(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067656
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、および液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
B41J2/14 305
B41J2/14 611
B41J2/14 601
B41J2/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177893
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩沢 優
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼部 本規
(72)【発明者】
【氏名】鷹合 仁司
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AG44
2C057AG52
2C057AG82
2C057AG91
2C057AG99
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】液体吐出ヘッドにおいて、吐出特性を落とすことのない配線設計構造の技術を提供する。
【解決手段】液体吐出ヘッドは、ノズルと、電圧が印加されることで駆動される圧電体と、圧電体の上部に位置し、圧電体と電気的に接続する上部電極と、圧電体の下部に位置し、圧電体と電気的に接続する下部電極と、上部電極の上部に位置し、上部電極と外部電源を電気的に接続するための上部電極配線と、下部電極と外部電源を電気的に接続するための下部電極配線と、下部電極の下部に位置し、圧電体の駆動によって振動する振動板と、振動板の振動によってノズルから液体を吐出するための圧力が液体に付与される圧力室、および、圧力室から伝搬した液体の振動を吸収する第1吸収室が設けられた圧力室基板と、を有し、第1吸収室の上部には、上部電極と上部電極配線が設けられている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出ヘッドであって、
ノズルと、
電圧が印加されることで駆動される圧電体と、
前記圧電体の上部に位置し、前記圧電体と電気的に接続する上部電極と、
前記圧電体の下部に位置し、前記圧電体と電気的に接続する下部電極と、
前記上部電極の上部に位置し、前記上部電極と外部電源を電気的に接続するための上部電極配線と、
前記下部電極と前記外部電源を電気的に接続するための下部電極配線と、
前記下部電極の下部に位置し、前記圧電体の駆動によって振動する振動板と、
前記振動板の振動によって前記ノズルから液体を吐出するための圧力が液体に付与される圧力室、および、前記圧力室から伝搬した液体の振動を吸収する第1吸収室が設けられた圧力室基板と、を有し、
前記第1吸収室の上部には、前記上部電極と前記上部電極配線が設けられていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記第1吸収室の上部には、前記圧電体と前記振動板が更に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記第1吸収室の上部には、前記下部電極は設けられていないことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記第1吸収室の上部には、前記下部電極と同じ材料で形成され、前記下部電極と電気的に接続しない介在部材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記上部電極は、前記圧力室の上部から前記第1吸収室の上部まで一続きの部材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記上部電極配線と前記下部電極配線に電気的に接続する配線基板を更に有し、
上下方向から見たとき、前記配線基板、前記圧力室、前記第1吸収室は、第1側から第2側に向かってこの順で並んで配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記圧力室の前記第2側の端の上部には、前記上部電極配線が設けられていないことを特徴とする請求項6に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記圧力室の前記第1側の端の上部には、前記上部電極配線が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記圧力室の前記第1側の端の上部に設けられた前記上部電極配線の幅は、前記第1吸収室の上部に設けられた前記上部電極配線の幅よりも短いことを特徴とする請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記圧力室基板には、前記圧力室から伝搬した液体の振動を吸収する第2吸収室であって、前記上下方向から見たとき、前記配線基板よりも前記第1側に配置される前記第2吸収室が更に設けられ、
前記圧力室、前記ノズル、前記第1吸収室、前記第2吸収室をそれぞれ有する複数の個別流路と、
前記複数の個別流路に共通に連通し、前記第1吸収室または前記第2吸収室の一方に液体を供給する供給側共通流路と、
前記複数の個別流路に共通に連通し、前記第1吸収室または前記第2吸収室の他方から液体を排出する排出側共通流路と、
を更に有することを特徴とする請求項6に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
前記供給側共通流路は、前記第1吸収室に液体を供給し、
前記排出側共通流路は、前記第2吸収室から液体を排出することを特徴とする請求項10に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項12】
前記第2吸収室の上部には、前記上部電極と前記上部電極配線が設けられていることを特徴とする請求項10に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項13】
前記圧力室を複数有し、
前記上部電極は、前記複数の圧力室に対して共通に設けられており、
前記下部電極は、前記複数の圧力室に対して個別に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドから液体を吐出させる吐出動作を制御する制御部と、
を有することを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体吐出ヘッド、および液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電素子により圧力室内の液体をノズルから吐出する液体吐出ヘッドが知られている。例えば、特許文献1に記載の液体吐出ヘッドでは、圧電素子は、圧電体と、圧電体の上に設けられる上部電極と、圧電体の下に設けられる下部電極と、を備える。
【0003】
各電極には、それぞれ配線を介して電圧が印加される。特許文献1に記載の液体吐出ヘッドでは、上部電極に電圧を供給するための配線は、上部電極の錘とする目的や、なるべく低抵抗化するという目的から、圧力室の両縁端の上部を覆うように設けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、圧力室はそもそも振動することでノズルから液体を吐出させるという機能部であるため、圧力室の上部に配線等を設けて振動特性を低下させることは好ましくない。このため、液体吐出ヘッドにおいて、吐出特性を落とすことのない配線設計構造の技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
