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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067702
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】卵検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/85 20060101AFI20240510BHJP
   G01N 33/08 20060101ALI20240510BHJP
   A01K 43/00 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
G01N21/85 A
G01N33/08
A01K43/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177971
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】荻野 茜
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA01
2G051AB02
2G051BA01
2G051BC01
2G051CA03
2G051CA04
2G051CA07
2G051CC07
2G051DA06
(57)【要約】
【課題】装置構成を簡単にしつつ複数の卵の撮像画像を取得しながらも各卵の検査を精度良く行う。
【解決手段】一列に配置された複数の卵Eに対応して設けられ、複数の卵Eに光を照射する複数の光源5と、複数の光源5を制御して、互いに隣り合う2つの光源5の両方が同時に発光しない複数の発光パターンに切り替える制御部81と、複数の発光パターンそれぞれにおいて、複数の卵Eを撮像する撮像部6とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列に配置された複数の卵に対応して設けられ、前記複数の卵に光を照射する複数の光源と、
前記複数の光源を制御して、互いに隣り合う2つの前記光源の両方が同時に発光しない複数の発光パターンに切り替える制御部と、
前記複数の発光パターンそれぞれにおいて、前記複数の卵を撮像する撮像部とを備える、卵検査装置。
【請求項2】
複数列に配置された複数の卵を保持する卵トレイから、所定の一列に配置された複数の卵を持ち上げるリフト部をさらに備え、
前記複数の光源は、前記リフト部により持ち上げられた前記複数の卵に光を照射するものであり、
前記撮像部は、前記リフト部により持ち上げられた前記複数の卵を撮像するものである、請求項1に記載の卵検査装置。
【請求項3】
前記卵トレイは搬送路を搬送されるものであり、
前記搬送路において搬送方向に沿って複数の検査エリアが設定されており、
前記複数の検査エリアそれぞれに対応して前記リフト部、前記複数の光源及び前記撮像部が設けられており、
前記リフト部は、前記複数の検査エリアにおいて互いに異なる列に配置された複数の卵を持ち上げるように構成されている、請求項2に記載の卵検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワクチン生産等に使用される種卵に対して、良卵(正常卵)であるか、不良卵であるかを検査することが行われている。この検査を行うものとして、例えば特許文献1に示す検査装置が考えられている。
【0003】
この検査装置は、有精卵内部に光を照射して卵内部のカラー画像を撮像し、撮像したカラー画像から検査領域を抽出し、当該検査領域内の血管情報を計測し、一定の太さ以上の血管の総血管長に基づいて正常卵を自動判定するものである。具体的にこの検査装置は、1つの卵を撮像するために当該卵が配置される撮影用筒を有しており、当該撮影用筒には、撮影用筒に配置された1つの卵を撮像する画像撮像部が設けられている。
【0004】
しかしながら、上記の検査装置では、卵1つ1つに対して撮影用筒及び画像撮像部を設ける必要があり、装置構成が複雑かつ大掛かりになってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3998184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、本願発明者は、装置構成を簡単にしつつ複数の卵の撮像画像を取得する構成、具体的には一列に配置された複数の卵に一斉に光を照射し、光が照射された複数の卵を撮像する構成を検討している。
