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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067631
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 13/02 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
G05B13/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177854
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 琢
(72)【発明者】
【氏名】石井 英二
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼見 豪
【テーマコード(参考)】
5H004
【Fターム(参考)】
5H004GB01
5H004JA03
5H004KC48
5H004KC52
5H004KC53
(57)【要約】      (修正有)
【課題】制御モデルから出力される推奨制御パラメータを出力する。
【解決手段】制御対象に関する状態の測定値および目標値の偏差を取得する偏差取得部と、前記制御対象に対して供給された制御パラメータをシフトさせたシフト済み制御パラメータを取得する制御パラメータ取得部と、偏差および制御パラメータが入力されることに応じて、前記制御対象に供給することを推奨する推奨制御パラメータを出力する制御モデルに対し、前記偏差取得部により取得された偏差と、前記制御パラメータ取得部により取得された前記シフト済み制御パラメータとを供給する第1供給部と、前記第1供給部から前記制御モデルに対する供給が行われたことに応じて当該制御モデルから出力される前記推奨制御パラメータを出力する出力部と、を備える装置が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象に関する状態の測定値および目標値の偏差を取得する偏差取得部と、
前記制御対象に対して供給された制御パラメータをシフトさせたシフト済み制御パラメータを取得する制御パラメータ取得部と、
偏差および制御パラメータが入力されることに応じて、前記制御対象に供給することを推奨する推奨制御パラメータを出力する制御モデルに対し、前記偏差取得部により取得された偏差と、前記制御パラメータ取得部により取得された前記シフト済み制御パラメータとを供給する第1供給部と、
前記第1供給部から前記制御モデルに対する供給が行われたことに応じて当該制御モデルから出力される前記推奨制御パラメータを出力する出力部と、
を備える装置。
【請求項2】
前記状態の目標値を取得する目標値取得部をさらに備え、
前記制御パラメータ取得部は、前記目標値が基準目標値から変更されたことに応じて、前記制御対象に対して供給された制御パラメータをシフトさせて、前記シフト済み制御パラメータを取得する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御パラメータ取得部は、前記目標値が基準目標値から変更されたことに応じて、前記制御対象に対して供給された制御パラメータを、前記目標値に応じたシフト量だけシフトさせて、前記シフト済み制御パラメータを取得する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御パラメータ取得部は、前記目標値および前記基準目標値の差分と、予め設定された係数とを乗算して前記シフト量を決定する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記制御パラメータ取得部は、前記目標値に設定された値と、当該値に前記測定値が安定するときの制御パラメータの値との関係を示す、予め設定された関係式を用いて前記シフト量を決定する、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記推奨制御パラメータにより前記制御対象が制御された後に前記偏差取得部により取得される偏差が基準範囲内に安定しないことを検出する第1検出部をさらに備え、
前記制御パラメータ取得部は、前記偏差取得部により取得される偏差が前記基準範囲内に安定しないことが前記第1検出部により検出されたことに応じて、前記制御対象に対して供給された前記制御パラメータをシフトさせて、前記シフト済み制御パラメータを取得する、請求項1~3の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
偏差および当該偏差の変化速度が入力されることに応じて、前記制御パラメータ取得部により制御パラメータについてシフトすることを推奨する推奨シフト量を出力するシフト量出力モデルに対し、前記偏差取得部により取得された偏差と、当該偏差の変化速度とを供給する第2供給部をさらに備え、
前記制御パラメータ取得部は、前記偏差取得部により取得される偏差が前記基準範囲内に安定しないことが前記第1検出部により検出され、かつ、前記第2供給部から前記シフト量出力モデルに対する供給が行われたことに応じて当該シフト量出力モデルから出力される前記推奨シフト量だけ、前記制御対象に対して供給された制御パラメータをシフトさせて、前記シフト済み制御パラメータを取得する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第2供給部は、基準インターバルごとに前記シフト量出力モデルに対する供給を行う、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記偏差取得部により取得される偏差と、当該偏差の変化速度と、前記制御パラメータ取得部による前記制御パラメータのシフト量とを含む学習データを用い、偏差および当該偏差の変化速度の入力に応じ、予め設定された報酬関数により定まる報酬値を高めるために推奨される前記推奨シフト量を出力するよう前記シフト量出力モデルの学習処理を行う第1学習処理部をさらに備える、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記制御対象が変更されたことを検出する第2検出部をさらに備え、
前記制御パラメータ取得部は、前記制御対象が変更されたことが前記第2検出部により検出されたことに応じて、前記制御対象に対して供給された制御パラメータをシフトさせて、前記シフト済み制御パラメータを取得する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記制御モデルは、
偏差および制御パラメータが入力されることに応じて、当該制御パラメータについて変更することを推奨する推奨変更量を出力する変更量出力モデルと、
前記制御対象に供給された前記制御パラメータと、前記変更量出力モデルから出力される前記推奨変更量とを加算して前記推奨制御パラメータを算出する加算部と、
を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記偏差取得部により取得される偏差と、前記制御パラメータ取得部により取得される制御パラメータと、を含む学習データを用い、偏差および制御パラメータの入力に応じ、予め設定された報酬関数により定まる報酬値を高めるために推奨される前記推奨変更量を出力するよう前記変更量出力モデルの学習処理を行う第2学習処理部をさらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
制御対象に関する状態の測定値および目標値の偏差を取得する偏差取得段階と、
前記制御対象に対して供給された制御パラメータをシフトさせたシフト済み制御パラメータを取得する制御パラメータ取得段階と、
偏差および制御パラメータが入力されることに応じて、前記制御対象に供給することを推奨する推奨制御パラメータを出力する制御モデルに対し、前記偏差取得段階により取得された偏差と、前記制御パラメータ取得段階により取得された前記シフト済み制御パラメータとを供給する第1供給段階と、
前記第1供給段階により前記制御モデルに対する供給が行われたことに応じて当該制御モデルから出力される前記推奨制御パラメータを出力する出力段階と、
を備える方法。
【請求項14】
コンピュータを、
制御対象に関する状態の測定値および目標値の偏差を取得する偏差取得部と、
前記制御対象に対して供給された制御パラメータをシフトさせたシフト済み制御パラメータを取得する制御パラメータ取得部と、
偏差および制御パラメータが入力されることに応じて、前記制御対象に供給することを推奨する推奨制御パラメータを出力する制御モデルに対し、前記偏差取得部により取得された偏差と、前記制御パラメータ取得部により取得された前記シフト済み制御パラメータとを供給する第1供給部と、
前記第1供給部から前記制御モデルに対する供給が行われたことに応じて当該制御モデルから出力される前記推奨制御パラメータを出力する出力部
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~4には、「目標値SVに基づいて操作量マップを選択して、選択した操作量マップを用いて操作量MVを算出する」(特許文献1の段落0031)などと記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2022-156797号公報
[特許文献2]特開2020-95352号公報
[特許文献3]特開2021-117699号公報
