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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067668
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】プロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/16 20060101AFI20240510BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240510BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240510BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240510BHJP
   H04N 9/31 20060101ALI20240510BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240510BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
G03B21/16
G03B21/00 E
G02B5/30
H04N5/74 A
H04N9/31 440
G02F1/13 505
G02B5/20
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177916
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】水谷 友哉
(72)【発明者】
【氏名】柏木 章宏
【テーマコード(参考)】
2H088
2H148
2H149
2K203
5C058
5C060
【Fターム(参考)】
2H088EA13
2H088HA08
2H088HA12
2H088HA13
2H088HA16
2H088HA18
2H088HA24
2H088HA28
2H088MA20
2H148AA07
2H148AA11
2H149AA17
2H149AB01
2H149AB11
2H149AB13
2H149BA23
2H149DA04
2H149DA12
2H149EA02
2H149FA42Z
2H149FC00
2K203FA03
2K203FA22
2K203FA32
2K203FA44
2K203FA45
2K203FA62
2K203HA14
2K203HA34
2K203HA42
2K203HA74
2K203HA87
2K203LA04
2K203LA42
2K203MA12
5C058AB02
5C058AB03
5C058AB05
5C058BA35
5C058EA14
5C058EA52
5C060GB01
5C060HC16
5C060HC24
5C060JA25
(57)【要約】
【課題】単板式のプロジェクターにおいて、反射偏光子よりも光源側の光路上に配置されているレンズの変形及び変質、レンズの光学機能の低下を防止する。
【解決手段】本発明のプロジェクターは、第1光を発光する光源と、第1光が照射され、第1光とは異なる発光波長を有する第2光を発光する波長変換素子と、波長変換素子からの第1光の光束と第2光の光束とを拡大する光学系と、光学系によって拡大化された光を平行化する平行化レンズと、入射した光を変調して画像光を生成する光変調素子と、光変調素子から射出された画像光が入射する射出側偏光素子と、射出側偏光素子から射出された画像光を投射する投射レンズと、所定の偏光方向の偏光を透過し、所定の偏光方向以外の偏光を反射する入射側偏光素子と、を備える。入射側偏光素子には非直線偏光が入射し、第2光の光路上において、入射側偏光素子は光源と平行化レンズとの間に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光を発光する光源と、
前記第1光が照射され、前記第1光とは異なる発光波長を有する第2光を発光する波長変換素子と、
前記波長変換素子を透過した前記第1光の光束と前記波長変換素子から発光された前記第2光の光束とを拡大する光学系と、
前記光学系によって拡大化された光を平行化する平行化レンズと、
前記平行化レンズによって平行化された光が入射し、入射した光を変調して画像光を生成する光変調素子と、
前記光変調素子から射出された画像光が入射する射出側偏光素子と、
前記射出側偏光素子から射出された画像光を投射する投射レンズと、
所定の偏光方向の偏光を透過し、前記所定の偏光方向以外の偏光を反射する入射側偏光素子と、
を備え、
前記入射側偏光素子には非直線偏光が入射し、
前記第2光の光路上において、前記入射側偏光素子は前記光源と前記平行化レンズとの間に配置されている、
プロジェクター。
【請求項2】
前記入射側偏光素子は前記波長変換素子と前記光学系との間に配置されている、
請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記波長変換素子は蛍光体層を有し、
前記蛍光体層において光源と対向する面とは反対側の面と前記入射側偏光素子の入射側の面とは互いに平行である、
請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記入射側偏光素子は前記波長変換素子に当接している、
請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記入射側偏光素子はワイヤーグリッド偏光子であり、
前記ワイヤーグリッド偏光子の周期は前記第1光の所定の波長の半分よりも短い、
請求項4に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記光源と前記波長変換素子との間に配置され、前記第1光を透過し、少なくとも一部の前記第2光を反射するダイクロイックミラーを備える、
請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記光源と前記ダイクロイックミラーとの間に配置された透光性部材を備える、
請求項6に記載のプロジェクター。
【請求項8】
前記入射側偏光素子は前記波長変換素子において前記光源と対向する面とは反対側の面を覆うように設けられている、
請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項9】
前記入射側偏光素子は前記光学系と前記平行化レンズとの間に配置されている、
請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項10】
前記光源と前記波長変換素子との間に配置され、前記第1光を透過し、少なくとも一部の前記第2光を反射するダイクロイックミラーを備える、
請求項9に記載のプロジェクター。
【請求項11】
前記波長変換素子と前記入射側偏光素子との間に配置された位相差板を備える、
請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項12】
前記位相差板は、1/4波長板である、
請求項11に記載のプロジェクター。
【請求項13】
前記位相差板は前記入射側偏光素子に当接している、
請求項11に記載のプロジェクター。
【請求項14】
前記位相差板は、1/4波長板である、
請求項13に記載のプロジェクター。
【請求項15】
前記第2光の光路に沿って前記光源の周縁と前記入射側偏光素子の周縁との間を接続し、少なくとも前記光源と前記入射側偏光素子を囲むように設けられ、内壁面に照射される光を反射するロッド部材を備える、
請求項1に記載のプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、色光から当該色の画像光を生成する光変調素子として1枚の液晶パネルを備えるプロジェクター、すなわち単板式のプロジェクターが知られている。例えば、特許文献1に開示されている単板式のプロジェクターでは、2枚のフレネルレンズのうち、光源の近くに配置されたている入射側のフレネルレンズと液晶パネルとの間に、反射型の偏光板が設けられている。光源から射出される光がコンデンサーレンズ及び入射側のフレネルレンズを介して反射型の偏光板に入射すると、入射光のうちの所定の偏光方向の偏光が偏光板を透過し、液晶パネルに入射し、画像光に変調される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国実用新案第201622432号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示されているプロジェクターでは、光源から射出される光が反射型の偏光板に入射すると、入射光のうちの所定の偏光方向以外の偏光の少なくとも一部が入射側のフレネルレンズに戻り、入射側のフレネルレンズでの光の吸収量や発熱が増大する。すなわち、反射型の偏光板よりも光源に近い領域に配置されているレンズの変形や、レンズに入射する光量及びレンズから射出される光量の損失が発生すると考えられる。例えば、レンズが樹脂製であれば、レンズの黄変が生じることも考えられる。そのため、単板式のプロジェクターにおいて、反射型の偏光板よりも光源に近い光路上に配置されているレンズの変形、変質及び光学機能の低下を防止する対策が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様のプロジェクターは、第1光を発光する光源と、第1光が照射され、第1光とは異なる発光波長を有する第2光を発光する波長変換素子と、波長変換素子を透過した第1光の光束と波長変換素子から発光された第2光の光束とを拡大する光学系と、光学系によって拡大化された光を平行化する平行化レンズと、平行化レンズによって平行化された光が入射し、入射した光を変調して画像光を生成する光変調素子と、光変調素子から射出された画像光が入射する射出側偏光素子と、射出側偏光素子から射出された画像光を投射する投射レンズと、所定の偏光方向の偏光を透過し、所定の偏光方向以外の偏光を反射する入射側偏光素子と、を備える。入射側偏光素子には非直線偏光が入射し、第2光の光路上において、入射側偏光素子は光源と平行化レンズとの間に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態のプロジェクターの構成を示す概略図である。
図2図1のプロジェクターの発光部及び入射側偏光素子の構成及び光のふるまいを説明するための概略図である。
図3】第2実施形態のプロジェクターの発光部及び入射側偏光素子の構成を示す概略図である。
図4】第3実施形態のプロジェクターの発光部及び入射側偏光素子の構成を示す概略図である。
図5】第4実施形態のプロジェクターの発光部及び入射側偏光素子の構成を示す概略図である。
図6】第5実施形態のプロジェクターの発光部、入射側偏光素子、及び白色光を拡大する光学系の構成を示す概略図である。
図7】第6実施形態のプロジェクターの発光部、光学系及び入射側偏光素子の構成を示す概略図である。
図8】第7実施形態のプロジェクターの発光部、光学系及び入射側偏光素子の構成を示す概略図である。
図9】第8実施形態のプロジェクターの発光部、光学系、位相差板及び入射側偏光素子の構成を示す概略図である。
図10】第8実施形態のプロジェクターにおける青色光及び黄色光の有効利用効率を算出したシミュレーション結果を示すグラフである。
図11】第9実施形態のプロジェクターの発光部、ロッド部材及び入射側偏光素子の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1及び図2を用いて説明する。以下の各図面では、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を変えている場合がある。図1は、第1実施形態のプロジェクター101の構成を示す概略図である。プロジェクター101は、光変調素子として1枚の液晶パネルを用いた画像表示装置であり、所謂単板式のプロジェクターである。
【0008】
図1に示すように、プロジェクター101は、発光部10と、入射側偏光素子80と、ピックアップレンズ30と、平行化レンズ35と、光変調素子40と、射出側偏光素子50と、投射光学系70と、入射側偏光素子80と、を備える。
