(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067632
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】コラムホールカバー
(51)【国際特許分類】
B60K 37/00 20240101AFI20240510BHJP
F16B 21/07 20060101ALI20240510BHJP
B62D 1/16 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B60K37/00 E
F16B21/07 Z
B62D1/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177859
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中根 一輝
(72)【発明者】
【氏名】保坂 考一
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 臣治
(72)【発明者】
【氏名】鈴沖 弘行
【テーマコード(参考)】
3D030
3D344
3J037
【Fターム(参考)】
3D030DC15
3D344AA12
3D344AA14
3D344AB01
3D344AC28
3D344AC30
3J037AA02
3J037DA02
3J037DA13
3J037DB06
3J037DC03
(57)【要約】
【課題】パネル部材などの固定部に対して、容易かつ安定して取り付け可能なコラムホールカバーを提供する
【解決手段】コラムホールカバーは、第1、第2および第3の突起部を有する固定部に固定されるコラムホールカバーであって、前記第1、第2および第3の突起部をそれぞれ挿入可能な第1、第2および第3の挿入孔を備える。前記第1、第2および第3の挿入孔は、前記第1、第2および第3の突起部が挿入された場合に、前記第1、第2および第3の突起部に係合可能な係合爪をそれぞれ有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1、第2および第3の突起部を有する固定部に固定されるコラムホールカバーであって、
前記第1、第2および第3の突起部をそれぞれ挿入可能な第1、第2および第3の挿入孔を備え、
前記第1、第2および第3の挿入孔は、前記第1、第2および第3の突起部が挿入された場合に、前記第1、第2および第3の突起部に係合可能な係合爪をそれぞれ有する、
コラムホールカバー。
【請求項2】
前記第1の挿入孔は、前記第1の挿入孔の縁部に連結され、前記第1の挿入孔の径方向に延びる第1の係合爪を有し、
前記第2の挿入孔は、前記第2の挿入孔の縁部に連結され、前記第2の挿入孔の径方向に延びる第2の係合爪を有し、
前記第3の挿入孔は、前記第3の挿入孔の縁部に連結され、前記第3の挿入孔の径方向に延びる第3の係合爪を有し、
前記第3の挿入孔の内径は、前記第1および第2の挿入孔の内径よりも大きく、
前記第3の係合爪における径方向の長さは、前記第1および第2の係合爪における径方向の長さよりも長い、
請求項1に記載のコラムホールカバー。
【請求項3】
前記係合爪は、前記挿入孔の縁部に接続された基部と前記係合爪の端部との間に薄肉部を備える、
請求項1に記載のコラムホールカバー。
【請求項4】
前記係合爪は、前記固定部とは反対側に延びる凸部を備える、
請求項1に記載のコラムホールカバー。
【請求項5】
前記係合爪は、周方向に幅が絞られた絞り部を備える、
請求項1に記載のコラムホールカバー。
【請求項6】
前記第3の係合爪は、周方向に間隔を空けて5つ以上設けられる、
請求項2に記載のコラムホールカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コラムホールカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両室内とエンジンルームを区画するパネル部材に固定されるコラムホールカバーが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたコラムホールカバーは、その上端部に、パネル部材に向けて突出した2つのクリップ取付座面を有する。コラムホールカバーは、その下端部に、2つのスクリューボルト用孔を有する。コラムホールカバーは、上端部と下端部の間の中間部に、パネル部材に向けて突出した2つの爪を有する。コラムホールカバーは、上端部では2つのクリップによりパネル部材に取り付けられ、下端部では2つのスクリューボルトによりパネル部材に取り付けられ、中間部では2つの爪によりパネル部材に取り付けられている。