[特許文献4]特開2022-014099号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、制御対象に関する状態の測定値および目標値の偏差を取得する偏差取得部と、前記制御対象に対して供給された制御パラメータをシフトさせたシフト済み制御パラメータを取得する制御パラメータ取得部と、偏差および制御パラメータが入力されることに応じて、前記制御対象に供給することを推奨する推奨制御パラメータを出力する制御モデルに対し、前記偏差取得部により取得された偏差と、前記制御パラメータ取得部により取得された前記シフト済み制御パラメータとを供給する第1供給部と、前記第1供給部から前記制御モデルに対する供給が行われたことに応じて当該制御モデルから出力される前記推奨制御パラメータを出力する出力部と、を備える装置が提供される。
【0004】
上記の装置においては、前記状態の目標値を取得する目標値取得部をさらに備え、前記制御パラメータ取得部は、前記目標値が基準目標値から変更されたことに応じて、前記制御対象に対して供給された制御パラメータをシフトさせて、前記シフト済み制御パラメータを取得してよい。
【0005】
上記の装置においては、前記制御パラメータ取得部は、前記目標値が基準目標値から変更されたことに応じて、前記制御対象に対して供給された制御パラメータを、前記目標値に応じたシフト量だけシフトさせて、前記シフト済み制御パラメータを取得してよい。
【0006】
前記制御パラメータを前記目標値に応じたシフト量だけシフトさせる上記の装置においては、前記制御パラメータ取得部は、前記目標値および前記基準目標値の差分と、予め設定された係数とを乗算して前記シフト量を決定してよい。
【0007】
前記制御パラメータを前記目標値に応じたシフト量だけシフトさせる上記の装置においては、前記制御パラメータ取得部は、前記目標値に設定された値と、当該値に前記測定値が安定するときの制御パラメータの値との関係を示す、予め設定された関係式を用いて前記シフト量を決定してよい。
【0008】
上記何れかの装置においては、前記推奨制御パラメータにより前記制御対象が制御された後に前記偏差取得部により取得される偏差が基準範囲内に安定しないことを検出する第1検出部をさらに備え、前記制御パラメータ取得部は、前記偏差取得部により取得される偏差が前記基準範囲内に安定しないことが前記第1検出部により検出されたことに応じて、前記制御対象に対して供給された前記制御パラメータをシフトさせて、前記シフト済み制御パラメータを取得してよい。
【0009】
上記の装置においては、偏差および当該偏差の変化速度が入力されることに応じて、前記制御パラメータ取得部により制御パラメータについてシフトすることを推奨する推奨シフト量を出力するシフト量出力モデルに対し、前記偏差取得部により取得された偏差と、当該偏差の変化速度とを供給する第2供給部をさらに備え、前記制御パラメータ取得部は、前記偏差取得部により取得される偏差が前記基準範囲内に安定しないことが前記第1検出部により検出され、かつ、前記第2供給部から前記シフト量出力モデルに対する供給が行われたことに応じて当該シフト量出力モデルから出力される前記推奨シフト量だけ、前記制御対象に対して供給された制御パラメータをシフトさせて、前記シフト済み制御パラメータを取得してよい。
【0010】
前記偏差取得部により取得された偏差と、当該偏差の変化速度とをシフト量出力モデルに供給する上記の装置においては、前記第2供給部は、基準インターバルごとに前記シフト量出力モデルに対する供給を行ってよい。
【0011】
前記偏差取得部により取得された偏差と、当該偏差の変化速度とをシフト量出力モデルに供給する上記の装置においては、前記偏差取得部により取得される偏差と、当該偏差の変化速度と、前記制御パラメータ取得部による前記制御パラメータのシフト量とを含む学習データを用い、偏差および当該偏差の変化速度の入力に応じ、予め設定された報酬関数により定まる報酬値を高めるために推奨される前記推奨シフト量を出力するよう前記シフト量出力モデルの学習処理を行う第1学習処理部をさらに備えてよい。
【0012】
上記何れかの装置においては、前記制御対象が変更されたことを検出する第2検出部をさらに備え、前記制御パラメータ取得部は、前記制御対象が変更されたことが前記第2検出部により検出されたことに応じて、前記制御対象に対して供給された制御パラメータをシフトさせて、前記シフト済み制御パラメータを取得してよい。
【0013】
上記何れかの装置においては、前記制御モデルは、偏差および制御パラメータが入力されることに応じて、当該制御パラメータについて変更することを推奨する推奨変更量を出力する変更量出力モデルと、前記制御対象に供給された前記制御パラメータと、前記変更量出力モデルから出力される前記推奨変更量とを加算して前記推奨制御パラメータを算出する加算部と、を有してよい。
【0014】
上記の装置においては、前記偏差取得部により取得される偏差と、前記制御パラメータ取得部により取得される制御パラメータと、を含む学習データを用い、偏差および制御パラメータの入力に応じ、予め設定された報酬関数により定まる報酬値を高めるために推奨される前記推奨変更量を出力するよう前記変更量出力モデルの学習処理を行う第2学習処理部をさらに備えてよい。
【0015】
本発明の第2の態様においては、制御対象に関する状態の測定値および目標値の偏差を取得する偏差取得段階と、前記制御対象に対して供給された制御パラメータをシフトさせたシフト済み制御パラメータを取得する制御パラメータ取得段階と、偏差および制御パラメータが入力されることに応じて、前記制御対象に供給することを推奨する推奨制御パラメータを出力する制御モデルに対し、前記偏差取得段階により取得された偏差と、前記制御パラメータ取得段階により取得された前記シフト済み制御パラメータとを供給する第1供給段階と、前記第1供給段階により前記制御モデルに対する供給が行われたことに応じて当該制御モデルから出力される前記推奨制御パラメータを出力する出力段階と、を備える方法が提供される。
【0016】
本発明の第3の態様においては、コンピュータを、制御対象に関する状態の測定値および目標値の偏差を取得する偏差取得部と、前記制御対象に対して供給された制御パラメータをシフトさせたシフト済み制御パラメータを取得する制御パラメータ取得部と、偏差および制御パラメータが入力されることに応じて、前記制御対象に供給することを推奨する推奨制御パラメータを出力する制御モデルに対し、前記偏差取得部により取得された偏差と、前記制御パラメータ取得部により取得された前記シフト済み制御パラメータとを供給する第1供給部と、前記第1供給部から前記制御モデルに対する供給が行われたことに応じて当該制御モデルから出力される前記推奨制御パラメータを出力する出力部として機能させるプログラムが提供される。
【0017】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係るシステム1を示す。
図2】変更量出力モデル2061の一例を示す。
図3】変更量出力モデル2061の他の例を示す。
図4】制御モデル206に入力される制御パラメータをシフトすることによる効果を示す。
図5】サンプルデータの近似曲線を示す。
図6】装置200の動作を示す。
図7】目標値SPが変更される場合の測定値PVと、制御パラメータとの推移を示す。
図8】第2実施形態に係るシステム1Aを示す。
図9】シフト量出力モデル213Aの一例を示す。
図10】シフト量出力モデル213Aの他の例を示す。
図11】装置200Aの動作を示す。
図12】外乱が生じる場合の測定値PVと、制御パラメータとの推移を示す。
図13】第3実施形態に係るシステム1Bを示す。
図14】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
<1.第1実施形態>
<1.1.システム1>
図1は、第1実施形態に係るシステム1を示す。システム1は設備100と、装置200とを備える。
【0021】
<1.1.1.設備100>
設備100は、制御対象101が備え付けられた施設や装置等である。例えば、設備100は、プラントであってもよいし、複数の機器を複合させた複合装置であってもよい。プラントとしては、化学やバイオ等の工業プラントの他、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、上下水やダム等を管理制御するプラント等が挙げられる。
【0022】
設備100には、1または複数の制御対象101が設けられている。制御対象101は、制御の対象となる器具、機械または装置等であり、いわゆるフィールド機器であってよい。例えば、制御対象101は、圧力計、流量計、温度センサ等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、またはファンやモータ等のアクチュエータ機器であってよい。制御対象101は、外部から有線または無線で制御されるが、手動で制御されてもよい。制御対象101は、装置200における制御部207によって制御されてよい。本実施形態では一例として、制御対象101は、操作量MV(Manipulated Variable)についての指示値IV(Instructed value)を制御部207から供給されることで制御されてよい。
【0023】
また、設備100には、1または複数のセンサ102が設けられていてよい。各センサ102は、設備100の内外の状態の測定値、つまり、内外の状態を示す物理量の測定値を測定してよい。少なくとも1つのセンサ102は、制御対象101の状態の測定値PV(Process Variable)を測定してよい。測定値PVは、制御対象101を制御した結果の運転状態を示す運転データであってよく、制御の対象となる制御量を示してよい。一例として、測定値PVは、制御対象101の出力そのものを示してもよいし、制御対象101の出力によって変化する様々な値を示してもよい。一例として、測定値PVは、圧力、温度、pH、速度、流量などを示してよい。各センサ102は、測定した測定値PVを装置200に供給してよい。