本開示の第1の形態によれば、液体吐出ヘッドが提供される。この液体吐出ヘッドは、ノズルと、電圧が印加されることで駆動される圧電体と、前記圧電体の上部に位置し、前記圧電体と電気的に接続する上部電極と、前記圧電体の下部に位置し、前記圧電体と電気的に接続する下部電極と、前記上部電極の上部に位置し、前記上部電極と外部電源を電気的に接続するための上部電極配線と、前記下部電極と前記外部電源を電気的に接続するための下部電極配線と、前記下部電極の下部に位置し、前記圧電体の駆動によって振動する振動板と、前記振動板の振動によって前記ノズルから液体を吐出するための圧力が液体に付与される圧力室、および、前記圧力室から伝搬した液体の振動を吸収する第1吸収室が設けられた圧力室基板と、を有し、前記第1吸収室の上部には、前記上部電極と前記上部電極配線が設けられている。
【0008】
本開示の第2の形態によれば、液体吐出装置が提供される。この液体吐出装置は、上記第1の形態における液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドから液体を吐出させる吐出動作を制御する制御部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1実施形態における液体吐出装置の概略構成を示す説明図である。
【
図4】液体吐出ヘッドの断面図であって、
図3におけるIV-IV線断面図である。
【
図5】液体吐出ヘッドの断面図であって、
図3におけるV-V線断面図である。
【
図6】液体吐出ヘッドの断面図であって、
図3におけるVI-VI線断面図である。
【
図7】振動板と圧電素子、およびその近傍の一部を拡大した断面図である。
【
図8】上部電極配線およびその周辺部材を示す平面図である。
【
図9】振動板と圧電素子、およびその近傍の一部を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
A.第1実施形態:
A1.液体吐出装置1の構成:
図1は、本開示の第1実施形態としての液体吐出装置1の概略構成を示す説明図である。本実施形態において、液体吐出装置1は、液体の一例としてのインクを印刷媒体である印刷用紙PA(以下、単に「用紙PA」という)に吐出して画像を形成するインクジェット式プリンターである。液体吐出装置1は、用紙PAに代えて、樹脂フィルム、布帛等の任意の種類の媒体を、インクの吐出対象としてもよい。
【0011】
液体吐出装置1は、インクを吐出する液体吐出ヘッド10、インクを貯留する液体容器2、液体吐出ヘッド10を搭載するキャリッジ3、キャリッジ3を搬送するキャリッジ搬送機構4、用紙PAを搬送する媒体搬送機構5、及び、制御部30を備える。制御部30は、液体の吐出を制御する制御部である。
【0012】
液体容器2の具体的な態様としては、例えば、液体吐出装置1に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、及び、インクを補充可能なインクタンクが挙げられる。なお、液体容器2に貯留されるインクの種類は任意である。液体吐出装置1は、例えば、4色のインクに対応して複数の液体容器2を備える。4色のインクとしては、例えば、シアン、マゼンダ、イエロー、及び、ブラックがある。液体容器2は、キャリッジ3に搭載されるものでもよい。
【0013】
液体吐出装置1は、インクを循環させる循環機構8を備える。循環機構8は、液体吐出ヘッド10にインクを供給する供給流路81と、液体吐出ヘッド10から排出されたインクを回収する回収流路82と、インクを移送するポンプ83と、を含む。
【0014】
キャリッジ搬送機構4は、キャリッジ3を搬送するための搬送ベルト4a及びモーターを有する。媒体搬送機構5は、用紙PAを搬送するための搬送ローラー5a及びモーターを有する。キャリッジ搬送機構4及び媒体搬送機構5は、制御部30によって制御される。液体吐出装置1は、媒体搬送機構5によって用紙PAを搬送させながら、キャリッジ搬送機構4によってキャリッジ3を搬送させて、用紙PAにインク滴を吐出して印刷する。
【0015】
図2は、液体吐出装置1を示すブロック図である。液体吐出装置1は、
図2に示すように、リニアエンコーダー6を備える。キャリッジ3の位置を検出可能な位置に設けられている。リニアエンコーダー6は、キャリッジ3の位置に関する情報を取得する。リニアエンコーダー6は、キャリッジ3の移動に伴って、制御部30にエンコーダー信号を出力する。
【0016】
制御部30は、1又は複数のCPU31を含む。制御部30は、CPU31の代わりに、又は、CPU31に加えて、FPGAを備えるものでもよい。制御部30は、記憶部35を含む。記憶部35は、例えばROM36及びRAM37を備える。記憶部35は、EEPROM、又はPROMを備えていてもよい。記憶部35は、ホストコンピューターから供給される印刷データImgを記憶できる。記憶部35は、液体吐出装置1の制御プログラムを記憶する。
【0017】
CPUは、Central Processing Unitの略称である。FPGAは、field-programmable gate arrayの略称である。RAMは、Random Access Memoryの略称である。ROMは、Read Only Memoryの略称である。EEPROMは、Electrically Erasable Programmable Read-Only Memoryの略称である。PROMは、Programmable ROMの略称である。
【0018】
制御部30は、液体吐出装置1の各部の動作を制御するための信号を生成する。制御部30は、印刷信号SI及び波形指定信号dComを生成できる。印刷信号SIは、液体吐出ヘッド10の動作の種類を指定するためのデジタル信号である。印刷信号SIは、圧電素子20に対して駆動信号Comを供給するか否かを指定できる。波形指定信号dComは、駆動信号Comの波形を規定するデジタル信号である。駆動信号Comは、圧電素子20を駆動するためのアナログ信号である。
【0019】
液体吐出装置1は、駆動信号生成回路32を備える。駆動信号生成回路32は、制御部30と電気的に接続されている。駆動信号生成回路32は、DA変換回路を含む。駆動信号生成回路32は、波形指定信号dComにより規定される波形を有する駆動信号Comを生成する。制御部30は、リニアエンコーダー6からエンコーダー信号を受信すると、駆動信号生成回路32に、タイミング信号PTSを出力する。タイミング信号PTSは、駆動信号Comの生成タイミングを規定する。駆動信号生成回路32は、タイミング信号PTSを受信するごとに、駆動信号Comを出力する。
【0020】
駆動回路7は、制御部30及び駆動信号生成回路32と電気的に接続されている。駆動回路7は、印刷信号SIに基づいて、駆動信号Comを圧電素子20に供給するか否かを切り替える。駆動回路7は、制御部30から供給される印刷信号SI、ラッチ信号LAT、及び、チェンジ信号CHに基づいて、駆動信号Comが供給される圧電素子20を選択できる。ラッチ信号LATは、印刷データImgのラッチタイミングを規定する。チェンジ信号CHは、駆動信号Comに含まれる駆動パルスの選択タイミングを規定する。
【0021】
制御部30は、液体吐出ヘッド10によるインクの吐出動作を制御する。制御部30は、圧電素子20を駆動することにより、圧力室C内のインクの圧力を変動させて、ノズルNからインクを吐出する。圧電素子20、圧力室C、ノズルN等の詳細構成については後述する。制御部30は、印刷動作を行う際に、吐出動作を制御する。
