(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067675
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】電子機器、音声生成方法、音声生成システム及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G10L 13/033 20130101AFI20240510BHJP
G10L 13/00 20060101ALI20240510BHJP
G10L 13/10 20130101ALI20240510BHJP
【FI】
G10L13/033 102B
G10L13/00 100Y
G10L13/10 114
G10L13/10 111F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177927
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】518122560
【氏名又は名称】合同会社音楽呼吸総研
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】宮浦 清
(57)【要約】 (修正有)
【課題】リズムの変化を有する音声フレーズを生成する電子機器、音声生成方法、音声生成システム及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】電子機器は、入力データを受け付ける文字・記号データ入力部、入力データについて属性解析を行う文字・記号データ解析部、属性解析処理が行われた入力データについて、対応する音声データに変換するための配列コードを抽出する処理を行う配列コード抽出部、抽出された配列コードに対応する音名コードを抽出する処理を行う音名コード抽出部、抽出された音名コードに対応するオーディオデータといった音声データを生成する処理を行う音声データ生成部及び生成した音声データを出力する処理を行う音声データ出力部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字データ又は記号データの少なくとも一方が入力されると、対応する音声データを生成する電子機器であって、
以下の構成を備えることを特徴とする電子機器。
(1)以下の(a)、(b)又は(c)の文字データ又は記号データの入力パターンの少なくとも一方に対応し、3音1拍を一単位とする前記音声データを生成する音声生成手段
(a)前記入力された文字データ又は記号データが、予め定められている1音属性群に属するデータである場合、前記音声生成手段は、前記1音属性群に属するデータに対応する第一の音名と、二つの休符の組み合わせで構成される前記音声データを生成する。
(b)前記入力された文字データ又は記号データが、予め定められている2音属性群に属するデータである場合、前記音声生成手段は、前記2音属性群に属するデータに対応する第一の音名、第二の音名及び一つの休符の組み合わせで構成される前記音声データを生成する。
(c)前記入力された文字データ又は記号データが、予め定められている2音属性群に属するデータに3音属性群に属するデータが組み合わされているデータである場合、前記音声生成手段は、前記2音属性群に属するデータに対応する第一の音名及び第二の音名と、前記3音属性群に属するデータに対応する第三の音名の組み合わせで構成される前記音声データを生成する。
【請求項2】
前記1音属性群には母音のみを有する5種のかな文字のデータが含まれる
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記1音属性群にはさらに子音と母音を有するかな文字、撥音、促音又は記号の少なくとも一方のデータが含まれる
ことを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記2音属性群には子音と母音を有するかな文字のデータが含まれる
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記2音属性群にはさらにローマ字、数字及び記号のデータが含まれる
ことを特徴とする請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
前記3音属性群には濁点及び半濁点のデータが含まれる
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項7】
以下の構成をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
(2)前記生成された音声データを出力する音声データ出力手段
【請求項8】
