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特開2024-67686処理装置、コンピュータプログラム、教師データの生成方法、および推論モデルの生成方法
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  • 特開-処理装置、コンピュータプログラム、教師データの生成方法、および推論モデルの生成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067686
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】処理装置、コンピュータプログラム、教師データの生成方法、および推論モデルの生成方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/361 20210101AFI20240510BHJP
   A61B 5/339 20210101ALI20240510BHJP
【FI】
A61B5/361
A61B5/339
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177944
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】関口 陽太
(72)【発明者】
【氏名】梅本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恵一
(72)【発明者】
【氏名】松沢 航
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127FF01
4C127GG05
4C127GG16
4C127HH11
(57)【要約】
【課題】対象者から取得された心電図波形に心疾患が疑われる波形部位が含まれているかについて、より詳細な情報を提供可能にする。
【解決手段】入力インタフェースは、対象者の心電図波形Wに対応する心電図波形データを受け付ける。プロセッサは、心電図波形データに基づいて、心電図波形Wを複数の部分心電図波形SW1~SW6に区分する。プロセッサは、複数の部分心電図波形SW1~SW6の各々について心房細動が疑われる波形部位が含まれている確率を算出する。プロセッサは、当該確率に対応する指標ID1~ID6を、当該確率が算出された部分心電図波形SW1~SW6とともに表示装置32に表示させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の心電図波形に対応する心電図波形データを受け付けるインタフェースと、
前記心電図波形データに基づいて、
前記心電図波形を複数の部分心電図波形に区分し、
前記複数の部分心電図波形の各々について心疾患が疑われる波形部位が含まれている確率を算出し、かつ
前記確率に対応する指標を、当該確率が算出された前記部分心電図波形に対応する情報とともに表示装置に表示させるプロセッサと、
を備えている、
処理装置。
【請求項2】
前記指標は、前記部分心電図波形の色、前記部分心電図波形の背景の色、または前記部分心電図波形とともに表示される図形の色である、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記部分心電図波形に対応する情報は、前記心電図波形のR-R間隔に基づくタコグラムを含んでいる、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記インタフェースは、前記指標を変更する指示を受け付け、
前記プロセッサは、前記指示に基づいて前記指標を変更する、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項5】
前記インタフェースは、前記表示装置に表示された前記心電図波形における特定の時間区間を指定する指示を受け付け、
前記プロセッサは、前記時間区間における前記指標とともに表示された前記部分心電図波形の占有率に応じて、前記時間区間に含まれる前記指標を変更する、
請求項4に記載の処理装置。
【請求項6】
前記インタフェースは、前記表示装置に表示された前記心電図波形における特定の時間区間を指定する指示を受け付け、
前記プロセッサは、前記時間区間に含まれる前記部分心電図波形と類似する前記時間区間に含まれない前記部分心電図波形を特定し、当該特定された部分心電図波形とともに表示される前記指標を、前記時間区間に含まれる前記部分心電図波形とともに表示されている前記指標と一致するように変更する、
請求項4に記載の処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、変更された前記指標に対応するデータと当該変更された指標により特定される前記部分心電図波形に対応する前記心電図波形データの一部とが関連付けられたデータセットを生成する、
請求項4に記載の処理装置。
【請求項8】
前記確率は、心疾患が疑われる波形部位が含まれていると判断された複数の心電図波形を用いた機械学習を通じて生成された推論モデルに前記心電図波形に基づいて取得されるデータを入力することにより算出される、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項9】
処理装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記処理装置は、