【0009】
発光部10は、白色光WLを発する。以下の説明では、発光部10の発光面10sに平行な一方向をX方向とし、発光面10sに平行であり且つX方向に直交する方向をY方向とする。また、発光面10s、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。発光部10の詳しい構成については、後に説明する。なお、第1実施形態の発光部10の発光面10sは、後述する波長変換素子13の蛍光体層14の発光面14sに該当する。発光部10から発光される白色光WLは、発光面からZ方向を基準として発散する発散光であるとともに、非直線偏光であり、例えばランダム偏光である。本明細書において、非直線偏光は、電場ベクトルが振動する方向が一方向のみの直線偏光ではないことを意味し、例えば電場ベクトルの振動方向が互いに異なる複数の直線偏光を含んでもよく、例えばランダム偏光や楕円偏光を含む。なお、光の電場ベクトルが振動する方向を偏光方向と記載する場合がある。
【0010】
入射側偏光素子80は、発光部10から射出された白色光WLの光路上に配置されている。入射側偏光素子80は、反射型の偏光素子であり、発光部10から発光された白色光WLのうちの所定の偏光方向の偏光を透過し、所定の偏光方向以外の偏光を反射する。入射側偏光素子80は、例えば可視波長帯に感度を有する反射型の偏光板82である。所定の偏光方向の偏光は、例えばP偏光又はS偏光である。
【0011】
ピックアップレンズ30は、入射側偏光素子80を透過して入射側偏光素子80から射出された白色光WLの光路上に配置されている。ピックアップレンズ30は、入射側偏光素子80から射出された白色光WLに含まれる青色光BLの光束と黄色光YLの光束とをX方向及びY方向を含むXY平面で拡大する。入射側偏光素子80から射出された白色光WLは、後述する特許請求の範囲に記載されている「波長変換素子を透過した第1光の光束」及び「波長変換素子から発光された第2光の光束」に該当する。ピックアップレンズ30は、例えば拡大された白色光WLの射出側に凸である凸曲面を有する平凸レンズ32である。なお、ピックアップレンズ30は、複数のレンズで構成されてもよい。また、ピックアップレンズ30に替えて、白色光WLをXY平面内で拡大可能な光学素子が配置されてもよい。ピックアップレンズ30、或いは白色光WLを拡大可能な光学素子は、後述する特許請求の範囲に記載されている「波長変換素子を透過した第1光の光束と波長変換素子から発光された第2光の光束とを拡大する光学系」に該当する。
【0012】
平行化レンズ35は、ピックアップレンズ30から射出された白色光WLの光路上に配置されている。平行化レンズ35は、ピックアップレンズ30によって拡大化された白色光WLをZ方向に沿って平行化する。平行化レンズ35は、例えば白色光WLの入射側に凸であるレンズ面すなわち位相変調面を有するフレネルレンズ(Fresnel lens)37である。フレネルレンズ37が用いられることによって、平行化レンズ35の直径が大きくても、平行化レンズ35の厚みが抑えられる。
【0013】
光変調素子40は、平行化レンズ35から射出された白色光WLの光路上に配置されている。すなわち、平行化レンズ35から射出された白色光WLは、光変調素子40に入射する。平行化レンズ35から射出された白色光WLは、後述する特許請求の範囲に記載されている「平行化レンズによって平行化された光」に該当する。光変調素子40は、入射した白色光WLを変調し、フルカラーの画像光IMを生成する。光変調素子40は、例えば透過型の液晶パネル42である。
【0014】
液晶パネル42は、液晶素子43と、複数のカラーフィルター44R,44G,44Bを備える。詳しく図示していないが、液晶素子43は、複数の画素を有する。液晶素子43の各々の画素は、赤色、緑色及び青色の各々に対応するサブ画素を有する。各々のサブ画素は、スイッチング素子を備える。スイッチング素子として、例えばポリシリコン薄膜トランジスター(Thin Film Transistor;TFT)が挙げられる。また、詳しく図示してしないが、平行化レンズ35と液晶素子43との間に、吸収型の偏光素子を備えていてもよい。
【0015】
吸収型の偏光素子としては、例えば、ポリビニルアルコール(Polyvinyl Alcohol;PVA)系フィルムを一方向に延伸し、ヨウ素を吸着・分散させた偏光フィルム、化学処理を施して二色性を持たせたPVAフィルムを一方向に延伸した偏光フィルム、PVA系フィルムに金、銀、銅、水銀、鉄等の金属を吸着させたPVA・金属系偏光フィルム、PVA系フィルムをヨウ化カリとチオ硫酸ソーダを含むホウ酸溶液で処理した近紫外偏光フィルム、及び分子内にカチオン基を含有する変成PVAからなるPVA系フィルムの表面及び内部の少なくとも一方に二色性染料を有する偏光素子を用いることができる。吸収型の偏光素子の透過軸は、後述する入射側偏光素子80の透過軸と方向が互いに一致していることが好ましい。このことにより、入射型偏光素子80を透過した光束の偏光状態がずれた場合、このずれたノイズを吸収型の偏光素子により、吸収することができる。
【0016】
複数のカラーフィルター44R,44G,44Bは、液晶素子43において白色光WLが入射される側の板面43aに設けられている。複数のカラーフィルター44Rは、液晶素子43の複数の画素の赤色のサブ画素に対応して配置されている。複数のカラーフィルター44Gは、液晶素子43の複数の画素の緑色のサブ画素に対応して配置されている。複数のカラーフィルター44Bは、液晶素子43の複数の画素の青色のサブ画素に対応して配置されている。
【0017】
カラーフィルター44Rは、入射する白色光WLのうちの赤色光を透過する。カラーフィルター44Rが配置されている液晶素子43のサブ画素は、カラーフィルター44Rを透過した赤色光の偏光方向をスイッチング素子の動作によって変調し、赤色の画像光を生成する。カラーフィルター44Gは、入射する白色光WLのうちの緑色光を透過する。カラーフィルター44Gが配置されている液晶素子43のサブ画素は、カラーフィルター44Gを透過した緑色光の偏光方向をスイッチング素子の動作によって変調し、緑色の画像光を生成する。カラーフィルター44Bは、入射する白色光WLのうちの青色光を透過する。カラーフィルター44Bが配置されている液晶素子43のサブ画素は、カラーフィルター44Bを透過した青色光の偏光方向をスイッチング素子の動作によって変調し、青色の画像光を生成する。液晶素子43の複数の画素から射出される3原色の画像光は互いに合成され、フルカラーの画像光IMが射出される。
【0018】
なお、図1では、カラーフィルター44R,44G,44Bがこの順に液晶素子43の板面43aに繰り返し配置されているが、カラーフィルター44R,44G,44Bに対応して各々の画素において互いに異なる色光を変調するサブ画素が隣接していればよい。したがって、カラーフィルター44R,44G,44Bの配置及び順番は図1に示された例に限定されない。
【0019】
射出側偏光素子50は、光変調素子40から射出された画像光IMの光路上に配置されている。射出側偏光素子50は、例えば光変調素子40の液晶パネル42の液晶素子43において板面43aとは反対側の板面43bに設けられている。板面43bは、液晶素子43における画像光IMが射出される側の板面である。射出側偏光素子50は、光変調素子40から射出された画像光IMのうちの所定の偏光方向に基づく適切な偏光方向の偏光を透過し、適切な偏光方向以外の偏光を吸収する。すなわち、光変調素子40から射出された画像光IMは、射出側偏光素子50に入射し、適切な偏光方向の偏光に変換される。射出側偏光素子50は、例えば可視波長帯に感度を有する吸収型の偏光板52である。
【0020】
射出側偏光素子50から射出された画像光IMの光路上に、集光レンズ60が設けられている。集光レンズ60は、射出側偏光素子50から射出された画像光IMをZ方向に沿って集光する。集光レンズ60は、例えば画像光IMの射出側に凸であるレンズ面すなわち位相変調面を有するフレネルレンズ62である。フレネルレンズ62が用いられることによって、集光レンズ60の直径が大きくても、集光レンズ60の厚みが抑えられる。集光レンズ60から射出された画像光IMは、後述する特許請求の範囲に記載されている「射出側偏光素子から射出されたされた画像光」に該当する。
【0021】
投射光学系70は、集光レンズ60から射出された画像光IMの光路上に配置されている。投射光学系70は、射出側偏光素子50から射出された画像光IMを投射し、画像光IMの進行方向で投射光学系70の前方に設けられた不図示のスクリーンに、画像光IMに基づくフルカラーの画像を表示する。投射光学系70は、例えば平凸レンズ71と、両凹レンズ72と、両凸レンズ73によって構成されている。なお、投射光学系70は、2個以下の光学レンズ、或いは4個以上の光学レンズによって構成されてもよい。各々の光学レンズは、平凸レンズ、両凹レンズ、両凸レンズに限定されず、メニスカスレンズ、自由曲面レンズや非球面レンズであってもよい。投射光学系70は、後述する特許請求の範囲に記載されている「投射レンズ」に該当する。
【0022】
図2は、図1のプロジェクター101の要部の概略図であり、発光部10の構成と発光部10及び入射側偏光素子80における光のふるまいとを説明するための図である。図2に示すように、発光部10は、基板11と、光源12と、波長変換素子13によって構成されている。基板11は、XY平面に平行な板面11bを有する。
【0023】
光源12は、基板11の板面11bに設けられている。発光部10が有する光源12の数は特定数に限定されないが、発光部10は例えば複数の光源12を備える。複数の光源12は、基板11の板面11bにX方向及びY方向で互いに間隔をあけて配置されている。光源12は、青色光BLを発光する。青色光BLの発光波長は、例えば440nm~480nmであるが、可視波長帯域のうちの青色波長帯に属する波長帯であれば特定されない。
【0024】
光源12は、青色光BLを発光する発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)である。青色光BLは、光源12において基板11の板面11bに接する底面12aとは反対側の発光面12sから放射状に射出される。
【0025】
波長変換素子13は、複数の光源12の発光面12sを覆うように配置されている。波長変換素子13は、光源12から射出された青色光BLを黄色光YLに波長変換し、黄色光YLを射出する。波長変換素子13は、例えばXY平面に平行に形成された蛍光体層14である。蛍光体層14は、複数の光源12の発光面12sに接する入射面14aと、入射面14aとは反対側の発光面14sと、を有する。蛍光体層14の入射面14aは、複数の光源12の発光面12sに接している。光源12から発せられた青色光BLは、入射面14aから蛍光体層14の内部に入射し、散乱される。蛍光体層14の内部に入射した青色光BLの少なくとも一部は、励起光として作用し、蛍光としての黄色光YL1を発生させる。すなわち、蛍光体層14は、発光面14sから黄色光YLを発光する。一方、青色光BLの残りの少なくとも一部は、蛍光体層14で内部散乱され、蛍光体層14を透過し、発光面14sから略放射状に射出される。結果として、青色光BL及び黄色光YLは、蛍光体層14の発光面14s上の波源WS1から放射状に射出される。
【0026】
黄色光YLの発光波長は、例えば500nm~670nmであるが、可視波長帯域のうちの黄色波長帯に属する波長帯であれば特定されない。光源12が発光する青色光BLは、後述する特許請求の範囲に記載されている「第1光」に該当する。波長変換素子13が発光する黄色光YLは、後述する特許請求の範囲に記載されている「第2光」に該当し、第1光とは異なる発光波長を有する。黄色光YLは、緑色光及び赤色光を含む。
【0027】
蛍光体層14は、例えばイットリウム・アルミニウム・ガーネット(Yttrium・Aluminum・Garnet;YAG)系のセラミックス蛍光体によって形成されている。蛍光体層14の蛍光体は、例えばセリウム(Ce)が付活されたYAG(YAG:Ce3+)である。なお、蛍光体層14の蛍光体は、1種であってもよく、2種以上の蛍光材料によって形成されている粒子を混合したものであってもよい。
