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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067573
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】スピン取付装置
(51)【国際特許分類】
   B42C 11/04 20060101AFI20240510BHJP
   B42D 9/00 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B42C11/04
B42D9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177770
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】305037293
【氏名又は名称】大日本法令印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】養田 浩
(72)【発明者】
【氏名】桑原 仁
(57)【要約】
【課題】スピンを冊子のカバーに取り付けることにより、スピンの毛羽立ちや剥がれ落ちを防ぎ、冊子へのスピンの取り付け状態の補修を不要とすることが可能なスピン取付装置を提供すること。
【解決手段】冊子のカバーになるシート体STを供給するシート体供給部10と、シート体STを搬送する搬送部20と、搬送部20により搬送されたシート体STの所定箇所に接着剤GLを塗布する接着剤塗布部30と、ボビンBBから引き出されたスピンSPが待機している待機位置と接着剤塗布部30によりシート体STに塗布された接着剤GLへの接着位置との間で進退動するスピン把持体43によって前記スピンを前記接着剤に接着するスピン接着部40と、スピンSPが接着されたシート体STを貯留するシート体貯留部60と、を具備することを特徴とするスピン取付装置100である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冊子のカバーになるシート体を供給するシート体供給部と、
前記シート体供給部から供給された前記シート体を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された前記シート体の所定箇所に接着剤を塗布する接着剤塗布部と、
ボビンから引き出されたスピンが待機している待機位置と前記接着剤塗布部により前記シート体に塗布された前記接着剤への接着位置との間で進退動するスピン把持体によって前記スピンを前記接着剤に接着するスピン接着部と、
前記スピンが接着された前記シート体を貯留するシート体貯留部と、を具備することを特徴とするスピン取付装置。
【請求項2】
前記搬送部は、
前記シート体の底面に当接しながら搬送方向に沿って循環するコンベアベルトと、
前記コンベアベルトの幅方向端部よりも外側位置において前記シート体の搬送面から起立し、前記シート体の搬送方向の幅方向位置を位置決めするガイド壁と、
前記シート体の上面から離間させた状態で配設され、前記コンベアベルトにより搬送される前記シート体の上面で回転可能な複数の押圧球が収容されたシート体押圧体と、
前記コンベアベルトにより搬送される前記シート体と当接する当接位置と前記コンベアベルトにより搬送される前記シート体と当接しない非当接位置との間で進退可能に配設され、前記シート体を前記所定位置で一時停止させるためのストッパ体と、を具備し、
前記コンベアベルトの平面位置は、搬送方向上流から搬送方向下流に進むにつれて前記ガイド壁に接近していることを特徴とする請求項1記載のスピン取付装置。
【請求項3】
前記スピン接着部と前記シート体貯留部との間には、前記スピン把持体により把持されていた前記スピンの先端把持部を前記接着剤に押圧する追加押圧部が配設されていることを特徴とする請求項1または2記載のスピン取付装置。
【請求項4】
前記スピン把持体は、
前記スピンの先端把持部を把持した状態で前記スピンの一部を前記接着剤に押圧した後、