【0024】
<1.1.2.装置200>
装置200は、制御対象101を制御するものであり、例えば制御対象101のコントローラであってよい。装置200は、制御対象101の操作量MVについての指示値IVを出力して温度の調節、液面の水位調整または流量の調整などのプロセス制御を実行してよい。
【0025】
装置200は、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ワークステーション、サーバコンピュータ、または汎用コンピュータ等のコンピュータであってよく、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムであってもよい。このようなコンピュータシステムもまた広義のコンピュータである。また、装置200は、コンピュータ内で1または複数実行可能な仮想コンピュータ環境によって実装されてもよい。これに代えて、装置200は、AI制御用に設計された専用コンピュータであってもよく、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってもよい。また、装置200がインターネットに接続可能な場合、装置200は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよい。
【0026】
装置200は、測定値取得部201と、目標値取得部202と、偏差取得部203と、制御パラメータ取得部204と、第1供給部205と、制御モデル206と、制御部207と、学習処理部208とを有してよい。なお、これらブロックは、それぞれ機能的に分離された機能ブロックであって、実際のデバイス構成とは必ずしも一致していなくてもよい。即ち、本図において、1つのブロックとして示されている場合であっても、それが1つのデバイスにより構成されるものに限定されない。また、本図において、別々のブロックとして示されている場合であっても、それらが別々のデバイスにより構成されるものに限定されない。
【0027】
<1.1.2―1.測定値取得部201>
測定値取得部201は、制御対象101に関する状態の測定値PVを取得する。本実施形態では一例として、測定値取得部201は、一の物理量についての測定値PVを一のセンサ102から取得することとして説明するが、複数の物理量のそれぞれについての測定値PVを複数のセンサ102から取得してもよい。測定値取得部201は、取得した測定値PVを偏差取得部203に供給してよい。
【0028】
<1.1.2-2.目標値取得部202>
目標値取得部202は、制御対象101に関する状態の目標値SP(Set Point)を取得する。目標値取得部202は、測定値取得部201により取得される測定値PVの目標値SPを取得してよい。目標値取得部202は、図示しない入力部を介してオペレータから目標値SPを取得してよい。目標値取得部202は、オペレータにより目標値SPが設定されない場合には、予め設定された基準目標値を目標値SPとして取得してよい。目標値取得部202は、取得した目標値SPを偏差取得部203に供給してよい。目標値取得部202は、基準目標値とは異なる値に目標値SPが設定されることに応じて、設定された目標値SPを示す信号(目標値変更信号とも称する)を制御パラメータ取得部204に供給してよい。
【0029】
<1.1.2-3.偏差取得部203>
偏差取得部203は、制御対象101に関する状態の測定値PVおよび目標値SPの偏差を取得する。偏差取得部203は、測定値取得部201から測定値PVを、目標値取得部202から目標値SPを取得し、目標値SPから測定値PVを減算して偏差を算出してよい。これに代えて、偏差取得部203は、測定値PVから目標値SPを減算して偏差を算出してもよい。偏差取得部203は、取得した偏差を第1供給部205に供給してよい。偏差取得部203は、取得した偏差を、図示しない記憶部に記憶させてよい。
【0030】
<1.1.2-4.制御パラメータ取得部204>
制御パラメータ取得部204は、制御対象101に対して供給された制御パラメータPをシフトさせたシフト済み制御パラメータP+Δpを取得する。制御パラメータ取得部204は、後述の制御部207から制御パラメータPを取得してよく、本実施形態では一例として、制御部207が制御対象101に制御パラメータPを供給するごとに当該制御パラメータPを取得してよい。制御パラメータPは、制御対象101の操作量MVについての指示値IVを示してよい。制御対象101がバルブである場合には、制御パラメータPは一例としてバルブ開度を示してよい。制御パラメータ取得部204は、制御部207から取得した制御パラメータPをシフトさせてシフト済み制御パラメータP+Δpを生成してよい。
【0031】
制御パラメータ取得部204は、目標値SPが上述の基準目標値から変更されたことに応じて、制御対象101に対して供給された制御パラメータPをシフトさせてシフト済み制御パラメータP+Δpを取得してよい。制御パラメータ取得部204は、目標値取得部202から目標値変更信号を受信したことに応じて、制御部207から取得した直近の制御パラメータPをシフトさせ、シフト済み制御パラメータP+Δpを生成してよい。
【0032】
制御パラメータ取得部204は、目標値SPが上述の基準目標値から変更されたことに応じて、制御対象101に対して供給された制御パラメータPを、目標値SPに応じたシフト量Δpだけシフトさせてシフト済み制御パラメータP+Δpを取得してよい。制御パラメータ取得部204は、目標値変更信号で示される目標値SPに基づいてシフト量Δpを決定してよい。なお、シフト量Δpについては詳細を後述する。
【0033】
制御パラメータ取得部204は、取得したシフト済み制御パラメータP+Δpを第1供給部205に供給してよい。なお、本実施形態では一例として、制御パラメータ取得部204は、目標値SPが基準目標値である場合には、制御部207から取得した制御パラメータPをシフトさせずに第1供給部205に供給することとして説明するが、当該制御パラメータPを0だけシフトさせたシフト済み制御パラメータP+Δpとして第1供給部205に供給してもよい。
【0034】
<1.1.2-5.第1供給部205>
第1供給部205は、制御モデル206に対し、偏差取得部203により取得された偏差と、制御パラメータ取得部204により取得されたシフト済み制御パラメータP+Δpとを供給する。第1供給部205は、制御部207から制御対象101に供給された制御パラメータPをシフトさせたシフト済み制御パラメータP+Δpと、当該制御パラメータPにより制御対象101を制御した結果の運転状態を示す偏差とを制御モデル206に供給してよい。第1供給部205は、シフトされていない制御パラメータPが制御パラメータ取得部204から供給される場合には、当該制御パラメータPと偏差とを制御モデル206に供給してよい。
【0035】
<1.1.2-6.制御モデル206>
制御モデル206は、偏差および制御パラメータPが入力されることに応じて、制御対象101に供給することを推奨する推奨制御パラメータPrを出力する。制御モデル206は、偏差と、一の制御対象101に供給された制御パラメータPとが入力されることに応じて、当該一の制御対象101に供給することを推奨する推奨制御パラメータPrを出力してよい。推奨制御パラメータPrは、制御対象101の操作量MVについての、推奨される指示値IVを示してよい。
【0036】
制御モデル206は、制御パラメータPについて基準値V(一例として0)を基準として生成されていてよく、基準値Vに対する制御パラメータPの相対値が偏差と共に入力されることに応じて、当該基準値Vを基準とした推奨制御パラメータPrの値を出力してよい。基準値Vを基準とした制御モデル206に対して偏差と制御パラメータPとが入力されることに代えて、偏差とシフト済み制御パラメータP+Δpとが入力されることは、基準値V-Δpを基準とした他の制御モデルに対して偏差と制御パラメータPとが入力されることに相当してよい。このような他の制御モデルは、特許文献1で示されるような従来技術において、制御モデル206とは異なる環境で使用するべく生成され得る。
【0037】
制御モデル206は、偏差および制御パラメータPが入力されることに応じて、目標値SPが基準目標値である状態に応じた推奨制御パラメータPrを出力してよい。別言すれば、制御モデル206は、目標値が基準目標値である状態において推奨される推奨制御パラメータPrを出力してよい。このような制御モデル206に対して偏差と制御パラメータPとが入力されることに代えて、偏差とシフト済み制御パラメータP+Δpとが入力されることは、目標値SPが基準目標値とは異なる一の値である場合に適合した推奨制御パラメータPrを出力する他の制御モデルに対し、偏差と制御パラメータPとが入力されることに相当してよい。
【0038】
制御モデル206は、第1供給部205から偏差と、シフト済み制御パラメータP+Δpまたは制御パラメータPとを入力されることに応じて、制御部207に推奨制御パラメータPrを出力してよい。本実施形態では一例として、制御モデル206には一の物理量についての測定値PVおよび目標値SPの偏差が入力されることとして説明するが、複数の物理量についての測定値PVおよび目標値SPの偏差がそれぞれ入力されることとしてもよい。制御モデル206は、変更量出力モデル2061と、加算部2062とを有してよい。
【0039】
<1.1.2-6(1).変更量出力モデル2061>
