(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067672
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】金属検知用アンテナ
(51)【国際特許分類】
G01V 3/10 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
G01V3/10 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177923
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】長島 隆一
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB05
2G105DD02
2G105EE01
2G105HH05
(57)【要約】
【課題】検知範囲全体において磁束を均一化することが可能であるとともに、検知精度を均一化させることが可能な金属検知用アンテナを提供する。
【解決手段】この検知コイル12は、基本コイル12aと、第1補助コイル12bと、第2補助コイル12cとを含み、基本コイル12aは、対象物を検知するための磁束を発生させ、第1補助コイル12bおよび第2補助コイル12cは、基本コイル12aよりも各々小さいインダクタンスを有し、基本コイル12aと、第1補助コイル12bと、第2補助コイル12cとは、基板11の金属検知面11bにおいて磁束を均等に分散させるように配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に空芯コイルの配線パターンが形成された検知コイルと、を備え、
前記検知コイルは、基本コイルと、前記基本コイルの外周に配置された第1補助コイルと、前記基本コイルの内周に配置された第2補助コイルとを含み、
前記基本コイルは、対象物を検知するための磁束を発生させ、
前記第1補助コイルおよび前記第2補助コイルは、前記基本コイルよりも各々小さいインダクタンスを有し、
前記基本コイルと、前記第1補助コイルと、前記第2補助コイルとは、前記基板の金属検知面において磁束を均等に分散させるように配置されている、金属検知用アンテナ。
【請求項2】
前記基板には、複数の前記検知コイルが千鳥状に配置されるとともに、前記複数の検知コイルを含む列が複数配置され、
前記複数の検知コイルは、電流の向きが同じであるとともに、直列に接続されている、請求項1に記載の金属検知用アンテナ。
【請求項3】
前記基本コイルは、前記基板に形成された2層以上のパターンを含み、前記第1補助コイルと前記第2補助コイルとは、前記基板に形成された1層のパターンを含む、請求項1に記載の金属検知用アンテナ。
【請求項4】
前記基本コイルは、検知対象の最小の金属片の最小寸法よりも小さいコイル幅を有している、請求項1に記載の金属検知用アンテナ。
【請求項5】
前記第1補助コイルと前記第2補助コイルとは前記基板の金属検知面側に配置され、前記基板の金属検知面とは反対の面側に比透磁率の高い構造物を備える、請求項1に記載の金属検知用アンテナ。
【請求項6】
前記検知コイルは、角を丸くした四角形形状に形成されている、請求項2に記載の金属検知用アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属検知用アンテナに関し、特に、基板とコイルとを備える金属検知用アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板とコイルとを備える金属検知用アンテナが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、基板と、基板に導線パターンによって形成された、磁界を発生させるコイルと、誘起電圧を発生させるコイルとを備える金属検知用アンテナが開示されている。上記特許文献1では、検知対象物がコイルの近傍に存在する場合に起きる磁界の変化によって、金属の異物が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には開示されていないが、空芯コイルから発生する磁束は、コイルの空芯部とコイルの巻かれている部分とで磁束の密度が異なり、さらにコイル幅の中心に近いほど磁束の密度が大きい一方、コイルから離れるほど磁束の密度が小さくなるため、検知領域において磁束の密度にばらつきが生じる。そのため、コイルの近くと、コイルから離れたコイルの外側およびコイルの内側とでは、磁束の密度が異なるため、検知対象物が存在する場合にコイルに発生する電流の変化量が異なるとともに、検知精度が異なるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、検知範囲全体において磁束を均一化することが可能であるとともに、検知精度を均一化させることが可能な金属検知用アンテナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による金属検知用アンテナは、基板と、基板に空芯コイルの配線パターンが形成された検知コイルと、を備え、検知コイルは、基本コイルと、基本コイルの外周に配置された第1補助コイルと、基本コイルの内周に配置された第2補助コイルとを含み、基本コイルは、対象物を検知するための磁束を発生させ、第1補助コイルおよび第2補助コイルは、基本コイルよりも各々小さいインダクタンスを有し、基本コイルと、第1補助コイルと、第2補助コイルとは、基板の金属検知面において磁束を均等に分散させるように配置されている。