以下の構成をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
(2)前記生成された音声データを、通信ネットワークを介して外部の出力機器に送信する音声データ送信手段
【請求項9】
文字データ又は記号データの少なくとも一方が入力されると、対応する音声データを生成する電子機器が行う音声生成方法であって、
以下のステップを有することを特徴とする音声生成方法。
(1)以下の(a)、(b)又は(c)の文字データ又は記号データの入力パターンの少なくとも一方に対応し、3音1拍を一単位とする前記音声データを生成する音声データ生成ステップ
(a)前記入力された文字データ又は記号データが、予め定められている1音属性群に属するデータである場合、前記1音属性群に属するデータに対応する第一の音名と、二つの休符の組み合わせで構成される前記音声データを生成する音声データ生成ステップ
(b)前記入力された文字データ又は記号データが、予め定められている2音属性群に属するデータである場合、前記2音属性群に属するデータに対応する第一の音名、第二の音名及び一つの休符の組み合わせで構成される前記音声データを生成する音声データ生成ステップ
(c)前記入力された文字データ又は記号データが、予め定められている2音属性群に属するデータに3音属性群に属するデータが組み合わされているデータである場合、前記2音属性群に属するデータに対応する第一の音名及び第二の音名と、前記3音属性群に属するデータに対応する第三の音名の組み合わせで構成される前記音声データを生成する音声データ生成ステップ
【請求項10】
文字データ又は記号データの少なくとも一方が入力されると、対応する音声データを生成する第一の電子機器と、前記音声データを出力する第二の電子機器とが通信ネットワークを介して通信可能に接続されてなる音声生成システムであって、
以下の構成を備えることを特徴とする音声生成システム。
(1)前記第一の電子機器は、以下の(a)、(b)又は(c)の文字データ又は記号データの入力パターンの少なくとも一方に対応し、3音1拍を一単位とする前記音声データを生成する音声生成手段を備える。
(a)前記入力された文字データ又は記号データが、予め定められている1音属性群に属するデータである場合、前記音声生成手段は、前記1音属性群に属するデータに対応する第一の音名と、二つの休符の組み合わせで構成される前記音声データを生成する。
(b)前記入力された文字データ又は記号データが、予め定められている2音属性群に属するデータである場合、前記音声生成手段は、前記2音属性群に属するデータに対応する第一の音名、第二の音名及び一つの休符の組み合わせで構成される前記音声データを生成する。
(c)前記入力された文字データ又は記号データが、予め定められている2音属性群に属するデータに3音属性群に属するデータが組み合わされているデータである場合、前記音声生成手段は、前記2音属性群に属するデータに対応する第一の音名及び第二の音名と、前記3音属性群に属するデータに対応する第三の音名の組み合わせで構成される前記音声データを生成する。
(2)前記第一の電子機器は、前記生成された音声データを、前記通信ネットワークを介して前記第二の電子機器に送信する音声データ送信手段を備える。
(3)前記第二の電子機器は、前記第一の電子機器から送信された前記音声データを出力する音声データ出力手段を備える。
【請求項11】
請求項9記載の音声生成方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項10記載の音声生成システムとしてコンピュータを機能させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器、音声生成方法、音声生成システム及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日の情報通信社会において、入力した文字情報を所定の言語体系で音声出力する音声変換方法や、特定の情報に対して、当該特定の情報であると識別することができる固有の表現生成方法等が種々提案されている。
【0003】
特許文献1には、発明者による音声生成装置、音声生成方法及びプログラムが提案されている。特許文献1によれば、日本語による文字データから、当該日本語の言語的意味を持った音楽フレーズを生成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で提案されている発明では、入力された日本語1文字に対して2音の音符コードを抽出して音声データを生成するため、当該音声データに係る音楽フレーズは全体としてリズムの変化がないのっぺりしたものとなっている。そこで、所定のリズムを有する音楽フレーズを生成することが課題となっていた。
【0006】
