(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067680
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】デリバリパイプ
(51)【国際特許分類】
F02M 55/02 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
F02M55/02 330B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177933
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000185488
【氏名又は名称】株式会社オティックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 尊祥
【テーマコード(参考)】
3G066
【Fターム(参考)】
3G066BA30
3G066BA36
3G066CB05
(57)【要約】
【課題】凝着やむしれを抑制できるデリバリパイプを提供する。
【解決手段】パイプ本体2と、パイプ本体2の内側に配されたシール部材4及びプラグ部材5と、を備え、パイプ本体2は、燃料が通る燃料通路部3と、燃料通路部3よりも当該パイプ本体2の先端側部分である先端部31と、先端部31と燃料通路部3との間に配され、先端部31よりも内径の小さい小径部33と、を備え、先端部31には、その内面にねじ部31Aが形成され、シール部材4とプラグ部材5は、この順に先端部31からパイプ本体2の内側に挿入されて、燃料通路部3を封止するものであり、シール部材4は、燃料通路部3側に配された角部45を備え、プラグ部材5がねじ部31Aに螺合されてシール部材4を燃料通路部3側に押し付けることで、角部45が小径部33に押し付けられ、シール部材4が燃料通路部3を塞いでいる、デリバリパイプ1。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のパイプ本体と、
前記パイプ本体の内側に配されたシール部材及びプラグ部材と、を備え、
前記パイプ本体は、
燃料が通る燃料通路部と、
前記燃料通路部よりも当該パイプ本体の先端側部分である先端部と、
前記先端部と前記燃料通路部との間に配され、前記先端部よりも内径の小さい小径部と、を備え、
前記先端部には、その内面にねじ部が形成され、
前記シール部材と前記プラグ部材は、この順に前記先端部から前記パイプ本体の内側に挿入されて、前記燃料通路部を封止するものであり、
前記シール部材は、前記燃料通路部側に配された角部を備え、
前記プラグ部材が前記ねじ部に螺合されて前記シール部材を前記燃料通路部側に押し付けることで、前記角部が前記小径部に押し付けられ、前記シール部材が前記燃料通路部を塞いでいる、デリバリパイプ。
【請求項2】
前記角部は、面取りされた形状をなしている、請求項1に記載のデリバリパイプ。
【請求項3】
筒状のパイプ本体と、
前記パイプ本体の内側に配されたシール部材及びプラグ部材と、を備え、
前記パイプ本体は、
燃料が通る燃料通路部と、
前記燃料通路部よりも当該パイプ本体の先端側部分である先端部と、
前記先端部と前記燃料通路部との間に配され、前記先端部よりも内径の小さい小径部と、を備え、
前記先端部には、その内面にねじ部が形成され、
前記シール部材と前記プラグ部材は、この順に前記先端部から前記パイプ本体の内側に挿入されて、前記燃料通路部を封止するものであり、
前記シール部材は、前記燃料通路部側を向く平坦面を備え、
前記プラグ部材が前記ねじ部に螺合されて前記シール部材を前記燃料通路部側に押し付けることで、前記平坦面の一部が前記小径部に押し付けられ、前記シール部材が前記燃料通路部を塞いでいる、デリバリパイプ。
【請求項4】
前記プラグ部材と前記シール部材との間に生じる摩擦力が、前記シール部材と前記小径部との間に生じる摩擦力よりも小さい構成とされる、請求項1または請求項3に記載のデリバリパイプ。
【請求項5】
前記シール部材は、前記プラグ部材に当接する平坦状の当接面を備える、請求項1または請求項3に記載のデリバリパイプ。
【請求項6】