変更量出力モデル2061は、偏差および制御パラメータPが入力されることに応じて、当該制御パラメータPについて変更することを推奨する推奨変更量を出力する。変更量出力モデル2061は、推奨変更量を加算部2062に供給してよい。推奨変更量は、制御対象101に対して供給された直近の制御パラメータPから変更することを推奨する変更量を示してよい。本実施形態では一例として推奨変更量は、操作量MVについての直近の指示値IVについての推奨される変更量を示してよい。変更量出力モデル2061は、学習処理部208による学習処理によって生成されてよく、図示しない記憶部に記憶されていてよい。
【0040】
<1.1.2-6(2).加算部2062>
加算部2062は、制御対象101に供給された制御パラメータPと、変更量出力モデル2061から出力される推奨変更量とを加算して推奨制御パラメータPrを算出する。加算部2062は、制御部207から供給された直近の制御パラメータPと、変更量出力モデル2061から供給された推奨変更量とを加算して推奨制御パラメータPrを算出してよい。
【0041】
加算部2062は、次の(1)式に示すように、時点t-1での制御パラメータP(t-1)と、時点tでの推奨変更量Δu(t)とを加算して、時点tでの推奨制御パラメータPr(t)を算出してよい。
Pr(t)=P(t-1)+Δu(t) (1)
【0042】
加算部2062は、制御部207から供給される制御パラメータPを記憶して、推奨制御パラメータPrの算出に用いてよい。加算部2062は、算出された推奨制御パラメータPrを制御部207に供給してよい。
【0043】
<1.1.2-7.制御部207>
制御部207は、出力部の一例であり、第1供給部205から制御モデル206に対する供給が行われたことに応じて当該制御モデル206から出力される推奨制御パラメータPrを出力する。本実施形態では一例として、制御部207は、推奨制御パラメータPrを制御パラメータPとして制御対象101に出力して、制御対象101を制御してよい。制御部207は、オペレータから入力される制御パラメータPを制御対象101に出力して制御対象101を制御してもよい。制御部207は、制御対象101の制御周期に合わせて制御パラメータPを制御対象101に出力してよい。
【0044】
制御部207は、制御対象101に供給される制御パラメータPを、図示しない記憶部に記憶させてよい。制御部207は、制御対象101に供給される制御パラメータPを、偏差取得部203により取得される偏差と対応付けて記憶部に記憶させてよい。制御部207は、制御対象101に供給される制御パラメータPを、当該制御パラメータPにより制御対象101を制御した結果の運転状態を示す偏差と対応付けて記憶部に記憶させてよい。
【0045】
<1.1.2-8.学習処理部208>
学習処理部208は、第2学習処理部の一例であり、偏差取得部203により取得される偏差と、制御パラメータ取得部204により取得される制御パラメータPと、を含む学習データを用いて変更量出力モデル2061の学習処理を行う。学習データに含まれる偏差および制御パラメータPは、目標値SPが上述の基準目標値である場合に取得される偏差および制御パラメータPであってよく、図示しない記憶部において対応付けて記憶されてよい。なお、学習データは、実際のシステム1から取得される代わりに、システム1のシミュレータ(図示せず)から取得されてもよい。シミュレータは、任意のシステム同定技術により設備100の実測データなどを用いて作成されてよい。
【0046】
学習処理部208は、偏差および制御パラメータPの入力に応じ、報酬値を高めるために推奨される推奨変更量を出力するよう変更量出力モデル2061の学習を行ってよい。推奨変更量は、所定の時点(一例として偏差および制御パラメータPの取得時点)での制御対象101の状態に対応する報酬値(一例としてその時点の測定値PVに応じた値を報酬関数に入力して得られる報酬値)を基準報酬値とした場合に、当該基準報酬値よりも報酬値を高くするために推奨される変更量であってよい。一例として、学習処理部208は、カーネルダイナミックポリシープログラミング法(Kernel Dynamic Policy Programming、KDPP)のアルゴリズムにより学習を行ってよい。報酬値は、予め設定された報酬関数により定まる値であってよい。報酬関数は、偏差に基づく関数であってよく、一例として、偏差が小さいほど報酬値が大きくなる関数であってよい。なお、偏差取得部203により複数の物理量のそれぞれについて偏差が取得される場合には、報酬関数は複数の偏差の総和に基づく関数であってもよいし、複数の偏差を重み付け加算した結果に基づく関数であってもよい。
【0047】
以上の装置200によれば、測定値PVおよび目標値SPの偏差と制御パラメータPとが入力されることに応じて推奨制御パラメータPrを出力する制御モデル206に対し、制御パラメータPをシフトさせたシフト済み制御パラメータP+Δpが供給される。従って、制御パラメータPの基準値を制御モデル206よりもシフト量-Δpだけシフトさせた他の制御モデルに制御パラメータPを入力して出力される推奨制御パラメータPrを、制御モデル206から取得することができる。よって、環境の変化(本実施形態では一例として目標値の変化)に合わせて制御パラメータPをシフトさせて制御モデル206に入力することで、変化した環境に適合した推奨制御パラメータPrを取得することができる。また、制御パラメータPをシフトすることにより、基準値の異なる他の制御モデルから出力される推奨制御パラメータPrを制御モデル206から取得することができるため、複数の制御モデルを装置200に内蔵する場合と比較して、装置200を小型化することができる。
【0048】
また、制御モデル206では、偏差と、制御対象101に供給済みの制御パラメータPとに応じて当該制御パラメータPの推奨変更量が変更量出力モデル2061から出力され、当該供給済みの制御パラメータPと、当該推奨変更量とが加算されて推奨制御パラメータPrが算出される。従って、制御パラメータPをシフト済み制御パラメータP+ΔPとして制御モデル206に入力することで制御モデル206を他の制御モデルとして用いる場合であっても、供給済みの制御パラメータPをベースとした推奨制御パラメータPrを取得することができる。よって、制御対象101に適合した適切な推奨制御パラメータPrを取得することができる。
【0049】
また、偏差取得部203により取得される偏差と、制御パラメータ取得部204により取得される制御パラメータPとを含む学習データを用い、偏差および制御パラメータPの入力に応じ、報酬関数により定まる報酬値を高めるために推奨される推奨変更量を出力するよう変更量出力モデル2061の学習処理が行われる。従って、適切な推奨制御パラメータPrを制御モデル206から確実に取得することができる。
【0050】
また、偏差および制御パラメータPが制御モデル206に入力されることに応じて、目標値SPが基準目標値である状態に応じた推奨制御パラメータPrが制御モデル206から出力され、目標値SPが基準目標値から変更されたことに応じて、制御パラメータPをシフトさせたシフト済み制御パラメータP+Δpが制御モデル206に供給される。従って、単一の制御モデル206を用い、目標値SPの変化に応じた推奨制御パラメータPrを取得することができる。
【0051】
また、目標値SPが上述の基準目標値から変更されたことに応じて、制御対象101に対して供給された制御パラメータPを目標値SPに応じたシフト量Δpだけシフトさせてシフト済み制御パラメータP+Δpが取得される。従って、単一の制御モデル206を用い、目標値SPの変化に応じた高精度の推奨制御パラメータPrを取得することができる。
【0052】
<1.2.変更量出力モデル2061>
図2は、変更量出力モデル2061の一例を示す。なお、図2や後述の図4等において縦軸は制御パラメータP(一例としてバルブの開度の指示値IV)を示し、横軸は偏差を示す。
【0053】
変更量出力モデル2061は、偏差および制御パラメータPの組み合わせと、推奨変更量との対応関係を示してよい。本例の変更量出力モデル2061は、偏差および制御パラメータPの組み合わせと、推奨変更量との対応関係をマッピングした操作量マップであってよい。操作量マップは、制御パラメータPと偏差との組み合わせに応じて、それぞれ別々の推奨変更量に対応付けられた複数の領域に分けられてよく、入力される制御パラメータPおよび偏差の組み合わせの座標位置に対応付けられた推奨変更量を出力してよい。このような変更量出力モデル2061を用いると、偏差が0で、かつ、変更量が0の座標点(平衡点Oとも称する。図2では一例として偏差=0かつ制御パラメータP=約50の点)でプロセスが安定状態となる。
【0054】
なお、変更量出力モデル2061は、操作量マップの全域に関する情報を含んでよい。これに代えて、変更量出力モデル2061は、各領域の境界を示す情報(一例として境界を示す座標や関数式)と、各領域に対応する推奨変更量とのみを含んでもよい。この場合には、変更量出力モデル2061を記憶するための記憶領域を小さくすることができる。
【0055】
図3は、変更量出力モデル2061の他の例を示す。この図に示すように、変更量出力モデル2061は、偏差および制御パラメータPの組み合わせと、推奨変更量とを対応付けたテーブルであってもよい。
【0056】
<1.3.制御パラメータPのシフト>
図4は、制御モデル206に入力される制御パラメータPをシフトすることによる効果を示す。
【0057】
