(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067638
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】把持機構を備えたハンド、およびこれを備えた部品供給システム
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
B25J15/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177868
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】丸井 直樹
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS10
3C707ES03
3C707ET08
3C707EV03
3C707HS27
3C707KS03
3C707KS04
3C707KT01
3C707KT06
3C707KT09
3C707NS02
(57)【要約】
【課題】把持機構をロボットの先端に取り付けたままキャリブレーションを行うことができ、且つ、ワークのピックアップをしながらの修正が不要なハンド、および部品供給システムを提供する。
【解決手段】ハンド6は、ロボット4のアーム10の先端に取り付けられてワークWをピックアップする。ハンド6は、開閉方向に移動する把持機構22を有している。把持機構22は複数の爪部24を有し、把持機構22が閉じることでワークWを爪部24で把持する。爪部24に、キャリブレーション治具30が位置固定される切欠き26が設けられている。
【選択図】
図7B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットのアームの先端に取り付けられて、搬送台上のワークをピックアップするハンドであって、
前記ワークを把持する閉方向および前記ワークを離す開方向に移動する把持機構を備え、
前記把持機構は複数の爪部を有し、前記把持機構が閉じることで前記ワークを前記爪部で把持し、
前記爪部に、キャリブレーション治具が位置固定される切欠きが設けられているハンド。
【請求項2】
請求項1に記載のハンドにおいて、前記キャリブレーション治具は、前記爪部に固定される基部と、前記基部から前記把持機構と反対側に延びるピン部と、を有し、
前記キャリブレーション治具の前記基部の外形は多角形状であり、
前記爪部の切欠きが、前記基部の角に合致する形状であるハンド。
【請求項3】
請求項1または2に記載のハンドにおいて、前記キャリブレーション治具のピン部の先端形状が十字であるハンド。
【請求項4】
請求項1または2に記載のハンドにおいて、前記キャリブレーション治具および前記爪部に、前記爪部が前記キャリブレーション治具を把持した状態で同軸となる治具挿通孔および爪部挿通孔がそれぞれ設けられているハンド。
【請求項5】
請求項1または2に記載のハンドにおいて、さらに、前記把持機構の姿勢を変更する1自由度以上のアクチュエータを備えたハンド。
【請求項6】
ワークを搬送台に供給する部品供給装置と、
前記搬送台が配置された第1のエリアから該第1のエリアとは異なる第2のエリアに前記ワークを搬送するロボットと、
前記ロボットのアームの先端に取り付けられて、前記第1のエリアで前記搬送台上の前記ワークをピックアップし、前記第2のエリアで前記ワークを置くハンドと、を備えた部品供給システムであって、
前記ハンドは、前記ワークを把持する閉方向および前記ワークを離す開方向に移動する把持機構を有し、
前記把持機構は複数の爪部を有し、前記把持機構が閉じることで前記ワークを前記爪部で把持し、
前記爪部に、キャリブレーション治具が位置固定される切欠きが設けられ、
前記把持機構を閉じて内側に力が加わることで、前記ロボットに対する前記キャリブレーション治具の位置と姿勢が固定される部品供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械部品、電子部品等のワークを把持するハンドの把持機構およびこれを備えた部品供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
機械部品、電子部品等のワークの部品供給システムとして、ワークを自動的に整列させて搬送台に供給し、搬送台上でワークをロボットによってピックアップして次の工程に供給するものがある(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許平6-238584号公報
【特許文献2】特許6892952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す部品供給システムでは、搬送台の上流に設置されたカメラでワークを撮影し、画像処理などでワークの位置と姿勢を検出し、下流側に設置したロボットでワークをピックアップする。すなわち、撮像エリアでカメラが撮像したワークを含む画像平面は、搬送台によって下流側に一定速度でピックアップエリアに搬送される。その搬送距離を搬送台が取得し、制御装置に送信する。搬送距離は、例えば、搬送台に設置されたモータのエンコーダ値から算出される。