【0008】
基本コイルで作られた磁束は、コイル幅の中心から離れると磁束の密度が小さくなるので、位置により異なる。そこで、上記の構成にすることで、基本コイルの外側に配置した第1補助コイルにより、磁束をわずかに加算させて磁束の密度を増やすことができる。また、内側も同様に、第2補助コイルで磁束をわずかに加算させて磁束の密度を増やすことができる。この結果、基板の金属検知面における磁束を均一化することができるため、検知範囲全体において磁束を均一化することができるとともに、検知精度を均一化させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上記のように、検知範囲全体において磁束を均一化することが可能であるとともに、検知精度を均一化させることが可能な金属検知用アンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】第1実施形態による金属検知用アンテナを示す図である。
【
図3】
図2のA-A線に沿って切断した断面図である。
【
図4】第2実施形態による金属検知用アンテナを示す図である。
【
図5】実施例による金属検知用アンテナを示す図である。
【
図6】比較例による金属検知用アンテナを示す図である。
【
図7】
図5のB-B線に沿って切断した断面における金属検知用アンテナの磁束線を示す図である。
【
図8】
図6のC-C線に沿って切断した断面における金属検知用アンテナの磁束線を示す図である。
【
図9】第3実施形態による金属検知用アンテナを示す図である。
【
図10】
図9のD-D線に沿って切断した断面図である。
【
図11】
図9のE-E線に沿って切断した断面における金属検知用アンテナの磁束線を示す図である。
【
図12】変形例による金属検知用アンテナを示す図である。
【
図13】変形例による金属検知用アンテナを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
[第1実施形態]
図1~
図3を参照して、一実施形態による金属検知ユニット100の構成について説明する。
【0013】
(金属検知ユニット)
図1に示すように、第1実施形態の金属検知ユニット100は、たとえば、飲食品を製造する製造ラインに設けられて、金属片の混入を検知するために使用される。金属検知ユニット100は、金属検知用アンテナ1と、電源部2と、処理部3とを含む。
【0014】
図2に示すように、金属検知用アンテナ1は、基板11と、検知コイル12とから構成される。第1実施形態では、基板11に1つの検知コイル12のみが形成されている。
【0015】
基板11は、複数層から構成される積層基板である。
図3に示すように、基板11の表面には、絶縁層11aが積層されている。
【0016】
図2に示すように、検知コイル12は、基板11に空芯コイルの配線パターンが形成されている。検知コイル12は、基板11の金属検知面11bに形成される。検知コイル12は、基本コイル12aと、基本コイル12aの外周に配置された第1補助コイル12bと、基本コイル12aの内周に配置された第2補助コイル12cとを含む。基本コイル12aと、第1補助コイル12bと、第2補助コイル12cとは、磁束を均等に分散させるために配置される。磁束を均等に分散させるとは、基板11の金属検知面11b全体で全く同じ磁束が発生している場合と、金属検知面11b全体で略同じ磁束が発生している場合とを含む。基本コイル12aと、第1補助コイル12bと、第2補助コイル12cとは互いに直列で接続されている。
【0017】
検知コイル12は、角を丸くした四角形形状に形成されている。検知コイル12は、正方形でもよく、長方形でもよい。
図2および
図3では、基本コイル12aと、第1補助コイル12bと、第2補助コイル12cとを区別するため、基本コイル12aを実線で記載し、第1補助コイル12bおよび第2補助コイル12cを破線で示している。
【0018】
基本コイル12aは、対象物を検知するための磁束を形成するために配置されている。基本コイル12aのインダクタンスは、第1補助コイル12bおよび第2補助コイル12cの各々のインダクタンスよりも大きい。基本コイル12aは、基板11の2層以上にパターンが形成される。基本コイル12aは、インダクタンスを大きくするために第1補助コイル12bおよび第2補助コイル12cよりも巻き数が大きく構成されている。また、基本コイル12aは、第1補助コイル12bおよび第2補助コイル12cよりも、コイル幅w1が小さく、密に形成されている。基本コイル12aは、空芯コイルの配線パターンにより形成される。空芯コイルの配線パターンとは、コイルを巻いた状態において、中央に芯となる部材を置かない配線パターンを指す。
【0019】
