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特開2024-67699ウェハ搬送装置、ウェハ搬送方法、ウェハ搬送プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067699
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】ウェハ搬送装置、ウェハ搬送方法、ウェハ搬送プログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240510BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G49/07 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177968
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】津金 亘輝
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA01
5F131BA13
5F131BA17
5F131BA23
5F131BA24
5F131BA31
5F131BA37
5F131BB03
5F131BB23
5F131DA22
5F131DA32
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB52
5F131DB62
5F131DB76
5F131DB82
5F131DD42
5F131DD43
5F131DD82
5F131KA14
5F131KA52
5F131KA72
5F131KB32
5F131KB53
5F131KB58
(57)【要約】
【課題】ウェハの搬送および方向の調整を効率的に行えるウェハ搬送装置等を提供する。
【解決手段】ウェハ搬送装置は、ウェハWを少なくとも第1位置と第2位置の間で搬送する搬送アーム2と、搬送アーム2に取り付けられて、ウェハWの方向を検出するカメラ3と、カメラ3によって検出された方向に応じて、第1位置と第2位置の間でウェハWの方向を調整するウェハ方向調整部4と、を備える。ウェハ方向調整部4は、搬送アーム2からウェハWを一時的に取り外して保持するウェハ保持部41と、ウェハ保持部41によって保持されたウェハWを回転させるウェハ回転部42と、を備える。ウェハ方向調整部4は、ウェハWの方向を調整する際には、搬送アーム2と重なる調整位置にあり、搬送アーム2が第1位置および第2位置の少なくともいずれかにある際には、ウェハ方向調整部4は当該搬送アーム2と重ならない待避位置にある。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハを少なくとも第1位置と第2位置の間で搬送するウェハ搬送部と、
前記ウェハ搬送部に取り付けられて、前記ウェハの方向を検出するウェハ方向検出部と、
前記ウェハ方向検出部によって検出された方向に応じて、前記第1位置と前記第2位置の間で前記ウェハの方向を調整するウェハ方向調整部と、
を備えるウェハ搬送装置。
【請求項2】
前記ウェハ方向調整部は、
前記ウェハ搬送部から前記ウェハを一時的に取り外して保持するウェハ保持部と、
前記ウェハ保持部によって保持された前記ウェハを回転させるウェハ回転部と、
を備える請求項1に記載のウェハ搬送装置。
【請求項3】
前記ウェハ方向調整部は、前記ウェハ搬送部に対して移動可能に設けられる、請求項1または2に記載のウェハ搬送装置。
【請求項4】
前記ウェハ方向調整部は、前記ウェハの方向を調整する際には、前記ウェハ搬送部と重なる調整位置にあり、
前記ウェハ搬送部が前記第1位置および前記第2位置の少なくともいずれかにある際には、前記ウェハ方向調整部は当該ウェハ搬送部と重ならない待避位置にある、
請求項3に記載のウェハ搬送装置。
【請求項5】
前記ウェハ方向調整部は、基端部が前記ウェハ搬送部に取り付けられ、当該基端部の周りに回転可能に設けられる、請求項3に記載のウェハ搬送装置。
【請求項6】
前記ウェハ方向調整部の先端部は、前記基端部に対して移動可能に設けられる、請求項5に記載のウェハ搬送装置。
【請求項7】
前記ウェハ方向検出部は、前記ウェハの周縁部を撮影して、ノッチおよびオリフラの少なくともいずれかを検出する画像センサである、請求項1または2に記載のウェハ搬送装置。
【請求項8】
ウェハを少なくとも第1位置と第2位置の間で搬送するウェハ搬送部と、
前記ウェハ搬送部に取り付けられて、前記ウェハの方向を検出するウェハ方向検出部と、
前記ウェハ方向検出部によって検出された方向に応じて、前記第1位置と前記第2位置の間で前記ウェハの方向を調整するウェハ方向調整部と、
を使用するウェハ搬送方法であって、