【0007】
ところが、一列に配置された複数の卵に一斉に光を照射すると、各卵は、横にある卵からの光の影響を受けてしまい、卵の側面近傍に存在する血管が見えにくくなり、その色合いも変わってしまう。その結果、発育状態を表す血管や卵の色合いに関する特徴が捉えにくくなってしまう。特に、無精卵等の透過光量の多い卵が横にあると、血管などの見えにくさが一層顕著となってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、装置構成を簡単にしつつ複数の卵の撮像画像を取得しながらも各卵の検査を精度良く行うことを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明に係る卵検査装置は、一列に配置された複数の卵に対応して設けられ、前記複数の卵に光を照射する複数の光源と、前記複数の光源を制御して、互いに隣り合う2つの前記光源の両方が同時に発光しない複数の発光パターンに切り替える制御部と、前記複数の発光パターンそれぞれにおいて、前記複数の卵を撮像する撮像部とを備えることを特徴とする。
【0010】
この卵検査装置であれば、一列に配置された複数の卵に光を照射し、その複数の卵を撮像する構成であり、装置構成を簡単にしつつ、複数の卵の撮像画像を取得することができる。また、互いに隣り合う2つの光源の両方が同時に発光しない複数の発光パターンに切り替えて、複数の発光パターンそれぞれにおいて複数の卵を撮像するので、隣接する卵からの光により卵の側面近傍に存在する血管が見えにくくなることやその色合いも変わることを防ぐことができる。複数の卵のうち光が照射されている卵と卵との間には、光が照射されていない卵が存在することになり、光が照射されている卵が他の光が照射されている卵からの光により影響を受けることもない。その結果、発育状態を表す血管や卵の色合いに関する特徴が捉え易くなり、各卵の検査を精度良く行うことができる。
【0011】
通常、検査される複数の卵は、卵トレイに収容されていることが考えられる。この卵トレイは、複数の卵を複数列に配置して保持するものである。この卵トレイにおいて所定の一列に配置された複数の卵を、他の列に配置された卵に邪魔されること無く検査するためには、本発明に係る卵検査装置は、複数列に配置された複数の卵を保持する卵トレイから、所定の一列に配置された複数の卵を持ち上げるリフト部をさらに備え、前記複数の光源は、前記リフト部により持ち上げられた前記複数の卵に光を照射するものであり、前記撮像部は、前記リフト部により持ち上げられた前記複数の卵を撮像するものであることが望ましい。
【0012】
前記卵トレイは搬送路を搬送されるものであり、前記搬送路において搬送方向に沿って複数の検査エリアが設定されており、前記複数の検査エリアそれぞれに対応して前記リフト部、前記複数の光源及び前記撮像部が設けられており、前記リフト部は、前記複数の検査エリアにおいて互いに異なる列に配置された複数の卵を持ち上げるように構成されていることが望ましい。
この構成であれば、卵トレイを搬送路において搬送させることにより異なる列に配置された複数の卵を順次検査することができる。また、搬送路に複数の卵トレイを順次送り出すことによって、複数の卵トレイにおける各列に配置された複数の卵を順次検査することができる。その結果、卵の検査処理スピードを向上することができる。
【発明の効果】
【0013】
このように構成した本発明によれば、装置構成を簡単にしつつ複数の卵の撮像画像を取得しながらも各卵の検査を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】良卵(正常卵)及び不良卵の撮像画像を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る卵検査装置の構成を模式的に示す平面図である。
図3】同実施形態の卵検査装置の構成を模式的に示す搬送方向から見た図である。
図4】同実施形態の卵検査装置の構成を模式的に示す搬送方向に直交した方向から視た図である。
