(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067555
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】頭部形状の計測方法
(51)【国際特許分類】
A41G 3/00 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
A41G3/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177736
(22)【出願日】2022-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000126218
【氏名又は名称】株式会社アートネイチャー
(74)【代理人】
【識別番号】100154184
【弁理士】
【氏名又は名称】生富 成一
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 祥剛
(57)【要約】
【課題】 かつらの装着者の頭部の三次元形状情報を容易に取得でき、装着者の頭部の状態に合わせて三次元形状情報を補正できる頭部形状の計測方法を提供する。
【解決手段】 かつらを製造するための頭部形状の計測方法であって、かつらの装着者の頭部を頭部計測用キャップ1により被覆し、携帯型三次元スキャナ2を使用して、頭部計測用キャップ1により被覆された装着者の頭部の三次元形状情報を取得する。頭部計測用キャップ1が、透明又は半透明であり、三次元形状情報の取得に先だって、頭部計測用キャップ1にかつらの範囲を示す毛髪領域境界線を描画し、三次元形状情報に毛髪領域境界線が含められる。また、携帯型三次元スキャナ2が三次元形状情報を形状情報補正装置3に送信し、形状情報補正装置3が三次元形状情報に対して所定の補正を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かつらを製造するための頭部形状の計測方法であって、
前記かつらの装着者の頭部を頭部計測用キャップにより被覆し、
携帯型三次元スキャナを使用して、前記頭部計測用キャップにより被覆された前記装着者の頭部の三次元形状情報を取得する
ことを特徴とする頭部形状の計測方法。
【請求項2】
前記頭部計測用キャップが、透明又は半透明であり、
前記三次元形状情報の取得に先だって、
前記頭部計測用キャップにかつらの範囲を示す毛髪領域境界線を描画し、
前記三次元形状情報に前記毛髪領域境界線が含められる
ことを特徴とする請求項1記載の頭部形状の計測方法。
【請求項3】
前記携帯型三次元スキャナが前記三次元形状情報を形状情報補正装置に送信し、前記形状情報補正装置が前記三次元形状情報に対して所定の補正を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の頭部形状の計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かつらの製造技術に関し、特にかつらの装着者の頭部形状を計測する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
かつらを装着者に最適なものとして製造するためには、かつらの装着者の頭部形状を測定することが必要である。しかし、人体の測定においては、細部の撮影が容易でないという問題があった。
【0003】
特に、頭部形状を計測する場合には、耳周辺部の形状も含めて計測する必要があるが、耳が邪魔になるために、その計測は容易ではないという問題があった。
また、撮影対象が人の場合には、撮影時に被写体がどうしても動いてしまうという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6179935号公報
【特許文献2】特開2020-190060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような状況において、頭部形状を計測する手段として、特許文献1に記載の頭部形状測定装置を挙げることができる。この装置によれば、被測定者に圧迫感や威圧感を与えることなく頭部の形状を測定可能とするとともに、測定装置における頭部の位置決めの簡易化や撮影時間の短縮化を実現でき、かつ、頭部における被髪部位の生え際付近の三次元形状をより正確に表した三次元画像データを取得可能とされている。
しかしながら、この装置によっても、耳周辺部の形状の計測は容易ではなく、また装置が大型化するという問題があった。