前記ウェハ搬送部が前記第1位置において搬送対象の前記ウェハを取得する際に、前記ウェハ方向調整部を当該ウェハ搬送部と重ならない位置に待避させることと、
前記ウェハ方向調整部を前記ウェハ搬送部と重なる位置に移動させて、前記ウェハの方向を調整させることと、
前記ウェハ搬送部が前記第2位置において前記ウェハを離す際に、前記ウェハ方向調整部を当該ウェハ搬送部と重ならない位置に待避させることと、
を備えるウェハ搬送方法。
【請求項9】
ウェハを少なくとも第1位置と第2位置の間で搬送するウェハ搬送部と、
前記ウェハ搬送部に取り付けられて、前記ウェハの方向を検出するウェハ方向検出部と、
前記ウェハ方向検出部によって検出された方向に応じて、前記第1位置と前記第2位置の間で前記ウェハの方向を調整するウェハ方向調整部と、
を使用するウェハ搬送プログラムであって、
前記ウェハ搬送部が前記第1位置において搬送対象の前記ウェハを取得する際に、前記ウェハ方向調整部を当該ウェハ搬送部と重ならない位置に待避させることと、
前記ウェハ方向調整部を前記ウェハ搬送部と重なる位置に移動させて、前記ウェハの方向を調整させることと、
前記ウェハ搬送部が前記第2位置において前記ウェハを離す際に、前記ウェハ方向調整部を当該ウェハ搬送部と重ならない位置に待避させることと、
をコンピュータに実行させるウェハ搬送プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハ搬送装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体ウェハの搬送ロボットが開示されている。この搬送ロボットは、搬送対象の半導体ウェハが載置されるアームと、当該アームを駆動する駆動体を備える。駆動体には、半導体ウェハの方向を調整するアライナが一体的に設けられている。具体的には、アライナは、半導体ウェハのオリフラ(オリエンテーションフラット)等を検出する光センサと、光センサによって検出されたオリフラ等に応じて半導体ウェハを回転させるターンテーブルを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-343028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このアライナによって半導体ウェハの方向を調整する際には、アームを駆動体におけるアライナ上に移動させる必要がある。例えば、ロードポート等から搬送対象の半導体ウェハを取得したアームを、プロセスチャンバ(処理室)に移動させる前に、駆動体のアライナ上まで移動させなければならない。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、ウェハの搬送および方向の調整を効率的に行えるウェハ搬送装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のウェハ搬送装置は、ウェハを少なくとも第1位置と第2位置の間で搬送するウェハ搬送部と、ウェハ搬送部に取り付けられて、ウェハの方向を検出するウェハ方向検出部と、ウェハ方向検出部によって検出された方向に応じて、第1位置と第2位置の間でウェハの方向を調整するウェハ方向調整部と、を備える。
【0007】
この態様では、ウェハの方向を検出するウェハ方向検出部が、ウェハを搬送するウェハ搬送部に取り付けられているため、ウェハの方向の調整のためのウェハの方向の検出をウェハの搬送中に効率的に行える。
【0008】
本発明の別の態様は、ウェハ搬送方法である。この方法は、ウェハを少なくとも第1位置と第2位置の間で搬送するウェハ搬送部と、ウェハ搬送部に取り付けられて、ウェハの方向を検出するウェハ方向検出部と、ウェハ方向検出部によって検出された方向に応じて、第1位置と第2位置の間でウェハの方向を調整するウェハ方向調整部と、を使用するウェハ搬送方法であって、ウェハ搬送部が第1位置において搬送対象のウェハを取得する際に、ウェハ方向調整部を当該ウェハ搬送部と重ならない位置に待避させることと、ウェハ方向調整部をウェハ搬送部と重なる位置に移動させて、ウェハの方向を調整させることと、ウェハ搬送部が第2位置においてウェハを離す際に、ウェハ方向調整部を当該ウェハ搬送部と重ならない位置に待避させることと、を備える。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや、これらの表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラム等に変換したものも、本発明に包含される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ウェハの搬送および方向の調整を効率的に行える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ウェハ搬送装置の全体的な構成を示す平面図である。
図2】搬送アームの模式的な側断面図である。