【0022】
A2.液体吐出ヘッド10の構成:
次に、液体吐出ヘッド10の構成について説明する。
図3は、液体吐出ヘッド10の一部断面図である。以下の説明において、互いに交差する3方向をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向として説明する。液体吐出ヘッド10は、後述する供給側共通流路41、個別流路42、排出側共通流路43へと液体を循環させる循環方式を採用する。
【0023】
X軸方向は、
図3における左右方向であり、互いに反対の方向であるX1方向(
図3においては右方向)及びX2方向(
図3においては左方向)を含む。Y軸方向は、互いに反対の方向であるY1方向及びY2方向を含む。Y1方向は、
図3において、紙面奥行き方向である。Y2方向は、
図3において紙面手前方向である。Z軸方向は、
図3における上下方向であり、互いに反対の方向であるZ1方向(
図3においては下方向)及びZ2方向(
図3においては上方向)を含む。なお、以下、Z1方向を「下」として、Z2方向を「上」として説明することもある。
【0024】
また、「X2側」が「第1側」の一例であり、「X1側」が「第2側」の一例に相当する。よって、以下、「X2側」のことを「第1側」とも言い、「X1側」のことを「第2側」とも言う。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに直交している。Z軸方向は、通常上下方向に沿う方向であるが、Z軸方向は、上下方向に沿う方向でなくてもよい。なお、以下の説明においては、Z1方向を「上」、Z2方向を「下」として説明する場合もある。
【0025】
本明細書では、「供給側」及び「排出側」との用語を用いる場合がある。「供給側」とは、液体の流路に関してノズルNよりも上流側を示す。また、ノズルNよりも上流側に関連するものを「供給側」という場合がある。また、ノズルNよりも下流側に関連するものを「排出側」という場合がある。
【0026】
液体吐出ヘッド10は、ノズル基板21、連通板22、圧力室基板23、振動板24、封止板25、及び圧電素子20を備える。また、液体吐出ヘッド10は、ケース26、及びCOF60を備える。COFは、Chip on Filmの略称である。COF60は、制御部30と液体吐出ヘッド10とを電気的に接続するための複数の配線が形成され
た実装部品である。COF60は、「配線基板」に相当する。
【0027】
さらに、液体吐出ヘッド10は、供給側共通流路41、複数の個別流路42、排出側共通流路43、複数の圧力室C、第1吸収室44、第2吸収室45、第1コンプライアンス51、第2コンプライアンス52、第3コンプライアンス53、および第4コンプライアンス54、を有する。なお、複数の個別流路42および複数の圧力室Cは、Y軸方向に沿って配列されているため、
図3では、それぞれ一つずつのみ表されている。本実施形態では、液体の一例であるインクを吐出する液体吐出ヘッド10について説明する。液体は、インクに限定されず、液体吐出ヘッド10は、その他の液体を吐出することができる。
【0028】
ノズル基板21、連通板22、圧力室基板23、振動板24、封止板25、及びケース26の各厚さ方向は、Z軸方向に沿う。ノズル基板21は、液体吐出ヘッド10の底部に配置される。ノズル基板21のZ2方向には、連通板22が配置される。連通板22のZ2方向には、圧力室基板23が配置される。言い換えると、連通板22は、圧力室基板23とノズル基板21の間に設けられる。圧力室基板23のZ2方向には、振動板24が設けられる。振動板24は、例えばSiO2にて形成される。振動板24についての詳細は後述する。振動板24は、圧力室基板23と別の部材であり、圧力室基板23に接着されることで配置されても良いし、圧力室基板23のZ2方向の表面に熱酸化等の処理が行われることで形成されても良い。
【0029】
振動板24のZ2方向には、封止板25が配置される。封止板25は、振動板24、第1コンプライアンス51および第3コンプライアンス53、圧電素子20、及び圧力室基板23を覆う。ケース26は、封止板25上に配置される。圧電素子20は、圧力室Cに対応して設けられている。
【0030】
[流路の説明]
まず、液体吐出ヘッド10内に形成される液体流路について説明する。液体流路は、図示しない供給口および排出口、供給側共通流路41、複数の個別流路42、および排出側共通流路43を含む。供給側共通流路41と各個別流路42との境界Laを、
図3において破線で図示している。なお、供給側共通流路41と各個別流路42との境界には、図示しない周知の流路絞りが設けられている。
【0031】
供給側共通流路41は、複数の圧力室Cに対して共通に設けられている。供給側共通流路41は、複数の圧力室Cに亘ってY軸方向に連続する。供給側共通流路41は、ケース26に設けられた液室部61、圧力室基板23に設けられた液室部62、及び連通板22に設けられた液室部63を含む。これらの液室部61,62,63は、Z軸方向に連続する。
【0032】
第1吸収室44は、供給側の吸収室であり、圧力室CのX1方向に位置する。第1吸収室44は、圧力室Cの上流に連通する。第1吸収室44は、供給側共通流路41の一部を構成する。
【0033】
複数の個別流路42は、複数の圧力室Cに対してそれぞれ設けられており、Y軸方向に配列されている。個別流路42は、供給側共通流路41の下流に配置される。個別流路42は、圧力室基板23に設けられた液室部62の下流に連通する。個別流路42は、圧力室Cと、第1連通流路65と、第2連通流路66と、第3連通流路67と、を上流から順に有している。
【0034】
複数の圧力室Cには、第1連通流路65および第2連通流路66を介して複数のノズルNがそれぞれ連通する。各ノズルNは、各圧力室Cに対してZ1方向に位置する。複数の第1連通流路65は、Z軸方向に延在する。複数の第2連通流路66は、第1連通流路65のZ1方向の端部に接続し、X2方向に延在する。ノズルNは、第2連通流路66におけるX軸方向の略中央に位置する。複数の第3連通流路67は、第2連通流路66のX2方向の端部に接続し、Z2方向に延在する。
【0035】
排出側共通流路43は、複数の圧力室Cに対して共通に設けられている。排出側共通流路43は、複数の個別流路42に対して共通に連通する。排出側共通流路43は、個別流路42を介して、各圧力室Cと連通する。排出側共通流路43は、各個別流路42の下流に配置されている。
【0036】
排出側共通流路43は、Y軸方向に連続する。排出側共通流路43は、ケース26に設けられた液室部71、圧力室基板23に設けられた液室部72、及び連通板22に設けられた液室部73を含む。これらの液室部71,72,73は、Z軸方向に連続する。なお、液室部61,71は、ケース26に設けられた貫通孔により形成されている。
【0037】
[各基板の説明]
図4~
図6は、液体吐出ヘッド10の断面図であって、
図4は、
図3におけるIV-IV線断面図であり、
図5は、
図3におけるV-V線断面図であり、
図6は、
図3におけるVI-VI線断面図である。以下、
図3~
図6を適宜参照して、液体吐出ヘッド10を構成する各基板の構造について説明する。
図3に示すように、ノズル基板21には、ノズル基板21をZ方向に貫通するノズルNが形成されている。上述したように、液体吐出ヘッド10は、このノズルNを介して液体を吐出する。ノズル基板21には、複数のノズルNがY軸方向に沿って複数配列されることによって、ノズル列が形成されている。ノズル基板21は、例えば、ステンレス鋼等の金属、ポリイミド樹脂のような有機物、又はシリコン単結晶基板等により形成される。