前記シール部材は、円柱状をなしている、請求項1または請求項3に記載のデリバリパイプ。
【請求項7】
前記シール部材は、前記プラグ部材側の部分が縮径した形をなしている、請求項1または請求項3に記載のデリバリパイプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、デリバリパイプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関等において、燃料供給管から供給される燃料を各気筒に設けられたインジェクタに分配するデリバリパイプ(フューエルデリバリパイプ)が知られている。このようなデリバリパイプとして、特許文献1には、燃料流通路を有するパイプ本体の開口部がキャップ等の閉塞部材によって塞がれた構成が開示されている。この閉塞部材に形成された雄ネジを、パイプ本体に形成された雌ネジに対して螺合すると、閉塞部材の先端がパイプ本体に形成されたテーパ面に強く当接する。これにより、閉塞部材とテーパ面の間でシールが形成され、閉塞部材とパイプ本体との隙間から燃料が漏れないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、螺合する閉塞部材がテーパ面に対し回転して摺動することにより、閉塞部材とテーパ面との間の当接部分に摩擦熱が生じ、当該当接部分の一部が凝着する場合がある。また、閉塞部材の螺合により、この凝着した部分が更に回転して摺動すると、当接部分に筋状の傷が付く可能性がある(これを、むしれと呼ぶ)。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成された技術であって、凝着やむしれを抑制できるデリバリパイプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、筒状のパイプ本体と、前記パイプ本体の内側に配されたシール部材及びプラグ部材と、を備え、前記パイプ本体は、燃料が通る燃料通路部と、前記燃料通路部よりも当該パイプ本体の先端側部分である先端部と、前記先端部と前記燃料通路部との間に配され、前記先端部よりも内径の小さい小径部と、を備え、前記先端部には、その内面にねじ部が形成され、前記シール部材と前記プラグ部材は、この順に前記先端部から前記パイプ本体の内側に挿入されて、前記燃料通路部を封止するものであり、前記シール部材は、前記燃料通路部側に配された角部を備え、前記プラグ部材が前記ねじ部に螺合されて前記シール部材を前記燃料通路部側に押し付けることで、前記角部が前記小径部に押し付けられ、前記シール部材が前記燃料通路部を塞いでいる、デリバリパイプである。
【0007】
このようなデリバリパイプによると、ねじ部に螺合されるプラグ部材と、燃料通路部を塞ぐシール部材とが、別部材であるため、プラグ部材の螺合に伴ってシール部材が回転すること(共回りと呼ぶことがある)を抑制できる。これにより、角部と小径部との間で生ずる摩擦熱を抑えて、凝着やむしれが発生することを防ぐことができる。また、シール部材において、小径部に押し付けられる部分を、特定の部分(角部)に限定することができるので、当該特定の部分について、例えば表面加工や材料の検討等を行い、摩擦力を調整することが可能となる。
【0008】
上記構成において、前記角部は、面取りされた形状をなしていてもよい。
【0009】
このようなデリバリパイプによると、角部と小径部との間において当接した部分の面積を大きくし、当該部分における摩擦力を大きくすることができる。これにより、共回りすることを、一層抑制できる。
【0010】
また、本開示は、筒状のパイプ本体と、前記パイプ本体の内側に配されたシール部材及びプラグ部材と、を備え、前記パイプ本体は、燃料が通る燃料通路部と、前記燃料通路部よりも当該パイプ本体の先端側部分である先端部と、前記先端部と前記燃料通路部との間に配され、前記先端部よりも内径の小さい小径部と、を備え、前記先端部には、その内面にねじ部が形成され、前記シール部材と前記プラグ部材は、この順に前記先端部から前記パイプ本体の内側に挿入されて、前記燃料通路部を封止するものであり、前記シール部材は、前記燃料通路部側を向く平坦面を備え、前記プラグ部材が前記ねじ部に螺合されて前記シール部材を前記燃料通路部側に押し付けることで、前記平坦面の一部が前記小径部に押し付けられ、前記シール部材が前記燃料通路部を塞いでいる、デリバリパイプである。