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コラムホールカバーは、車両内で作業者の手の届きにくい場所に取り付けられる。取り付け作業の負担を軽減するため、コラムホールカバーの取付構造はさらなる改善の余地がある。本開示の課題は、新規な取付構造を有するコラムホールカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るコラムホールカバーは、第1、第2および第3の突起部を有する固定部に固定されるコラムホールカバーである。コラムホールカバーは、前記第1、第2および第3の突起部をそれぞれ挿入可能な第1、第2および第3の挿入孔を備える。前記第1、第2および第3の挿入孔は、前記第1、第2および第3の突起部が挿入された場合に、前記第1、第2および第3の突起部に係合可能な係合爪をそれぞれ有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、新規な取付構造を有するコラムホールカバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】コラムホールカバーの固定状態を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図中の矢印Wは、コラムホールカバー1の幅方向を示す。また、矢印Hは、幅方向Wと交差する高さ方向を示し、H1を上方、H2を下方とする。さらに、矢印Dは、幅方向Wおよび高さ方向Hと交差する奥行方向を示し、D1を手前側、D2を奥側とする。
【0009】
図1は、コラムホールカバー1がダッシュパネルPに固定された固定状態を示す斜視図である。コラムホールカバー1は、車両(図示せず)の前方で、室内とエンジンルームとを区画するダッシュパネル(固定部の一例)Pに固定される。本実施形態のダッシュパネルPは、車両の幅方向および上下方向に沿って延びる金属製の板状部材である。
【0010】
ダッシュパネルPは、第1の突起部P1、第2の突起部P2および第3の突起部P3を有する。第1の突起部P1から第3の突起部P3は、いずれも、ダッシュパネルPに対して交差する方向に延びる。
【0011】
本実施形態の第1の突起部P1から第3の突起部P3は、いずれも、ダッシュパネルPに固定されたボルトである。第1の突起部P1から第3の突起部P3は、ダッシュパネルPに予め設けられたボルト固定孔(図示せず)に、座金(図示せず)とともに挿入され、その軸部がダッシュパネルPから室内側に向けて突出するように固定される。これに限らず、第1の突起部P1から第3の突起部P3は、ダッシュパネルPから室内側に向けて突出する棒形状であればよく、その材質や形状は種々様々なものを選択可能である。本実施形態では、第1の突起部P1、第2の突起部P2および第3の突起部P3は、いずれも同じ径を有する。ただし、これに限らず、第1の突起部P1、第2の突起部P2および第3の突起部P3は、それぞれ異なる径を有してもよい。
【0012】
第1の突起部P1、第2の突起部P2および第3の突起部P3は、互いに所定の間隔を空けて、ダッシュパネルPに配置される。本実施形態では、第1の突起部P1から第3の突起部P3は、それぞれ、二等辺三角形の頂点となるように配置される。第1の突起部P1と第2の突起部P2は、第3の突起部P3より上方H1に配置されるとともに、第3の突起部P3からの距離が概ね等しい。一方、第1の突起部P1から第2の突起部P2までの距離は、第2の突起部P2から第3の突起部P3までの距離および第3の突起部P3から第1の突起部P1までの距離よりも短い。すなわち、第1の突起部P1から第3の突起部P3は、その位置関係が、ダッシュパネルPにおいて、第3の突起部P3を頂点とする下向きの二等辺三角形となる。
【0013】
コラムホールカバー1は、車両の後方から前方に向かってダッシュパネルPに取り付けられ、車両のステアリングコラム(図示せず)が遊挿される。なお、コラムホールカバー1の固定状態において、幅方向Wは、車両の幅方向と、高さ方向Hは、車両の上下方向と、奥行方向Dは、車両の前後方向と概ね一致する。