この発明は、入力された文字データや記号データ及びこれらの組み合わせに対してリズムの変化を有する音声フレーズを生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]
文字データ又は記号データの少なくとも一方が入力されると、対応する音声データを生成する電子機器であって、
以下の構成を備えることを特徴とする電子機器。
(1)以下の(a)、(b)又は(c)の文字データ又は記号データの入力パターンの少なくとも一方に対応し、3音1拍を一単位とする前記音声データを生成する音声生成手段
(a)前記入力された文字データ又は記号データが、予め定められている1音属性群に属するデータである場合、前記音声生成手段は、前記1音属性群に属するデータに対応する第一の音名と、二つの休符の組み合わせで構成される前記音声データを生成する。
(b)前記入力された文字データ又は記号データが、予め定められている2音属性群に属するデータである場合、前記音声生成手段は、前記2音属性群に属するデータに対応する第一の音名、第二の音名及び一つの休符の組み合わせで構成される前記音声データを生成する。
(c)前記入力された文字データ又は記号データが、予め定められている2音属性群に属するデータに3音属性群に属するデータが組み合わされているデータである場合、前記音声生成手段は、前記2音属性群に属するデータに対応する第一の音名及び第二の音名と、前記3音属性群に属するデータに対応する第三の音名の組み合わせで構成される前記音声データを生成する。
【0008】
[2]
文字データ又は記号データの少なくとも一方が入力されると、対応する音声データを生成する電子機器が行う音声生成方法であって、
以下のステップを有することを特徴とする音声生成方法。
(1)以下の(a)、(b)又は(c)の文字データ又は記号データの入力パターンの少なくとも一方に対応し、3音1拍を一単位とする前記音声データを生成する音声データ生成ステップ
(a)前記入力された文字データ又は記号データが、予め定められている1音属性群に属するデータである場合、前記1音属性群に属するデータに対応する第一の音名と、二つの休符の組み合わせで構成される前記音声データを生成する音声データ生成ステップ
(b)前記入力された文字データ又は記号データが、予め定められている2音属性群に属するデータである場合、前記2音属性群に属するデータに対応する第一の音名、第二の音名及び一つの休符の組み合わせで構成される前記音声データを生成する音声データ生成ステップ
(c)前記入力された文字データ又は記号データが、予め定められている2音属性群に属するデータに3音属性群に属するデータが組み合わされているデータである場合、前記2音属性群に属するデータに対応する第一の音名及び第二の音名と、前記3音属性群に属するデータに対応する第三の音名の組み合わせで構成される前記音声データを生成する音声データ生成ステップ
【0009】
[3]
文字データ又は記号データの少なくとも一方が入力されると、対応する音声データを生成する第一の電子機器と、前記音声データを出力する第二の電子機器とが通信ネットワークを介して通信可能に接続されてなる音声生成システムであって、
以下の構成を備えることを特徴とする音声生成システム。
(1)前記第一の電子機器は、以下の(a)、(b)又は(c)の文字データ又は記号データの入力パターンの少なくとも一方に対応し、3音1拍を一単位とする前記音声データを生成する音声生成手段を備える。
(a)前記入力された文字データ又は記号データが、予め定められている1音属性群に属するデータである場合、前記音声生成手段は、前記1音属性群に属するデータに対応する第一の音名と、二つの休符の組み合わせで構成される前記音声データを生成する。
(b)前記入力された文字データ又は記号データが、予め定められている2音属性群に属するデータである場合、前記音声生成手段は、前記2音属性群に属するデータに対応する第一の音名、第二の音名及び一つの休符の組み合わせで構成される前記音声データを生成する。
(c)前記入力された文字データ又は記号データが、予め定められている2音属性群に属するデータに3音属性群に属するデータが組み合わされているデータである場合、前記音声生成手段は、前記2音属性群に属するデータに対応する第一の音名及び第二の音名と、前記3音属性群に属するデータに対応する第三の音名の組み合わせで構成される前記音声データを生成する。
(2)前記第一の電子機器は、前記生成された音声データを、前記通信ネットワークを介して前記第二の電子機器に送信する音声データ送信手段を備える。
(3)前記第二の電子機器は、前記第一の電子機器から送信された前記音声データを出力する音声データ出力手段を備える。
【0010】
[4]
