(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067551
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】計測装置、計測方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20240510BHJP
G01B 11/25 20060101ALN20240510BHJP
【FI】
G01B11/00 Z
G01B11/25 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177728
(22)【出願日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】312003595
【氏名又は名称】タカハタプレシジョン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162341
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬崎 幸典
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 勝也
(72)【発明者】
【氏名】三浦 義晃
(72)【発明者】
【氏名】片岡 政人
(72)【発明者】
【氏名】岡 尚人
(72)【発明者】
【氏名】八幡 真純
(72)【発明者】
【氏名】土岐 亮太
(72)【発明者】
【氏名】加藤 洋祐
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA53
2F065FF07
2F065FF41
2F065GG06
2F065GG15
2F065HH07
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065LL42
2F065QQ31
(57)【要約】
【課題】不可視レーザ光による3次元センサの計測範囲を可視化する。
【解決手段】計測対象物の表面に不可視レーザ光を照射し計測対象物の表面から反射する反射光を受光して計測対象物の表面の三次元座標値の集合である点群データを取得する測距手段と、光源から出射する可視光レーザを回折光学素子を介して目視可能なパターンで計測対象物の表面に測距手段と同じ照射角度で照射して測距手段による計測対象物の計測範囲を可視化する照射手段と、を備えた。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象物の表面に不可視光を照射し前記計測対象物の表面から反射する反射光を受光して前記計測対象物の表面の三次元座標値の集合である点群データを取得する測距手段と、
前記計測対象物の表面に可視光を目視可能なパターンで照射して前記測距手段による前記計測対象物の計測範囲を可視化する照射手段と、を備えた、
ことを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記照射手段は、光源から出射する可視光レーザを回折光学素子を介して前記目視可能なパターンで前記計測対象物の表面に照射する、
ことを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記パターンは、前記計測対象物の計測範囲を示す格子パターンである、
ことを特徴とする請求項2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記パターンは、前記計測対象物の計測範囲の外縁を示す線パターンである、
ことを特徴とする請求項2に記載の計測装置。
【請求項5】
前記パターンは、終端が前記計測対象物の計測範囲の四隅に位置するクロスパターンである、
ことを特徴とする請求項2に記載の計測装置。
【請求項6】
前記パターンは、前記計測対象物の計測範囲の中心と四隅を示すマークである、
ことを特徴とする請求項2に記載の計測装置。
【請求項7】
前記照射手段は、前記測距手段との相対位置及び姿勢が固定され、前記測距手段と同じ照射角度で前記可視光を照射する、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の計測装置。
【請求項8】
前記照射手段は、前記パターンの照射範囲が前記測距手段による計測範囲と一致する姿勢で固定される、
ことを特徴とする請求項7に記載の計測装置。
【請求項9】
前記測距手段は、計測範囲が前記照射手段による前記パターンの照射範囲と一致するように画角(出射角度)を調整する、
ことを特徴とする請求項7に記載の計測装置。
【請求項10】
前記照射手段は、前記測距手段と熱的に離隔して配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項11】
計測対象物の表面に可視光を目視可能なパターンで照射して前記計測対象物の計測範囲を可視化しながら、前記計測対象物の表面に不可視光を照射し前記計測対象物の表面から反射する反射光を受光して前記計測対象物の表面の三次元座標値の集合である点群データを取得する、