【0011】
このようなデリバリパイプによると、ねじ部に螺合されるプラグ部材と、燃料通路部を塞ぐシール部材とが、別部材であるため、プラグ部材の螺合に伴ってシール部材が回転すること(共回り)を抑制できる。これにより、平坦面の一部と小径部との間で生ずる摩擦熱を抑えて、凝着やむしれが発生することを防ぐことができる。また、シール部材において、小径部に押し付けられる部分を、特定の部分(平坦面の一部)に限定することができるので、当該特定の部分について、例えば表面加工や材料の検討等を行い、摩擦力を調整することが可能となる。
【0012】
上記構成において、前記プラグ部材と前記シール部材との間に生じる摩擦力が、前記シール部材と前記小径部との間に生じる摩擦力よりも小さくてもよい。
【0013】
このようなデリバリパイプによると、プラグ部材に対してシール部材が回転し難くなるので、共回りすることを、より抑制できる。これにより、シール部材と小径部との間で生ずる摩擦熱をより抑えることができる。
【0014】
上記構成において、前記シール部材は、前記プラグ部材に当接する平坦状の当接面を備えていてもよい。
【0015】
このようなデリバリパイプによると、プラグ部材がねじ部に螺合されてシール部材を燃料通路部側に押し付ける際に、平坦状の当接面を介してプラグ部材からシール部材に力が加わり易くなる。これにより、角部が小径部に押し付けられ易くなり、好適である。
【0016】
上記構成において、前記シール部材は、円柱状をなしていてもよい。
【0017】
このようなデリバリパイプによると、プラグ部材がねじ部に螺合されてシール部材を燃料通路部側に押し付ける際に、プラグ部材からシール部材に加わる力が角部や平坦面の一部に伝わり易くなり、好適である。
【0018】
上記構成において、前記シール部材は、前記プラグ部材側の部分が縮径した形をなしていてもよい。
【0019】
このようなデリバリパイプによると、プラグ部材とシール部材との間において当接した部分の面積を小さくし、当該部分における摩擦力を小さくすることができる。これにより、共回りすることを、一層抑制できる。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、凝着やむしれを抑制できるデリバリパイプを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態1に係るデリバリパイプを示す断面図
【
図2】パイプ本体とシール部材とプラグ部材を並べた状態の断面図
【
図3】シール部材をパイプ本体の内部に挿入した状態の断面図
【
図4】プラグ部材をパイプ本体の内部に挿入してねじ部に螺合した状態の断面図
【
図5】
図4においてシール部材と小径部とが当接した部分を拡大した断面図
【
図6】実施形態2に係るデリバリパイプの一部を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態1>
本開示の実施形態1を
図1から
図5によって説明する。本実施形態では、乗物としての自動車(車両)のエンジンに燃料を供給するための車両用デリバリパイプ1について説明する。
図1に示すように、デリバリパイプ1は、軸方向(
図1における左右方向)に延びた筒状のパイプ本体2と、パイプ本体2の内側に配されたシール部材4及びプラグ部材5と、を備える。パイプ本体2は、径方向(
図1における上下方向)における断面が例えば円形であり、燃料が通る通路を構成する燃料通路部3を備える。パイプ本体2の外周面には、筒状をなした複数の(本実施形態では4つの)燃料噴射弁取付部21が、パイプ本体2の軸方向に沿って所定間隔ごとに並んで設けられている。燃料噴射弁取付部21は、パイプ本体2の軸方向に対して略垂直方向に沿い、燃料通路部3に連通した連通孔23を備える。連通孔23において燃料通路部3とは反対側の先端には、エンジンの燃料噴射弁6が取り付けられる。
【0023】