[2]記載の音声生成方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【0011】
[5]
[3]記載の音声生成システムとしてコンピュータを機能させるコンピュータプログラム。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、入力された文字データや記号データ及びこれらの組み合わせに対してリズムの変化を有する音声フレーズを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態の電子機器の(a)ハードウェア構成の一例、(b)ソフトウェア構成の一例を表す図
【
図2】文字データ及び記号データと、対応する配列コードと音名の関係の一例を一つのマトリクスで表した図
【
図3】
図2図示のマトリクスのうち、(a)1音属性群のマトリクス、(b)2音属性群のマトリクス、(c)3音属性群のマトリクスを表した図
【
図4】(a)、(b)、(c)ともに、
図2及び
図3図示のマトリクスを用いた音声生成方法の一例
【
図5】入力された文字データ及び記号データに対応する音声データの一例を表す図
【
図6】本実施形態の音声生成システムによる処理の一例を表すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態の一例を説明する。本実施形態の一態様である電子機器は、文字データ、記号データ又は文字データと記号データの組み合わせの入力(以下、これらを総称して「入力データ」ということがある。)に対応する音声データを生成する機器又は装置である。
【0015】
本実施形態の電子機器による音声生成プロセスとしては以下の態様を例示できる。
・本実施形態の電子機器が入力データを受け付け、対応する音声データを生成及び出力する態様
・本実施形態の電子機器が第一の電子機器として入力データを受け付け、対応する音声データを生成し、当該音声データを第二の電子機器である外部の出力機器又は装置に送信し出力させる態様
・外部の入力機器又は装置から入力データを本実施形態の電子機器が受信し、対応する音声データを生成及び出力する態様
・外部の入力機器又は装置から入力データを本実施形態の電子機器が第一の電子機器として受信し、対応する音声データを生成し、当該音声データを第二の電子機器である外部の出力機器又は装置に送信し出力させる態様
【0016】
本実施形態では、文字データには日本語のかな文字や他の言語体系の文字のデータが含まれ、記号データには、濁点、半濁点、長音、句読点、数字及びその他の記号のデータが含まれるものとして説明する。
【0017】
また、本実施形態には、この実施形態で説明する電子機器による音声生成方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムや、この実施形態で説明する電子機器による音声生成システムとしてコンピュータを機能させるコンピュータプログラムを含む。
【0018】
電子機器には本実施形態の音声生成サービスに係るアプリケーションソフトウェアがインストールされており、このアプリケーションソフトウェアを実行することで、入力データに対応する音声データを生成し出力することができる。
【0019】
[電子機器]
本実施形態の電子機器1はパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット、等の端末機器や、ミュージックシーケンサー、MIDIコントローラ、シンセサイザー、ミュージックワークステーション、等のMIDIデータやオーディオデータを扱える機器又は装置である。
【0020】
ハードウェア構成として
図1(a)に示すように、各種コンピュータプログラムの実行及び演算処理を行うCPU2、RAM、ROMといった各種データを記憶するメモリ3、内蔵ストレージ等の補助記憶装置4、MIDIケーブル等の有線接続や、インターネット通信網、無線通信規格で定められている無線通信網によるネットワーク接続、等の通信手段を介して外部の入力機器及び出力機器との間で各種情報を送受信する通信モジュール5、マウス、キーボード、タッチパネル等の入力装置6及び液晶ディスプレイ、スピーカ等の出力装置7を備えている。
【0021】
また、電子機器1はソフトウェア構成として
図1(b)に示すように、文字・記号データ入力部101、文字・記号データ受信部102、文字・記号データ解析部103、配列コード抽出部104、音名コード抽出部105、音声データ生成部106、音声データ出力部107、音声データ送受信部108及び記憶部109を備えている。
【0022】
文字・記号データ入力部101は、電子機器1を使用するユーザが電子機器1を操作する際に、文字データ及び記号データの入力ウインドウを表示画面に表示し、入力データを受け付ける処理を行う。
【0023】
