(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067688
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】混合吐出装置
(51)【国際特許分類】
B01F 27/07 20220101AFI20240510BHJP
B29B 7/74 20060101ALI20240510BHJP
B01F 35/75 20220101ALI20240510BHJP
B01F 23/43 20220101ALI20240510BHJP
B01F 35/30 20220101ALI20240510BHJP
B01F 27/053 20220101ALI20240510BHJP
B01F 35/51 20220101ALI20240510BHJP
B01F 27/116 20220101ALI20240510BHJP
B01F 27/94 20220101ALI20240510BHJP
B01F 101/36 20220101ALN20240510BHJP
【FI】
B01F27/07
B29B7/74
B01F35/75
B01F23/43
B01F35/30
B01F27/053
B01F35/51
B01F27/116
B01F27/94
B01F101:36
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177947
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】391050145
【氏名又は名称】日本ソセー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(72)【発明者】
【氏名】森川 議博
【テーマコード(参考)】
4F201
4G035
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4F201AC05
4F201BA01
4F201BC02
4F201BC31
4F201BC38
4F201BK14
4F201BK33
4F201BK62
4F201BK73
4G035AB38
4G035AE13
4G035AE17
4G037AA12
4G037DA01
4G037EA04
4G078AA06
4G078AA13
4G078AA16
4G078AB20
4G078BA05
4G078CA01
4G078CA15
4G078DA30
4G078EA10
(57)【要約】
【課題】使い捨てタイプのダイナミックミキサーを採用する形態において、吐出口での液だれを抑制することができる簡易且つ安価な構造の混合吐出装置を提供する。
【解決手段】本混合吐出装置1は、回転可能なミキシングシャフト5を有する本体2と、本体に着脱可能に取り付けられるミキサー3と、を備え、ミキサーはケース21とローター22とを有し、ローターには挿通孔31が形成されており、挿通孔には、ミキシングシャフトの挿通によりミキシングシャフトに設けられた係合部12が係合可能な被係合部32が設けられており、ローターは、係合部と被係合部の係合によりミキシングシャフトと一体に回転可能である。そして、ミキシングシャフトの先端部には弁体11が設けられ、ケースの底部には弁座25が設けられており、ミキシングシャフトは、弁体が弁座から離間して吐出口24を開放する開放位置Aと、弁体が弁座に着座して吐出口を閉鎖する閉鎖位置Bと、の間で軸方向に移動可能に設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種の液体材料を混合して吐出する混合吐出装置であって、
回転可能なミキシングシャフトを有する本体と、
前記本体に着脱可能に取り付けられるミキサーと、を備え、
前記ミキサーは、底部に吐出口が形成されたケースと、前記ケース内に収容されるローターと、を有し、
前記ローターには、前記ミキシングシャフトが挿通可能な挿通孔が形成されており、
前記挿通孔には、前記ミキシングシャフトの挿通により前記ミキシングシャフトに設けられた係合部が係合可能な被係合部が設けられており、
前記ローターは、前記係合部と前記被係合部の係合により前記ミキシングシャフトと一体に回転可能であり、
前記ミキシングシャフトの先端部には弁体が設けられており、
前記ケースの底部には、前記弁体が着座可能な弁座が設けられており、
前記ミキシングシャフトは、前記弁体が前記弁座から離間して前記吐出口を開放する開放位置と、前記弁体が前記弁座に着座して前記吐出口を閉鎖する閉鎖位置と、の間で軸方向に移動可能に設けられていることを特徴とする混合吐出装置。
【請求項2】
前記ローターは、前記係合部と前記被係合部の係合により前記ミキシングシャフトと一体に軸方向に移動可能である請求項1に記載の混合吐出装置。