ことを特徴とする計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置、計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吹付けコンクリートが吹き付けられる計測対象面を含む領域のカラー画像を取得するカラー画像取得工程と、計測対象面を含む領域をスキャンして得られた吹付け前点群データを取得する吹付け前点群データ取得工程と、計測対象面に吹付けコンクリートが吹き付けられた吹付け面を含む領域をスキャンして得られた吹付け後の点群データである吹付け後点群データを取得する吹付け後点群データ取得工程と、吹付け前点群データ及び吹付け後点群データのうち、吹付け面の点群データを抽出する抽出工程と、抽出された吹付け前点群データと吹付け後点群データとを対応付け、抽出された吹付け後点群データに対し、対応する吹付け前点群データの位置に対応するカラー画像の色情報を付与し、色情報が付与された吹付け後点群データの画像を生成する画像生成工程と、色情報が付与された吹付け後点群データの画像を吹付け面に投影する画像投影工程と、を含む吹付け面状態監視方法が知られている(特許文献1)。
【0003】
陰極と、陽極と、陽極を回転させる回転駆動部とを有し、陽極が回転している状態で、陰極から発生した電子が陽極に照射されることにより、撮影対象物に対してX線を照射して、X線撮影を可能するX線管装置と、撮影対象物に対するX線のX線照射範囲を規定するコリメータと、撮影対象物に対して可視光を照射した光照射状態として、X線照射範囲を可視化させる可視光照射部と、可視光照射部を光照射状態にさせる操作を行う光照射操作部とを有する光照射装置と、X線管装置および光照射装置の作動を制御する制御装置とを備え、制御装置は、光照射操作部が操作された際、回転駆動部により、X線撮影が可能な状態となる撮影可能回転数で陽極を回転させるX線撮影システムも知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-33771号公報
【特許文献2】特開2021-109048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、不可視レーザ光による3次元センサの計測範囲を可視化する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の計測装置は、
計測対象物の表面に不可視光を照射し前記計測対象物の表面から反射する反射光を受光して前記計測対象物の表面の三次元座標値の集合である点群データを取得する測距手段と、
前記計測対象物の表面に可視光を目視可能なパターンで照射して前記測距手段による前記計測対象物の計測範囲を可視化する照射手段と、を備えた
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の計測装置において、
前記照射手段は、光源から出射する可視光レーザを回折光学素子を介して前記目視可能なパターンで前記計測対象物の表面に照射する、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の計測装置において、
前記パターンは、前記計測対象物の計測範囲を示す格子パターンである、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の計測装置において、
前記パターンは、前記計測対象物の計測範囲の外縁を示す線パターンである、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の計測装置において、
前記パターンは、終端が前記計測対象物の計測範囲の四隅に位置するクロスパターンである、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の計測装置において、
前記パターンは、前記計測対象物の計測範囲の中心と四隅を示すマークである、
ことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の計測装置において、
前記照射手段は、前記測距手段との相対位置及び姿勢が固定され、前記測距手段と同じ照射角度で前記可視光を照射する、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の計測装置において、
前記照射手段は、前記パターンの照射範囲が前記測距手段による計測範囲と一致する姿勢で固定される、
ことを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の計測装置において、
前記測距手段は、計測範囲が前記照射手段による前記パターンの照射範囲と一致するように出射角度を調整する、
ことを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の計測装置において、
前記照射手段は、前記測距手段と熱的に離隔して配置されている、
ことを特徴とする。
【0016】
前記課題を解決するために、請求項11に記載の計測装置は、