【0006】
また、頭部形状を計測する手段として、特許文献2に記載の三次元頭部モデル作成システムを挙げることができる。このシステムによれば、高価な装置を必要とすることなく安価かつ容易に三次元モデルを作成することができ、対象者にかかる負担を従来に比して大幅に低減でき、従来に比して高い精度で三次元モデルを作成することができるとされている。
しかしながら、このシステムでは、タブレットなどの画像取得手段を用いて、頭部の周囲を所定の角度ずつ多数の方向から撮影する必要があるため、使用するために熟練が必要であり、誰もが簡単に使用可能なものではなかった。
【0007】
そこで、本発明者らは鋭意研究して、かつらの装着者の頭部形状を、携帯型三次元スキャナを使用して計測することで、より簡単に頭部の三次元形状情報を取得できることを見いだして本発明を完成させた。
ところで、携帯型三次元スキャナを使用する場合であっても、撮影対象が人の場合には、撮影時に被写体が動いてしまう場合がある。また、撮影者自身の手ぶれなどにより携帯型三次元スキャナが動いてしまい、三次元形状情報をうまく取得できない場合もある。
【0008】
さらに、頭部形状を正確に計測するために、頭部を頭部計測用キャップにより被覆して計測を行うと、残っている自毛やかつら装着ピンの厚みなどにもとづき三次元形状情報に誤差が生じる場合がある。
そこで、本発明者らは、これらの問題を解消するために、自毛の残存具合などの装着者の頭部の状態に合わせて三次元形状情報の補正を行うことを可能とした。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、かつらの装着者の頭部の三次元形状情報を容易に取得でき、装着者の頭部の状態に合わせて三次元形状情報を補正できる頭部形状の計測方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の頭部形状の計測方法は、かつらを製造するための頭部形状の計測方法であって、前記かつらの装着者の頭部を頭部計測用キャップにより被覆し、携帯型三次元スキャナを使用して、前記頭部計測用キャップにより被覆された前記装着者の頭部の三次元形状情報を取得する方法としてある。
【0011】
また、本発明の頭部形状の計測方法は、前記頭部計測用キャップが、透明又は半透明であり、前記三次元形状情報の取得に先だって、前記頭部計測用キャップにかつらの範囲を示す毛髪領域境界線を描画し、前記三次元形状情報に前記毛髪領域境界線が含められる方法とすることが好ましい。
【0012】
また、本発明の頭部形状の計測方法は、前記携帯型三次元スキャナが前記三次元形状情報を形状情報補正装置に送信し、前記形状情報補正装置が前記三次元形状情報に対して所定の補正を行う方法とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、かつらの装着者の頭部の三次元形状情報を容易に取得でき、装着者の頭部の状態に合わせて三次元形状情報を補正できる頭部形状の計測方法の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る頭部形状の計測方法による計測の様子を示す説明図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る頭部形状の計測方法における頭部計測用キャップの装着の様子を示す説明図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る頭部形状の計測方法で用いられる頭部形状補正装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る頭部形状の計測方法に用いられる頭部形状補正装置による補正の内容を示す説明図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る頭部形状の計測方法に用いられる頭部形状補正装置により表示されるかつら形状の補正画面を示す説明図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る頭部形状の計測方法における頭部計測用キャップ及び耳部被覆袋の装着の様子を示す説明図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る頭部形状の計測方法における頭部計測用キャップに形成された耳部位切除部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の頭部形状の計測方法の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態の具体的な内容に限定されるものではない。