文字・記号データ受信部102は、上述した外部の入力機器又は装置から送信される入力データを受信する処理を行う。なお、前記外部の入力機器又は装置は、電子機器1と同様にパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット、等の端末機器や、ミュージックシーケンサー、MIDIコントローラ、シンセサイザー、ミュージックワークステーション、等のMIDIデータやオーディオデータを扱える機器又は装置である。
【0024】
文字・記号データ解析部103は、CPU2が上述したアプリケーションソフトウェアに係る解析プログラムを実行することにより、入力データの属性を解析する処理を行う。本実施形態では
図2及び
図3に示すマトリクスによる音声生成ロジックに基づいて解析処理が行われる。
【0025】
図2及び
図3に示すマトリクスは、1行10列の1音属性群8a、10行10列の2音属性群8b及び1行10列の3音属性群で構成され、各行及び列によるセルに設定された文字データ又は記号データに、対応する配列コード及び音名コードが割り当てられている。
【0026】
1音属性群8aを構成するセルには
図2及び
図3(a)に示すように10種の文字データ又は記号データを設定可能で、本実施形態では母音のみを有するかな文字「あ」、「い」、「う」、「え」、「お」と、子音と母音を有するかな文字「わ」と、撥音「ん」と、促音「っ」と、句点「。」が設定され、各データに1音属性列コード9a及び第一の音名コード10aが割り当てられている。
【0027】
2音属性群8bを構成するセルには
図2及び
図3(b)に示すように100種の文字データ又は記号データを設定可能で、本実施形態では1音属性群8aに設定されているかな文字以外のかな文字と、ローマ字と、数字と、長音と、読点と、その他の記号「!」、「?」、「・」が設定され、各データに2音属性列コード9b及び2音属性行コード9cと、第一の音名コード10a及び第二の音名コード10bが割り当てられている。
【0028】
3音属性群8cを構成するセルには
図2及び
図3(c)に示すように10種の文字データ又は記号データを設定可能で、本実施形態では濁点「゛」と半濁点「゜」が設定され、各データに3音属性列コード9d及び第一の音名コード10aが割り当てられている。
【0029】
なお、本実施形態では1音属性群8a、2音属性群8b及び3音属性群8cに属する文字データ又は記号データに、共通の列コード及び第一の音名を割り当てているが、属性群ごとに異なる列コード及び音名コードを設定するようにしてもよい。
【0030】
文字・記号データ解析部103は、上述した
図2及び
図3に示すマトリクスによる音声生成ロジックに従って、入力データについて以下の属性解析処理を行う。
【0031】
例えば入力データのうち、文字データ又は記号データが
図4(a)に示す母音のみを有するかな文字「あ」である場合、文字・記号データ解析部103は、前記かな文字「あ」の文字データを1音属性群8aに属するデータに分類する。
【0032】
また、例えば入力データのうち、文字データ又は記号データが
図4(b)に示す子音と母音を有するかな文字「に」又はローマ字「a」である場合、文字・記号データ解析部103は、前記かな文字「に」の文字データ及び前記ローマ字「a」を2音属性群8bに属するデータに分類する。
【0033】
また、例えば入力データのうち、文字データが例えば
図4(c)に示す子音と母音を有するかな文字「ふ」に濁点「゛」が付された濁音「ぶ」である場合、文字・記号データ解析部103は、前記濁音「ぶ」の文字データを、2音属性群8bに属するデータに3音属性群8cに属するデータが組み合わされているデータに分類する。
【0034】
配列コード抽出部104は、文字・記号データ解析部103によって属性解析処理が行われた入力データについて、対応する音声データに変換するための配列コードを抽出する処理を行う。本実施形態では三つのコードを一単位とした配列コードが、上述した
図2及び
図3に示すマトリクスによる音声生成ロジックに基づいて抽出される。
【0035】
例えば入力データのうち、文字又は記号データが
図4(a)に示す1音属性群8aに属する母音のみを有するかな文字「あ」である場合、配列コード抽出部104は、1音属性列コード9a「0」と休符を表すコード「-」二つとの組み合わせを「-」、「-」、「0」の順とした1音を表す配列コード11を記憶部109の配列コードテーブル110から抽出する。
【0036】
また、例えば入力データのうち、文字データ又は記号データが
図4(b)に示す2音属性群8bに属する子音と母音を有するかな文字「に」である場合、配列コード抽出部104は、2音属性列コード9b「1」と2音属性行コード9c「2」と休符を表すコード「-」の組み合わせを、「-」、「2」、「1」の順とした2音を表す配列コード11を記憶部109の配列コードテーブル110から抽出する。