本実施形態に係る変更量出力モデル2061の操作量マップは偏差についての座標軸を有しており、目標値SPが基準目標値から変更される等によりシステム1の環境が変化する場合にも、偏差=0の線上でプロセスが安定することには変わりがない。従って、環境が変化することによる平衡点Oのずれは、操作量マップを制御パラメータPの座標軸方向(本図では一例として縦軸方向)にシフトさせることで解消され得る。
【0058】
本実施形態に係る装置200では、環境が変化することにより元の平衡点Oとは異なる点Osが実際の平衡点となる場合に、制御モデル206の変更量出力モデル2061に対し、制御パラメータPをシフト量Δpだけシフトさせて入力する。これにより、図中上側に示す変更量出力モデル2061の操作量マップを制御パラメータPの座標軸方向に―Δpだけシフトさせて、図中下側に示す操作量マップとし、偏差と制御パラメータPとを入力した場合と同様の推奨変更量が出力される。よって、制御パラメータPをシフトさせて制御モデル206に入力することにより、操作量マップをシフトさせた他の制御モデルからの出力を取得することができる。
【0059】
<1.4.シフト量>
制御パラメータ取得部204は、制御対象101に供給された制御パラメータPを、設定された目標値SPに応じたシフト量Δpだけシフトさせてシフト済み制御パラメータP+Δpを生成してよい。例えば、制御パラメータ取得部204は、目標値SPおよび基準目標値の差分と、予め設定された係数とを乗算してシフト量Δpを決定してよい。これに代えて、または、これに加えて、制御パラメータ取得部204は、目標値SPに設定された値と、当該値に測定値PVが安定するときの制御パラメータPの値(平衡点Oでの制御パラメータPの値とも称する)との関係を示す、予め設定された関係式を用いてシフト量Δpを決定してよい。
【0060】
測定値PVが目標値SPに安定するとは、制御部207から制御対象101に制御パラメータPが出力されて第1の基準時間が経過した後に、第2の基準時間内に亘って測定値PVが基準範囲内に収まることであってよい。基準範囲は、目標値SPを中央に含む範囲であってよい。第1の基準時間および第2の基準時間は制御対象101の時定数に応じてそれぞれ予め設定されてよい。第1の基準時間および第2の基準時間は互いに異なる時間であってよい。第2の基準時間は第1の基準時間よりも長くてよく、制御部207による制御対象101の制御周囲より長くてよい。
【0061】
シフト量の決定に用いられる上述の係数や関係式は、平衡点Oでの測定値PVと当該平衡点Oでの制御パラメータPとを含む複数のサンプルデータに対する近似曲線から設定されてよい。平衡点Oでの測定値PVを測定値PVの目標値SPとして捉えると、近似曲線は目標値SPと、平衡点Oでの制御パラメータPの値との関係を示してよい。当該基準時曲線の関数は、シフト量の決定に用いられる上述の関係式として予め設定されてよい。近似曲線が一次関数である場合には、目標値SPの変化量に対する制御パラメータPの変化量の比、つまり近似曲線の傾きを示す値は、シフト量の決定に用いられる上述の係数として予め設定されてよい。
【0062】
各サンプルデータは、制御対象101に供給する制御パラメータPを一定値に維持して測定値PVのステップ応答が一の値に安定したときの制御パラメータPの値と、測定値PVの値とを含んでよい。これに代えて、各サンプルデータは、目標値SPを設定して制御対象101をPID制御によって制御し、測定値PVが目標値SPに安定したときの制御パラメータPの値と、目標値SPとを含んでよい。各サンプルデータは制御対象101を実際に動作させて取得されてもよいし、シミュレータによって取得されてもよい。サンプルデータの近似曲線は、最小二乗法などの線形回帰により算出されてもよいし、多項式近似やガウス過程回帰などの非線形回帰により算出されてもよい。
【0063】
図5は、サンプルデータの近似曲線を示す。図中の横軸(x軸)は目標値SP(または平衡点Oでの測定値PV)を示し、縦軸(y軸)は平衡点での制御パラメータPの値を示す。本図の例では、近似曲線はy=0.8165x-0.0002であってよく、目標値SPは基準目標値としての50から80に変更されてよい。この場合に、制御パラメータ取得部204は、目標値SPおよび基準目標値の差分である30と、予め設定された係数としての0.8165とを乗算して、シフト量Δpを24.495と決定してよい。これに代えて、制御パラメータ取得部204は、予め設定された関数式y=0.8165x-0.0002を用いて、目標値SPが基準目標値の50である場合の制御パラメータPの値を40.8248(=0.8165×50)、目標値SPが80である場合の制御パラメータPの値を65.3198(=0.8165×80)としてそれぞれ算出し、両者の差分からシフト量Δpを24.495と決定してもよい。なお、目標値SPが基準目標値である場合の制御パラメータPの値(本例では40.8248)は予め制御パラメータ取得部204に記憶されてもよい。
【0064】
以上のような制御パラメータ取得部204を有する装置200によれば、目標値SPおよび基準目標値の差分と、予め設定された係数とを乗算してシフト量が決定されるので、変更後の目標値SPに合わせた高精度の推奨制御パラメータPrを取得することができる。
【0065】
また、目標値SPに設定された値と、当該値に測定値PVが安定するときの制御パラメータPの値との関係を示す既定の関係式を用いてシフト量が決定されるので、関数式に目標値SPを入力することでシフト量を決定することができる。従って、変更後の目標値SPに合わせた高精度の推奨制御パラメータPrを容易に取得することができる。
【0066】
<1.5.動作>
図6は、装置200の動作を示す。装置200は、ステップS11~S29の処理を行うことにより、制御対象101を制御してよい。なお、この動作は装置200が起動されることに応じて開始してよい。また、動作の開始時点においては変更量出力モデル2061の学習処理が完了していてよい。
【0067】
ステップS11において目標値取得部202は、制御対象101に関する状態の目標値SPを取得する。目標値取得部202は、予め設定された基準目標値を目標値SPとして取得してもよいし、基準目標値とは異なる値を目標値SPとして取得してもよい。ステップS11の処理が最初に実行される場合には、目標値取得部202は、基準目標値を目標値SPとして取得してよい。目標値取得部202は、基準目標値とは異なる値を目標値SPとして取得したことに応じて、設定された目標値SPを示す目標値変更信号を出力してよい。
【0068】
ステップS13において測定値取得部201は、制御対象101に関する状態の測定値PVを取得する。目標値取得部202は、設備100のセンサ102から測定値PVを取得してよい。
【0069】
ステップS15において偏差取得部203は、ステップS11で取得された目標値SPと、ステップS13で取得された測定値PVとの偏差を取得する。
【0070】
ステップS17において制御パラメータ取得部204は、制御対象101に対して供給された制御パラメータPを取得する。制御パラメータ取得部204は、直近の制御周期において制御対象101に供給された制御パラメータPを制御部207から取得してよい。一例として、制御パラメータ取得部204は、後述のステップS27の処理で制御部207から制御対象101に出力される制御パラメータPを取得して一時保存しておき、ステップS17において当該制御パラメータPを読み出してよい。ステップS17が最初に実行される場合、つまりステップS27の処理が実行されていない場合には、制御パラメータ取得部204は、予め設定された制御パラメータPの初期値を取得してよい。
【0071】
ステップS19において制御パラメータ取得部204は、ステップS11で取得された目標値SPが基準目標値であるか否かを判定する。制御パラメータ取得部204は、目標値取得部202から目標値変更信号を取得したか否かに基づいて判定を行ってよい。ステップS19において目標値SPが基準目標値であると判定された場合(ステップS19;Yes)にはステップS25に処理が移行してよい。ステップS19において目標値SPが基準目標値でないと判定された場合(ステップS19;No)にはステップS21に処理が移行してよい。
【0072】
ステップS21において制御パラメータ取得部204は、制御パラメータPのシフト量Δpを決定する。制御パラメータ取得部204は、ステップS11で取得された目標値SPに応じてシフト量Δpを決定してよい。
【0073】
ステップS23において、制御パラメータ取得部204は、ステップS17で取得された制御パラメータPを、決定されたシフト量Δpだけシフトさせてシフト済み制御パラメータP+Δpを取得する。
【0074】
ステップS25において第1供給部205は、制御パラメータ取得部204から供給された制御パラメータPと、偏差取得部203から供給された偏差とを制御モデル206に供給する。第1供給部205は、ステップS19において目標値SPが基準目標値であると判定されている場合には、ステップS17で制御パラメータ取得部204により取得された制御パラメータPをそのまま制御モデル206に供給してよい。第1供給部205は、ステップS19において目標値SPが基準目標値でないと判定されている場合には、ステップS23でシフトされた制御パラメータP、つまりシフト済み制御パラメータP+Δpを制御モデル206に供給してよい。
【0075】
これにより、入力された制御パラメータPおよび偏差に応じた推奨制御パラメータPrが制御モデル206から出力される。本実施形態では一例として、入力された制御パラメータPおよび偏差に応じた推奨変更量が変更量出力モデル2061から出力され、推奨変更量と、ステップS17で取得された制御パラメータPとが加算部2062により加算されて推奨制御パラメータPrが生成されてよい。
【0076】