本実施形態の頭部形状の計測方法は、かつらを製造するための頭部形状の計測方法であって、
図1に示すように、かつらの装着者(以下、単に装着者と称する場合がある。)の頭部を頭部計測用キャップ1により被覆し、携帯型三次元スキャナ2を使用して、頭部計測用キャップ1により被覆された装着者の頭部の三次元形状情報を取得することを特徴とする。
【0016】
頭部計測用キャップ1は、透明又は半透明であることが好ましい。これにより、装着者の頭部形状の計測者(以下、単に計測者と称する場合がある。)は、頭部計測用キャップ1を介して、装着者の頭部における毛髪の状態を視認することができ、地肌部分と毛髪部分を識別することができる。
【0017】
また、頭部計測用キャップ1を透明又は半透明のものとすることにより、計測者は、携帯型三次元スキャナ2による三次元形状情報の取得に先だって、
図2に示すように、頭部計測用キャップ1にかつらの範囲を示す毛髪領域境界線11を描画することができる。
かつらの範囲を示す毛髪領域境界線11は、例えば、装着者の頭部における薄毛部分の範囲や、毛髪のない範囲等(以下、薄毛領域と総称する場合がある。)を示すものであり、この毛髪領域境界線11によって囲まれた領域が、製造するかつらのかつらベースの形状に相当する。
【0018】
頭部計測用キャップ1の材料としては、特に限定されないが、頭部計測用キャップ1が装着者の頭部に密着して頭部の形状を的確に現すことができるように、伸縮性のある天然繊維又は化学繊維を用いることが好ましく、例えばトリアセテートなどの半合成繊維や、ナイロン、ポリウレタンなどの合成繊維を用いることが好ましい。
【0019】
計測者は、装着者の毛髪の状態に応じて、頭部計測用キャップ1を装着者の頭部に被せる深さを調整する。例えば、薄毛領域が頭頂部のみの場合は、頭部計測用キャップ1を浅く被せ、薄毛領域が頭部の広範囲に亘る場合は、頭部計測用キャップ1を深く被せる。
そして、計測者は、頭部計測用キャップ1を介して装着者の薄毛領域を視認し、マーカーを用いて薄毛領域に沿って頭部計測用キャップ1の表面に毛髪領域境界線11を描画する。このとき、計測者は、マーカーが装着者の頭部に移らないように、頭部計測用キャップ1の材料に応じて、マーカー及びその濃さを選択し、描画の強さを調整する。
【0020】
そして、
図1に示すように、計測者は、携帯型三次元スキャナ2を使用して、頭部計測用キャップ1により被覆された装着者の頭部の三次元形状情報を取得する。この三次元形状情報には、頭部計測用キャップ1の表面に描画された毛髪領域境界線11が含められる。
このとき、計測者は、携帯型三次元スキャナ2を装着者の頭部の周囲を一周するように動かして、三次元形状情報を取得することができる。
【0021】
また、薄毛領域が頭頂部のみの場合は、計測者は、携帯型三次元スキャナ2を装着者の頭頂部を撮影するように動かすことによって、三次元形状情報を取得することができる。
またこのとき、特に耳の周辺などの領域を撮影する場合には、頭部計測用キャップ1の表面に現れた凹凸に沿って携帯型三次元スキャナ2を動かすことにより、三次元形状情報をより正確に取得することが可能である。
【0022】
なお、三次元形状情報は、スキャンされた複数のスキャンデータを組み合わせることによって作成される。このとき、スキャンデータの位置合わせについては、各種方式を採用することができる。
例えば、マーカー位置合わせ方式は、被写体に固定したマーカーを基準とする方式であり、比較的正確にスキャンすることができる。一方、被写体が動いてしまう場合には正確に測定することが難しいという特徴がある。
【0023】
また、形状位置合わせ方式は、スキャンデータから共通している部分を判別して結合させる方式であり、マーカーを貼る必要がないという特徴がある。このため、被写体が動いてしまうような場合などに適しているため、本実施形態の頭部形状の計測方法において、好適に用いることが可能である。
【0024】
さらに、このようにして得られた三次元形状情報を、携帯型三次元スキャナ2が形状情報補正装置3に送信する。
この形状情報補正装置3としては、例えばパーソナルコンピュータやタブレット端末、スマートフォンなどの情報処理装置を用いることができる。
そして、形状情報補正装置3は、携帯型三次元スキャナ2から送信されてきた三次元形状情報に対して、所定の補正を行うことができる。