【請求項3】
前記ミキサーは、前記ケースの上部開口を塞ぐ塞ぎ部材を有し、
前記ケースの外周部には、前記ケースと前記塞ぎ部材で囲まれたミキシング室内に液体材料を流入させる流入口が設けられている請求項1又は2に記載の混合吐出装置。
【請求項4】
前記ケース、前記ローター及び塞ぎ部材は合成樹脂製である請求項3に記載の混合吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合吐出装置に関し、更に詳しくは、複数種の液体材料を混合して吐出する混合吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の混合吐出装置として、複数種の液体材料を混合して吐出するものが一般に知られている(例えば特許文献1、2参照)。これら特許文献1、2には、ダイナミックミキサー(回転式ミキサー)の底部に吐出口を開閉するバルブ機構を設け、ミキサーの作動停止時にバルブ機構により吐出口を閉鎖することで、ミキサー内の液体材料が吐出口から落下すること(即ち液だれ)を抑制する技術が記載されている。
【0003】
ここで、ミキサーとして、ミキシングシャフト等を備える本体に着脱可能に取り付けられる使い捨てタイプ(ディスポーサブル)のものを採用することがある(例えば特許文献3参照)。この使い捨てタイプのミキサーによると、使用後のミキサーの洗浄作業を不要としてメンテナンス性を高めることができる。しかしながら、上記の液だれ抑制用のバルブ機構を備えるダイナミックミキサーを使い捨てタイプとすると、部品点数が多く複雑で高価な構造となってしまう。特にミキサーの交換毎にバルブ機構(弁体及び弁座)を廃棄することとなり、ランニングコストが高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2018-529544号公報
【特許文献2】特開平07-171464号公報
【特許文献3】特開2000-094438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、使い捨てタイプのダイナミックミキサーを採用する形態において、吐出口での液だれを抑制することができる簡易且つ安価な構造の混合吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の通りである。
1.複数種の液体材料を混合して吐出する混合吐出装置であって、
回転可能なミキシングシャフトを有する本体と、
前記本体に着脱可能に取り付けられるミキサーと、を備え、
前記ミキサーは、底部に吐出口が形成されたケースと、前記ケース内に収容されるローターと、を有し、
前記ローターには、前記ミキシングシャフトが挿通可能な挿通孔が形成されており、
前記挿通孔には、前記ミキシングシャフトの挿通により前記ミキシングシャフトに設けられた係合部が係合可能な被係合部が設けられており、
前記ローターは、前記係合部と前記被係合部の係合により前記ミキシングシャフトと一体に回転可能であり、
前記ミキシングシャフトの先端部には弁体が設けられており、
前記ケースの底部には、前記弁体が着座可能な弁座が設けられており、
前記ミキシングシャフトは、前記弁体が前記弁座から離間して前記吐出口を開放する開放位置と、前記弁体が前記弁座に着座して前記吐出口を閉鎖する閉鎖位置と、の間で軸方向に移動可能に設けられていることを特徴とする混合吐出装置。
2.前記ローターは、前記係合部と前記被係合部の係合により前記ミキシングシャフトと一体に軸方向に移動可能である上記1.に記載の混合吐出装置。
3.前記ミキサーは、前記ケースの上部開口を塞ぐ塞ぎ部材を有し、
前記ケースの外周部には、前記ケースと前記塞ぎ部材で囲まれたミキシング室内に液体材料を流入させる流入口が設けられている上記1.又は2.に記載の混合吐出装置。
4.前記ケース、前記ローター及び塞ぎ部材は合成樹脂製である上記3.に記載の混合吐出装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の混合吐出装置によると、本体に着脱可能に取り付けられ且つミキシングシャフトと一体に回転可能なローターを有するミキサー、即ち使い捨てタイプのダイナミックミキサーを採用することで、使用後のミキサーの洗浄作業を不要としてメンテナンス性を高め得るとともに、洗浄廃液が出ず有機溶剤ヒュームによる作業環境の悪化もない。また、ミキサーの作動停止時にミキシングシャフトを開放位置から閉鎖位置に移動させることで弁体が弁座に着座して吐出口が閉鎖されるため、吐出口での液だれを抑制することができる。さらに、ミキシングシャフトの先端部に弁体を設け、ミキサーのケースの底部に弁座を設け、ミキサーの交換に際して弁体を再使用するようにしたので、ミキサーの部品点数を低減して簡易且つ安価な構造にできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【