ステップS27において制御部207は、制御モデル206からの推奨制御パラメータPrを出力する。制御部207は、推奨制御パラメータPrを制御パラメータPとして制御対象101に供給して、制御対象101を制御してよい。
【0077】
ステップS29において目標値取得部202は、オペレータにより目標値SPが変更されるか否かを判定する。目標値SPが変更されないと判定された場合(ステップS29;No)にはステップS13に処理が移行してよい。目標値SPが変更されたと判定された場合(ステップS29;Yes)にはステップS11に処理が移行してよい。
【0078】
<1.6.動作例>
図7は、目標値SPが変更される場合の測定値PVと、制御パラメータPとの推移を示す。図中の横軸は時間(秒)を示し、縦軸は測定値PVおよび制御パラメータPの値を示す。なお、本図では一例として制御パラメータPは、バルブの開度の指示値IVを示しており、測定値PVおよび制御パラメータPは0~100の範囲内に正規化されている。この図に示されるように、本実施形態に係る装置200では、目標値SPが変更される場合であっても、変更後の目標値SPに測定値PVが一致するよう制御対象101が制御される。
【0079】
<2.第2実施形態>
<2.1.システム1A>
図8は、第2実施形態に係るシステム1Aを示す。なお、図1に示されたシステム1と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。システム1Aは装置200Aを備える。装置200Aは、偏差取得部203Aと、不安定状態検出部211Aと、第2供給部212Aと、シフト量出力モデル213Aと、制御パラメータ取得部204Aと、学習処理部214Aとを有してよい。
【0080】
<2.1.1.偏差取得部203A>
偏差取得部203Aは、上述の第1実施形態における偏差取得部203と同様にして、制御対象101に関する状態の測定値PVおよび目標値SPの偏差を取得する。偏差取得部203Aは、取得した偏差の変化速度をさらに取得してよい。例えば、偏差取得部203Aは、偏差を取得するごとに、直近の2つの偏差の変化量を取得タイミングのインターバルで除算することで、偏差の変化速度を算出してよい。偏差取得部203Aは、取得した偏差を第1供給部205および不安定状態検出部211Aに供給してよい。偏差取得部203Aは、取得した偏差と、その変化速度とを第2供給部212Aに供給してよい。偏差取得部203Aは、取得した偏差と、その変化速度とを、図示しない記憶部に記憶させてよい。
【0081】
<2.1.2.不安定状態検出部211A>
不安定状態検出部211Aは、第1検出部の一例であり、推奨制御パラメータPrにより制御対象101が制御された後に偏差取得部203Aにより取得される偏差が基準範囲内に安定しないことを検出する。基準範囲は0を中央に含む任意の大きさの範囲であってよい。偏差が基準範囲に安定しないとは、制御部207から制御対象101に制御パラメータPが出力されて第1の基準時間が経過した後に、第2の基準時間内の少なくとも一時点で偏差が基準範囲外となることであってよい。偏差が基準範囲内に安定しない状況は、設備100の外部環境の変化(外乱とも称する)によって生じてよい。不安定状態検出部211Aは、偏差が基準範囲内に安定しないことを検出したことに応じて、その旨を示す信号(不安定状態検出信号とも称する)を制御パラメータ取得部204Aに供給してよい。
【0082】
<2.1.3.第2供給部212A>
第2供給部212Aは、シフト量出力モデル213Aに対し、偏差取得部203Aにより取得された偏差と、当該偏差の変化速度とを供給する。第2供給部212Aは、基準インターバルごとにシフト量出力モデル213Aに対する供給を行ってよい。基準インターバルは、制御部207による制御対象101の制御周期以上の長さであってよい。基準インターバルは制御対象101の時定数に応じた長さ(一例として時定数に整数を乗算した長さ)を有してよい。
【0083】
<2.1.4.シフト量出力モデル213A>
シフト量出力モデル213Aは、偏差および当該偏差の変化速度が入力されることに応じて、制御パラメータ取得部204により制御パラメータPについてシフトすることを推奨する推奨シフト量Δprを出力する。シフト量出力モデル213Aは、第2供給部212Aから偏差および変化速度が入力されることに応じて、制御パラメータ取得部204Aに推奨シフト量Δprを出力してよい。
【0084】
シフト量出力モデル213Aは、偏差および偏差の変化速度の組み合わせと、推奨シフト量Δprとの対応関係を示してよい。一例としてシフト量出力モデル213Aは、偏差および変化速度の組み合わせと、推奨シフト量Δprとの対応関係をマッピングしたシフト量マップであってよい。これに代えて、シフト量出力モデル213Aは、偏差および変化速度の組み合わせと、推奨シフト量Δprとを対応付けたテーブルであってもよい。シフト量出力モデル213Aは、学習処理部214Aによる学習処理によって生成されてよく、図示しない記憶部に記憶されていてよい。
【0085】
<2.1.5.制御パラメータ取得部204A>
制御パラメータ取得部204Aは、上記第1実施形態における制御パラメータ取得部204と同様にして、シフト済み制御パラメータP+Δpを取得する。
【0086】
これに加えて、制御パラメータ取得部204Aは、偏差取得部203Aにより取得される偏差が基準範囲内に安定しないことが不安定状態検出部211Aにより検出されたことに応じて、制御対象101に対して供給された制御パラメータP(本実施形態では一例として制御部207から供給される制御パラメータP)をシフトさせて、シフト済み制御パラメータP+Δpを取得してよい。
【0087】
制御パラメータ取得部204Aは、偏差取得部203Aにより取得される偏差が基準範囲内に安定しないことが不安定状態検出部211Aにより検出され、かつ、第2供給部212Aからシフト量出力モデル213Aに対する供給が行われたことに応じて当該シフト量出力モデル213Aから出力される推奨シフト量Δprだけ、制御対象101に対して供給された制御パラメータPをシフトさせてよい。
【0088】
制御パラメータ取得部204Aは、取得したシフト済み制御パラメータP+Δpを第1供給部205に供給してよい。なお、本実施形態では一例として、制御パラメータ取得部204Aは、目標値SPが基準目標値であり、かつ、偏差が目標値SPに安定している場合には、制御部207から取得した制御パラメータPをシフトさせずに第1供給部205に供給することとして説明するが、当該制御パラメータPを0だけシフトさせたシフト済み制御パラメータP+Δpとして第1供給部205に供給してもよい。
【0089】
<2.1.6.学習処理部214A>
学習処理部214Aは、第1学習処理部の一例であり、偏差取得部203Aにより取得される偏差と、当該偏差の変化速度と、制御パラメータ取得部204Aによる制御パラメータPのシフト量Δpとを含む学習データを用いてシフト量出力モデル213Aの学習処理を行う。学習データに含まれる偏差および変化速度は、目標値SPが基準目標値である場合に取得される偏差および変化速度であってよい。
【0090】
学習データは、システム1のシミュレータ(図示せず)によって生成されてよく、設備100に対して人為的に任意の外乱を与えたシミュレーションにおいて偏差取得部203Aにより取得される偏差と、偏差の変化速度と、制御パラメータ取得部204Aによりシフトされる制御パラメータPのシフト量Δpとの組み合わせを含んでよい。シミュレータは、任意のシステム同定技術により設備100の実測データなどを用いて作成されてよい。シフト量出力モデル213Aの生成後には、学習データは、実際に設備100を運転して測定値PVが目標値SPに安定しない場合の偏差と、当該偏差の変化速度と、制御パラメータ取得部204Aによる制御パラメータPのシフト量Δpとを含んでよい。
【0091】
学習処理部214Aは、偏差および当該偏差の変化速度の入力に応じ、報酬値を高めるために推奨される推奨シフト量Δprを出力するようシフト量出力モデル213Aの学習を行ってよい。推奨シフト量Δprは、所定の時点(一例として偏差および変化速度の取得時点)での制御対象101の状態に対応する報酬値(一例としてその時点の測定値PVに応じた値を報酬関数に入力して得られる報酬値)を基準報酬値とした場合に、当該基準報酬値よりも報酬値を高くするために推奨されるシフト量であってよい。一例として、学習処理部214Aは、カーネルダイナミックポリシープログラミング法のアルゴリズムにより学習を行ってよい。報酬値は、予め設定された報酬関数により定まる値であってよい。報酬関数は、偏差に基づく関数であってよく、一例として、偏差が小さいほど報酬値が大きくなる関数であってよい。なお、偏差取得部203Aにより複数の物理量のそれぞれについて偏差が取得される場合には、報酬関数は複数の偏差の総和に基づく関数であってもよいし、複数の偏差を重み付け加算した結果に基づく関数であってもよい。
【0092】
以上の装置200Aによれば、取得される偏差が目標値SPに安定しないことが検出されたことに応じて、制御対象101に対して供給された制御パラメータPがシフトされてシフト済み制御パラメータP+Δpが取得される。従って、単一の制御モデル206を用い、外乱の発生に応じた推奨制御パラメータPrを取得することができる。また、外乱の発生時にも推奨制御パラメータPrを取得することができるため、装置200Aのロバスト性を向上させることができる。
【0093】
また、偏差と、当該偏差の変化速度とに応じてシフト量出力モデル213Aから出力される推奨シフト量Δprだけ制御パラメータPがシフトされる。従って、予めシフト量出力モデル213Aを生成しておくことにより、外乱が発生した場合の推奨制御パラメータPrを容易に取得することができる。