対象者の心電図波形に対応する心電図波形データを受け付け、
前記心電図波形データに基づいて前記心電図波形を複数の部分心電図波形に区分し、
前記複数の部分心電図波形の各々について心疾患が疑われる波形部位が含まれている確率を算出し、
前記確率に対応する指標を、当該確率が算出された前記部分心電図波形に対応する情報とともに表示装置に表示させる、
コンピュータプログラム。
【請求項10】
対象者から取得された心電図波形に心疾患が疑われる波形部位が含まれている確率の算出に使用される推論モデルを機械学習するための教師データを生成する方法であって、
心疾患が疑われる波形部位を含む心電図波形に対応する心電図波形データを取得し、
前記心電図波形から前記対象者の拍情報を取得し、
前記心電図波形データと前記拍情報に対応するデータとが関連付けられたデータセットを生成する、
教師データの生成方法。
【請求項11】
対象者から取得された心電図波形に心疾患が疑われる波形部位が含まれている確率の算出に使用される推論モデルを生成する方法であって、
請求項10に記載の方法により生成された教師データを取得し、
前記教師データを用いて機械学習を行なう、
推論モデルの生成方法。
【請求項12】
対象者から取得された心電図波形に心疾患が疑われる波形部位が含まれている確率の算出に使用される推論モデルを生成する方法であって、
請求項7に記載の処理装置により生成されたデータセットを取得し、
前記データセットを用いて機械学習を行なう、
推論モデルの生成方法。
【請求項13】
複数の処理装置から前記データセットを取得する、
請求項12に記載の推論モデルの生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象者から取得された心電図波形に心疾患が疑われる波形部位が含まれている確率を算出する処理を行なう処理装置、および当該処理装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムに関連する。本開示は、対象者から取得された心電図波形に心疾患が疑われる波形部位が含まれている確率の算出に使用される推論モデルを機械学習するための教師データを生成する方法、および当該推論モデルを生成する方法にも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、対象者の心電図波形を取得するホルタ心電計を開示している。当該心電図波形に対応するデータは、遠隔配置された情報処理装置により受信される。情報処理装置は、当該データを解析することよって、当該心電図波形に心疾患が疑われる波形部位が含まれているかを判断するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-054391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対象者から取得された心電図波形に心疾患が疑われる波形部位が含まれているかについて、より詳細な情報を提供可能にすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示により提供されうる第一の態様例は、処理装置であって、
対象者の心電図波形に対応する心電図波形データを受け付けるインタフェースと、
前記心電図波形データに基づいて、
前記心電図波形を複数の部分心電図波形に区分し、
前記複数の部分心電図波形の各々について心疾患が疑われる波形部位が含まれている確率を算出し、かつ
前記確率に対応する指標を、当該確率が算出された前記部分心電図波形に対応する情報とともに表示装置に表示させるプロセッサと、
を備えている。
【0006】
本開示により提供されうる第二の態様例は、処理装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記処理装置は、
対象者の心電図波形に対応する心電図波形データを受け付け、
前記心電図波形データに基づいて前記心電図波形を複数の部分心電図波形に区分し、
前記複数の部分心電図波形の各々について心疾患が疑われる波形部位が含まれている確率を算出し、
前記確率に対応する指標を、当該確率が算出された前記部分心電図波形に対応する情報とともに表示装置に表示させる。
【0007】
第一の態様例と第二の態様例に係る構成によれば、心電図波形の経時変化の中にあって心疾患が疑われる波形部位が含まれている確率が高い(あるいは低い)と推論された部分がどのように分布しているかについて俯瞰的な視点をユーザに提供できる。すなわち、対象者から取得された心電図波形に心疾患が疑われる波形部位が含まれているかについて、より詳細な情報を提供できる。
【0008】
加えて、心疾患が疑われる波形部位が含まれている確率が中程度であると推論された部分について当該推論の妥当性をより重点的に確認するといった確認の仕方を、ユーザに提供できる。すなわち、対象者から取得された心電図波形に心疾患が疑われる波形部位が含まれているかの確認作業の効率性を高めうる。
【0009】
本開示により提供されうる第三の態様例は、対象者から取得された心電図波形に心疾患が疑われる波形部位が含まれている確率の算出に使用される推論モデルを機械学習するための教師データを生成する方法であって、
心疾患が疑われる波形部位を含む心電図波形に対応する心電図波形データを取得し、
前記心電図波形から前記対象者の拍情報を取得し、