図1】実施形態に係る混合吐出装置の説明図であり、(a)は全体の斜視図を示し、(b)は要部の分解斜視図を示す。
【
図2】混合吐出装置の一部を断面とした正面図である。
【
図3】実施形態に係るミキサーの説明図であり、(a)はミキシングシャフトが挿通された状態の断面図を示し、(b)は(a)の分解状態を示す。
【
図4】ミキサー(ミキシングシャフトの挿通状態)の断面図であり、(b)は(a)の下方から見た斜視図を示し、(c)は(a)の上方から見た斜視図を示す。
【
図5】ミキサー(ミキシングシャフトの非挿通状態)の断面図であり、(b)は(a)の下方から見た斜視図を示し、(c)は(a)の上方から見た斜視図を示す。
【
図6】混合吐出装置の作用説明図であり、(a)はミキサーの作動状態を示し、(b)はミキサーの作動停止状態を示し、(c)は本体からミキサーを取り外す途中の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0010】
以下、図面を用いて実施形態により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、本発明に係る「混合吐出装置」として、主剤と硬化剤の2種類の液体材料を混合して二液性接着剤(ウレタン、エポキシ、シリコーン等)を吐出する混合吐出装置(塗布機)を例示する。
【0011】
本実施形態に係る混合吐出装置1は、
図1及び
図2に示すように、回転可能なミキシングシャフト5を有する本体2と、本体2に着脱可能に取り付けられるミキサー3と、を備えている。この本体2は、ミキシングシャフト5と、ミキシングシャフト5を軸回りに回転させるモーター6と、ミキシングシャフト5を軸方向に移動させる移動機構7と、を有している。さらに、本体2は、モーター6及び移動機構7を支持するベース8を有している(
図2参照)。このベース8は、下部ベース8aと、支柱9を介して下部ベース8aの上方に配置される上部ベース8bと、を有している。
【0012】
ミキシングシャフト5は金属製である。このミキシングシャフト5の先端部には、後述する弁座25に着座可能な弁体11が設けられている。この弁体11はニードル状に形成されている。また、ミキシングシャフト5には、後述する被係合部32と係合する係合部12が設けられている。この係合部12は、ミキシングシャフト5の軸方向と直交する断面形状が正多角形(具体的に正六角形)に形成されている。さらに、ミキシングシャフト5の係合部12と軸方向に連なる部分は、軸方向と直交する断面形状が円形に形成されている。なお、ミキシングシャフト5の材質は特に限定されず、例えばセラミック製であってもよい。さらに、弁体11としては、ニードル状の他に半球状等に形成されたものを採用してもよい。
【0013】
モーター6は、上部ベース8b上に取り付けられている。また、モーター6の駆動軸6aは、ミキシングシャフト5の軸方向の移動を許容するカップリング13を介してミキシングシャフト5と連結されている。このカップリング13は、駆動軸6aに取り付けられた回転体13aと、ミキシングシャフト5に取り付けられた回転体13bと、を有している。これらの回転体13a、13bのうちの一方には複数のスライド軸14が設けられており、他方にはスライド軸14が挿通可能なブッシュ15が設けられている。
【0014】
移動機構7は、ミキシングシャフト5を、弁体11が弁座25から離間して吐出口24を開放する開放位置A(
図6(a)参照)と、弁体11が弁座25に着座して吐出口24を閉鎖する閉鎖位置B(
図6(b)参照)と、の間で軸方向に移動させる。この移動機構7は、ミキシングシャフト5の軸方向に移動不能に設けられ且つミキシングシャフト5を回転自在に支持する軸受17(具体的に深溝玉軸受)と、軸受17を軸方向に移動させるシリンダ装置18(具体的にエアシリンダ装置)と、を有している。このシリンダ装置18は上部ベース8b上に取り付けられている。さらに、シリンダ装置18のピストンロッド18aには、軸受17を軸方向から挟持する挟持部19が設けられている。
【0015】
なお、移動機構7としては、シリンダ装置18の代わりにボールネジ装置等を有するものを採用してもよい。また、複数のシリンダ装置18を有するものを採用してもよい。さらに、複数の軸受17を有するものを採用してもよい。
【0016】
ミキサー3は、
図3~
図5に示すように、底部に吐出口24が形成されたケース21と、ケース21内に収容されるローター22と、を有している。さらに、ミキサー3は、ケース21の上部開口を塞ぐ塞ぎ部材23を有している。
【0017】
