(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067666
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】ストラップ取付構造
(51)【国際特許分類】
F16B 5/07 20060101AFI20240510BHJP
F16B 21/00 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
F16B5/07 D
F16B21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177910
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 鍾翔
(72)【発明者】
【氏名】森岡 睦門
【テーマコード(参考)】
3J001
3J037
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001GA06
3J001HA02
3J001HA08
3J001HA09
3J001JD32
3J001KA05
3J001KA19
3J037AA06
3J037BA02
3J037BB02
3J037HA05
(57)【要約】
【課題】ストラップの取り付けに必要な部品を削減して容易に取り付け可能で、取り付け時間の短縮を図ることが可能なストラップ取付構造を提供する。
【解決手段】ボード部材32が、裏面側に形成されてストラップ34の一端側34bを保持するストラップ保持部50と、板厚方向に貫通して形成されてストラップ34の他端側34aを表面側に挿通させる第1挿通孔46と、を備え、ストラップ保持部50は、ストラップ34の一端側34bを挿通させる第2挿通孔Sを有し、その第2挿通孔Sの孔軸方向は、板面方向に沿った方向とされ、ストラップ34の一端側34bに取り付けられた被係止部材60が、第2挿通孔Sの孔縁に第1挿通孔46とは反対側から係り止まることで、ストラップ34の一端側34bを保持する構成とする。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のボード部材に対してストラップを取り付けるためのストラップ取付構造であって、
前記ボード部材は、
裏面側に形成され、前記ストラップの一端側を保持するストラップ保持部と、
板厚方向に貫通して形成され、前記ストラップの他端側を表面側に挿通させる第1挿通孔と、
を備え、
前記ストラップ保持部は、前記ストラップの前記一端側を挿通させる第2挿通孔を有し、
前記第2挿通孔の孔軸方向は、前記板面方向に沿った方向とされ、
前記ストラップの前記一端側に取り付けられた被係止部材が、前記第2挿通孔の孔縁に前記第1挿通孔とは反対側から係り止まることで、前記ストラップの前記一端側を保持するストラップ取付構造。
【請求項2】
前記被係止部材は、前記ボード部材の裏面から前記板厚方向に突出するピンであり、
前記ピンの先端は、前記ボード部材によって覆われる被覆体に対して嵌合する嵌合部として機能するものである請求項1に記載のストラップ取付構造。
【請求項3】
前記ボード部材は、板面を形成する本体部と、前記本体部の周縁から裏面側に向かって立設する周壁部と、を備え、
前記本体部は、平面視で先細りする形状の先細り部を有し、
前記先細り部には、前記第1挿通孔が形成されており、
前記ボード部材は、前記周壁部のうちの前記先細り部において互いに対向する部分同士を連結するようにして、前記本体部の裏面から離間した位置に、板状の連結部が形成されており、
前記連結部と前記本体部の裏面との間が、前記第2挿通孔とされ、前記被係止部材は、前記連結部に対して前記第1挿通孔とは反対側から係り止まる請求項1または請求項2に記載のストラップ取付構造。
【請求項4】
前記ボード部材は、前記連結部の下方において前記本体部の裏面から前記連結部に向かって突出する凸部を有し、
前記連結部と前記凸部との間が、前記第2挿通孔とされており、
前記被係止部材は、前記連結部と前記凸部との両者に、前記第1挿通孔とは反対側から当接して係り止まる請求項3に記載のストラップ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボード部材にストラップを取り付けるためのストラップ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載されているように、例えば、デッキボード等のような板状のボード部材に、そのボード部材が載置されている場所から、取り外し易くすることを目的として、ストラップが取り付けられる場合がある。そのストラップのボード部材に対する取り付け構造は、下記特許文献1のように、ボード部材の裏面において、ストラップの一端を保持する構成とされる。そして、そのストラップを保持する構造は、ストラップの一端を、支持部材とボード本体の裏面との間に挟み込むようにして、板状の支持部材に対してピン等で取り付けるとともに、支持部材をボード本体に対してネジ等を用いて固定する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のストラップ取付構造は、ストラップを固定するために、支持部材と、ストラップと支持部材とを取り付けるピンと、支持部材をボード本体に固定する複数のねじとが必要となっている。つまり、上記特許文献1に記載のストラップ取付構造は、比較的部品点数が多く、取り付け作業に時間を要するという問題がある。