【0038】
図3、
図5に示すように、圧力室基板23には、供給側液室部62と、第1吸収室44と、圧力室Cと、第2吸収室45と、排出側液室部72と、が形成されている。圧力室C、各吸収室44,45、および各液室部62,72は、ともに、液体の流路の一部を構成する。圧力室C、各吸収室44,45、および各液室部62,72は、X軸方向に延在する。圧力室C、各吸収室44,45、および各液室部62,72は、圧力室基板23をZ軸方向に貫通する。圧力室C、各吸収室44,45、および各液室部62,72は、所定の容積を有する。
【0039】
複数の圧力室Cは、Y軸方向に所定の間隔で配置されている。複数の圧力室Cは、Y軸方向において、第1吸収室44および第2吸収室45と同じ位置に配置されている。Y軸方向において対応する圧力室Cと第1吸収室44とは、隣接しており、X軸方向に連通している。供給側液室部62は、ケース26に設けられた液室部61と、連通板22に設けられた液室部63とともに、供給側共通流路41を形成している。
【0040】
本実施形態の圧力室基板23は、シリコン単結晶基板により形成されている。他の実施形態では、圧力室基板23は、例えば、ステンレス鋼(SUS)やニッケル(Ni)などの金属、ジルコニア(ZrO2)あるいはアルミナ(Al2O3)を代表とするセラミック材料 、ガラスセラミック材料、酸化マグネシウム(MgO)、ランタンアルミン酸(LaAlO3)のような酸化物等によって形成されてもよい。本実施形態では、圧力室Cおよび吸収室44,45は、例えば、圧力室基板23を異方性エッチングによって加工することで形成される。なお、圧力室Cおよび吸収室44,45の機能の詳細については後述する。
【0041】
連通板22は、ノズル基板21と圧力室基板23との間に配置され、接着剤等によってノズル基板21上に固定されている。連通板22は、例えば、シリコン単結晶基板によって形成される。
図3、
図6に示すように、連通板22には、供給側液室部63と、排出側液室部73と、第1連通流路65と、第2連通流路66と、第3連通流路67と、が形成されている。各液室部63,73、第1連通流路65、および第3連通流路67は、連通板22をZ方向に貫通して形成されている。また、第2連通流路66は、連通板22をZ方向に貫通することなく、連通板22の下面が窪んだ部分として形成されている。液室部73は、ケース26に形成された液室部71、圧力室基板23に形成された液室部72とともに、排出側共通流路43を形成している。
【0042】
図3に示すように、封止板25は、Z1方向の下面に凹部が設けられた部材である。凹部は、圧力室Cおよび各吸収室44,45のZ2側において、圧力室Cおよび各吸収室44,45に対向する位置に開口している。具体的には、本実施形態の封止板25には、凹部として、第1凹部75と、第2凹部76と、第3凹部77と、が設けられている。
【0043】
第1凹部75は、圧力室Cと対向する位置に開口している。第2凹部76は、第1吸収室44と対向する位置に開口している。第3凹部77は、第2吸収室45と対向する位置に開口している。各凹部75,76,77の間は、封止板25の一部として形成された壁部によって隔てられている。なお、本実施形態において、各凹部75,76,77の開口の深さは等しい。すなわち、各凹部75,76,77のZ方向の寸法は等しい。
【0044】
また、各凹部75,76,77は、液体の流路と連通しておらず、凹部75,76,77には液体が流通しない。各凹部75,76,77のX軸方向の幅は、大きい順に第1凹部75、第2凹部76、第3凹部77となっている。
図3、
図4に示すように、第1凹部75、第2凹部76および第3凹部77は、液体吐出ヘッド10のY軸方向の幅に亘って延在する。第2凹部76および第3凹部77のY軸方向の幅は同じである。封止板25のX軸方向の中央部よりもX2方向寄りの位置には、封止板25をZ軸方向に貫通する貫通孔78が設けられている。貫通孔78には、上記COF60が挿入されている。上下方向(Z方向)に見たとき、COF60、圧力室C、第1吸収室44は、第1側から第2側に向かってこの順で並んで配置されている。X軸方向において、圧力室Cから第1吸収室44までの距離(流路長)は、圧力室Cから第2吸収室45までの距離(流路長)よりも近い(短い)。
【0045】
振動板24は、圧力室基板23上に積層されている。圧電素子15,16,20は、振動板24上に積層されている。複数の圧電素子20は、第1凹部75内に位置する。圧電素子15は、第2凹部76内に位置する。圧電素子16は、第3凹部77内に位置する。圧電素子20は、液体吐出用の圧電素子である。
【0046】
各圧電素子15,16、20の詳細は後述するが、圧電素子20は、上下の電極を介して電圧が印加されることにより駆動するアクチュエーターである。一方、圧電素子15、16は、2つまたは1つの電極と圧電体を有する点では圧電素子20と略同様の構成であるが、流路内の液体に圧力を付与するものではなく、振動吸収をするためのものであるため、制御部30とは電気的に接続されておらず、駆動されない。なお、各圧電素子15,16,20の具体的な構成、およびその周辺の構成についての詳細は、
図7~
図9を用いて後述する。
【0047】
[コンプライアンスの説明]
次に、第1コンプライアンス51~第4コンプライアンス54の構成について説明する。第1コンプライアンス51は、供給側の液体の振動を吸収するための吸収部である。第1コンプライアンス51は、振動板24と、圧電素子15と、を備える。
図4に示すように、第1コンプライアンス51は、排出側共通流路43のY軸方向の幅に亘ってY軸方向に連続する。振動板24上に、Y軸方向の幅に亘ってY軸方向に連続する圧電素子15が形成されている。第1コンプライアンス51のX軸方向の幅W1は、圧電素子15のX軸方向における幅に相当する。振動板24は、液体の圧力を受けて変形可能である。振動板24は、液体の圧力によって変形し、第1吸収室44内の液体の圧力変動を吸収できる。圧電素子15は、Z軸方向に見て第1吸収室44に重なる位置に配置される。
【0048】
第2コンプライアンス52は、供給側の液体の振動を吸収するための吸収部である。第2コンプライアンス52は、連通板22のZ1方向に設けられる。第2コンプライアンス52は、供給側共通流路41内の液体の圧力変動を吸収する可撓性フィルムである。
図3に示すように、第2コンプライアンス52は、連通板22の液室部63のZ1方向側の開口部を閉塞するように、連通板22の下面に設置されて、供給側共通流路41の壁面(具体的には底面)を構成する。
【0049】
ここで、圧力室CのZ方向における中心位置を通り、X軸とY軸とを含むXY平面上にある線L1を、圧力室Cの基準位置とする。圧力室Cと第1コンプライアンス51とのZ軸方向の距離D1は、圧力室Cと第2コンプライアンス52とのZ軸方向の距離D2よりも短い。距離D1は、圧力室Cの基準位置から振動板24の底面までの距離である。距離D2は、圧力室Cの基準位置から第2コンプライアンス52の上面までの距離である。なお、圧力室Cから第1コンプライアンス51までの流路長は、圧力室Cから第2コンプライアンス52までの流路長より短い。
【0050】
第2コンプライアンス52のZ軸方向の厚さは、第1コンプライアンス51のZ軸方向の厚さより薄い。第2コンプライアンス52のX軸方向の幅W2(
図6参照)は、第1コンプライアンス51のX軸方向の幅W1(
図4参照)よりも大きい。第1コンプライアンス51のY軸方向の幅と、第2コンプライアンス52のY軸方向の幅とは略同じである。