図5】同実施形態の卵検査装置の制御機器の機能構成図である。
図6】同実施形態の卵検査装置の発光パターンを示す模式図である。
図7】同実施形態の(a)発光パターン1の撮像画像、(b)発光パターン2の撮像画像である。
図8】同実施形態の卵検査装置の検査手順を示すフロー図である。
図9】同実施形態において(a)全点灯した場合の撮像画像、(b)発光パターン1で点灯した場合の撮像画像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る卵検査装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0016】
本実施形態の卵検査装置100は、例えばワクチン生産に使用される卵(種卵)Eに光を照射して撮像し、その撮像した画像に基づいて、ワクチン生産に適した良卵(正常卵)であるか、ワクチン生産に適さない不良卵であるかを検査するものである。
【0017】
ここで、不良卵とする判定項目には、図1の撮像画像に示すように、無精卵(未受精卵)、死卵(途中死、中止、発育中止卵)、逆さ(倒立)、気室大、気室位置不適切(気室斜め、気室側面)や発育不良等が含まれる。
【0018】
具体的に卵検査装置100は、図2に示すように、複数列に配置された複数の卵Eを保持する卵トレイ10を搬送路2により搬送させて、当該卵トレイ10に保持された複数の卵Eを検査するものである。以下では、6列それぞれに6個の卵を保持する卵トレイ10を例として説明する。
【0019】
本実施形態の卵検査装置100では、図2に示すように、搬送路2において搬送方向Xに沿って複数の検査エリアA1~A3が設定されている。図2では、3つの検査エリアA1~A3である第1の検査エリアA1、第2の検査エリアA2及び第3の検査エリアA3が設定された例を示している。また、各検査エリアA1~A3は、遮光板3によって、手前側と奥側との2つに分割されている。
【0020】
ここで、各検査エリアA1~A3において、搬送される卵トレイ10の卵Eは、遮光板3により、手前側の1列目~3列目の卵Eと、奥側の4列目~6列目の卵Eとに分けられる。つまり、卵トレイ10の1列目~3列目の卵Eは、各検査エリアA1~A3において遮光板3の手前側で搬送され、卵トレイ10の4列目~6列目の卵Eは、各検査エリアA1~A3において遮光板3の奥側で搬送される。
【0021】
そして、卵検査装置100は、図2図4に示すように、各検査エリアA1~A3に対応して、所定の列に配置された複数の卵Eを持ち上げるリフト部4と、リフト部4により持ち上げられた複数の卵Eに光を照射する複数の光源5と、リフト部4により持ち上げられた複数の卵Eを撮像する撮像部6とを備えている。
【0022】
本実施形態のリフト部4は、各検査エリアA1~A3において遮光板3の手前側及び奥側それぞれに設けられている。そして、リフト部4は、複数の検査エリアA1~A3において互いに異なる列に配置された複数の卵Eを持ち上げるように構成されている。具体的には、第1の検査エリアA1の2つのリフト部4は、卵トレイ10の3列目及び6列目に配置された複数の卵Eを持ち上げる構成である。第2の検査エリアA2の2つのリフト部4は、卵トレイ10の2列目及び5列目に配置された複数の卵Eを持ち上げる構成である。第3の検査エリアA3の2つのリフト部4は、卵トレイ10の1列目及び4列目に配置された複数の卵Eを持ち上げる構成である。
【0023】
また、リフト部4は、搬送路2の下方に設けられており、搬送路2上の卵トレイ10に対して昇降移動可能に設けられている。このリフト部4は、搬送路2において卵トレイ10が各検査エリアA1~A3で停止した状態で、卵トレイ10の下方から上方に向かって移動し、卵トレイ10における所定の列に配置された複数の卵Eの下部に接触して、それら複数の卵Eを持ち上げる。具体的にリフト部4は、複数の卵Eそれぞれに対応して設けられた支持部41と、支持部41が設けられた連結部材42と、連結部材42を昇降移動させる例えばエアシリンダ等のアクチュエータ43とを備えている。このアクチュエータ43は、後述する制御装置8の制御部81により制御されて、複数の支持部41を卵トレイ10に対して昇降移動させる。
【0024】