前記スピンの先端把持部の把持を解除すると共に、前記スピンの先端把持部を前記接着剤に押圧することを特徴とする請求項1または2記載のスピン取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスピン取付装置に関し、より詳細にはスピン(栞紐)を書籍等の冊子に取り付けるためのスピン取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冊子にスピン(栞紐)を取り付けるためのスピン取付装置としては、特許文献1(特開2010-69878号公報)や非特許文献1に示すように、冊子の背の縁部分や冊子の背の部分に糊付けによってスピンを取り付ける構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-69878号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】青文堂株式会社、“手帳閑話~「スピン・しおり」について-青文堂”、[online]、青文堂株式会社、[令和4年10月18日検索]、インターネット<URL:https://seibundo.jp.net/b_dialy/%E6%89%8B%E5%B8%B3%E9%96%91%E8%A9%B1%EF%BD%9E%E3%80%8C%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%B3%EF%BC%8A%E3%81%97%E3%81%8A%E3%82%8A%E3%80%8D%E8%8F%81%E6%96%87%E5%A0%82>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されているスピン取付装置は、冊子を構成する複数の折丁のうちの途中の折丁にスピンを糊付けした後、さらに折丁を重ねる構成である。また、非特許文献1に開示されているスピン取付装置は、冊子の背部分の天側にスピンを糊付けにより取り付ける構成である。非特許文献1に開示されているスピン取付装置を用いた場合、冊子の地部分を先頭にして搬送することがある。このような冊子の搬送を行うと、冊子の背部分の天側に取り付けられたスピンは、摩擦によって毛羽立ちや剥がれ落ちが生じてしまうため、スピンの取り付け状態の補修が必要になりコスト高になるといった課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は、スピンを冊子の表紙に代表される冊子のカバーに取り付けることにより、スピンの毛羽立ちや剥がれ落ちを防ぎ、冊子へのスピンの取り付け状態の補修が不要なスピン取付装置の提供を目的としている。
【0007】
すなわち本発明は、冊子のカバーになるシート体を供給するシート体供給部と、前記シート体供給部から供給された前記シート体を搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送された前記シート体の所定箇所に接着剤を塗布する接着剤塗布部と、ボビンから引き出されたスピンが待機している待機位置と前記接着剤塗布部により前記シート体に塗布された前記接着剤への接着位置との間で進退動するスピン把持体によって前記スピンを前記接着剤に接着するスピン接着部と、前記スピンが接着された前記シート体を貯留するシート体貯留部と、を具備することを特徴とするスピン取付装置である。
【0008】
これにより、スピンを冊子のカバーに取り付けることにより、スピンの毛羽立ちや剥がれ落ちを防ぎ、冊子へのスピンの取り付け状態の補修が不要になる。
【0009】
また、前記搬送部は、前記シート体の底面に当接しながら搬送方向に沿って循環するコンベアベルトと、前記コンベアベルトの幅方向端部よりも外側位置において前記シート体の搬送面から起立し、前記シート体の搬送方向の幅方向位置を位置決めするガイド壁と、前記シート体の上面から離間させた状態で配設され、前記コンベアベルトにより搬送される前記シート体の上面で回転可能な複数の押圧球が収容されたシート体押圧体と、前記コンベアベルトにより搬送される前記シート体と当接する当接位置と前記コンベアベルトにより搬送される前記シート体と当接しない非当接位置との間で進退可能に配設され、前記シート体を前記所定位置で一時停止させるためのストッパ体と、を具備し、前記コンベアベルトの平面位置は、搬送方向上流から搬送方向下流に進むにつれて前記ガイド壁に接近していることが好ましい。
【0010】
これにより、シート体を正確に位置決めした状態で搬送することができ、スピンをシート体の適切な箇所に取り付けることができる。
【0011】
また、前記スピン接着部と前記シート体貯留部との間には、前記スピン把持体により把持されていた前記スピンの先端把持部を前記接着剤に押圧する追加押圧部が配設されていることが好ましい。また、前記スピン把持体は、前記スピンの先端把持部を把持した状態で前記スピンの一部を前記接着剤に押圧した後、前記スピンの先端把持部の把持を解除すると共に、前記スピンの先端把持部を前記接着剤に押圧することが好ましい。
【0012】