パイプ本体2の一端部2Aの外周部分には、インレット22が形成されている。インレット22は、燃料ポンプに接続される燃料チューブ(不図示)が取り付けられ、この燃料チューブを通して燃料ポンプから供給される燃料を燃料通路部3内に導入する部分である。
【0024】
図2に示すように、パイプ本体2において、一端部2Aの反対側の端部である他端部2Bは、燃料通路部3よりも当該パイプ本体2の先端2B1側(左側)部分である先端部31と、先端部31と燃料通路部3との間に配された中間部32及び小径部33と、を備える。先端部31には、その内面においてねじ山とねじ溝とにより構成されたねじ部31Aが形成されている。中間部32は、先端部31の燃料通路部3側に隣接しており、その内面が、段差状をなしている。中間部32は、ねじ部31Aに接続した第1面32Aと、第1面32Aから中間部32の径方向内側に立ち上がった立上面32Bと、立上面32Bの径方向内側端部から燃料通路部3側へ延び、第1面32Aよりも径方向内側に位置する第2面32Cと、を備える。小径部33は、先端部31よりも内径(
図2において上下方向における長さ)が小さい。小径部33は、燃料通路部3側に向かうほどその内径が小さくなる形(縮径した形)をなしている。小径部33は、第2面32Cと燃料通路部3とを繋ぐ面であって、第2面32Cから燃料通路部3側に向かうほど径方向内側に傾斜した傾斜面33Aを備える。パイプ本体2は、ねじ部31A及び第1面32A、第2面32C,傾斜面33A、燃料通路部3の順で、内径が小さくなる。
【0025】
シール部材4は、円柱状をなしており、その外径(上下方向における長さ)が、燃料通路部3よりも大きく、中間部32の内径(より具体的には、中間部32において第2面32Cにおける内径)よりも小さい。シール部材4は、一方の面であって燃料通路部3側を向く平坦状の平坦面41と、平坦面41の反対側に位置する他方の面であってプラグ部材5に当接する平坦状の第1当接面43と、を備える。また、シール部材4は、平坦面41の端(円周側の部分)であって燃料通路部3側に配された角部45を備える。角部45は、燃料通路部3側に向かうほど径方向内側に傾斜したテーパ面46を備え、面取りされた形状をなしている。
【0026】
プラグ部材5は、その外径(上下方向における長さ)が、シール部材4の外径よりも大きく、中間部32において第2面32Cにおける内径よりも大きい。プラグ部材5は、燃料通路部3側を向く平坦状の面であってシール部材4の第1当接面43に当接する第2当接面51と、当該プラグ部材5の側面においてねじ山とねじ溝とにより構成されたプラグねじ部52と、当該プラグ部材5をパイプ本体2の軸周りに回転させるための六角レンチ(取付冶具)が嵌合する凹部53と、を備える。
【0027】
パイプ本体2、シール部材4、及びプラグ部材5の材料としては、特に限定されないが、例えば、鉄、アルミニウム、及び合金等からなる群のうち1種又は2種以上を採用することができる。このうち、合金としては、スチール、又はステンレス鋼等が挙げられる。パイプ本体2、シール部材4、及びプラグ部材5の材料は、同一でもよく、それぞれ異なっていてもよい。
【0028】
シール部材4とプラグ部材5は、この順に先端部31からパイプ本体2の内側に挿入されて、燃料通路部3を封止する封止構造10(
図4参照)を構成する。このような封止構造10とするには、まず、
図2に示すように、パイプ本体2の外側であって他端部2Bの先端2B1側に、シール部材4を配する。このとき、シール部材4の平坦面41が燃料通路部3側を向くように配する。
【0029】
次に、
図3に示すように、シール部材4を、先端部31(他端部2Bの先端2B1)からパイプ本体2の内側に挿入する。このとき、シール部材4の平坦面41が燃料通路部3側を向き、角部45のテーパ面46が小径部33の傾斜面33Aに接触する。尚、
図5に示すように、テーパ面46の傾斜角(シール部材4の側面47に対するテーパ面46の傾斜角θ2)は、傾斜面33Aの傾斜角(第2面32Cに対する傾斜面33Aの傾斜角θ1)に等しい。他の実施形態として、傾斜角θ1は、傾斜角θ2と異なる角度でもよく、傾斜角θ2よりも大きい角度でもよい。例えば、傾斜角θ1が120度であり、傾斜角θ2が90度であってもよい。また、