前記心電図波形データと前記拍情報に対応するデータとが関連付けられたデータセットを生成する。
【0010】
本開示により提供されうる第四の態様例は、対象者から取得された心電図波形に心疾患が疑われる波形部位が含まれている確率の算出に使用される推論モデルを生成する方法であって、
第三の態様例に係る方法により生成された教師データを取得し、
前記教師データを用いて機械学習を行なう。
【0011】
拍情報に対応するデータは、心電図波形に対応するデータよりもデータサイズが小さい。したがって、第三の態様例と第四の態様例に係る構成によれば、機械学習に係る演算負荷を軽減できる。
【0012】
本開示により提供されうる第五の態様例は、対象者から取得された心電図波形に心疾患が疑われる波形部位が含まれている確率の算出に使用される推論モデルを生成する方法であって、
第一の態様に係る処理装置のプロセッサにより生成されたデータセットを取得し、
前記データセットを用いて機械学習を行ない、
前記データセットは、変更された前記指標に対応するデータと当該変更された指標により特定される前記部分心電図波形に対応する前記心電図波形データの一部とが関連付けられている。
【0013】
ある指標が修正されたという事実は、当該指標により特定される部分心電図波形に心房細動が疑われる波形部位が含まれている確率についての推論結果に修正の余地があったことを意味している。換言すると、推論モデルの推論アルゴリズムに改善の余地があることを意味している。第五の態様例に係るデータセットを教師データとして機械学習を行なうことにより、対象者から取得された心電図波形に心疾患が疑われる波形部位が含まれている確率の推論精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係る処理装置の機能構成を例示している。
図2図1のプロセッサにより実行される処理の流れを例示している。
図3図2の処理により表示装置に表示される指標を示している。
図4図2の処理により表示装置に表示される画面の一例を示している。
図5図2の処理により表示装置に表示される画面の別例を示している。
図6】表示された指標を変更する処理の一例を示している。
図7】表示された指標を変更する処理の別例を示している。
図8】表示された指標を変更する処理の別例を示している。
図9図1の推論モデルを生成する装置の機能構成を例示している。
図10図1の処理装置を含む処理システムの構成の一例を示している。
図11図1の処理装置を含む処理システムの構成の別例を示している。
図12図9の教師データに用いられうるデータセットを例示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について詳細に説明する。
【0016】
図1は、一実施形態に係る処理装置10の機能構成を例示している。処理装置10は、対象者20から取得された心電図波形に心房細動が疑われる波形部位が含まれている確率を算出する処理を行なうように構成されている。心房細動を含む不整脈は、心疾患の一例である。
【0017】
処理装置10は、入力インタフェース11を備えている。入力インタフェース11は、心電計などを通じて取得された対象者20の心電図波形に対応する心電図波形データWDを受け付けるハードウェアインタフェースとして構成されている。心電図波形データWDは、心電計などの仕様に応じてデジタルデータであってもよいし、アナログデータであってもよい。
【0018】
心電図波形データWDがアナログデータである場合、入力インタフェース11は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。この説明は、後述される入力インタフェース11が受け付け可能な他の信号やデータについても同様に適用される。
【0019】
処理装置10は、プロセッサ12を備えている。プロセッサ12は、図2に例示される処理を実行する演算素子として構成されている。
【0020】
まず、取得された心電図波形を複数の部分心電図波形に区分する作業に対応する処理が、心電図波形データWDに対してなされる(STEP1)。各部分心電図波形は、所定の時間長さを有している。所定の時間長さは、例えば1秒である。図3に示される例においては、心電図波形Wが六つの部分心電図波形SW1~SW6を含んでいる。
【0021】
続いて、複数の部分心電図波形の各々について心房細動が疑われる波形部位が含まれている確率を算出する処理が実行される(図2のSTEP2)。具体的には、プロセッサ12は、各部分心電図波形に対応するデータを、図1に例示される推論モデル31に入力する。
【0022】
なお、推論モデル31へのデータの入力は、必ずしも区分された部分心電図波形ごとの単位でなされることを要しない。複数の部分心電図波形に対応するデータがまとめて推論モデル31へ入力されてもよい。
【0023】
推論モデル31は、後述する機械学習を通じて生成された推論アルゴリズムである。推論モデル31は、部分心電図波形に対応するデータを入力として、当該部分心電図波形に心房細動が疑われる波形部位が含まれている確率を推論結果として出力するように構成されている。確率は、0から1の間の値をとる。値0は、0%に対応している。値1は、100%に対応している。推論結果は、推論された確率に対応するスコア(例えば1から5までの値のいずれか)であってもよい。
【0024】