【0028】
光源12から射出されて波長変換素子13を透過する青色光BL及び波長変換素子13から射出される黄色光YL1は、非直線偏光であり、例えばランダム偏光である。なお、図2には、青色光BL及び黄色光YLの偏光方向のうち、X方向及びY方向に平行な偏光成分が例示されている。波長変換素子13を透過した青色光BL及び波長変換素子13から射出された黄色光YL1の非直線偏光のうち、光変調素子40の液晶パネル42の仕様及び光学特性に応じて設定される所定の偏光方向の青色光BL2及び黄色光YL2は入射側偏光素子80の偏光板82を透過する。所定の偏光方向は、例えばY方向に平行であり、図1の紙面の縦方向であり、図2の紙面の横方向である。
【0029】
一方、波長変換素子13を透過した青色光BL1及び波長変換素子13から射出された黄色光YL1の非直線偏光のうち、所定の偏光方向以外の偏光方向を有する青色光BL3及び黄色光YL3は入射側偏光素子80の偏光板82によって反射される。青色光BL3は、蛍光体層14の発光面14sに照射され、発光面14sから蛍光体層14の内部に入射し、励起光として作用し、蛍光としての黄色光YL4を発生させる。黄色光YL4は、蛍光体層14の発光面14s上の波源WS2から放射状に射出される。黄色光YL4は、ランダム偏光及び楕円偏光を含む。前述の黄色光YL1と同様に、黄色光YL4の偏光のうち、所定の偏光方向を有する黄色光YL5は入射側偏光素子80の偏光板82を透過する。黄色光YL4の偏光のうち、所定の偏光方向以外の偏光方向を有する不図示の黄色光YLは入射側偏光素子80の偏光板82によって反射される。
【0030】
上述のように、波長変換素子13からの青色光BL1及び黄色光YL1,YL4の射出が繰り返される。また、入射側偏光素子80からの青色光BL1及び黄色光YL2,YL5の透過と青色光BL3及び黄色光YL3の反射が繰り返される。波長変換素子13の蛍光体層14の発光面14sには、複数の波源WS1,WS2が生じる。複数の波源WS1を中心とする各波源WS1の近傍の波長変換素子13では、青色光BLが発散光として射出され、蛍光である黄色光YLが発光する。複数の波源WS2を中心とする各波源WS2の近傍の波長変換素子13では、青色光BLによる再励起が起こり、ランダム偏光の黄色光YLが発せられるとともに、黄色光YLが内面散乱される。
【0031】
波長変換素子13の蛍光体層14の発光面14sから射出される青色光BL1及び黄色光YL1と、青色光BL1及び黄色光YL4は、互いに合成されて非直線偏光の白色光WLとしてふるまう。同様に、入射側偏光素子80の偏光板82の入射面82aとは反対側の射出面82bから射出される青色光BL2及び黄色光YL2,YL5は、互いに合成されて非直線偏光の白色光WLとしてふるまう。
【0032】
上述の光学的なふるまいによって、入射側偏光素子80からの青色光BL及び黄色光YLの反射回数と、発光部10における波長変換素子13の蛍光体層14における再励起と黄色光YLが発光される回数が多い程、入射側偏光素子80から射出される黄色光YLの光量が同じく入射側偏光素子80から射出される青色光BLの光量よりも多い。そのため、第1実施形態のプロジェクター101から射出されるフルカラーの画像光IMのカラーバランスを好適にするためには、発光部10から最初に射出される白色光WLに含まれる青色光BLの光量が黄色光YLの光量よりも多いことが好ましい。発光部10から最初に射出される青色光BLの光量を高める方法としては、例えば光源12に供給する駆動電流を高めに設定する方法、或いは波長変換素子13における青色光BLから黄色光YLへの変換効率を抑える方法が挙げられる。波長変換素子13における青色光BLから黄色光YLへの変換効率は、例えば蛍光体層14の蛍光体におけるセリウム(Ce)の濃度を変更する、或いは蛍光体の気孔率を変更する、蛍光体層の厚み、又は蛍光体の構成元素の比率や混合比を変更し、蛍光体層14の組成を変更することによって適宜調整される。
【0033】
つまり、発光部10から最初に射出される青色光BLと黄色光YLの光量比は、プロジェクター101から射出されるフルカラーの画像光IMに求められるカラーバランスに応じて適宜設定及び調整されている。
【0034】
以上説明した第1実施形態のプロジェクター101は、光源12と、波長変換素子13と、ピックアップレンズ30と、平行化レンズ35と、光変調素子40と、射出側偏光素子50と、投射光学系70と、入射側偏光素子80と、を備える。光源12は、青色光BLを発光する。波長変換素子13には、青色光BLが照射される。波長変換素子13は、青色光BLとは異なる発光波長を有する黄色光YLを発光する。ピックアップレンズ30は、波長変換素子13を透過した青色光BLの光束と波長変換素子13から発光された黄色光YLの光束とを拡大する。平行化レンズ35は、ピックアップレンズ30によって拡大化された白色光WLを平行化する。光変調素子40には、平行化レンズ35によって平行化された白色光WLが入射する。光変調素子40は、入射した白色光WLを変調して画像光IMを生成する。射出側偏光素子50には、光変調素子40から射出された画像光IMが入射する。投射光学系70は、射出側偏光素子50から射出された画像光IMを投射する。入射側偏光素子80には、少なくとも波長変換素子13から射出された非直線偏光の白色光WLが入射する。入射側偏光素子80は、反射型の偏光素子であり、入射した白色光WLのうち所定の偏光方向の偏光を透過し、所定の偏光方向以外の偏光方向の偏光を反射する。
【0035】
第1実施形態のプロジェクター101では、少なくとも黄色光YLの光路上において、入射側偏光素子80は発光部10の光源12と平行化レンズ35との間に配置されている。黄色光YL及び白色光WLの光路は、後述する特許請求の範囲に記載されている「第2光の光路」に該当する。第1実施形態のプロジェクター101によれば、入射側偏光素子80が平行化レンズ35よりも光源12に近い側の白色光WLの光路上に配置されるため、入射側偏光素子80が平行化レンズ35よりも波長変換素子13から遠い側の白色光WLの光路上に配置される場合に比べて、入射側偏光素子80から平行化レンズ35に向けて反射されて平行化レンズ35に照射される白色光WLの光量を低減することができる。このことによって、単板式のプロジェクター101において、入射側偏光素子80よりも光源12に近い光路上に配置されている平行化レンズ35の変形及び変質を防止することができる。また、平行化レンズ35に入射する所定の偏光方向以外の偏光を有する白色光WLの光量を抑え、平行化レンズ35の光学機能の低下を防止することができる。平行化レンズ35の光学機能の低下は、例えば平行化レンズ35から射出される白色光WLの光量の低減によって図られる。一方、従来のプロジェクターでは、入射側偏光素子は例えば平行化レンズと光変調素子との間の光路上に配置されている。そのため、入射側偏光素子によって反射された光の大部分は平行化レンズに照射され、平行化レンズの変形、変質及び光学機能が低下し易い。特に、平行化レンズ35が可視光に対して透明な樹脂やプラスチックで形成されている場合であれば、第1実施形態のプロジェクター101によって、平行化レンズ35に入射する所定の偏光方向以外の偏光方向の白色光WLの光量を抑え、平行化レンズ35の黄変等を防止することができる。
【0036】
第1実施形態のプロジェクター101では、入射側偏光素子80は、発光部10の波長変換素子13とピックアップレンズ30との間に配置されている。そのため、第1実施形態のプロジェクター101によれば、入射側偏光素子80が平行化レンズ35よりも波長変換素子13から遠い方の白色光WLの光路上に配置される場合に比べて、上述のように入射側偏光素子80から平行化レンズ35に向けて反射されて平行化レンズ35に照射される白色光WLの光量を低減することができる。また、第1実施形態のプロジェクター101では、入射側偏光素子80が波長変換素子13の直後段に配置されるため、入射側偏光素子80から反射される白色光WLのうち、波長変換素子13に入射する青色光BLの光量を増やすことができる。このことによって、蛍光としての黄色光YLの励起光である青色光BLの活用率をさらに高め、プロジェクター101における光利用効率を向上させることができる。
【0037】
また、第1実施形態のプロジェクター101では、波長変換素子13は、蛍光体層14を有する。蛍光体層14において光源12と対向する入射面14aとは反対側の発光面14sと入射側偏光素子80の偏光板82の入射面82aとは互いに平行である。そのため、第1実施形態のプロジェクター101によれば、入射側偏光素子80から反射される白色光WLのうち、入射側偏光素子80の偏光板82から波長変換素子13の蛍光体層14よりもXY平面で外側に外れて反射されて励起光として活用されない青色光BLの損失を低減し、蛍光体層14の発光面14sから蛍光体層14に入射する青色光BLの光量を確保することができる。このことによって、励起光としての青色光BLの活用率をさらに高め、プロジェクター101における光利用効率を向上させることができる。
【0038】
なお、第1実施形態のプロジェクター101では、光変調素子40において複数のカラーフィルター44R,44G,44Bの入射側の板面に、入射側偏光素子80とは異なる不図示の偏光素子が設けられていてもよい。
【0039】
[第2実施形態]
次いで、本発明の第2実施形態について、図3を用いて説明する。
なお、第2実施形態以降の各実施形態において、上位の実施形態と共通する構成には、当該構成と同じ符号を付し、その説明を省略する。第2実施形態以降の各実施形態では、上位の実施形態とは異なる構成や内容について説明する。
【0040】
図示していないが、第2実施形態のプロジェクターは、第1実施形態のプロジェクター101と同様に、発光部10と、入射側偏光素子80と、ピックアップレンズ30と、平行化レンズ35と、光変調素子40と、射出側偏光素子50と、投射光学系70と、を備える。
【0041】
図3は、第2実施形態の発光部10及び入射側偏光素子80の構成を説明するための概略図である。図3に示すように、第2実施形態のプロジェクターでは、入射側偏光素子80は、発光部10の波長変換素子13の蛍光体層14の発光面14sに設けられている。すなわち、入射側偏光素子80の偏光板82の入射面82aは、波長変換素子13の蛍光体層14の発光面14sに当接している。
【0042】
入射側偏光素子80が波長変換素子13に当接している状態は、Z方向で入射側偏光素子80と波長変換素子13との間に空間が略存在しないことを意味し、入射側偏光素子80と波長変換素子13との間に白色光WLのふるまいに影響を及ぼさない接着剤等が介在している状態も含む。接着剤は、特に限定されないが、白色光WLに対して高透過率、高耐光性、高耐熱性を有するものであることが好ましい。例えば、透明接着剤として、シリコン接着剤、紫外線硬化接着剤、熱硬化接着剤等が挙げられる。また、入射側偏光素子80と波長変換素子13は、互いに接着されず、Z方向で重ね合わされて化学的又は物理的に一体化されていてもよい。入射側偏光素子80と波長変換素子13とを化学的に重ね合わせる方法では、例えば偏光板82と蛍光体層14とをZ方向で重ねて冷却してもよい。入射側偏光素子80と波長変換素子13とを物理的に重ね合わせる方法では、例えば偏光板82と蛍光体層14とをZ方向で重ねて周縁部の少なくとも一部を不図示の固定部材で固定してもよい。
【0043】
第2実施形態のプロジェクターによれば、第1実施形態のプロジェクター101と同様の作用効果が得られる。また、第2実施形態のプロジェクターでは、入射側偏光素子80が発光部10の波長変換素子13に当接しているため、第1実施形態のように入射側偏光素子80が波長変換素子13に対して間隔をあけて配置される場合に比べて、入射側偏光素子80から反射されて波長変換素子13に入射する白色光WLの光量をさらに増やすことができる。
【0044】
[第3実施形態]
次いで、本発明の第3実施形態について、図4を用いて説明する。図示していないが、第3実施形態のプロジェクターは、第1実施形態のプロジェクター101と同様に、発光部10と、入射側偏光素子80と、ピックアップレンズ30と、平行化レンズ35と、光変調素子40と、射出側偏光素子50と、投射光学系70と、を備える。
