(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067615
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】チャイルドシート取付部の保護構造
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20240510BHJP
B60N 2/28 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/28
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177825
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003465
【氏名又は名称】弁理士法人OHSHIMA&ASSOCIATES
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(72)【発明者】
【氏名】大西 祐輝
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087CE06
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】チャイルドシートの取付脚がストライカからずれた位置に奥まで差し込まれるのを阻止して、下方に配置された電装部品の保護を図る。
【解決手段】車室内に設置された取付バー7に、チャイルドシートの取付脚を係止するストライカ9が設けられ、ストライカ9の下方に電装部品10が配置される。差し込まれたチャイルドシートの取付脚から電装部品10を保護する保護カバー20が取付バー7に装着され、保護カバー20は、取付バー7に係合される係合部21と、電装部品10を覆う遮蔽部22と、ストライカ9に嵌め込まれて、保護カバー20を位置決めする嵌合部23とから一体的に形成されている。取付脚がずれて差し込まれると、取付脚は遮蔽部22に当接し、取付脚は下方にある電装部品10に接触しない。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に設置された取付バーに、チャイルドシートの取付脚を係止するストライカが設けられ、ストライカの下方に電装部品が配置されたチャイルドシート取付部において、
差し込まれたチャイルドシートの取付脚から電装部品を保護する保護カバーが取付バーに装着され、保護カバーは、取付バーに係合される係合部と、電装部品を覆う遮蔽部と、ストライカに嵌め込まれて、保護カバーを位置決めする嵌合部とから一体的に形成されたことを特徴とするチャイルドシート取付部の保護構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内に設置された取付バーにチャイルドシートを取り付けるためのストライカを設けたチャイルドシート取付部の保護構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ISO-FIX対応のチャイルドシートの取付部では、特許文献1に記載のように、フロアパネル上に車幅方向に延びるクロスメンバを配設して、クロスメンバの中間部をフロアパネルに固定されたシートクッションあるいはシートバックを支持する支持ブラケットに結合固定し、クロスメンバにストライカが設けられる。チャイルドシートから後方に突出した取付脚がストライカに係止されて、チャイルドシートがシートに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チャイルドシート固定用のストライカは、見栄えを考慮して、通常は見えにくい位置に配置される。そのため、チャイルドシートの取付脚をシートの開口から差し込んだとき、ストライカからずれた位置に差し込まれるおそれがあり、取付脚はストライカに係止されていない。この場合、取付脚は奥まで差し込まれるので、ストライカに係止されていなくても、チャイルドシートの取り付けが完了したと誤解される。また、ストライカの近傍にはシート関係のハーネスコネクタなどの電装部品が設置されるので、取付脚がずれた位置に差し込まれた場合、取付脚が電装部品に接触して、電装部品が破損するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑み、チャイルドシートの取付脚がストライカからずれた位置に奥まで差し込まれるのを阻止できるチャイルドシート取付部の保護構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、車室内に設置された取付バーに、チャイルドシートの取付脚を係止するストライカが設けられ、ストライカの下方に電装部品が配置されたチャイルドシート取付部において、差し込まれたチャイルドシートの取付脚から電装部品を保護する保護カバーが取付バーに装着され、保護カバーは、取付バーに係合される係合部と、電装部品を覆う遮蔽部と、ストライカに嵌め込まれて、保護カバーを位置決めする嵌合部とから一体的に形成されている。
【0007】
取付脚がずれて差し込まれると、取付脚はストライカに当接しなくて、遮蔽部に当接し、これ以上奥まで差し込まれない。これによって、取付脚が下方にある電装部品に接触することを防げる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、チャイルドシートの取付脚がストライカからずれて差し込まれても、電装部品に接触することを防いで電装部品を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態のリアシートの後側に配されたチャイルドシートの取付部を示す図
【
図2】チャイルドシートの取付部の保護構造を示す図
【