【0037】
また、例えば入力データのうち、文字データ又は記号データが
図4(b)に示す2音属性群8bに属するローマ字「a」である場合、配列コード抽出部104は、2音属性列コード9b「5」と2音属性行コード9c「0」と休符を表すコード「-」との組み合わせを、「-」、「0」、「5」の順とした2音を表す配列コード11を記憶部109の配列コードテーブル110から抽出する。
【0038】
また、例えば入力データのうち、文字データが
図4(c)に示す2音属性群8bに属するデータに3音属性群8cに属するデータが組み合わされている濁音「ぶ」である場合、配列コード抽出部104は、2音属性群8bに対応する2音属性列コード9b「2」及び2音属性行コード9c「1」と3音属性群8cに対応する3音属性列コード9d「6」と、の組み合わせを、「6」、「1」、「2」の順とした3音を表す配列コード11を記憶部109の配列コードテーブル110から抽出する。
【0039】
音名コード抽出部105は、配列コード抽出部104によって抽出された配列コードに対応する音名コードを抽出する処理を行う。本実施形態では三つのコードを一単位とした音名コードが、上述した
図2及び
図3に示すマトリクスによる音声生成ロジックに基づいて抽出される。
【0040】
例えば入力データのうち、文字又は記号データが
図4(a)に示す1音属性群8aに属する母音のみを有するかな文字「あ」である場合、音名コード抽出部105は、1音属性列コード9a「0」に対応する第一の音名コード10a「c」と休符、すなわち無音を表すコード「-」に対応する休符コード「y(以下、図面の休符記号を表す。)」二つとの組み合わせを、「c」、「y」、「y」とした1音を表す音名コードを記憶部109の音名コードテーブル111から抽出する。
【0041】
また、例えば入力データのうち、文字データ又は記号データが
図4(b)に示す2音属性群8bに属する子音と母音を有するかな文字「に」である場合、音名コード抽出部105は、2音属性列コード9b「1」に対応する第一の音名コード10a「d」と、2音属性行コード9c「2」に対応する第二の音名コード10b「E」と、休符を表すコード「-」に対応する休符コード「y」との組み合わせを、「d」、「E」、「y」の順とした2音を表す音名コードを記憶部109の音名コードテーブル111から抽出する。
【0042】
また、例えば入力データのうち、文字データ又は記号データが
図4(b)に示す2音属性群8bに属するローマ字「a」である場合、音名コード抽出部105は、2音属性列コード9b「5」に対応する第一の音名コード10a「f」と、2音属性行コード9c「0」に対応する第二の音名コード10b「C」と、休符を表すコード「-」に対応する休符コード「y」との組み合わせを、「f」、「C」、「y」の順とした2音を表す音名コードを記憶部109の音名コードテーブル111から抽出する。
【0043】
また、例えば入力データのうち、文字データが
図4(c)に示す2音属性群8bに属するデータに3音属性群8cに属するデータが組み合わされている濁音「ぶ」である場合、音名コード抽出部105は、2音属性列コード9b「2」に対応する第一の音名コード10a「e」と、2音属性行コード9c「1」に対応する第二の音名コード10b「D」と、3音属性列コード9d「6」に対応する第一の音名コード10a「b」との組み合わせを、「e」、「D」、「b」の順とした3音を表す音名コードを記憶部109の音名コードテーブル111から抽出する。
【0044】
音声データ生成部106は、音名コード抽出部105によって抽出された音名コードに対応するオーディオデータといった音声データを生成する処理を行う。生成された音声データは3音1拍を一単位としたフレーズであり、入力データに応じて例えば
図5に示すような複数の音声データからなる一つのメロディが生成されることになる。
図5に示す例では、1音、2音及び3音を表す音声データが複数組み合わさっており、1音及び2音を表す音楽データに休符を表す休符コードが含まれていることにより、リズムのあるメロディとなっている。
【0045】
音声データ出力部107は、音声データ生成部106が生成した音声データを出力する処理を行う。なお、音声データを出力する際に入力データを表示画面に表示することもできる。
【0046】
音声データ送受信部108は、音声データ生成部106が生成した音声データを、MIDI形式で上述した外部の出力機器又は装置(第二の電子機器)に送信する処理を行う。なお、上記外部の出力機器又は装置は、電子機器1と同様にパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット、等の端末機器や、ミュージックシーケンサー、MIDIコントローラ、シンセサイザー、ミュージックワークステーション、等のMIDIデータやオーディオデータを扱える機器又は装置である。