【0094】
また、基準インターバルごとに偏差と、当該偏差の変化速度とがシフト量出力モデル213Aに供給されるので、外乱の状況に合わせてシフト量Δpを変更し、適切な推奨制御パラメータPrを取得することができる。
【0095】
また、偏差と、当該偏差の変化速度と、制御パラメータPのシフト量Δpとを含む学習データを用い、偏差および当該偏差の変化速度の入力に応じ既定の報酬関数により定まる報酬値を高めるために推奨される推奨シフト量Δprを出力するようシフト量出力モデル213Aの学習処理が行われる。従って、適切な推奨シフト量Δprをシフト量出力モデル213Aから確実に取得することができる。
【0096】
<2.2.シフト量出力モデル213A>
図9は、シフト量出力モデル213Aの一例を示す。なお、図9において縦軸は偏差の変化速度を示し、横軸は偏差を示す。
【0097】
シフト量出力モデル213Aは、偏差および変化速度の組み合わせと、推奨シフト量との対応関係を示してよい。本例のシフト量出力モデル213Aは、偏差および制御パラメータPの組み合わせと、推奨シフト量Δprとの対応関係をマッピングしたシフト量マップであってよい。シフト量出力モデル213Aは、偏差と変化速度との組み合わせに応じて、それぞれ別々の推奨シフト量Δprに対応付けられた複数の領域に分けられてよく、入力される偏差および変化速度の組み合わせの座標位置に対応付けられた推奨シフト量Δprを出力してよい。
【0098】
なお、シフト量出力モデル213Aは、シフト量マップの全域に関する情報を含んでよい。これに代えて、シフト量出力モデル213Aは、各領域の境界を示す情報(一例として境界を示す座標や関数式)と、当該領域に対応する推奨シフト量Δprとのみを含んでもよい。この場合には、シフト量出力モデル213Aを記憶するための記憶領域を小さくすることができる。
【0099】
図10は、シフト量出力モデル213Aの他の例を示す。この図に示すように、シフト量出力モデル213Aは、偏差および変化速度の組み合わせと、推奨シフト量Δprとを対応付けたテーブルであってもよい。
【0100】
<2.3.動作>
図11は、装置200Aの動作を示す。装置200Aは、ステップS11~S45の処理を行うことにより、制御対象101を制御してよい。なお、この動作は装置200Aが起動されることに応じて開始してよい。また、動作の開始時点においては変更量出力モデル2061およびシフト量出力モデル213Aの学習処理が完了していてよい。第2実施形態に係る装置200Aの動作は、第1実施形態に係る装置200の動作と比較してステップS27,S29の間にステップS31~S45の処理を行う点で異なっている。
【0101】
ステップS31において測定値取得部201は、制御対象101に関する状態の測定値PVを取得する。目標値取得部202は、ステップS13と同様にして測定値PVを取得してよい。
【0102】
ステップS33において偏差取得部203Aは、ステップS11で取得された目標値SPと、ステップS31で取得された測定値PVとの偏差を取得する。また、偏差取得部203Aは、取得した偏差の変化速度をさらに取得する。
【0103】
ステップS35において不安定状態検出部211Aは、偏差が基準範囲内に安定するか否かを判定する。不安定状態検出部211Aは、ステップS27の処理により制御部207から制御対象101に制御パラメータPが出力されて第1の基準時間が経過した後に、第2の基準時間内の少なくとも一時点で偏差が基準範囲外となったことに応じて、偏差が基準範囲内に安定しないことを検出し、その旨の判定を行ってよい。
【0104】
ステップS35において偏差が基準範囲内に安定すると判定された場合(ステップS35;Yes)にはステップS29に処理が移行してよい。ステップS35において偏差が基準範囲内に安定しないと判定された場合(ステップS35;No)には、ステップS37に処理が移行してよい。
【0105】
ステップS37において制御パラメータ取得部204Aは、制御パラメータPのシフト量Δpを決定する。制御パラメータ取得部204Aは、ステップS33で取得された偏差および変化速度がシフト量出力モデル213Aに供給されることに応じて当該シフト量出力モデル213Aから出力される推奨シフト量Δprをシフト量Δpとして決定してよい。
【0106】
ステップS39において制御パラメータ取得部204Aは、制御対象101に対して供給された制御パラメータPを取得する。制御パラメータ取得部204Aは、直近の制御周期において制御対象101に供給された制御パラメータPを制御部207Aから取得してよい。一例として、制御パラメータ取得部204Aは、ステップS27および後述のステップS45のうち、直近に実行された処理で制御部207から制御対象101に出力される制御パラメータPを取得して一時保存しておき、ステップS39において読み出してよい。
【0107】
ステップS41において制御パラメータ取得部204Aは、ステップS39で取得された制御パラメータPを、ステップS37で決定されたシフト量Δpだけシフトさせてシフト済み制御パラメータP+Δpを取得する。
【0108】
ステップS43において第1供給部205は、ステップS41で取得されたシフト済み制御パラメータP+Δpと、ステップS33で取得された偏差とを制御モデル206に供給する。
【0109】
ステップS45において制御部207は、制御モデル206からの推奨制御パラメータPrを出力する。制御部207は、推奨制御パラメータPrを制御パラメータPとして制御対象101に供給して、制御対象101を制御してよい。ステップS45の処理が完了したら、ステップS31に処理が移行してよい。
【0110】
<2.4.動作例>
図12は、外乱が生じる場合の測定値PVと、制御パラメータPとの推移を示す。図中の横軸は時間(秒)を示し、縦軸は測定値PVおよび制御パラメータPの値を示す。なお、本図では一例として制御パラメータPは、バルブの開度の指示値IVを示しており、測定値PVおよび制御パラメータPは0~100の範囲内に正規化されている。この図に示されるように、本実施形態に係る装置200Aでは、外乱が生じる場合であっても、目標値SPに測定値PVが一致するよう制御対象101が制御される。
【0111】
<3.第3実施形態>
<3.1.システム1B>
図13は、第3実施形態に係るシステム1Bを示す。なお、図1図2に示されたシステム1,1Aと略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。システム1Bは装置200Bを備える。本実施形態に係る装置200Bは、制御対象101を変更可能となっている。変更前後の制御対象101は、互いにプロセス動特性が近似してよく、それぞれ1次遅れ系であってもよいし、それぞれ2次遅れ系であってもよい。別言すれば、変更前後の制御対象101は、入出力の関係を示す伝達関数の分母の次数が等しくてよい。装置200Bは、対象情報取得部221Bと、制御部207Bと、制御パラメータ取得部204Bとを有してよい。
【0112】
<3.1.1.対象情報取得部221B>
対象情報取得部221Bは、第2検出部の一例であり、制御対象101が変更されたことを検出する。対象情報取得部221Bは、制御対象101が変更されるごとに、変更後の制御対象101の識別情報をオペレータから取得することにより、制御対象101が変更されたことを検出してよい。対象情報取得部221Bは、制御対象101が変更されたことに応じて、変更後の制御対象101の識別情報を示す信号(制御対象変更信号とも称する)を制御部207Bおよび制御パラメータ取得部204Bに供給してよい。
【0113】
<3.1.2.制御部207B>
制御部207Bは、上記第1実施形態における制御部207Bと同様にして、第1供給部205から制御モデル206に対する供給が行われたことに応じて当該制御モデル206から出力される推奨制御パラメータPrを制御パラメータPとして出力する。制御部207Bは、対象情報取得部221Bから制御対象変更信号を受信したことに応じて、変更後の制御対象101に制御パラメータPを出力して、変更後の制御対象101を制御してよい。
【0114】
<3.1.3.制御パラメータ取得部204B>
制御パラメータ取得部204Bは、上記第2実施形態における制御パラメータ取得部204Aと同様にして、シフト済み制御パラメータP+Δpを取得する。
【0115】
これに加えて、制御パラメータ取得部204Bは、制御対象101が変更されたことが対象情報取得部221Bにより検出されたことに応じて、制御対象101に対して供給された制御パラメータP(本実施形態では一例として制御部207から供給される制御パラメータP)をシフトさせてシフト済み制御パラメータP+Δpを取得してよい。制御対象101に対して供給された制御パラメータPは、変更前の制御対象101に対して供給された制御パラメータPであってもよいし、変更後の制御対象101に対して供給された制御パラメータPであってもよい。
【0116】
制御対象101が変更された場合に、制御パラメータ取得部204Bは、変更前後の各制御対象101の平衡点での制御パラメータPの値の差分に基づいてシフト量Δpを決定してよい。
【0117】
例えば、制御パラメータ取得部204Bは、予め目標値SPを基準目標値に設定して変更前後の制御対象101をそれぞれ用いた場合に取得された平衡点Oでの制御パラメータPの値の差分を、シフト量Δpとして決定してよい。この場合には、制御パラメータ取得部204Bは、制御対象101ごとに、目標値SPを基準目標値に設定した場合の平衡点Oでの制御パラメータPの値を予め記憶してよい。
【0118】