【0045】
図4は、第3実施形態の発光部10及び入射側偏光素子80の構成及び光のふるまいを説明するための概略図である。図4に示すように、第3実施形態のプロジェクターでは、入射側偏光素子80として、ワイヤーグリッド偏光子84が用いられている。ワイヤーグリッド偏光子84は、例えば基材87と、複数の線部材88と、を有する。基材87は、波長変換素子13の蛍光体層14の発光面14sに平行な入射側の板面87aと射出側の板面87bを有する。基材87は、白色光WLに対する高い透過率と放熱性とを有する材質で形成され、例えば光学ガラスや石英(SiO)、放熱性に優れたサファイア、有機材料によって形成されている。複数の線部材88は、基材87の板面87bに互いに間隔をあけて設けられ、金属製である。
【0046】
第1実施形態と同様に、所定の偏光方向がY方向と平行である場合には、各々の線部材88は、X方向に延在している。複数の線部材88は、Y方向で互いに間隔dをあけて配置されている。間隔dは、Y方向で互いに隣り合う線部材88の中心間の距離である。複数の線部材88の周期は、間隔dに基づき、青色光BLのピーク波長の半値よりも小さいことが好ましい。青色光BLのピーク波長は、後述する特許請求の範囲に記載されている「第1光の所定の波長」に該当する。
【0047】
第3実施形態のプロジェクターによれば、第1実施形態のプロジェクター101と同様の作用効果が得られる。また、第3実施形態のプロジェクターでは、入射側偏光素子80がワイヤーグリッド偏光子84によって構成されるため、発光部10の波長変換素子13の蛍光体層14からの熱が金属製の複数の線部材88を介して、又は直接、基材87に受熱され、基材87から放熱される。このように波長変換素子13の熱を入射側偏光素子80を介して放熱することによって、第3実施形態のプロジェクターの放熱性を向上させることができる。
【0048】
[第4実施形態]
次いで、本発明の第4実施形態について、図5を用いて説明する。図示していないが、第4実施形態のプロジェクターは、第1実施形態のプロジェクター101と同様に、発光部10と、入射側偏光素子80と、ピックアップレンズ30と、平行化レンズ35と、光変調素子40と、射出側偏光素子50と、投射光学系70と、を備える。
【0049】
図5は、第4実施形態の発光部10及び入射側偏光素子80の構成及び光のふるまいを説明するための概略図である。図5に示すように、第4実施形態のプロジェクターにおいて、発光部10は、基板11と、光源12と、波長変換素子13と、ダイクロイックミラー16によって構成されている。ダイクロイックミラー16は、複数の光源12と波長変換素子13である蛍光体層14との間の青色光BLの光路上に配置されている。ダイクロイックミラー16において複数の光源12に向いている入射面16aと複数の光源12の発光面12sとは、Z方向で互いに間隔をあけて配置されている。蛍光体層14は、ダイクロイックミラー16において入射面16aとは反対側の射出面16bに設けられている。すなわち、蛍光体層14の入射面14aは、ダイクロイックミラー16の射出面16bに当接している。入射側偏光素子80は、蛍光体層14の発光面14sに設けられている。すなわち、入射側偏光素子80の偏光板82の入射面82aは、波長変換素子13の蛍光体層14の発光面14sに当接している。
【0050】
なお、第1実施形態では図2を参照して、蛍光体層14の発光面14sから入射側偏光素子80に向けて放射状に発せられる黄色光YLのふるまいを重点的に説明した。しかしながら、蛍光体層14は、複数の光源12から射出された青色光BLを励起光として、黄色光YLを全方向に射出する。すなわち、蛍光体層14は、光源12に向けても黄色光YLを発光する。第4実施形態において、ダイクロイックミラー16は、光源12から射出された青色光BL1を含む青色光BLを透過し、蛍光体層14から発光された黄色光YLのうちの光源12に向けて射出される黄色光YL6を反射する。黄色光YL6は、後述する特許請求の範囲に記載されている「第2光の少なくとも一部の光」に該当する。ダイクロイックミラー16によって反射された黄色光YL7の少なくとも一部は、蛍光体層14を透過し、第1実施形態で説明した黄色光YL1と同様の光路を進み、黄色光YL1と同様にふるまう。ダイクロイックミラー16によって反射された黄色光YL7の残部は、蛍光体層14において内部散乱される。
【0051】
ダイクロイックミラー16は、入射側偏光素子80によって反射されて蛍光体層14を透過した所定の偏光方向以外の偏光方向の黄色光YL3を反射する。ダイクロイックミラー16によって反射された黄色光YL8は、上述の黄色光YL7と同様の光路を進む。ダイクロイックミラー16は、黄色光YL3,YL6を含めて入射する黄色光YLを反射する。
【0052】
第4実施形態のプロジェクターによれば、第1実施形態のプロジェクター101と同様の作用効果が得られる。また、第4実施形態のプロジェクターは、光源12と波長変換素子13との間に配置されたダイクロイックミラー16をさらに備える。ダイクロイックミラー16は、青色光BLを透過し、黄色光YLの少なくとも一部の光を反射する。第4実施形態のプロジェクターによれば、入射側偏光素子80によって反射され、波長変換素子13を透過した黄色光YLをダイクロイックミラー16によって反射させるため、黄色光YLの利用効率を高めることができる。
【0053】
また、第4実施形態のプロジェクターでは、第2実施形態のプロジェクターと同様に、入射側偏光素子80が発光部10の波長変換素子13に当接しているため、第1実施形態のプロジェクター101に比べて、入射側偏光素子80から反射されて波長変換素子13に入射する白色光WLの光量を増やすことができる。
【0054】
なお、第4実施形態の変形例として、図5に破線で示すように、発光部10のダイクロイックミラー16の入射面16aに透光性部材18が設けられてもよい。透光性部材18は、ダイクロイックミラー16の入射面16aに平行な入射面18a及び射出面18bを有する。すなわち、透光性部材18の射出面18bは、ダイクロイックミラー16の入射面16aに当接している。透光性部材18の入射面18aは、Z方向で複数の光源12の発光面12sとは間隔をあけて配置されている。
【0055】
透光性部材18は、ダイクロイックミラー16と波長変換素子13の蛍光体層14と入射側偏光素子80を支持する役割を担っている。すなわち、透光性部材18は、ダイクロイックミラー16の支持部材である。特に、ダイクロイックミラー16のZ方向の大きさすなわち厚みは、例えば0.1mm程度であり、蛍光体層14や入射側偏光素子80よりも薄い。そのため、透光性部材18が設けられることによって、少なくともダイクロイックミラー16が安定して配置される。例えば、ダイクロイックミラー16は、透光性部材18の射出面18bにダイクロイックミラー16の材料の粉体を蒸着することによって、形成されてもよい。
【0056】
透光性部材18は、少なくとも青色光BLを透過する材質で形成され、青色光BL及び黄色光YLを含む可視波長帯の光に対して透光性を有する材質で形成されている。透光性部材18は、例えば光学ガラス、石英等で形成され、放熱性に優れたサファイアで形成されていてもよい。言い換えれば、透光性部材18として少なくとも青色光BLに対して透光性を有し、且つ放熱性の高い部材を用いることにって、第4実施形態の変形例のプロジェクターにおける発光部の放熱性を向上させることができる。
【0057】
なお、第4実施形態の変形例では、図5に示すダイクロイックミラー16と透光性部材18との配置が入れ替わってもよい。つまり、ダイクロイックミラー16が透光性部材18の入射面18aに設けられ、透光性部材18の射出面18bと波長変換素子13の蛍光体層14の入射面14aが互いに当接していてもよい。この場合には、透光性部材18は、少なくとも青色光BL及び黄色光YLに対して透光性を有する。このような構成であっても、上述の第4実施形態の変形例と同様の効果を得ることができる。
【0058】
[第5実施形態]
次いで、本発明の第5実施形態について、図6を用いて説明する。図示していないが、第5実施形態のプロジェクターは、第1実施形態のプロジェクター101と同様に、発光部10と、入射側偏光素子80と、ピックアップレンズ30と、平行化レンズ35と、光変調素子40と、射出側偏光素子50と、投射光学系70と、を備える。
【0059】
図6は、第5実施形態の発光部10、入射側偏光素子80及びピックアップレンズ30の構成及び光のふるまいを説明するための概略図である。図6に示すように、第5実施形態のプロジェクターでは、入射側偏光素子80は、基材85と、反射型の偏光層86と、を備える。基材85は、XY平面内で発光部10の波長変換素子13の蛍光体層14よりも大きく形成されている。基材85は、半球状或いはドーム状に形成され、Z方向沿って見たときに周縁から中心に近づくに従って蛍光体層14から離れるように凸である凸曲面を有する。基材85は、蛍光体層14から射出された白色光WLが入射する凸曲面85aと、基材85を透過した白色光WLが射出する凸曲面85bと、を有する。基材85は、白色光WLの可視波長帯の光に対して透光性を有する材質で形成され、例えば光学ガラス、石英、サファイア等で形成されている。なお、基材85は、形状を保持可能なフィルム状の基材であってもよい。
【0060】
反射型の偏光層86は、基材85の凸曲面85aに設けられている。偏光層86は、基材85に支持されることによって、XY平面内で基材85よりも小さく、且つ波長変換素子13の蛍光体層14よりも一回り大きく配置され、蛍光体層14を囲み、且つ蛍光体層14を覆っている。偏光層86は、蛍光体層14の発光面14sに向き合う入射面86aと、入射面86aとは反対側の射出面86bと、を有する。偏光層86の射出面86bは、基材85の凸曲面85aに当接している。偏光層86は、偏光板82と同様に、発光部10から発光された白色光WLのうちの所定の偏光方向の偏光を透過し、所定の偏光方向以外の偏光を反射する。偏光層86は、可視波長帯に感度を有する。
【0061】
第5実施形態のピックアップレンズ30は、入射側偏光素子80を透過した所定の偏光方向の白色光WLの光路上に配置され、入射側偏光素子80と図6では不図示の平行化レンズ35との間の白色光WLの光路上に配置されている。ピックアップレンズ30は、両凸レンズ21である。両凸レンズ21は、入射側偏光素子80から射出されて両凸レンズ21に入射する白色光WLの入射側及び射出側に凸である凸曲面を有する。
【0062】
発光部10の波長変換素子13の蛍光体層14において発光面14sの任意の位置の波源WS1から放射状に発光された黄色光YL1は、入射面86aから偏光層86に入射する。偏光層86に入射した白色光WLのうちの所定の偏光方向の黄色光YL2は、偏光層86及び基材85を透過し、ピックアップレンズ30に入射する。偏光層86に入射した白色光WLのうちの所定の偏光方向以外の偏光方向の黄色光YL3は、偏光層86によって反射され、蛍光体層14の発光面14sにおいて波源WS1に近い位置に照射される。発光面14sにおいて波源WS1に近い位置とは、波源WS1との距離が少なくとも波源WS1と黄色光YL1が偏光層86の入射面86aに照射された位置とのXY平面内での離間距離よりも短い位置を意味する。図示していないが、複数の光源12の発光面12sから射出された青色光BL1についても、前述の黄色光YL1と同様の光路を進む。
【0063】
入射側偏光素子80の偏光層86から蛍光体層14の発光面14sにおいて波源WS1に近い位置に照射された黄色光YL3は、蛍光体層14で内部散乱される。また、偏光層86から蛍光体層14の発光面14sにおいて黄色光YL3と略同様の位置に照射された青色光BL3は、蛍光体層14で励起光として作用し、蛍光体層14を再励起する。このことによって、波源WS1と略同様の位置から、黄色光YL4が射出される。黄色光YL4は、再び偏光層86に入射する。偏光層86に入射した黄色光YL4のうちの所定の偏光方向の偏光は、偏光層86及び基材85を透過し、ピックアップレンズ30に入射する。偏光層86に入射した黄色光YL4のうちの所定の偏光方向以外の偏光方向の黄色光YL10は、偏光層86によって反射され、蛍光体層14の発光面14sにおいて波源WS1に近い位置に照射される。