【0051】
上述のような第1コンプライアンス51および第2コンプライアンス52の物性や寸法等により、第2コンプライアンス52のコンプライアンス能力は、第1コンプライアンス51のコンプライアンス能力よりも大きい。コンプライアンス能力は、コンプライアンス量と同じ意味であり、以下の式(1)を用いて表現できる。
【数1】
【0052】
式(1)中、「ν」は、振動板24のポアソン比である。「ν」は、コンプライアンスを構成する材料の物性値である。「E」は、ヤング率である。「E」は、コンプライアンスを構成する材料の物性値である。
【0053】
「w」は、コンプライアンスが覆うX軸に沿う開口の長さである。「l」は、コンプライアンスが覆うY軸に沿う開口の長さである。「t」は、コンプライアンスの厚さである。なおここではw<lであるため上記の条件となるが、w>lの場合は「w」はY軸に沿う長さ、「l」はX軸に沿う長さとなる。
【0054】
第3コンプライアンス53は、排出側の液体の振動を吸収するための吸収部である。第3コンプライアンス53の構成は、第1コンプライアンス51と略同様であり、振動板24と、圧電素子16と、を備える。第3コンプライアンス53を構成する振動板24は、Y軸方向に連続する。第3コンプライアンス53のX軸方向の幅は、複数の圧電素子16のX軸方向における幅に相当する。振動板24は、液体の圧力を受けて変形可能である。振動板24は、液体の圧力によって変形し、第2吸収室45内の液体の圧力変動を吸収できる。
【0055】
振動板24上には、Y軸方向の幅に亘ってY軸方向に連続する圧電素子16が形成されている。圧電素子16は、Z軸方向に見て第2吸収室45に重なる位置に対応して配置される。
【0056】
第4コンプライアンス54は、排出側の液体の振動を吸収するための吸収部である。第4コンプライアンス54は、連通板22のZ1方向に設けられる。第4コンプライアンス54は、排出側共通流路43内の液体の圧力変動を吸収する可撓性フィルムである。第4コンプライアンス54は、連通板22の液室部73のZ1方向側の開口部を閉塞するように、連通板22の下面に設置されて、排出側共通流路43の壁面(具体的には底面)を構成する。
【0057】
ここで、圧力室Cと第3コンプライアンス53とのZ軸方向の距離は、圧力室Cと第1コンプライアンス51とのZ軸方向の距離D1と同じである。また、圧力室Cと第4コンプライアンス54とのZ軸方向の距離は、圧力室Cと第2コンプライアンス52とのZ軸方向の距離D2と同じである。すなわち、圧力室Cと第3コンプライアンス53とのZ軸方向の距離D1は、圧力室Cと第4コンプライアンス54とのZ軸方向の距離D2よりも短い。
【0058】
なお、上記各コンプライアンス51~54を形成する材料や、コンプライアンス51~54の厚み等を調整することによって、圧力室Cから伝搬した液体の振動を吸収するのに適した可撓性を有するように、コンプライアンス51~54を形成することが好ましい。なお、第2凹部76及び第3凹部77内に位置する圧電素子15,16は、第1凹部75内の圧電素子20とは異なり圧力室内の液体に圧力を付与するものではないため、制御部30とは電気的に接続されていない。
【0059】
[圧電素子15,16,20および配線の構成]
図7は、振動板24と圧電素子20,15、およびその近傍の一部を拡大した断面図である。振動板24は、圧電素子20の駆動により振動する。
図7に示すように、振動板24は、第1絶縁層241と第2絶縁層242との積層体で構成される。第1絶縁層241は、圧力室基板23に接触する。第2絶縁層242は、第1絶縁層241に対して圧力室基板23とは反対に位置する。
【0060】
第1絶縁層241は、二酸化シリコン(SiO2)等の弾性材料で形成される弾性膜である。第2絶縁層242は、二酸化ジルコニウム(ZrO2)等の絶縁材料で形成される。第1絶縁層241および第2絶縁層242の各々は、熱酸化またはスパッタリング等の公知の成膜技術により形成される。なお、所定の板厚の板状部材のうち圧力室Cに対応する領域について板厚方向の一部を選択的に除去することで、圧力室基板23と振動板24の一部または全部とを一体に形成することが可能である。
【0061】
封止板25は、振動板24の上面に例えば接着剤13で固定される。圧電素子20は、概略的には、下部電極153と圧電体152と上部電極151とを、この順番で振動板24に積層した構造体である。上部電極151は、圧電体152の上部に位置する。下部電極153は、圧電体152の下部に位置する。
【0062】
下部電極153は、振動板24の上面に形成される。下部電極153は、圧電素子20ごとに相互に離間して形成された個別電極である。下部電極153には、電圧が変動する駆動信号が印加される。下部電極153は、相互に間隔をあけてY軸に沿って配列される。下部電極153は、例えば白金(Pt)またはイリジウム(Ir)等の導電材料で形成される。
【0063】
圧電体152は、下部電極153の上部に形成され、圧力室Cおよび第1吸収室44の上部に位置しており、かつ下部電極153に接触する。圧電体152は、複数の圧電素子20に亘りY軸に沿って連続する帯状の誘電膜である。圧電体152は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)等の公知の圧電材料で形成される。
【0064】
上部電極151は、圧電体152に接触する。上部電極151は、複数の圧電素子20に亘り連続するようにY軸に沿って延在する共通電極である。上部電極151は、圧力室Cの上部から第1吸収室44の上部まで一続きの部材で形成されている。上部電極151には、所定の基準電圧が印加される。基準電圧は一定の電圧であり、例えば接地電圧よりも高い電圧に設定される。すなわち、上部電極151には、例えば、電圧が一定である保持信号が印加される。上部電極151に印加される基準電圧と下部電極153に供給される駆動信号との差分に相当する電圧が圧電体152に印加される。駆動信号は、吐出量に応じて異なる。保持信号は、吐出量によらず一定であり、変動しない。なお、上部電極151には、接地電圧が印加されてもよい。また、上部電極151は、例えば白金(Pt)またはイリジウム(Ir)等の低抵抗な導電材料で形成される。
【0065】
下部電極153と上部電極151との間に電圧が印加されることで圧電体152が変形
することにより、圧電素子20は、振動板24を撓み変形させるエネルギーを生成する。圧電素子20が生成したエネルギーにより振動板24が振動することにより圧力室Cの圧力が変化し、圧力室C内のインクが
図3に示すノズルNから吐出される。
【0066】
圧電素子15は、概略的には、介在部材154と圧電体152と上部電極151とを、この順番で振動板24に積層した構造体である。介在部材154は、圧電体152の下部に位置する。介在部材154は、相互に間隔をあけてY軸に沿って配列される。介在部材154は、下部電極153と同じ材料で形成されており、下部電極153とは電気的に接続していない。介在部材154は、第1吸収室44の上部に位置している。第1吸収室44の上部には、下部電極153は設けられていない。なお、製造工程において、下部電極153と介在部材154とは、同じ材料にて一続きで形成され、その後、圧電体152等の成膜前にエッチングにより電気的に遮断されることで構成される。
【0067】
次に、各電極151,153とCOF60とを電気的に接続する配線の構造について説明する。
図8は、上部電極配線11およびその周辺部材を示す平面図であって、上部電極配線11を、Z1方向に見た図である。
図7、