図3に示すように、テーパ面46が傾斜面33Aに接触した状態では、第1当接面43は、立上面32Bよりもねじ部31A側に突出している。シール部材4の側面47と、第2面32Cとの間には、隙間が設けられている。
【0030】
次に、
図4に示すように、プラグ部材5を、第2当接面51が第1当接面43に対向する形で配して、先端部31(他端部2Bの先端2B1)からパイプ本体2の内側に挿入しつつ、図示しない取付冶具によって当該プラグ部材5を回転させる。プラグ部材5がねじ部31Aに螺合され、プラグねじ部52がねじ部31Aに嵌合すると、第2当接面51が第1当接面43に当接する。引き続き、プラグ部材5がねじ部31Aに螺合されると、プラグ部材5がシール部材4を燃料通路部3側に押し付けることで、角部45であって平坦面41の端(テーパ面46)が小径部33の傾斜面33Aに押し付けられる。これにより、テーパ面46と傾斜面33Aとが密着(または塑性変形)し、シール部材4が、燃料通路部3を塞いだ状態の、封止構造10となる。
【0031】
尚、プラグ部材5とシール部材4との間(第2当接面51と第1当接面43との間)に生じる摩擦力は、シール部材4と小径部33との間(テーパ面46と傾斜面33Aとの間)に生じる摩擦力よりも小さい構成とされる。それぞれの摩擦力がこのような関係になるためには、例えば、第1当接面43及び第2当接面51の少なくとも一方に、摩擦係数が低下するような(滑りやすくなるような)塗料を塗布する等の表面加工を行うこと、プラグ部材5について摩擦係数が低下するような材料を採用すること、又は、第1当接面43と第2当接面51とが当接する面積を小さくすること等が挙げられる。
【0032】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、筒状のパイプ本体2と、パイプ本体2の内側に配されたシール部材4及びプラグ部材5と、を備え、パイプ本体2は、燃料が通る燃料通路部3と、燃料通路部3よりも当該パイプ本体2の先端側部分である先端部31と、先端部31と燃料通路部3との間に配され、先端部31よりも内径の小さい小径部33と、を備え、先端部31には、その内面にねじ部31Aが形成され、シール部材4とプラグ部材5は、この順に先端部31からパイプ本体2の内側に挿入されて、燃料通路部3を封止するものであり、シール部材4は、燃料通路部3側に配された角部45を備え、プラグ部材5がねじ部31Aに螺合されてシール部材4を燃料通路部3側に押し付けることで、角部45が小径部33に押し付けられ、シール部材4が燃料通路部3を塞いでいる、デリバリパイプ1を示した。
【0033】
このようなデリバリパイプ1によると、ねじ部31Aに螺合されるプラグ部材5と、燃料通路部3を塞ぐシール部材4とが、別部材であるため、プラグ部材5の螺合に伴ってシール部材4が回転すること(共回り)を抑制できる。これにより、角部45と小径部33との間で生ずる摩擦熱を抑えて、凝着やむしれが発生することを防ぐことができる。また、シール部材4において、小径部33に押し付けられる部分を、特定の部分(角部45)に限定することができるので、当該特定の部分について、例えば表面加工や材料の検討等を行い、摩擦力を調整することが可能となる。
【0034】
角部45は、面取りされた形状をなしている。
【0035】
このようなデリバリパイプ1によると、角部45と小径部33との間において接触した部分の面積を大きくし、当該部分における摩擦力を大きくすることができる。これにより、共回りすることを、一層抑制できる。
【0036】
シール部材4は、燃料通路部3側を向く平坦面41を備え、プラグ部材5がねじ部31Aに螺合されてシール部材4を燃料通路部3側に押し付けることで、平坦面41の一部が小径部33に押し付けられ、シール部材4が燃料通路部3を塞いでいる。
【0037】
このようなデリバリパイプ1によると、平坦面41の一部と小径部33との間で生ずる摩擦熱を抑えて、凝着やむしれが発生することを防ぐことができる。また、シール部材4において、小径部33に押し付けられる部分を、特定の部分(平坦面41の一部)に限定することができるので、当該特定の部分について、例えば表面加工や材料の検討等を行い、摩擦力を調整することが可能となる。
【0038】
プラグ部材5とシール部材4との間に生じる摩擦力が、シール部材4と小径部33との間に生じる摩擦力よりも小さい。