【0047】
上記外部の出力機器又は装置では、音声データ送受信部108が音声データを受信し、音声データ出力部107が受信した音声データを出力する処理を行う。なお、上述したように音声データを出力する際に入力データを当該外部の出力機器又は装置の表示画面に表示することもできる。
【0048】
記憶部109は
図2及び
図3に示すマトリクスによる音声生成ロジックに基づいて配列コードテーブル110及び音名コードテーブル111を構築する処理を行う。
【0049】
[音声生成システムによる処理フロー]
図6を参照して、本実施形態の一態様である音声生成システムによる処理フローを説明する。この処理フローでは、一例としてコンビニエンスストアの所定の場所に第一の電子機器1Aが設置され、来店したユーザが所有する第二の電子機器1Bであるスマートフォンで第一の電子機器1Aで生成された音声データを出力する態様を説明する。
【0050】
(S101)
第一の電子機器1Aでは、文字・記号データ受信部102は、上述した外部の入力機器又は装置から送信される入力データとして例えば、「16時から飲み物1割引き!」を受信する処理を行う。
【0051】
(S102)
文字・記号データ解析部103は、上記入力データについて属性解析処理を行う。上記入力データは「16じからのみもの1わりびき!」の文字データ及び記号データからなるので、上述した
図2及び
図3に示すマトリクスによる音声生成ロジックに基づいて、
1 6 じ か ら の み も の 1 わ
2音 2音 2音+3音 2音 2音 2音 2音 2音 2音 2音 2音
り び き !
2音 2音+3音 2音 2音
のように属性群8a、8b又は8cに属するデータに分類する。
【0052】
(S103)
配列コード抽出部104は、属性解析処理が行われた上記入力データについて、対応する音声データに変換するための配列コードを抽出する処理を行う。各属性群に属するデータに分類された上記入力データに対応する配列コードは上述した
図2及び
図3に示すマトリクスによる音声生成ロジックに基づいて、以下のように配列コードテーブル110から抽出される。
1 6 じ か ら の み も の
-68 -88 661 -00 -50 -24 -31 -34 -24
1 わ り び き !
-68 --7 -51 611 -01 -76
【0053】
(S104)
音名コード抽出部105は、配列コード抽出部104によって抽出された配列コードに対応する音名コードを抽出する処理を行う。上記配列コードに対応する音名コードは、上述した
図2及び
図3に示すマトリクスによる音声生成ロジックに基づいて、以下のように音名コードテーブル111から抽出される。
1 6 じ か ら の み も の
2d B y 2d 2D y d B b c C y c A# y a E y d F# y a F# y a E y
1 わ り び き !
2d B y 2c y y d A# y d D b d C y b 2C y
【0054】
(S105)
音声データ生成部106は、音名コード抽出部105によって抽出された上記音名コードに対応するオーディオデータといった音声データを生成する処理を行う。
【0055】
(S106)
音声データ送受信部108は、音声データ生成部106が生成した上記音声データを、上記入力データとともにMIDI形式で第二の電子機器1Bに送信する処理を行う。例えば第一の電子機器1Aの通信範囲内の来店者の第二の電子機器1Bに送信する。
【0056】
(S107)
第二の電子機器1Bでは、音声データ送受信部108が音声データを受信し、音声データ出力部107が受信した音声データを出力する処理を行う。また、音声データを出力する際に入力データを第二の電子機器1Bの表示画面(出力装置7)に表示する。第二の電子機器1Bを所有するユーザは、言語的意味を持った音楽フレーズ又はメロディを聞き、当該音楽フレーズ又はメロディが「16時から飲み物1割引き!」の意味であることを理解することができる。
【0057】
以上、本実施形態によれば、入力データから当該入力データを構成する文字データ、記号データ又はこれらの組み合わせの言語的意味を持った音楽フレーズ又はメロディを生成することができるとともに、音楽フレーズに休符が含まれることによりリズム感のある音楽フレーズ又はメロディを生成することができる。
【符号の説明】
【0058】
8a 1音属性群
8b 2音属性群
8c 3音属性群
9a 1音属性列コード
9b 2音属性列コード
9c 2音属性行コード
9d 3音属性列コード
10a 第一の音名コード
10b 第二の音名コード
11 配列コード