図8に示すように、配線は、上部電極配線11と、下部電極配線12と、を含む。上部電極配線11は、上部電極151の上部に位置し、上部電極151と図示しない外部電源とを電気的に接続する。下部電極配線12は、下部電極153と図示しない外部電源とを電気的に接続する。
【0068】
なお、上記
図3において、各圧電素子20,15を構成する電極151,153や圧電体152および、各電極151,153とCOF60とを電気的に接続する配線の図示は省略している。また、
図3,
図4は、液体吐出ヘッド10の全体の概要を説明するための図であり、圧電素子20,15,16の構成や、後述する配線を含む部分の詳細は、
図7~9の方がより適切である。
【0069】
下部電極配線12の平面視形状は、X軸に沿って延在する長手形状である。
図7に例示される通り、下部電極配線12は、下部電極153の上面に接触する部分と、圧電体152の上面に接触する部分とを有する。また、下部電極配線12は、圧電体152のX2側の端に接触する。なお、
図7においては、下部電極配線12のX2側の端についての図示を省略しているが、下部電極配線12は、X2方向へCOF60まで延びて接続されている。下部電極配線12は、下部電極153に駆動信号を印加する。下部電極配線12は、
図3に示すCOF60に搭載された駆動回路から駆動信号が供給されるリード配線である。
【0070】
上部電極配線11は、上部電極151の上部に位置し、かつ、上部電極151に接触する。上部電極配線11は、上部電極151に基準電圧を印加する。上部電極配線11には、COF60を介して図示しない基準電圧が供給される。また、上部電極配線11が設けられることで、上部電極151における基準電圧の電圧降下が抑制される。また、上部電極配線11は、振動板24の振動を抑制するための錘としても機能する。
【0071】
[上部電極配線11の形状の詳細]
図8に示すように、上部電極配線11は、本体配線部111と、接続配線部112とを有している。平面視において、本体配線部111の全体外形形状は、上部電極151と略同じ矩形状をなしている。本体配線部111は、第1凹部75に対応する一部位であって、本体配線部111においてX軸方向の幅の中央よりもX2寄りの部位に開口部113を有した枠状をなしている。このため、Z軸方向において、圧力室Cと上部電極配線11の大部分とは、重ならないようになっている。
【0072】
より詳細に説明すると、圧力室CのX1側(第2側)の端の上部には、上部電極配線11が設けられていない。一方、圧力室CのX2側(第1側)の端の上部には、上部電極配線11が設けられている。
図7,8に示すように、圧力室のX2側(第1側)の端の上部に一部が重なるように設けられた上部電極配線11の幅W3、は、第1吸収室44の上部に一部が重なるように設けられた上部電極配線11の幅W4よりも短い。
【0073】
上記上部電極配線11の幅W3は、本体配線部111において開口部113よりもX2側の部分の幅に相当する。上記上部電極配線11の幅W4は、本体配線部111において開口部113よりもX1側の部分の幅に相当する。なお、上部電極151は、開口を有しておらず、圧力室Cに重なる位置にも設けられている。
【0074】
接続配線部112は、本体配線部111のX2側の端部であって、Y軸方向の両端からそれぞれX2側へ延びて設けられている。各接続配線部112のY軸方向の長さは、本体配線部111のY軸方向の長さに比べて短い。各接続配線部112は、X軸に沿って延在する長手形状である。各接続配線部112のX2側の端部は、COF60に接続される。
【0075】
図9は、振動板24と圧電素子16、およびその近傍の一部を拡大した断面図であって、排出側に設けられる第3コンプライアンス53周辺を示す図である。
図9に示すように、第2吸収室45の上部には、振動板24、下部電極153、圧電体152、上部電極151、および上部電極配線11が、Z2方向へ以上の順番で積層されている。なお、上部電極151、下部電極153、および上部電極配線11のいずれも、どこにも電気接続されていない。しかし、圧電素子16が駆動されなければ、それらの一部は電気接続されていてもよい。
【0076】
[動作説明・液体の流れ]
液体容器2内の液体は、ポンプ83によって移送され、供給流路81内を流れて、図示しない供給口を通り、供給側共通流路41に流入する。供給側共通流路41内の液体は、第1吸収室44を通り、個別流路42の一部を構成する圧力室Cに供給される。圧力室C内の液体の一部は、ノズルNから吐出される。
【0077】
ノズルNから吐出されなかった液体は、第2連通流路66および第3連通流路67、個別流路42の一部を構成する第2吸収室45を通り、排出側共通流路43に流入する。排出側共通流路43内の液体は、図示しない排出口を通じて、回収流路82内に流入し、液体容器2に回収される。液体吐出ヘッド10では、このように液体が循環される。
【0078】
上述した圧力室Cは、振動板24の振動によって、圧力室C内の液体に圧力を付与する。振動板24は、圧電素子20の駆動によって振動する。具体的には、圧電体に電圧が印加されることによって、圧電体のうち第1電極と第2電極とによってZ方向に挟まれた部分である能動部に、圧電歪みが生じる。圧電素子20は、この圧電歪みによって、振動板24を撓むように振動させて圧力室の容積を変化させることで、圧力室C内の液体に圧力を付与する。なお、圧電体のうち、上部電極151と下部電極153とによってZ方向に挟まれない部分である非能動部では、圧電体に電圧が印加された場合であっても、上記の圧電歪みは生じない。つまり、第1吸収室44の上部には、下部電極153に代えて、下部電極153とは物理的かつ電気的に分離した介在部材154が設けられているのみであるため、第1吸収室44の上部には圧電歪みは生じない。
【0079】
液体吐出ヘッド10は、上述したように、圧力室Cにおいて液体に圧力を付与することによって、ノズルNから液体を吐出する。ここで、圧力室Cにおいて液体に圧力が付与された場合、圧力室C内の液体の一部は、圧力室Cよりも上流に位置する、複数の圧力室Cに共通の液室等に流れ、圧力室Cから液室等へと液体の振動が伝搬する。ここで、複数の圧力室Cにおいて液体に圧力が付与された場合、ある圧力室Cから液室等へと流れる液体は、例えば、他の圧力室Cから液室等へと流れる液体によって流通を阻害される等の影響を受ける。そのため、ある圧力室Cからの液体の振動の伝搬の態様が、他の圧力室Cからの液体の振動の伝搬の影響によって変化し、ある圧力室Cを介してノズルNから吐出される液体の品質の安定性が低下する場合がある。このような液体の振動は、各コンプライアンス51~54により好適に吸収される。
【0080】
上記第1実施形態の液体吐出ヘッド10および液体吐出装置1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0081】
上記第1実施形態によれば、圧力室Cと第1吸収室44を隣接位置とし、上部電極配線11を、第1吸収室44の上部に主に設け、圧力室C側の上部にはなるべく設けない構成としている。このため、圧力室Cの振動特性を低下させない構成とすることができ、かつ、第1吸収室44側に上部電極配線11を設けているため、振動板24の振動を抑制する錘の効果を得ることができる。第1吸収室44側は、上部電極配線11を設けたことにより振動特性が低下するが、吐出に際し能動的に用いる部分ではないため、大きな問題を生じることはなく、圧力室C側に設けるよりも好適な形態とできる。
【0082】