【0014】
図2は、コラムホールカバー1を奥行方向Dの手前側D1からみた正面図である。また、
図3は、コラムホールカバー1を幅方向Wに沿ってみた側面図である。
図2および
図3に示すように、本実施形態のコラムホールカバー1は、正面視において概ね三角形状の樹脂成型部材である。なお、本実施形態のコラムホールカバー1は、ポリプロピレン(PP;polypropylene)で形成される。これに限らず、コラムホールカバー1は、ポリエチレン(PE;polyethylene)、ABS樹脂などの汎用樹脂材料やその他の熱可塑性樹脂材料など、種々様々な材料を選択可能である。
【0015】
コラムホールカバー1は、開口部11と、周壁部12と、フランジ部13と、を備える。
【0016】
開口部11は、コラムホールカバー1の上部に設けられる開口で、固定状態においてステアリングコラム(図示せず)が遊挿される。開口部11は、奥行方向Dにおいて、フランジ部13より手前側D1に配置される。すなわち、開口部11は、固定状態において、フランジ部13より車室側に突出して配置される。本実施形態の開口部11は、上方H1に開口した概ねU字形状である。これに限らず、開口部11は、固定状態においてステアリングコラムを受け入れるために種々様々な形状を採用可能である。
【0017】
周壁部12は、少なくとも奥行方向Dに沿って延びて、開口部11の周辺とフランジ部13を接続する。本実施形態の周壁部12は、奥行方向Dの手前側D1から奥側D2かつ高さ方向Hの下方H2に延びてフランジ部13に接続する。
【0018】
フランジ部13は、周壁部12の開口部11と反対側の端縁から、幅方向Wおよび高さ方向Hに拡がる。フランジ部13の外形は、コラムホールカバー1の外形と一致する。本実施形態のフランジ部13は、第1フランジ131と、第2フランジ132と、第3フランジ133と、第1中間部134と、第2中間部135と、を有する。
【0019】
第1フランジ131は、周壁部12の上端付近から幅方向Wに沿って拡がる。第2フランジ132は、第1フランジ131と同じく、周壁部12の上端付近から幅方向Wに沿って、第1フランジ131と反対側に拡がる。第3フランジ133は、周壁部12の下端付近から下方H2に拡がる。第1中間部134は、第1フランジ131と第3フランジ133を接続する。第2中間部135は、第2フランジ132と第3フランジ133を接続する。
【0020】
コラムホールカバー1は、さらに、第1の挿入孔4と、第2の挿入孔6と、第3の挿入孔8と、を備える。
【0021】
第1の挿入孔4は、第1フランジ131に配置される貫通孔である。第1の挿入孔4は、ダッシュパネルPに設けられた第1の突起部P1が挿入可能である。
【0022】
図4は、
図2におけるAで示した箇所を拡大した部分拡大図である。また、
図5は、
図4のC-C断面を示した断面図である。
【0023】
図4および
図5に示すように、第1の挿入孔4は、第1フランジ131に対して直交する貫通孔である。第1の挿入孔4の直径は、第1直径φ1である。本実施形態の第1の挿入孔4は、第1直径φ1が概ね20mm程度に形成される。
【0024】
第1の挿入孔4は、第1の挿入孔4を画定する第1の縁部41と、複数の第1の係合爪42と、を有する。第1の係合爪42は、第1の縁部41から第1の挿入孔4の中心に向けて径方向に延びるとともに、奥行方向Dに沿って手前側D1に突出する。本実施形態の第1の係合爪42は、第1の縁部41に3つ設けられ、等間隔に配置される。また、第1の係合爪42は、正面視において、第1の縁部41から第1の挿入孔4の中心に向かうにつれてその幅が狭くなる扇形状である。第1の係合爪42の径方向の長さは、第1直径φ1の概ね3分の1程度である。
【0025】
第1の係合爪42は、基部421と、接続部422と、爪部424と、を含む。
【0026】
基部421は、第1の縁部41から第1の挿入孔4の中心に向けて延びるともに、概ね幅方向Wおよび高さ方向Hに沿って拡がる。本実施形態の基部421は、第1の縁部41から第1の挿入孔4の中心に向けて、第1直径φ1の8分の1程度の長さまで延びる。
【0027】
接続部422は、基部421から連続して第1の挿入孔4の中心に向けて延びる。接続部422は、奥行方向Dの手前側D1に向かって斜めに傾斜する。