これらにより、シート体へのスピンの接着を確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明におけるスピン取付装置の構成によれば、スピンを冊子のカバーに取り付けることにより、スピンの毛羽立ちや剥がれ落ちを防ぎ、冊子へのスピンの取り付け状態の補修が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態におけるスピン取付装置の全体構成を示す正面図である。
図2】シート体供給部と接着剤塗布部の周辺状態を示す正面図である。
図3】搬送部の概略構成を示す平面図である。
図4】スピン接着部を搬送方向上流側から臨んだ側面図である。
図5】スピン接着部を搬送方向下流側から臨んだ側面図である。
図6】スピン接着部をガイド壁側の搬送方向下流側から臨んだ斜視図である。
図7】追加押圧部とシート体貯留部の周辺状態を示す正面図である。
図8】シート体貯留部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態におけるスピン取付装置100は、図1および図3に示すように、シート体供給部10と、搬送部20と、接着剤塗布部30と、スピン接着部40と、追加押圧部50と、シート体貯留部60と、動作制御部70と、を具備している。シート体供給部10から搬送部20に供給されたシート体STは、搬送方向の所定位置で一時停止を繰り返し、スピン接着部40でスピンSPが取り付けられた後にシート体貯留部60に搬送される。なお、本実施形態における冊子のカバーになるシート体STは、冊子に貼付される表紙を例示しているが、本発明における冊子のカバーになるシート体STは、冊子に貼付される表紙に限定されるものではなく、書籍やメモ帳等の冊子の外表面に着脱可能なブックカバー等を含む概念である。
【0016】
本実施形態におけるシート体供給部10は、図1および図2に示すように、第1ストッカ11、第2ストッカ12、第1コンベアベルト13、第2コンベアベルト14およびエア吸着体15を具備している。第1ストッカ11は、オペレータにより冊子のカバーになるシート体STが投入される部分である。第1ストッカ11に投入されたシート体STは、第1コンベアベルト13および第2コンベアベルト14によって第2ストッカ12に順次供給される。第2ストッカ12に供給されたシート体STは、エア吸着体15により搬送部20に順次投入される。シート体供給部10によるシート体STの供給動作は、搬送路上に配設されたシート体検出センサ(図示はせず)によるシート体検出信号に基づいて動作制御部70によって動作制御されている。
【0017】
本実施形態における搬送部20は、図2および図3に示すように、コンベアベルト21、ガイド壁22、シート体押圧体23、ストッパ体24を具備している。コンベアベルト21は、シート体供給部10の下流側直近位置からシート体貯留部60の上流側直近位置までの間においてシート体STの底面に当接しながらシート体STの搬送方向に循環している。コンベアベルト21は、常時循環しシート体STを搬送方向に搬送している。搬送部20における所定位置である接着剤塗布部30、スピン接着部40、追加押圧部50の位置にはストッパ体24が配設されており、搬送部20に搬送されるシート体STは、ストッパ体24の位置で一時停止しながら搬送方向において間欠的に搬送されている。コンベアベルト21によるシート体STの搬送動作は、搬送路上に配設されたシート体検出センサ(図示はせず)によるシート体検出信号に基づいて動作制御部70によりそれぞれ制御されている。
【0018】
ガイド壁22は、コンベアベルト21の幅方向端部よりも外側位置において搬送面から起立する起立壁である。ガイド壁22は、シート体STの搬送方向の中心線に対して平行な平面配置でスライダ26に保持された状態で配設されている。ガイド壁22は、スライダ26によりコンベアベルト21からの水平距離が調整可能になっている。これにより、シート体STにサイズ変更が生じても、簡単な操作でシート体STの位置調整を行うことができる。また、本実施形態におけるコンベアベルト21は、シート体STの搬送方向において上流側から下流側に進むにつれてコンベアベルト21の幅方向における中心線CLの位置が徐々にガイド壁22に接近する平面配置で配設されている。このようなコンベアベルト21の平面配置にすることで、搬送対象であるシート体STは、搬送方向に平行な一方の端縁が搬送中において常にガイド壁22に押し付けられるようになる。これにより、搬送中におけるシート体STの搬送方向の幅方向位置をガイド壁22の壁面に当接させることにより位置決めすることができる。
【0019】