【0005】
搬送台から得られた搬送距離と、カメラから得られた画像平面内でのワーク位置から、制御装置はロボットがワークをピックアップする各関節の駆動位置を算出し、ロボットを動作させてワークをピックアップする。ここで、カメラがワークを含む画像平面を撮像する撮像エリアと、ロボットがワークをピックアップするピックアップエリアとが離れているので、搬送台とロボットとの位置関係を決定するキャリブレーション、カメラとロボットおよび搬送台との位置関係を決定するキャリブレーションが必要となる。
【0006】
特許文献2に示す部品供給システムでは、搬送台(コンベア)が円盤となっており、撮像エリアでカメラが撮像した画像平面は円盤の中心回りに円弧状に動作する。このため、キャリブレーションが正確でない場合、ピックアップエリアでロボットがピックアップする位置が大きくずれてしまう恐れがある。
【0007】
従来は、カメラに対するロボットおよびコンベアのキャリブレーションを行う際、ワークを把持する把持機構をロボットの先端に取り付けたままキャリブレーションを行おうとすると、把持機構の中心位置を推測して設定しなければならなかった。その場合、正確な中心位置が分かりにくくずれが生じてしまい、ワークのピックアップをしながらそのずれを修正する必要があった。
【0008】
また、把持機構をロボット先端から取り外し、キャリブレーション治具をロボットの先端に取り付けてキャリブレーションを行う場合、再度把持機構を取り付けた際の取り付け誤差によりずれが生じてしまい、ワークのピックアップをしながらそのずれを修正する必要があった。
【0009】
本発明の目的は、把持機構をロボットの先端に取り付けたままキャリブレーションを行うことができ、且つ、ワークのピックアップをしながらの修正が不要なハンド、および部品供給システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のハンドは、ロボットのアームの先端に取り付けられて、搬送台上のワークをピックアップするハンドであって、前記ワークを把持する閉方向および前記ワークを離す開方向に移動する把持機構を備えている。前記把持機構は複数の爪部を有し、前記把持機構が閉じることで前記ワークを前記爪部で把持する。前記爪部に、キャリブレーション治具が位置固定される切欠きが設けられている。
【0011】
この構成によれば、キャリブレーション治具の位置を固定する切欠きが爪部に設けられ、把持機構を閉じて内側に力を加えることでキャリブレーション治具のロボットに対する位置と姿勢が固定される。これにより、ワークを把持する把持機構をキャリブレーション時に変更することなく、把持機構の中心位置が明確になる。したがって、キャリブレーションがしやすくなる。また、把持機構および爪部を設置したままキャリブレーションを行うことができるので、キャリブレーション後のずれ補正が不要となる。
【0012】
本発明において、前記キャリブレーション治具は、前記爪部に固定される基部と、前記基部から前記把持機構と反対側に延びるピン部とを有し、前記キャリブレーション治具の前記基部の外形は多角形状であり、前記爪部の切欠きが、前記基部の角に合致する形状であってもよい。この構成によれば、切欠きが円弧である場合に比べて、キャリブレーション治具の位置と姿勢が切欠きに合致しやすく、キャリブレーション治具の位置と姿勢が固定しやすい。
【0013】
本発明において、前記キャリブレーション治具のピン部の先端形状が十字であってもよい。この構成によれば、把持機構の中心位置だけでなく、回転方向の位置も明確となる。したがって、キャリブレーションが一層容易になる。
【0014】
本発明において、前記キャリブレーション治具および前記爪部に、前記爪部が前記キャリブレーション治具を把持した状態で同軸となる治具挿通孔および爪部挿通孔がそれぞれ設けられていてもよい。この構成によれば、治具挿通孔および爪部挿通孔に位置決め用のピンを挿入することで、キャリブレーション治具が把持機構の中心軸方向にずれることを抑制できる。したがって、キャリブレーションが一層容易になる。
【0015】
本発明において、前記ハンドは、さらに、前記把持機構の姿勢を変更する1自由度以上のアクチュエータを有していてもよい。この構成によれば、ロボットの先端の中心軸と把持機構の中心軸が一致しない場合でも、キャリブレーション治具により把持機構の中心位置が明確となるので、キャリブレーションがしやすい。
【0016】
本発明の部品供給システムは、ワークを搬送台に供給する部品供給装置と、前記搬送台が配置された第1のエリアから該第1のエリアとは異なる第2のエリアに前記ワークを搬送するロボットと、前記ロボットのアームの先端に取り付けられて、前記第1のエリアで前記搬送台上の前記ワークをピックアップし、前記第2のエリアで前記ワークを置くハンドとを備えている。前記ハンドは、前記ワークを把持する閉方向および前記ワークを離す開方向に移動する把持機構を有している。把持機構は複数の爪部を有し、前記把持機構が閉じることで前記ワークを前記爪部で把持する。前記爪部に、キャリブレーション治具が位置固定される切欠きが設けられている。前記把持機構を閉じて内側に力が加わることで、前記ロボットに対する前記キャリブレーション治具の位置と姿勢が固定される。