【0064】
上述のように入射側偏光素子80が波長変換素子13の蛍光体層14の発光面14sをドーム状に覆っているため、入射側偏光素子80によって蛍光体層14に向けて反射される黄色光YL及び青色光BLは、蛍光体層14の発光面14sにおいて波源WS1に近い位置に照射される。その結果、入射側偏光素子80によって反射され且つ所定の偏光方向以外の偏光方向の白色光WLは、蛍光体層14の発光面14sにおいて波源WS1に近い位置に集約される。
【0065】
第5実施形態のプロジェクターによれば、第1実施形態のプロジェクター101と同様の作用効果が得られる。また、第5実施形態のプロジェクターでは、入射側偏光素子80は、発光部10の波長変換素子13の蛍光体層14において光源12と対向する入射面14aとは反対側の発光面14sを覆うように、ドーム状に設けられている。このことによって、例えば第1実施形態で例示したように波長変換素子13の発光面と入射側偏光素子80の入射面及び射出面が互いに平行である場合に比べて、入射側偏光素子80によってXY平面において波長変換素子13の外側に反射されて損失する白色光WLを低減し、波長変換素子13から射出された後に反射型の入射側偏光素子80によって反射された白色光WLを波長変換素子13の蛍光体層14の発光面14sにより多く照射することができる。このことによって、第5実施形態のプロジェクターにおける光利用効率を向上させることができる。
【0066】
なお、図示していないが、第5実施形態の変形例として、複数の光源12と波長変換素子13との間に、第4実施形態で説明したダイクロイックミラー16と同様に作用するダイクロイックミラーが設けられてもよい。その場合には、入射側偏光素子80によって反射され、波長変換素子13を透過した黄色光YLをダイクロイックミラーによって反射させるため、黄色光YLの利用効率を高めることができる。また、前述の構成では、複数の光源12とダイクロイックミラーとの間、又はダイクロイックミラーと波長変換素子13との間に第4実施形態で説明した透光性部材18と同様に作用する透光性部材が設けられてもよい。そのことによって、ダイクロイックミラーを安定して配置することができる。
【0067】
[第6実施形態]
次いで、本発明の第6実施形態について、図7を用いて説明する。図示していないが、第6実施形態のプロジェクターは、第1実施形態のプロジェクター101と同様に、発光部10と、ピックアップレンズ30と、入射側偏光素子80と、平行化レンズ35と、光変調素子40と、射出側偏光素子50と、投射光学系70と、を備える。
【0068】
図7は、第6実施形態の発光部10、ピックアップレンズ30及び入射側偏光素子80の構成及び光のふるまいを説明するための概略図である。図7に示すように、第6実施形態の発光部10では、第2実施形態の発光部10と同様に、入射側偏光素子80は、発光部10の波長変換素子13の蛍光体層14の発光面14sに設けられている。すなわち、入射側偏光素子80の偏光板82の入射面82aは、波長変換素子13の蛍光体層14の発光面14sに当接している。
【0069】
第6実施形態のピックアップレンズ30は、発光部10の波長変換素子13から射出された黄色光YL及び青色光BLを含む白色光WLの光路上に配置され、波長変換素子13と入射側偏光素子80との間の白色光WLの光路上に配置されている。ピックアップレンズ30は、平凸レンズ33Aと、両凸レンズ33Bによって構成されている。平凸レンズ33Aは、XY平面に平行な平面と、波長変換素子13から射出されて平凸レンズ33Aに入射する白色光WLの射出側に凸である凸曲面と、を有する。両凸レンズ33Bは、平凸レンズ33Aから射出されて両凸レンズ33Bに入射する白色光WLの入射側及び射出側に凸である凸曲面を有する。
【0070】
第6実施形態の入射側偏光素子80は、ピックアップレンズ30から射出された白色光WLの光路上に配置され、波長変換素子13と図6では不図示の平行化レンズ35との間の白色光WLの光路上に配置されている。
【0071】
発光部10の波長変換素子13の蛍光体層14の発光面14sから拡散されて射出された白色光WLは、ピックアップレンズ30の平凸レンズ33Aに入射する。平凸レンズ33Aは、入射した白色光WLを凸曲面の形状等に応じてXY平面で拡大し、凸曲面から射出する。平凸レンズ33Aから射出された白色光WLは、両凸レンズ33Bに入射する。両凸レンズ33Bは、入射した白色光WLを凸曲面の形状等に応じてXY平面でさらに拡大し、射出側の凸曲面から射出する。
【0072】
ピックアップレンズ30から射出された白色光WLは、入射側偏光素子80の偏光板82に入射する。入射側偏光素子80に入射した白色光WLのうち、所定の偏光方向の偏光は、入射側偏光素子80を透過し、入射側偏光素子80から不図示の平行化レンズ35に向けて射出される。入射側偏光素子80に入射した白色光WLのうち、所定の偏光方向以外の偏光は、入射側偏光素子80によって反射され、ピックアップレンズ30を通ってXY平面で縮小され、蛍光体層14の発光面14sから波長変換素子13に入射する。入射側偏光素子80によって反射された所定の偏光方向以外の白色光WLは、波長変換素子13の蛍光体層14の発光面14sから入射側偏光素子80の偏光板82の入射面82aまでの白色光WLの光路と略同様の光路を逆向きに進む。
【0073】
前述の各実施形態で説明したように、入射側偏光素子80によって反射されて波長変換素子13に入射した白色光WLのうちの黄色光YLは蛍光体層14で内部散乱され、黄色光YLの一部は波長変換素子13からピックアップレンズ30に向けて射出される。入射側偏光素子80によって反射されて波長変換素子13に入射した白色光WLのうちの青色光BLは蛍光体層14で励起光として作用し、再励起によって発生した黄色光YLも波長変換素子13からピックアップレンズ30に向けて射出される。
【0074】
第6実施形態のプロジェクターでは、第1実施形態のプロジェクター101と同様の作用効果が得られる。また、第6実施形態のプロジェクターでは、入射側偏光素子80は、ピックアップレンズ30と平行化レンズ35との間の白色光WLの光路上に配置されている。第6実施形態のプロジェクターによれば、第1実施形態のプロジェクターのように入射側偏光素子80が発光部10の波長変換素子13とピックアップレンズ30との間の白色光WLの光路上に配置される場合に比べて、入射側偏光素子80を設置するスペースを広く確保し易く、入射側偏光素子80及び不図示の入射側偏光素子80の支持部材等を容易に設置することができる。
【0075】
また、第6実施形態のプロジェクターでは、第2実施形態のプロジェクターと同様に、入射側偏光素子80が発光部10の波長変換素子13に当接しているため、第1実施形態のプロジェクター101に比べて、入射側偏光素子80から反射されて波長変換素子13に入射する白色光WLの光量を増やすことができる。
【0076】
[第7実施形態]
次いで、本発明の第7実施形態について、図8を用いて説明する。図示していないが、第7実施形態のプロジェクターは、第6実施形態のプロジェクターと同様に、発光部10と、ピックアップレンズ30と、入射側偏光素子80と、平行化レンズ35と、光変調素子40と、射出側偏光素子50と、投射光学系70と、を備える。
【0077】
図8は、第7実施形態の発光部10、ピックアップレンズ30及び入射側偏光素子80の構成及び光のふるまいを説明するための概略図である。図8に示すように、第7実施形態の発光部10は、第4実施形態の変形例の発光部10と同様に、基板11と、光源12と、波長変換素子13と、ダイクロイックミラー16と、透光性部材18によって構成されている。すなわち、波長変換素子13の蛍光体層14の入射面14aは、複数の光源12の発光面12sとはZ方向で間隔をあけて配置されている。ダイクロイックミラー16及び透光性部材18は、複数の光源12と波長変換素子13との間の白色光WLの光路上に配置されている。透光性部材18の入射面18aは、複数の光源12の発光面12sとはZ方向で間隔をあけて配置されている。ダイクロイックミラー16は、透光性部材18の射出面18bに設けられている。入射側偏光素子80は、ダイクロイックミラー16の射出面16bに設けられている。透光性部材18の射出面18bとダイクロイックミラー16の入射面16aとは互いに当接し、ダイクロイックミラー16の射出面16bと蛍光体層14の入射面14aとは互いに当接している。
【0078】
第7実施形態のプロジェクターでは、第6実施形態のプロジェクターと同様の作用効果が得られる。また、第7実施形態のプロジェクターでは、光源12と波長変換素子13との間に配置されたダイクロイックミラー16をさらに備えるため、入射側偏光素子80によって反射されて波長変換素子13を透過した黄色光YLをダイクロイックミラー16によって反射し、黄色光YLの利用効率及び第6実施形態のプロジェクターにおける光利用効率を高めることができる。また、第7実施形態のプロジェクターでは、ダイクロイックミラー16の入射面16aに透光性部材18が設けられることによって、ダイクロイックミラー16及び蛍光体層14が安定して配置される。透光性部材18として少なくとも青色光BLに対して透光性を有し、且つ放熱性の高い部材を用いることにって、第7実施形態のプロジェクターにおける発光部10の放熱性を向上させることができる。
【0079】
[第8実施形態]
次いで、本発明の第8実施形態について、図9を用いて説明する。図示していないが、第8実施形態のプロジェクターは、第6実施形態のプロジェクターと同様に、発光部10と、ピックアップレンズ30と、入射側偏光素子80と、平行化レンズ35と、光変調素子40と、射出側偏光素子50と、投射光学系70と、を備え、位相差板90をさらに備える。
【0080】
図9は、第8実施形態の発光部10、ピックアップレンズ30、位相差板90及び入射側偏光素子80の構成及び光のふるまいを説明するための概略図である。図9に示すように、位相差板90は、ピックアップレンズ30の両凸レンズ33Bと入射側偏光素子80の偏光板82との間の白色光WLの光路上に配置されている。位相差板90は、両凸レンズ33Bから射出された非直線偏光の白色光WLに所定の位相差を付与可能な部材であれば特に限定されないが、例えば1/4波長板であることが好ましい。第8実施形態では、位相差板90が1/4波長板92であると想定して説明する。
【0081】
ピックアップレンズ30から射出された白色光WLは、入射側偏光素子80に入射する前に位相差板90に入射する。位相差板90は、入射した白色光WLに所定の位相差を与え、白色光WLを当該位相差に応じた偏光方向の偏光に変換する。位相差板90が1/4波長板92であるため、所定の位相差は入射波長の1/4、すなわちπ/2である。例えば、位相差板90の1/4波長板92にP偏光又はS偏光の白色光WLが入射すると、1/4波長板92は入射した白色光WLを楕円偏光又は円偏光の白色光WLに変換し、楕円偏光又は円偏光の白色光WLを射出する。
【0082】
発光部10における複数の光源12から射出される青色光BLの非直線偏光のランダム度合いが高く、且つ波長変換素子13の蛍光体層14の偏光変換機能が低く、蛍光体層14から射出される白色光WLのランダム度合いが蛍光体層14に入射する青色光BLや黄色光YLと同様に高い場合には、先ず、ランダム度合いの高い非直線偏光の白色光WLが入射面92aから位相差板90の1/4波長板92に入射し、白色光WLにπ/2の位相差が与えられる。1/4波長板92は、直線偏光の白色光WLを射出する。この場合に、1/4波長板92から射出される大部分の直線偏光の白色光WLの偏光方向が入射側偏光素子80の偏光板82が透過する光の所定の偏光方向と略同等であるように、1/4波長板92の図示略の進相軸又は遅相軸が適切に配置されることが好ましい。このことによって、入射側偏光素子80を透過する所定の偏光方向の白色光WLの光量が増える。
【0083】