コンベアベルト21の上方位置(搬送面の上方位置)には、コンベアベルト21の上面との間に所要間隔をあけてシート体押圧体23がコンベアベルト21と同一平面位置に配設されている。シート体押圧体23は、複数の貫通孔23Aが均等間隔で穿設された板状体23Bと、それぞれの貫通孔23Aに収容された押圧球23Cとを有している。押圧球23Cの径寸法は、板状体23Bに穿設された貫通孔23Aの径寸法より小さく形成されており、板状体23Bの下面から突出した押圧球23Cの外表面の一部が押圧球23Cの自重でコンベアベルト21の上面にシート体STを押圧している。これにより、軽量なシート体STであっても押圧球23Cの位置においてはシート体STの底面を確実にコンベアベルト21に接触させることができ、シート体STを詰まらせることなく搬送することができる。
【0020】
コンベアベルト21の幅方向外側位置における搬送面には、搬送方向における所定位置である接着剤塗布部30の位置、スピン接着部40の位置および追加押圧部50の位置にストッパ体24が2つずつ配設されている。ストッパ体24は、コンベアベルト21の幅方向外側位置における搬送面に形成された長孔25の平面領域内に収容されている。また、ストッパ体24は、図示しない流体シリンダ等によりシート体STと当接する位置であるコンベアベルト21の上面から突出する位置と、シート体STとの非当接位置であるコンベアベルト21の上面から退避した位置との間で進退可能である。本実施形態におけるストッパ体24は、搬送するシート体STの寸法に応じて長孔25内の任意の位置で搬送面からの進退位置を変更することができる。シート体STの搬送方向の所定位置におけるストッパ体24の進退動作は、搬送路上に配設されたシート体検出センサ(図示はせず)によるシート体検出信号に基づいて動作制御部70により制御されている。
【0021】
本実施形態における接着剤塗布部30は、図1および図2に示すように、シート体供給部10と後述するスピン接着部40との間の位置に配設されている。接着剤塗布部30は、接着剤GLが収容された容器31と、容器31中の接着剤GLをシート体STに塗布するノズル32と、容器31とノズル32を移動させる移動機構33を有している。本実施形態におけるノズル32は、容器31に一体に取り付けられている。移動機構33は、シート体STの搬送面に対する高さ方向(図2中矢印A)とシート体STの搬送方向における幅方向(図2中矢印B)にそれぞれ往復動可能である。ノズル32をシート体STの上面位置において搬送方向における幅方向に往復動させることで、シート体STの所定箇所(ここでは、冊子への装着側の面の天側中央部分)に塗布した接着剤GLを平坦化させることができる。これによりスピンSPの接着部分を薄く仕上げることができる。接着剤塗布部30によるシート体STへの接着剤塗布動作は、搬送路上に配設されたシート体検出センサ(図示はせず)によるシート体検出信号に基づいて動作制御部70により制御されている。
【0022】
また、本実施形態におけるスピン接着部40は、図4図6に示すように、ボビン保持体41、複数のガイドプーリ42、スピン把持体43、直動機構44、スピンストッパ45、カッタ46、エア供給部47および昇降移動体48を具備している。ボビン保持体41は、スピンSPが巻回されたボビンBBを保持する保持板41Aと保持体を回転駆動させるモータ41Bを有している。また、モータ41Bにより回転駆動する駆動プーリ41Cと円板状に形成された保持板41Aとの間には循環ベルト41Dが巻回されており、モータ41Bの駆動により保持板41Aを回転させて、スピンSPをボビンBBから引き出し可能になっている。なお、保持板41Aとモータ41Bの出力軸を直結すれば、駆動プーリ41Cと循環ベルト41Dの構成を省略することができる。
【0023】
スピン接着部40の内部には複数のガイドプーリ42が配設されている。ボビンBBから引き出されたスピンSPは、スピン接着部40の内部空間で上下方向に往復するようにそれぞれのガイドプーリ42に掛け渡された後、待機位置であるスピンストッパ45の配設位置に誘導されている。図4および図5に示すように、ガイドプーリ42の中には、直動機構44の往復動動作に合わせて昇降移動する昇降移動体48に取り付けられたものがある。昇降移動体48は、直動機構44が待機位置から離反する間(スピンSPを引き出している間)は上昇し、その後、直動機構44が待機位置に戻るまでの間に下降する。このような昇降移動体48に取り付けられたガイドプーリ42を有していることで、直動機構44により間欠的にスピンSPがボビンBBから引き出されても、スピンSPには一定の張力が維持されるため、スピン接着部40の内部空間におけるスピンSPの絡まり等を防止することができる。
【0024】