図3に示すように、基本コイル12aは、基板11に形成された2層以上のパターンを含む。基本コイル12aは、たとえば、4層に形成される。
【0020】
図2に示すように、基本コイル12aは、検知対象の最小の金属片50の最小寸法w2よりも小さいコイル幅w1を有している。金属片50の形状は、不定形である。
【0021】
基本コイル12aの外周部分に沿って、第1補助コイル12bが配置される。また、基本コイル12aの空芯部分に第2補助コイル12cが配置される。
【0022】
図3に示すように、第1補助コイル12bおよび第2補助コイル12cは、基板11に形成された1層のパターンを含む。第1補助コイル12bおよび第2補助コイル12cは、インダクタンスが各々基本コイル12aよりも小さい。第1補助コイル12bおよび第2補助コイル12cは、各々基本コイル12aよりも巻き数が小さい。なお、第1補助コイル12bおよび第2補助コイル12cは、互いに巻き数およびインダクタンスが同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0023】
従来の第1補助コイル12bおよび第2補助コイル12cが設けられていない場合では、基本コイル12aから発生した磁界は、基本コイル12aから離れると磁束の密度が小さくなるため、金属片の配置される位置により磁束の変化量にばらつきが生じる。第1実施形態では、第1補助コイル12bおよび第2補助コイル12cを配置することにより、第1補助コイル12bおよび第2補助コイル12cから発生する磁束が基本コイル12aの磁束密度が小さい部分の磁束を補うことにより、金属片の位置に関わらず磁束の変化量を略一定にすることができる。これにより、検知対象物を貫通(検知対象物が遮蔽)する磁束線の数に応じて、検知対象物の検知精度を向上させることができる。
【0024】
図1に示すように、電源部2は、金属検知用アンテナ1に交流の電気を供給する。電源部2から供給された電気によって、検知コイル12に磁界が発生する。
【0025】
処理部3は、検知コイル12から発生する磁束の変化を検知する。具体的には、基本コイル12aから発生した磁束が検知対象物を貫通することにより、電磁誘導(渦電流損失)が発生する。これにより、金属検知ユニット100では、電源部2から金属検知用アンテナ1に印加された交流電流に変化が生じ、共振周波数が変化する。金属検知ユニット100では、処理部3が、共振周波数の変化を検知し、共振周波数の変化と閾値とから検知対象物の有無を検知する。
【0026】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0027】
第1実施形態では、上記のように、検知コイル12は、基本コイル12aと、第1補助コイル12bと、第2補助コイル12cとを含み、基本コイル12aは、対象物を検知するための磁束を発生させ、第1補助コイル12bおよび第2補助コイル12cは、基本コイル12aよりも各々小さいインダクタンスを有し、基本コイル12aと、第1補助コイル12bと、第2補助コイル12cとは、基板11の金属検知面11bにおいて磁束を均等に分散させるように配置されている。基本コイル12aで作られた磁束は、コイル幅の中心から離れると磁束の密度が小さくなるので、位置により異なる。そこで、上記の構成にすることで、基本コイル12aの外側に配置した第1補助コイル12bにより、磁束をわずかに加算させて磁束の密度を増やすことができる。また、内側も同様に、第2補助コイル12cで磁束をわずかに加算させて磁束の密度を増やすことができる。この結果、基板11の金属検知面11bにおける磁束を均一化することができるため、検知範囲全体において磁束を均一化することができるとともに、検知精度を均一化させることができる。
【0028】
また、第1実施形態では、上記のように、基本コイル12aは、基板11に形成された2層以上のパターンを含み、第1補助コイル12bと第2補助コイル12cとは、基板11に形成された1層のパターンを含む。これにより、第1補助コイル12bのインダクタンスおよび第2補助コイル12cのインダクタンスが小さいことにより、基本コイル12aの外側に配置した第1補助コイル12bにより、磁束をわずかに加算させて磁束の密度を増やすことができる。また、内側も同様に、第2補助コイル12cで磁束をわずかに加算させて磁束の密度を増やすことができる。この結果、基板11の金属検知面11bにおける磁束を均一化することができるため、検知範囲全体において磁束を均一化することができるとともに、検知精度を均一化させることができる。
【0029】
また、第1実施形態では、上記のように、基本コイル12aは、検知対象の最小の金属片50の最小寸法w2よりも小さいコイル幅w1を有している。そして、この様な形態にする理由は、磁束がコイル幅に沿って、水平にできるので、基本コイル12aのコイル位置では、厚みが薄い金属片に対しては貫通する磁束の数が少なくなってしまう問題がある。このため、幅W1は出来る限り小さくし、基本コイル12aの外側および内側の垂直にできる磁束を利用する必要がある。そして、これにより、検知対象の最小の金属片が配置される位置にかかわらず、検知対象を確実に検知することができる。
【0030】