【0005】
本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、ストラップの取り付けに必要な部品を削減して容易に取り付け可能で、取り付け時間の短縮を図ることが可能なストラップ取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願に開示されるストラップ取付構造は、
板状のボード部材に対してストラップを取り付けるためのストラップ取付構造であって、
前記ボード部材は、
裏面側に形成され、前記ストラップの一端側を保持するストラップ保持部と、
板厚方向に貫通して形成され、前記ストラップの他端側を表面側に挿通させる第1挿通孔と、
を備え、
前記ストラップ保持部は、前記ストラップの前記一端側を挿通させる第2挿通孔を有し、
前記第2挿通孔の孔軸方向は、前記板面方向に沿った方向とされ、
前記ストラップの前記一端側に取り付けられた被係止部材が、前記第2挿通孔の孔縁に前記第1挿通孔とは反対側から係り止まることで、前記ストラップの前記一端側を保持することを特徴とする。
【0007】
本願に開示のストラップ取付構造は、被係止部材をストラップの一端側に取り付けて、他端側を第2挿通孔、第1挿通孔の順で挿通させ、被係止部材を第2挿通孔の孔縁に係止させるのみで、ストラップのボード部材への取り付けが完了する。つまり、本願に開示のストラップ取付構造は、ストラップのボード部材への取り付けに必要な部品が被係止部材のみでよく、部品が少なくて済む。また、本願に開示のストラップ取付構造は、従来のストラップ構造のように、ねじ止めのような締結作業も必要なく、取り付け作業が簡便で、その作業時間の短縮を図ることができる。
【0008】
上記構成において、前記被係止部材は、前記ボード部材の裏面から前記板厚方向に突出するピンであり、前記ピンの先端は、前記ボード部材によって覆われる被覆体に対して嵌合する嵌合部として機能するものである構成とすることができる。
【0009】
この構成のストラップ取付構造においては、ボード部材が被覆体に対してピンを嵌合するため被覆体にしっかりと固定することができるようになっている。また、ボード部材を被覆体から取り外す場合に、ストラップと嵌合部とが繋がるとともに、ストラップの直下に嵌合部が位置するため、ストラップを引っ張る力が嵌合部に直接伝わって、嵌合部を取り外し易い構造となっている。
【0010】
上記構成において、前記ボード部材は、板面を形成する本体部と、前記本体部の周縁から裏面側に向かって立設する周壁部と、を備え、前記本体部は、平面視で先細りする形状の先細り部を有し、前記先細り部には、前記第1挿通孔が形成されており、前記ボード部材は、前記周壁部のうちの前記先細り部において互いに対向する部分同士を連結するようにして、前記本体部の裏面から離間した位置に、板状の連結部が形成されており、前記連結部と前記本体部の裏面との間が、前記第2挿通孔とされ、前記被係止部材は、前記連結部に対して前記第1挿通孔とは反対側から係り止まる構成とすることができる。
【0011】
ボード部材が先細り部を有する形状とされていると、その先細り部の剛性が低下し易い。それに対して、この構成のストラップ取付構造は、第2挿通孔を形成する部分である連結部が、先細り部を形成する部分において互いに対向する壁部同士に渡された形状とされているため、先細り部の剛性を向上させることができる。
【0012】
上記構成において、前記ボード部材は、前記連結部の下方において前記本体部の裏面から前記連結部に向かって突出する凸部を有し、前記連結部と前記凸部との間が、前記第2挿通孔とされており、前記被係止部材は、前記連結部と前記凸部との両者に、前記第1挿通孔とは反対側から当接して係り止まる構成とすることができる。
【0013】
この構成のストラップ取付構造は、ボード部材を取り外すべく、ストラップの他端側が引っ張られた際に、被係止部材がストラップの上側と下側との両者においてボード部材側に当接するため、ストラップを引っ張る力を安定してボード部材に伝えることができ、ボード部材を取り外し易い構造となっている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ストラップの取り付けに必要な部品を削減して容易に取り付け可能で、取り付け時間の短縮を図ることが可能なストラップ取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態のストラップ取付構造が採用されたデッキサイドカバーを備える車両の車室内を示す斜視図