【0025】
具体的には、装着者の頭部における毛髪の量に応じて、被せられた頭部計測用キャップ1の形状と装着者の頭部の形状とは、毛髪の厚みの分だけ相違するため、三次元形状情報は、実際の頭部の形状よりも大きくなっていることが多い。
その場合、形状情報補正装置3は、毛髪の厚みにもとづく誤差を調整するために、三次元形状情報に対して、例えば1~2mm程度小さくなるように補正処理を実行して、補正された三次元形状情報を作成することができる。
【0026】
また、かつらを装着する際にピンを使う場合は、かつらの裏面にカツラ装着ピンを縫い付けるため、カツラ装着ピンの厚み分だけ三次元形状情報が、かつらの形状よりも相対的に小さくなることがある。
その場合、形状情報補正装置3は、カツラ装着ピンの厚みにもとづく誤差を調整するために、三次元形状情報に対して、例えば1~2mm程度大きくなるように補正処理(アールを緩やかにする補正処理)を実行して、補正された三次元形状情報を作成することができる。
【0027】
本実施形態の頭部形状の計測方法で用いられる形状情報補正装置3は、
図3に示すように、入力部31、記憶部32、補正部33、及び表示部34を備えている。
入力部31は、携帯型三次元スキャナ2によって撮影された装着者の頭部の三次元形状情報を、携帯型三次元スキャナ2から入力する。
記憶部32は、入力部31により携帯型三次元スキャナ2から形状情報補正装置3に入力された三次元形状情報を記憶する。また、記憶部32は、補正された三次元形状情報も記憶する。
【0028】
補正部33は、三次元形状情報に対して補正処理を実行し、補正された三次元形状情報を作成する。
具体的には、例えば
図4に示すように、三次元形状情報に対して行う補正の種類として、深さ補正、前後補正、及び左右補正の3種類を行うことができる。
【0029】
深さ補正は、かつらの深さ方向(Z軸方向)の大きさを調整する補正である。
図4の例では、補正値として「上」欄に1mmを設定することで、三次元形状情報をZ方向に1mm縮める補正処理を実行する。
前後補正は、かつらの前後方向(Y軸方向)の大きさを調整する補正である。
図4の例では、補正値として「前」欄と「後」欄に1mmを設定することで、三次元形状情報をY軸方向に前後それぞれにつき1mm縮める補正処理を実行する。
左右補正は、かつらの左右方向(X軸方向)の大きさを調整する補正である。
図4の例では、補正値として「右」欄と「左」欄に1mmを設定することで、三次元形状情報をX軸方向に左右それぞれにつき1mm縮める補正処理を実行する。
【0030】
また、深さ補正、前後補正、及び左右補正の補正値として、1mm以外の数値を設定できることは言うまでもなく、これらの補正の補正値を組み合わせて設定して、補正処理を実行することもできる。
さらに、これらの補正の補正値としてマイナスの値を設定することにより、三次元形状情報を大きくする補正処理を実行することも可能である。
【0031】
表示部34は、補正部33による補正処理を実行するためのかつら形状の補正画面を表示する。
例えば、
図5に示すように、かつら形状を表示する領域と、補正値を入力する領域を表示する。
そして、実行ボタンを押すことによって、入力された補正値にもとづき補正部33が三次元形状情報を補正して、補正された三次元形状情報を記憶部32に記憶させる。
【0032】
また、本実施形態の頭部形状の計測方法は、携帯型三次元スキャナ2が頭部の三次元形状情報を形状情報補正装置3に送信し、形状情報補正装置3が三次元形状情報に対してスムージング処理を行う方法とすることも好ましい。
すなわち、図示しないが形状情報補正装置3にスムージング部を備えて、三次元形状情報に対して、スムージング処理を実行させることも好ましい。スムージング処理とは、携帯型三次元スキャナ2により取り漏れた三次元形状情報における欠損領域を自動で補う機能である。
本実施形態の頭部形状の計測方法で用いられる形状情報補正装置3をこのような構成にすれば、得られる三次元形状情報をかつらの製造により使用しやすいものとすることが可能である。
【0033】
形状情報補正装置3は、プログラムに制御されたコンピュータを用いて実現することができる。コンピュータのCPUは、プログラムにもとづいてコンピュータの各構成要素に指令を送り、形状情報補正装置3の動作に必要となる所定の処理、例えば、三次元形状情報の入力処理、三次元形状情報の補正処理、補正画面の表示処理等を行わせる。このように、本発明の形状情報補正装置3における各処理、動作は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段により実現できるものである。