計測対象物の表面に可視光を目視可能なパターンで照射して前記計測対象物の計測範囲を可視化しながら、前記計測対象物の表面に不可視光を照射し前記計測対象物の表面から反射する反射光を受光して前記計測対象物の表面の三次元座標値の集合である点群データを取得する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、測定対象物の計測範囲を可視化することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、可視光レーザを目視可能なパターンで出射することができる。
【0019】
請求項3、4、5、6に記載の発明によれば、測定対象物の計測範囲を可視化することができる。
【0020】
請求項7、8、9に記載の発明によれば、測距手段の計測範囲に合わせてパターンを表示することができる。
【0021】
請求項10に記載の発明によれば、照射手段から発する熱が測距手段に伝わりにくくなる。
【0022】
請求項11に記載の発明によれば、計測範囲を可視化して計測対象物の表面の計測を容易化することができる
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】計測装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図2】(a)は3次元センサの構成例を示す平面模式図、(b)は断面模式図である。
【
図3】3次元センサのドットパターン照射を示す模式図である。
【
図4】レーザポインタのパターン照射を示す模式図である。
【
図6】計測装置における3次元センサとレーザポインタの配置例を示す図である。
【
図7】3次元センサによる計測範囲とレーザポインタによるパターンの照射範囲との関係を示す図である。
【
図8】計測装置による計測対象物の計測範囲に照射された目視可能なパターンを示す図である。
【
図9】計測装置による計測対象物の計測範囲に照射された目視可能なパターンの変形例1を示す図である。
【
図10】計測装置による計測対象物の計測範囲に照射された目視可能なパターンの変形例1を示す図である。
【
図11】計測装置による計測対象物の計測範囲に照射された目視可能なパターンの変形例2を示す図である。
【
図12】計測装置による計測対象物の計測範囲に照射された目視可能なパターンの変形例3を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態の具体例を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
尚、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0025】
「第1実施形態」
(1)計測装置の全体構成
図1は本実施形態に係る計測装置1の機能構成を示すブロック図、
図2(a)は3次元センサ10の構成例を示す平面模式図、(b)は断面模式図、
図3は3次元センサ10のドットパターン照射を示す模式図、
図4はレーザポインタ20のパターン照射を示す模式図、
図5は回折パターンの例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、計測装置1の全体構成について説明する。
【0026】
図1に示すように、計測装置1は、計測対象物Gの表面に不可視光を照射し計測対象物Gの表面から反射する反射光を受光して計測対象物Gの表面の三次元座標値の集合である点群データを取得する測距手段の一例としての3次元センサ10と、計測対象物Gの表面に可視光を目視可能なパターンで照射して3次元センサ10による計測対象物Gの計測範囲Rを可視化する照射手段の一例としてのレーザポインタ20と、3次元センサ10及びレーザポインタ20の動作を制御し、点群データを取得する制御部30と、を備えている。
【0027】
制御部30は、プロジェクタ11のVCSEL111の発光制御、イメージセンサモジュール12の受光制御、レーザポインタ20の発光制御を行う。
本実施形態においては、制御部30として、例えば、ARMプロセッサを搭載したシングルボードコンピュータであるラズベリーパイ(Raspberry Pi:登録商標)や小型のコンピュータ装置などとして実装されるプログラム処理装置を用いることができるが、特に限定されない。
【0028】
制御部30は通信インタフェース等を有し、3次元センサ10は外部機器40と有線又は無線で接続されている。外部機器40は情報処理機能及び表示機能を有するものであれば、モバイルPC(Personal Computer)と称されるものであってもよく、また、設置型のPC、携帯端末(スマートフォン)、ウェアラブルデバイス等の装置であってもよい。
【0029】
(1.1)3次元センサ
3次元センサ10は、光を出射する発光素子からなるプロジェクタ11と、計測対象物Gの表面から反射した反射光を撮像する撮像素子からなるイメージセンサモジュール12と、プロジェクタ11の発光及びイメージセンサモジュール12の受光を制御する基板13と、を備えている。
【0030】
プロジェクタ11は、
図2に示すように、複数の発光素子からなるアレイ光源であるVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)111と、VCSEL111の上側でレーザ光の配光制御を行う透過型の回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)112と、から構成されている。