複数の光源5は、一列に配置された複数の卵Eに対応して設けられ、複数の卵Eの内部に光を照射するものである。本実施形態では、一列に配置された複数の卵Eそれぞれに対して上下から光を照射する構成としてある。つまり、1つの卵Eに対して上下2つの光源5が設けられる構成である。
【0025】
具体的に複数の光源5は、リフト部4により持ち上げられた複数の卵Eに対して上方から光を照射する複数の上部光源51と、リフト部4により持ち上げられた複数の卵Eに対して下方から光を照射する複数の下部光源52とを有している。これら上部光源51及び下部光源52は、各検査エリアA1~A3において、リフト部4に対応して設けられている。なお、複数の上部光源51及び複数の下部光源52は、後述する制御装置8の制御部81により制御されて、互いに同期して発光パターン(点灯及び消灯)が制御される。
【0026】
複数の上部光源51は、リフト部4により持ち上げられる複数の卵Eの上方に設けられている。ここで、各上部光源51には、リフト部4により持ち上げられた卵Eの上端部を取り囲むように接触するキャップ部7が設けられている。このキャップ部7は、卵Eの形状のばらつきを吸収するために弾性変形可能な材質により構成されている。そして、各上部光源51は、キャップ部7を介して卵内部に上方から光を照射する。さらに、各上部光源51は、昇降ガイド部9により卵Eのサイズに合わせて昇降移動可能に設けられている。
【0027】
また、複数の下部光源52は、リフト部4における複数の支持部41の内部に設けられている。ここで、支持部41は、卵Eの下端部に接触する円環状の接触部411を有している。そして、各下部光源52は、支持部41の接触部411を介して卵内部に下方から光を照射する。
【0028】
本実施形態では、リフト部4は、複数の卵Eを持ち上げて、それら複数の卵Eが支持部41及びキャップ部7により挟まれた状態で、卵Eを所定角度ずつ回転可能に構成されている。ここでは、卵Eを90度ずつ(0度→90度→180度→270度)回転可能に構成されている。
【0029】
具体的には、連結部材42に対して各支持部41が回転可能に設けられており、当該各支持部41が歯付きベルト等を用いた回転伝達部44で連結されており、当該回転伝達部44をモータ等のアクチュエータ45で駆動することにより、一列に配置された複数の支持部41が同期して90度ずつ回転するように構成されている。なお、アクチュエータ45は、後述する制御装置8の制御部81により制御されて、複数の支持部41を回転させる。
【0030】
撮像部6は、リフト部4により持ち上げられた複数の卵Eを撮像するものである。本実施形態の撮像部6は、例えばCCD又はCMOSなどの撮像素子を有するカラーカメラである。
【0031】
具体的に撮像部6は、図2及び図3に示すように、各検査エリアA1~A3において遮光板3の手前側及び奥側それぞれに設けられ、遮光板3を背景として複数の卵Eを撮像できるように配置されている。例えば、第1の検査エリアA1の手前側では、撮像部6は、遮光板3を背景として3列目の複数の卵Eを撮像し、第1の検査エリアA1の奥側では、撮像部6は、遮光板3を背景として6列目の複数の卵Eを撮像する。その他、各撮像部6と各撮像部6が撮像する列に配置された複数の卵Eとの相対位置は同じとなるように設定されている(図2参照)。なお、撮像部6は、後述する制御装置8の制御部81により制御されて、複数の卵Eの撮像動作を行う。
【0032】
また、撮像部6により撮像された画像は、図5に示すように、制御装置8の画像処理部82に送信され、当該画像処理部82による画像処理の後、判定部83により良卵であるか、不良卵であるかが判定される。不良卵である場合には、どのような種類の不良卵であるかを判定しても良い。また、撮像部6により撮像された画像をディスプレイなどの表示部84に表示し、ユーザが当該画像から良卵であるか、不良卵であるかを判断するように構成しても良い。
【0033】
そして、本実施形態の卵検査装置100の制御装置8は、図5に示すように、搬送路2の稼動及び停止、リフト部4の昇降移動及び回転移動、複数の光源5の点灯及び消灯、及び、撮像部6による撮像の制御を行う。
【0034】