本実施形態におけるスピンストッパ45は、スピンSPが引き出されるスピン搬送台45Aの上方に配設され、流体シリンダ47を駆動源としてスピン搬送台45Aの上面に引き出されたスピンSPに接離動する。スピン搬送台45Aは、待機位置ガイド42Eに隣接する位置に配設されている。ここでは、待機位置ガイド42Eにおける終端部周辺の平面位置がスピンSPを引き出しする際の待機位置になる。直動機構44の動作によってスピン把持体43が待機位置から接着位置に移動してボビンBBからスピンSPを引き出している間は、スピンストッパ45はスピン搬送台45Aの上面から離反しており、スピンSPの引き出しを円滑にしている。
【0025】
スピン把持体43が接着位置に到達すると、流体シリンダ47によりスピンストッパ45がスピン搬送台45Aの上面に当接してスピン搬送台45Aと共にスピンSPを挟持することでスピン把持体43と共にスピンSPに張力をかける。これによりカッタ46は容易かつ美麗にスピンSPを切断することができる。カッタ46により切断されたスピンSPは、先端把持部であるスピンSPの先端部所要範囲を待機位置ガイド42Eの終端部からはみ出させた状態で保持されている。これにより、直動機構44の動作により待機位置に戻ったスピン把持体43は、確実にスピンSPを把持することができる。
【0026】
本実施形態におけるスピン把持体43は、直動機構44に取り付けられたヘッド43Aと、ヘッド43Aに取り付けられていると共にスピンSPを把持するピンチ43Bと、ヘッド43Aを昇降させる昇降機構43Cを有している。ヘッド43Aは図4中における矢印Cの向きに回動可能に取り付けられている。ピンチ43Bは、スピン把持体43の待機位置で水平方向に所要長さ引き出されたスピンSPの先端把持部を挟み込むと、直動機構44により接着位置である搬送部20の側に移動する。ピンチ43Bが接着位置に到達すると、エア供給部47からのエアによりスピンストッパ45が作動し、スピンSPに張力をかけてカッタ46によりスピンSPが切断される。
【0027】
接着対象のシート体STの寸法に適合する長さに切断されたスピンSPの先端把持部をシート体STへの接着位置まで移動させた後、先端把持部が上向きになるようにヘッド43Aが下向きに90度回動する。そして昇降機構43Cは、ヘッド43Aと共にピンチ43Bをシート体STに向けて下降させることでスピンSPの水平引き出し部分をシート体STに塗布された接着剤GLに押圧し、スピンSPの先端側部分を接着剤GLに接着させる。なお、スピン把持体43、直動機構44、スピンストッパ45(エア供給部47)およびカッタ46におけるそれぞれの動作は、搬送路上に配設されたシート体検出センサ(図示はせず)によるシート体検出信号に基づいて動作制御部70により制御されている。
【0028】
本実施形態における追加押圧部50は、図7に示すように、スピン接着部40とシート体貯留部60との間に配設され、伸縮軸52の先端部に押圧用平板54が取り付けられたエアシリンダにより構成されている。押圧用平板54は、少なくとも押圧面の部分が接着剤GLと接着しない材料により形成されている。追加押圧部50は、コンベアベルト21の上側からコンベアベルト21に搬送されるシート体STのスピンSPの先端把持部をシート体STに追加押圧する。これにより、ピンチ43Bにより把持されていたことで接着剤GLと非接触状態だったスピンSPの先端把持部を接着剤GLに接着することができる。
【0029】
追加押圧部50は、シート体STの搬送方向に長い長孔56が形成されたアジャスタホルダ58に保持されている。アジャスタホルダ58の長孔56に対する追加押圧部50の固定位置を変更することにより、搬送方向における追加押圧位置を変更することができ、シート体STの寸法変更に容易に対応することができる。シート体STに塗布された接着剤GLに対する追加押圧部50によるスピンSPの先端把持部の追加押圧動作は、搬送路上に配設されたシート体検出センサ(図示はせず)によるシート体検出信号に基づいて動作制御部70により制御されている。
【0030】
本実施形態におけるシート体貯留部60は、図7および図8に示すように、追加押圧部50の下流側であって、コンベアベルト21よりも下方位置に配設されている。本実施形態におけるシート体貯留部60は、シート体STの搬送方向に沿って延びる軸線AXの周り(図8中矢印D)に約90度回動させる回動体61と回動体61により回動させたシート体STを起立させた状態で貯留する起立貯留体62を有している。回動体61は追加押圧部50から搬送されたシート体STが搬送面と同一面を構成する待機位置と、起立貯留体62への送り出し位置との間で回動動作を繰り返す。回動体61の上面にシート体STが載置されると、回動体61が送り出し位置まで回動し、シート体STを起立貯留体62に送り出し、再び待機位置まで回動する動作を繰り返し実行する。回動体61による起立貯留体62へのシート体STの送り出し動作は、搬送路上に配設されたシート体検出センサ(図示はせず)によるシート体検出信号に基づいて動作制御部70により制御されている。