上記第1実施形態によれば、第1吸収室44の上部には、下部電極153は設けられておらず、下部電極153と電気的に接続しないが、下部電極153と同じ材料で形成される介在部材154が設けられる。このため、圧力室Cと第1吸収室44の材料をなるべく揃えて弾性率や振動率を近づけることができ、第1吸収室44での吸収効率を向上させることができる。また、製造時において、第1吸収室44の上部の全てに対してエッチングする場合と比較して、不要なエッチングをする必要がなく、液体吐出ヘッド10の製造を容易にできる。
【0083】
上記第1実施形態によれば、下部電極153は、X方向において第1吸収室44まで延びておらず遮断されているため、上部電極151は第1吸収室44の上部まで一続きであっても第1吸収室44において圧電素子15は振動しない。このため、製造時において上部電極151に不要なエッチングをする必要がなく、液体吐出ヘッド10の製造を容易にできる。
【0084】
上記第1実施形態によれば、圧力室のX2側(第1側)の端の上部に一部が重なるように設けられた上部電極配線11の幅W3は、第1吸収室44の上部に一部が重なるように設けられた上部電極配線11の幅W4よりも短い。第1吸収室44の上部に配線が設けられていても吐出特性には影響を与えにくいため、吐出特性に影響を及ぼしにくい構成とすることができる。
【0085】
上記第1実施形態によれば、圧電素子20,15,16の積層構造および、振動板24の構造は同じであるため、第2吸収室45、圧力室C、および第1吸収室44の材料をなるべく揃えて弾性率を近づけることができ、振動特性を均一にできる。
【0086】
さらに、第1コンプライアンス51および第3コンプライアンス53を、例えば、フォトレジストによるマスキングを利用したエッチング等の既知の方法を用いて作成することができる。例えば、第1凹部75内の圧電素子20を含むアクチュエーターを構成する各部材を形成する際に、アクチュエーターを構成する各部材を形成するのと同様の方法を用いて、第1コンプライアンス51および第3コンプライアンス53を構成する各部材を形成できる。アクチュエーターを構成する部材を用いて第1コンプライアンス51および第3コンプライアンス53を簡易に製造できる。また、第1コンプライアンス51および第3コンプライアンス53を構成する部材とアクチュエーターを構成する部材とを、同様の製造方法によって製造することによって、液体吐出ヘッド10の製造工程をより簡略化できる。
【0087】
B.他の形態:
(B1)上記第1実施形態の液体吐出装置1では、液体吐出ヘッド10に流入した液体が循環する循環ヘッドとしたが、液体が循環しない非循環ヘッドであってもよい。非循環ヘッドの場合、排出側共通流路43を備えないため、第2吸収室45や圧電素子16は備えず、圧電素子20,15を備える構成として実施できる。
【0088】
(B2)上記第1実施形態の液体吐出装置1では、第1コンプライアンス51~第4コンプライアンス54までを設ける構成としたが、第1コンプライアンス51のみを備える構成としてもよい。第2コンプライアンス52および第4コンプライアンス54を設けない場合には、当該コンプライアンス52,54の部分はノズル基板21で形成してもよい。
【0089】
(B3)上記第1実施形態の液体吐出装置1において、介在部材154は設けなくてもよい。
【0090】
(B4)上記第1実施形態の液体吐出装置1において、圧力室のX2側(第1側)の端の上部に一部が重なるように設けられた上部電極配線11の幅W3は、第1吸収室44の上部に一部が重なるように設けられた上部電極配線11の幅W4より短くなくてもよい。また、上部電極配線11は、圧力室Cの第1側の端の上部に設けられていなくてもよい。
【0091】
(B5)上記第1実施形態の液体吐出装置1では、上部電極151は、圧力室Cの上部から第1吸収室44の上部まで一続きの部材で形成されているものとしたが、分離していてもよい。
【0092】
(B6)上記第1実施形態の液体吐出装置1では、第1コンプライアンス51は、排出側共通流路43のY軸方向の幅に亘ってY軸方向に連続するものとしたが、Y軸方向において複数に分割されていてもよい。
【0093】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0094】
(1)本開示の一形態によれば、液体吐出ヘッドが提供される。この液体吐出ヘッドは、ノズルと、電圧が印加されることで駆動される圧電体と、前記圧電体の上部に位置し、前記圧電体と電気的に接続する上部電極と、前記圧電体の下部に位置し、前記圧電体と電気的に接続する下部電極と、前記上部電極の上部に位置し、前記上部電極と外部電源を電気的に接続するための上部電極配線と、前記下部電極と前記外部電源を電気的に接続するための下部電極配線と、前記下部電極の下部に位置し、前記圧電体の駆動によって振動する振動板と、前記振動板の振動によって前記ノズルから液体を吐出するための圧力が液体に付与される圧力室、および、前記圧力室から伝搬した液体の振動を吸収する第1吸収室が設けられた圧力室基板と、を有し、前記第1吸収室の上部には、前記上部電極と前記上部電極配線が設けられていることを特徴とする。
この形態によれば、第1吸収室の上部に、上部電極と上部電極配線が設けられるため、例えば圧力室の上部に必要な上部電極配線の全部を設ける形態と比較して、圧力室の上部に設ける上部電極配線を小さくできるため、圧力室の振動特性の低下を極力抑制することができる。また、第1吸収室の上部に上部電極配線を設けているため、振動板の振動を抑制する錘の効果を得ることができる。第1吸収室は、能動的に駆動される部分ではないため、多少の振動特性低下は許容され得る。
【0095】
(2)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第1吸収室の上部には、前記圧電体と前記振動板が更に設けられてもよい。この形態によれば、圧力室と第1吸収室の材料をなるべく揃えて弾性率を近づけることができ、第1吸収室での吸収効率を向上させることができる。
【0096】
(3)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第1吸収室の上部には、前記下部電極は設けられていなくてもよい。この形態によれば、第1吸収室の圧電素子が駆動されて振動することを抑制できる。
【0097】
(4)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第1吸収室の上部には、前記下部電極と同じ材料で形成され、前記下部電極と電気的に接続しない介在部材が設けられていてもよい。この形態によれば、第1吸収室の上部に、下部電極と電気的に接続しないが、下部電極と同じ材料で形成される介在部材が設けられるため、圧力室と第1吸収室の材料をなるべく揃えて弾性率を近づけることができ、第1吸収室での吸収効率を向上させることができる。
【0098】
(5)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記上部電極は、前記圧力室の上部から前記第1吸収室の上部まで一続きの部材で形成されていてもよい。この形態によれば、上部電極に不要なエッチングをする必要がなく製造を容易にできる。
【0099】
(6)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記上部電極配線と前記下部電極配線に電気的に接続する配線基板を更に有し、上下方向から見たとき、前記配線基板、前記圧力室、前記第1吸収室は、第1側から第2側に向かってこの順で並んで配置されていてもよい。
【0100】
(7)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記圧力室の前記第2側の端の上部には、前記上部電極配線が設けられていなくてもよい。この形態によれば、圧力室の上部に、極力余計なものを配置しないことにより、圧力室の振動特性の低下を好適に抑制することができる。