図5に破線で示すように、第1の突起部P1が第1の挿入孔4に挿入された固定状態において、接続部422における第1の挿入孔4の中心側の端部423は、第1の突起部P1の側面に係合する。これにより、第1の係合爪42は、第1の突起部P1を係止することができる。本実施形態の接続部422は、基部421と概ね同じ肉厚で形成される。
【0028】
爪部424は、接続部422に設けられ、第1の挿入孔4の中心に向けて延びる。爪部424は、固定状態において、第1の突起部P1の側面に対して返しとして働き、第1の突起部P1が第1の挿入孔4から抜けることを防止する。
【0029】
図2に示すように、第2の挿入孔6は、第2フランジ132に配置される貫通孔である。第2の挿入孔6は、ダッシュパネルPに設けられた第2の突起部P2が挿入可能である。第2の挿入孔6の直径は、第2直径φ2である。第2の挿入孔6は、第2の挿入孔6を画定する第2の縁部61と、複数の第2の係合爪62と、を有する。第2の係合爪62は、第2の縁部61から第2の挿入孔6の径方向に延びる。なお、本実施形態の第2の挿入孔6は、前述の第1の挿入孔4と同形状であるため、重複した説明を省略する。
【0030】
第3の挿入孔8は、第3フランジ133に配置される貫通孔である。第3の挿入孔8は、ダッシュパネルPに設けられた第3の突起部P3が挿入可能である。
【0031】
図6は、
図2におけるBで示した箇所を拡大した部分拡大図である。また、
図7は、
図6のD-D断面を示した断面図である。
【0032】
図6および
図7に示すように、第3の挿入孔8は、第3フランジ133に対して直交する貫通孔である。第3の挿入孔8の直径は、第3直径φ3である。本実施形態の第3の挿入孔8は、第3直径φ3が概ね24mm程度に形成される。
【0033】
第3の挿入孔8は、第3の挿入孔8を画定する第3の縁部81と、複数の第3の係合爪82と、を有する。なお、第3の挿入孔8は、5つ以上の第3の係合爪82を有することが好ましい。第3の係合爪82は、第3の縁部81から第3の挿入孔8の中心に向けて径方向に延びるとともに、奥行方向Dに沿って手前側D1に突出する。
【0034】
本実施形態の第3の係合爪82は、第3の縁部81に6つ設けられ、等間隔に配置される。また、第3の係合爪82は、平面視において、概ね、扇形状である。第3の係合爪82の径方向の長さは、第3直径φ3の概ね3分の1程度である。第3の係合爪82の周方向における角度範囲である幅は、第1の係合爪42および第2の係合爪62よりも小さい。
【0035】
本実施形態では、第1の挿入孔4の直径は、第1直径φ1である。第2の挿入孔6の直径は、第1直径φ1と同じ第2直径φ2である。第3の挿入孔8の直径は、第1直径φ1および第2直径φ2よりも大きな第3直径φ3である。第1の係合爪42の径方向の長さは、第1の長さである。第2の係合爪62の径方向の長さは、第1の長さと同じ第2の長さである。第3の係合爪82の径方向の長さは、第1の長さおよび第2の長さよりも長い第3の長さである。
【0036】
第3の係合爪82は、基部821と、接続部822と、薄肉部824と、凸部825と、絞り部826と、を含む。
【0037】
基部821は、第3の縁部81から第3の挿入孔8の中心に向けて延びるともに、概ね幅方向Wおよび高さ方向Hに沿って拡がる。本実施形態の基部821は、第3の縁部81から第3の挿入孔8の中心に向けて、第3直径φ3の6分の1程度の長さまで延びる。
【0038】
接続部822は、基部821から連続して第3の挿入孔8の中心に向けて延びる。接続部822は、奥行方向Dの手前側D1に向かって斜めに傾斜する。
図7に破線で示すように、第3の突起部P3が第3の挿入孔8に挿入された固定状態において、接続部822における第3の挿入孔8の中心側の端部823は、第3の突起部P3の側面に係合する。これにより、第3の係合爪82は、第3の突起部P3を係止することができる。本実施形態の接続部822は、薄肉部824を除いて、基部821と概ね同じ肉厚で形成される。
【0039】
薄肉部824は、基部821と端部823との間に設けられる。薄肉部824は、基部821および接続部822に比べて薄肉に形成される。これにより、第3の係合爪82は、第3の突起部P3が第3の挿入孔8に挿入される際に、薄肉部824を起点に変形する。本実施形態の薄肉部824は、基部821と接続部822の接続箇所付近に設けられる。具体的には、薄肉部824は、奥行方向Dの奥側D2の面に切欠きとして設けられる。