図3】リアシートにチャイルドシートが取り付けられた状態を示す図
【
図5】チャイルドシートの取付部と保護カバーを示す図
【
図6】他の実施形態の取付バーに装着された保護カバーを示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係るチャイルドシートの取付部を
図1~3に示す。チャイルドシート1は、車室内に設置されたシートクッション2、シートバック3およびヘッドレスト4から構成されるリアシート5に取り付けられる。ISO-FIXに対応したチャイルドシート1の取付部6は、リアシート5の後側に位置しており、フロアパネルに設けられた取付バー7と、チャイルドシート1の取付脚8を係止するストライカ9とを有し、ストライカ9は取付バー7に固定され、ストライカ9の下方に電装部品10が配設されている。
【0011】
車幅方向に延びるように形成された金属パイプ製の取付バー7は、シートバック3の下部後方に設置され、左右の端部がフロアパネルに固定された支持ブラケット11に支持されている。取付バー7には、板金製の複数のストライカ9が溶接によって取り付けられる。ここでは4つのストライカ9が所定の間隔をあけて取り付けられ、左右一対のストライカ9が2組配置される。ストライカ9は前方に向かって突出し、その前端はシートバック3とシートクッション2の間に形成された隙間12に臨んでいる。
【0012】
ストライカ9の下方の電装部品10は、シートベルトリマインダ用ハーネスコネクタとされる。なお、電装部品10は、このハーネスコネクタに限らず、バッテリ用ハーネスコネクタなどであってもよい。
【0013】
チャイルドシート1の後部に、左右一対の取付脚8が後方に向かって突出して設けられる。チャイルドシート1をリアシート5上に載置すると、取付脚8が隙間12に挿入され、ストライカ9の前端に係止される。
【0014】
そして、差し込まれた取付脚8に対するチャイルドシート1の取付部6の保護構造として、
図4、5に示すように、保護カバー20が取付バー7に装着されており、差し込まれた取付脚8から電装部品10を保護している。樹脂製の保護カバー20は、取付バー7に係合される係合部21と、電装部品10を覆う遮蔽部22と、ストライカ9に嵌め込まれて、保護カバー20を位置決めする嵌合部23とから一体的に形成される。
【0015】
係合部21は、取付バー7の外形に合わせて半円筒状で車幅方向に延びるように形成され、肉抜きされて軽量化が図られている。係合部21が取付バー7に嵌め込まれて係合されることにより、保護カバー20が取付バー7に装着される。係合部21の車幅方向の両端にはリブ24が形成され、半円筒状の係合部21が開きにくくなり、係合部21が取付バー7から外れることを防げる。
【0016】
遮蔽部22は、係合部21から前方に向かって突出して形成され、前側が下向きに曲げられている。遮蔽部22は、電装部品10の位置に応じて係合部21の車幅方向の外側寄りに配置される。なお、係合部21の内側寄りの部分はストライカ9に相対している。
【0017】
嵌合部23は、ストライカ9の外側側縁に差し込めるように断面コ字状とされ、係合部21の車幅方向の中央から前方に向かって突出し、遮蔽部22の内側側縁から立ち上がるように形成される。このように、係合部21に遮蔽部22および嵌合部23が一体的に形成されるので、係合部21周りの剛性を十分確保することができる。さらに、嵌合部23が係合部21の車幅方向中央に設けられているので、係合力を安定して確保でき、外乱に対して保護カバー20をずれにくくできる。
【0018】
保護カバー20を装着するとき、嵌合部23をストライカ9の側縁に合わせて差し込みながら、係合部21を取付バー7に嵌め込む。嵌合部23がストライカ9の側縁に嵌まり込むことにより、保護カバー20が位置決めされるとともに、係合部21の回り止めになる。そして、嵌合部23が板金製のストライカ9の側縁を覆うことにより、板金のバリやエッジを隠すことができ、他の物体に対する悪影響をなくすことができる。
【0019】
また、電装部品10の上方に遮蔽部22が位置して、電装部品10は遮蔽部22によって覆われる。このとき、リアシート5に水などの液体がこぼれると、隙間12から取付部6に流れ落ちるが、遮蔽部22に覆われた電装部品10には液体はかからず、電装部品10が濡れることを防ぐことができ、電装部品10を保護できる。
【0020】
次に、チャイルドシート1をリアシート5に取り付けるとき、取付脚8をリアシート5の隙間12に差し込む。取付脚8がストライカ9に当接して、さらに差し込むと、取付脚8がストライカ9に係止され、チャイルドシート1がリアシート5に取り付けられる。
【0021】
ここで、チャイルドシート1がリアシート5にずれて載置されると、取付脚8がストライカ9からずれた位置に差し込まれ、保護カバー20の遮蔽部22に当接する。取付脚8をこれ以上奥に差し込むことができなくなるので、取付脚8が正しく係止されていないことを気づかせることができ、チャイルドシート1の取り付け直しが促される。特に、遮蔽部22の前側が下向きに曲げられているので、取付脚8が電装部品10に向かって差し込まれることを阻止でき、取付脚8が電装部品10に接触することを防いで電装部品10を保護できる。
【0022】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。
図6に示すように、保護カバー20をストライカ9の左右両側に設けてもよい。左右の保護カバー20は互いに線対称な形状とされる。2つの保護カバー20を設けることは、ストライカ9の下方に複数の電装部品10が設けられているときに好適な形態である。ここで、左右別体の保護カバー20を一体化してもよい。
【符号の説明】
【0023】
1 チャイルドシート
5 リアシート
6 取付部
7 取付バー
8 取付脚
9 ストライカ
10 電装部品
20 保護カバー
21 係合部
22 遮蔽部
23 嵌合部