【発明の効果】
【0017】
本発明のハンドおよび部品供給システムによれば、ワークを把持する把持機構をロボットの先端に取り付けたままキャリブレーションを行う場合、キャリブレーション治具をそのまま設置することで把持機構の中心位置が明確となる。そのため、ワークのピックアップをしながらずれを修正する必要がなくなる。また、把持機構をロボット先端から取り外す必要がないので、把持機構を取り外して使用する専用のキャリブレーション治具をロボットの先端に取り付けてキャリブレーションを行う必要がない。したがって、把持機構の取り付け誤差によるずれが生じないので、ワークのピックアップをしながらそのずれを修正する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るハンドを備えた部品供給システムを示す斜視図である。
【
図2】同部品供給システムの変形例を示す斜視図である。
【
図3】同部品供給システムの別の変形例を示す斜視図である。
【
図5】
図4のハンドを矢印V方向から見た図である。
【
図6A】キャリブレーション治具の一例を示す図である。
【
図6B】
図6Aのキャリブレーション治具を矢印VIB方向から見た図である。
【
図7A】同ハンドで同キャリブレーション治具を把持した状態を示す図である。
【
図8A】本発明の第2実施形態に係るハンドを示す図である。
【
図8B】
図8Aのハンドを矢印VIIIB方向から見た図である。
【
図9A】同ハンドに把持されるキャリブレーション治具を示す図である。
【
図9B】
図9Aのキャリブレーション治具を矢印IXB方向から見た図である。
【
図10】同キャリブレーション治具の変形例を示す図である。
【
図11A】変形例のキャリブレーション治具をハンドに固定した状態を示す図である。
【
図12A】同キャリブレーション治具の別の変形例を示す図である。
【
図12B】
図12Aのキャリブレーション治具を矢印XIIB方向から見た図である。
【
図13A】本発明の第3実施形態に係るハンドを示す図である。
【
図13B】同ハンドを矢印XIIIB方向から見た図である。
【
図14A】本発明の第4実施形態に係るハンドを示す図である。
【
図15】本発明の第5実施形態に係るハンドを備えたロボットを示す図である。
【
図18B】同把持機構を矢印XVIIIB方向から見た図である。
【
図19】本発明の第6実施形態に係る部品供給システムを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明において、「上流」および「下流」は、ワークの流れ方向の「上流」および「下流」をいう。
図1は本発明の第1実施形態に係る部品供給システムSYを示す斜視図で、
図2は同部品供給システムSYの変形例を示す斜視図で、
図3は同部品供給システムSYの別の変形例を示す斜視図である。
【0020】
[第1実施形態]
[システム全体]
図1に示すように、部品供給システムSYは、部品供給装置2により自動的に整列されたワークWを、ロボット4およびハンド6によってピックアップして次工程の自動機械などに供給する。詳細には、部品供給システムSYは、ワークWを搬送台8に供給する部品供給装置2と、搬送台8が配置された第1のエリアA1から第1のエリアA1とは異なる第2のエリアA2にワークWを搬送するロボット4と、ロボット4のアーム10の先端に取り付けられたハンド6とを備えている。
【0021】
本実施形態では、ワークWは、ボルトのような円筒形の部材である。ただし、ワークWは、これに限定されず、例えば、機械部品、電子部品、プラスチック部品、薬品、医療品、食料品、雑貨類等であってもよい。
【0022】
部品供給装置2、ロボット4およびハンド6は、制御装置12により同期制御される。具体的には、搬送台8上のワークWの位置および姿勢がワーク検出手段14により検出され、ワーク検出手段14で検出された位置にロボット4のアーム10が移動し、ワーク検出手段14で検出された姿勢に応じた角度でハンド6がワークWを把持する。その後、ロボット4のアーム10が第2のエリアA2に移動し、ハンド6がワークWを離す。以降、この動作が繰り返される。なお、後述の
図2、
図3、
図15、
図19では、制御装置12が省略されている。
【0023】
本実施形態では、
図1のワーク検出手段14は、カメラのような撮影手段である。ただし、ワーク検出手段14は、カメラに限定されず、例えば、距離センサ等であってもよい。カメラは、ワークWの位置および姿勢の検出専用に設けられてもよく、別の用途に兼用されてもよい。また、カメラは、固定式であってもよく、ロボット4のアーム10に取り付けられてもよい。
【0024】
[部品供給装置]