また、第1実施形態では、上記のように、検知コイル12は、角を丸くした四角形形状に形成されている。これにより、四角形形状であるため、検知コイル12を複数配置する場合に、検知コイル12を隙間なく配置することができる。また、検知コイル12の角が鋭い場合、4隅外側の磁束が小さくなるため、角を丸くすることにより、4隅外側の磁束が小さくなることを抑制することができる。
【0031】
[第2実施形態]
次に、
図4~
図8を参照して、本発明の第2実施形態による金属検知用アンテナ10について説明する。第2実施形態では、検知コイル12は基板11上に複数配置される。なお、図中において上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0032】
図4に示すように、基板11のX方向およびY方向に複数の検知コイル12が並べられて、配置される。基板11には、Y方向に沿って複数の検知コイル12が千鳥状に配置される。また、基板11には、X方向に沿って複数の検知コイル12を含む列が複数配置される。千鳥状とは、Y方向において隣接する検知コイル12が、互いにずれて、ジグザクに配置されることを指す。また、検知コイル12を千鳥状に配置することにより、基板11のX側に隙間が形成される場合、形状の異なる検知コイル12を配置して隙間を減らすように構成されている。
【0033】
複数の検知コイル12は、電流の向きが同じであるとともに、直列に接続されている。そのため、時計回りに電流が流れるか、反時計回りに電流が流れるか統一される。検知コイル12は、基板11上に隙間なく配置されている。複数の検知コイル12が隣接するとは、第1補助コイル12bが互いに接触している場合と、接触していない場合とを含む。
【0034】
図5~
図8に基づいて、第2実施形態による金属検知用アンテナ10が発生させる磁束について説明する。
【0035】
図5に示すように、基板11に検知コイル12が3つ配置された金属検知用アンテナ10を実施例とする。また、
図6に示すように、第1補助コイル12bおよび第2補助コイル12cを設けない従来の空芯コイル120が、基板110に3つ形成された金属検知用アンテナ20を比較例とする。
【0036】
図7に示すように、実施例の金属検知用アンテナ10では、発生した磁束線の間隔が略同じ(等間隔)である。一方で、
図8に示すように、比較例の金属検知用アンテナ20では、発生した磁束線の間隔にばらつきがある(間隔の狭い疎の部分と間隔の広い密の部分とが混ざっている)。なお、
図7および
図8では、左端から2つずつの磁束線で1つの金属検知用アンテナの磁束線を示している。
【0037】
以上のことから、発生した磁束線の間隔が略一定な実施例では、磁束が均一化されているため、検知精度が均一化している。一方で、比較例のような磁束線の場合、磁束線の間隔が広い箇所に検知対象の金属片が配置された場合、金属片を貫通する磁束が少ないため、検知することができない場合がある。
【0038】
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0039】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0040】
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、基本コイル12aの外側に配置した第1補助コイル12bにより、磁束をわずかに加算させて磁束の密度を増やすことができる。また、内側も同様に、第2補助コイル12cで磁束をわずかに加算させて磁束の密度を増やすことができる。この結果、基板11の金属検知面11bにおける磁束を均一化することができるため、検知範囲全体において磁束を均一化することができるとともに、検知精度を均一化させることができる。
【0041】
また、第2実施形態では、上記のように、基板11には、複数の検知コイル12が千鳥状に配置されるとともに、複数の検知コイル12を含む列が複数配置され、複数の検知コイル12は、電流の向きが同じであるとともに、直列に接続されている。これにより、基板11には、複数の検知コイル12が千鳥状に配置されることにより、アンテナ同士の間隔を少しでも無くし、磁束を確保することができるため、磁束を検知範囲全体において均一に広げることができる。
【0042】
また、第2実施形態では、上記のように、検知コイル12は、角を丸くした四角形形状に形成されている。これにより、四角形形状であるため、検知コイル12を複数配置する場合に、検知コイル12を隙間なく配置することができる。また、検知コイル12の角が鋭い場合、4隅外側の 磁束が小さくなるため、角を丸くすることにより、4隅外側の磁束が小さくなることを抑制することができる。
【0043】
また、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0044】
[第3実施形態]
図9~
図11に基づいて、第3実施形態による、金属検知用アンテナ30について説明する。第3実施形態では、比透磁率の高い構造物(比透磁率が100以上の構造物)13を備える。なお、図中において上記第2実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0045】