ケース21は合成樹脂製である。このケース21は、上端を開口した有底筒状に形成されている。このケース21の底部の中央には、下方に向かってノズル状の吐出口24が突設されている。また、ケース21の底部(具体的に吐出口24の直上の部位)には、ミキシングシャフト5の弁体11が着座可能な弁座25(バルブシート)が設けられている。
【0018】
ケース21の外周部には、ケース21と塞ぎ部材23で囲まれたミキシング室S内に液体材料を流入させる流入口26が設けられている。この流入口26にバルブ27の注入口27aが挿脱されることで、ケース21(即ちミキサー3)が本体2(即ちベース8)に着脱可能に取り付けられる(
図2参照)。ただし、ケース21としては、係止、ネジ止め、圧入等により本体2に着脱可能に取り付けられるものを採用してもよい。
【0019】
なお、バルブ27には、ディスペンサーシステムとも呼ばれる液を圧送する機構(例えば加圧エアで液を押し出すタイプ、ポンプを利用したタイプ等)により液体材料が供給され、バルブ27の開閉動作により流入口26に対して液体材料が供給及び供給停止される。また、注入口27aは、バルブ27の本体に対してアクチュエータ(図示省略)によりミキシングシャフト5の軸方向と直交する方向(水平方向)に移動可能に設けられている(
図6参照)。ただし、バルブ27としては、注入口27aを含み全体が水平方向に移動可能に設けられるものを採用してもよい。
【0020】
ローター22は合成樹脂製である。このローター22は、その軸心がケースの軸心と略一致するようにケースのミキシング室に収容されている。また、ローター22には、ミキシングシャフト5が挿通可能な挿通孔31(中心孔)が形成されている。この挿通孔31には、ミキシングシャフト5の挿通により係合部12が係合可能な被係合部32が設けられている。この被係合部32は、係合部12と対応してミキシングシャフト5の軸方向と直交する断面形状が正多角形(具体的に正六角形)に形成されている。また、挿通孔31には、ミキシングシャフト5における係合部12と弁体11の間の部分を支持する支持部33が設けられている。この支持部33は、ミキシングシャフト5の軸方向と直交する断面形状が円形に形成されている。さらに、ローター22には、放射状に広がる撹拌羽根34が軸方向に沿って複数設けられている。なお、係合部12及び被係合部32としては、断面全体が多角形状である形態の他に、スプライン連結、キー連結等をなすように断面の少なくも一部が多角形状である形態を採用してもよい。
【0021】
ここで、ローター22は、係合部12と被係合部32の係合によりミキシングシャフト5と一体に回転可能である。さらに、ローター22は、係合部12と被係合部32の係合によりミキシングシャフト5と一体に軸方向に移動可能である。さらに、係合部12と被係合部32の係合によりローター22の挿通孔31とミキシングシャフト5の外周面との間の液体材料の通過が規制される。
【0022】
なお、ローター22及びミキシングシャフト5としては、液体材料の粘度に関わらず一体に軸方向に移動する形態であってもよいし、液体材料の粘度が所定値以下の場合に一体に軸方向に移動し且つ液体材料の粘度が所定値より大きい場合に一体に軸方向に移動しない形態であってもよい。さらに、液体材料の粘度に関わらず一体に軸方向に移動しない形態を採用してもよい。
【0023】
塞ぎ部材23は合成樹脂製である。この塞ぎ部材23は、ケース21の上部開口を塞ぐようにケース21内に挿嵌されている。また、塞ぎ部材23の中心部には、ミキシングシャフト5が挿通可能な挿通孔37が形成されている。この挿通孔37には、ミキシングシャフト5との間をシールするシール部材38が装着される凹部39が設けられている。なお、塞ぎ部材23は、係止、ネジ止め、圧入、接着等によりケース21に取り付けられる。さらに、塞ぎ部材23の形状は特に限定されず、例えば軸シール手段の機能を補助するように複雑な形状(上面側形状)をしていてもよい。
【0024】
次に、上記構成の混合吐出装置1の作用効果について説明する。ミキサー3の作動時(即ちモーター6の駆動時)には、
図6(a)に示すように、ミキシングシャフト5は開放位置Aに位置され、弁体11が弁座25から離間して吐出口24が開放されている。そして、ミキシングシャフト5及びローター22の一体回転によってミキシング室S内において流入口26から流入される液体材料が混合されて吐出口24から吐出される。
【0025】
一方、ミキサー3の作動停止時(即ちモーター6の駆動停止時)には、
図6(b)に示すように、移動機構7により開放位置Aのミキシングシャフト5が閉塞位置Bに移動(下降)され、弁体11が弁座25に着座して吐出口24が閉鎖される。その後、ミキサーを再作動させる際には、移動機構7により閉鎖位置Bのミキシングシャフト5が開放位置Aに移動(上昇)されて吐出口24が開放される。
【0026】
また、ミキサー3の交換時には、