続いて、上記の確率に対応する指標を、当該確率が算出された部分心電図波形とともに図1に例示される表示装置32に表示させる処理が実行される(図2のSTEP3)。
【0025】
図1に例示されるように、処理装置10は、出力インタフェース13を備えている。プロセッサ12は、心電図波形Wを表示装置32に表示させる表示制御信号DCを、出力インタフェース13から出力するように構成されている。出力インタフェース13は、ハードウェアインタフェースとして構成されている。表示制御信号DCは、表示装置32の仕様に応じてデジタル信号であってもよいし、アナログ信号であってもよい。
【0026】
表示制御信号DCがアナログ信号である場合、出力インタフェース13は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。この説明は、後述される出力インタフェース13が出力可能な他の信号やデータについても同様に適用される。
【0027】
表示制御信号DCは、図3に例示されるように複数の指標ID1~ID6を心電図波形Wと並べて表示装置32に表示させるように構成される。複数の指標ID1~ID6の各々は、複数の部分心電図波形SW1~SW6の対応する一つと並ぶように表示される。
【0028】
本例においては、指標は、帯状の図形の色である。本例においては、図形の色は、算出された確率に対応する四色のいずれかである(無色もまた色の一例である)。
【0029】
図3に示される例においては、部分心電図波形SW2に対応付けられた指標ID2が示す確率は、部分心電図波形SW1、SW3に対応付けられた指標ID1、ID3が示す確率よりも高い。部分心電図波形SW4に対応付けられた指標ID4が示す確率は、部分心電図波形SW2に対応付けられた指標ID2が示す確率よりも高い。部分心電図波形SW5、SW6に対応付けられた指標ID5、ID6が示す確率は、部分心電図波形SW4に対応付けられた指標ID4が示す確率よりも高い。
【0030】
図4は、表示制御信号DCに基づいて表示装置32に表示される画面の一例を示している。6分間にわたって取得された心電図波形Wが表示されている。心電図波形Wを構成している各部分心電図波形の下方には、上述の指標が対応するように表示されている。
【0031】
換言すると、特定の確率に関連付けられた部分心電図波形のみが抽出されて表示装置32に表示されるのではなく、全ての部分心電図波形を含む心電図波形Wが表示に供され、当該心電図波形Wを構成する全ての部分心電図波形の各々に対応付けられた指標が、心電図波形Wとともに表示されている。
【0032】
このような構成によれば、心電図波形Wの経時変化の中にあって心房細動が疑われる波形部位が含まれている確率が高い(あるいは低い)と推論された部分がどのように分布しているかについて俯瞰的な視点をユーザに提供できる。すなわち、対象者20から取得された心電図波形Wに心房細動が疑われる波形部位が含まれているかについて、より詳細な情報を提供できる。
【0033】
加えて、心房細動が疑われる波形部位が含まれている確率が中程度であると推論された部分について当該推論の妥当性をより重点的に確認するといった確認の仕方を、ユーザに提供できる。すなわち、対象者20から取得された心電図波形Wに心房細動が疑われる波形部位が含まれているかの確認作業の効率性を高めうる。
【0034】
図5は、表示制御信号DCに基づいて表示装置32に表示される画面の別例を示している。本例に係る表示制御信号DCは、心電図波形WにおけるR-R間隔の経時変化を示すタコグラムTを、表示装置32に表示させるように構成されている。タコグラムTは、部分心電図波形に対応する情報の一例である。タコグラムTを構成している各部分心電図波形に対応する部分の下方には、上述の指標が対応するように表示されている。
【0035】
図1に例示されるように、処理装置10の入力インタフェース11は、ユーザインタフェース33を通じて入力される修正指示データMDを受け付け可能に構成されうる。医療従事者などのユーザは、上記の推論を通じて表示装置32に表示された指標の変更が必要であると判断した場合、ユーザインタフェース33に所望の変更に対応する指示を入力しうる。修正指示データMDは、当該指示に基づいて表示装置32に表示される指標を変更するためのデータを含んでいる。
【0036】
例えば、図3に示されている指標ID3の色を指標ID2の色に一致させる変更をユーザが希望する場合、修正指示データMDは、指標ID3を指定するデータと、変更後の色を指定するデータを含みうる。
【0037】
プロセッサ12は、修正指示データMDに基づいて表示される指標を表示装置32に変更させる表示制御信号DCを、出力インタフェース13から出力する。上記の例においては、指標ID3の色を指標ID2の色に一致させる表示制御信号DCが、出力インタフェース13から出力される。
【0038】
このような構成によれば、対象者20から取得された心電図波形Wに心房細動が疑われる波形部位が含まれているかについてのプロセッサ12による推論結果に対する編集可能性を提供できる。推論結果に対する医療従事者などのユーザの介入が許容されることにより、利便性を高めることができる。
【0039】
図6は、推論結果に対する変更の別例を示している。本例においては、対象者20から取得された心電図波形Wに心房細動が疑われる波形部位が含まれている確率に対応する指標は、部分心電図波形の背景の色である。本例においては、当該確率が所定の閾値未満であると推論された部分心電図波形の背景は無色とされており、当該確率が当該閾値以上であると推論された部分心電図波形の背景が着色されている。
