【0050】
次に、潜在情報抽出部12が、その事業所7において、新たに設置可能な潜在設備情報、及び新たに導入が可能な潜在工程情報を抽出する。潜在設備情報は、その事業所7の既存設備以外の設備であって、その事業所7において導入が可能と予測される設備である。事業所7の有する既存設備情報からは、その事業所7における電力設備や空調設備等の情報も入手可能であり、このような情報を用いて、その事業所7に設置可能な設備を予測することもできる。
【0051】
また、潜在情報抽出部12は、既存設備情報及び既存工程情報から、潜在工程情報を抽出する。潜在工程情報は、その事業所7における既存工程以外の工程であって、その事業所において実施可能と予測される工程の情報である。潜在情報抽出部12では、既存工程情報によってその事業所においてどのような工程が行われているかが判明しているので、その事業所において既存工程以外にどのような工程が実施可能かを予測して潜在工程情報を取得する。
【0052】
制御部20は、潜在情報抽出部12によって抽出された潜在設備情報及び潜在工程情報を、既存設備情報及び既存工程情報と同様にデータベース化して記憶部14に記憶させる。これにより、記憶部14には、既存設備情報、既存工程情報、潜在設備情報、及び潜在工程情報がデータベース化されて記憶される。
【0053】
次に、管理者が、本実施形態の設備情報収集装置1の管理者端末4を用いて、地場商社の担当者に提供すべき提案資料34の対象となる事業所7の抽出を行う際の作動について説明する。本実施形態においては、事業所7を抽出する手段として、企業別検索、工程別検索、及び工程分析を行うことができる。
【0054】
企業別検索は、図示しない検索選択画面から企業別検索を選択し、図2に示す企業別検索画面21を表示させて行う。企業別検索画面21は、企業名(事業所名)又は企業の住所から事業所7の情報を導き出す検索画面である。
【0055】
図2に示すように、企業別検索画面21は、メニューバー22に企業別検索の文字と、工程別検索の文字と、工程分析の文字が表示されており、それぞれの文字をクリックすることにより、各検索画面を表示させることができるようになっている。
【0056】
また、企業別検索画面21には、企業別検索において検索情報を入力するための入力欄23と、検索ボタン24と、リセットボタン25が設けられている。また、検索を行った際には、検索結果を表示するための結果表26が表示される。
【0057】
この企業別検索画面21において、企業名で検索を行う場合は、例えば、対象となる地場商社のHPから、顧客企業情報を入手し、その中から提案対象となる事業所7を検索することができる。
【0058】
このように、事業所7の企業名がわかっているときは、企業別検索画面21において、企業名で検索を行う。企業別検索画面21の入力欄23に企業名を入れて検索を行うと、図2に示すように企業の情報が表示された結果表26が得られる。結果表26には詳細表示ボタン27が設けられており、この詳細表示ボタン27をクリックすることにより、その企業の詳細情報を閲覧することができるようになっている。詳細情報としては、事業所7の会社名、住所等の企業に関する情報と、その事業所7で行われている工程の名称、及び情報収集をした際のホームページに記載されていた記載内容等が表示される(図示省略)。
【0059】
また、提案対象となる地場商社の所在地を基礎として、その商圏に存在する事業所7の検索を行うようにしてもよい。この場合、企業別検索画面21において、住所の入力を行う。例えば、都道府県と市区町村の情報を入力欄23に入力し、その市区町村に存在する事業所7の検索を行うこともできる。
【0060】
次に、工程別検索について説明する。本実施形態においては、工程から提案対象となる事業所7を検索することもできる。図2の企業別検索画面21におけるメニューバー22に表示された工程別検索の文字をクリックすると、図3に示す工程別検索画面28が表示される。
【0061】
工程別検索画面28では、設備情報データベース6に記憶された複数の工程を横軸に並べ、縦軸に企業数をとり、該当する工程を備える企業の数に応じて棒グラフ29で表示を行っている。この場合、横軸に記載された各工程が、検索対象となる工程である検索工程情報となる。
【0062】