【
図2】
図1に示す車両の要部を拡大して示す図であり、デッキサイドカバーを取り外した状態を示す図
【
図6】本実施形態のストラップ取付構造を拡大して示す斜視図
【
図7】本実施形態のストラップ取付構造を第1挿通孔とは反対側からの視点において示す図(
図5におけるB-B断面)
【
図8】本実施形態のストラップ取付構造の側面断面図(
図1におけるA-A断面)
【
図9】本実施形態のストラップ取付構造の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のストラップ取付構造は、
図1に示す車両のリアシート10の後方側に設けられたラゲージルーム(荷室)12に採用されている。ラゲージルーム12は、床面側が、収容ボックス14と、左右一対のデッキサイドトリム(右側のみ図示している)16と、フィニッシュプレート18とによって区画形成されるとともに、収容ボックスの上面にデッキボード20が載置され、ラゲージルーム12の床面を形成している。また、デッキサイドトリム16には、車室外側に向かって膨らんだ形状とされて凹所16aが形成されている。その凹所16aには、
図2に示すように、凹所16aに嵌まり込む形状の小物ボックス22が配されている。そして、その小物ボックス22上には、その小物ボックス22の蓋体として機能するとともにデッキボード20とともに床面を形成するデッキサイドカバー30が、着脱可能に配されている。
【0017】
このデッキサイドカバー30が、本発明のストラップ取付構造が採用された本発明の実施形態の一例である。以下に、このデッキサイドカバー30について詳しく説明する。なお、図面の一部には、符号Fr,Rr,L,R,U,Dを用いて方向を示しており、それぞれ車両の前方側,後方側,車幅方向における左側,右側,上側,下側を表している。
【0018】
デッキサイドカバー30は、
図3~
図5に示すように、板状のカバー本体32と、自身を小物ボックス22から取り外す際に用いられるストラップ34と、を備える。カバー本体32は、合成樹脂製の基材36と、その基材36の表面および側面を被覆する表皮材38と、からなる。カバー本体32の基材36は、
図5,
図6に示すように、床面を形成する板状の本体部40と、その本体部40の周縁から裏面側に向かって立設する周壁部42と、を有する。なお、周壁部42で囲まれた部分の内側には、格子状にリブ44が形成されており、カバー本体32の剛性が高められている。カバー本体32は、デッキボード20とデッキサイドトリム16との隙間を埋めるような形状となっており、前方側に向かって先細りする形状の先細り部32aを有するものとなっている。
【0019】
ストラップ34は、ナイロン製の帯状の部材であり、カバー本体32の先細り部32aに形成された第1挿通孔46から表面側に延び出した状態で設けられている。使用者は、その表面側に延び出した部分である延出部34aを引っ張ることで、デッキサイドカバー30の前方側を持ち上げることができ、デッキサイドカバー30を取り外すことができる。
【0020】
本体部40における先細り部32aの裏面側には、リブ44は形成されておらず、ストラップ34の基端部34bを保持するストラップ保持部50が設けられている。このストラップ保持部50は、
図6~
図8に示すように、周壁部42のうちの先細り部32aにおいて互いに対向する部分42a,42b(以下、対向壁部42a,42bと呼ぶこととする)を連結する連結部52と、本体部40の裏面から連結部52に向かって突出して形成された凸部54と、を含んで構成される。その連結部52は、第1挿通孔46に対して、先細り部32aの先端側(以下、「カバー外側」と呼ぶ場合がある)とは反対側(以下、「カバー内側」と呼ぶ場合がある)に形成されている。また、連結部52は、第1挿通孔46と平行に延び、周壁部42の対向壁部42a,42bの先端部同士に渡された板状のものとされている。
【0021】
一方、凸部54は、連結部52の下方において、本体部40の裏面から連結部52に向かって立設する立壁部56を有している。この立壁部56は、第1挿通孔46のカバー内側に隣接して形成され、対向壁部42a,42bを連結している。また、この立壁部56は、第1挿通孔46のカバー内側の孔縁を形成するものともなっている。そして、立壁部56は、カバー内側部分が、連結部52のカバー外側部分と上下方向において重畳するように形成されている。
【0022】
そして、これら連結部52と立壁部56との上下方向における隙間L1は、ストラップ34の厚みより僅かに大きくされている。つまり、この連結部52と立壁部56との隙間Sは、本体部40の板面方向に沿った方向に貫通するものとなっており、ストラップ34の基端部34bを挿通させるストラップ保持部50の第2挿通孔として機能するものとなる。なお、凸部54は、
図7および
図8に示すように、立壁部56の第1挿通孔46と反対側に、立壁部56から直交する方向に本体部40の板面に沿って延び出した一対の突条58を有している。この突条58の高さは、立壁部56より低くされている。