図9に示すように、第1補助コイル12bと第2補助コイル12cとが基板11の金属検知面11b側に配置される。なお、
図9では、検知コイル12を一列のみ配置されている例を示しているが、複数列配置されていてもよい。その場合、
図4に示すように検知コイル12は千鳥状に配置される。
【0046】
図10に示すように、比透磁率の高い構造物13は、基板11の金属検知面11bとは反対の面側に配置される。比透磁率の高い構造物13は、例えばステンレスである。比透磁率の高い構造物13を設けることにより、比透磁率の高い構造物13とは反対側の磁束が増加し、比透磁率の高い構造物13側は磁束線が洩れない。これにより、検知対象物の検知がしやすくなり、かつ非検知面の誤検知を防ぐことができる。比透磁率の高い構造物13は、基板11に接触して配置されてもよく、基板11から間隔をあけて配置されてもよい。
【0047】
図11に示すように、比透磁率の高い構造物13を設けることにより、基板11から磁束が検知面とは反対側に漏れることを抑制することができるとともに、
図8に示す比較例よりも金属検知面11b側の磁束線を検知コイル12に対して垂直に発生させることができる。これにより、検知対象物を貫通する磁束線を増やすことができるため、検知精度をより向上させることができる。
【0048】
第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態および第2実施形態と同様である。
【0049】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0050】
第3実施形態では、第1実施形態と同様に、基本コイル12aの外側に配置した第1補助コイル12bにより、磁束をわずかに加算させて磁束の密度を増やすことができる。また、内側も同様に、第2補助コイル12cで磁束をわずかに加算させて磁束の密度を増やすことができる。この結果、基板11の金属検知面11bにおける磁束を均一化することができるため、検知範囲全体において磁束を均一化することができるとともに、検知精度を均一化させることができる。
【0051】
また、第3実施形態では、上記のように、第1補助コイル12bと第2補助コイル12cとは基板11の金属検知面11b側に配置され、基板11の金属検知面11bとは反対の面側に比透磁率の高い構造物13を備える。これにより、金属検知面11bとは反対の面側に発生する磁束を小さくすることができるとともに、金属検知面11b側に発生する磁束を大きくすることができる。
【0052】
また、第3実施形態のその他の効果は、第1実施形態および第2実施形態と同様である。
【0053】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0054】
たとえば、上記第1実施形態~第3実施形態では、検知コイルが角を丸くした四角形形状に形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、
図12および
図13に示すように、検知コイルが丸型や多角形型(六角形など)に形成されていてもよい。この場合、
図13に示すように千鳥状に配置されていてもよい。
【0055】
また、上記第2実施形態および第3実施形態では、基板には、複数の検知コイルが千鳥状に配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、複数の検知コイルが規則正しく並んでいてもよい。
【0056】
また、上記第1実施形態~第3実施形態では、基本コイルは、基板に形成された2層以上のパターンを含み、第1補助コイルと第2補助コイルとは、基板に形成された1層のパターンを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1補助コイルおよび第2補助コイルが、基本コイルよりも各々小さいインダクタンスを有していれば、基本コイルは基板に形成された1層のパターンを含んでいてもよく、第1補助コイルと第2補助コイルとは、基板に形成された2層のパターンを含んでいてもよい。
【0057】
また、上記第1実施形態~第3実施形態では、基本コイルは、第1補助コイルおよび第2補助コイルよりも巻き数が大きい例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1補助コイルおよび第2補助コイルが、基本コイルよりも各々小さいインダクタンスを有していればよく、第1補助コイルおよび第2補助コイルの断面積が基本コイルよりも大きくてもよく、材質が異なっていてもよい。
【0058】
また、上記第1実施形態~第3実施形態では、基板が、積層基板である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、基板は、単層の基板であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 金属検知用アンテナ
11 基板
12 検知コイル
12a 基本コイル
12b 第1補助コイル
12c 第2補助コイル
13 比透磁率の高い構造物