【0040】
ある時点における表示装置32の画面には、無色の指標と有色の指標とが混在して表示されている。医療従事者などのユーザは、指標の色をいずれか一方に統一させる変更を行なうことができる。具体的には、当該画面において変更を希望する領域を指定する枠Fを、ユーザインタフェース33を通じて設定する。換言すると、表示装置32に表示された心電図波形Wにおける特定の時間区間が、枠Fにより指定される。当該設定に対応する修正指示データMDが、ユーザインタフェース33から出力され、処理装置10の入力インタフェース11により受け付けられる。
【0041】
プロセッサ12は、修正指示データMDにより指定された時間区間(枠Fにより囲まれた領域)に含まれる指標のうち、占有率のより高い指標を特定し、当該指標に他の指標を一致させる変更を表示装置32に行なわせる表示制御信号DCを、出力インタフェース13から出力する。
【0042】
図6に示される例においては、有色の指標の方がより高い占有率を有している。したがって、プロセッサ12は、表示装置32に無色の指標を有色の指標に変更させる表示制御信号DCを、出力インタフェース13から出力する。
【0043】
図7に示される例においては、無色の指標の方がより高い占有率を有している。したがって、プロセッサ12は、表示装置32に有色の指標を無色の指標に変更させる表示制御信号DCを、出力インタフェース13から出力する。
【0044】
図8は、推論結果に対する変更の別例を示している。本例においては、医療従事者などのユーザは、指標の色の変更を希望する領域を指定する枠F1を、ユーザインタフェース33を通じて設定する。換言すると、表示装置32に表示された心電図波形Wにおける特定の時間区間が、枠F1により指定される。当該設定に対応する修正指示データMDが、ユーザインタフェース33から出力され、処理装置10の入力インタフェース11により受け付けられる。
【0045】
プロセッサ12は、修正指示データMDにより指定された時間区間(枠F1により囲まれた領域)に含まれない部分心電図波形のうち、指定された時間区間に含まれる部分心電図波形と類似するものを特定する。図8に示される例においては、枠F2により囲まれた領域が類似する部分心電図波形として特定されている。続いてプロセッサ12は、類似すると特定された部分心電図波形に対応付けられた指標の色を、指定された時間区間に含まれる部分心電図波形に対応付けられた指標の色とともに表示装置32に変更させる表示制御信号DCを、出力インタフェース13から出力する。図8に示される例においては、枠F1に囲まれた指標と枠F2に囲まれた指標の各々が有色から無色に変更されている。
【0046】
図6から図8を参照して説明した構成によれば、特に誤推定と認められる箇所が複数存在する場合において、修正作業の効率を高めることができる。
【0047】
上記のようにユーザによる指標の変更がなされた場合、プロセッサ12は、変更された指標に対応するデータと当該変更された指標により特定される部分心電図波形に対応する心電図波形データWDの一部とが関連付けられたデータセットDSを生成するように構成されうる。
【0048】
図1に例示されるように、プロセッサ12は、生成されたデータセットDSをストレージ34に格納するために、出力インタフェース13から出力しうる。ストレージ34は、半導体メモリ、ハードディスク装置、磁気テープ装置などにより実現されうる記憶装置である。
【0049】
ある指標が修正されたという事実は、当該指標により特定される部分心電図波形に心房細動が疑われる波形部位が含まれている確率についての推論結果に修正の余地があったことを意味している。換言すると、推論モデル31の推論アルゴリズムに改善の余地があることを意味している。上記のようなデータセットDSを収集および蓄積することにより、推論モデル31の再学習が必要とされた場合における教師データとしての利用が可能とされる。結果として、推論モデル31の改善を通じて対象者20から取得された心電図波形Wに心房細動が疑われる波形部位が含まれている確率の推論精度を高めることができる。なお、上記のようなデータセットDSは、推論モデル31の初期学習時における教師データとして用いられてもよい。
【0050】
推論モデル31は、図9に例示されるモデル生成装置35により生成されうる。すなわち、モデル生成装置35は、上記の処理装置10に実装される推論モデル31を生成するように構成されている。
【0051】
モデル生成装置35は、入力インタフェース351を備えている。入力インタフェース351は、教師データTRを受け付けるハードウェアインタフェースとして構成されている。教師データTRは、ストレージ34から取得されうる。
【0052】
一例として、教師データTRは、ある対象者から取得された心電図波形に対応するデータと、当該対象者が心房細動を起こしているか否かを示す教師ラベルデータとが関連付けられたデータセットである。
【0053】
別例として、教師データTRは、上記の心電図波形から取得された拍情報に対応するデータと、当該対象者が心房細動を起こしているか否かを示す教師ラベルデータとが関連付けられたデータセットである。拍情報の例としては、R-R間隔、正常拍、上室性期外収縮などが挙げられる。拍情報に対応するデータは、心電図波形に対応するデータよりもデータサイズが小さいので、機械学習に係る演算負荷を軽減できる。加えて、心電図波形から直接的に取得しにくい拍情報に対応するデータを、心電図波形に対応するデータとは個別に用意することにより、機械学習の多様性を高めることができる。