1/4波長板92から射出された白色光WLが入射側偏光素子80の偏光板82に入射すると、入射した白色光WLのうちの所定の偏光方向の偏光が偏光板82を透過し、図9では不図示の平行化レンズ35に向けて射出される。偏光板82に入射した白色光WLのうちの所定の偏光方向以外の偏光が偏光板82によって反射され、1/4波長板92に入射する。
【0084】
偏光板82によって反射されて1/4波長板92に入射した白色光WLO2は1/4波長板92を通り、白色光WLO2にπ/2の位相差が与えられる。例えば、白色光WLO2の大部分がXY平面内で所定の偏光方向に直交する直線偏光であれば、白色光WLO2は1/4波長板92によって楕円偏光を含む円偏光に変換される。1/4波長板92は、偏光板82によって反射された白色光WLO2の偏光状態に応じた白色光WL、すなわち偏光板82によって反射された白色光WLO2にπ/2の位相差を与えた後の白色光WLをピックアップレンズ30に向けて射出する。1/4波長板92からピックアップレンズ30に向けて射出された白色光WLは、波長変換素子13からピックアップレンズ30を通って1/4波長板92に入射する白色光WLと略同様の光路を逆向きに進み、ピックアップレンズ30によってXY平面で縮小され、波長変換素子13の蛍光体層14に発光面14sから入射する。
【0085】
上述の各実施形態でも説明したように、発光面14sから蛍光体層14に入射した白色光WLのうちの青色光BLは励起光として作用し、黄色光YLが発生する。発光面14sから蛍光体層14に入射した白色光WLのうちの黄色光YLは蛍光体層14で内部散乱される。前述のように蛍光体層14の偏光変換機能が低いため、白色光WLO2に起因して蛍光体層14の発光面14sからピックアップレンズ30に射出される白色光WLの偏光状態は、白色光WLO2に起因して蛍光体層14に入射する白色光WLの偏光状態と略同様である。
【0086】
白色光WLO2に起因して蛍光体層14からピックアップレンズ30に射出された白色光WLは、ピックアップレンズ30を通り、1/4波長板92に入射する。1/4波長板92に入射した白色光WLに対して、π/2の位相差が与えられる。その後、1/4波長板92から射出された白色光WLが入射側偏光素子80の偏光板82に入射する。入射した白色光WLのうちの所定の偏光方向の偏光が偏光板82を透過し、所定の偏光方向以外の偏光が偏光板82によって反射される。例えば、白色光WLO2の大部分がXY平面内で所定の偏光方向に直交する直線偏光であれば、白色光WLO2に起因して蛍光体層14から射出されて1/4波長板92に入射した白色光WLは1/4波長板92によって所定の偏光方向の直線偏光に変換される。このように1/4波長板92によって所定の偏光方向の直線偏光に変換された白色光WLの大部分は、偏光板82を透過する。
【0087】
偏光板82によって2回目に反射された所定の偏光方向以外の白色光WLO4は、XY平面で白色光WLO2とは異なる位置の光路上を、Z方向で白色光WLO2及び白色光WLO2に起因する白色光WLと同様に進む。
【0088】
図10は、第1実施形態から第8実施形態の何れか一実施形態のプロジェクターにおいて、1次から6次までの各々の白色光WLに含まれる黄色光YL及び青色光BLの有効利用効率を数値シミュレーションによって算出した一例を示すグラフである。なお、1次の黄色光YL及び青色光BLの有効利用効率とは、入射側偏光素子80を最初にすなわち1回目に透過する黄色光YL及び青色光BLの有効利用効率を表す。2次から6次までの各々の黄色光YL及び青色光BLの有効利用効率とは、入射側偏光素子80によって反射された後に入射側偏光素子80を2回目から6回目までの各々に透過する黄色光YL及び青色光BLの有効利用効率を表す。図10には、参考として、第1実施形態から第8実施形態のプロジェクターにおいて発光部10よりも後段の白色光WLの光路上に入射側偏光素子80が配置されない場合の構成を想定し、1次の白色光WLO1から6次の白色光WLO6までの各々の白色光WLに含まれる青色光BL及び黄色光YLの有効利用効率を算出した結果が示されている。
【0089】
図10の「光源直後の反射偏光板有」は、第1実施形態から第8実施形態のプロジェクターのように入射側偏光素子80が設けられた構成での算出結果を示す。図10の「光源直後の反射偏光板無」は、入射側偏光素子80が設けられていない参考例の構成での算出結果を示す。なお、図10の「光源直後」は、波長変換素子13である蛍光体層14を介して光源12の後段且つ波長変換素子13以外の例えばピックアップレンズ30等の構成要素の前段を意味する。また、図10の「光源直後の反射偏光板有」及び「光源直後の反射偏光板無」の何れの場合においても、第1実施形態で説明したように平行化レンズ35と液晶素子43との間に吸収型の偏光素子が配置されているものと想定した。具体的には、本計算において、入射側偏光素子80としてワイヤーグリッド偏光子84が用いられ、ワイヤーグリッド偏光子84の反射軸と不図示の吸収型の偏光素子の吸収軸を揃えた。
【0090】
図10に示すように、1次の黄色光YLの有効利用効率は、2次以上の高次の黄色光YLの有効利用効率よりも高い。入射側偏光素子80が設けられているプロジェクターでは、発光部10の直後の白色光WLの光路上に入射側偏光素子80として反射型の偏光板82或いはワイヤーグリッド偏光子84が配置されているため、入射側偏光素子80によって反射された、より多くの光量の白色光WLが発光部10に戻り、波長変換素子13に入射し、内部散乱される。このことによって、2次の黄色光YLの有効利用効率は、1次の黄色光YLの有効利用効率よりは低いが、ある程度得られる。次数が高くなるに従って黄色光YLの有効利用効率は減少するが、黄色光YLの有効利用効率は凡そ2次関数的に減少し、例えば2次から5次までの黄色光YLが入射側偏光素子80よりも後段に配置されている光変調素子40において有効利用可能である。
【0091】
一方、入射側偏光素子80が設けられていない参考例では、1次の黄色光YLの有効利用効率は、入射側偏光素子80が設けられているプロジェクターの構成に比べて、入射側偏光素子80における光損失の分だけ高い。しかしながら、入射側偏光素子80が設けられていない参考例では、平行化レンズ35と液晶素子43との間に配置された吸収型の偏光板によって白色光WLの一部の偏光が吸収され、少なくとも白色光WLが発光部10には戻らず、波長変換素子13に入射しない。このことによって、2次の黄色光YLの有効利用効率は、略0%になる。すなわち、入射側偏光素子80が設けられていない参考例では、2次以上の高次の黄色光YLが光変調素子40において有効利用されない。入射側偏光素子80が設けられていない参考例では、全次数で積算すると、第1実施形態から第8実施形態で説明したように入射側偏光素子80が設けられているプロジェクターの構成に比べて黄色光YLの有効利用効率が低いことがわかる。
【0092】
第1実施形態で説明したように通常用いられる色度を有する白色光WLであれば、光源12から射出されて波長変換素子13を透過する青色光BLの光量は、波長変換素子13から射出される黄色光YLの光量よりも相対的に少ない。そのため、1次の青色光BLの有効利用効率は、1次の黄色光YLの有効利用効率よりも低い。しかしながら、2次以上の高次において、次数が高くなることに伴う青色光BLの有効利用効率の変化は、黄色光YLの有効利用効率の変化と同様である。すなわち、入射側偏光素子80が設けられているプロジェクターでは、次数が高くなるに従って青色光BLの有効利用効率が減少するが、青色光BLの有効利用効率は凡そ2次関数的に減少し、例えば2次から4次までの青色光BLが入射側偏光素子80よりも後段に配置されている光変調素子40において有効利用可能である。一方、入射側偏光素子80が設けられていない参考例では、2次以上の高次の青色光BLが光変調素子40において有効利用されない。入射側偏光素子80が設けられていない参考例では、全次数で積算すると、入射側偏光素子80が設けられているプロジェクターの構成に比べて青色光BLの有効利用効率も低いことがわかる。なお、本計算に際して、入射側偏光素子80としてワイヤーグリッド偏光子84を想定したが、上述の複数の実施形態で説明したように入射側偏光素子80として偏光板82が用いられる場合を想定しても、同様の結果が得られる。すなわち、本計算によって確認された効果は、入射側偏光素子80が偏光板82及びワイヤーグリッド偏光子84の何れであっても共通し、第1実施形態から第8実施形態の実施形態のプロジェクターによって共通して発揮される効果であるといえる。
【0093】
以上説明した第8実施形態のプロジェクターでは、第6実施形態のプロジェクターと同様の作用効果が得られる。第8実施形態のプロジェクターは、波長変換素子13と入射側偏光素子80との間に配置された位相差板90をさらに備える。位相差板90は、入射した白色光WLに所定の位相差を与える。第8実施形態のプロジェクターによれば、入射側偏光素子80によって反射された光に起因して波長変換素子13から射出された光の位相が位相差板90によって変調されるため、入射側偏光素子80での青色光BL及び黄色光YLの有効利用効率すなわち透過率の大幅な低減を抑えることができる。
【0094】
また、第8実施形態のプロジェクターでは、位相差板90は1/4波長板92である。第8実施形態のプロジェクターでは、入射側偏光素子80によって反射された白色光WLのうちのXY平面で所定の偏光方向に直交する偏光方向を有する白色光WLに含まれる青色光BL及び黄色光YLに対して、各々の発光波長の1/4、すなわちπ/2の位相差を与える。所定の偏光方向に直交する偏光方向を有する白色光WLに起因して波長変換素子13から射出された白色光WLに対しても、入射側偏光素子80によってπ/2の位相差を与える。第8実施形態のプロジェクターによれば、入射側偏光素子80によって所定の偏光方向に直交する偏光方向を有する白色光WLに起因して波長変換素子13から射出された白色光WLを所定の偏光方向の偏光に変換し、入射側偏光素子80を透過させることができる。すなわち、第8実施形態のプロジェクターによれば、位相差板90として1/4波長板92が用いられるため、入射側偏光素子80での青色光BL及び黄色光YLの有効利用効率すなわち透過率の大幅な低減を好適に抑えることができる。
【0095】
なお、位相差板90として1/4波長板92が好ましい旨を説明したが、位相差板90は、入射側偏光素子80によって反射された光に起因して波長変換素子13から射出された光の位相を少しでも変調することができればよい。位相差板90が入射する光の位相を少しでも変調することができれば、第8実施形態のプロジェクターによる上述の効果が少なからず得られる。位相差板90は、例えば所定の厚みを有する水晶板であってもよい。所定の厚みが決まると、水晶板に入射する光の波長に応じて光に与えられる位相差が算出される。そのため、位相差板90に求められる所定の位相差と、青色光BLの発光波長、及び黄色光YLの発光波長等を考慮して、水晶板の所定の厚みを設定することができる。
【0096】
また、第8実施形態のプロジェクターでは、発光部10の波長変換素子13の偏光変換機能が低い場合に、上述のように入射側偏光素子80での青色光BL及び黄色光YLの透過率の大幅な低減を抑えることができるという効果が顕著に発揮される。第8実施形態のプロジェクターを含めて上述の実施形態では、発光部10の光源12から非直線偏光の青色光BLが射出される。そのため、例えば波長変換素子13に入射する光の5割以下が直線偏光、或いは非直線偏光以外の特定の偏光状態にされる場合、好ましくは波長変換素子13に入射する光の2割以下が非直線偏光以外の特定の偏光状態にされる場合に、第8実施形態のプロジェクターの構成を採用することによって、入射側偏光素子80での青色光BL及び黄色光YLの透過率の大幅な低減を確実に抑えることができる。
【0097】
図示していないが、第8実施形態の変形例として、位相差板90は入射側偏光素子80に当接していてもよい。具体的には、位相差板90の1/4波長板92の射出面92bは、入射側偏光素子80の偏光板82の入射面82aに当接していてもよい。第8実施形態の変形例のプロジェクターによれば、第8実施形態のプロジェクターの上述の効果に加えて、入射側偏光素子80での青色光BL及び黄色光YLの透過率を安定させることができるという効果が得られる。
【0098】
[第9実施形態]