部品供給装置2の搬送台8に、センシングエリア16と、ピックアップエリア18とが設けられている。センシングエリア16では、前述のワーク検出手段14によりワークWの位置および姿勢が検出される。ピックアップエリア18では、ロボット4およびハンド6によりワークWがピックアップされる。
【0025】
この例では、センシングエリア16と、ピックアップエリア18は、その一部もしくは全体が重なっている。詳細には、ワークWは卓上や箱の中にばらばらに入れられ、その上方に設置されたカメラ(ワーク検出手段)14によってセンシングエリア16の画像が得られ、画像処理によってワークWの位置と姿勢が取得される。取得されたワークWの位置と姿勢の情報から、ロボット4がターゲットとなるワークWをピックアップする。
【0026】
その際、キャリブレーションを行い、ロボット4の基準座標系とカメラ14で撮像する画像平面IPの座標系を予め合わせる必要がある。キャリブレーション方法としては、画像平面IP内の任意の位置をロボット4の先端に設置したツール先端で指し示し、ロボット4の基準座標系におけるツール先端の位置を用いて算出する。もしくは、カメラ14の撮像範囲内にロボット4の一部やツールの一部が写り込む位置でロボット4を停止させ、特徴点を基準に画像処理により算出する。
【0027】
図2に示す変形例では、部品供給装置2が直線状のコンベア8で、その上面をワークWが流れている。
図2の例では、カメラ14でワークWを撮像するセンシングエリア16と、ロボット4がワークWをピックアップするピックアップエリア18は重ならない。
【0028】
図2の例では、ワークWがコンベア8上を流れ、センシングエリア16でカメラ14により位置と姿勢の情報が得られる。ピックアップエリア18までワークWが流れたとき、コンベア8の搬送距離DからターゲットワークWの位置を算出し、ロボット4の基準座標系に変換してロボット4がワークWをピックアップする。そのため、カメラ14で撮像した画像平面IPの座標系と、その画像平面IPがコンベアで搬送されたと仮定する搬送後の画像平面IPaにおけるロボット4の基準座標系を、キャリブレーションにより予め合わせておく必要がある。
【0029】
キャリブレーション方法としては、例えば、キャリブレーション用のプレートを用意して上流から流し、センシングエリア16においてカメラ14で撮像して特徴点の位置情報を取得した後、ピックアップエリア18でロボット4の先端に直接取り付けた専用治具でその特徴点を指す方法がある。
【0030】
図3に示す変形例では、部品供給装置2が円弧状の円盤やコンベア8である。この場合も、
図2の例と同様のキャリブレーションを行う必要がある。
図1~3のシステムにおけるキャリブレーションの課題については後述する。
【0031】
[ロボット]
図1を用いてロボット4の構成を説明するが、ロボット4の構成は
図2および
図3でも同じである。ロボット4は、複数のアーム10を有し、水平軸周りにアーム10が回動する多関節ロボットである。ロボット4は、搬送台8のある第1のエリアA1と、次工程の第2のエリアA2との間を旋回する。本実施形態のロボット4は、
図3に示すように、床面に固定された基体部20と、3つの第1~3のアーム10A,10B,10Cとを有している。
【0032】
基部20は、その軸心AX1が鉛直方向に延びる円柱形状の部材である。基部20は、床面に対して、第1の回転軸心AX1回りに旋回自在に連結されている。本実施形態では、第1の回転軸心AX1は、基部20の軸心AX1に一致している。
【0033】
第1のアーム10Aは、直線状に延びる棒状の部材で、基端部10Aaが基体部20の上部に、水平方向の第2の回転軸心AX2回りに旋回自在に連結されている。第2のアーム10Bは、直線状に延びる棒状の部材で、基端部10Baが、第1のアーム10Aの先端部10Abに、水平方向の第3の回転軸心AX3回りに旋回自在に連結されている。第2のアーム10Bは、第1のアーム10Aの先端部10Abに対して水平方向の第4の回転軸心AX4回りに回動自在である。
【0034】
第3のアーム10Cは、直線状に延びる棒状の部材で、第2のアーム10Bの先端部10Bbに水平方向の第5の回転軸心AX5回りに旋回自在に連結されている。第3のアーム10Cは、第2のアーム10Bの先端部10Bbに対して鉛直方向の第6の回転軸心AX6回りに回動自在である。第3のアーム10Cの下端10Caに、前記ハンド6が取り付けられている。
【0035】
基部20および各アームのアーム10A,10B,10Cは、アクチュエータ(図示せず)により駆動される。アクチュエータは、例えば、電動モータであるが、これに限定されない。本実施形態では、ロボット4は、床面に固定されているが、固定されていなくてもよい。また、ロボット4は、本実施形態の構造に限定されず、任意の作業用ロボットを適用できる。
【0036】
[ハンド]
図4および
図5を用いてハンド6の構成を説明する。ハンド6の構成は
図1~3で同じである。ハンド6は、第1のエリアA1(
図1)で搬送台8上のワークWをピックアップし、第2のエリアA2(