【0040】
凸部825は、接続部822に設けられ、ダッシュパネルPとは反対側に延びる。本実施形態の凸部825は、奥行方向Dに沿って手前側D1に突出する縦壁である。コラムホールカバー1がダッシュパネルPに固定された後、コラムホールカバー1の内部応力、コラムホールカバー1に印加される外力、その他の力により、第3の突起部P3が第3の挿入孔8から抜ける方向に相対移動することがある。この場合、端部823は、第3の突起部P3に引きずられて変形し、凸部825を第3の突起部P3に向けて傾かせる。凸部825は、第3の突起部P3に係合して、第3の突起部P3の移動を制止する。これにより、第3の突起部P3が第3の挿入孔8から抜けることを防止できる。
【0041】
絞り部826は、少なくとも薄肉部824よりも第3の縁部81側に配置される。絞り部826の幅、つまり周方向の角度範囲は、径方向に第3の縁部81から第3の挿入孔8の中心に向かうにつれて減少し、極小値をとり、そして増大する。
【0042】
本実施形態の絞り部826は、第3の縁部81と基部821の接続箇所と、基部821と接続部822の接続箇所の間に設けられる。絞り部826の周方向における幅は、少なくとも基部821と接続部822の接続箇所の幅に比べて狭い。これにより、第3の係合爪82は、第3の突起部P3が第3の挿入孔8に挿入される際に、前述の薄肉部824とともに変形する。
【0043】
図6に示すように、第3の縁部81と基部821の接続箇所と、基部821と接続部822の接続箇所を結んだ基準線L1およびL2の間の周方向の角度範囲を基準幅w0とする。絞り部826の極小値をとる箇所における周方向の角度範囲を極小幅wとする。極小幅wは、少なくとも基準幅w0に比べて10分の9程度である。
【0044】
次に、
図8および
図9を用いて、固定状態において、第3の挿入孔8が第3の突起部P3に係合する様子を説明する。
【0045】
前述の通り、第3の挿入孔8の第3直径φ3は、第1の挿入孔4の第1直径φ1および第2の挿入孔6の第2直径φ2よりも大きい。このため、第3の挿入孔8は、第1の挿入孔4および第2の挿入孔6に比べて、第3の突起部P3を挿入しやすい。
【0046】
図8は、第3の突起部P3が第3の挿入孔8の中心付近に挿入されて係合された状態を示す概略図である。
図8(a)は、正面視における、第3の突起部P3と第3の挿入孔8の位置関係を示す概略図である。
図8(b)は、
図8(a)に示す位置関係で第3の突起部P3が第3の挿入孔8に挿入された場合のE-E断面を示す断面図である。
【0047】
図8(a)に示すように、第3の突起部P3が第3の挿入孔8の中心と概ね一致するように挿入されると、第3の係合爪82は、第3の挿入孔8の径方向に沿って第3の突起部P3の外周面を押圧し固定する。具体的には、
図8(b)に示すように、本実施形態の第3の挿入孔8に設けられた6つの第3の係合爪82の全てが、第3の突起部P3の外周面に係合する。これにより、第3の突起部P3は、交差する6つの方向から第3の係合爪82によって押圧されて固定状態となる。
【0048】
一方、
図9は、第3の突起部P3が第3の挿入孔8の中心に対してオフセットした状態で挿入されて係合された状態を示す概略図である。
図9(a)は、平面視における、第3の突起部P3と第3の挿入孔8の位置関係を示す概略図である。
図9(b)は、
図9(a)に示す位置関係で第3の突起部P3が第3の挿入孔8に挿入された場合のF-F断面を示す断面図である。
【0049】
図9(a)に示すように、第3の突起部P3が第3の挿入孔8の中心に対してオフセットして挿入されると、第3の係合爪82は、第3の挿入孔8の径方向に沿って第3の突起部P3の外周面を押圧し固定する。具体的には、
図9(b)に示すように、本実施形態の第3の挿入孔8に設けられた6つの第3の係合爪82の内の一部、具体的には3つから5つの第3の係合爪82のみが、第3の突起部P3の外周面に係合する。これにより、第3の突起部P3は、交差する少なくとも3つの方向から第3の係合爪82によって押圧されて固定状態となる。この場合、第3の突起部P3の外周面に係合する第3の係合爪82のうち、少なくとも1つは、変形量が大きくなるが、前述した薄肉部824および絞り部826により変形が惹起されることで、第3の突起部P3の外周面と係合可能となる。