【0034】
プログラムは予めROM,RAM等の記録媒体に格納され、コンピュータに実装された記録媒体から当該コンピュータにプログラムを読み込ませて実行されるが、例えば通信回線を介してコンピュータに読み込ませることもできる。
また、プログラムを格納する記録媒体は、例えば半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、その他任意のコンピュータで読取り可能な任意の記録手段により構成できる。
【0035】
また、本実施形態の頭部形状の計測方法は、装着者の耳に耳部被覆袋を装着した後、頭部の三次元形状情報の取得を行う方法とすることも好ましい。
すなわち、
図6に示すように、本実施形態の頭部形状の計測方法において、装着者の耳に耳部被覆袋4を装着した後、携帯型三次元スキャナ2により頭部の三次元形状情報の取得を行うことも好ましい。
【0036】
耳部被覆袋4は、装着者の耳を覆うことによって、その形状が携帯型三次元スキャナ2により三次元形状情報として取り込まれないようにできるものであれば良く、その材料は特に限定されないが、伸縮性のある天然繊維又は化学繊維を用いることが好ましく、例えばトリアセテートなどの半合成繊維や、ナイロン、ポリウレタンなどの合成繊維を用いることが好ましい。
【0037】
また、耳部被覆袋4の色彩としては、特に限定されないが、例えば黒色として、携帯型三次元スキャナ2により三次元形状情報として取り込まれないようにすることが可能である。
本実施形態の頭部形状の計測方法をこのようにすれば、三次元形状情報から余分な耳情報をより効率的に排除することが可能となる。
【0038】
さらに、本実施形態の頭部形状の計測方法は、頭部測定用キャップにおける装着者の耳に対応する位置に、耳部位切除部を形成した後、頭部の三次元形状情報の取得を行う方法とすることも好ましい。
すなわち、
図7に示すように、本実施形態の頭部形状の計測方法において、頭部計測用キャップ1における装着者の耳に対応する位置に、耳部位切除部12を形成した後、携帯型三次元スキャナ2により頭部の三次元形状情報の取得を行うことも好ましい。
【0039】
耳部位切除部12は、装着者に頭部計測用キャップ1を被せた後、はさみなどによって、装着者の耳に対応する位置の頭部計測用キャップ1の領域を切除することにより形成することができる。
本実施形態の頭部形状の計測方法をこのようにすれば、全頭用の三次元形状情報をより効率的に取得することが可能になる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の頭部形状の計測方法によれば、頭部計測用キャップ1を用いて装着者の頭部を覆い、薄毛領域をマーカーにより示した毛髪領域境界線11を含めた三次元形状情報を携帯型三次元スキャナ2により取得することができるため、かつらの製造に使用しやすい三次元形状情報をより正確に取得することが可能になっている。
【0041】
また、得られた三次元形状情報に対して、形状情報補正装置3により毛髪の厚みやかつら装着ピンの厚みにもとづく誤差を調整するために補正処理を実行して、補正された三次元形状情報を作成することができるため、より一層かつらの製造に使用しやすい三次元形状情報を得ることが可能になっている。
【0042】
さらに、耳部被覆袋で装着者の耳を覆って三次元形状情報を取得することにより、三次元形状情報から余分な耳情報をより効率的に排除することができる。また、頭部測定用キャップにおける装着者の耳に対応する位置に耳部位切除部を形成して三次元形状情報を取得することにより、全頭用の三次元形状情報をより効率的に取得することも可能である。
【0043】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。例えば、本実施形態の頭部形状の計測方法の工程に他の工程を追加したり、
図5に示した補正画面を他のレイアウトにしたりするなど適宜変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、装着者に適するかつらをより効率的に製作するために好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 頭部計測用キャップ
11 毛髪領域境界線
12 耳部位切除部
2 携帯型三次元スキャナ
3 形状情報補正装置
4 耳部被覆袋