図3】搬送アームの模式的な平面図である。
図4】搬送アームの模式的な側断面図である。
図5】ウェハ搬送装置によるウェハの搬送および方向調整の例を示す。
図6】ウェハ搬送装置によるウェハの搬送および方向調整の例を示す。
図7】ウェハ搬送装置によるウェハの搬送および方向調整の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(以下では実施形態とも表される)について詳細に説明する。説明および/または図面においては、同一または同等の構成要素、部材、処理等に同一の符号を付して重複する説明を省略する。図示される各部の縮尺や形状は、説明の簡易化のために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。実施形態は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。実施形態に記載される全ての特徴やそれらの組合せは、必ずしも本発明の本質的なものであるとは限らない。
【0013】
図1は、本実施形態に係るウェハ搬送装置1の全体的な構成を示す平面図または上面図である。ウェハ搬送装置1は、ウェハまたは半導体ウェハを搬送する装置である。図1では、ウェハとして第1ウェハW1と第2ウェハW2が例示されており、以下ではウェハWとも総称される。図1の例におけるウェハ搬送装置1は、ウェハWを第1位置としての一または複数のロードポートLP1~LP4と、第2位置としてのプロセスチャンバPCの間で搬送する。具体的には、ウェハ搬送装置1は、プロセスチャンバPCで処理される前のウェハWを、複数のロードポートLP1~LP4のいずれかから取得または搬入し、プロセスチャンバPCまで搬送する。また、ウェハ搬送装置1は、プロセスチャンバPCで処理された後のウェハWを、プロセスチャンバPCから取得または搬出し、複数のロードポートLP1~LP4のいずれかまで搬送する。
【0014】
プロセスチャンバPC内でウェハWに対して施される処理は特に限定されないが、例えば、アニール処理、イオン注入処理、成膜処理、露光処理、エッチング処理、洗浄処理、乾燥処理、平坦化処理等のいわゆる半導体製造プロセスや基板工程における各種の処理が例示される。
【0015】
ウェハ搬送装置1は、ウェハを複数のロードポートLP1~LP4(第1位置)とプロセスチャンバPC(第2位置)の間で搬送するウェハ搬送部2を備える。図1の例におけるウェハ搬送部2は、プロセスチャンバPCで処理される前の未処理ウェハW1を、複数のロードポートLP1~LP4のいずれかから取得または搬入し、プロセスチャンバPCまで搬送する第1搬送アーム2A(第1ウェハ搬送部2A)と、プロセスチャンバPCで処理された後の処理済ウェハW2を、プロセスチャンバPCから取得または搬出し、複数のロードポートLP1~LP4のいずれかまで搬送する第2搬送アーム2B(第2ウェハ搬送部2B)を備える。
【0016】
各搬送アーム2A、2Bの先端部には搬送対象の各ウェハW1、W2が支持または把持される。図1の例では、各搬送アーム2A、2Bのフォーク状の先端部の上に各ウェハW1、W2が載置されて支持される。搬送アーム2A、2Bの基端部は、それらを駆動する駆動部20に取り付けられる。このように搬送アーム2の台座としても機能する駆動部20は、搬送アーム2の形態に応じた駆動を行い、その先端部(すなわち、そこで支持されたウェハW)を、ロードポートLPとプロセスチャンバPCの間の任意の経路で移動させる。例えば、搬送アーム2が、一または複数の回転可能および/または伸縮可能な回転アームおよび/または伸縮アームによって構成される場合、駆動部20は、当該搬送アーム2の回転駆動および/または伸縮駆動を行う。
【0017】
搬送アーム2の先端部においてウェハWの少なくとも周縁部に面する位置には、画像センサとしてのカメラ3が取り付けられている。図1の例では、第1搬送アーム2Aの先端部に第1カメラ3Aが取り付けられており、第2搬送アーム2Bの先端部に第2カメラ3Bが取り付けられている。後述するように、ウェハ方向検出部としてのカメラ3は、搬送アーム2によって支持および/または搬送されているウェハWの方向を検出する。また、搬送アーム2の先端部においてカメラ3より基端側には、ウェハ方向調整部4が回転可能に設けられる。後述するように、ウェハ方向調整部4は、いわゆるアライナとして機能し、カメラ3によって検出されたウェハWの方向に応じて、当該ウェハWの方向を調整する。
【0018】