図1)でワークWを置く。ハンド6は、ワークWを把持する閉方向およびワークを離す開方向に移動する把持機構22を有している。
図4は、把持機構22が閉状態のハンド6を示している。把持機構22は、例えば、圧縮空気により駆動される。ただし、把持機構22の駆動源は、これに限定されず、油圧モータ、電動モータ等であってもよい。
【0037】
把持機構22は複数の爪部24を有している。本実施形態では、把持機構22が2つの爪部24を有しているが、3つ以上であってもよい。把持機構22が閉じることで(閉方向に移動することで)、ワークWが爪部24で把持される。
【0038】
図5に示すように、爪部24に、キャリブレーション治具30(
図6A)が位置固定される切欠き26が設けられている。切欠き26は、爪部24におけるワークWを把持する把持面24aに形成され、把持面24aから開方向に凹んだ溝である。
【0039】
図6Aおよび
図6Bに、キャリブレーション治具30の一例を示す。キャリブレーション治具30は、爪部24に固定される基部32と、基部32から把持機構22と反対側(
図6Aの下方)に延びるピン部34とを有している。ピン部34の先端部34aは、キャリブレーション時に特徴点を指し示すように鋭角となっている。
【0040】
本実施形態では、キャリブレーション治具30の基部32の外形(横断面の形状)は四角形である。つまり、基部32は4つの角部32aを有している。ただし、基部32の外形は、四角形以外の多角形状であってもよい。また、基部32の外形は円形であってもよい。
【0041】
図7Aおよび
図7Bは、爪部24でキャリブレーション治具30を把持した状態を示す。
図7Aに示すように、キャリブレーション時に、キャリブレーション治具30の基部32が爪部24の把持面24aで把持される。本実施形態では、
図7Bに示すように、爪部24の切欠き26は、基部32の角部32aに合致または対応する形状である。
図7Bの例では、2つの切欠き26に、対角上の2つの角部32aがそれぞれ嵌り込んでいる。このような構造とするで、爪部24に閉方向に力を加えたとき、キャリブレーション治具30が爪部24の切欠き26に嵌まりやすいので、キャリブレーション治具30の設置が容易となる。
【0042】
把持機構22を閉じて内側に力が加わることで、ロボット4に対するキャリブレーション治具30の位置と姿勢が固定される。詳細には、把持機構22を閉じたときに、キャリブレーション治具30に対して爪部24から力が加わるようにすることで、キャリブレーション治具30を把持した際にキャリブレーション治具30のずれが抑えられる。
【0043】
図7Aでは、把持機構22を閉じて爪部24でキャリブレーション治具30を把持した状態を示しているが、把持機構22を開けたときに、キャリブレーション治具30が爪部24から力が加わらないように設計することで、キャリブレーション治具30を容易に外したり設置したりすることができる。また、爪部24の切欠き26よりもキャリブレーション治具30の基部32を長くすることで、把持状態が安定し、ずれが抑えられる。
【0044】
[キャリブレーションの課題]
爪部24に切欠き26がない従来のハンド6では、つぎのような問題があった。
図1のシステムSYにおいて、
図4に示すような把持機構22を閉方向に移動させて複数の爪部24でワークWを把持する構造の場合、ワークWを把持していない状態では、把持機構22の中心位置が明確にならないので、キャリブレーション位置がずれやすい。つまり、このような構造では、ワークWがないと複数の爪部24の間に隙間があり、把持機構22の中心は仮想のものとなる。また、中心軸X1の傾きが明確でないので、キャリブレーション後に傾きを補正する必要がある。
【0045】
図2のシステムSYの場合、キャリブレーション後に専用治具をロボット4の先端から取り外し、把持機構22を改めてロボットの先端に設置する。このため、再度設置する際の位置ずれや傾きのずれをキャリブレーション後に補正する必要がある。
【0046】
図3のシステムSYにおいても
図2と同様にキャリブレーション後に補正する必要がある。さらに、
図3のシステムSYでは、ワークWおよび画像平面IPの経路が直線状ではなく円弧状である。このため、キャリブレーション時のずれや、専用治具を取り外した後、ロボット4の先端に把持機構を再度設置した際のずれがピックアップ時に大きく影響する。
【0047】
[作用効果]
上述の本実施形態の構成によれば、
図7A,7Bに示すように、キャリブレーション治具30の位置を固定する切欠き26が爪部24に設けられ、把持機構22を閉じて内側に力を加えることでキャリブレーション治具30のロボット4に対する位置と姿勢が固定される。これにより、ワークWを把持する把持機構22をキャリブレーション時に変更することなく、把持機構22の中心位置(中心軸X1)が明確になる。したがって、キャリブレーションがしやすくなる。また、把持機構22および爪部24を設置したままキャリブレーションを行うことができるので、キャリブレーション後のずれ補正が不要となる。
【0048】