【0054】
したがって、別例に係る教師データTRを生成するためには、対象者の心電図波形に対応する心電図波形データが取得され、当該心電図波形から所望の拍情報が取得され、かつ当該心電図波形データと当該拍情報に対応するデータとがデータセットとして関連付けられる。生成された教師データTRは、ストレージ34に保存される。
【0055】
モデル生成装置35は、プロセッサ352を備えている。プロセッサ352は、教師データTRを用いて機械学習を行なうことにより推論モデル31を生成ように構成されている。機械学習に用いられるアルゴリズムの例としては、ニューラルネットワーク、決定木、ランダムフォレスト、サポートベクトルマシンなどが挙げられる。
【0056】
モデル生成装置35は、出力インタフェース353を備えている。出力インタフェース353は、プロセッサ352により生成された推論モデル31を、処理装置10に実装可能な形態で出力するハードウェアインターフェースとして構成されている。
【0057】
上記のように構成された教師データTRは、どのような心電図波形あるいは拍情報が対象者から取得された場合に当該対象者が心房細動を起こしている(あるいは起こしていない)と判断されうるかを教示している。したがって、当該教師データTRを用いて機械学習がなされた推論モデル31を生成することにより、処理装置10により推論される対象者20から取得された心電図波形Wに心房細動が疑われる波形部位が含まれている確率の精度を高めることができる。
【0058】
これまで説明した処理装置10、推論モデル31、表示装置32、ユーザインタフェース33、およびストレージ34は、対象者20から取得された心電図波形Wに心房細動が疑われる波形部位が含まれる確率を算出する処理を行なう処理システム40を構成しうる。処理システム40は、様々な構成態様をとりうる。
【0059】
図10は、処理システム40の構成の一例を示している。処理システム40は、心電計41を含んでいる。心電計41は、対象者20から心電図波形Wを取得し、対応する心電図波形データWDを生成する装置である。
【0060】
処理装置10と推論モデル31は、心電計41に搭載されている。表示装置32は、ユーザインタフェース33、およびストレージ34の各々は、処理装置10と通信ネットワークNを介して通信可能に接続されている。
【0061】
処理システム40は、サーバ装置42を含みうる。サーバ装置42は、処理装置10と通信ネットワークNを介して通信可能に接続される。推論モデル31は、サーバ装置42に搭載されてもよい。この場合、処理装置10のプロセッサ12は、部分心電図波形に対応する心電図波形データWDの一部を出力インタフェース13からサーバ装置42に送信し、推論モデル31により算出された確率に対応するデータを、入力インタフェース11を通じて受け付ける。
【0062】
表示装置32は、心電計41に搭載されてもよい。ユーザインタフェース33は、表示装置32に搭載されてもよいし、心電計41に搭載されてもよい。ストレージ34は、心電計41に搭載されてもよいし、サーバ装置42に搭載されてもよい。
【0063】
図11は、処理システム40の構成の別例を示している。本例に係る処理装置10は、心電計41と通信可能に接続された独立した装置である。心電計41と処理装置10との間の通信は、通信ネットワークNを介して行なわれてもよい。
【0064】
本例においては、推論モデル31は、処理装置10に搭載されている。しかしながら、図10を参照して説明した例と同様に、推論モデル31は、サーバ装置42に搭載されてもよい。
【0065】
表示装置32は、ユーザインタフェース33、およびストレージ34の各々は、処理装置10と通信ネットワークNを介して通信可能に接続されている。しかしながら、表示装置32は、心電計41に搭載されてもよいし、処理装置10に搭載されてもよい。ユーザインタフェース33は、表示装置32に搭載されてもよいし、心電計41に搭載されてもよいし、処理装置10に搭載されてもよい。ストレージ34は、心電計41に搭載されてもよいし、処理装置10に搭載されてもよいし、サーバ装置42に搭載されてもよい。
【0066】
推論モデル31がサーバ装置42に搭載される場合、複数の処理装置10による推論モデル31の共用が可能とされる。この場合における推論モデル31の一元的管理の容易性は、共用に供される処理装置10の数が増えるほど顕著となる。
【0067】
なお、図9を参照して説明したモデル生成装置35の機能がサーバ装置42に実装された場合、推論モデル31の機械学習(再学習を含む)を、サーバ装置42上で行なうことができる。
【0068】
図9に例示されるように、ストレージ34にはN個の処理装置10(101~10N;Nは2以上の整数)が通信可能に接続されうる。すなわち、各処理装置10から出力されたデータセットDSが、ストレージ34に集約的に保存されうる。
【0069】
このような構成においては、多様な特徴を有する推論モデル31の生成と選択的使用が可能とされる。図11は、ストレージ34に接続可能とされた複数の処理装置10の属性を例示している。本例においては、ストレージ34に格納されるデータセットDSは、当該データセットDSを出力した処理装置10を特定する装置ID、当該処理装置10が設置されている施設を特定する施設ID、および当該施設が所属している系列グループを特定する系列IDを含んでいる。