図6(c)に示すように、注入口27aの水平移動により流入口26から注入口27を抜き出し、その状態より本体2からミキサー3を取り外す。このとき、本体2側のミキシングシャフト5からローター22が抜き出され、弁体11は本体2側に残されて再使用されることとなる。
【0027】
以上より、本実施形態の混合吐出装置1によると、回転可能なミキシングシャフト5を有する本体2と、本体2に着脱可能に取り付けられるミキサー3と、を備え、ミキサー3は、底部に吐出口24が形成されたケース21と、ケース21内に収容されるローター22と、を有し、ローター22には、ミキシングシャフト5が挿通可能な挿通孔31が形成されており、挿通孔31には、ミキシングシャフト5の挿通によりミキシングシャフト5に設けられた係合部12が係合可能な被係合部32が設けられており、ローター22は、係合部12と被係合部32の係合によりミキシングシャフト5と一体に回転可能である。そして、ミキシングシャフト5の先端部には弁体11が設けられており、ケース21の底部には、弁体11が着座可能な弁座25が設けられており、ミキシングシャフト5は、弁体11が弁座25から離間して吐出口24を開放する開放位置Aと、弁体11が弁座25に着座して吐出口24を閉鎖する閉鎖位置Bと、の間で軸方向に移動可能に設けられている。
これにより、本体2に着脱可能に取り付けられ且つミキシングシャフト5と一体に回転可能なローター22を有するミキサー3、即ち使い捨てタイプのダイナミックミキサー3を採用することで、使用後のミキサー3の洗浄作業を不要としてメンテナンス性を高め得るとともに、洗浄廃液が出ず有機溶剤ヒュームによる作業環境の悪化もない。また、ミキサー3の作動停止時にミキシングシャフト5を開放位置Aから閉鎖位置Bに移動させることで弁体11が弁座25に着座して吐出口24が閉鎖されるため、吐出口24での液だれを抑制することができる。さらに、ミキシングシャフト5の先端部に弁体11を設け、ミキサー3のケース21の底部に弁座25を設け、ミキサー3の交換に際して弁体11を再使用するようにしたので、ミキサー3の部品点数を低減して簡易且つ安価な構造にできる。
【0028】
また、本実施形態では、ローター22は、係合部12と被係合部32の係合によりミキシングシャフト5と一体に軸方向に移動可能である。これにより、ローター22の挿通孔31とミキシングシャフト5の外周面との間の摺動による摩耗を防止でき、ミキサー3の長期使用においても両者31、5の間での液体材料の通過を規制できる。
【0029】
また、本実施形態では、ミキサー3は、ケース21の上部開口を塞ぐ塞ぎ部材23を有し、ケース21の外周部には、ケース21と塞ぎ部材23で囲まれたミキシング室S内に液体材料を流入させる流入口26が設けられている。これにより、液体材料の注入経路を簡素化でき、ミキサー3を更に簡易且つ安価な構造にできる。特に、本実施形態では、流入口26に対する注入口27aの挿脱により本体2にケース21(即ちミキサー3)を着脱可能としたので、ミキサー3を更に簡易且つ安価な構造にできる。
【0030】
さらに、本実施形態では、ケース21、ローター22及び塞ぎ部材23は合成樹脂製である。これにより、ミキサー3を更に簡易且つ安価な構造にできる。
【0031】
尚、本発明においては、上記実施形態に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更することができる。すなわち、上記実施形態において、例えば
図7に示すように、ローター22の挿通孔31にミキシングシャフト5の外周面との間をシールするシール部材41を設けるようにしてもよい。この場合、ローター22は、係合部12と被係合部32の係合に加えて、シール部材41の押圧力よりミキシングシャフト5と一体に軸方向に移動可能とされる。
【0032】
また、上記実施形態では、ケース21に流入口26を設ける形態を例示したが、これに限定されず、例えば塞ぎ部材23に流入口26を設ける形態としてもよい。
【0033】
さらに、上記実施形態では、2種類の液体材料を混合して吐出する混合吐出装置1を例示したが、これに限定されず、例えば3種類以上の液体材料を混合して吐出する混合吐出装置1としてもよい。
【0034】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、自動車部品、各種センサー、家電基板などの生産工程において、複数種の液体材料を混合して吐出する技術として広く利用される。
【符号の説明】
【0036】
1;混合吐出装置、2;本体、3;ミキサー、5;ミキシングシャフト、11;弁体、12;係合部、21;ケース、22;ローター、23;塞ぎ部材、24;吐出口、25;弁座、26;流入口、31;挿通孔、32;被係合部、A;開放位置、B;閉鎖位置、S;ミキシング室。