【0031】
本実施形態における動作制御部70は、シート体供給部10、搬送部20、接着剤塗布部30、スピン接着部40、追加押圧部50およびシート体貯留部60のそれぞれの動作を制御している。動作制御部70は、図示しない記憶部に予め記憶された動作制御プログラムと、動作制御プログラムに基づいて具体的な構成の動作制御を行う図示しないCPUとにより構成されている。また、動作制御部70には複数の操作部71が接続されている。操作部71には表示体72、オンオフスイッチ73、操作ボタン74のうち少なくとも一つが配設されており、スピン取付装置100の動作に関する数値情報の表示やオペレータによるスピン取付装置100のオンオフ、スピンSPの装着対象冊子サイズの変更等が可能になっている。
【0032】
以上の本発明にかかるスピン取付装置100について説明をしたが本発明の技術的範囲は以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態におけるスピン取付装置100は、ゲル状の接着剤GLをシート体STの所定箇所に塗布しているが、使用する接着剤GLは、ゲル状に限定されるものではなく、シート状の接着剤GLをシート体STに貼付する形態を採用することもできる。
【0033】
また、本実施形態におけるスピン接着部40は、ボビンBBから引き出したスピンSPをスピン接着部40の上下方向に取り回しているが、スピン接着部40内におけるスピンSPの取り回し形態は特に限定されるものではない。
【0034】
また、本実施形態におけるスピン接着部40は、ボビンBBからスピンSPを引き出す際に、モータ41BによりボビンBBを回転駆動させているが、この形態に限定されるものではない。回転可能なボビン保持体41にボビンBBを保持させ、スピン把持体43と直動機構44の動作によってボビンBBからスピンSPを引き出す形態を採用することもできる。
【0035】
さらに、本実施形態におけるスピン取付装置100は、スピン接着部40によるシート体STへのスピンSPの接着処理後に、追加押圧部50による追加押圧処理を実行しているが、この形態に限定されるものではない。スピン把持体43がスピンSPの把持を解除した後、動作制御部70がスピン把持体43にシート体STへの接近処理と回動処理をそれぞれ実行させることで、スピン把持体43に把持されていたスピンSPの先端把持部を接着剤GLに追加押圧させることもできる。このようにスピン把持体43によりスピンSPの追加押圧処理が可能である場合、追加押圧部50の配設は省略することもできる。
【0036】
また、本実施形態におけるスピン取付装置100は、シート体供給部10、搬送部20、接着剤塗布部30、スピン接着部40、追加押圧部50およびシート体貯留部60における全ての動作を制御する動作制御部70を配設しているが、この形態に限定されない。シート体供給部10、搬送部20、接着剤塗布部30、スピン接着部40、追加押圧部50およびシート体貯留部60に個別の動作制御部70が配設された形態を採用することもできる。
【0037】
また、以上に説明した本実施形態の構成に対し、明細書中に記載されている変形例や、他の公知の構成を適宜組み合わせた形態を採用することもできる。
【符号の説明】
【0038】
10:シート体供給部
11:第1ストッカ,12:第2ストッカ,13:第1コンベアベルト,
14:第2コンベアベルト,15:エア吸着体
20:搬送部
21:コンベアベルト,22:ガイド壁,23:シート体押圧体,23A:貫通孔,
23B:板状体,23C:押圧球,24:ストッパ体,25:長孔,26:スライダ
30:接着剤塗布部
31:容器,32:ノズル,33:移動機構
40:スピン接着部
41:ボビン保持体,41A:保持板,41B:モータ,41C:駆動プーリ,
41D:循環ベルト,42:ガイドプーリ,42E:待機位置ガイド,
43:スピン把持体,43A:ヘッド,43B:ピンチ,43C:昇降機構,
44:直動機構,45:スピンストッパ,45A:スピン搬送台,46:カッタ,
47:流体シリンダ,48:昇降移動体
50:追加押圧部
52:伸縮軸,54:押圧用平板,56:長孔,58:アジャスタホルダ
60:シート体貯留部
61:回動体,62:起立貯留体
70:動作制御部
71:操作部,72:表示体,73:オンオフスイッチ,74:操作ボタン
100:スピン取付装置
AX:軸線
BB:ボビン
CL:中心線
GL:接着剤
SP:スピン
ST:シート体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8