【0023】
ストラップ34には、基端部34bにピン60が取り付けられている。このピン60が、第2挿通孔Sの孔縁に第1挿通孔46とは反対側から係り止まることで、ストラップ保持部50は、ストラップ34の基端部34bを保持する構成となっている。以下に、被係止部材としてのピン60が、第2挿通孔Sの孔縁に係り止まる構成について、詳しく説明する。
【0024】
ピン60は、
図6~
図9に示すように、円環プレート状のベース62と、そのベース62の中心から突出するピン本体64と、からなる。そして、ピン60は、ストラップ34の基端部34bに形成された取付孔66にピン本体64が挿通された状態とされる。そして、ストラップ34に取り付けられたピン60が、ストラップ保持部50に取り付けられることで、ストラップ保持部50は、ストラップ34の基端部34bを保持する。詳しく言えば、ピン60は、ストラップ保持部50の第1挿通孔46とは反対側から挿入され、ベース62が、連結部52と一対の突条58との間に挿入される。これら連結部52と突条58との間の間隔L2は、ベース62の厚みとストラップ34の厚みとを足し合わせた程度とされている。また、連結部52の上面(本体部40側の面)は、カバー内側(第1挿通孔46とは反対側)ほど厚みが薄くされ、連結部52と突条58との間隔が広くされており、ストラップ34とピン60のベース62とを挿入し易くされるとともに、挿入が完了した位置において、ストラップ34は、ピン60のベース62と連結部52との間において、ほぼ上下方向に隙間なく保持されることとなる。
【0025】
連結部52には、
図5,
図6,
図9等に示すように、板厚方向に貫通するとともに、第1挿通孔46とは反対側に開口する嵌合孔52aが形成されている。ストラップ保持部50の第1挿通孔46とは反対側から挿入されたピン60は、ピン本体64の基端側の軸部64aが連結部52の嵌合孔52aに嵌入される。また、軸部64aが嵌合孔52aに嵌入した状態においては、ベース62が突条58の立壁部56側に形成されたストッパ部58aに当接した状態となっている。なお、その嵌合孔52aの開口は、軸部64aの外径より僅かに小さく、軸部64aが嵌合孔52aに嵌入すると、容易には抜けないようになっている。つまり、ストラップ保持部50は、嵌合孔52aがピン本体64の軸部64aを嵌合させることでピン60を係止し、ストラップ34の基端部34bを保持するものとなっているのである。
【0026】
以上のように、デッキサイドカバー30に採用された本実施形態のストラップ取付構造は、ボード部材であるカバー本体32が、裏面側に形成されてストラップ34の一端側の基端部34bを保持するストラップ保持部50と、板厚方向に貫通して形成されてストラップ34の他端側の延出部34aを表面側に挿通させる第1挿通孔46と、を備え、ストラップ保持部50は、ストラップ34の基端部34bを挿通させる第2挿通孔Sを有し、その第2挿通孔Sの孔軸方向は、板面方向に沿った方向とされ、ストラップ34の基端部34bに取り付けられた被係止部材であるピン60が、第2挿通孔Sの孔縁に第1挿通孔46とは反対側から係り止まることで、ストラップ34の基端部34bを保持する構成となっている。
【0027】
つまり、本実施形態のストラップ取付構造は、
図9に示したように、ピン60をストラップ34の基端部34b側の取付孔66に挿通させて、延出部34aを第2挿通孔S、第1挿通孔46の順で挿通させ、ピン60を第2挿通孔Sの孔縁に係止させるのみで、ストラップ34のカバー本体32への取り付けが完了する。つまり、本実施形態のストラップ取付構造は、ストラップ34のカバー本体32への取り付けに必要な部品がピン60のみでよく、部品が少なくて済む。また、本実施形態のストラップ取付構造は、従来のストラップ構造のように、ストラップ34の基端部34bをカバー本体32との間で挟む別部材をねじ止めするような締結作業も必要なく、取り付け作業が簡便で、その取り付け作業の時間を短縮することができる。
【0028】
また、デッキサイドカバー30は、カバー本体32が、板面を形成する本体部40と、本体部40の周縁から裏面側に向かって立設する周壁部42と、を備え、その本体部40は、平面視で先細りする形状の先細り部32aを有し、先細り部32aに、第1挿通孔46が形成されている。そして、本実施形態のストラップ取付構造は、カバー本体32が、周壁部42のうちの先細り部32aにおいて互いに対向する部分42a,42bを連結するようにして、本体部40の裏面から離間した位置に、板状の連結部52が形成されており、連結部52と本体部40の裏面との間が、第2挿通孔Sとされ、ピン60は、連結部52に対して第1挿通孔46とは反対側から係り止まる構成とされている。
【0029】