【0070】
一例として、モデル生成装置35は、装置IDが1である処理装置10から出力されたデータセットDSと、装置IDが2である処理装置10から出力されたデータセットDSを教師データTRとして機械学習を実行しうる。これらのデータセットDSは、いずれも施設IDがAである施設に設置された処理装置10から出力されたものである。
【0071】
このように選択されたデータセットDSは、当該施設における医療環境や所属スタッフの判断傾向が反映されている蓋然性が高い。当該データセットDSを教師データTRとして機械学習を行なうことにより、施設IDがAである施設に特化して推論精度を高めた推論モデル31を生成できる。
【0072】
別例として、モデル生成装置35は、装置IDが5である処理装置10から出力されたデータセットDS、装置IDが6である処理装置10から出力されたデータセットDS、および装置IDが9である処理装置10から出力されたデータセットDSを教師データTRとして機械学習を実行しうる。これらのデータセットDSは、いずれも系列IDがγである施設に設置された処理装置10から出力されたものである。
【0073】
このように選択されたデータセットDSは、当該系列に所属する施設における医療環境や所属スタッフの判断傾向が反映されている蓋然性が高い。当該データセットDSを教師データTRとして機械学習を行なうことにより、系列IDがγである施設に特化して推論精度を高めた推論モデル31を生成できる。加えて、同じ系列に所属する別の施設に新たに設置される処理装置10に当該推論モデル31を使用させるといった利用法が可能とされる。
【0074】
同様の考え方に基づき、処理装置10から出力されるデータセットDSは、当該処理装置10が設置されている施設の規模(病床数、スタッフ数など)を属性情報として含んでもよい。この場合、生成された推論モデル31の基礎となった施設と同程度の規模を有する施設に新たに設置される処理装置10に当該推論モデル31を使用させるといった利用法が可能とされる。
【0075】
同様に、処理装置10から出力されるデータセットDSは、当該処理装置10が設置されている病棟の種別(一般病棟、救急病棟、リハビリ病棟など)を属性情報として含んでもよい。この場合、生成された推論モデル31の基礎となった施設と同種の施設に新たに設置される処理装置10に当該推論モデル31を使用させるといった利用法が可能とされる。
【0076】
あるいは、処理装置10から出力されるデータセットDSは、当該データセットが取得された状況(健康診断時、入院時、検査目的、検査対象など)を属性情報として含んでもよい。この場合、生成された推論モデル31の基礎となった状況と同様の状況での使用を目的として新たに設置される処理装置10に当該推論モデル31を使用させるといった利用法が可能とされる。
【0077】
すなわち、未だ臨床データの蓄積がない施設や状況においても、同様の属性的傾向を有する施設や状況から得られたデータに基づく機械学習を通じて生成された推論モデル31の有利性を提供できる。
【0078】
別例として、モデル生成装置35は、全ての処理装置10から出力されたデータセットDSを教師データTRとして機械学習を実行しうる。この場合、汎用性の高い推論モデル31の生成が可能とされる。
【0079】
上述した様々な機能を有する処理装置10のプロセッサ12とモデル生成装置35のプロセッサ352の各々は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上述した様々な機能を実現するコンピュータプログラムが記憶されうる。ROMは、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。当該コンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、通信ネットワークNを介して外部サーバ装置からダウンロードされてから汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、外部サーバ装置は、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。
【0080】
上述した様々な機能を有する処理装置10のプロセッサ12とモデル生成装置35のプロセッサ352の各々は、上記のコンピュータプログラムを実行可能なマイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの専用集積回路によって実現されてもよい。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。当該記憶素子は、コンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読媒体の一例である。上述した様々な機能を有する処理装置10のプロセッサ12とモデル生成装置35のプロセッサ352の各々は、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0081】
これまで説明した様々な構成は、本開示の理解を容易にするための例示にすぎない。各構成例は、本開示の趣旨の範囲内で適宜に変更や相互の組合せがなされうる。
【0082】