また、棒グラフ29の右横には、工程のフェーズとして、材料前準備、材料切断加工等、工程をフェーズに分類したフェーズ表示30が記載されている。この棒グラフ29は、このフェーズ表示30に合わせて色分けされており、工程を選択する際に工程に関する理解度を高めることができ、工程の選択が容易になるようにしている。
【0063】
例えば、図3において、検索工程情報として「フライス加工」のバーをポインタ31でクリックすると、当該工程を行うことができる事業所の一覧が会社一覧に表示される。このようにして、本実施形態の設備情報収集装置1によれば、提案すべき事業所7を、設備が行う工程から選択することも可能となる。
【0064】
また、工程別検索とは別に、設備別で検索が行えるように、工程別検索画面28における横軸を設備にした設備別検索画面を設けてもよい(図示省略)。この場合は、横軸に記載された設備が、検索対象となる設備である検索設備情報となる。
【0065】
次に、工程分析について説明する。工程分析では、図4に示す工程分析画面32において、ワーク形状幅を縦軸に、主工程を保有する企業数を横軸にして、該当する企業をプロットした分析図33が表示される。この分析図33によって、ワーク形状幅と事業所との関係を俯瞰することで、事業所7の抽出を支援することができる。
【0066】
この工程分析画面32によって、ワークの形状幅に応じた工程と、その工程を保有する企業数を把握することができ、分析図33にプロットされた点をポインタ31でクリックすることで、その条件に合致する企業名の一覧を見ることができる。この分析図33の右横には、工程別検索画面28と同様に、フェーズ表示30が表示されているので、分析図33にプロットされた点の選択が容易となる。なお、分析図33について、縦軸をワーク形状とすることにより、ワーク形状と事業所7との関係について分析することが可能となる。
【0067】
次に、管理者が、管理者端末4を用いて、地場商社の担当者に営業用の情報を提供するための提案資料34を作成する際の作動について説明する。本実施形態の設備情報収集装置1によれば、ユーザが、営業の対象である事業所7に対して営業活動を行う際に、事業所7の担当者に対して、ユーザ端末5を用いてその事業所7で導入可能な設備の紹介等を行う提案資料34を作成することができる。
【0068】
提案資料34を作成する場合、まずは本実施形態の設備情報収集装置1に、営業対象になりうる事業所7の登録を行う。対象となる事業所7は、上記各検索画面を利用して抽出することができる。事業所7の登録工程は、図5に示す検索・登録画面35により行う。検索・登録画面35では、入力欄35aに事業所7の名称又は住所を入力して検索を行うことができる。
【0069】
具体的には、図5に示すように、検索情報として事業所7の名称の一部である「ABC」という文字列を入力し、検索ボタン36をポインタ31でクリックすると、会社名に「ABC」が含まれる事業所が検索結果として表示される。
【0070】
ユーザは、検索結果の一覧内に、営業対象の事業所7がある場合は、検索・登録画面35において事業所の左側に表示されている登録ボタン37をクリックする。登録ボタン37をクリックすると、登録ボタン37の右側にある登録欄にチェックマークが入り、その事業所7が登録されたことが明らかになると共に、図6に示す登録内容編集画面38が表示される。
【0071】
登録内容編集画面38では、検索結果から選択された事業所7についての情報が表示される。図6においては、事業所7の住所等の基本情報の他、設備情報表示欄39に、その事業所7の潜在設備情報が表示される。また、設備情報表示欄39には、各装置についての概要、PRポイント、価格帯等のテキスト情報と、これらの機器を説明するための動画40のアイコンが表示される。
【0072】
登録内容編集画面38においては、提案機器の管理ボタン41と結果登録ボタン42が設けられている。管理ボタン41をクリックすると、図7に示す管理画面43が表示される。結果登録ボタン42をクリックすると、後述する図9に示す結果登録画面49が表示される。
【0073】
管理画面43は、登録内容編集画面38で提案されたお勧めの装置の表示の横に、動画40にリンクするための二次元コード44と、その装置を提案する提案ボタン45、提案を一時保留にする保留ボタン46、及び設備の表示を行わないようにする削除ボタン47が設けられている。