なお、制御装置8は、CPU、内部メモリ、入出力インターフェイス、AD変換器等を有するコンピュータにより構成され、内部メモリに格納された検査用プログラム基づいて、CPU及び周辺機器が協働することにより、卵検査装置100全体の制御を行う制御部81、画像処理部82、判定部83、表示部84等としての機能を発揮する。この制御装置8の機能は、物理的に1つのコンピュータにより構成されても良いし、物理的に分離した複数のコンピュータにより構成されても良い。
【0035】
具体的に制御部81は、複数の光源5を制御して、互いに隣り合う2つの光源5の両方が同時に発光しない複数の発光パターンに切り替えるものである。
【0036】
本実施形態では、図6に示すように、一列に配置された複数の光源5において、対応する撮像部6から見て奇数番目の光源5を発光(点灯)させる発光パターン(図6(a)参照)と、偶数番目の光源5を発光(点灯)させる発光パターン(図6(b)参照)とを切り替える。また、制御部81は、撮像部6を制御して、図7に示すように、複数の発光パターンそれぞれにおいて、複数の卵Eを撮像する。本実施形態では、発光パターン1での撮像画像と、発光パターン2での撮像画像とを取得することで、所定の列に配置された複数の卵Eの全ての撮像画像を取得することができる。
【0037】
<卵検査装置100の動作>
次に、制御装置8の機能とともに卵検査装置100の動作について、図8を参照して説明する。
【0038】
制御部81は、搬送路2を制御して、複数の卵トレイ10を各検査エリアA1~A3に搬送して停止させる(ステップS1)。そして、各検査エリアA1~A3に設けられた2つのリフト部4により、所定の列に配置された複数の卵Eを持ち上げる(ステップS2、図3参照)。
【0039】
なお、第1の検査エリアA1では、6列目の複数の卵Eと、3列目の複数の卵Eとを持ち上げられ、第2の検査エリアA2では、5列目の複数の卵Eと、2列目の複数の卵Eとを持ち上げられ、第3の検査エリアA3では、4列目の複数の卵Eと、1列目の複数の卵Eとを持ち上げられる。
【0040】
そして、制御部81は、撮像部6から見て左から奇数番目の光源5を点灯させる(発光パターン1、図6(a)参照)。左から奇数番目の卵Eに光が照射された状態(卵Eの内部が発光した状態)で、撮像部6が複数の卵Eを撮像する(ステップS3、図7(a)参照)。その後、制御部81は、撮像部6から見て偶数番目の光源5を点灯させる(発光パターン2、図6(b)参照)。左から偶数番目の卵Eに光が照射された状態(卵Eの内部が発光した状態)で、撮像部6が複数の卵Eを撮像する(ステップS4、図7(b)参照)。これにより、0度の状態(搬送された状態のまま)における各発光パターンの画像(0度画像)が撮像される。
【0041】
次に、制御部81は、リフト部4の支持部41を90度ずつ回転させること毎に、複数の光源5を発光パターン1及び発光パターン2で発光させ、それら各発光パターンにおいて撮像部6により複数の卵Eを撮像する(ステップS5~S13)。これにより、90度回転させた状態における各発光パターンの画像(90度画像)、180度回転させた状態における各発光パターンの画像(180度画像)、270度回転させた状態における各発光パターンの画像(270度画像)が撮像される。
【0042】
そして、制御部81は、上記4種類の角度(4方向)における各発光パターンの画像を撮像した後に、リフト部4を下降させて、持ち上げていた複数の卵Eを卵トレイ10に戻す(ステップS14)。また、4種類の角度(4方向)における各発光パターンの画像は、画像処理部82に送信されて、当該画像処理部82による画像処理の後、判定部83により良卵であるか、不良卵であるかが判定される。これにより、複数の卵トレイ10の所定列に配置された複数の卵Eの検査が終了する。
【0043】
各検査エリアA1~A3における上記の動作が終了すると、制御部81は、搬送路2を制御して、卵トレイ10を次の検査エリアA1~A3に搬送して停止させる。第3の検査エリアA3での検査が終了した卵トレイ10は、第3の検査エリアA3の下流側に搬出させる。なお、卵検査装置100の処理能力を向上させるために、画像処理部82による画像処理及び/又は判定部83による判定が行われている間に、制御部81は、搬送路2を制御して、卵トレイ10を次の検査エリアA1~A3に搬送して停止させても良い。
【0044】