【0101】
(8)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記圧力室の前記第1側の端の上部には、前記上部電極配線が設けられていてもよい。
【0102】
(9)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記圧力室の前記第1側の端の上部に設けられた前記上部電極配線の幅は、前記第1吸収室の上部に設けられた前記上部電極配線の幅よりも短くてもよい。この形態によれば、吐出特性に影響を及ぼしにくい構成とすることができる。
【0103】
(10)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記圧力室基板には、前記圧力室から伝搬した液体の振動を吸収する第2吸収室であって、前記上下方向から見たとき、前記配線基板よりも前記第1側に配置される前記第2吸収室が更に設けられ、前記圧力室、前記ノズル、前記第1吸収室、前記第2吸収室をそれぞれ有する複数の個別流路と、前記複数の個別流路に共通に連通し、前記第1吸収室または前記第2吸収室の一方に液体を供給する供給側共通流路と、前記複数の個別流路に共通に連通し、前記第1吸収室または前記第2吸収室の他方から液体を排出する排出側共通流路と、を更に有してもよい。
【0104】
(11)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記供給側共通流路は、前記第1吸収室に液体を供給し、前記排出側共通流路は、前記第2吸収室から液体を排出してもよい。この形態によれば、液体を供給する第1吸収室の方が、液体を排出する第2吸収室と比べて、圧力室からの距離が近いため、振動の吸収効率がより良い構成とできる。また、ノズルからの排出分を考えると、第1吸収室の方が第2吸収室よりも流量が多いため、流量が多く振動影響がより顕著に表れる吸収室において、効率的に振動吸収を行うことができる。
【0105】
(12)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第2吸収室の上部には、前記上部電極と前記上部電極配線が設けられていてもよい。この形態によれば、第2吸収室、圧力室、および第1吸収室の材料をなるべく揃えて弾性率を近づけることができ、振動特性を均一にできる。
【0106】
(13)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記圧力室を複数有し、前記上部電極は、前記複数の圧力室に対して共通に設けられており、前記下部電極は、前記複数の圧力室に対して個別に設けられていてもよい。
【0107】
(14)本開示の他の形態によれば、液体吐出装置が提供される。この液体吐出装置は、上記第1の液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドから液体を吐出させる吐出動作を制御する制御部と、を有する。この形態によれば、圧力室の振動特性の低下を極力抑制することができる。
【0108】
また、本開示は、インクジェット方式に限らず、インク以外の他の液体を吐出する任意の液体吐出装置にも適用することができる。例えば、以下のような各種の液体吐出装置に適用可能である。
(1)ファクシミリ装置等の画像記録装置。
(2)液晶ディスプレイ等の画像表示装置用のカラーフィルターの製造に用いられる色材吐出装置。
(3)有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや、面発光ディスプレイ(Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材吐出装置。
(4)バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を吐出する液体吐出装置。
(5)精密ピペットとしての試料吐出装置。
(6)潤滑油の吐出装置。
(7)樹脂液の吐出装置。
(8)時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液体吐出装置。
(9)光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂液等の透明樹脂液を基板上に吐出する液体吐出装置。
(10)基板などをエッチングするために酸性又はアルカリ性のエッチング液を吐出する液体吐出装置。
(11)他の任意の微小量の液滴を吐出させる液体消費ヘッドを備える液体吐出装置。
【0109】
「液滴」とは、液体吐出装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう「液体」とは、液体吐出装置が消費できるような材料であれば良い。例えば、「液体」は、物質が液相であるときの状態の材料であれば良く、粘性の高い又は低い液状態の材料、及び、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような液状態の材料も「液体」に含まれる。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなども「液体」に含まれる。また、第1液体と第2液体との組み合わせの代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクと反応液との組み合わせのほか、以下のものが挙げられる。
(1)接着剤の主剤および硬化剤
(2)塗料のベース塗料および希釈剤や、クリア塗料および希釈剤
(3)細胞用インクの細胞を含有する主溶媒および希釈溶媒
(4)金属光沢感を発現するインク(メタリックインク)のメタリックリーフ顔料分散液および希釈溶媒
(5)車両用燃料のガソリン・軽油およびバイオ燃料
(6)薬品の薬主成分および保護成分
(7)発光ダイオード(LED)の蛍光体および封止材
【0110】
さらに、本開示は、上述した液体吐出ヘッド、液体吐出装置としての形態に限らず、液体吐出システムや、液体吐出装置を備える複合機等の種々の態様で実現可能である。
【符号の説明】
【0111】
1…液体吐出装置、2…液体容器、3…キャリッジ、4…キャリッジ搬送機構、4a…搬送ベルト、5…媒体搬送機構、5a…搬送ローラー、6…リニアエンコーダー、7…駆動回路、8…循環機構、10…液体吐出ヘッド、11…上部電極配線、12…下部電極配線、13…接着剤、15,16,20…圧電素子、21…ノズル基板、22…連通板、23…圧力室基板、24…振動板、25…封止板、26…ケース、30…制御部、31…CPU、32…駆動信号生成回路、35…記憶部、36…ROM、37…RAM、41…供給側共通流路、42…個別流路、43…排出側共通流路、44…第1吸収室(供給側吸収室)、45…第2吸収室(排出側吸収室)、51…第1コンプライアンス、52…第2コンプライアンス、53…第3コンプライアンス、54…第4コンプライアンス、55,56…分割コンプライアンス、60…COF(配線基板)、61,62,63…供給側液室部、65…第1連通流路、66…第2連通流路、67…第3連通流路、71,72,73…排出側液室部、75…第1凹部、76…第2凹部、77…第3凹部、78…貫通孔、82…回収流路、83…ポンプ、111・・・本体配線部、112・・・接続配線部、113・・・開口部、151・・・上部電極、152・・・圧電体、153・・・下部電極、154・・・介在部材、241・・・第1絶縁層、242・・・第2絶縁層、C…圧力室、D1…距離、D2…距離、N…ノズル、PA…印刷用紙