図7Bに示すように、爪部24の切欠き26が、キャリブレーション治具30の基部36の角部36aに合致する形状である。これにより、切欠き26が円弧である場合に比べて、キャリブレーション治具30の位置と姿勢が切欠き26に合致しやすく、キャリブレーション治具30の位置と姿勢が固定しやすい。
【0049】
ワークWを把持する把持機構22をロボット4の先端に取り付けたままキャリブレーションを行う場合、キャリブレーション治具30をそのまま設置することで把持機構22の中心位置(中心軸X1)が明確となる。そのため、ワークWのピックアップをしながらずれを修正する必要がなくなる。また、把持機構22をロボット4の先端から取り外す必要がないので、把持機構22を取り外して使用する専用のキャリブレーション治具をロボット4の先端に取り付けてキャリブレーションを行う必要がない。したがって、把持機構22の取り付け誤差によるずれが生じないので、ワークWのピックアップをしながらそのずれを修正する必要がなくなる。
【0050】
このように、上記実施形態のハンド6の把持機構22によれば、
図1~3のいずれの部品供給システムSYにおいても、キャリブレーション後のずれ補正が不要となる。
【0051】
以下に、その他の実施形態について説明する。各実施形態において、先行する実施形態と同様の構成については共通の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0052】
[第2実施形態]
図8Aおよび
図8Bは、第2実施形態のハンド6Aを示す。第2実施形態のハンド6Aでは、各爪部24に爪部挿通孔40が設けられている。本実施形態では、爪部挿通孔40は、その軸心が中心軸X1と直交する方向に延びる貫通孔である。
【0053】
図9Aおよび
図9Bは、第2実施形態のハンド6Aに把持されるキャリブレーション治具30Aを示す。キャリブレーション治具30Aは、その基部32に治具挿通孔42が設けられている。治具挿通孔42は、爪部挿通孔40に対応する位置に設けられる。本実施形態では、
図8Aに示すように、治具挿通孔42の軸心は、爪部24に把持された状態で爪部挿通孔40と同軸となるように設定されている。
【0054】
図8Aに示すように、把持機構22が開いた状態で、2つの爪部24,24の間にキャリブレーション治具30Aが設置され、爪部挿通孔40および治具挿通孔42に位置決めピン44が挿通される。この状態で、把持機構22を閉じることで、キャリブレーション治具30Aが固定される。このとき、位置決めピン44がガイドとなるので、キャリブレーション治具30Aの設置が容易となる。その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0055】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。さらに、爪部挿通孔40および治具挿通孔42に位置決めピン44を挿入することで、キャリブレーション治具30Aが把持機構22の中心軸X1方向にずれることを抑制できる。したがって、キャリブレーションが一層容易になる。また、キャリブレーション治具30Aの軸方向の位置も一意に決まるので、キャリブレーション時の高さも規定できる。このとき、爪部挿通孔40および治具挿通孔42と、位置決めピン40の寸法を軽微なすきまとすることで、設置を容易にしつつ、ずれを抑えることができる。
【0056】
図10は、キャリブレーション治具の変形例を示す。
図10のキャリブレーション治具30Bは、その基部32に、治具挿通孔42に代えて、位置決め突起46が設けられている。位置決め突起46の軸心は、治具挿通孔42の軸心と同様に、爪部24に把持された状態で爪部挿通孔40と同軸となるように設定されている。位置決め突起46の突出量は、把持機構22が開いたときに爪部24からキャリブレーション治具30Bを取り外すことができる長さに設定されている。
【0057】
図11Aおよび
図11Bに示すように、把持機構22が開いた状態で、2つの爪部24,24の間にキャリブレーション治具30Bが設置される。この状態で、把持機構22を閉じることで、位置決め突起46が爪部挿通孔40に挿通される。さらに把持機構22を閉じることで、キャリブレーション治具30Bが固定される。このとき、位置決め突起46がガイドとなるので、キャリブレーション治具30Bの設置が容易となる。
【0058】
この変形例によれば、
図8Aのように把持機構22が開いた状態でキャリブレーション治具30Aを固定しながら位置決めピン44を爪部挿通孔40および治具挿通孔42に挿通する手間がなくなり、設置しやすい。その他の構成および効果は第2実施形態と同じである。
【0059】
図12Aおよび
図12Bは、別の変形例のキャリブレーション治具30Cを示す。この例では、ピン部34の先端部34aが十字となっている。ピン部34の先端部34aは、キャリブレーション時に特徴点を指し示す部分である。その他の構成は、
図10の例と同じである。
【0060】
この変形例によれば、
図10の例と同様の効果を奏する。さらに、
図12Aおよび