図2は、搬送アーム2の模式的な側断面図である。図3は、図2の搬送アーム2の模式的な平面図または上面図である。図1では搬送アーム2と上面視で重ならない位置にあったウェハ方向調整部4(あるいは、図3において点線で示されるウェハ方向調整部4)が、図2および図3では搬送アーム2と上面視で重なる位置にある。前述のように、搬送アーム2のフォーク状の先端部21の上にウェハW(図3では便宜的に点線で示される)が載置されて支持される。また、搬送アーム2のフォーク状の先端部21によって形成される隙間22の直下にウェハ方向調整部4の先端部が配置される。ウェハ方向調整部4の先端部は、搬送アーム2からウェハWを一時的に取り外して保持するウェハ保持部41と、ウェハ保持部41によって保持されたウェハWを回転させるウェハ回転部42と、ウェハ保持部41およびウェハ回転部42を水平面内の少なくとも一軸方向に一体的に並進駆動する並進駆動部43を備える。
【0019】
ウェハ保持部41は、ウェハWの底面を下方から支持可能なウェハ支持面として機能する。ウェハ保持部41には、ウェハWの底面に吸着可能な吸盤その他の吸着部材が設けられてもよい。図3に示されるように、ウェハ方向調整部4によってウェハWの方向を調整する際には、上面視でウェハ保持部41が搬送アーム2のフォーク状の先端部21の隙間22内に収まっている。この状態で、図4に示されるように、ウェハ保持部41がウェハ回転部42と一体的に上方に駆動される。この時、ウェハ保持部41は、搬送アーム2のフォーク状の先端部21の隙間22を通過し、ウェハWの底面に接触または吸着する。そして、ウェハ保持部41が更に上方に駆動されることで、ウェハWが搬送アーム2から一時的に持ち上げられて(取り外されて)ウェハ保持部41によって保持される。
【0020】
ウェハ回転部42は、テーブル状のウェハ保持部41の下方に設けられる。図4に示されるように、軸状のウェハ回転部42は軸方向すなわち上下方向に伸縮可能であり、ウェハ方向調整部4によってウェハWの方向を調整する際には、上方に伸びてウェハ保持部41およびウェハWを持ち上げる。また、ウェハ回転部42は軸周りに回転可能であり、図4のようにウェハWがウェハ保持部41によって搬送アーム2から一時的に持ち上げられている間に回転することで、ウェハ保持部41ごとウェハWを回転させて方向を調整する。
【0021】
ウェハ方向調整部4のウェハ回転部42によるウェハWの方向の調整は、カメラ3等のウェハ方向検出部によって検出されたウェハWの方向に応じて行われる。ウェハ方向検出部がカメラ3等の画像センサである場合、ウェハWの周縁部を撮影してノッチおよびオリフラの少なくともいずれかを検出する。ノッチおよびオリフラ(オリエンテーションフラット)はウェハWの方向、具体的には結晶方位等を表すために、ウェハWの周縁部に一般的に設けられる切欠である。ノッチは径が比較的大きいウェハWに設けられることが多く、オリフラは径が比較的小さいウェハWに設けられることが多い。
【0022】
図2および図4に示されるように、カメラ3は、ウェハWの上方から周縁部を撮影できるように設けられる。具体的には、カメラ3は、搬送アーム2(先端部21)の上面において搬送対象のウェハWと接触しない基端側(図2および図4における左側)の位置から上方に延び、そこから更に先端側(図2および図4における右側)に延びることで、ウェハWの周縁部を上方から覆うように設けられる。カメラ3の撮影部は、ウェハWの周縁部と対向する下面に設けられ、その撮影範囲30(画角)にウェハWの周縁部が入る。
【0023】
必要に応じてウェハ回転部42によってウェハWを回転させることで、撮影範囲30に入ったウェハWのノッチまたはオリフラがカメラ3によって撮影されるため、ウェハ方向検出部としてのカメラ3はウェハWの方向を検出できる。そして、カメラ3によって検出されたウェハWの方向に応じて、ウェハ方向調整部4のウェハ回転部42がウェハWを回転させることでウェハWの方向が適切に調整される。また、ウェハ回転部42によるウェハWの鉛直軸周りの回転駆動に加えて、並進駆動部43が、カメラ3によって検出されたウェハWの位置や方向に応じて、ウェハW(あるいは、ウェハWが載る前のウェハ保持部41およびウェハ回転部42)を水平面内の少なくとも一軸方向に並進駆動してもよい。並進駆動部43による並進駆動によって、ウェハWの偏心等の並進方向の位置ずれを効果的に解消できる。並進駆動部43は、ウェハ保持部41およびウェハ回転部42が設けられるウェハ方向調整部4の先端部と、基端部の間に設けられる。このような並進駆動部43によって、ウェハ方向調整部4の先端部が、基端部に対して移動可能に設けられる。
【0024】
なお、ウェハ方向検出部はカメラ3に限らず、ウェハWのノッチやオリフラを検出可能な任意のセンサでよい。例えば、通常はウェハWの周縁部によって遮断されるが、ノッチやオリフラ等の切欠は通過できる光を検出する光センサによってウェハ方向検出部が構成されてもよい。
【0025】