次いで、本発明の第9実施形態について、図11を用いて説明する。図示していないが、第9実施形態のプロジェクターは、第1実施形態のプロジェクターと同様に、発光部10と、入射側偏光素子80と、ピックアップレンズ30と、平行化レンズ35と、光変調素子40と、射出側偏光素子50と、投射光学系70と、を備え、位相差板90と、ロッド部材200と、をさらに備える。
【0099】
図11は、第9実施形態の発光部10、位相差板90、入射側偏光素子80及びロッド部材200の構成及び光のふるまいを説明するための概略図である。図11に示すように、位相差板90は、発光部10の波長変換素子13の蛍光体層14と入射側偏光素子80の偏光板82との間の白色光WLの光路上に配置されている。位相差板90は、波長変換素子13から射出された非直線偏光の白色光WLに位相差を付与可能な部材であれば特に限定されないが、例えば1/4波長板であることが好ましい。第8実施形態と同様に、位相差板90は、例えば1/4波長板92である。
【0100】
ロッド部材200は、少なくとも複数の光源12の全体のXY平面での周縁12rと入射側偏光素子80の偏光板82のXY平面での周縁82rとをZ方向及び白色光WLの光路に沿って接続する部材であり、例えば筒状の部材である。複数の光源12の周縁12rは、後述する特許請求の範囲に記載されている「光源の周縁」に該当する。なお、発光部10が1つの光源12を備える場合には、「光源の周縁」は、1つの光源12の周縁を意味する。発光部10が複数の光源12を備える場合には、「光源の周縁」は、基板11の板面11bにおいて複数の光源12が占める領域の周縁を意味する。
【0101】
ロッド部材200は、XY平面で少なくとも複数の光源12と入射側偏光素子80とを囲むように設けられている。第1実施形態で説明したように発光部10において、各々の光源12から青色光BLが放射状に射出されることをふまえ、波長変換素子13の蛍光体層14は、XY平面で基板11の板面11bにおいて複数の光源12が占める領域よりも大きく形成され、例えば基板11と同等の大きさを有する。第9実施形態では、ロッド部材200は、基板11のXY平面での周縁11rと入射側偏光素子80の偏光板82の周縁82rとを白色光WLの光路に沿って接続する。なお、白色光WLがXY平面でロッド部材200の外側に漏れる、或いは乱反射等を発生させなければ、ロッド部材200の内壁面200wは、基板11の周縁11r、蛍光体層14の周縁14r、及び偏光板82の周縁82rと僅かに間隔をあけて配置されてもよい。
【0102】
第1実施形態で説明したように発光部10において、波長変換素子13から青色光BL及び黄色光YLが放射状に射出されることをふまえ、XY平面において、位相差板90及び入射側偏光素子80は波長変換素子13よりも大きく形成され、入射側偏光素子80は位相差板90よりも大きく形成されている。そのため、ロッド部材200の内壁面200wで囲まれる空間は、光源12から入射側偏光素子80に向かってZ方向に沿って進むに従って拡大する。内壁面200wで囲まれる空間が前述のように拡大するように形成されれば、ロッド部材200の形状及び大きさは特に限定されない。
【0103】
ロッド部材200の内壁面200wは、白色光WLを反射する。そのため、ロッド部材200は、白色光WLを反射可能な材質で形成されていてもよい。或いは、ロッド部材200が上述のように基板11の周縁11rと偏光板82の周縁82rとを白色光WLの光路に沿って接続するように任意の材質で形成された基材を備え、基材の内壁面に白色光WLを反射可能な反射膜が設けられてもよい。
【0104】
波長変換素子13の蛍光体層14の発光面14sの外周部分の波源WS1から射出された白色光WLは、位相差板90に入射する。位相差板90は、入射した白色光WLに所定の位相差を与える。位相差板90から射出された白色光WLは、入射側偏光素子80に入射する。入射側偏光素子80に入射した白色光WLのうち、所定の偏光方向の偏光は入射側偏光素子80を透過し、所定の偏光方向以外の偏光は入射側偏光素子80によって反射される。入射側偏光素子80を透過した所定の偏光方向の偏光は、図11には示されていない平行化レンズ35に入射する。
【0105】
特に、XY平面で外側に発散する方向に沿って入射側偏光素子80に入射した白色光WLについて、所定の偏光方向以外の偏光は、入射側偏光素子80によって反射され、入射側偏光素子80の偏光板82の入射面82aからXY平面でさらに発散する方向に沿って射出される。このように偏光板82の入射面82aから発散する方向に沿って射出された白色光WLは、ロッド部材200の内壁面200wに照射され、内壁面200wによって反射される。内壁面200wによって反射された白色光WLは、XY平面で内側に集束する方向に沿って射出され、位相差板90を通り、所定の位相差を与えられ、偏光変換される。偏光変換されて位相差板90から射出された白色光WLは、発光面14sから蛍光体層14に入射し、内部散乱される。位相差板90から蛍光体層14に入射した白色光WLの入射位置の近傍を波源WS2として、白色光WLが波源WS2から射出される。
【0106】
波源WS2から射出された白色光WLのうち、Z方向に対して広角に射出された一部の白色光WLは、位相差板90に入射する前にロッド部材200の内壁面200wに照射され、内壁面200wによって反射される。内壁面200wによって反射された白色光WLは、位相差板90を通り、所定の位相差を与えられ、偏光変換される。偏光変換されて位相差板90から射出された白色光WLは、入射側偏光素子80に入射する。入射側偏光素子80に入射した白色光WLのうち、所定の偏光方向の偏光は入射側偏光素子80を透過し、所定の偏光方向以外の偏光は入射側偏光素子80によって反射される。入射側偏光素子80を透過した所定の偏光方向の偏光は、図11には示されていない平行化レンズ35に入射する。入射側偏光素子80によって反射された所定の偏光方向以外の偏光は、上述と同様にふるまう。このとき、偏光板82の入射面82aからXY平面で発散する方向に沿って射出された一部の白色光WLは、ロッド部材200の内壁面200wに照射され、内壁面200wによって反射される。内壁面200wによって反射された白色光WLは、XY平面で集束する方向に沿って射出され、結果として発光面14sから蛍光体層14に入射する。
【0107】
入射側偏光素子80の偏光板82の入射面82aの外周部分からXY平面で発散する方向に沿って射出された白色光WL、或いは波源WS1,WS2からXY平面で偏光板82の入射面82aに照射可能な領域よりも外側へ広角に射出された白色光WLは、ロッド部材200の内壁面200wによって反射されなければ、発光部10及び入射側偏光素子80よりも外側の領域に放出される。したがって、ロッド部材200が設けられることによって、偏光板82の入射面82aの外周部分から発散する方向に沿って射出された白色光WLや波源WS1,WS2から偏光板82の入射面82aよりも外側に向けて広角に射出された白色光WLの少なくとも一部が波長変換素子13に戻される。その結果、前述の白色光WLの少なくとも一部が入射側偏光素子80の偏光板82の射出面82bから平行化レンズ35に向けて射出され、有効に利用される。
【0108】
以上説明した第9実施形態のプロジェクターでは、第1実施形態のプロジェクターと同様の作用効果が得られる。第9実施形態のプロジェクターは、光源12と入射側偏光素子80との間を接続するロッド部材200を備える。ロッド部材200は、少なくとも光源12と入射側偏光素子80とを囲むように設けられている。ロッド部材200の内壁面200wに照射される白色光WLは、内壁面200wによって反射される。第9実施形態のプロジェクターによれば、光源12及び波長変換素子13と入射側偏光素子80との間の領域においてXY平面で発散する白色光WLをロッド部材200を用いて集束させるため、白色光WLの損失を抑えることができる。
【0109】
また、第9実施形態のプロジェクターでは、位相差板90は1/4波長板92である。第9実施形態のプロジェクターによれば、入射側偏光素子80によって所定の偏光方向に直交する偏光方向を有する白色光WLに起因して波長変換素子13から射出された白色光WLを所定の偏光方向の偏光に変換し、入射側偏光素子80を透過させることができる。すなわち、第9実施形態のプロジェクターによれば、第8実施形態のプロジェクターと同様に、入射側偏光素子80での青色光BL及び黄色光YLの有効利用効率すなわち透過率の大幅な低減を好適に抑えることができる。
【0110】
なお、好適な位相差板90は1/4波長板92であるが、第8実施形態で説明したように、位相差板90は例えば所定の厚みを有する水晶板であってもよい。
【0111】
また、第9実施形態のプロジェクターでは、発光部10の波長変換素子13の偏光変換機能が高く、位相差板90が配置されなくても所定の偏光方向に直交する偏光方向を有する白色光WLに起因して波長変換素子13から射出された白色光WLが所定の偏光方向の偏光に変換される場合には、位相差板90は省略されてもよい。
【0112】
また、上述では、筒状に形成された中空材であるロッド部材200を例示したが、ロッド部材200は、Z方向における波長変換素子13と位相差板90との間を満たす中実材と、位相差板90と入射側偏光素子80との間を満たす中実材によって構成されてもよい。図示していないが、中実材であるロッド部材200の材質は、白色光WLを透過し、白色光WLの偏光方向に影響を与えない材質である。なお、中実材であるロッド部材200の屈折率が白色光WLに対して全反射条件を満たせば、ロッド部材200のXY平面の外壁面に必ずしも反射膜が設けられなくてもよい。
【0113】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、複数の実施形態及び実施形態の変形例の構成は適宜組み合わせられてもよい。
【0114】
例えば、第7実施形態のプロジェクターにおいて、位相差板90が図8に示すピックアップレンズ30の両凸レンズ33Bと入射側偏光素子80の偏光板82との間の白色光WLの光路上に配置されてもよい。また、位相差板90は、波長変換素子13の蛍光体層14とピックアップレンズ30の平凸レンズ33Aとの間の白色光WLの光路上に配置されてもよい。
【0115】
また、入射側偏光素子80は、平行化レンズ35の前段且つ近傍の白色光WLの光路上に配置されてもよい。さらに、図1には、Z方向に沿って光学系が略直線状に構成されたプロジェクター101を例示したが、上述の各実施形態のプロジェクターにおいて、白色光WL及び画像光IMの光路上に適宜反射部材や偏向部材が配置され、光学系が直線状以外の形状に構成されてもよい。例えば、上述の各実施形態のプロジェクターにおいて、光学系がL字状に構成されてもよい。
【0116】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)第1光を発光する光源と、第1光が照射され、第1光とは異なる発光波長を有する第2光を発光する波長変換素子と、波長変換素子を透過した第1光の光束と波長変換素子から発光された第2光の光束とを拡大する光学系と、光学系によって拡大化された光を平行化する平行化レンズと、平行化レンズによって平行化された光が入射し、入射した光を変調して画像光を生成する光変調素子と、光変調素子から射出された画像光が入射する射出側偏光素子と、射出側偏光素子から射出された画像光を投射する投射レンズと、所定の偏光方向の偏光を透過し、所定の偏光方向以外の偏光を反射する入射側偏光素子と、を備え、入射側偏光素子には非直線偏光が入射し、第2光の光路上において、入射側偏光素子は光源と平行化レンズとの間に配置されている、プロジェクター。
【0117】
付記1の構成により、平行化レンズよりも光源に近い領域で非直線偏光を直線偏光に変換し、従来のプロジェクターに比べて平行化レンズに照射される光量を低減することができる。そのため、光が入射することによる平行化レンズの劣化を低減し、平行化レンズの変質を防止することができる。
【0118】
(付記2)入射側偏光素子は波長変換素子と前記光学系との間に配置されている、付記1のプロジェクター。
【0119】