上記一連の動作により、卵トレイ10を搬送路2に設定された複数の検査エリアA1~A3に移動させることにより、異なる列に配置された複数の卵Eが順次検査されて、卵トレイ10に収容された全ての卵Eが検査される。また、搬送路2に複数の卵トレイ10を順次送り出すことによって、複数の卵トレイ10における各列に配置された複数の卵Eを順次検査することができる。
【0045】
<本実施形態の効果>
本実施形態の卵検査装置100によれば、一列に配置された複数の卵Eに光を照射し、その複数の卵Eを撮像する構成であり、装置構成を簡単にしつつ、複数の卵Eの撮像画像を取得することができる。
【0046】
特に本実施形態では、互いに隣り合う2つの光源5の両方が同時に発光しない複数の発光パターンに切り替えて、複数の発光パターンそれぞれにおいて複数の卵Eを撮像するので、図9に示すように、複数の光源を全点灯した場合に比べて、隣接する卵Eからの光により卵の側面近傍に存在する血管が見え易くなり、その色合いが変わることもない。また、複数の卵Eのうち光が照射されている卵Eと卵Eとの間には、光が照射されていない卵Eが存在することになり、光が照射されている卵Eが他の光が照射されている卵Eからの光により影響を受けることもない。その結果、発育状態を表す血管や卵の色合いに関する特徴が捉え易くなり、各卵Eの検査を精度良く行うことができる。
【0047】
<本発明の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0048】
例えば、前記実施形態では光源5が上部光源51及び下部光源52を有し、卵Eに対して上下から光を照射する構成であったが、光源5が上部光源51又は下部光源52の何れか一方のみを有し、卵Eに対して上又は下の何れか一方のみから光を照射する構成としても良い。
【0049】
また、前記実施形態では、搬送路2に複数の検査エリアA1~A3を設定し、各検査エリアA1~A3に所定の一列の卵Eを持ち上げるリフト部4を設けた構成であったが、各エリアA1~A3にリフト部4を複数設けて、卵トレイ10における異なる列に配置された卵Eを順次持ち上げることができるようにしても良い。また、リフト部4を異なる列に移動可能に構成することで、異なる列に配置された卵Eを持ち上げることができるようにしても良い。
【0050】
さらに、前記実施形態では、第1~第3の検査エリアA1~A3を2つの分割した構成であったが、分割しない1つの検査エリアとしても良い。
【0051】
前記実施形態では、各検査エリアA1~A3の発光パターン及び発光パターンの順番を同じとしていたが、発光パターンが互いに異なるものとしても良いし、発光パターンの順番が互いに異なるものとしても良い。
【0052】
その上、前記実施形態では、リフト部4が卵トレイ10に対して昇降移動することで卵Eを持ち上げる構成としているが、卵トレイ10がリフト部4に対して昇降移動することで卵Eを持ち上げる構成としても良い。
【0053】
加えて、複数の光源5が1つ飛ばしで発光する2つの発光パターンで切り替える構成であったが、互いに隣り合う2つの光源5が同時に発光しない複数の発光パターンで切り替える構成であれば良く、例えば、複数の光源5が2つ飛ばしで発光する3つの発光パターンで切り替える構成であっても良い。要は、光が照射されている2つの卵Eの間に、光が照射されていない卵Eが存在するような発光パターンで切り替える構成であれば良い。
【0054】
さらに加えて、前記実施形態では、卵トレイ10から所定の一列に配置された複数の卵Eを持ち上げて、それら複数の卵Eを検査する構成であったが、一列に配置された複数の卵Eを持ち上げること無く検査する構成としても良い。例えば、予め複数の卵Eを一列に配置した状態とし、その一列に配置された複数の卵Eを検査しても良いし、その予め複数の卵Eを一列に配置した状態で搬送路2を搬送させて、所定の検査エリアで停止させつつ、当該検査エリアで複数の卵Eを検査する構成としても良い。
【0055】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0056】
100・・・卵検査装置
10・・・卵トレイ
E・・・卵
2・・・搬送路
A1~A3・・・検査エリア
4・・・リフト部
5・・・光源
6・・・撮像部
8・・・制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9