以上のようなウェハWの方向の検出および調整(いわゆるウェハアライメント)は、第1位置としてのロードポートLP1~LP4と、第2位置としてのプロセスチャンバPCの間の搬送経路上の任意の位置(以下で記述するように第1位置としてのロードポートLP1~LP4自体を含む)で行われる。従来はウェハアライメントのための専用の装置(アライナ)が設けられることが一般的であり、ウェハの搬送中にアライナを経由させる必要があったが、本実施形態ではアライナの機能を実現するためのカメラ3および/またはウェハ方向調整部4の一部または全部が搬送アーム2と一体的に設けられているため、ウェハWの搬送およびアライメントを効率的に行える。なお、カメラ3および/またはウェハ方向調整部4は、搬送アーム2の代わりにロードポートLP(ウェハWの搬送を担うため、搬送アーム2と同様にウェハ搬送部を構成する)に設けられてもよい。
【0026】
図2図4において、搬送アーム2は、フォーク状の先端部21およびウェハ方向調整部4を互いに独立に回転可能に支持する回転軸23を備える。この回転軸23の周りの個別の回転によって、搬送アーム2の先端部21およびウェハ方向調整部4は、図1(あるいは、図3における点線のウェハ方向調整部4)に示されるように互いに重ならない位置にも制御できるし、図2図4(特に、図3における実線のウェハ方向調整部4)に示されるように互いに重なる位置にも制御できる。このように、ウェハ方向調整部4は、ウェハ搬送部としての搬送アーム2に対して移動可能に設けられる。具体的には、ウェハ方向調整部4は、基端部の回転軸23を介して搬送アーム2(先端部21)の基端部に取り付けられ、当該基端部の回転軸23周りに回転可能に設けられる。
【0027】
回転軸23の下端には、当該回転軸23に直交する方向(すなわち、水平面内)に移動可能および/または伸縮可能な可変アーム24が設けられる。可変アーム24の直下には、回転軸23および可変アーム24を駆動する駆動部20が設けられる。駆動部20は、回転軸23による回転と、可変アーム24による移動(並進)を組み合わせることで、搬送アーム2の先端部21によって支持されているウェハWおよび/またはウェハ方向調整部4を任意の位置に駆動できる。
【0028】
図5図7は、本実施形態に係るウェハ搬送装置1によるウェハWの搬送および方向調整の例を示す。なお、搬送および方向調整の対象のウェハWは、便宜的に点線で示されている。
【0029】
図5において、ウェハ搬送部としての搬送アーム2の先端部21が、第1位置としてのロードポートLP2において搬送対象のウェハWを取得する際、ウェハ方向調整部4は搬送アーム2と重ならない任意の待避位置に待避される。ウェハ方向調整部4が搬送アーム2の先端部21と重なった状態でロードポートLP2に挿入されると、当該ロードポートLP2の構造と接触してしまう可能性があるためである。
【0030】
図6において、搬送アーム2がロードポートLP2からウェハWを取り出した後の任意のタイミングで、ウェハ方向調整部4は搬送アーム2の先端部21と重なるウェハ方向調整位置まで回転駆動される。この状態で、ウェハ方向調整部4は、前述のウェハ保持部41、ウェハ回転部42、並進駆動部43によってウェハWの方向(回転位置または回転角度)および/または位置(並進位置)を調整する。
【0031】
図7において、搬送アーム2の先端部21が、第2位置としてのプロセスチャンバPCにおいてウェハ方向調整部4による調整後のウェハWを離す(プロセスチャンバPC内に設置する)際、ウェハ方向調整部4は搬送アーム2と重ならない任意の待避位置まで回転駆動される。ウェハ方向調整部4が搬送アーム2の先端部21と重なった状態でプロセスチャンバPCに挿入されると、当該プロセスチャンバPCの構造と接触してしまう可能性があるためである。
【0032】
図5図7は、図1において未処理ウェハW1を扱う第1搬送アーム2Aの搬送および方向調整の動作に対応する。図1において処理済ウェハW2を扱う第2搬送アーム2Bの搬送および方向調整の動作は、図5図7の動作を実質的に逆にして図7図6図5の順に行われる。
【0033】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明した。例示としての実施形態における各構成要素や各処理の組合せには様々な変形例が可能であり、そのような変形例が本発明の範囲に含まれることは当業者にとって自明である。
【0034】
なお、実施形態で説明した各装置や各方法の構成、作用、機能は、ハードウェア資源またはソフトウェア資源によって、あるいは、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働によって実現できる。ハードウェア資源としては、例えば、プロセッサ、ROM、RAM、各種の集積回路を利用できる。ソフトウェア資源としては、例えば、オペレーティングシステム、アプリケーション等のプログラムを利用できる。
【符号の説明】
【0035】
1 ウェハ搬送装置、2 ウェハ搬送部、3 カメラ、4 ウェハ方向調整部、30 撮影範囲、41 ウェハ保持部、42 ウェハ回転部、43 並進駆動部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7