付記2の構成により、入射側偏光素子の小型化を図ることができる。また、ピックアップレンズ等を含む光学系よりも光源に近い領域に入射側偏光素子が配置されるため、入射側偏光素子によって反射された光の多くの部分を波長変換素子に照射することができる。
【0120】
(付記3)波長変換素子は蛍光体層を有し、蛍光体層において光源と対向する面とは反対側の面と入射側偏光素子の入射側の面とは互いに平行である、付記2のプロジェクター。
【0121】
付記3の構成により、入射側偏光素子によって反射された光を波長変換素子に照射し、光利用効率を高めることができる。
【0122】
(付記4)入射側偏光素子は波長変換素子に当接している、付記2又は3のプロジェクター。
【0123】
付記4の構成により、入射側偏光素子によって反射された光をより多く波長変換素子に照射し、光利用効率をさらに高めることができる。
【0124】
(付記5)入射側偏光素子はワイヤーグリッド偏光子であり、ワイヤーグリッド偏光子の周期は第1光の所定の波長の半分よりも短い、付記4のプロジェクター。
【0125】
付記5の構成により、波長変換素子の熱をワイヤーグリッド偏光子を介して放熱することができる。
【0126】
(付記6)光源と波長変換素子との間に配置され、第1光を透過し、少なくとも一部の第2光を反射するダイクロイックミラーを備える、付記2から5の何れか一つのプロジェクター。
【0127】
付記6の構成により、入射側偏光素子によって反射された後に波長変換素子に入射されて波長変換素子を透過した光を入射側偏光素子に向けて反射し、プロジェクターにおける光利用効率を向上させることができる。
【0128】
(付記7)光源とダイクロイックミラーとの間に配置された透光性部材を備える、付記6のプロジェクター。
【0129】
付記7の構成により、例えばダイクロイックミラーの材料を透光性部材の表面に蒸着する等の製造方法を採用し、ダイクロイックミラーを透光性部材の表面に安定して保持させることができる。また、透光性部材が優れた放熱性を有する場合には、ダイクロイックミラーの熱を良好に放熱することができる。
【0130】
(付記8)入射側偏光素子は波長変換素子において光源と対向する面とは反対側の面を覆うように設けられている、付記2に記載のプロジェクター。
【0131】
付記8の構成により、波長変換素子から射出された後に入射側偏光素子によって反射された光をより多く波長変換素子に照射することができる。
【0132】
(付記9)入射側偏光素子は光学系と平行化レンズとの間に配置されている、付記1のプロジェクター。
【0133】
付記9の構成により、プロジェクターにおいて、入射型偏光素子の設置スペースを広く確保し、入射型偏光素子の設置位置の自由度を高めることができる。
【0134】
(付記10)光源と波長変換素子との間に配置され、第1光を透過し、少なくとも一部の第2光を反射するダイクロイックミラーを備える、付記9に記載のプロジェクター。
【0135】
付記10の構成により、プロジェクターにおける入射側偏光素子の設置スペースが広く確保されるため、入射側偏光素子を容易に設置することができる。また、入射側偏光素子によって反射された後に波長変換素子13に入射して波長変換素子13を透過する光をダイクロイックミラーによって反射し、プロジェクターにおける光利用効率を向上させることができる。
【0136】
(付記11)波長変換素子と入射側偏光素子との間に配置された位相差板を備える、付記1から10の何れか一つのプロジェクター。
【0137】
付記11の構成により、入射側偏光素子によって反射された後に波長変換素子から射出された光の位相を変調し、入射側偏光素子での第1光及び第2光の透過率の低減を抑制することができる。
【0138】
(付記12)位相差板は入射側偏光素子に当接している、付記11のプロジェクター。
【0139】
付記12の構成により、入射側偏光素子での第1光及び第2光の透過率を安定させることができる。
【0140】
(付記13)位相差板は、1/4波長板である、付記11又は12のプロジェクター。
【0141】
付記13の構成により、入射側偏光素子によって反射された光のうちの所定の偏光方向に直交する偏光方向を有する光の入射側偏光素子での透過率を高めることができる。その結果、入射側偏光素子での第1光及び第2光の透過率の大幅な低減を効率良く抑制することができる。
【0142】
(付記14)光路に沿って光源の周縁と入射側偏光素子の周縁との間を接続し、少なくとも光源と入射側偏光素子を囲むように設けられ、内壁面に照射される光を反射するロッド部材を備える、付記11のプロジェクター。
【0143】
付記14の構成により、波長変換素子から入射側偏光素子までの間の発散光をロッド部材によって反射するとともに集束させるため、波長変換素子から入射側偏光素子までの間の領域での光の損失を抑えることができる。
【符号の説明】
【0144】
12…光源、13…波長変換素子、30…ピックアップレンズ、35…平行化レンズ、40…光変調素子、50…射出側偏光素子、70…投射光学系(投射レンズ)、80…入射側偏光素子、90…位相差板、101…プロジェクター、200…ロッド部材、BL…青色光(第1光)、YL…黄色光(第2光)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-11-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
近年、色光から当該色の画像光を生成する光変調素子として1枚の液晶パネルを備える
プロジェクター、すなわち単板式のプロジェクターが知られている。例えば、特許文献1
に開示されている単板式のプロジェクターでは、2枚のフレネルレンズのうち、光源の近
くに配置されている入射側のフレネルレンズと液晶パネルとの間に、反射型の偏光板が設
けられている。光源から射出される光がコンデンサーレンズ及び入射側のフレネルレンズ
を介して反射型の偏光板に入射すると、入射光のうちの所定の偏光方向の偏光が偏光板を
透過し、液晶パネルに入射し、画像光に変調される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
図1に示すように、プロジェクター101は、発光部10と、ピックアップレンズ30
と、平行化レンズ35と、光変調素子40と、射出側偏光素子50と、投射光学系70と
、入射側偏光素子80と、を備える。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
吸収型の偏光素子としては、例えば、ポリビニルアルコール(Polyvinyl A
lcohol;PVA)系フィルムを一方向に延伸し、ヨウ素を吸着・分散させた偏光フ
ィルム、化学処理を施して二色性を持たせたPVAフィルムを一方向に延伸した偏光フィ
ルム、PVA系フィルムに金、銀、銅、水銀、鉄等の金属を吸着させたPVA・金属系偏
光フィルム、PVA系フィルムをヨウ化カリとチオ硫酸ソーダを含むホウ酸溶液で処理し
た近紫外偏光フィルム、及び分子内にカチオン基を含有する変成PVAからなるPVA系
フィルムの表面及び内部の少なくとも一方に二色性染料を有する偏光素子を用いることが
できる。吸収型の偏光素子の透過軸は、後述する入射側偏光素子80の透過軸と方向が互
いに一致していることが好ましい。このことにより、入射偏光素子80を透過した光束
の偏光状態がずれた場合、このずれたノイズを吸収型の偏光素子により、吸収することが
できる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
射出側偏光素子50から射出された画像光IMの光路上に、集光レンズ60が設けられ
ている。集光レンズ60は、射出側偏光素子50から射出された画像光IMをZ方向に沿
って集光する。集光レンズ60は、例えば画像光IMの射出側に凸であるレンズ面すなわ
ち位相変調面を有するフレネルレンズ62である。フレネルレンズ62が用いられること
によって、集光レンズ60の直径が大きくても、集光レンズ60の厚みが抑えられる。集
光レンズ60から射出された画像光IMは、後述する特許請求の範囲に記載されている「
射出側偏光素子から射出された画像光」に該当する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
第1実施形態のプロジェクター101では、少なくとも黄色光YLの光路上において、
入射側偏光素子80は発光部10の光源12と平行化レンズ35との間に配置されている
。黄色光YL及び白色光WLの光路は、後述する特許請求の範囲に記載されている「第2
光の光路」に該当する。第1実施形態のプロジェクター101によれば、入射側偏光素子
80が平行化レンズ35よりも光源12に近い側の白色光WLの光路上に配置されるため
、入射側偏光素子80が平行化レンズ35よりも波長変換素子13から遠い側の白色光W
Lの光路上に配置される場合に比べて、入射側偏光素子80から平行化レンズ35に向け
て反射されて平行化レンズ35に照射される白色光WLの光量を低減することができる。
このことによって、単板式のプロジェクター101において、平行化レンズ35の変形及
び変質を防止することができる。また、平行化レンズ35に入射する所定の偏光方向以外
の偏光を有する白色光WLの光量を抑え、平行化レンズ35の光学機能の低下を防止する
ことができる。平行化レンズ35の光学機能の低下は、例えば平行化レンズ35から射出
される白色光WLの光量の低減によって図られる。一方、従来のプロジェクターでは、入
射側偏光素子は例えば平行化レンズと光変調素子との間の光路上に配置されている。その
ため、入射側偏光素子によって反射された光の大部分は平行化レンズに照射され、平行化
レンズの変形、変質及び光学機能が低下し易い。特に、平行化レンズ35が可視光に対し
て透明な樹脂やプラスチックで形成されている場合であれば、第1実施形態のプロジェク
ター101によって、平行化レンズ35に入射する所定の偏光方向以外の偏光方向の白色
光WLの光量を抑え、平行化レンズ35の黄変等を防止することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
第7実施形態のプロジェクターでは、第6実施形態のプロジェクターと同様の作用効果
が得られる。また、第7実施形態のプロジェクターでは、光源12と波長変換素子13と
の間に配置されたダイクロイックミラー16をさらに備えるため、入射側偏光素子80に
よって反射されて波長変換素子13を透過した黄色光YLをダイクロイックミラー16に
よって反射し、黄色光YLの利用効率及び第実施形態のプロジェクターにおける光利用
効率を高めることができる。また、第7実施形態のプロジェクターでは、ダイクロイック
ミラー16の入射面16aに透光性部材18が設けられることによって、ダイクロイック
ミラー16及び蛍光体層14が安定して配置される。透光性部材18として少なくとも青
色光BLに対して透光性を有し、且つ放熱性の高い部材を用いることにって、第7実施形
態のプロジェクターにおける発光部10の放熱性を向上させることができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0112
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0112】
また、上述では、筒状に形成された中空材であるロッド部材200を例示したが、ロッ
ド部材200は、Z方向における波長変換素子13と位相差板90との間を満たす中実材
と、位相差板90と入射側偏光素子80との間を満たす中実材によって構成されてもよい
。図示していないが、中実材であるロッド部材200の材質は、白色光WLを透過し、白
色光WLの偏光方向に影響を与えない材質である。なお、中実材であるロッド部材200
の屈折率が白色光WLに対して全反射条件を満たせば、ロッド部材200の外壁面に必ず
しも反射膜が設けられなくてもよい。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0133
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0133】
付記9の構成により、プロジェクターにおいて、入射型偏光素子の設置スペースを広く
確保し、入射偏光素子の設置位置の自由度を高めることができる。