【0039】
このようなデリバリパイプ1によると、プラグ部材5に対してシール部材4が回転し難くなるので、共回りすることを、より抑制できる。これにより、シール部材4と小径部33との間で生ずる摩擦熱をより抑えることができる。
【0040】
シール部材4は、プラグ部材5に当接する平坦状の第1当接面43を備えている。
【0041】
このようなデリバリパイプ1によると、プラグ部材5がねじ部31Aに螺合されてシール部材4を燃料通路部3側に押し付ける際に、平坦状の第1当接面43を介してプラグ部材5からシール部材4に力が加わり易くなる。これにより、角部45が小径部33に押し付けられ易くなり、好適である。
【0042】
シール部材4は、円柱状をなしている。
【0043】
このようなデリバリパイプ1によると、プラグ部材5がねじ部31Aに螺合されてシール部材4を燃料通路部3側に押し付ける際に、プラグ部材5からシール部材4に加わる力が角部45に伝わり易くなり、好適である。
【0044】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2を
図6によって説明する。尚、本実施形態では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0045】
シール部材104は、プラグ部材5側の部分が縮径した形(プラグ部材5側に向かうほど外径が小さくなる形)をなしている。シール部材104は、一方の面である平坦面41と、テーパ面46を有する角部45と、を備える。また、シール部材104は、第2面32Cに対向する側面147と、平坦面41の反対側に位置する他方の面であってプラグ部材5に当接する平坦状の第1当接面143と、側面147と第1当接面143とを繋ぐ面であって燃料通路部3側に向かうほど径方向外側に傾斜した逆テーパ面148と、を備える。逆テーパ面148は、テーパ面46よりも面積が大きい。第1当接面143は、平坦面41よりも面積が小さい。第1当接面143は、シール部材104の上下方向における中央であってパイプ本体2の軸方向に交わる位置に配されている。
【0046】
このようなデリバリパイプによると、プラグ部材5とシール部材104との間において当接した部分の面積を小さくし、当該部分における摩擦力を小さくすることができる。これにより、共回りすることを、一層抑制できる。
【0047】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0048】
(1)上記実施形態以外にも、シール部材の構成は適宜変更可能である。シール部材の角部は、傾斜したテーパ面ではなく、ラウンド状に膨出した曲面であってもよい。その場合、小径部においてシール部材に当接する部分も、ラウンド状に窪んだ曲面であってもよい。また、シール部材は、角部を有し、上記実施形態において平坦面に相当する位置に配される面が、凹凸状をなしていてもよい。
【0049】
(2)上記実施形態では、シール部材は、小径部に対し面接触する構成としたが、これに限定されない。例えば、シール部材は、角部が面取りされておらず、小径部に対し線接触する構成とされていてもよい。
【0050】
(3)上記実施形態では、小径部は、傾斜面を備え、燃料通路部側に向かうほどその内径が縮径した形としたが、これに限定されない。たとえば、小径部は、段差状に内径が小さくなる形をなしていてもよい。その場合、シール部材は、平坦面の一部が、小径部の段差状部分を構成する立壁に突き当たるようにして当接し、燃料通路部を塞ぐこととしてもよい。
【0051】
(4)上記実施形態で例示したデリバリパイプは、車両用に限定されず、種々の乗物において提供されてもよい。例えば、地上の乗物としての列車や遊戯用車両、飛行用乗物としての飛行機やヘリコプター、海上や海中用乗物としての船舶や潜水艇などの乗物についても上記デリバリパイプを適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…デリバリパイプ、2…パイプ本体、3…燃料通路部、4…シール部材、5…プラグ部材、31…先端部、31A…ねじ部、33…小径部、41…平坦面、43…第1当接面、45…角部