図12Bの変形例によれば、キャリブレーション治具30Cのピン部34の先端形状が十字であるから、把持機構22の中心位置(中心軸X1)だけでなく、回転方向の位置も明確となる。具体的には、十字の周方向位置を目視で確認することで、把持機構22がどれだけ周方向にずれているか、つまり回転方向の位置を把握できる。したがって、キャリブレーションが一層容易になる。
【0061】
なお、この変形例におけるキャリブレーション治具30Cのピン部34の先端部34aを十字形状とする構成は、
図6Aおよび
図6Bのキャリブレーション治具30や、
図9Aおよび
図9Bのキャリブレーション治具30Aにも適用できる。
【0062】
[第3実施形態]
図13Aおよび
図13Bは、第3実施形態のハンド6Bを示す。第3実施形態は、把持機構22の中心軸X1と直交する方向に軸心を有する円筒形のワークWをピックアップする例である。
図13Aに示すように、把持機構22の爪部24の把持面24aに、ワークWの外形に沿ったワーク固定凹部48が形成されている。
【0063】
図13Bに示すように、ワーク固定凹部48は、キャリブレーション治具30を固定する切欠き26とは90°ずれた位置に形成されている。これにより、ワークWを把持する際に、キャリブレーション治具用の切欠き26の影響が抑えられる。その他の構成および効果は、第1実施形態と同じである。
【0064】
図13Aおよび
図13Bでは、
図6Aおよび
図6Bのキャリブレーション治具30を用いた例を説明したが、
図9Aおよび
図9Bのキャリブレーション治具30Aや、
図12Aおよび
図12Bのキャリブレーション治具30Cを用いることもできる。この場合、第3実施形態のハンド6Bの爪部24に爪部挿通孔40を設ける。
【0065】
[第4実施形態]
図14A、
図14Bおよび
図14Cは、第4実施形態のハンド6Cを示す。第4実施形態は、把持機構22の中心軸X1と平行な軸心を有する円筒形のワークWをピックアップする例である。
図14Bに示すように、把持機構22の爪部24の把持面24aに、ワークWの外形に沿ったワーク固定凹部48Aが形成されている。
【0066】
図14Cに示すように、ワーク固定凹部48Aは、キャリブレーション治具30を固定する切欠き26と同軸で、且つ、ワーク固定凹部50に対して切欠き26の角度が鋭角となっている。これにより、ワークWを把持する際に、キャリブレーション治具用の切欠き26の影響が抑えられる。その他の構成および効果は、第1実施形態と同じである。
【0067】
図14A~
図14Cでは、
図6Aおよび
図6Bのキャリブレーション治具30を用いた例を説明したが、
図9Aおよび
図9Bのキャリブレーション治具30Aや、
図12Aおよび
図12Bのキャリブレーション治具30Cを用いることもできる。この場合、第4実施形態のハンド6Cの爪部24に爪部挿通孔40を設ける。
【0068】
[第5実施形態]
図15は、第5実施形態に係るハンド6Dを備えたロボット4Aを示す。
【0069】
[ロボット]
図15に示すロボット4Aは、複数のアーム50を有し、水平方向にアーム50が動作する水平多関節ロボットである。ロボット4Aは、搬送台8のある第1のエリアA1と、次工程の第2のエリアA2との間を旋回する。本実施形態のロボット4は、床面に固定された基体部52と、3つの第1~3のアーム50A,50B,50Cとを有している。
【0070】
第1のアーム50Aは、水平方向に延びる角棒状の部材で、基端部50Aaが基体部52の上面に、鉛直方向の第1の回転軸心AX11回りに旋回自在に連結されている。第2のアーム50Bは、水平方向に延びる角棒状の部材で、基端部50Baが、第1のアーム50Aの先端部50Abに、鉛直方向の第2の回転軸心AX12回りに旋回自在に連結されている。
【0071】
第3のアーム50Cは、鉛直方向に延びる円柱状の軸部材で、第2のアーム50Bの先端部50Bbに挿通されている。第3のアーム50Cは、第2のアーム50Bの先端部50Bbに対して鉛直方向に移動自在で、且つ、鉛直方向の第3の回転軸心AX13回りに回転自在である。第3のアーム50Cの下端50Caに、前記ハンド6Dが取り付けられている。
【0072】
各アームのアーム50A,50B,50Cは、アクチュエータ(図示せず)により駆動される。アクチュエータは、例えば、電動モータであるが、これに限定されない。本実施形態では、ロボット4Aは、床面に固定されているが、固定されていなくてもよい。また、ロボット4Aは、本実施形態の構造に限定されず、任意の作業用ロボットを適用できる。
【0073】
[ハンド]
本実施形態のハンド6Dは、把持機構22の姿勢を変更する1自由度以上のアクチュエータ54を有している。ハンド6Dは、第3のアーム50Cの下端50Caに、第3の回転軸心AX13回りに旋回自在に取り付けられている。ロボット4Aの第3のアーム50Cとハンド6Dは、
図16に示すL字形のブラケット52により連結されている。詳細には、ブラケット52の水平部分52aの上面に第3のアーム50Cの下端50Caが連結され、ブラケット52の鉛直部分52bにハンド6Dのアクチュエータ54がボルト連結されている。本実施形態では、ハンド6Dは、ブラケット52の鉛直部分52bの内側の面、すなわち第3の回転軸心AX13側の面に取り付けられている。ただし、ブラケット52の形状、ハンド6Dの配置はこれに限定されない。