VCSEL111は、波長940nmの不可視の近赤外レーザ光を発光する。
回折光学素子112は、VCSEL111が発光することにより生じる光を、規則的なドットパターンの配光パターンに変換し、複数のビーム状の測距光として計測対象物Gに照射する。
【0031】
図3(a)においては、回折光学素子112により、プロジェクタ11から発光された光が、計測対象物Gに対して、規則的なドットパターンとして配光されるように広がり角θ1の測距光L1~Lnに変換される例が示されている。本実施形態においては、4000ないし5000本のレーザ光でドットパターンを照射し、一例として、
図3(b)に示すように、計測距離(L)500mm~1500mmで計測範囲(R)440×440mm~1320×1320mmを有する。
【0032】
イメージセンサモジュール12には、光電変換素子としてCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが用いられている。
イメージセンサモジュール12は、プロジェクタ11から出射した光が計測対象物Gで反射する反射光を撮像して点群データとして取得して制御部30を介して計測装置1が接続された外部機器40へ出力される。
【0033】
このように構成される3次元センサ10は、計測対象物Gにプロジェクタ11から不可視のレーザ光を発して計測対象物Gの表面から反射する反射光をイメージセンサモジュール12で撮像して点群データを取得して計測対象物Gの3次元形状を計測する。
【0034】
(1.2)レーザポインタ
レーザポインタ20は、
図4に模式的に示すように、可視のレーザ光を出射する発光素子21と、レーザ光の配光制御を行う透過型の回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)22から構成されている。
本実施形態においては、発光素子21としては、例えば赤色光や緑色光などの可視光を出射可能な半導体レーザを用いることができる。具体的には、波長630~640nmの赤色レーザ光を出射可能な半導体レーザ(LD:Laser Diode)や波長510~520nmの緑色レーザ光を出射可能な半導体レーザ(LD)を用いることができる。
【0035】
回折光学素子(以下DOEと記す)22は、グレーティング構造、マイクロレンズ構造、フレネル(Fresnel)構造、ホログラフィック光学素子(holographic optical element;HOE)構造又は他の光の回折に適する構造を有し、コリメータレンズ(不図示)側から入射されたレーザ光を回折パターンによる回折作用により目視可能な所定のパターンのレーザ光に変換する。DOE22に入射したレーザ光は、目視可能な照射光パターンに変換されて計測対象物Gの表面の計測範囲(R)に照射される。
【0036】
回折パターンとしては、
図5に示すように、格子パターン(
図5(a)参照)、計測範囲の外縁を示すパターン(
図5(b)参照)、クロスパターン(
図5(c)参照)、図形パターン(
図5(d)参照)等が挙げられ、計測対象物Gの表面に3次元センサ10による計測範囲(R)と重ね合わせて表示される。
【0037】
(1.3)レーザポインタの配置
図6には計測装置1における3次元センサ10とレーザポインタ20の配置例を示している。
計測装置1は、プロジェクタ11及びイメージセンサモジュール12からなる3次元センサ10を収容して保持するケース体14の上部にレーザポインタ20が固定されている。
3次元センサ10は、アレイ光源であるVCSEL111が大きな熱源であり、VCSEL111の発光を制御する基板13も一定の発熱量を有する熱源となっている。また、レーザポインタ20も最大出力が200mWを有する半導体レーザ(LD)が大きな熱源となっている。
これら熱源であるレーザポインタ20は、VCSEL111及び基板を覆うように収容するケース体14によってVCSEL111と熱的に離隔されてケース体14の外面となる上部に固定されている。
【0038】
また、3次元センサ10とレーザポインタ20は、その相対位置(
図6(a)におけるA)及び姿勢(
図6(b)におけるB)が固定され、
図6に示すように、レーザポインタ20は3次元センサ10と同じ照射角度で可視光を目視可能なパターンで照射するようになっている。
具体的には、レーザポインタ20は、赤色光や緑色光などの可視光の波長ごとに光の屈折率が異なるために、3次元センサ10と同じ視野角(FOV:Field of View)になるように異なるDOE22を用いてFOVを調整している。
例えば、波長510~520nmの緑色レーザ光を用いる場合と、波長630~640nmの赤色レーザ光を用いる場合では、それぞれ異なるDOE22を用いてFOVを49°×49°に調整している。
【0039】
図7には、3次元センサ10による計測範囲(R)とレーザポインタ20によるパターンの照射範囲との関係を示している。
レーザポインタ20は、3次元センサ10と同じ照射角度で可視光を照射するようにFOVを調整した上で、パターンの照射範囲(
図7中 破線で示す)が3次元センサ10による計測範囲(R)(