対象者20から取得された心電図波形Wに心房細動が疑われる波形部位が含まれる確率に対応する指標は、部分心電図波形とともに表示される図形の色と部分心電図波形の背景の色に限られない。部分心電図波形自体の色もまた指標とされうる。部分心電図波形とともに表示される文字や記号が指標とされてもよい。
【0083】
処理装置10による推論に供される心疾患は、心房細動に限られない。他の心疾患の例としては、心房性期外収縮、発作性上室頻拍、心室性期外収縮、心室頻拍、心室細動、心筋梗塞などが挙げられる。推論モデル31の生成に使用される教師データTRに用いられる拍情報の種別は、推論に供される心疾患を特定しうるものとして適宜に選択される。
【0084】
以下に列挙される構成もまた、本開示の一部を構成する。

項目1:
対象者の心電図波形に対応する心電図波形データを受け付けるインタフェースと、
前記心電図波形データに基づいて、
前記心電図波形を複数の部分心電図波形に区分し、
前記複数の部分心電図波形の各々について心疾患が疑われる波形部位が含まれている確率を算出し、かつ
前記確率に対応する指標を、当該確率が算出された前記部分心電図波形に対応する情報とともに表示装置に表示させるプロセッサと、
を備えている、
処理装置。

項目2:
前記指標は、前記部分心電図波形の色、前記部分心電図波形の背景の色、または前記部分心電図波形とともに表示される図形の色である、
項目1に記載の処理装置。

項目3:
前記部分心電図波形に対応する情報は、前記心電図波形のR-R間隔に基づくタコグラムを含んでいる、
項目1または項目2に記載の処理装置。

項目4:
前記インタフェースは、前記指標を変更する指示を受け付け、
前記プロセッサは、前記指示に基づいて前記指標を変更する、
項目1から項目3のいずれかに記載の処理装置。

項目5:
前記インタフェースは、前記表示装置に表示された前記心電図波形における特定の時間区間を指定する指示を受け付け、
前記プロセッサは、前記時間区間における前記指標とともに表示された前記部分心電図波形の占有率に応じて、前記時間区間に含まれる前記指標を変更する、
項目4に記載の処理装置。

項目6:
前記インタフェースは、前記表示装置に表示された前記心電図波形における特定の時間区間を指定する指示を受け付け、
前記プロセッサは、前記時間区間に含まれる前記部分心電図波形と類似する前記時間区間に含まれない前記部分心電図波形を特定し、当該特定された部分心電図波形とともに表示される前記指標を、前記時間区間に含まれる前記部分心電図波形とともに表示されている前記指標と一致するように変更する、
項目4に記載の処理装置。

項目7:
前記プロセッサは、変更された前記指標に対応するデータと当該変更された指標により特定される前記部分心電図波形に対応する前記心電図波形データの一部とが関連付けられたデータセットを生成する、
項目4から項目6のいずれかに記載の処理装置。

項目8:
前記確率は、心疾患が疑われる波形部位が含まれていると判断された複数の心電図波形を用いた機械学習を通じて生成された推論モデルに前記心電図波形に基づいて取得されるデータを入力することにより算出される、
項目1から項目8のいずれかに記載の処理装置。

項目9:
処理装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記処理装置は、
対象者の心電図波形に対応する心電図波形データを受け付け、
前記心電図波形データに基づいて前記心電図波形を複数の部分心電図波形に区分し、
前記複数の部分心電図波形の各々について心疾患が疑われる波形部位が含まれている確率を算出し、
前記確率に対応する指標を、当該確率が算出された前記部分心電図波形に対応する情報とともに表示装置に表示させる、
コンピュータプログラム。

項目10:
対象者から取得された心電図波形に心疾患が疑われる波形部位が含まれている確率の算出に使用される推論モデルを機械学習するための教師データを生成する方法であって、
心疾患が疑われる波形部位を含む心電図波形に対応する心電図波形データを取得し、
前記心電図波形から前記対象者の拍情報を取得し、
前記心電図波形データと前記拍情報に対応するデータとが関連付けられたデータセットを生成する、
教師データの生成方法。

項目11:
対象者から取得された心電図波形に心疾患が疑われる波形部位が含まれている確率の算出に使用される推論モデルを生成する方法であって、
項目10に記載の方法により生成された教師データを取得し、
前記教師データを用いて機械学習を行なう、
推論モデルの生成方法。

項目12:
対象者から取得された心電図波形に心疾患が疑われる波形部位が含まれている確率の算出に使用される推論モデルを生成する方法であって、
項目7に記載の処理装置により生成されたデータセットを取得し、
前記データセットを用いて機械学習を行なう、
推論モデルの生成方法。

項目13:
複数の処理装置から前記データセットを取得する、
項目12に記載の推論モデルの生成方法。
【符号の説明】
【0085】
10(101~10N):処理装置、11:入力インタフェース、12:プロセッサ、20:対象者、31:推論モデル、32:表示装置、DS:データセット、ID1~ID6:指標、MD:修正指示データ、SW1~SW6:複数の部分心電図波形、T:タコグラム、TR:教師データ、W:心電図波形、WD:心電図波形データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12