【0050】
以上のように、第3の突起部P3が第3の挿入孔8の中心からオフセットして挿入されると、第3の挿入孔8は、複数の方向から第3の係合爪82によって第3の突起部P3を係合することができる。これにより、第3の挿入孔8に第3の突起部P3が挿入される場合に、コラムホールカバー1の取り付け角度や第1の突起部P1から第3の突起部P3の位置精度によらず、確実にコラムホールカバー1をダッシュパネルPに取り付けて固定状態とすることができる。
【0051】
本実施形態のコラムホールカバー1は、第1の挿入孔4、第2の挿入孔6および第3の挿入孔8を有する。第1の挿入孔4は、第1の係合爪42を有する。第2の挿入孔6は、第2の係合爪62を有する。第3の挿入孔8は、第3の係合爪82を有する。これにより、第1の挿入孔4、第2の挿入孔6および第3の挿入孔8にそれぞれ第1の突起部P1、第2の突起部P2および第3の突起部P3が挿入されると、コラムホールカバー1は、第1の係合爪42、第2の係合爪62および第3の係合爪82がそれぞれ第1の突起部P1、第2の突起部P2および第3の突起部P3に係合される。この結果、コラムホールカバー1は、ダッシュパネルPに対して固定状態となる。
【0052】
本実施形態のコラムホールカバー1は、第1の係合爪42、第2の係合爪62および第3の係合爪82のみによりダッシュパネルPに固定される。これにより、コラムホールカバー1は、クリップやスクリューボルトなどの他の固定用部品を用いることなく、ダッシュパネルPに固定できる。このため、作業者は、簡易にコラムホールカバー1をダッシュパネルPに対して取り付け、固定状態とすることができる。
【0053】
本実施形態の第3の挿入孔8は、第1の挿入孔4および第2の挿入孔6よりも大きな直径を有する。これにより、コラムホールカバー1は、ダッシュパネルPに取り付けられる際に、第1の突起部P1から第3の突起部P3の位置精度のばらつきを、第3の挿入孔8で吸収することができる。具体的には、第1の突起部P1から第3の突起部P3が所定の位置からばらつきをもって固定されていた場合でも、コラムホールカバー1は、第1の挿入孔4と第2の挿入孔6がそれぞれ第1の突起部P1と第2の突起部P2に挿入されたまま、第3の挿入孔8に第3の突起部P3を挿入させることができる。
【0054】
以上説明した通り、本開示によれば、パネル部材などの固定部に対して、容易かつ安定して取り付け可能なコラムホールカバーを提供することができる。
【0055】
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0056】
例えば、上記実施形態では、コラムホールカバー1は、第3の挿入孔8が第1の挿入孔4および第2の挿入孔6より大きい場合を例に説明したが、本開示はこれに限定されない。すなわち、コラムホールカバー1において、直径が大きく形成される挿入孔は、第1の挿入孔4、第2の挿入孔6および第3の挿入孔8のいずれであってもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、コラムホールカバー1は、第1の挿入孔4、第2の挿入孔6および第3の挿入孔8を備える例を用いて説明したが、本開示はこれに限定されない。すなわち、コラムホールカバー1に設けられる挿入孔の数は4つ以上であってもよい。
【0058】
例えば、コラムホールカバー1が4つの挿入孔を備える場合、4つの挿入孔の内の1つないしは2つの挿入孔の直径は、他の挿入孔の直径より大きくなるように形成してもよい。また、コラムホールカバー1が5つ以上の挿入孔を備える場合、5つの挿入孔の内の少なくとも2つの挿入孔の直径は、他の挿入孔の直径より大きくなるように形成してもよい。
【0059】
さらに、上記実施形態では、第3の挿入孔8の第3の係合爪82が6つある例を用いて説明したが、本開示はこれに限定されない。すなわち、第3の係合爪82は、5つ以上設けられることが好ましく、5つ、あるいは7つ以上設けられてもよい。
【符号の説明】
【0060】
P :ダッシュパネル
P1 :第1の突起部
P2 :第2の突起部
P3 :第3の突起部
1 :コラムホールカバー
4 :第1の挿入孔
42 :第1の係合爪
6 :第2の挿入孔
62 :第2の係合爪
8 :第3の挿入孔
82 :第3の係合爪
821 :基部
822 :接続部
823 :端部
824 :薄肉部
825 :凸部
826 :絞り部