【0074】
このように、管理者は、管理画面43において、地場商社の担当者に提案すべき設備の選択を行うことができる。一方で、保留ボタン46によって保留にされた設備についても、事情の変化に応じて提案ボタン45をクリックすることにより、再度提案案件として採用することも可能である。
【0075】
管理者が提案資料34を作成する際は、管理画面43から印刷ボタン48をクリックして印刷を行うことができる。印刷結果としては、図8に示すように、提案資料34として、管理画面43において提案するとの設定がされた潜在設備情報と、設備の説明動画にリンクされている二次元コード44が印刷される。この印刷は、PDF等の電子データへの印刷としてもよく、紙媒体への印刷としてもよい。
【0076】
管理者は、設備情報の提案をする地場商社の営業範囲内にある主要な事業所7を抽出し、各事業所7ごとに上記提案資料34を作成することができる。
【0077】
地場商社の担当者が事業所7の担当者に対して営業活動を行う場合、提案資料34をユーザ端末5の画面に印刷結果を表示させ、担当者に見せることができる。その際、設備の運転動画は、ユーザ端末5の画面上の二次元コード44をクリックして動画を表示するようにしてもよく、別のスマートフォン等のデバイスで二次元コード44を介して動画データにアクセスするようにしてもよい。
【0078】
地場商社の担当者が事業所7の担当者に対して営業活動を行った結果は、図9に示す結果登録画面49により登録が可能である。結果登録画面49では、提案されたお勧めの装置の表示の横に、反応入力欄50として、価格及び納期の見積りを行う見積ボタン51、サンプルワークでの検証を行う検証ボタン52、カタログ・詳細説明の請求を行う請求ボタン53、及び関心がなかった場合にクリックする関心なしボタン54を備えている。
【0079】
ここで、地場商社の担当者は、提案先の担当者の反応が積極的な反応であった場合、その反応に応じて、見積ボタン51、検証ボタン52、請求ボタン53のクリックを行う。一方で、提案先の担当者の反応が消極的な反応であった場合、関心なしボタン54をクリックすればよい。
【0080】
見積ボタン51をクリックすると、提案機器に関する仕様、見積金額、納期等が表示される(図示省略)。検証ボタン52をクリックすると、ユーザ端末5に、提案機器によってサンプルワークの加工を行った場合のシミュレーション結果が表示される(図示省略)。請求ボタン53をクリックすると、必要なカタログ等の資料の選択等を行う画面が表示される(図示省略)。
【0081】
これらの操作は、事業所7において担当者との打合せの際に行ってもよく、打合せ後に地場商社の担当者が行ってもよい。管理者は、以上の入力を行った後、保存ボタン55によって編集した内容を保存する。保存された内容は、サーバ2の記憶部14に記憶される。
【0082】
このように、本実施形態の設備情報収集装置1によれば、地場商社の担当者が設備や工程について知識のない人間であった場合であっても、ユーザ端末5を持参して事業所7に営業に行き、その事業所7にお勧めの設備や工程についての提案を行うことができる。
【0083】
なお、上記実施形態において、潜在設備情報は事業所7において潜在的に設置可能な設備としており、潜在工程情報は事業所7において潜在的に実施可能な工程としているが、実際にその事業所7において設置又は実施可能かどうかは、各事業所7の建屋や電源等の要因によって異なるため、必ずしも設置又は実施が可能かどうかは問わない。
【符号の説明】
【0084】
1…設備情報収集装置
2…サーバ
3…ネットワーク
4…管理者端末
5…ユーザ端末
6…設備情報データベース
7…事業所
11…情報取得部
12…潜在情報抽出部
13…入力部
14…記憶部
15…検索部
16…表示部
17…ワーク形状算出部
18…提案資料作成部
19…反応入力部
20…制御部
21…企業別検索画面
28…工程別検索画面
34…提案資料
35…検索・登録画面
38…登録内容編集画面
43…管理画面
49…結果登録画面
50…反応入力欄

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9