【0074】
アクチュエータ40は、水平方向に延びる第4の回転軸心AX14を有する。把持機構22は連結部材56を介してアクチュエータ54に連結されている。連結部材56は、板状の長尺部材からなり、その基端部56aがアクチュエータ54に第4の回転軸心AX14回りに回動自在に連結され、先端部56bに把持機構22がボルト連結されている。アクチュエータ54が駆動することで、把持機構22は
図17の位置となる。
【0075】
図17は、アクチュエータ54が
図16から90°回転した状態、すなわちハンド6Dが下向きの状態を示す。一方、
図16はハンド6Dが横向きの状態を示す。このように、ブラケット52が第3の回転軸心AX13回りに回動することでハンド6Dが任意の位置に変更され、連結部材54が第4の回転軸心AX14回りに回動することで把持機構22が任意の姿勢に変更される。このように、ハンド6Dの姿勢が変更可能であるから、ワークWをピックアップする際に、ハンド6Dが他のワークや機器に接触するのを回避できる。その結果、ハンド6Dや他の機器に不具合が生じるのを防ぐことができるうえに、作業効率が向上する。
【0076】
本実施形態の把持機構22も、上述の各実施形態と同様に、開閉自在な複数の爪部24を有するチャック装置である。本実施形態では、把持機構22は2つの爪部24を有しているが、爪部24は3つ以上であってもよい。
図17に示すように、本実施形態では、ロボット4Aの第3のアーム50Cの第3の回転軸心AX13と、把持機構22の第5の軸心AX15は一致していない。つまり、第5の軸心AX15が、第3の回転軸心AX13に対して水平方向にオフセットされている。ここで、第5の軸心AX15は、把持機構22の把持中心(中心軸)である。
【0077】
第5実施形態では、ロボット4Aの先端に1自由度以上のアクチュエータ54が設置され、ワークWをピックアップした後、ワークWの姿勢を変更し、ワークWを所定の場所に設置する。1自由度以上のアクチュエータ54の回転軸AX14がロボット4Aの最も先端にある関節の回転軸AX13と交差せずオフセットを持つ場合や、ブラケット52をL字形とする場合、ロボット4Aの回転軸AX13と把持機構22の把持中心(中心軸)AX15とのオフセット量を考慮しなければ、ロボット4Aがピックアップする位置が大きくずれてしまう。
【0078】
図18Aおよび
図18Bに示すように、第5実施形態のハンド6Dの爪部24に切欠き26を設けることで、キャリブレーション治具30の中心軸と把持機構22の中心軸AX15を合わせることができる。このように、ワークWを把持する姿勢においてロボット先端の中心軸AX13とワーク把持位置AX15が一致しない場合でも、オフセット量を考慮せずにキャリブレーションを実施できる。
【0079】
第5実施形態によれば、ロボット4Aの先端の中心軸AX13と把持機構22の中心軸AX15が一致しない場合でも、キャリブレーション治具30により把持機構22の中心位置が明確となるので、キャリブレーションがしやすい。
【0080】
[第6実施形態]
図19は、第6実施形態に係る部品供給システムSYを示す。第6実施形態の部品供給システムSYは、
図3の円盤状の搬送部を有する部品供給装置2と、
図15~
図18A,18Bの第5実施形態のロボット4Aおよびハンド6Dとを備えている。
【0081】
上述のように、搬送部が円盤状となっている部品供給装置2では、キャリブレーション時のずれや、専用治具を取り外した後、ロボットの先端に把持機構を再度設置した際のずれの影響が大きい。また、L字形のブラケット52とアクチュエータ54を有するハンド6Dでは、ロボット4Aの先端の中心軸AX13と把持機構22の中心軸AX15が一致しないので、キャリブレーションが難しい。
【0082】
図18Aおよび
図18Bのハンド6Dのように、爪部24に切欠き26を設けることで、キャリブレーション治具30の中心軸と把持機構22の中心軸AX15を合わせることができ、把持中心位置が明確となる。このため、キャリブレーションがしやすい。このように、円盤状の搬送部を有する部品供給装置2と、L字形のブラケット52とアクチュエータ54を有するハンド6Dを用いた場合でも、把持機構22をロボット4Aの先端に取り付けたままキャリブレーションを行うことができ、且つ、ワークWのピックアップをしながらの修正が不要となる。
【0083】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
2 部品供給装置
4,4A ロボット
6,6A,6B,6C,6D ハンド
8 搬送台
10 アーム
22 把持機構
24 爪部
26 切欠き
30,30A,30B,30C キャリブレーション治具
32 基部
34 ピン部
40 爪部挿通孔
42 治具挿通孔
54 アクチュエータ
SY 部品供給システム
W ワーク