カバー本体32が先細り部32aを有する形状とされていると、その先細り部32aの剛性が低下し易い。それに対して、本実施形態のストラップ取付構造は、第2挿通孔Sを形成する部分である連結部52が、先細り部32aを形成する部分において互いに対向する対向壁部42a,42bに渡された形状とされているため、先細り部32aの剛性を向上させることができる。さらに、本デッキサイドカバー30は、連結部52の下方に形成された凸部54の立壁部56も、対向壁部42a,42bを連結するものとなっており、先細り部32aの剛性がより高くされている。
【0030】
また、本実施形態のストラップ取付構造は、カバー本体32が、連結部52の下方において本体部40の裏面から連結部52に向かって突出する凸部54を有し、連結部52と凸部54(より詳しく言えば、立壁部56)との間が、第2挿通孔Sとされており、ピン60は、連結部52と凸部54との両者に、第1挿通孔46とは反対側から当接して係り止まる構成となっている。この構成によれば、デッキサイドカバー30を取り外すべく、ストラップ34の延出部34aが引っ張られた際に、ピン60がストラップ34の上側と下側との両者においてカバー本体32側に当接するため、ストラップ34を引っ張る力を安定してカバー本体32に伝えることができ、デッキサイドカバー30を取り外し易い構造となっている。
【0031】
また、本実施形態のストラップ取付構造において、ピン60は、
図4,
図6~
図8に示すように、ピン本体64の先端部64bが、周壁部42の先端より、さらに下方に延び出した構成となっている。このピン本体64の先端部64bは、
図2,
図8に示すように、デッキサイドカバー30によって覆われる被覆体としての小物ボックス22に設けられたゴムまたは軟質合成樹脂製のパッキン70に嵌合するように構成されている。つまり、ストラップ34をストラップ保持部50に保持させるためのピン60が、デッキサイドカバー30を小物ボックス22に固定するための部材としても機能するものとなっているのである。また、ピン60の先端部(嵌合部)64bがパッキン70に嵌合して、デッキサイドカバー30が小物ボックス22を覆っている状態から、デッキサイドカバー30を取り外す場合において、ストラップ34とピン60とが繋がっていることと、ストラップ34の直下に、ピン60の先端部64bがパッキン70に嵌合している部分が位置することで、ストラップ34を引っ張る力がピン60に直接伝わって、ピン60の先端部64bをパッキン70から取り外し易く、かつ、車両の振動に対するデッキサイドカバー30の位置ずれおよび異音の発生を抑制する構造となっている。
【0032】
<他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。例えば、次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0033】
(1)上記実施形態のストラップ取付構造は、ストラップ保持部50が、連結部52と凸部54とを有して、それら連結部52と凸部54との間に第2挿通孔Sが形成された構成とされていたが、ストラップ保持部は、それに限定されず、種々の形状・構成とすることができる。例えば、本体部40の裏面から突出する突出部を形成し、その突出部に板面方向に貫通する第2挿通孔を設けた構成とすることもできる。なお、その場合には、孔軸方向は、長孔状の第1挿通孔46に対して長手方向に直交する方向であることが望ましい。また、この場合には、突出部における第1挿通孔とは反対側の面に、被係止部材が当接する部分を設けた構成とすることができる。
【0034】
(2)上記実施形態のストラップ取付構造は、カバー本体32の先細り部32aにストラップ34を設ける場合に採用されていたが、それ限定されず、概して矩形状のカバー本体に取り付ける場合であっても良い。
【0035】
(3)上記実施形態のストラップ取付構造は、被係止部材であるピン60が、デッキサイドカバー30によって覆われる小物ボックス22に嵌合するものとされていたが、必須ではなく、単に、ボード部材を被覆体に載置するような構成であってもよい。つまり、被係止部材が、カバー本体の下端からはみ出さないような構成であっても良い。
【0036】
(4)上記実施形態のストラップ取付構造は、デッキサイドカバー30に採用されていたが、
図1に示したデッキボード20に採用することや、車両に搭載される他のものに採用することも可能である。
【0037】
(5)上記実施形態において、本発明のストラップ取付構造は、車両(自動車)に提供されるものとされていたが、それに限定されず、本発明のストラップ取付構造は、種々の乗物において提供されるもの、さらに言えば、乗物以外、例えば家具等の種々の物品に適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
22…小物ボックス〔被覆体〕、30…デッキサイドカバー、32…カバー本体〔ボード部材〕、32a…先細り部、34…ストラップ、34a…延出部〔他端側の部分〕、34b…基端部〔一端側の部分〕、40…本体部、42…周壁部、42a,42b…対向壁部、46…第1挿通孔、50…ストラップ保持部、52…連結部、52a…嵌合孔、54…凸部、56…立壁部、S…隙間〔第2挿通孔〕、60…ピン〔被係止部材〕、64b…先端部〔嵌合部〕