これに代えて、制御パラメータ取得部204Bは、予め目標値SPを現在の設定値と同じ値に設定して変更前後の制御対象101をそれぞれ用いた場合に取得された平衡点Oでの制御パラメータPの値の差分を、シフト量Δpとして決定してよい。この場合には、制御パラメータ取得部204Bは、制御対象101ごとに、目標値SPと、平衡点Oでの制御パラメータPとの関係を示す関係式を予め記憶してよく、現在の目標値SPに対応する平衡点での制御パラメータPの値を当該関数式から算出してよい。
【0119】
制御パラメータ取得部204Bは、上述のステップS19において目標値SPが基準目標値であり、かつ、制御対象101が変更されたことに応じて、変更前後の各制御対象101の平衡点での制御パラメータPの値の差分に基づいてシフト量Δpを決定し、シフト済み制御パラメータP+Δpを第1供給部205に供給してよい。制御対象101が変更された後、目標値SPが基準目標値から変更される場合には、制御パラメータ取得部204Bは、変更後の制御対象101について目標値SPと平衡点Oでの制御パラメータPの値との関係を示す上述の関係式を用いてシフト量Δpを決定してよい。
【0120】
なお、本実施形態では一例として、制御パラメータ取得部204Bは、目標値SPが基準目標値であり、偏差が目標値SPに安定しており、かつ、制御対象101が変更されない場合には、制御部207から取得した制御パラメータPをシフトさせずに第1供給部205に供給してよい。これに代えて、制御パラメータ取得部204は、当該制御パラメータPを0だけシフトさせたシフト済み制御パラメータP+Δpとして第1供給部205に供給してもよい。
【0121】
以上の装置200Bによれば、制御対象101が変更されたことに応じて、制御対象101に対して供給された制御パラメータPがシフトされてシフト済み制御パラメータP+Δpが取得される。従って、単一の制御モデル206を用い、制御対象101の変更に応じた推奨制御パラメータPrを取得することができるため、制御対象101ごとに別々の制御モデルを用いる場合と比較して、装置200Bの汎用性を高め、装置200Bを小型化することができる。
【0122】
また、制御モデル206では、偏差と、制御対象101に供給済みの制御パラメータPとに応じて当該制御パラメータPの推奨変更量Δprが変更量出力モデル2061から出力され、当該供給済みの制御パラメータPと、当該推奨変更量Δprとが加算されて推奨制御パラメータPrが算出される。従って、制御パラメータPをシフト済み制御パラメータP+ΔPとして制御モデル206に入力することで制御モデル206を他の制御対象101に流用する場合であっても、供給済みの制御パラメータPをベースとした推奨制御パラメータPrを取得することができる。よって、制御対象101ごとのプロセスゲインの違いによらず、変更後の制御対象101に適合した適切な推奨制御パラメータPrを取得することができる。
【0123】
<3.変形例>
なお、上記の第1~第3実施形態においては、制御モデル206が変更量出力モデル2061と加算部2062とを有することとして説明したが、偏差および制御パラメータPが入力されることに応じて推奨制御パラメータPrを出力する限りにおいて、これらを有しなくてもよい。この場合には、制御モデル206は、カーネルダイナミックポリシープログラミング法や深層強化学習、サポートベクトルマシン、ロジスティック回帰、決定木、ニューラルネットワークなどのアルゴリズムにより生成された学習モデルであってよい。学習処理部208は、偏差取得部203により取得された偏差と、制御パラメータ取得部204により取得された制御パラメータPと、を含む学習データを用いて制御モデル206の学習処理を行ってよい。
【0124】
また、変更量出力モデル2061およびシフト量出力モデル213Aをカーネルダイナミックポリシープログラミング法の学習アルゴリズムにより生成されたマップやテーブルとして説明したが、深層強化学習やサポートベクトルマシン、ロジスティック回帰、決定木、ニューラルネットワークなどの他のアルゴリズムにより生成されてもよいし、マップやテーブルとは異なる他の形態のモデルであってもよい。
【0125】
また、変更量出力モデル2061には偏差および制御パラメータPが入力されることとして説明したが、他の値がさらに入力されてよい。同様に、シフト量出力モデル213Aには偏差および変化速度が入力されることとして説明したが、他の値がさらに入力されてよい。他の値は、例えばセンサ102による測定値の微分値や積分値であってよい。
【0126】
また、装置200,200A,200Bが測定値取得部201、目標値取得部202、学習処理部208を有することとして説明したが、これらの何れかを有しなくてもよい。装置200,200A,200Bが測定値取得部201および目標値取得部202を有しない場合には、偏差取得部203,203Aは外部機器で算出された偏差を取得してよい。装置200,200A,200Bが学習処理部208を有しない場合には、予め外部機器で学習された変更量出力モデル2061を有してよい。
【0127】
また、制御パラメータ取得部204,204A,204Bはシフト済み制御パラメータP+Δpを算出して取得することとして説明したが、装置200,200A,200Bの外部で算出されたシフト済み制御パラメータP+Δpを取得してもよい。
【0128】
また、上記の第2,第3実施形態においては装置200A,200Bが学習処理部214Aを有することとして説明したが、学習処理部214Aを有しないこととしてもよい。この場合には、装置200A,200Bは予め外部機器で学習されたシフト量出力モデル213Aを有してよい。
【0129】
また、上記の第2実施形態においては、制御パラメータ取得部204は目標値SPが基準目標値から変更される場合と、偏差が基準範囲内に安定しない場合とに制御パラメータPをシフトさせることとして説明したが、目標値SPが基準目標値から変更される場合に制御パラメータPをシフトさせなくてもよい。
【0130】
同様に、上記の第3実施形態においては、制御パラメータ取得部204は目標値SPが基準目標値から変更される場合と、偏差が基準範囲内に安定しない場合と、制御対象101が変更された場合とに制御パラメータPをシフトさせることとして説明したが、目標値SPが基準目標値から変更される場合と、偏差が基準範囲内に安定しない場合との少なくとも一方で制御パラメータPをシフトさせなくてもよい。
【0131】
また、本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0132】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0133】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0134】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0135】
図14は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0136】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インタフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0137】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0138】
通信インタフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0139】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0140】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0141】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0142】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0143】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0144】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0145】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0146】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0147】
1 システム
100 設備
101 制御対象
102 センサ
200 装置
201 測定値取得部
202 目標値取得部
203 偏差取得部
204 制御パラメータ取得部
205 第1供給部
206 制御モデル
207 制御部
208 学習処理部
211 不安定状態検出部
212 第2供給部
213 シフト量出力モデル
214 学習処理部
221 対象情報取得部
2061 変更量出力モデル
2062 加算部
2200 コンピュータ
2201 DVD-ROM
2210 ホストコントローラ
2212 CPU
2214 RAM
2216 グラフィックコントローラ
2218 ディスプレイデバイス
2220 入/出力コントローラ
2222 通信インタフェース
2224 ハードディスクドライブ
2226 DVD-ROMドライブ
2230 ROM
2240 入/出力チップ
2242 キーボード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14