図7中 実線で示す)と一致する姿勢でケース体14の上部に固定される。具体的には、
図6(b)に矢印Bで模式的に示すように、ケース体14への取り付け姿勢を調整して固定される。
【0040】
尚、レーザポインタ20は、パターンの照射範囲(
図7中 破線で示す)が3次元センサ10による計測範囲(R)(
図7中 実線で示す)と一致するようにFOVを調整してもよい。
【0041】
(2)計測範囲の可視化
計測装置1は、
図7に示すように、計測対象物Gと所定の計測距離(L)を保った状態で、計測対象物Gの表面の一定の計測範囲(R)に3次元センサ10から規則的なドットパターンを照射し、計測対象物Gの表面で反射する反射光をイメージセンサモジュール12で撮像して計測対象物Gの表面の三次元座標値の集合である点群データを取得して計測対象物Gの3次元形状を計測する。取得した点群データは、接続された外部機器40に表示される。
【0042】
3次元センサ10からドットパターンとして照射されるレーザ光は、例えば波長940nmの不可視の近赤外レーザ光であり、計測者には計測対象物Gの所定の計測範囲(R)に照射されているかは目視では認識することができない。そのために、接続されている外部機器40による表示を見て計測範囲(R)を確認する必要があった。
【0043】
本実施形態に係る計測装置1においては、3次元センサ10から計測対象物Gの表面の計測範囲(R)に不可視のレーザ光をドットパターンで照射すると同時に、レーザポインタ20から可視光レーザを計測範囲(R)を示す目視可能なパターンで照射する。
可視光としては、例えば波長640nmの赤色レーザ光や波長515nmの緑色レーザ光を照射する。波長515nmの緑色レーザ光は、可視光として目視しやすい、波長640nmの赤色レーザ光は、目が疲れにくいという特徴がある。これにより、計測範囲が可視化され、計測装置1の設置作業が容易化される。また、計測結果が計測対象物Gの表面のどの位置に対応しているかが理解されやすくなる。
【0044】
図8は計測装置1による計測対象物Gの計測範囲に照射された目視可能なパターンを示す図である。
計測装置1は、3次元センサ10から計測対象物Gの表面の計測範囲(R)に不可視のレーザ光をドットパターンで照射すると同時に、レーザポインタ20から可視光レーザを計測範囲(R)を示す格子パターンP1で照射する。
これにより、計測範囲(R)が可視化され、計測装置1の設置作業が容易化される。また、計測結果が計測対象物Gの表面のどの位置に対応しているかが理解されやすくなる。
【0045】
「変形例1」
図9、
図10は計測装置1による計測対象物Gの計測範囲に照射された目視可能なパターンの変形例1を示す図である。
計測装置1は、3次元センサ10から計測対象物Gの表面の計測範囲(R)に不可視のレーザ光をドットパターンで照射すると同時に、レーザポインタ20から可視光レーザを計測範囲(R)の外縁を示すパターンP2で照射する。パターンP2は、
図9に示すように、計測範囲(R)の四隅を示す線パターンや、
図10に示すように、計測範囲(R)の上下左右を示す線パターンで照射される。
【0046】
「変形例2」
図11は計測装置1による計測対象物Gの計測範囲(R)に照射された目視可能なパターンの変形例2を示す図である。
計測装置1は、3次元センサ10から計測対象物Gの表面の計測範囲(R)に不可視のレーザ光をドットパターンで照射すると同時に、レーザポインタ20から可視光レーザを終端が計測範囲(R)の四隅に位置するクロスパターンP3で照射する。クロスパターンP3は、
図12に示すように、計測範囲(R)のそれぞれ四隅を結ぶ斜線として照射される。
【0047】
「変形例3」
図12は計測装置1による計測対象物Gの計測範囲(R)に照射された目視可能なパターンの変形例3を示す図である。
計測装置1は、3次元センサ10から計測対象物Gの表面の計測範囲(R)に不可視のレーザ光をドットパターンで照射すると同時に、レーザポインタ20から可視光レーザを計測範囲(R)の中心と四隅を示すマークP4で照射する。マークP4は、計測範囲(R)の中心と四隅を示すパターンで、〇、△、□等の図形パターンが挙げられる。
【0048】
以上詳述した計測装置1によれば、3次元センサ10から計測対象物Gの表面の計測範囲(R)に不可視のレーザ光をドットパターンで照射すると同時に、レーザポインタ20から可視光レーザを計測範囲(R)を示す目視可能なパターンで照射する。
レーザポインタ20は、光源から出射する可視光レーザを回折光学素子(DOE)22を介して格子パターンP1、計測範囲(R)の外縁を示す線パターンP2、クロスパターンP3、図形パターンP4等で計測対象物Gの表面に投射する。
これにより、可視光レーザを目視可能なパターンで出射し、計測対象物Gの計測範囲(R)を可視化することが可能となっている。
【符号の説明】
【0049】
1・・・測定装置
10・・・3次元センサ
11・・・プロジェクタ、111・・・VCSEL、112・・・回折光学素子
12・・・イメージセンサモジュール
13・・・基板
14・・・ケース体
20・・・レーザポインタ
21・・・発光素子(LD)、22・・・回折光学素子(DOE)
30・・・制御部
40・・・外部機器
G・・・計測対象物